澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「つなぐ会」が、明日への希望をつなごうとしている。

世は挙げての総選挙モード。アベ政権の疑惑隠し解散が目前である。あらためて、アベ晋三という人物の解散理由説明に接して、どうしてまたこんなオジさんにわが国の政権が預けられているのかと情けない。保守政治家のなかにも、これよりはマシなのが大勢いるだろうに。

メディアの話題は、もっぱら「リセットおばさん」の新党立ち上げ。こちらも保守でコテコテの改憲派だが、消費増税凍結と原発ゼロの政策を掲げるようだ。このクセ球が、いかにもポピュリストの匂い。それだけに、護憲派の票を蚕食しかねない不気味さ。

護憲派は、愚直に王道を行くしかない。全国の小選挙区で可能な限り、「市民と野党の統一候補作り」を進めることだ。与党候補との1対1の対決の構図を作ることが焦眉の急の課題。なにしろ、9月28日解散で、公示は10月10日の見通しである。候補者調整は可及的すみやかに実行されなくてはならない。遅くとも期限は10月10日まで。半月の勝負。つくづくと、党利党略解散の思惑が見えてくる。

「市民と野党をつなぐ会」が各地にできている。今、この市民運動に期待がかかる。
たとえば、「市民と野党をつなぐ会@東京」が、ずいぶん以前からホームページを立ち上げている。
https://tunagu2.jimdo.com/

なお、ツイッターは、
https://twitter.com/tsunagu_tokyo

「当会は、都内25の衆議院小選挙区のそれぞれで、「市民と野党の統一候補作り」を進める市民団体の横の連絡会です。」と趣旨を述べ、共闘についての「最近のニュース」を載せ、「政策協定例」や「各地の市民組織」「その動向」「資料」が掲載されている。

昨日(9月25日)付のニュースは以下のとおり。
「9/25、民進党の長妻昭 東京都連会長(党本部の選挙対策委員長も兼任)と面談し、早期の四野党による候補者調整と候補者発表を要請致しました。つなぐ会からの要請書に加え、預かってきた11区の「チェンジ国政!板橋の会」、2区の「みんなで未来を選ぶ@文京台東中央」からの要請書も手渡しました。」

9月23日には、「めぐせた 解散直前の決起集会」
いよいよ国会解散を前にして、めぐせたでは、9/23決起集会を開きました。東京5区、6区の民進党、共産党の候補者が、それぞれ力強い決意表明をしました。集会後半では、5区と6区に分かれて、今後の具体的行動計画について打ち合わせを行いました。
動画(6分半)https://youtu.be/ZfZefvFJp-E
*(各地の活動)「みんなで未来を選ぶ@文京台東中央」での政策作り
動画(7分)https://www.youtube.com/watch?v=4EHcs6b-JzQ&feature=youtu.be

9月21日は、「しぶなか市民連合、7区の民進党・共産党に申入れ」
突然の解散総選挙、しぶなか市民連合は野党共闘の実現に向けて、行動をスタートさせています9月21日、私たちの選挙区である東京7区の民進党・共産党の選対担当者にお目にかかり、「野党統一候補実現のための申し入れ書」をお渡ししてまいりました。
民進党は長妻昭衆院議員の秘書のかた、共産党は渋谷区委員会の選対委員長にお受け取りいただきました。この申し入れを皮切りに、衆院選を安倍政権にストップをかけるチャンスと捉え、市民が望んできたかたちで野党共闘が果たされるよう、私たちも持てる力を尽くします!

9月21日付で、「解散に向け、早期の候補者決定を求める要請書」の記事もある。
当然のことだが、候補者調整は容易なことではない。
「(1)冒頭解散目前にもかかわらず、民進党は共闘に関して足踏み状態です。他方、共産党は一方的に降ろすことはしないとして、相互推薦・相互支援を求めています。このままでは、安倍政権は倒せません。地域で市民と野党の共闘を創り、下から状況を変える運動をしてきた当会の真価が発揮される時です。9/21のつなぐ会緊急拡大運営委員会では、幾つかの地域からの実践報告がされた後、4野党への要請書の文案を後述のように決めました。
方針提案の動画(9分半)  https://youtu.be/XeSOQ1DfEQ8
(2)特に意見交換があったのは、候補者擁立を見送る党への敬意の表し方でした。候補者擁立を見送ることは、降りるご本人の葛藤はもちろんのこと、政見放送の回数減、宣伝カーの台数減等で比例票において不利益を生ずる深刻な問題が政党側にあります。だから今まで衆議院選で野党一本化はありませんでした。その不利益に対する思い遣りも、代替案も無く、一方的に候補者を降ろせという話は政党間でも、市民からでも通らないと思います。しかしながら、こうした問題に対して、市民は事情に疎いため、地域組織でほとんど討論されてきませんでした。そこで、連絡会としては、下記4番の表現とし、その貢献を広く知らせることとしました。
(3)「一本化」という単語は、様々なケースを含みます。「共同候補、相互推薦、相互支援」が望ましく、最低限、地域の市民組織を介した政策協定の合意によるブリッジ共闘は必要と考えられます。しかし、1項の政策協定の合意もなく、単なる野党の棲み分けとなった場合、それを2項にある応援の対象とするかどうかは、その地域の市民組織と個人が判断することになります。

——————-要請書————————-
四野党 様
「野党候補一本化の要望と、第一次発表候補者リストの提案」 2017/9/21「市民と野党をつなぐ会@東京」

1.安保法制廃止等の政策協定の合意を前提に、早急に候補者の一本化を求めます。特に現職については最優先で発表して頂きたい。(第一次発表候補者リストの提案参照)
2.四野党で一本化された候補者を「市民と野党をつなぐ会@東京」は全力で応援します。
3. 四野党から複数立候補の小選挙区に関して、当会としては応援しません。

4.大義のために候補者擁立を見送られた党の英断に対して、当会は敬意を表し、その貢献が選挙全般において正当に評価されるように広く呼びかけます。当会のHP、SNSに掲載し、広く知って頂くようにします。
(注)「市民と野党をつなぐ会@東京」は地域組織の連絡会なので、実際に判断をするのは各地域組織と個人です。個人がそれぞれの判断で行動することは当然のことです。当会として、一本化候補の地区への応援集中を呼び掛けはしても、複数立候補の地区への応援を呼び掛けることはないということです。
——————————
第一次発表候補者リストの提案
(四野党現職の小選挙区候補者で、政策協定が結べると見込まれる候補者)
【前回、小選挙区で当選している議員】
7区 長妻昭(民進党)、15区 柿沢未途(民進党)
【前回、比例復活で当選している議員】(もし今回小選挙区で当選できれば、他の人が比例議員となれるので、民進党が2議席、共産党が2議席純増となる)
6区 落合貴之(民進党)、16区 初鹿明博(民進党)、12区 池内沙織(共産党)、20区 宮本徹(共産党)
(注)18区の菅さんは新党結成に言及されており、当会としては四野党のご判断に立ち入らない立場から、第一次リストには記載していません

長妻さんからは「四野党で協議を進めている」「市民からこのような後押しがあることは、大変ありがたい」とのお話しがありました。」

各地の市民組織の名称は以下のとおり。
《東京》
第1区 東京1区市民連合(仮称)準備会
第2区 みんなで未来を選ぶ@文京台東中央(略称ぶたちゅう)
第4区 戦争法廃止オール大田実行委員会
第6区 市民連合 めぐろ・せたがや(略称めぐせた)
第7区 選挙で変える!しぶや・なかの市民連合(通称しぶなか市民連合) 
第8区 自由と平和のために行動する議員と市民の会@杉並  
第9区 練馬・みんなで選挙(略称ねりせん)  
第10区 TeNネットワーク
第11区 チェンジ国政!板橋の会 
第12区 みんなで選挙@東京12区準備会
第13区 市民と政治をつなごう!市民連合あだち 
第15区 江東市民連合(2017/10/1発足予定)
第16区 市民連合えどがわ(仮称)準備会
第18区 選挙で変えよう!こがねい市民連合
    選挙で変えよう!ふちゅう市民連合   
    統一候補を実現する武蔵野の会
    みんなで選挙東京18区 (ミナセン18区) 
第19区 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合@国分寺(略称・市民連合@国分寺)
第20区 選挙で変えよう東久留米市民連合
    選挙でかえよう20区市民の会(仮称)準備中
第21区 アベ政治を許さない日野市民連合
    UNITE!ひの 
第22区 東京22区市民連合(仮称)2017/11/18立上げ予定
第23区 市民連合東京23(仮)
    まちだ市民連合 2017/10/7発足予定
    市民連合・多摩 2017/10/7発足予定
第25区 あにすんだ勝手連東京25区
    選挙で変えよう!市民連合あきる野
    選挙で変えよう!市民連合@昭島 2017/9/26発足予定

なお、「つなぐ会@東京」のツィッター版に、次の記事が掲載されている。
https://twitter.com/tsunagu_tokyo/status/909793939992936448

次期衆院選で【野党共闘】が実現すると、
60選挙区で与野党の勝敗が逆転
ほぼ拮抗も合わせるとなんと93選挙区で接戦
(2014衆院選結果をベースに試算)

「つなぐ会」とは、「市民と野党をつなぎ、各野党をつなぐ会」の意だが、つなぐことで希望が見えてくる。改憲を阻止して立憲主義を堅持する。そして議会制民主主義と平和を確かなものにする明日への希望である。全国各地の「つなぐ会」は、明日への希望をつなぐ会でもある。
(2017年9月26日)

熊本の野党間選挙協力の動向に注目

総選挙が近い。きたる選挙ではアベ政権の凋落を見たい。できることなら、その断末魔を見届けたい。
護憲派議席拡大という朗報を聞きたい。かつてのごとく、議会の中に「堅固な3分の1の壁」の再構築を期待したい。

そのためには、まずは選挙共闘である。現行の小選挙区制を前提とせざるを得ない以上、護憲派が選挙に勝つためには、共闘による候補者調整が必要である。これが難儀だ。実に難しい。難しいけれども、これを乗り越えずして護憲派の勝利はなく、日本国憲法典の安定もない。

私の地元でも、市民による候補者一本化の議論が急速に盛りあがっているが、さて何を共闘の共通課題とするか、一致点をどこに定めるべきか。けっして容易ではない。市民が真剣に容易でない討議を重ねていることに、民主主義の原型を見る思いである。

選挙に限らず、共闘のハードルを上げて高い理念の運動を起こせば、見解を同じくする人々の間の共闘となって、鋭い問題提起と迅速な行動のできる運動が可能であろうが、共闘の幅は狭まる。パワーの不足は否めない。

さりとて、共闘の幅を広げてパワーを追及すれば、理念が薄められ、いったい何のための共闘か、わけの分からいものとなってしまう。

アンチ・アベ政権だけでの選挙共闘もありなのかも知れないが、護憲派が維新や小池新党などと組んでの「共闘」はあり得ない。それこそ、何のための共闘かが問われることになろう。

一方、護憲派の選挙共闘というときに、民進党抜きの共闘はなかろうが、どのように民進党に護憲の姿勢確保を求めるか、なかなか難しそうではなかろうか。

などと考え込んでいるところに、熊本での野党共闘のニュースが飛びこんできた。
熊本日日新聞が昨日報道した、「熊本全区、野党共闘」「次期衆院選で民進、共産の県組織が方針」という朗報。
https://this.kiji.is/284127793541039201?c=92619697908483575

朝日は、「野党、地方で共闘」「熊本の3選挙区 民・共、擁立調整」との見出し。

各紙の報道を総合すれば、次期衆院選に向けて民進党県連と共産党県委員会など野党間の選挙協力協議が進展し、熊本1~4区で候補を事実上一本化する方針を決めた。中央で野党共闘の協議が進まない中、地方組織の方針が先行した格好だ。確定すれば全国で初めて民進、共産に社民を加えた3党の野党共闘の環境が整い、県内の全4選挙区で自民党現職と対決することになる。

まだ確定ではないが、全4区のうち、1区と4区は民進党、2区は社民党、3区は共産党で一本化の予定だという。

民進党県連の代表は、「野党候補を一本化し、与党対野党の構図をつくることが重要だと判断した」と強調。党本部が今後、共闘方針を決めなくても「県独自に共闘を進める方針は変わらない」とした。

民進党の地方と中央では、共闘に関する温度差が大きいようだ。民進党県連代表は候補者の擁立取り下げについて「野党候補がバラバラのまま戦っても厳しい結果になる。野党候補者は1人が望ましい」と説明。共産党県委員会委員長は「安倍政権を倒すためには市民と野党の共闘しか道はない。全選挙区で共闘したい」と話したという。

熊本は民進県連の選挙共闘への積極姿勢が際立っている印象だが、全国で市民運動グループが政党間の接着剤になろうと懸命の努力を続けている。まずは熊本に注目したい。そして、それを弾みにした、全国の選挙共闘の実現を願う。

それなくしては、アベ政権の断末魔はおろか凋落をすら見ることができない。そして、そのことが同時に日本国憲法の命運に直接関わってくるのだから。
(2017年9月24日)

今回仙台市長選は野党の選挙共闘モデルだ。

「自民惨敗の都議選」(7月2日)に続く大型地方選挙として、民意の動向を占う機会と注目されていた仙台市長選。昨日(7月23日)投開票の結果、郡和子候補の勝利となった。同候補は、民・共・社・由の4野党共闘候補。「市民と野党」の共闘が結実したことになる。安倍内閣の支持率が急落するさなかでのこの結果、政権への影響は不可避である。それだけではなく、今後の野党共闘選挙のモデルとして大きな意義がある。

都議選は、部分的な野党共闘はあったものの基本は各政党の選挙戦。特殊な事情として、都民ファーストの会という本来保守でありながらヌエのごとき政治勢力の存在があった。反自民票の主たる受け皿の地位は、この政治勢力にさらわれた。しかも都議選では、「都ファ+公明」の選挙協力が成立し、自民は公明に離反されて孤立してもいた。

それと比較して仙台市長選は、与党勢力対野党勢力が四つに組んでの総力戦となった。「自・公の与党」対「民・共・社・由の野党」の闘い。極めて普遍性の高い選挙状況。いずれ迎える「天下分け目の」次の総選挙の小選挙区共闘のモデルケースである。地元紙「河北新報」の出口調査が、「無党派層の投票先は、自公候補28.1%、野党共闘候補45.2%」となっているのが象徴的である。野党共闘陣営が、無党派票(≒浮動票)獲得に成功し、ここで勝敗が決まった。票差は、16万5000票対14万9000票である。

河北新報の以下の記事も紹介しておきたい。
「(敗れた)菅原さんは自民、公明の政権与党に加え、盟友の村井氏(宮城県知事)、奥山氏(前仙台市長)が支える盤石の態勢だった。『だからこそ負けるわけにはいかない』と訴えたが、知名度不足を最後まで覆せなかった。
告示直前の都議選で自民が大敗し、学校法人「加計学園」問題などで安倍政権の支持率が下落する中での選挙戦。『国政どうこうという話は私の頭の中には全くない』と述べたが、支援した市議は『アゲンストの風が吹いた』と悔やんだ。」

けっして、野党が勝って当たり前の選挙ではなかった。
与党側候補には、自民公明の政権与党が付き、宮城県知事も前市長も推しているのだ。負けるはずのない「盤石の態勢」と言ってもよい。それでも投票率が上がり、野党共闘に票が流れた。『アゲンストの風が吹いた』のだ。

河北新報は次のようにも伝えている。
「村井氏(知事)との近さを前面に出したことで、他候補から『お友達政治は許されない』『市は県の支店ではない』との批判も招いた。落選が確実となり、事務所では吹っ切れた表情で敗戦の弁を述べ、支持者らに頭を下げた。村井氏と奥山氏は姿を見せなかった。」

こんな風にはならないだろうか。
「首相との近さを前面に出したことで、国民から『お友達政治は許されない』『行政は総理のご意向や忖度で動くべきではない』との批判も招いた。文科省の設置不認可が確実となり、愛媛県も今治市も、吹っ切れた表情で敗戦の弁を述べ、地元民に頭を下げた。しかし、加計学園も安倍晋三首相も姿を見せなかった。」

これも、河北新報記事。
「郡氏は民進、社民両党の宮城県連が支持し、共産党県委員会と自由党が支援。衆院議員を四期務めた知名度を生かし、幅広く支持を集めた。自民党県連と公明党県本部、日本のこころが支持した菅原氏は、政権への逆風の余波を避けようと党幹部らの応援を控え、地元市議や県議が組織戦を展開したが、及ばなかった。」

全体状況と経過が簡潔にまとめられている。弱小ながらも極右の「日本のこころ」が、与党勢力にくっついていることにも触れられている。与党や自民が何者であるかを考えるうえで貴重な役割を果たしている。

ところで、衆議院議員総選挙宮城県第1区の最近の総選挙開票結果を確認しておこう。

2014年第47回衆議院議員総選挙
土井 亨 56 自・公 前 93,345票 46.8%
郡和 子 57 民主党 前 81,113票 40.6%
松井秀明 46 共産党 新 25,063票 12.6%

2012年第46回衆議院議員総選挙
土井 亨 54 自民党 元 87,482票 39.2%
郡 和子 55 民主党 前 60,916票 27.3%
林 宙紀 35 み・維 新 38,316票 17.2%
角野達也 53 共産党 新 13,454票  6.0%
桑島崇史 33 社民党 新  6,547票  2.9%

宮城1区に限らない。共闘ができずに野党乱立すれば、確実に共倒れ。野党共闘ができれば、今回市長選のように十分な勝機がある。ということは、野党共闘ができずに乱立すれば確実に改憲発議を許してしまう。野党共闘ができれば、今回市長選のように改憲を阻止する勝機があるのだ。
(2017年7月24日)

新潟知事選に市民と野党の共闘候補当選ーこれこそ新しい局面の幕開け

本日(10月16日)の21時04分、朝日新聞デジタルが、「号外」を出した。「新潟県知事選で、医師で野党系候補の米山隆一氏(47)の当選が確実になった」という。おっ、なんと見事な。欣快の至り。

勝負にならない⇒背中が見える⇒急追⇒接戦⇒大接戦⇒横一線 との変遷が報じられてはいた。
「県民世論は原発再稼働反対なのだから、この世論を票に取り込めば勝てる」「TPP問題も今や大きな追い風」とも聞かされてはきた。
それでも、相手は「自民・公明」+「経済界・電力業界・連合」である。なかなかに勝てそうな気はしない。またまた、善戦むなしく…となるのではないか。本当に「当確」なのだろうか。糠喜びではなかろうか。
 
そして21時10分に続報。「新潟県知事選は16日投票され、無所属新顔で医師の米山隆一氏(49)=共・社・由推薦=が、同県・前長岡市長の森民夫氏(67)=自・公推薦=ら無所属新顔3氏を破り、当選が確実になった」。これで、まずは間違いなかろう。

米山当選の意義は、大きくは二つ。まずは、原発再稼働否定の民意が確認されたこと。これはとてつもなく重く大きい。

世界最大規模のプラント・柏崎刈羽原発を地元に抱え、事実上その再稼働の可否を問う選挙である。「原発再稼働問題の今後を左右する天王山」「最も重要な自治体選挙」と位置づけられたこの選挙に示された民意の重さは格別である。川内原発の停止を求めている三反園訓鹿児島県知事との連携を期待したい。

そしてもう一つは、野党共闘の拡大・強化への弾みである。「市民」と野党の共闘候補が勝利した意味は大きい。野党共闘は「共産・社民・自由」の3党推薦で、民進自主投票となったが、蓮舫代表までが応援にはいった。変則ではあったが、実態としては4野党共闘に限りなく近い。また、無党派市民の応援活動も大きいと報じられていた。

解散・総選挙が近いと噂されるこの時期である。「1議席を争う選挙では、野党共闘なくして勝利はない」「1議席を争う選挙でも、野党の共闘あれば現実に勝利が可能だ」という今回選挙での実例が示した成果のインパクトが大きい。

自・公勢力が各議院で議席の多数を占めているのは、小選挙区が生み出す死票のマジックによるもの。これまで野党は、分断され、各個撃破されてきたのだ。アベ政治とは、そのような上げ底議席に支えられてのことなのである。

新しい時代、新しい局面の幕開けを予感させる。
原発再稼働・TPPなどを経済の柱に据えようというアベ政権である。自公推薦候補の敗北は、現政権の終わりの始まりという予感がする。
(2016年10月16日)

「本郷・湯島九条の会」からの街頭での訴え

本郷三丁目交差点をご通行中の皆さま、ご近所の皆さま。こちらは地元「本郷・湯島九条の会」の定例の訴えです。しばらくお耳を貸してください。

私たちは、憲法を守ろう、憲法を大切しよう、とりわけ平和を守ろう。絶対に戦争を繰り返してはならない。安倍政権の危険な暴走を食い止めなければならない。そういう思いから、訴えを続けています。

一昨年(2014年)の7月に、安倍内閣はそれまで、集団的自衛権行使は違憲としていた憲法解釈を大きく変えて、一定の制約は設けながらも、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定をしました。戦後保守政治が自制してきた一線を越える歴史的暴挙と言わなければなりません。内閣法制局長官の首をすげ替えることまでしての荒療治でした。

そして、多くの国民の反対の声を押し切って、昨年(2015年)9月19日、集団的自衛権行使容認を内容とする戦争法を成立させました。これで、自衛隊は、自衛のための実力という域を超えて、他国の要請によって海外で戦争のできる戦力に変質を遂げています。

「安倍内閣は憲法に縛られない」「不都合な憲法条文は、内閣の方で解釈を変えてしまえ」という傲慢な安倍内閣の姿勢が、大きな批判の的になりました。立憲主義を理解せず、憲法をないがしろにする非立憲内閣、ビリケン内閣ではないか、という批判です。

「憲法9条は非軍事の平和主義を定めている」というオーソドックスな憲法理解をする革新勢力だけでなく、「自衛の場合には軍事的な手段も容認される」という専守防衛論の保守派も一緒になって、安倍内閣の危険な暴走に歯止めをかけようとしたのです。

そのため、安倍政権は戦争法を成立させはしましたが、大きな抵抗に遭って、必ずしも思うがままの立法や運用ができる状況ではありません。政権も、あらためて憲法9条の歯止めの効果を認識せざるを得なくなったのです。安倍内閣は、今や解釈改憲の限界を認識して、明文改憲を実行しなければならない。そのように考えています。

安倍内閣の目指すところは、9条改憲です。2012年の自民党改憲草案のとおりに、9条を改正して堂々の国防軍をもちたいのです。しかし、国民世論が憲法の改正を望んでいないことは明らかです。とりわけ、国民の中には、平和を大切にし憲法9条を変えてはならないという強い願いがあります。だから、安倍内閣も容易に改憲には踏み切れません。

そこで安倍内閣は何をたくらんでいるか。改憲策動を隠しながら、国会内で圧倒的な改憲派の議席を掠めとること、これが安倍政権の基本方針です。

選挙の度に、「改憲は争点ではない」、「今回選挙はアベノミクス選挙だ」などといいながら、選挙が終われば「改憲派が各院の3分の2を占めるに至った」「これが主権者国民の意思だ」と言っているのです。これを繰り返せば、圧倒的多数の改憲派議席を獲得することができる。そうすれば、強引にでも憲法改正の発議ができる。あたかも、改憲が民意だと強弁することさえ不可能ではない。

ですから、今、憲法の命運にとって死活的に大切なのは、3分の1の改憲反対派の議席を確保し守り抜くことです。その貴重な議席を積み上げる国政選挙での勝利が日本の明日の平和を守り抜くことになります。

選挙に勝つには、改憲反対勢力の共闘しかありません。とりわけ、衆議院議員総選挙で295の議席を占める小選挙区選挙での野党共闘の成否が重要です。憲法を守ろう、立憲主義を守ろう、戦争法を廃止しよう、という野党勢力と市民の連携で、改憲・壊憲・非立憲の安倍政権を支える与党に勝たなければなりません。各野党個別の闘いでは個別撃破されてしまうことは灯を見るより明らかです。

本日、その大切な選挙が始まりました。お隣豊島区と練馬区からなる衆院東京10区の補選が告示され、鈴木庸介候補が立候補の届け出をしました。この人、「期待の大型新人」と言われています。何しろ身長190cmの大型。民進党の公認ではありますが、共産・生活・社民の3党が推す、野党共同候補でもあります。10月23日の投開票の結果が注目されます。同時に行われる、福岡6区も同様。改憲派陣営は割れ、改憲阻止派が統一候補を擁立している図式です。

鈴木候補は、こう言っています。
「政治の道を志したきっかけは、内戦が終わった直後に訪れたルワンダ国内で見た無数の頭がい骨。私のこぶしぐらいの子どもの頭を見た時、『この子はどんな恐しい思いを、悲しい思いをしたんだろう』と思うと慟哭を抑えることができなかった」「本当に戦争の恐ろしさ知る人間になりたいとの思いから、アフガニスタン、ボスニア、パレスチナを回った」「今、日本の立憲主義は脅かされている。憲法を軽んじる政治家によって、われわれ日本が積み重ねてきた政治・平和が危機に陥っている」「決してこの国を戦争の惨禍に巻き込んではいけない。私たちのちょっとした選択が、一歩間違えれば戦争になってしまう」
この志を貫いてほしいものと思います。

今や、基本的な政治状況は改憲の是非をめぐる対立構造となっています。安倍政治が投げ捨てた立憲主義の政治を取り戻すことができるか否か。憲法を大切にし、政治も行政も憲法に従って行うという当たり前の大原則を、きちんと政権に守らせる勢力の議席を増やすことができるか。それとも、憲法をないがしろにして、あわよくば明文改憲を実現したいという勢力の議席を増やしてしまうか。

一方に憲法を護ろうという野党4党と市民運動のグループがあり、もう一方に改憲を掲げるアベ自民党とこれに擦り寄る公明・維新のグループがあります。この「立憲4党+市民」と「壊憲派」の憲法をめぐる争い。おそらくは、この構図がこれからしばらく続くものと思います。

今、このように憲法がないがしろにされているこのときにこそ、全力を上げて憲法を守れ、立憲主義を守れ、憲法の内実である、平和と人権と民主主義を守れ、と一層大きく声を上げなければならない事態ではないでしょうか。

本当に、今、声を上げなければ大変なことになりかねません。でも、声を上げれば、もう少しで国会の議席配分を逆転することも可能なのです。このことを訴えて、宣伝活動を終わります。ご静聴ありがとうございました。
(2016年10月11日)

『法と民主主義』8・9月号「市民と野党の共同」のお薦め

日本民主法律家協会機関誌・『法と民主主義』は年10回刊。2・3月と、8・9月が合併号となる。今月発刊の8・9月号(通算511号)は、「市民と野党の共同」を特集している。7月の参院選を振り返って、全国各地の状況をこれだけ並べて読めるのは、当誌ならではの充実した企画。

「3分の2の壊憲派議席を許した護憲勢力敗北の参院選」との一面的な総括ではなく、「市民の共同と広がりが野党を動かし共闘を実現させ、さらには市民と野党の共同の選挙をもつくり出した」「全国32の一人区すべてで統一候補が立候補し、11人の当選者を生み出した」「原発と米軍基地による被害に苦しむ福島と沖縄では現職大臣が落選し統一候補が当選」「当選しなかった選挙区でも4野党の比例票を大幅に超える得票を獲得し、市民と野党の共同が生まれ成長しているという希望を生み出した」という視点からの「希望の総括」。次の総選挙・小選挙区での選挙共闘を展望してのものである。

ご案内は下記URL。
  http://www.jdla.jp/houmin/index.html
ご注文は下記から。
  http://www.jdla.jp/kankou/itiran.html#houmin

目次をご紹介しておきたい。
広渡清吾、佐藤学のビッグネーム論稿だけでなく、「市民が主役、津軽の『リンゴ革命』…大竹進(整形外科医)」など各地の具体的な状況がビビドで読み応えがある。
個人的には、編集長のインタビュー記事「あなたとランチを〈№19〉…ランチメイト・渡辺厚子先生×佐藤むつみ」をお読みいただきたい。渡辺厚子さんは、「東京・君が代裁判」の原告のお一人。

そして巻末の「ひろば」(日民協執行部の回りもちコラム)を今月号は、私が担当して執筆した。象徴天皇制へのコメントである。もちろん、日民協の公式見解ではなく、私の見解。憲法的視点からの象徴天皇(制)批判として目をお通しいただきたい。

特集★市民と野党の共同
◆特集にあたって……編集委員会・南 典男
◆安倍政権ヘのオルタナティブを──個人の尊厳を擁護する政治の実現を目指す……広渡清吾
◆市民が創出した新しい政治──「市民連合」の挑戦──……佐藤 学
◆東京都知事選挙における「市民と野党の共同」……南 典男
●共闘はこう闘われた──全国の状況
◆市民が主役、津軽の「リンゴ革命」……大竹 進
◆弁護士グループ勝手連で応援……新里宏二
◆市民の後押しで実現した山形の野党共闘……外塚 功
◆現職法務大臣を破っての勝利……坂本 恵
◆「声をあげれば政治は変わる」の実感を……河村厚夫
◆投票率全国トップ、攻撃にひるむことなく熱い闘いを……毛利正道
◆次に繋げる検証を──山口選挙区からの報告……纐纈 厚
◆志を同じくする市民と力を合わせて──徳島・高知合区選挙区の闘い……大西 聡
◆今後の熊本の民主主義を支える大きな力に……阿部広美
◆「大分方式」の復活と「戦争法廃止運動」の融合……岡部勝也
◆沖縄の統一戦線「オール沖縄」の圧勝……小林 武

●その外21選挙区の状況
◆岩手/秋田/栃木/群馬/新潟/富山/石川/福井/岐阜/三重/滋賀/奈良/和歌山/鳥取・島根/岡山/香川/愛媛/佐賀/長崎/宮崎/鹿児島……丸山重威
☆連続企画●憲法9条実現のために〈7〉急事態条項改憲論批判──ウラの理由をどうみるか、オモテの理由とどうつきあうか……永山茂樹
☆メディアウオッチ2016●《参院選後……》リオに覆われた重要ニュース 問われる「社会の在り方」……丸山重威
☆あなたとランチを〈№19〉……ランチメイト・渡辺厚子先生×佐藤むつみ
☆司法をめぐる動き・名前を変えても本質は変わらない 共謀罪の国会提出に反対する……海渡雄一
☆司法をめぐる動き・7月・8月の動き……司法制度委員会
☆時評●司法反動期の不当判決群の遺物……徳住堅冶
☆ひろば●「天皇の生前退位発言」に関する論調に思う……澤藤統一郎

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ひろば 2016年8・9月号
「天皇の生前退位発言」に関する論調に思う(弁護士 澤藤統一郎)

 日本国憲法は、主権者国民の「総意」に基づくとして、天皇という公務員の職種を設けた。天皇は、憲法遵守義務を負う公務員の筆頭に挙げられ、他の公務員と同様に国民全体に奉仕の義務を負う。
 旧憲法下の天皇は、統治権の総覧者としての権力的契機と、「神聖にして侵すべからず」とされる権威的契機とからなっていたが、日本国憲法は権力的契機を剥奪して「日本国と日本国民統合の象徴」とした。
 「初代象徴天皇」の地位には、人間宣言を経た旧憲法時代の天皇が引き続き就位し、現天皇は「二代目象徴天皇」である。
 その二代目が、高齢を理由とする生前退位の意向を表明した。「既に八十を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。」と語っている。
 天皇自らが、「象徴の努め」の内容を定義することは明らかに越権である。しかも、国事行為ではなく「象徴の努め」こそが、天皇の存在意義であるかのごとき発言には、忌憚のない批判が必要だ。さらに、法改正を必要とする天皇の要望が、内閣の助言と承認のないまま発せられていることに驚かざるを得ない。
 ところが世の反応の大方は、憲法的視点からの天皇発言批判とはなっていない。「陛下おいたわしや」の類の言論が氾濫している。リベラルと思しき言論人までが、天皇への親近感や敬愛の念を表白している現実がある。天皇に論及するときの過剰な敬語には辟易させられる。
 この世論の現状は、あらためて憲法的視点からの象徴天皇制の内実やその危険性を露わにしている。
 天皇制とは、この上ない国民統治の便利な道具として明治政府が作りあげたものである。神話にもとづく神権的権威に支えられた天皇を調法にそして綿密に使いこなして、国民を天皇が唱導する聖戦に動員した。敗戦を経て日本国憲法に生き残った象徴天皇制も、国民統治の道具としての政治的機能を担っている。
 国民を統合する作用に適合した天皇とは、国民に親密で国民に敬愛される天皇でなくてはならない。一夫一婦制を守り、戦没者を慰霊し、被災者と目線を同じくする、非権威的な象徴天皇であってそれが可能となる。憲法を守る、リベラルな天皇像こそは、実は象徴天皇の政治的機能を最大限に発揮する有用性の高い天皇像なのだ。国民が天皇に肯定的な関心をもち、天皇を敬愛するなどの感情移入がされればされるほどに、象徴天皇は国民意識を統合する有用性を増し、それ故の危険を増大することになる。天皇への敬愛の情を示すことは、そのような危険に加担することにほかならない。
 いうまでもなく、「国民主権」とは、天皇主権の対語であり、天皇主権否定という意味にほかならない。この国の歴史において、民主々義や主権者意識の成熟度は、天皇制の呪縛からの解放度によって測られる。今なお象徴天皇への敬意を強制する「社会的同調圧力」の強さは、戦前と変わらないのではないか。いまだに、権威からの独立心や主権者意識が育っていないといわざるを得ない。
 天皇発言や天皇制への批判の言論が、社会的同調圧力によって抑制されてはならず、自己規制があってもならない。日民協やその会員が、憲法的視点から、天皇制に関する忌憚のない発言をすることは重要な使命だと思う。
(2016年9月30日)

都知事選の敗北から何を教訓として酌み取るべきか。

都知事選が終わった。開票結果は事前に各メディアが報じた情勢のとおりとなって、当確がはやばやと出た。野党統一候補は敗れて、新都知事には品のよくない右翼が就任する。最悪だ。石原慎太郎の時代に逆戻りではないか。チクチクと胸が痛む。

それにしても、4野党の候補統一ができたとき、これは勝てる選挙になると小躍りした。与党側が分裂という情報が伝わって、これこそ千載一遇のチャンスと思った。しかし、取りこぼしたのだ。千載一遇のチャンスを逃したのだ。敗因はどこにあるのか、徹底した検討が必要だろう。

一議席を争う与党と野党の一騎打ちは、憲法改正の国民投票に擬せられてよい。改正発議をするか否か、するとしていつのタイミングを狙うか、その選択の権利を今壊憲与党の側が握っている。勝算ありと考えれば、発議の実行はあり得るのだ。

そのような目で、都知事選における都民の選択を見つめると、極めて危うい。憲法問題について世論が明日はどう転ぶか、私には読めない。不安を感じざるをえない。

有権者は必ずしも理性的ではない。情報に操作され、たぶらかされるのだ。強いメッセージに踊らされ、つくられたイメージに流される。選挙結果はけっして冷静な選択ではない。民主主義とはそのよう危うさをもったものだ。戦前の歴史を思う。明治以来日本にも連綿と非戦論・平和主義はあった。しかし、開戦や事変のたびに、あっという間に崩れて主戦論・ナショナリズムが天下を席巻した。

国民が挙げて主戦論の熱気の中にあるとき、これに負けずに非戦論を貫いた人びとに心からの敬意を表する。北朝鮮がどういう行動をとろうとも、中国とのトラブルがどのように喧伝されようとも、そのようなときであればこその覚悟で9条を守り抜かなければならない、あらためての決意が必要なのだ。

4野党の統一ができたのは大きな成果だ。この共闘関係を継続して、信頼関係を深めていくことが、今後の最大の課題だ。この点に揺らぎがあってはならない。これ以外に野党勢力を伸ばす方策もなく、改憲阻止の展望も開けてこない。

しかし、期待されたほどの共闘効果は出なかった。各野党それぞれの支持勢力全体を統一候補者の支援のために総結集できたかははなはだ心もとない。そのような努力と工夫は十分になされたのだろうか。連合東京という組織には、脱原発のスローガンはタブーなのだろうか。これから先、ずっとそうなのだろうか。この点には、どう対応すべきなのだろうか。

今回4野党統一候補の支援をしなかっただけでなく、結果的には足をひっぱる側に回った宇都宮グループ。これに対する正確な事実を踏まえての徹底批判も必要であろう。

憲法改正発議があった場合の、発議側の世論操作への対抗策と、改正阻止側の統一した共同行動をどう組むかという視点からの総括が必要だと思う。負けた選挙、せめて教訓を酌み取りたい。
(2016年7月31日)

明日は、ミニ国民投票だ。平和と憲法を守り原発廃炉の一票を鳥越俊太郎候補に。

明日(7月31日)が都知事選の投票日。鳥越候補の「最後の訴え」は、新宿南口だった。甲州街道をはさむ広場を埋めつくす大群衆の熱気の中で、護憲や野党共闘を支持する運動の広がりと確かさを実感する。とはいえ、午後8時を過ぎて、拡声器を使った選挙運動が終わって、群衆が散ると普段と変わらぬ東京の土曜日の夜。あの大群衆を呑み込んで喉にも触らぬ東京の大きさ。あの群衆も実は一握りの人びとでしかないことを思い知らされる。さて、明日はどのような結果が出ることだろうか。

「最後の訴え」の応援弁士は、福島みずほ、小池晃、山口二郎、澤地久枝、そして岡田克也。いずれも力のこもった聞かせる演説。そして、鳥越俊太郎が渾身の語りかけ。三つのゼロ「待機児童ゼロ、待機高齢者ゼロ、そして原発ゼロ」の政策を高らかに宣言した。そして、一度終わった演説を、鳴り止まぬ鳥越コールの中で、「あと1分ある」として、短い話を最後にこう締めくくったのが、印象に残った。
「野党が共闘して参院選を闘い抜き、都知事選にまでつなげた。これを大切にしようじゃありませんか」
まったく、そのとおりだと思う。

明日の都知事選。1000万有権者による、たったひとつのポストをめぐる争い。これは、形を変えた首都の擬似国民投票ではないだろうか。

都民の声に耳を傾けて都政をおこなう、予算執行の透明性を高める、保育と介護を充実する、オリンピック予算を適正化する、くらいのことはどの候補も政策として掲げる。こんなことには、政策の独自性は出て来ない。鋭く対決するのは、「平和・憲法・原発」の3課題。実は、護憲の野党共闘と、自公改憲勢力の対決の様相なのだ。

核兵器も原発もない「非核都市東京」を目指すという鳥越と、「核武装の選択肢は十分にあり得る」という小池百合子のコントラスト。これは、決定的な対決課題なのだ。

昨日(7月29日)夕、フジテレビの「みんなのニュース」での討論会で、鳥越が小池氏を批判したという。
「小池さんは、かなり前の雑誌で、『軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分にあり得る』という風に言っておられますが、私は知事になったら早速すぐにやりたいのは『非核都市宣言』をやりたい。核武装論者である小池さんに『非核都市宣言』というのは果たしてできるのか」

小池は、「私が『核武装論者』と言い切られましたけれども、これこそ捏造」と反論。「でも実際に本に書いてある」(鳥越氏)と言われると、「いや、言ってませーん!日本語を読めるのであれば、よく読んでいただきたいと思います」と発言したという。

このテーマは、以前にも取り上げたが、憲法や安全保障に関わる基本政策の際だった差異を物語る象徴的な問題。しかも、小池が「いや、言ってませーん!日本語を読めるのであれば、よく読んでいただきたい」というのだから、みんなで読んでみよう。テキストは、小池の公式ウェブサイトに掲載されている、保守論壇誌『Voice』(PHP研究所)2003年3月号所収の田久保忠衛、西岡力との極右トリオ鼎談記事。タイトルは「日本有事 三つのシナリオ」。そして、当該個所の小見出しが、「東京に米国の核ミサイルを」という物騒なもの。日本語を読める人なら下記のURLで、鳥越の指摘と小池の否定の真偽を、直ちに確認することができる。

https://www.yuriko.or.jp/bn/column-bn/column2003/column030320.shtml

小池の発言は以下のとおりだが、ここだけでなく全体を読んでいただくと小池の政治姿勢や体質がよく分かる。右翼どっぷりであり、どっぷり右翼なのだ。

小池 軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうるのですが、それを明言した国会議員は、西村真吾氏だけです。わずかでも核武装のニュアンスが漂うような発言をしただけで、安部晋三官房副長官も言論封殺に遭ってしまった。このあたりで、現実的議論ができるような国会にしないといけません。今の国会は時間とのせめぎ合いがほとんどで、労働組合の春闘と同じです(笑)。それももうないのに。

小池百合子の平和や憲法ないがしろにする姿勢に恐ろしさを感じざるを得ない。明日は、ミニ国民投票だ。平和・憲法を大切に思い、原発は不要とする立場の都民は、ぜひともこぞって、鳥越俊太郎候補への投票を。間違っても、小池百合子にだけは投票してはならない。
(2016年7月30日)

日本国憲法と民主々義と日民協の発展のためにカンパーイ!

皆さま、日本民主法律家協会第55回定時総会にご参集いただきありがとうございます。恒例の懇親会の冒頭、乾杯の発声の前に若干のお話しをさせていただきます。

参院選の結果が出た直後、そして都知事選が始まった時点での総会となりました。右往左往の状況ですが、本日の総会の討議と広渡清吾さんの記念講演「安倍政権へのオルタナティブー個人の尊厳を擁護する政治の実現を目指す」とで、何が起こっているのか、何をなすべきか、整理ができてきたのではないかと思います。

この間、「アベ政治を許さない」「立憲主義・民主主義・平和を守れ」という大きな市民の声が巻きおこり、学者も弁護士もそれなりの役割を果たしてきました。とりわけ昨年(2015年)9月「戦争法案」強行採決の直後に立ち上げられた、「戦争法廃止を求める市民連合」の役割には大きなものがありました。日本民主法律家協会も改憲問題対策法律家6団体の中核にあって、野党共闘の成立に力を尽くしてきました。

もっとも、参院選の結果は、重大なものとして受け止めなければなりません。衆院だけでなく、参院でも憲法改正発議に必要な3分の2の議席を改憲派に与えることとなってしまった。このことは率直に衝撃と言わざるを得ません。

かつては、国会の中に日本社会党を中心に堅固な「3分の1の壁」が築かれていました。憲法改正発議などは許さない。そんな国会情勢は、今や忘却のかなたの古きよき時代の語りぐさ。

改憲問題だけを思うと、こんなふうに愚痴が出ます。

 ながらへばまたこの頃やしのばれむ 憂しと見し世ぞ今は恋しき

あの頃だって、政権に文句を言いたいことはうんとあった。でも、今にして思えば随分とマシな保守政権だったではないか。アベ政権のような、ごりごりの改憲姿勢や好戦性はもっていなかった。情勢はどんどんひどくなっていく。もしや、もう少し経って今日を振り返ると「あの頃はまだマシだった」なんて思うことにならないだろうか。

一昔前には、保守政治家の典型だった小澤一郎が、今や護憲勢力の一員なのですから、いつの間にか政治の重心が大きく右にぶれてしまったのでしょう。ここ数年そのように思い続けていましたが、ようやく希望の灯を見るに至りました。それが、市民の後押しによる4野党共闘です。これこそが、パンドラが開けた箱に残っていた希望というべきもの。

この共闘のでき方について広渡さんに詳しく語っていただきましたが、会場からの質問に対する回答の中での、次のご指摘が印象に残りました。

「安倍政権を追い詰めた市民と野党の共同運動は、九条の解釈においては『専守防衛論』でまとまってのものでした。ここで幅広い勢力の意見の統一ができたものです。しかし、私は、この運動に結集した人びとの多くが『自衛隊違憲論』であったと思っています。むしろ、『自衛隊違憲論』派が運動の中心にいて、この人たちの確信を持った運動あればこそ、そのまわりに『専守防衛論』派の人びとの広がりができたものと言うべきだと思います」

意見の違いはあっても、闘う相手を見きわめて、共闘によって味方を大きくする努力の枠組みができてきたことを心強く思います。この枠組みは、参院選地方区の東北6県では、5勝1敗の大成功を収めました。象徴的に特別の意味をもつ沖縄と福島では、いずれも現職大臣を落としての勝利を勝ち取っています。

これが希望の灯。この希望の灯を絶やしてはならないと思います。いま、この灯は都知事選に受け継がれました。鳥越候補支援の声は急速に拡がりつつあります。本日の特別アピールのタイトル「市民と野党の共闘を支援し、改憲勢力3分の2の危機を乗り切り、東京都知事選での勝利で日本を変えよう」は、今日の総会に集まった人たちの気持ちを的確に反映するものとなっています。

このアピールは、参院選を「市民と野党の共闘」の第1回のチャレンジとしています。もちろん第2回目が「33年ぶりの都知事選での野党統一候補」を生みだした都知事選。さらに、3回目総選挙に続けなければなりません。小選挙区の選挙で、立憲派と壊憲派の一騎打ちが実現すれば、日本が変わるチャンスです。

そのような展望を見据えて、日民協は改憲阻止を標榜する法律家団体として、可能な限りその役割を果たしていくことの決意をかためましょう。それでは、ご唱和をお願いします。

日本国憲法と民主々義と、そして日民協の発展のために、カンパーイ!
(2016年7月17日)

鳥越俊太郎都知事候補の公約について

Blog「みずき」の東本高志さんから、ブログで私を名指した問題提起を受けた。昨日(7月15日)のことだ。野党共闘のあり方についての醍醐聰さんのご指摘をもっともであるとし、私のブログでのこの点についての応接を、「重要な問題提起をスルー」して、いかにも「もの足りない弁明」とされる。ご指摘は下記のとおりだ。

澤藤さん。「告示日が迫る中、大詰めの段階で鳥越氏が野党統一候補者となったことも理解できる。しかし、それで、胸をなでおろし、あとは鳥越氏勝利のために頑張ろう、では都民不在である。それでは、判官びいきではなく、『知名度頼み、政策不在の候補者選び』という宇都宮氏の批判に一理がある。(略)こうした都民に向ける政策、公約が告示日の前日になっても不在のまま、4党の合意で候補者だけが決まるというのは異常である」という醍醐聰さん(東大名誉教授)の指摘も私は同様に重要な問題提起だろうと思います。「4党の合意で候補者だけが決まるというのは異常である」という醍醐さんの指摘は本来の野党共闘はどうあるべきかという根底的な問題提起です。この重要な問題提起をスルーして「4野党が責任もって推薦しているのだ」というだけではこれもいかにも「もの足りない」弁明というべきです。醍醐さんの指摘に本格的に応じてみよう、という気はありませんか?(東本高志 2016/07/15)

私は、Blog「みずき」には関心をもって目を通しているつもりだが、昨日(7月15日)はまったく気付かなかった。今日(16日)、日民協の総会と懇親会を終えて夜帰宅し、パソコンを開いてはじめて気が付いた。私のブログの拙文に、こんなに関心をもっていただいたことをまことにありがたいと思う。

常々、醍醐さんが言っている。「議論が足りない」「意見の異なる人との真摯な議論が必要なのにできていない」「リベラル側の議論の意欲も説得の能力も不十分だ」と。幾分かは、私に言われているように思う。せっかくの東本さんからの議論をうながすご質問。しかも、醍醐さんの指摘を引用してのものだ。「本格的に」はともかく、応じなければならない。

私の「弁明」をまとめれば、次のようになろうか。
 (1) 不十分だが緊急避難としてこの際やむを得ない
 (2) それでも候補者選定の最低限情報は提供できている
 (3) 公約の細目は追完される
 (4) 候補者選定の枠組みを作ったのは市民だという大義がある

私は革新陣営の共闘を願う立場で一貫してきた。政党が、自らの理念や政策を大切にして他党と支持を競い合うのが本来の姿であるが、政策が近似する友党との共闘が大義となって、個別政党の共闘拒否がエゴとなる局面がある。保革で一議席を争う首長選挙がその典型であろうし、喫緊の重要課題についての共闘の成否が革新陣営全体あるいは野党全体の死活に関わる問題という局面では、国政選挙でも共闘が大義となるだろう。

私の革新共闘の原イメージは、70年代初頭の革新自治体を誕生させた運動だった。社・共の両政党を当時は強力だった総評が間に立って結びつける。そのような共闘のお膳立てを文化人が準備した。東京・大阪・京都・福岡・愛知などに、そのような形での革新知事が誕生して、国政にも大きなインパクトを与えた。今でも、美濃部革新都政のレガシーには大きなものがある。とりわけ、福祉や公害対策の分野において。

しかし、60年安保闘争後の高揚した雰囲気の中から生まれた革新自治体運動はやがてしぼんだ。共闘の主役だった社会党はその座を降り、労働運動はかつての力を失った。革新共闘そのものが困難な時代となった。東京都知事選挙にもその影は深く、極右の知事に対抗すべき革新統一もならない事態が続いた。

石原の中央政界転身による2012年都知事選での革新共闘は、市民運動が主導して、各政党が候補者を個別に支持する形のものであった。「この指止まれ方式」と言われた。政党は、候補者の出馬宣言に賛同を表明する形で共闘に参加し、けっして政党間の事前の政策協定あっての共闘ではなかった。それでも、これまでにない共闘が成立したことを大いに評価すべきものといえよう。具体的な政策は、選対に参加した学者を中心に立派なものができあがった。共闘参加者全体に違和感のないものとしてである。このとき、政策作りに候補者本人はほとんど関与していないが、それでよい。選挙は陣営としてするもので、候補者も政策に縛られるのだから。

要するに、「市民運動+共産・社民」の範囲を「革新共闘」として、ようやくにして成立に漕ぎつけた。共闘の要は、候補者であった。特定の政党や勢力に偏らない人物が名乗りを上げたからこそ、共闘の枠組みができた。それでも、選挙結果は記録的な大敗を喫した。候補者の魅力に欠けていたこと、選挙実務ができていないことが最大の要因であったろう。

14年都知事選においては、革新側(ないしは野党側)は分裂選挙となった。およそ最初から勝てる見込みある選挙ではなかった。結果は、分裂した両候補の票を合計しても、自公の候補に届かなかった。革新の側は、本気で勝つためには、共闘の幅は拡げなくてはならないこと、分裂選挙してはならないことを学んだ。候補者の選定は、この教訓から出発しなければならない。

16年都知事選は、様相を異にする。これまでと違って、政党間の共闘合意が先行したのだ。しかも、民進・生活を含む4野党共闘の枠組みである。この枠組みで推すことのできる候補者がどうしても必要だったのだ。前回・前々回の候補者では、4野党共闘の枠組みにふさわしからぬことは自明のことであった。候補者個人は、3回目の立候補ともなれば都政の細目に詳しくはなるだろうが、それはさしたる重要事ではない。市民が後押ししてようやくにして作り上げた4野党共闘である。これを生かす候補者の選定が大義なのだ。共闘参加のすべての政党が推せる候補者でなくてはならない。当然のこととして共闘の最大政党である民進の意向も無視し得ない。今回の参院選東京選挙区での民進票は170万なのだ。

せっかくの4野党共闘による知事選の枠組みが人選で難航しているときに、告示間際となって鳥越候補が出現した。政策は共闘成立に必要な大綱でよい。私は、出馬会見で彼が語った第3項目は、実質的に「ストップ・アベ暴走」であったと思う。あるいは、「首都東京から改憲阻止のうねりを」というもの。語られた中身は、改憲阻止であり、戦争法廃止である。歴史を学んだ者として、アベ政権の歴史修正主義を許せないという趣旨の発言もあった。都政に憲法を生かすとの政策と受け止めることができる。これだけでも十分ではないか。もちろん、今回知事選の争点となる知事としての金の使い方、透明性の確保についても語られている。

果たして、細目の公約がなく都民不在であるか。もちろん、時間的余裕があってきちんとした公約を掲げての立候補が望ましい。今回の経緯では不十分であることは明らかだが、「都民不在」とまでいう指摘は当たらないものと思う。

その理由の一つは、候補者の経歴がよく知られていることにある。候補者の政治的スタンスと人間性の判断は十分に可能であろう。出馬会見はそれを裏書きする誠実なものであった。都知事としての資質と覚悟を窺うに十分なものであった。

また、4野党共闘の枠組みは広く知られているところである。立憲主義の回復であり、民主主義と平和の確立であり、戦争法の廃止であり、改憲阻止である。4野党と市民が納得して、この枠組みに乗せられる人であることが都民に示されたのだ。「候補者+4党+支持する市民」がこれから練り上げる具体的な都政の政策をしっかりと見ていこうと思う。それでも、けっして遅すぎることにはならない。

事前の政策協定ができればそれに越したことはないが、ようやくにして成立した4党共闘の枠組みである。これを強く望みつくったのは市民である。これに乗る魅力的な候補者が見つかったのだ。現実に革新の側(反自公の側)が勝てるチャンスなのだ。既に多くの市民団体が鳥越支持の声を上げている。各勝手連も動き出している。政策は、おいおい素晴らしいものが体系化されるだろう。もとより理想的な展開ではないが、今回はやむを得ない。判断材料としての最低限の情報提供はなされており、さらに十分なものが追加されるはずである。傍観者的に都民不在と言わずに、4党枠組みを望んだ市民の一人としてこの知事選に関わっていきたいと思う。
(2016年7月16日・17日加筆)

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