澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

DHCスラップ『反撃』訴訟判決再論 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第161弾

昨日(10月4日)言い渡しの「DHCスラップ『反撃』訴訟」判決。勝訴判決の理由を、少し補充しておきたい。スラップを違法とする枠組みと、論理的な手順を語って、応用範囲が広いと思われるからだ。

繰り返しになるが、判断の出発点は、以下の最高裁判例が提示した枠組みである。

「訴えの提起は、提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものである上、同人が、そのことを知りながら、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り、相手方に対する違法行為となる」

分かり易く噛み砕けば、こういうことだ。

「民事訴訟の提起は国民誰しもにある権利だが、その提訴の内容が客観的に勝てないものであって、しかも提訴者が勝てない提訴であることを知っていながら敢えて提訴するということになれば、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くことになって、提訴自体が相手方に対する違法行為となる。勝てない提訴であることを認識していなくても、普通なら勝てない提訴と容易に分かるはずと言える場合も同じことだ」

問題となっている提訴が、以下の「Aを前提に、B1かB2」であれば、違法となるということである。
A「客観的に勝てない」
B1「提訴者が、勝てないことを知っている」
B2「常識的に勝てないことが分かるはず」

くどいようだが、こういうことだ。

「民事訴訟の提起は国民の権利だが、吉田嘉明の澤藤に対する提訴の内容が客観的に勝てないものであって、しかも吉田が勝てない提訴であることを知っていながら敢えて提訴するのは、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものとして、提訴自体が澤藤に対する違法行為となる。仮に、吉田が勝てない提訴であることを知らなかったとしても、常識的に勝てない提訴と容易に分かるはずと言えるなら、やはり提訴は違法となる。」

吉田の澤藤に対する提訴が、A「客観的に勝てない」ものであることは、既に答が出ている。吉田嘉明の訴えは全面的に請求棄却で確定しているからだ。残るは、B1「提訴者が勝てないことを知っている、あるいはB2「常識的に勝てないことが分かるはず」と言えるか。判決は、迷いを見せずに、これを肯定する。この判定過程が、この判決の真骨頂。当該判示部分の冒頭を抜き書きする。

原告澤藤ブログ(5本)は,本件(吉田嘉明の週刊新潮)手記ないし本件朝日新聞記事に記載されている事実を前提に、他の情報を付加することなく、原告が考える政治と金銭との健全な関係の観点から、本件(8億円)貸付について、被告吉田の内心の推察を試みつつ批判を加えようとするものと読み取ることができる。そうすると、原告ブログは、本件手記ないし本件朝日新聞記事に記載されている事実を元にした社会的な評価や推論であることが理解可能である記述部分や,人の内心に係る一般的な行為の動機の問題である記述部分からなり、被告吉田の本件(8億円)貸付の動機についての事実の摘示を含むものと解することはできないのであり、このことは、一般の読者において同様の理解が容易というべきである。

つまり、澤藤ブログは、「評価や推論」であること、そのことが容易に分かることが、B1・B2判断の出発点となつている。

言論は、事実摘示」部分と意見または論評」部分とからなるとし、事実摘示については真実性(ないし真実と信じるについての相当性)が求められるのに対して、「意見または論評」については表現の自由が大幅に認められ、人の名誉を毀損する「意見または論評」も、人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り免責される。これを、米判例に倣って「公正な論評の法理」と呼び、日本の最高裁もこれを採用している。もちろん、「意見または論評」には、前提としている事実があるはずで、その前提事実には真実性(相当性)が要求される。

そうすると、吉田の名誉を毀損するブログの表現部分が違法ではなく、違法でないことを知っていたか、容易に分かったはず、というためには、
①ブログの内容が「意見または論評」であること、
②その「意見または論評」の前提となる事実が真実であること、
③さらに、「意見または論評」が公共に関わるものであって、
④もっぱら公益の目的に基づいてなされている
ということを、吉田が知っていたか、あるいは常識的に知っていたはずと言えるかを判断しなければならないことになる。

この作業の中核は、「②その『意見または論評』の前提となる事実」を特定すること、特定された事実の真実性を吉田が認識していたか、あるいは容易に認識し得たと言えるかの判断にある。

DHC・吉田嘉明が、自分たちの名誉を毀損したという澤藤ブログは計5本。その中に具体的に特定された名誉毀損の表現部分は16個所である。判決は、この16個所の全部を詳細に検討して、すべての表現部分について、「吉田が違法性阻却要素のすべてを知っていたか、あるいは常識的に知っていたはずと言える」と結論する。

具体的な意見の前提事実の主要なものとして、下記の点が挙げられている。

原告ブログは、いずれも意見ないし論評であるところ、その前提としている事実の重要な部分は、被告吉田が被告会社の代表取締役会長であり、被告会社が主に化粧品やサプリメントを扱う事業者である事実(事実①)、「被告吉田が様々な規制を行う官僚機構の打破を求め、特に、被告会社の主務官庁である厚生労働省の規制について煩わしいと考えていた事実(事実②)、被告吉田が渡辺議員に合計8億円を貸し付けた事実(事実③)、被告吉田が雑誌に本件手記を掲載し、渡辺議員との関係を絶った事実(事実④)である。事実①は、当事者間に争いがなく、事実②ないし事実④の各事実は、本件手記に記載されていた内容であり、いずれも被告らにおいて真実として認識していたものである。他に、上記の各原告ブログが前提としている事実の重要な部分には、渡辺議員が平成26年3月31日付けの自己のブログで「DHC会長からの借入金について」と題する記事を掲載し、その中で、被告吉田と渡辺議員との関係について記載したという事実(事実⑥)、マスコミを使った大量の広告、宣伝により、サプリメントが販売されている事実(事実⑦)、サプリメント業界において規制緩和を求める動きが存在する事実(事実⑧)、被告会社において、過去に機能性の評価が不十分であったり、安全性に問題があったりするサプリメントが販売されていた事実(事実⑨)があるが、事実⑦ないし⑨は,公知の事実又は被告らにおいて当然に認識していた事実と認められ、また、事実⑥は上記貸付の当事者である渡辺議員によるブログ記事であり、本件記事掲載後のインターネット上の反響等を観察していた被告らにおいて、容易に認識し得た事実と認められる。そうすると、以上の事実もまた、被告らにとって、その真実性が明らかであったということができる。

その上で、判決はこういう。

「本件各記述に攻撃的な表現が含まれているとしても、その内容は、前件訴訟における被告らの主張を前提としても、「尻尾を振る」、「利益をむさぼる」、「汚い金」、「私欲のために金で政治を買おうとした主犯」といったものであり、これらはいずれも、本件貸付又はこれを通じた被告吉田と渡辺議員との関係に関する批判であることが、記載自体から明らかなものであるから、被告吉田個人の人格攻撃に及ぶものとはいえず、意見ないし論評としての域を逸脱するものとはいえないことは被告らが容易に認識し得るものといえる。

判決は、結論をこう結んでいる。

以上によれば、被告ら(DHC・吉田嘉明)が前件訴訟の提起等を行うに当たり、被告ら(DHC・吉田嘉明)にとっては、本件各(澤藤ブログの)記述が意見ないし論評であることについても、また、本件各記述が公正な論評の法理により違法性を欠くことについても、容易に認識可能であったということができる。したがって、被告ら(DHC・吉田嘉明)による前件訴訟の提起等(請求の拡張を含む)は、原告ブログ(計5本がいずれも)意見ないし論評であり、その前提としている事実の重要な部分が真実であり、違法性を欠くものであって、請求が認容される見込みがないことを通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したものとして、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものということができ、原告(澤藤)に対する違法行為と認められる。

以上のとおり、5本のブログの16個所のすべてについて、これを名誉毀損として提訴することが違法だという判断なのである。しかも、その判断に迷いがない。その意味では、違法論では澤藤側完勝と言ってよい判決。被告の弁明についても丁寧な反論をしており、今後のスラップ違法判断のリーディングケースとなると思われる。

もっとも、損害論は違法論と比較して精緻さを欠く。どうしても、不満の残るところ。さて、控訴あるべきか否か。
(2019年10月5日)

よい判決だったから、《10月4日》は勝訴記念日。 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第160弾

本日(10月4日)13時15分。東京地裁415号法廷。裁判長(前澤達朗)が判決を読み上げる。朗読が「原告の…」から始まれば、棄却判決で私の敗訴。「被告らは…」で始まれば、認容判決で私の勝訴。

「主文…」。ほんの少しだけ間をおいて、「被告らは,原告に対し,」と続いた。私の勝訴である。あとは落ちついて聞くことができる。「…連帯して110万円及びこれに対する平成26年8月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」「原告のその余の請求をいずれも棄却する」「訴訟費用は,これを6分し,その1を原告の負担とし,その余は被告らの連帯負担とする」とつづき、最後に「この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる」で、主文の朗読は終わり。

「理由は判決書をお読みください」で、裁判官3人は席を立った。法廷内の弁護団と支援の傍聴者から、期せずして拍手と歓声が起こった。「よかった。よかった」「ご苦労様」「ありがとう」。その歓声に、法廷を出ようとしていた裁判長が、くるりと傍聴席の方に向き直った。そして、「法廷では拍手をお控えください」。勝訴の法廷だから、とげとげしい雰囲気にはならなかったが、少々驚いた。いろんな裁判官がいるものだ。

前件の「DHCスラップ訴訟」では、勝訴は確実と思っていた。これに続く、今回の「DHCスラップ『反撃』訴訟」では、勝訴のはずとは思っていたが、確実とまでは思えなかった。ところが、判決の中身は、実に明確に、そして簡潔にDHC・吉田嘉明による提訴の違法を認定している。

判決の出発点は、次の最高裁判例である。

「訴えの提起は,提訴者が当該訴訟において主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものである上,同人が,そのことを知りながら,又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り,相手方に対する違法行為になるものというべきである(最高裁判所昭和63年1月26日第三小法廷判決)。

その上で、大要次のように判断する。

「DHC・吉田嘉明が澤藤に対して訴えを提起し、損害賠償請求の根拠としたブログは合計5本あるが、そのいずれについても、客観的に請求の根拠を欠くだけでなく、DHC・吉田嘉明はそのことを知っていたか、あるいは通常人であれば容易にそのことを知り得たといえる。にもかかわらず、DHC・吉田嘉明は、敢えて訴えを提起したもので、これは裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に当たり、提訴自体が澤藤に対する違法行為になる」

「DHC・吉田嘉明には澤藤ブログが面白くないとしても、裁判をしても勝てっこないことは分かっていたはず。仮にそのことが分かっていなかったとしても、普通の人なら容易にそのことが分かったはずなのだから、そんな提訴はしてはいけない。してはいけない提訴をしたことは澤藤に対する違法行為として、損害賠償の責任を負うことになる」ということでもある。

660万円の請求に対する110万円の認容だから、この金額に不満は残るところではある。もっとも、判決は、「一見して負けるはずもない損害賠償請求訴訟をされたのだから、大きな精神的打撃を受けたとは言い難い」という趣旨が述べられている。

認容額の多寡はともかく、スラップ提訴の違法を簡明に認めた判断をしている点では、影響の大きな貴重な判決と言えよう。光前幸一弁護団長は、記者会見で「民事訴訟制度は社会の公器。それを強者の凶器としたのがスラップ訴訟」という名言を残している。

スラップが横行するところ、公共の言論は萎縮し、民主主義は形骸と化すことにならざるを得ない。本日の判決は、東京地方裁判所民事一部の判決として、重みをもつ。近時のスラップ横行の潮流に歯止めを掛けるものとして評価に値する。

さて、吉田嘉明に聞いてみたい。彼は裁判所から本人尋問のために出廷の呼出を命じられていながら出廷を拒否した。出廷していたら,ぜひとも聞いてみたいことがあった。現時点ではこういう問になる。

「在日で反日の徒の原告、在日の原告弁護団、在日の裁判長だから敗訴した」とお考えですか、と。

一審判決のPDFを掲載しておきたい。下記URLから読むことができる。

https://drive.google.com/file/d/1998RJj5Z-J2m5EG4D7PCGDc8jCAHLcl8/view?usp=sharing

本日・10月4日は、記念すべきよき日だった。本日は、枕を高くして、ぐっすりと寝よう。

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DHCスラップ「反撃」訴訟の構図と論点

※本日(10月4日)判決のこの事件は、
DHC・吉田嘉明の「国民の裁判を受ける権利(民事訴訟提起の権利)」(憲法32条)と,澤藤の「表現の自由」(憲法21条)の衝突の調整という図式です。

※「国民の裁判を受ける権利」も濫用は許されません。民事訴訟制度は、国民が自らの権利を擁護するためにこそあります。自らの権利擁護の目的を逸脱して、社会的強者が,自らへの批判の言論を封殺する目的での提訴は、訴権の濫用として提訴自体が違法とならざるを得ません。それがスラップの本質です。

※光前幸一弁護士は、このスラップの本質を「市民の公器が強者の凶器と化している」と表現し、「公共的言論の『不当な裁判から免れる権利』」を確立しなければならないと言っています。まさに、本日の判決では、このことが問われています。

※DHC・吉田嘉明による当初2000万円、訴訟係属中に増額して6000万円請求の前件提訴は、以下の要件から、スラップ性が明白だと考えられます。
☆週刊誌への自らの手記が批判の言論を招いたものであること。
☆批判の言論における事実摘示は、吉田手記にもとづくものでその内容の真実性にまったく問題のないこと。
☆関連10件のスラップ提訴は明らかに濫訴と考えられること。
☆常識的な事前交渉のない、唐突な提訴であること。
☆もともと、2000万円の請求が、高額に過ぎること。
☆しかも、澤藤がブログで反撃をはじめるや、6000万円に請求の拡張を行っていること。⇒言論封殺の目的を自白しているに等しい。
☆反撃訴訟において、吉田嘉明は、裁判所の呼出にもかかわらず、出廷を拒否していること。⇒真摯な、訴訟利用の態度ではない。
☆違法と主張されているブログは、いずれも常識的な表現であること。

※以上のとおり、DHC・吉田嘉明は自らの権利擁護のためではなく、敗訴は当然と知りながらも、批判の言論を威嚇し、自らへの批判を萎縮させる効果を狙って提訴に及んだもので、提訴・請求の拡張・上訴が、いずれも違法なのです。

※本日の判決がスラップの蔓延に歯止めとなり、その害悪を防止するものとなり得たことを喜びたいと思います。

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DHCスラップ訴訟・『反撃訴訟』経過の概略

☆スラップ提訴以前
2013年4月1日  ブログ「澤藤統一郎の憲法日記」新装開店
(以来毎日連続更新・本日で2380回)
2014年3月27日 吉田嘉明手記掲載の週刊新潮(4月3日号)発売
2014年3月31日 澤藤・違法とされたブログ(1)掲載
「DHC・渡辺喜美」事件の本質的批判
2014年4月2日  違法とされたブログ(2)掲載
「DHC8億円事件」大旦那と幇間 蜜月と破綻
2014年4月8日  違法とされたブログ(3)
政治資金の動きはガラス張りでなければならない
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☆DHCスラップ訴訟の経過
(原告 DHC・吉田嘉明、被告 澤藤統一郎
東京地裁民事24部 H26年(ワ)第9408号)
2014年4月16日 提訴(当時 石栗正子裁判長)
5月16日 訴状送達(2000万円の損害賠償請求+謝罪要求)
7月13日 ブログに、「『DHCスラップ訴訟』を許さない」シリーズ開始
13日 第1弾「いけません 口封じ目的の濫訴」
14日 第2弾「万国のブロガー団結せよ」
15日 第3弾「言っちゃった カネで政治を買ってると」
16日 第4弾「弁護士が被告になって」
8月20日 705号法廷 実質第1回弁論期日。
8月29日 原告 請求の拡張(6000万円の請求に増額) 書面提出
新たに下記2ブログ記事が名誉毀損とされる。
7月13日の「第1弾」ー違法とされたブログ(4)
「いけません 口封じ目的の濫訴」
8月8日「第15弾」ー違法とされたブログ(5)
「政治とカネ」その監視と批判は主権者の任務
2015年7月1日 第8回(実質第7回)弁論 結審(阪本勝裁判長)
2015年9月2日 請求棄却判決言い渡し 被告(澤藤)全面勝訴

2015年12月24日 控訴審第1回口頭弁論 同日結審
2016年1月28日 控訴審控訴棄却判決言い渡し 被控訴人全面勝訴

2016年2月12日 DHC・吉田嘉明上告受理申立
2016年2月12日 最高裁DHC・吉田嘉明の上告受理申立不受理決定
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☆DHCスラップ「反撃」訴訟の経過

(本訴 原告 DHC・吉田嘉明、被告 澤藤( ⇒取り下げられている)
(反訴 原告 澤藤、反訴被告 DHC・吉田嘉明)
2017年9月4日 DHC・吉田嘉明が澤藤を被告として
債務不存在確認請求訴訟を提起   H29年(ワ)第30018号
東京地方裁判所民事1部に係属⇒裁判長 後藤健(41期)
2017年11月10日 澤藤から反訴提起  H29年(ワ)第38149号
損害賠償請求660万円
2018年10月5日 反訴原告 澤藤と吉田嘉明両名の本人尋問申し出
2018年10月26日 裁判長交代・前澤達朗(48期)
2019年1月11日 人証採用決定(3名)
澤藤と吉田両本人と内海拓郎(DHC総務部長)
2019年4月19日 吉田呼出に応ぜず不出頭 澤藤と内海拓郎尋問
2019年7月4日  結審
2019年10月4日 13時15分 判決言い渡し

勝訴 110万円の請求認容

(2019年10月4日)

明日10月4日、「DHCスラップ反撃訴訟」判決。

ときに、新聞記者から電話をもらうことがある。取材だったり、コメントを求められたり。あるいは、記者の理解でよいのか確認のための説明を求められることも。

 8月20日ころのある日、電話を取ったら韓国の記者からの取材だった。これは初めての経験。私の数少ない韓国の知人の名をあげて、その人の伝手とのことだった。必ずしも流暢とは言いがたいが、しっかりした日本語で、「JTBCの記者の通訳」を名乗り、記者の名前も通訳の自己紹介も聞いたが名前は難しくて聞き取れない。かなりの時間を割いて、DHC・吉田嘉明との裁判の経過を詳しく語った。もちろん、吉田嘉明のヘイト体質についても、DHCテレビ問題についても、的確な質問があり、自論を述べた。その電話取材がどのように放送に生かされたかは、まったく分からない。

その後間もなく、韓国のある国会議員秘書氏からの電話をもらった。今度は、JTBCの放送で私(澤藤)と吉田嘉明の関係を知ったとのこと。なかなかに達者な日本語だった。韓国の与党である「共に民主党」が、「嫌韓ヘイト発言問題で、国会に、吉田嘉明を召喚して証言を求めたいと思っているが、吉田の呼出先をどう特定すべきかのアドバイスを得たい。また、彼は呼び出せば召喚に応じる人物であろうか」という趣旨の問合せ。

韓国ヘイトのDHC・吉田嘉明が、したたかに韓国でも商売をしていることは、この夏までまったく知らなかった。DHCテレビが、インターネット番組で韓国を中傷する発言をし、韓国のドラッグストア業界がDHC商品の販売中止を始めるなど不買運動が広がった。

DHCは、徴用工を酷使した企業ではない。朝鮮侵略とも無縁な新興企業。日本を代表するほどの企業ではない。それが、敢えて嫌韓ヘイト発言をすることによって、韓国民衆による不買運動の標的とされた。「#さよならDHC」のハッシュタグが大規模に拡散されているという。

DHCコリアは、自分たちは東京の本社とは立場が違うと弁明に努めたが苦境に立たされた。一昨日(10月1日)の報道では、DHCのイメージキャラクターだった女優チョン・ユミが、DHCコリアとの契約を解除した。聯合ニュース配信記事が簡潔に事態を伝えている。

【ソウル聯合ニュース】日本の化粧品販売会社ディーエイチシー(DHC)の韓国内イメージキャラクターを務めた女優のチョン・ユミが、同社の韓国法人、DHCコリアとの契約を終了した。期間満了前の契約終了で、残る契約期間の契約料は返還した。
  所属事務所は1日、DHCコリアが事務所側の立場を理解し、解約の要請に対し円満に合意したと発表した。
 8月に放送されたDHC子会社「DHCテレビ」が制作するネット番組の出演者による嫌韓発言が韓国で問題視されたことを受け、所属事務所はDHCに対し、チョン・ユミの肖像権使用撤回とイメージキャラクターとしての活動中止を要請した。

同日の中央日報日本語版の記事では、

チョン・ユミは、「再契約も絶対に無いだろう」と宣言した。さらに、契約終了前のモデル料を返してまでDHCとの縁をバッサリと切った。韓国芸能人がこのような決定を下したのはまれな事。チョン・ユミはDHC側の常識外れの態度に対して積極的に対応したわけだ。チョン・ユミが返す6カ月分のモデル料は数千万ウォンに達するものと見られる。

 ヘイトの代償は高い。DHCの場合、韓国だけではない。日本国内でも、じわりと影響が出てきている様子なのだ。

パルシステム生活協同組合連合会という大組織がある。首都圏を中心とした消費生活協同組合の連合体。加盟総数は約152万世帯、年額総事業高2,117.8億円。食を中心とした商品の供給事業を主としている。

「沖縄への偏見をあおる放送をゆるさない市民」のツイッターには、次のような「朗報」が連ねられている。

パルシステムに電話で問い合わせたところ、商品企画部署から回答があり、「DHCについては事前の調査が不十分だったため、こういう企業とは知らずに商品を企画してしまった(知っていれば企画しなかった)。今後はDHCの商品は取り扱わないし、事前の調査を十分行うようにする」とのことでした。

パルシステムの商品企画部によると「9月の3回以降、DHC商品は扱わない」「事前の調査が不十分だった。今後は、事前の調査を十分行うようにする」とのことです。問い合わせをした組合員のみなさま、本当にお疲れ様でした。#さよならDHC

DHC の商品は生協の理念に合わないのでは? と9月1回のカタログを見てすぐに問い合わせたところ、書面で回答を得ました。直ちに仕入れ企画の修正を決定したパルシステムの対応はナイスだったと思います。市民の運動ってこのように小さい事からですね。

パルシステムを信じて長年使ってきたから本当に良かった。パルは、食べ物だけじゃなく政治や社会問題の勉強会を組合員主催で開催したり、利用者の意識も高いのできっと沢山声が届いたんだと思います。これからも沢山パルシステムでお買い物します

パルシステムすばらしい!声をあげる意味大きいね!

Dema Hate Company、また販路を失いました。パルシステムさん、ありがとう。

こういう「うっかりミス」が起きないように、ヘイト企業一覧が必要だと思う。

パルシステムに本件に対する意見を送った者です。本日パルシステム東京のご担当者様より、お詫びの言葉と併せて今後のDHCブランドの企画については見送る旨ご連絡をいただきました!同様の意見が多数届いていたようです。ご報告まで。

日韓それぞれの社会環境変化の中で、明日10月4日(金)13時15分に、DHCスラップ「反撃訴訟」判決が言い渡される。法廷は、東京地方裁判所4階の415号法廷。

(2019年10月3日)

ご存知ですか。フジ住宅というヘイト企業があることを。

上には上があるというベきか。あるいは、下にはさらに下があると驚くべきか。オーナーの身勝手なヘイト志向の信念を従業員に押し付けるブラック企業としてはDHCが極め付けと思っていた。が、世の中は広い。DHCに勝るとも劣らぬ企業が関西にあることを知った。これまで知らなかったその社名が、フジ住宅。大阪府岸和田市に本社を置く東証1部上場の不動産大手。従業員数は1000人に近く、関連会社を含めると1200名規模だという。

DHCは、デマとヘイトとスラップの3拍子で知られる。フジ住宅は、従業員へのヘイト文書大量配布と、育鵬社教科書の採択運動に社員を動員してきたことで有名になった。どちらのオーナーも、独善と押し付け、嫌韓・反中の信念の強固なことにおいて、兄たりがたく弟たりがたい。

フジ住宅が一躍全国区で有名になったのは、この夏のこと。大阪弁護士が、この会社の女性従業員からの人権救済申立を容れて、異例の人権救済勧告を出し、本年(2019年)7月16日にこのことを公表してからのこと。

同月11日付の勧告の主文は、以下のとおりである。
勧告の趣旨
1 被申立人(フジ住宅)はその従業員に対し、大韓民国等本邦外出身者の国民性を侮蔑する文書を配布しないこと
2 被申立人(フジ住宅)はその従業員に対し、中学校の歴史及び公民教科書の採択に際し、特定の教科書を採択させるための運動に従事させ、その報告を被申立人にするよう求めないこと

つまり、フジ住宅は、弁護士会から「人権侵害に当たるからおやめなさい」と注意を受けるほどに、「社員に対して、韓国など本邦外出身者の国民性を侮蔑する文書を配布」していたし、「社員に、歴史・公民教科書の採択に際し、歴史修正主義派の教科書を採択させるための運動に従事させ、その報告を会社にするよう求め」ていたということなのだ。

この会社のヘイトぶりに我慢ができなくなった在日三世の女性従業員は、弁護士会に対する人権救済申し立てだけでなく、大阪地裁堺支部に名誉毀損の損害賠償請求の提訴もしている。ネットで、両者の主張を読むことができる。

通常この種の事件で裁判所に提出される主張は、法律家のスクリーニングを経て、それなりの抑制が利いたものとなる。ところが、この会社の準備書面は、弁護士が作成したとは思えないほどにストレートな会社の言い分そのままなのだ。そのストレートな会社側の主張が興味津々である。たとえば、これが準備書面の文章である。

「被告会社会長である被告今井の信念として、戦後の日本人が自らの国に誇りを持てないことが社会に大きなひずみを生みだしているところ、それは東京裁判に象徴される第二次世界大戦戦勝国の措置によって日本人に植え付けられたいわゆる「自虐史観」が主な原因であるから、自らの国に誇りを持つためには「自虐史観」を払拭する必要がある。この観点から、戦後日本において多くの国民の自己肯定感情の障害となってきたと考える「自虐史観」の払拭に役立つと思われる文書を配布している。

この会社のホームページには、こうある。

「弊社が当裁判に負けることは、原告を除くほぼ全ての、外国籍の方を含む社員全体が支持してくれている弊社の仕事の進め方、それを通じて広く社員が見識を高めてくれることを期待する社員育成の方法が採れなくなることを意味しており、弊社としましては、この点で、妥協できる余地は一切なく、弊社の存立に深く関わるこの経営のあり方を続けたいと思っております。
また、当方を応援して下さる方の中には、当裁判の帰趨が非常に重要な歴史的意味を持っており、日本国民として絶対に負けられない裁判であると言ってくださる方も多くおられます。弊社と致しましても、万が一当裁判に負けるような事があれば、日本人全体の人権や、言論の自由が大きく毀損される事になるとの危機感を共有しており、当社経営理念「社員のため、社員の家族のため、顧客・取引先のため、株主のため、地域社会のため、ひいては国家のために当社を経営する」をしっかりと守り、「ひいては国家の為に当社を経営する。」と述べている事に、嘘、偽りの無い姿勢を貫きたいと思っています。

この会社には、従業員を主体性ある独立した人格と見る視点がない。労使の関係が、対等な法主体間の労働契約であることの基礎的な理解を欠いている。この会社も、この弁護士たちも、近代的労使関係の何たるかをまったく分かっていないとしか評しようがない。「社風」とか、「社員育成」によって、社員の人格や思想・良心を蹂躙することができて当然と思い込んでいるのだ。従来、企業側弁護士はこのような会社をたしなめ、説得し、教育してきたはずだが、ただただこの会社の愚かな主張に追随しているようにしか見えない。

この大阪弁護士会の異例の勧告を、朝日(関西版)は、こう伝えた。

東証1部上場の住宅販売会社で、韓国人などを侮辱する表現を記した文書が繰り返し配布されていたとして、大阪弁護士会は(7月)16日、人権侵害に当たるため配布をやめるよう勧告したと発表した。同社では、中学校の教科書に育鵬社版が採択されるよう社員の動員もしていたといい、思想・良心の自由を侵害する可能性も指摘した。

毎日はこうだ。

今月11日付の勧告書によると、同社は2013年、「息を吐くようにうそをつく」など、韓国や北朝鮮、中国を差別する表現がある雑誌記事などを少なくとも8回にわたって全従業員に配布した。さらに15年、「新しい歴史教科書をつくる会」の元幹部らが編集に関わった育鵬社の「歴史」と「公民」が公立中学校の教科書に採択されるよう従業員に各自治体の住民アンケートなどへの回答を推奨。同社の会長に結果を報告するよう求め多くの従業員が応じていたという。

どうも、メディアの伝え方が、いまいち十分ではないという印象を否めないが、それはとかく、これからはこう決意し、こう訴えよう。
DHCの製品は買わない
アパホテルには泊まらない
フジ住宅で家は建てない
播磨屋のせんべいは食べない。

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以下に、大阪弁護士会「勧告」の判断部分を要約してご紹介する。極めて常識的なものだが、この会社の耳にははいらないようだ。
https://moonkh.wixsite.com/hateharassment/blank-7

2 当会の判断
(1)別紙一覧表1記載の文書の配布について
何人も平穏に生活して人格を形成し、自由に活動することによって名誉・信用を獲得し保有する権利は、憲法第13条に由来する人格権として強く保護され、かかる権利は、国籍・民族の知何を問わず本邦に居住する者に等しく保障されるべきものである。
ただし、憲法は私人間の関係を直接規律するものではなく、私人相互の関係に直接適用または類推適用されるものではないから、民法第709条その他私法の一般条項の解釈適用を通じて間接的に私人間の行為を規律することになる。
ところで、一般に私人の表現行為は、個人の基本的な自由として憲法第21条第1項に基づき厚く保障されるべきものである。しかし、本邦以外の特定の民族または国籍の出身者を侮辱し、これらの者に対する差別的意識を醸成させる行為は、憲法第13条、第14条に照らし、社会的に許容される合理的範囲を超えて他人の法的利益を侵害していると認められるときは、人権侵害行為にあたり、民法第709条の不法行為(ないし契約関係が存する場合には、契約内容に応じ債務不履行)が成立すると評価できる。
これを本件についてみると、申立人(従業員)は、韓国国籍を有する在日韓国人3世として本邦に居住しているのであるから、平穏に生活して人格を形成し、自由に活動することによって名誉・信用を獲得し保有する人格権を有しているというべきである。他方、被申立人(フジ住宅)には、会社の目的に必要とされている範囲で表現行為の自由が保障されているところ、被申立人が、自身に所属する全役職員に対し配布した別紙一覧表1記載の文書には、いずれも韓国又は韓国国民に対する批判的論評の域を超えた侮辱的表現が随所に見られる上、被申立人代表取締役会長が、侮辱的表現部分に丸印や下線を引くなどしている。確かに、被申立人による上記文書配布は、申立人を被申立人の職場から排除することや申立人の人格権を侵害することを直接の目的とするものではなく、また、配布された文書を申立人が受領することが強制されていた事実は認められない。しかし、被申立人は、1000名を超える従業員を雇用する東証一部上場企業であり、いわば社会の公器として多様な価値観・歴史観を許容し、国籍や人種等による差別的意識を排する職場環境の構築が求められるところ、被申立人の創業者であり、被申立人の全役職員に対して極めて大きな影響力を持つと考えられる被申立人代表取締役会長が、侮辱的表現部分に丸印や下線を引くなどして上記文書を被申立人の全役職員に配布した行為は、いずれも被申立人の業務に必要とは言いがたく、被申立人の全役職員に対して上記文書を配布することを保障する必要性に乏しい。以上からすると、被申立人による別紙一覧表1記載の文章の配布が、被申立人の人格権を侵害したものといえると評価されたとしても、その評価が不当であるとは決していえない。

(2)別紙一覧表2記載の文書の配布について
憲法第19条が思想・良心の自由を保障しているのは、いかなる国家観、世界観、人生観を持とうとも、それが内心の領域にとどまる限りは絶対的に自由であり、国家権力は、内心の思想、に基づいて不利益を課したり、あるいは特定の思想を抱くことを禁止することができないということである。そして、かかる自由が国籍・民族の如何を問わず本邦に居住する者に等しく保障されること、憲法が私人相互の関係を直接規律するものではなく、私人相互の関係に直接適用または類推適用されるものではないので、民法第709条その他私法の一般条項の解釈適用を通じて間接的に私人間の行為を規律することになることは、前記(1)と同様である。これを本件についてみると、本邦の歴史、とりわけ明治維新以降の近現代史における歴史的事実については、個人の歴史観や思想・信条によって様々な評価があることは、公知の事実である。そのため、中学校における歴史及び公民の教科書は、各執筆者が近現代史における歴史的事実を各々評価し執筆しているので、異なる叙述がされている。したがって、教科書に対する評価は、個人の歴史観その他思想・信条と密接に結びついているといえる。しかるに、創業者であり被申立人役職員に強い影響力を持つと考えられる被申立人代表取締役会長が、被申立人の全役職員に対し、別紙一覧表2記載の文書を配布するなどして特定の教科書を採択させるための運動に従事するよう強く推奨するとともに、かかる運動に従事したときは、その内容を上記代表取締役会長に報告することを求めている。そして、現にかかる推奨に応じて多くの役職員が上記報告に及んでいる。被申立人のこの一連の行為は、被申立人の業務に必要とはいい難く、しかも、被申立人は、これらの収集した報告をどのようにでも使える立場にあるので、例えば、上記採択運動に従事したか否かで、従業員の待遇に差を設けることもできる。以上からすると、かかる運動に従事することを被申立人の全役職員に強制するものではないことが、別紙一覧表2記載の文書の一部に明記されているとはいえ、被申立人が、その収集した思想・良心にかかる報告を自由に使える立場あることからして、かかる運動に従事したか否かによって、申立人を含めた従業員がその待遇等において差別的取扱いを受ける可能性が高い状況下にあるので、申立人を含めた従業員が自己の思想・良心を侵害されるおそれの高いことを否定することはできない。

3 結語
以上によれば、被申立人による各行為に対し、申立人の救済には今後の人権侵害の防止につき適当な措置を採ることを勧告することが相当であるから、勧告の趣旨記載のとおり、勧告する。

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なお、会長の信念によって、全社員に配布されたヘイト文書の一部を抜き書きしておく。
多くは、「月刊WILL」「正論」「産経」「加瀬英明」「呉善花」「中山成彬」「櫻井よしこ」などの文章の転載である。

「韓国の国民性を痛烈にえぐっている。…嘘と無恥の国なのだ」
「では、なぜ韓国人は第三国でこれほど反日活動に走るのだろうか。それは韓国人の習性に由来している。韓国人同士がケンカする時は相手の言い分などに耳を貸さず、ひたすら自分の主張を大声で怒鳴り合う。さらに、周りの人々に訴えて自分の味方を増やそうとする。直接相手に堂々と挑むのではなく、第三者に訴えてねじ伏せようとするのが韓国流のケンカである。彼らは味方を増やすために『いかに自分の主張が正しいか』嘘八百を並べながら、身振り手振り、場合によっては号泣して周りに訴える
「『金王朝』を信奉する朝鮮学校出身者のせいか・・・息を吐くように嘘をつく反日サヨクの生き様そのもの」「自分たちの悪事を批判されるとすぐに『差別ニダ』!と大騒ぎする在日朝鮮族」
「韓国も中国も、日本人とは異なった国民性を持つ民族であると認識しなければなりません。私たちは親から『嘘をついてはいけません』と教育されます。しかし、中国や韓国は『騙される方が悪い』『嘘も100回言えば本当になる』と信じている国民です
「日本非難を共産党独裁の正当化につなげる無神論の中国と、日本たたきを民族プライドにつなげる情緒的な韓国からしか参拝糾弾が出てこない点注目すべきです」「『ワイロは国民性』日本とは逆に韓国・北朝鮮はワイロを当然とする民族性があります。ワイロを与えることによって見返りを得るという伝統です」「今の韓国も北朝鮮もワイロ無しでは社会が成り立たないほど、ワイロはまさしく国民性にまで、なっています」
「韓国人の思考の中に敵相手ならどんな非道をしても許されると勘違いしているところがありますよね、確かに野生動物がまさしくこれです。鳥類、ほ乳類、は虫類ではないが、恐に足りないものに対しての攻撃性は、見るに堪えがたいものがあります」
「韓国は未だ売春は犯罪という意識もなく普通に売春している」

中学校であれば『育鵬社』、高校で在れば『明成社』が良いということを・・
アンケート記入に行かれる方は、昨年同様、ボールペンで、記入し、フジ住宅の社章と拉致被害者救う会のバッジは外して行ってくださいネ・・・女性の方は私服で、行ってくださいネ。」「市長や教育長にお手紙を書かれたり、FAX、メールをされたり、また会いに行かれたり、あるいは教科書アンケートに行かれる場合は、勿論勤務時間中にしていただいて結構です。」「市長や教育長の方にお手紙やメール、FAXをされました方は、私(会長)・・(に)ご報告してくだされば、ありがたく思います。」「一般的に(各市)2~3名で十分かナアと思います。あまり多くの方がお手紙を出すとかえってマイナスになると思いますので。」

(2019年9月28日)

DHCスラップ「反撃訴訟」判決言い渡しは、10月4日(金)13時15分。415号法廷で。

DHCスラップ「反撃訴訟」判決言い渡しが近づくこの時期に、昨日に続いてのスラップ訴訟のご紹介だが、本日は朗報。スラップを違法と断じた判決(一審)のお知らせ。これは、幸先がよい。

まずは、こんなスラップの提訴があった。
  裁判所  千葉地裁松戸支部(江尻禎裁判官)
  提訴日 2018年11月
  原 告 久保田学(N国所属の立川市議)
  被 告 ちだい氏(フリー・ジャーナリスト、本名石渡智大)
  請 求 名誉毀損慰謝料200万円

これに、被告が反訴を提起した。スラップの提起を不法行為としたもの。
  反訴提起日 2019年6月
  反訴原告 ちだい氏
  反訴被告 久保田学
  請  求 慰謝料とスラップ応訴費用等120万円

判決はこうなった
  裁判所  千葉地裁松戸支部(江尻禎裁判官)
  判決日 2019年9月19日
  本 訴 原告久保田から被告ちだいに対する請求は棄却
  反 訴 反訴原告ちだいから反訴被告久保田に対する請求は一部認容
  認容額 78万5600円(久保田がちだいに支払わねばならない金額)

200万円のスラップ提起に対して、スラップ被害者の慰謝料と応訴費用とで、78万円を認容したことの意義は大きい。スラップ提起への警鐘となり得る判決と評価してよい。

その概要を毎日がこう報道している。

 「NHKから国民を守る党(N国)」の東京都立川市議がフリーライターの男性を名誉毀損(きそん)で訴えた訴訟。千葉地裁松戸支部(江尻禎裁判官)は19日、N国の立花孝志党首が「裁判をして相手にダメージを与えるためにやったスラップ訴訟」と公言していたことなどを踏まえ、提訴は「著しく相当性を欠く」などとして市議に約78万円の支払いを命じた。」

 ちだいさんは昨年6月、立川市議選に立候補し、当選した久保田学氏について、「立川市に居住実態がほとんどない」とする記事を書き、久保田氏から「名誉毀損だ」などとして同11月に200万円の賠償請求訴訟を起こされた。久保田氏は今年5月に訴訟取り下げの意向を示したが、ちだいさんは同6月、「正当な表現活動を萎縮させる目的のもとになされたスラップ訴訟だ」などとして約120万円の賠償を求めて反訴した。

  千葉地裁松戸支部の判決は、久保田氏が東京都江戸川区平井のマンションで昨年3月に作成した動画で「平井を引き払って落ちたらどうすんの? 住む場所なくなっちゃうじゃん」などと発言していたことや、立花党首が今年5月作成の動画で「この裁判は、そもそも勝ってお金をもらいにいく裁判じゃなくて、いわゆるスラップ訴訟。裁判をして相手に経済的ダメージを与えるための裁判の事をスラップ訴訟というんですよ」などと発言したことを認定した。

 そのうえで、「原告は、被告が本件記述を真実と信じたことについて相当な理由があることを知りながら、あえて本訴を提起したもので、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものと認めざるをえない。よって、原告による本訴提起は、被告に対する不法行為を構成する」などと指摘。反訴したちだいさんの訴えを一部認め、久保田氏に78万5600円の支払いを命じた。

ちだい氏コメント

 「批判できないというのは民主主義において致命的で、このままみんなが黙ってしまうと独裁国家に近づいていく。ファシズムの初めだと思っている。議員2人の政党だけでなく、たとえば与党がやり始めると、本当にみんな何もしゃべれなくなる。今回の判決は、民主主義を守るうえで大事な判決だったのではないか」

これに、専修大の内藤光博教授(憲法)による解説が続く。

 スラップ訴訟とは「政府、地方自治体、政党や大企業など、政治的・社会的・経済的に優位にある団体や集団、個人などが、反対意見や異議申し立てを行う市民、市民団体やジャーナリストなど力の弱い立場にある側を相手取り、言論活動を抑制することを目的に、名誉毀損訴訟など高額の賠償を請求する民事損害訴訟」をさす。恫喝訴訟とも言う。反対者や批判者、異議申立者の言論を封じることが目的なので、訴訟の勝敗は問題ではなく、敗訴しても、「訴えたこと」で目的が達成される。

 スラップ訴訟は、被告側に敗訴した場合の損害賠償や裁判にかかる高額の費用、時間的拘束などを恐れさせ、反対意見や異議申し立てなどの言論活動を思いとどまらせる「萎縮効果」を与え、訴えられた被告だけでなく、被告以外の市民やジャーナリストなどの言論活動にも大きな萎縮効果を与える。

 この判決は、一見特殊な事情があってのもののように見える。「立花党首が今年5月作成の動画で『この裁判は、そもそも勝ってお金をもらいにいく裁判じゃなくて、いわゆるスラップ訴訟』と、言わば提訴権の濫用についての自白があったことからのスラップ断罪ではないののだろうか。

しかし、この立花の「スラップ自白動画」が作成され、被告(反訴原告)がこれを入手できたのは、偶然のなせる業と言わねばならない。おそらく多くのスラップ提訴の陰には、動画には撮られることのない「スラップ謀議」が行われている。普通なら、表に出てくることのないスラップの意図を間接証拠の積み上げで認定しなければならない。

私(澤藤)が被告にされたDHCスラップ訴訟でも、提訴の事前にDHCの社屋の一室で、スラップ謀議があったに違いない。しかし、そのような証明は不可能なのだ。事実経過を積み重ねて、「本件提訴は、著しく相当性を欠く」ものと認定しなければならない。

私に対するDHC・吉田嘉明の提訴が、自らの権利実現のためではなく、自らに対する批判の言論の萎縮を狙ってのものということについては,種々の間接事実の積み重ねで十分な立証ができている。

以下は弁護団長作成の記者レク資料の末尾の一文である。

本件(DHCスラップ訴訟)は、経済的強者が、その資金力にものを言わせ、勝訴の見込みなどはお構いなしに、批判する個人や団体を被告席に座らせ、一般公衆の批判言論に威嚇を加えたもので、スラップ訴訟の典型であり、恰好の題材である。吉田が裁判所の出頭命令に応じないという態度も、吉田らの裁判濫用の意図を端的に示している。

裁判所も、本件では、スラップ性の判断にあたり、これまでとは一線を画した訴訟指揮を採った。公共的言論の「不当な裁判から免れる権利」について、エポックとなる判決を期待したい。

(2019年9月26日)

「差別を差別と非難し、デマをデマと断じることはメディアの役目。」

またまたの典型的なスラップ訴訟のご紹介。ヘイトスピーチへの批判の新聞記事が名誉毀損とされ、地方紙の記者が訴えられた事例。いま、ヘイトとヘイト規制が熱くせめぎ合っている川崎での事件である。

まずは、神奈川新聞社会面の今日(9月25日)の記事で概要を把握いただきたい。

「差別報じた記事、名誉毀損と提訴」「本紙記者争う姿勢」

 在日コリアンに関する講演会での自身の発言を悪質なデマなどと報道され、名誉を毀損されたとして、今春の川崎市議選に立候補した佐久間吾一氏が神奈川新聞社の石橋学記者に140万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が24日、横浜地裁川崎支部(飯塚宏裁判長)であった。石橋記者側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 訴えによると、佐久間氏は自身が代表を務める団体が同市内で主催した2月の講演会で、「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡が築かれ今も闘いが続いている」と発言。この発言に対し、「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗中傷」と石橋記者に報じられたことで、立候補予定者である佐久間氏の名誉が著しく毀損されたと主張している。

 口頭弁論で、石橋記者側は「佐久間氏の発言は事実に反している」と指摘。「そうした発言は在日コリアンを敵とみなし、在日コリアンを傷つける差別の扇動である」とした上で、「記事は、佐久間氏の言動が人権侵害に当たるとの意見ないし論評の域を出ていない」と反論した。

原告(佐久閒)は、排外主義を掲げる日本第一党の活動家。ヘイトの常連といってよい。石橋記者は事後報告集会で「記事を書けば訴えられ、面倒に巻き込まれると萎縮効果を狙っているのは間違いない。メディアこそが先頭に立って差別をなくすべきだとの記事を書き続けていく。ヘイトの状況がこうなる以前にメディアとしての役割を果たしていなかったという思いもある」と今後の裁判に決意を表したという。

報じられている限りでだが、名誉毀損とされた表現は、以下のとおり。
原告(佐久閒)の「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡が築かれ今も闘いが続いている」との発言》に関しての、「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗中傷」との記事。

この事件、原告(佐久閒)側に100%勝ち目はない。勝ち目がなくても、相手に相応の嫌がらせにはなる。その効果を狙っての提訴がスラップ訴訟というものだ。石橋記者が、「記事を書けば訴えられ、面倒に巻き込まれると萎縮効果を狙っているのは間違いない。」と言っているとおり。

名誉毀損訴訟では、名誉毀損表現を構成する「事実摘示〉評(ないし意見表明」とを厳密に分ける。判例は、「事実摘示」の誤りには厳しいが、「論評」の自由の幅は、表現の自由の理念を意識して極めて広い。極端な人格攻撃をともなわない限り、論評の違法はないと考えてよい。

事実摘示の主要部分が真実で、記事に公共性・公益性が認められる限り、違法性はないものとされ、損害賠償請求は棄却される。

本件訴訟における「名誉毀損表現」の事実摘示は、《原告佐久閒が「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡が築かれ今も闘いが続いている」と発言したことである。被告石橋記者は、この発言がなされたという事実の真実性の挙証は要求される。しかし、それで十分でそれ以上は要求されない。

念のためだが、「旧日本鋼管の土地をコリア系が占領している」「共産革命の橋頭堡が築かれ今も闘いが続いている」との佐久閒の発言の真偽は、実は訴訟の本筋に無関係で、審理や判決に影響を及ぼさない。もちろん、石橋記者側に、これがデマであることの挙証責任の負担はない。

ところで、被告・石橋記者の代理人となっている神原元弁護士のツイートのボルテージが高い。こちらも紹介しておく。

【拡散希望】「佐久間吾一氏・『差別扇動』裁判」第一回期日のお知らせ
神奈川新聞記者石橋学さんは、市議候補者佐久間吾一氏の発言を扱った、記事『差別言動繰り返し』で訴えられました。

佐久間氏の発言は差別扇動か否か?世紀の裁判が始まる??
9月24日午前11時30分
横浜地裁川崎支部1号法廷

問題にされたのはこの記事。ヘイト団体の集会を「差別扇動」と批判し、佐久間吾一氏の発言を批判する内容だ。

佐久間氏は名誉毀損だと主張しているが、「佐久間氏の発言は川崎南部に集住する在日コリアンに対する差別扇動だ」というのか石橋さんの主張だ。

裁判所はどちらの主張に軍配をあげるか?

我々石橋さんの弁護団は、川崎におけるヘイトスピーチ被害の実態や佐久間氏の発言の悪質性を立証し、「悪意あるデマであり、差別扇動」という石橋記事の正当性を主張する。

この訴訟の勝利により、全国のヘイト団体は、川崎南部地域において差別扇動を決して許さない活動の力強さを、思い知るだろう。

いよいよ今日。
川崎におけるヘイトvs.反ヘイトの最後の決戦の火蓋が切られる。
ここが「主戦場」だ。

この裁判は、川崎におけるヘイトと反ヘイトの、いわば「主戦場」になるかもしれない。そして、川崎は全国における反ヘイトの「主戦場」である。

したがって、川崎におけるこの裁判の勝利の効果は全国に波及するかもしれない。そして、正義は我々にある。正義は勝つだろう。

石橋学記者も、こう発信している。
「差別を差別と非難し、デマをデマと断じることはメディアの役目。ヘイトを断罪する判決を勝ち取ります。」

その意気や良し、である。もちろん、メディアの役割を「客観的なできごとの伝達」に限定する立場もあろう。しかし、今の権力主導のヘイトとデマの蔓延、そして権力忖度のメディアの状況を考えるとき、石橋記者のごとき心意気をたいへん貴重なものと思わざるを得ない。私も、DHCスラップ訴訟被害者の立場として協力・応援を惜しまない。

同じ神奈川新聞の記者の下記連帯の意思表示が心強い。まことにそのとおりだ。
「言論封じにつながりかねない今回の訴訟は、すべての記者が当事者と言えます。差別のない社会に向けて、差別に対して声を上げる言論を守らなくてはなりません。」
(2019年9月25日)

宮古島市の市議会議員に申しあげる。うっかりスラップ提訴に賛成すると、その責任が問われますよ。

昨日(9月17日)の午後、沖縄の地方紙記者からの電話取材をうけた。住民訴訟を提起した市民6名を被告として、宮古島市が損害賠償請求訴訟を提起予定という件。これをスラップというべきか意見を聞きたい、という内容。

私が記者に話したのは、基本的には9月2日の下記ブログ記事のとおり。
おやめなさい ― 宮古島市・下地敏彦市長の市民に対するスラップ提訴
http://article9.jp/wordpress/?p=13268

あれやこれや、DHCスラップ訴訟の吉田嘉明との比較で話をしたが、記者が最も興味をもったのは、下記の点だった。

 「客観的に見て、市長がやろうとしていることは、市への批判に対する報復と萎縮を狙った民事訴訟として、典型的なスラップと言わざるを得ない。

 スラップの提訴は、民事訴訟制度本来の趣旨から逸脱した違法行為だ。だから、スラップ提訴の原告は、不法行為損害賠償の責任を負うことになる。当然に反訴あることを覚悟しなければならない。

 その場合、スラップ訴訟の原告となった宮古島市だけでなく、これを推進した下地市長個人も、提訴の提案に賛成の表決をした市議会議員も、共同不法行為者として責任を問われることになる公算が高い。

 憲法51条によって、国会議員はその表決について責任を問われることはないが、地方議員にこの免責特権はない。もちろん、合理的な根拠にもとづく限り、軽々に議員が表決の責任を問われるべきではないが、明らかな市民イジメのスラップでの賛成表決では事情が異なる。

 一連の経過から見て、現在議会に上程されている本件提訴案件は、一見明白なスラップであり、一見明白な違法提訴である。したがって、賛成の表決をした議員も有責となる可能性が限りなく高い。

 スラップの被告とされた住民側の弁護団は、必ず、市と市長だけでなく、賛成討論をした議員、賛成表決をした議員をも被告として、逆襲の訴訟を提起する。そうなると、市議会議員が被告席に座らされて、スラップの痛みを実感する側にまわることになる。

 だから、沖縄県内のメディアが、宮古島市議会議員に「市長の提案に賛成の表決に加わると、被告席に座らされ、個人責任を追及されることになる」という警告の記事を書くことの実践的意味は大きい。うっかり賛成しようとしている議員への親切ともなる。ぜひ、その旨を大きな記事にしていただきたい。

 取材の電話は2度あった。2度目の電話で要点を確認している最中に、記者が突然声をあげた。
「あれ、ちょっと待ってください。今緊急速報が入りました。市長は、議会への提訴案件を取り下げたそうです」

「おや、そうですか。それはよかった」ということとなったが、小一時間の電話での取材が無駄になった模様。

ただ、どうもこの撤回は確定的なものではないようだ。現地紙の報道は、下記のようなものとなっている。

「下地敏彦市長は17日、市議会9月定例会に提出した、市民6人を『名誉毀損』で訴える議案を撤回することを佐久本洋介議長宛てに文書で通知した。撤回の理由を『内容を精査する必要が生じたため』としている。再提案の可能性も含んでおり、野党側は市の動きを注視する考えだ。」(宮古毎日新聞)

「宮古島市議会(佐久本洋介議長)は18日の本議会で、宮古島市(下地敏彦市長)が市議会に提案していた不法投棄ごみ事業を巡る住民訴訟の原告市民6人を提訴する議案について、市側が申し出た議案の撤回を全会一致で承認した。
 下地市長は質疑で、撤回理由につて『(議案の中身を)きちんとする必要があるので、精査する』などと述べた。再提案については明言しなかった。」(琉球新報)

だから、再度申しあげる。市長さん、こんなみっともないスラップはおよしなさい。宮古島市と市民の恥となる。市長個人もスラップの責任を問われて損害賠償請求訴訟の被告となる。それだけではない。スラップの提訴に賛成した市議会議員諸君も、同様に表決の責任を問われて被告となる。誰にとっても、よいことはないのだから。
(2019年9月18日)

おやめなさい ― 宮古島市・下地敏彦市長の市民に対するスラップ提訴

世にブラック企業は数多あれども、スラップ企業の数は少ない。かつては武富士の悪名が高く、今はDHC・吉田嘉明がその汚名を欲しいままにしている。ブラックもスラップも企業の専売特許ではないが、自治体がブラック・スラップの汚名を着ることは実のところ珍しい。

DHCスラップ訴訟弁護団メーリングリストへの投稿で、沖縄県宮古島市が市民に対するスラップ訴訟を準備していることを知った。自治体が、DHC・吉田嘉明並みのスラップをやろうというのだ。まことに不名誉なこと、やめた方がよい。

宮古島市の下地敏彦市長は、自衛隊基地配備容認派として知られた人。生前の翁長知事が推す配備反対派を僅差で破って当選している。また、「オール沖縄」に対抗しての保守系市長連合「チーム沖縄」の会長を務めてもいる人。その人が、まるで吉田嘉明並みなのだ。

地元紙・宮古毎日新聞(8月29日付)が、「市が市民を提訴の動き/不法投棄ごみ撤去事業」との見出しで、以下のとおり報道している。予定の提訴は、6人の市民に対する名誉毀損損害賠償請求訴訟であり、請求金額は1100万円だという。首を傾げざるを得ない。

 最高裁で市民有志の訴えが棄却された不法投棄ごみ訴訟について、今度は市が原告だった市民6人を名誉毀損で訴える準備をしていることが28日までに分かった。市は同訴訟に向けた議案を9月3日開会予定の市議会9月定例会に提案する見通し。

 不法投棄ごみ裁判は、市が2014年度に行った不法投棄ごみ撤去事業で市に損害を与えたとして、市民らが同事業の予算額2251万円などを下地市長らに請求するよう市に求めた住民訴訟。

 一審の那覇地裁は住民側の請求を棄却。福岡高裁那覇支部は「極めてずさんな事務処理」としたものの、各支出命令などが法令に違反するとはいえないとして訴えを退け、最高裁でも住民側の訴えを棄却した。

 不法投棄ごみをめぐっては刑事訴訟もあり、当時の市の担当職員に有罪判決が言い渡されている。

 市が提案を予定している議案書には「違法な契約を締結したとか、違法な支出命令を行うことを阻止すべき指揮監督義務を怠ったなどと、訴訟手続きや新聞報道において虚偽の事実を繰り返し主張し続け、公然と虚偽の事実を摘示して宮古島市の名誉を毀損したものである」などと理由を説明し、損害賠償として1100万円の支払いを求めている。

 議案書にはまた「宮古島市は公法人であるが、公法人も社会的名誉を保有している」と訴えの提起の正当性を主張している。

 不法投棄ごみ裁判に関わった原告市民の一人は「裁判では市が実施したごみ撤去の方法の在り方をただしただけで、市を陥れるとか、自分たちの利益のためにしたわけではない」と強調。その上で「不法投棄ごみ問題を、もう一度市民に知らせる良い機会になる。市民を名誉毀損として提訴することは、市民から見れば市が逆に市民の名誉を傷付けることになるのではないか」と話した。

要領良くまとまった分かり易い記事。この記事で、市民の批判を謙虚に受けとめるべき立場の市長が、逆上して市民を攻撃している構図が鮮明である。

スラップは、厳密な法律用語ではなく、言わば法社会学的な語彙であるから、厳密な定義はなしがたい。厳密な定義はなしがたいものの、その核心は民事訴訟提起による威嚇によって、批判の言動を封殺しようという意図にある。典型的には、強者が弱者に対する高額損害賠償によって、被告を萎縮せしめ、被告の原告に対する批判の言論や行動を抑圧しようというものである。

まさしく、DHC・吉田嘉明の私に対する提訴がそのような典型であり、宮古島市・下地敏彦市長が行おうという提訴が、その同類である。実際に提訴に至れば、スラップ自治体として、DHC・吉田嘉明並みの批判を受けることを甘受せざるを得ない。

住民訴訟とは、納税者である市民が、自らの納税による自治体財政が正常に機能しているかの監視役となり、疑義あるときは地方公共団体の財務の適正を確保し、住民全体の利益を保護することを目的として、訴訟の提起ができるという制度である。提訴者は、個人的利益実現のために提訴するのではなく、市民の利益のために提訴するのだ。

住民訴訟の提起が仮に敗訴になったとしても、提訴自体が、当該自治体の財務会計上の行為や財産管理についての透明性や適法性の確保に役に立つものとなる。自治体やその首長が、これを敵視するようなことがあってはならない。

関連して思い出すことがある。2012年5月に、日民協が韓国憲法裁判所訪問団を組織して、私が団長となった。そのときの見学の話。

2008年の反BSE運動盛り上がりの中で、民弁(民主社会のための弁護士会)が、憲法裁判所への10万人提訴(正確には、「憲法訴願審判」の申立)運動に取り組んだ。民弁の呼び掛けに応じて原告となった市民の数は10万3000人になったという。原告目録作成だけで、たいへんな作業である。

この申立の費用は一切無料。原告に金銭的負担はかからない。「どうして無料なのでしょうか」という、私の愚問に、憲法裁判所の広報担当の裁判官は、こう回答した。

「原告になって提訴される市民がいればこそ、憲法裁判所が機能することができます。原告になる市民は、社会の中に憲法違反の事態がないかの監視役として、たいへん貴重な存在なのです。たとえ、棄却となる事件にもせよ、提訴は大歓迎で、原告から手数料を取って、金銭負担を強いることは考えられません」

翻って、住民訴訟の原告もまったく同様ではないか。自治体の支出や財産管理に違法がないかを監視している自覚的な市民は貴重な存在なのだ。ところが、宮古島市と下地市長にとってはそうではない。自治体の支出や財産管理に違法がないかを監視している自覚的な市民は、うるさくて邪魔な存在なのだ。

だから、これを恫喝し萎縮させて、市の財政の監視などするなというのだ。ちょうど、DHC・吉田嘉明が、私の批判の言論を不愉快として「黙れ」と恫喝してスラップを掛けて来たのと同じ構造である。怪しからぬことこの上ない。

明日(9月3日)から始まるという市議会で、議会の良識が下地市長をたしなめて、スラップ提訴の断念に追い込んでいただきたい。でなければ、宮古の恥になる。

なお、いうまでもなく民事訴訟の提起には費用を必要とする。これが、市の財政からの負担となる。敗訴必至のこの訴訟、訴訟費用の支出が、市民による監査請求から住民訴訟の対象となる。だから、提訴はやめるのが賢明ですぞ。下地さん。
(2019年9月2日)

デマとヘイトとスラップのDHCに、あらためて不買運動で制裁を。

DHCのヘイト体質が、韓国で話題になっている。
DHCとは、
 デマ
 ヘイト
 カンパニー
これに、スラップが加わって三拍子揃った、稀有な右翼体質企業。

そのDHCの子会社DHCテレビジョン(会長・吉田嘉明)が、8月14日ホームページに以下の声明(抜粋)を発表した。

韓国メディアによるDHC関連の報道について

 去る8月10日より数日間、韓国の放送局「JTBC」はじめ複数の韓国メディアによって、弊社製作の番組について、「嫌韓的」「歴史を歪曲している」などの批難報道が繰り返されている件、同時に、韓国内でDHC商品への不買運動が展開されている件につきまして、弊社の見解を申し上げます。

 弊社、株式会社DHCテレビジョンは、2015年、親会社である株式会社ディーエイチシーの提供を受け、「真相深入り! 虎ノ門ニュース」などのニュース解説・言論番組の配信を開始しました。
 この放送事業は、平和な民主主義国・日本における、いっそう自由な言論空間を具現すべく、従来のメディア等が「タブー」としてきた事柄含め、多角的にニュースを論じることを旨としております。当然のこととしまして、世界中の政治・経済、宗教など多岐にわたるトピックを扱う際、番組と出演者が、独自の見識、視点から、時折厳しく、内外の事象、人物へ批判を加える場面もあります。
 今般、韓国のメディアから弊社の番組内容に対し、「嫌韓的」「歴史を歪曲している」などの批難が寄せられていますが、弊社としましては、番組内のニュース解説の日韓関係に関する言説は、事実にもとづいたものや正当な批評であり、すべて自由な言論の範囲内と考えております。韓国のメディア各社におかれましては、弊社番組内容のどこがどう「嫌韓的」かどこがどう「歴史を歪曲」しているのかを、印象論ではなく、事実を示し具体的に指摘いただけましたら幸いです。
 一方、番組内容と無関係なDHC商品について、韓国の誠信女子大学の徐敬徳教授を中心に、「#さよならDHC」なる不買運動が展開されていることは大変遺憾に存じます。
 言うまでも有りませんが、韓国DHCが提供する商品やサービス、現地スタッフと、DHCテレビの番組内容とは直接何ら関係はありません。そうした常識を超えて、不買運動が展開されることは、「言論封殺」ではないかという恐れを禁じ得ません。
 しかしながら、DHCグループは今後も、健全なビジネス環境の土壌となる「自由で公正、多様性を尊ぶ」社会の維持・発展に寄与すべく、自由な言論の場づくりを有意義と考え続けます。
 その理念のもと、弊社DHCテレビジョンといたしましては、あらゆる圧力に屈することなく、自由な言論の空間をつくり守って参りたく存じます。

 この声明で、DHCに何が起こっているのか、DHCが何を恐れているのか、よくお分かりだろう。スラップ常習企業として知られるDHCが、自分の言論に対する攻撃には「言論封殺」と言って非難しているのが嗤うべき事態なのだ。

問題は、真相深入り! 虎ノ門ニュース」である。

リテラが、手際よく解説してくれている。これを引用させていただく。

発端は、韓国の放送局・JTBCのニュース番組が今月10日、「韓国で稼ぎ、自国では嫌韓放送…DHC“2つの顔”」と題し、DHC子会社のDHCテレビジョンが嫌韓放送をおこなっていると伝えたことだった。

 本サイトでは何度も取り上げてきたが、化粧品やサプリメントを主力商品とするDHCの吉田嘉明会長は、極右・歴史修正主義をがなりたてている企業経営者のひとり。2016年には「DHC会長メッセージ」のなかで在日コリアンにかんするデマを書き立てた上で〈似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう〉などとヘイトスピーチを堂々と掲載したこともある。

 さらにDHCは、子会社としてDHCテレビジョンを擁し、安倍応援団がこぞって出演する『ニュース女子』や『真相深入り!虎ノ門ニュース』などの番組を制作、ここでも韓国や沖縄などに対するヘイトデマを垂れ流している。

私も、これまでDHCや吉田嘉明の酷さは、繰り返し書いてきた。下記を参照されたい。
http://article9.jp/wordpress/?cat=12

DHCがいう「いっそう自由な言論空間を具現すべく、従来のメディア等が「タブー」としてきた事柄含め、多角的にニュースを論じることを旨としております。」とは、「良識を大胆にかなぐり捨て、メディアの世界の規範を大きく逸脱することを厭わず、通常のメディアではとても口にできないヘイトの言論を重ねることによって、野放図で無規律なネトウヨ言論空間を具現することを旨としている」ということなのだ。

ヘイトをウリにしておいて、攻撃されると「当社番組内容のどこがどう「嫌韓的」か、どこがどう「歴史を歪曲」しているのかを、印象論ではなく、事実を示し具体的に指摘いただけましたら幸いです」と開き直るのは見苦しい。

極端な嫌韓ヘイト体質のDHCが、韓国に支社を置いて業務を行っていることは知らなかった。なるほど、韓国で稼ぎ、自国では嫌韓放送…DHC“2つの顔”」なのだ。韓国での事業に差し支えが生じるのは必然である。二つの顔が両立するものと考える神経が理解し難い。当然に起こるであろう不買運動を止めることはできない。実力での業務妨害をともなわない限り、不買運動が違法になることはない。もちろん犯罪にもならない。

日本国内でも、DHCの不買運動提唱は以前からある。私も呼びかけている。が、その影響の有無や程度はよく分からない。この際に、再度日本の消費者に呼びかけたい。日韓の消費者が連携して、デマとヘイトとスラップのDHCに制裁を加えようではないか。

『表現の不自由展』再開署名の第2次集約のお願い

「あいちトリエンナーレ2019」『表現の不自由展・その後』企画展の再開を求める署名の第2次集約は、8月26日(月)到着分までです。未署名の方は、次のいずれかの方法でよろしくお願いします。

●ネット署名の場合
下記URLの署名欄に記入のうえ、「送信」をクリックください
よかったらメッセージもお願いします
→  http://bit.ly/2YGYeu9

●用紙署名・郵送の場合
署名用紙を http://bit.ly/2Ynhc9H からダウンロードし、下記へ郵送ください
→ 〒285-0858  千葉県佐倉市ユーカリが丘2-1-8  佐倉ユーカリが丘郵便局 局留
表現の自由を守る市民の会 醍醐 聰 宛

なお、第一次署名は6,691筆を、8月15日、大村秀章実行委員長(愛知県知事)と河村たかし実行委員会会長代行(名古屋市長)に提出しました。

(2019年8月19日)

圧倒する勢いの中で「反撃訴訟」結審。判決期日は10月4日(金)13時15分 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第159弾

 本日、DHCスラップ「反撃訴訟」が結審した。判決言い渡しは、10月4日(金)13時15分に、415号法廷で行われる。憲法の理念に沿った、後の歴史の検証に堪えうる判決が期待される。

本日の法廷では、反訴原告側代理人から10分余の最終準備書面の要約と、反訴被告最終準備書面内容への最小限の反論についての口頭陳述がなされた。これを下記に掲載しておきたい。
これまで、理論的にも訴訟の勢いにおいても、反訴原告側が圧倒してきた。本日は、そのダメ押しがなされたという雰囲気の中での結審。

閉廷後の報告集会は、穏やかな雰囲気だった。難しい類型の訴訟だが、これだけの立証があるのだから、勝訴飲み込みは十分という余裕。それぞれの確信に基づいて、こもごも語り合われた。
 「だいたい、本件は吉田嘉明自らの週刊誌手記が発端となったもの。渡辺喜美という政治家に8億円ものカネを渡したことを吉田嘉明自らが暴露したのではないか。これは、自分で言論の土俵を作り、これにに自ら乗ったということだ。当然に予想される批判には堂々と言論で応じるべきなのに、いきなりの訴訟はスラップでしかない」「しかも、吉田嘉明は『絶対に勝てると弁護士に聞かされた案件だけを選んで訴訟を提起した』というが、それは明らかにウソだ。絶対に勝てるのなら、まず仮処分をするのが常道。しかし、仮処分で勝つ見込みはまったくなかったから、批判のブログや記事を差し止める仮処分はしなかった。本訴を提起して、世の中を牽制し恫喝して、言論を萎縮させたのだ。」「本訴を提起しておいて、法務課の職員が、吉田嘉明批判のブログを潰しに回ったんだ。」「交替前の裁判長の勧告で、関連事件の訴訟記録が甲号証として出てきたことが大きい。あの総体を見れば、誰にだってDHC・吉田嘉明が提起した訴訟の異常性がよく分かる」「驚いたのは、代理人の弁護士が、『吉田嘉明の視野は凡人とは異なる高いところにあり、これまで同人の意見や指示が不合理だったことは一度もなく』と準備書面で書いてきたこと。弁護士の顔をまじまじと見てしまった。」「こんな弁護士もいるんだ。」などなど…。

傍聴者からも意見があった。この「デマとヘイトとスラップのDHC」を懲らしめるには、不買運動しかないと思うんですが、どこまでやってよいのでしょうかね。

国民は、有権者として選挙で社会を変えることもできますが、また、日々の消費生活における選択的消費行動によって、民主主義や人権を損なう企業に制裁を加えることによっても、よりよい社会を形作ることができます。そのような意味で、DHCの不買運動は、大いにやっていただきたいと思います。

 しかし、その手段は、飽くまでも言論によるものに限られます。実力で業務を妨害することは許されません。また、言論も虚偽を宣伝するようなことがあってはなりません。

 DHC・吉田嘉明については、彼ら自身がデマ・ヘイトを撒き散らし、スラップを濫発しているのですから、宣伝材料には事欠かないところです。是非、真実の言論を貫きながら、毅然たる不買運動の進展を期待します。

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小園恵介弁護士による反訴原告準備書面(5)の要約

 この最終準備書面は、最高裁判所1988(昭和63)年1月26日判決の判示に沿って、これまでに提出された証拠や、尋問の結果をふまえて、反訴原告の主張が正当であることを明確にするものです。

1.反訴被告らの主張する権利等が事実的、法律的根拠を欠くと容易に知りえたこと
公共の利害に関する事項についての論評について、その重要な前提事実が真実である場合には違法性がなく不法行為とならない、という「公正な論評の法理」は、確立した判例となっています。反訴被告らは、「公正な論評の法理」に沿って検討すれば、反訴被告らの主張する権利等が法律的根拠を欠くことを、容易に知ることができました。
これに対して反訴被告らは、弁護士と相談して「確実に勝てる」という回答を得たものについて提訴した、などと主張しています。しかし、弁護士が「確実に勝てる」などという助言をすることは通常考えられません。また、内海証人は、確実に勝てるという根拠について「名誉毀損の程度が著しいので」と述べましたが、名誉毀損の程度だけで不法行為が成立するものではなく、弁護士からそのような助言があったとも考えられません。反訴被告らの主張は信用することができません。

2.反訴被告らが被侵害権利の回復よりも言論封殺を目的としていたこと
(1) 当然に予想される批判を提訴対象としたこと
反訴被告吉田が公表した手記について、政治と金の問題を中心として広く批判や非難の声が上がることは当然に予想されるところであり、事実、内海証人も、手記の公表を受けて自主的に観察を始めた、と述べていました。
ところが、手記の公表から数日後には、反訴被告吉田は批判的言論に対して訴訟を提起するよう指示し、その後ごく短期間のうちに合計10件もの名誉毀損訴訟を提起するに至りました。しかも、提訴前に事前警告や仮処分申請もなされませんでした。

(2) 提訴の妥当性を慎重に検討した形跡がないこと
反訴被告らの主張によれば、反訴被告吉田が訴訟提起について検討するよう指示したのは、2014年(平成26年)4月4日のことでした。前件訴訟の提起は4月16日ですので、その間わずか12日しかありません。しかも、この日までに、反訴被告らは、合計5件の訴訟を提起していました。
内海証人によれば、提訴の検討のため弁護士事務所に行ったのは1回だけで、相談時間は2、3時間だったとのことでした。複数の、しかもそれぞれが数千万円以上という非常に高額な訴訟を提起するための打ち合わせ時間としては、異常な短さです。
実際、反訴被告らは、不法行為の成否を決める「公正な論評の法理」については、検討すらしていませんでした。
そのうえ、訴訟提起を指示したはずの反訴被告吉田は、検討に参加すらしていなかったといいます。
反訴被告らが、このような極めて不十分な検討だけで提訴に至ったのは、その目的が権利の回復ではなく、批判的な言論を封殺することにあったためにほかなりません。

(3) 異常な請求拡張がなされたこと
反訴被告らは、前件訴訟において、請求額を2000万円から3倍の6000万円にする請求拡張を行いました。
ところが、反訴被告らからは3倍増の具体的な根拠についての説明はなく、また、訴訟提起と同様に、「公正な論評の法理」に関する検討を行った事実もありませんでした。
具体的な根拠なしに、十分な検討をすることもなく請求を3倍に拡張したというのは、異常なことです。前件訴訟の提起では黙らなかった反訴原告にさらなる負担をかけることを目的とした請求拡張だったと考えられます。

(4) 上訴対象の選択基準が不自然であること
反訴被告らは、同時期に提起した10件の関連名誉毀損訴訟のうち、実質的には敗訴に等しいような2件の一部勝訴事件について、控訴をしませんでした。その理由について、反訴被告らは「一定の目的を達したから」と説明しています。
もし、侵害されたと主張していた権利の回復が目的だったのであれば、完全敗訴事件は控訴しておきながら実質敗訴事件について控訴しないという方針はなかったはずです。批判者を被告席に付かせれば、わずかな賠償金でも「一定の目的」を達したことになるのですから、反訴被告らの目的とは批判的言論を威嚇することにあったのだと考えられます。

(5) 反訴被告会社において反訴被告吉田の言葉が絶対視されていること
この裁判で反訴被告らは、反訴被告吉田の視野は凡人とは異なる高いところにあり、意見や支持が不合理であったということなど一度もない、と主張しています。
このような独善的な主張が、従業員だけでなく、代理人弁護士が作成した書面にまで記載されるというのは、率直に言って異様であり、反訴被告吉田の言葉が社内において絶対的であることを示しているといえます。
同様の現象は、反訴被告会社のホームページにヘイトスピーチというほかない会長メッセージを掲載していたことにも現れています。
反訴被告吉田の絶対的な権威が、訴訟提起を指示する言葉を否定不可能なものとし、そのために、まともな検討などなされる余地もないまま前件訴訟が提起された、というのが実態だったと思われます。

3.反訴被告らの訴訟追行態度について
スラップ訴訟は、勝訴よりも、提訴自体による威嚇を目的として提起されるものです。提訴によって威嚇目的は概ね達成され、判決の結果はそれほど気にする必要がないので、訴訟の追行は従業員や代理人弁護士に任せきりにしておけばよく、また、裁判所の呼出しにも応じる必要はありません。
反訴被告吉田は、裁判所からの呼出しにもかかわらず出頭しませんでした。反訴被告吉田の不出頭は、これにより民事訴訟法208条を適用して尋問事項に関する反訴原告の主張を真実と認めることができるものではありますが、それと同時に、反訴被告らに裁判のルールに従って裁判手続を行うつもりがないことを端的に示す事情だといえます。

4.反訴原告の損害について
経済的強者は、自由に高額な訴額を設定して、批判者の応訴負担を大きくすることにより、提訴による威嚇、弾圧の効果をより強めることができます。対して提訴を受けた批判者は、高額な提訴の前に萎縮せざるをえなくなります。
前件訴訟で6000万円という不当に高額な損害賠償を請求したのは、反訴被告らです。経済的強者である反訴被告らが自由に不当提訴を繰り返すことを許して良い理由はありません。反訴被告ら自身が設定した金額に対応する十分な弁護士費用を、損害賠償として認めるべきです。

5.結語
以上に述べたとおり、反訴被告らの前件訴訟等は、反訴被告吉田を批判した反訴原告に対する威嚇、言論の封殺を目的としたものでした。これは、経済力を背景に、裁判制度を自身の道具として利用する行為にほかなりません。このような裁判制度の濫用を許してはならないと考えます。反訴原告の請求を認容する正当な判決を下されるよう、期待しております。

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 光前幸一弁護団長の反訴被告らの主張への反論意見陳述

1 反訴被告吉田の尋問は「必要ない」と反訴原告が回答したとの主張について
必要ないと回答したのではなく、これ以上、出頭を求めても、出頭は期待できず、これ以上訴訟を遅延させることはできないとの判断から、弁論の終結を求めたのである。
反訴被告ら代理人が、裁判所の決定にしたがい、反訴被告吉田を説得して、裁判所に出頭させるということが、反訴原告の最も望むところである。

2 反訴原告は、最終書面(準備書面5)で、反訴被告らの違法提訴の背景には、自己の無謬性に対する信念」と、その裏返しとしての「他者の批判に対する狭量な姿勢」、そして、反訴被告会社における会長の暴走に歯止めがかからないガバナンスの欠如」を指摘したが、反訴被告らの最終書面を一読すると、その思いが新たになる。

反訴被告らは、随所で、名誉が棄損されれば裁判を起こすのは当然のことと述べているが、言論の自由に重きを置く社会においては、他者を批判し相手の名誉を棄損する結果となる言論の存在を前提に、公共的事項に関する他人批判はどこまで許されるかの議論が始まるのである。
他人から批判されることが当然に予想される内容の手記を週刊誌に掲載しながら、痛烈な批判を受けるや、即、提訴というのは、言論の自由を云々する前に、一般市民の感覚からも遊離しており、反訴被告らを敗訴させた関連事件の判決がそれぞれ指摘する重要な点である。
反訴被告は、提訴の判断にあたり「総務部長は、まず、一般市民感覚で総務部の知識のない部員にピックアップさせ、次に、法務課員がスクリーニングをかけ、最後に法律の専門家である顧問弁護士がスクリーニングをかけた」と主張しているが、スクリーニングの基準そのものに、信じがたい程の市民感覚からの乖離があった。

3 反訴被告は、一部でも絶対に勝てると判断した事件を提訴したと主張する一方で、裁判所さえ、事実の摘示と論評の区別については判断が分かれることがあり、その判断は容易でないと主張しているようである。
ところが、反訴被告は、最後になって、「一部でも勝てると思えば提訴した」とトーンダウンしているが、一部でも勝てると思えば、勝てない箇所もまとめて提訴し、高額の賠償を求めるというのも、典型的なスラップ訴訟である。
反訴原告も、事案ごとに、事実の摘示か論評かについて慎重な判断が必要なことを否定するものではないが、反訴原告のブログを慎重に検討すれば、それが論評であることは明確であったと主張しているのである。
反訴被告らが、この点をどのように精査、検討し、絶対に勝てると判断するに至ったのか全く不明であり、精査、検討した様子は窺えない。反訴被告らの書面から理解できるのは、有力な批判を提訴対象にしたということだけである。

4 反訴被告らは、関連訴訟でのI氏(ジャーナリスト)との和解を、提訴の正当性の根拠にしているが、この和解が、名誉回復措置としてはきわめて不完全で不自然な内容のもので、弁護過誤のおそれさえ抱かせるものであることは、既に、準備書面で詳細に述べたとおりである。この和解は、I氏が反訴被告らの不当提訴の恫喝に屈しただけのものに過ぎないし、反訴被告らがこのような和解に満足しているのだとすれば、反訴被告らが、真の権利回復を目的としてI氏を提訴したものではないことを裏付けている。

5 最後に、本件の最大の問題として、手続き選択の異常性を指摘する。
反訴被告らが、本件ブログでの批判による名誉侵害の早期回復を希望し、しかも、裁判で絶対に勝てると判断したのであれば、新人弁護士でも、当然、仮処分手続きで、ブログの差し止めを求めることとなる。本件では、関連訴訟10件について、1件も仮処分手続きが取られなかった。これは、早期の権利回復よりも、裁判提起を公開することでの威迫、宣伝効果を狙ったためとしか考え難いが、これは、一体、誰の意向なのであろうか。

6 以上の事実は、すべて、反訴被告吉田の無謬性の信念、これに盲従する社員、弁護士の姿勢が背景にあるとしか考えられない。気に入らない批判はすべて封じ込むという反訴被告吉田の指示、命令を受け、提訴することそれ自体の適否、勝訴の可能性について十分な検討しないまま、闇雲に、10件もの訴訟を提起したのである。反訴原告への訴訟は、この点が最も明瞭となる一件にすぎない。
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《DHCスラップ訴訟経過の概略》

☆スラップ提訴前史
2014年3月27日 吉田嘉明手記掲載の週刊新潮(4月3日号)発売
2014年3月31日 違法とされたブログ(1)
「DHC・渡辺喜美」事件の本質的批判
2014年4月2日 違法とされたブログ(2)
「DHC8億円事件」大旦那と幇間 蜜月と破綻
2014年4月8日 違法とされたブログ(3)
政治資金の動きはガラス張りでなければならない
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☆DHCスラップ訴訟の経過(原告 DHC・吉田嘉明、被告 澤藤)
2014年4月16日 提訴(当時 石栗正子裁判長)
5月16日 訴状送達(2000万円の損害賠償請求+謝罪要求)
7月13日 ブログに、「『DHCスラップ訴訟』を許さない」シリーズ開始
8月20日 705号法廷 実質第1回弁論期日。
8月29日 原告 請求の拡張(6000万円の請求に増額) 書面提出
新たに下記の2ブログ記事が名誉毀損だとされる。
7月13日の「第1弾」ー違法とされたブログ(4)
「いけません 口封じ目的の濫訴」
8月8日「第15弾」ー違法とされたブログ(5)
「政治とカネ」その監視と批判は主権者の任務
2015年7月 1日 第8回(実質第7回)弁論 結審(阪本勝裁判長)
2015年9月2日 請求棄却判決言い渡し 被告(澤藤)全面勝訴
12月24日 控訴審第1回口頭弁論 同日結審
2016年1月28日 控訴審控訴棄却判決言い渡し 被控訴人全面勝訴
2016年2月12日 DHC・吉田嘉明上告受理申立
2016年2月12日 最高裁DHC・吉田嘉明の上告受理申立不受理決定
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☆DHCスラップ「反撃」訴訟の経過
(本訴原告 DHC・吉田嘉明、本訴被告 澤藤
(反訴原告 澤藤、反訴被告 DHC・吉田嘉明)
2017年9月4日 DHC・吉田嘉明 澤藤を被告として
債務不存在確認請求訴訟を提起
東京地方裁判所民事1部に係属⇒裁判長 後藤健(41期)
2017年11月10日 反訴提起(損害賠償請求 660万円)
2018年10月5日 反訴原告 澤藤と吉田嘉明両名の本人尋問申し出
2018年10月26日 裁判長交代・前澤達朗(48期)人証採用持ち越し
2019年1月11日 人証採用決定(3名)
澤藤と吉田嘉明両本人と内海拓郎(DHC総務部長)
2019年4月19日 澤藤と内海拓郎尋問 吉田不出頭
2019年7月4日(本日) 結審
2019年10月4日 判決言い渡し(予定)
以上
(2019年7月4日)

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