澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

政治を私物化した、あのウソつきを国葬に? それこそ民主主義の危機だ。

(2022年7月14日)
 安倍晋三は、政治を私物化したウソつき政治家だった。生前の功績など、一つとして私は知らない。罪科の方なら、いくつも数え上げることができる。端的に言えば、彼は日本民主主義を壊した。その意味で大きな負のレガシーを遺した。「こんな人物」を長く首相にしておいたことが、主権者の一人として恥ずかしい。我が国の民主主義は、ウソつきを首相に据えるにふさわしい水準だったということになる。

 このウソつきが、ようやくにして首相の座を下りた。首相の時代の深刻な政治の私物化や、数々のウソや、告発された犯罪や、公文書の隠蔽・改竄、虚偽答弁の数々…。その疑惑の解明が不可避の民主主義的課題でありながら、遅々として進まぬうちに彼は亡くなった。

 ところが驚いた。このウソつき政治家が死んだら、国葬だという。タチの悪いウソをつかれている思いだが、現首相は本気のご様子だ。岸田はやっぱり、右側の片耳しか聞こえないのか。そりゃあり得ない、とんでもないこと。正気の沙汰ではない。反対側の耳もほじって、考え直してもらわねばならない。

 「岸田文雄首相は14日の記者会見で、8日に街頭演説中に銃撃を受けて死亡した安倍晋三元首相の『国葬儀』を秋にも執り行う考えを明らかにした。費用は全額政府が拠出する。首相は安倍氏について『ご功績は誠に素晴らしいものだ』とした上で『国葬儀を執り行うことで、我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示していく』と述べた」(朝日)

 これには、呆れた。「ご功績は誠に素晴らしいもの」「我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く」には、二の句が継げない。まるで、岸田文雄には、安倍晋三のウソつきぶりが乗り移ったごとくではないか。

 長く権力を掌握した安倍晋三の生前における政治の私物化や、数知れぬウソや、告発された未解明の犯罪の数々や、公文書の隠蔽・改竄等々こそ、「民主主義が断固として許さざるところ」であった。そして今や、この安倍晋三の悪行の総てを誰への忖度もなく暴いて真実を明らかにすることこそが民主主義の求めるものなのだ。

 だから、生前の安倍晋三の悪行を余すところなく明らかにすることこそが「権力に屈せず民主主義を断固として守り抜く」ことになるのだ。安倍晋三の国葬は、民主主義に反する悪行を重ねてきた安倍の死の政治利用として「民主主義を断固として破壊する決意」を示すものである。

 安倍晋三の国葬は、その生前の悪行を隠蔽するためのイチジクの葉である。安倍晋三を持ち上げることで、憲法改悪や国防国家化を推し進めようとする保守勢力のたくらみを許すことでもある。安倍の死を政治利用しようという連中にとっては、安倍の悪行が明らかになっては困るのだ。その臭い物に、蓋となるのが国葬なのだ。

 「国葬儀」なるもののイメージはつかみがたい。が、国家・国民こぞって、このウソつきを追悼しようというたくらみであることは確かだろう。
 しかし、考えてもみよ。ウソつきを国家・国民こぞって追悼できるだろうか。お仲間だけでやっていればよいことだ。国政を私物化した人物についても同様である。プーチンと親友だった人物、トランプに卑屈だった男、そして、無為無策無能の政治家。歴史修正主義者で民族差別主義者で、ただただ日本国憲法に敵意を剥き出しにしてきた三代目の保守世襲政治家。生前も公私混同甚だしかった安倍晋三だが、死してなおこの始末。

 どう考えても、ウソとごまかしをもっぱらにしてきた安倍晋三である。こんな評判の悪い人物を国葬にしちゃあいけない。当たり前のことだ。安倍晋三の生前の所業を厳しく断罪することが民主主義と国民の道義を回復する本道である。国葬は、明らかにこの本道を逆走させるものでしかない。悪いことは言わない、やめておきなさいよ岸田さん。

えっ? 安倍晋三を国葬に? ご冗談もほどほどに。

(2022年7月13日)
 本日の産経新聞・朝刊の一面トップに、何ともおどろおどろしくも不愉快極まる大見出し。「安倍氏『国葬』待望論 法整備や国費投入課題 政府『国民葬』模索も」。その記事の一部を引用する。

 「参院選の街頭演説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相の政府主導の葬儀について、自民党内や保守層から「国葬」を求める声が上がっている。ただ、元首相の葬儀に国費を投じることには批判的な意見も根強い。国家に貢献した功労者をどう弔うのか─。政府は今後、検討を進めるが、…」

 「過去の例に照らせば、国葬となる可能性は高くない。同42年に生前の功績を考慮して吉田茂元首相の国葬が例外的に行われたが、それ以降は首相経験者の国葬は一度もない。」

 「最近では内閣と自民による「合同葬」が主流で、安倍氏もこの形式となる可能性が有力視される。
 ただ、首相在職日数で憲政史上最長を誇る安倍氏に対し、最大の礼遇を望む支持者の声は強い。国葬令は失効しているが、必要な法律がなければ整備するのが政治の役割でもある。政府内からも「法律をつくって国葬にすればいい」(官邸筋)との声が上がる。」

 「それでも二の足を踏むのは、葬儀に国費を投入することへの批判が根強いからだ。国と自民党が費用を出し合う合同葬でさえ、一部野党や左派メディアは反発する。全額を国が負担する国葬をあえて復活させればさらに強く抵抗し、政権運営にも影響しかねない。」

 「こうしたことを考慮し、政府には「国民葬」を模索する動きもある。内閣と自民党、国民有志の主催で、佐藤栄作元首相が死去した際に行われた。」

 「国葬」であれ「合同葬」であれ、はたまた「国民葬」という形においてであれ、特定の死者に対する国民への弔意の強制はあってはならない。とりわけ、安倍晋三に対する弔意の押し売りはまっぴらご免だ。

 人の死は本来純粋に私的なものである。葬儀は、その人の死を真に悼む人々によって執り行なわれるべきもので、これを政治的パフォーマンスとして利用することは邪道なのだ。政治家の葬儀とは、そのような邪道としての政治的パフォーマンス、ないしは政治ショーとして行われる。本来は私的な特定人物の死を、国家がイデオロギー的に意味づける政治利用の極致が国葬にほかならない。

 安倍晋三の死は、いま日本の右翼勢力と改憲派にとって貴重な政治的資源となっている。この資源を最大限利用する形態が国葬であって、当然に安倍晋三の死を悼む気持ちのない多くの人々に最も強い形で弔意を押し付けるものでもある。安倍晋三の国葬、けっしてあってはならない。

 安倍晋三の葬儀は、真に安倍を悼む人々が私的に執り行えばよい。それ以外の人々を巻き込んで、弔意と費用負担の押し付けてはならない。国家に、そのような権限はない。

 いったい、政治家としての安倍晋三は何をしたのか。民主主義を壊した。政治を私物化した。ウソとごまかしで政治を劣化させた。経済政策では、貧困と格差を広げた。日本の成長を止めた。アベノマスクに象徴される、無為・無策・無能の政治家だった。外交ではプーチンと親交を深めたが北方領土問題の解決の糸口もつかめなかった。拉致問題をこじらせ政治利用はしたが何の進展も見いだせなかった。こんな政治家を国葬にせよとは、厚顔にもほどがある。泉下の安倍も、赤面しているに違いない。

 第1次安倍内閣の、教育基本法改悪を忘れてはならない。第二次内閣では、何よりも集団的自衛権行使を容認した戦争法制定で、憲法の中身を変えた。それだけではなく、特定秘密保護法や共謀罪を制定した。コントロールとブロックというウソで固めて醜悪な東京オリンピックを招致した。弱者に居丈高になりトランプには卑屈になるという、尊敬に値しない人格だった。

 森友学園事件、加計学園問題、桜を観る会疑惑、黒川検事長・河井元法務大臣事件、さらにタマゴにカジノだ。これまで、こんなにも疑惑に満ち、腐敗にまみれた内閣があっただろうか。それだけでなく、その疑惑を隠すための公文書の隠ぺい、改ざん、廃棄までした。

 彼がやりたくてできなかったのが憲法改悪の実現であった。今、彼の死を利用して、憲法改悪を推進しようとの策動を許してはならない。その一端である、安倍晋三の国葬をやめさせよう。

 「えっ? アベの国葬? まさか?」「それって、ご冗談ですよね」「こんな悪い人でも、死ねば水に流して国葬ですか?」「私の納めた税金をそんなことに使うなんて絶対に認めない」  

すべては、安倍晋三の責任を徹底追求しなかったツケなのだ。

(2021年12月16日)
✦おじさん、弁護士でしょ。ちょっと教えて。「森友学園公文書改ざん訴訟が国の認諾で終了」って記事が出ているけど、「森友学園」ってなんだっけ。

☆安倍晋三が首相だった時代に、たくさんの不祥事が起こった。森友学園事件もその一つ。安倍晋三と妻の昭恵が、森友学園の右翼的な教育に共鳴して、その小学校建設に肩入れした。なにせ当初は、校名を「安倍晋三記念小学校」とし名誉校長に安倍昭恵が予定されていた。安倍夫妻の口利きの実態は明らかになっていないが、不動産鑑定士の評価では9億5600万円の国有地が、「8億円値引き」されて、1億3400万円で払い下げられた。これが、発覚して大問題となった。

✦そんなことがあったから、安倍さんを「右翼で国政私物化総理」と言ったのね。「森友学園事件」って安倍さんの右翼オトモダチへのえこひいきで、国有地をタダ同然で払い下げたという問題ね。

☆それだけじゃない。この怪しい国有地売却の経過を記録しているはずの公文書が大量に廃棄されたり、14の決裁文書が290個所にわたって改竄されていた。後で明らかになったのは、安倍夫妻や自民党の大物政治家の名前を消すための公文書改竄。

✦きっと、安倍さんが裏で公文書の廃棄や改竄を命令してたんでしょうね。

☆誰でもそう思うのが当たり前。安倍晋三は、国会で「自分や妻が関わっていれば、首相も国会議員も辞める」と言った。だから、都合の悪い文書を残しておくわけにはいかなかった。でも、本当のところは分からない。官僚が首相の立場を「忖度」してゴマを摺ったのかも知れない。

✦「本当のところは分からない」なんてじれったいじゃないの。真実を明らかにする方法はないのかしら?

☆国会が国政調査権を発動して調べるのが一番の筋だろう。その一環として、衆参の予算委員会は佐川宣壽理財局長を証人として呼出し、宣誓の上証言させた。が、彼は、安倍からの指示を否定したが、改竄の経緯については証言を拒否した。野党は偽証で刑事告発しようとしたが、告発には3分の2の委員の賛同が必要で、自公や維新の議員が賛成するはずはないから、結局あきらめた。

✦ほかに方法はないの?

☆世論の突き上げにあって、さすがに財務省も腰をあげた。内部調査委員会を作って調査し、「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」をとりまとめて公表した。この報告書に基づいて、財務省は本庁と近畿財務局の幹部20人を処分した。もちろん、安倍関与の事実は出てこない。これで幕引きというわけ。「内部調査では信頼できない。信頼できる外部委員を入れて調査をやり直せ」という声には、聞く耳をもたない。

✦警察や検察は動かなかったの?

☆何人もの人が、何人もの関係者を、いくつもの罪名で告発した。すべての告発事件が大阪地検特捜部に集められ、佐川宣寿以下の財務省職員ら計38人に対する告発が、すべて不起訴処分となった。「検察も安倍に忖度しているのか」と非難囂々だった。その後、事件は大阪第1検察審査会の審査に持ち込まれたが、いかんせん検察には捜査の権限はない。佐川ら10人について「不起訴不当」の議決となったが、「起訴相当」とはならなかった。大阪地検特捜は形ばかりの再度の捜査の上、再びの不起訴とし捜査は終了した。安倍の指示は、暗闇のまま。

✦あれもダメ、これもダメ。じゃあ、話題になっている「森友学園公文書改ざん訴訟」ってなんなの?。

☆森友事件での公文書改竄は、東京の財務省本庁ではなく、出先の近畿財務局で起こった。実際に改竄を実行したのは、本庁からの命令を受けた近畿財務局の職員だった。そのうちの一人、赤木俊夫さんは、不本意ながらやらざるを得ず、正義感から自分の行為を恥じて結局痛ましい自死の結果となった。赤木さんの妻・雅子さんは、夫の自死は国に責任がある。その経過を明らかにしたいとして、国を相手に損害賠償請求の裁判を起こした。併せて、佐川宣壽も被告にしている。この裁判の過程で新しい資料が出て来るなどの進展はあった。そして、これから証人申請がなされるという時になって国に対する裁判は、国の認諾で突然に終わった。

✦「認諾」ってなんなの?

☆原告の請求を被告が受諾すれば、原告は満足することになって紛争は解決し裁判は終了する。この場合は、「1億円支払え」という原告の請求を、被告が「全面的に認めます」という書面を陳述して、訴訟は終了した。

✦じゃあ、安倍首相の公文書改竄の責任が明らかになったのかな?

☆いや、「請求を認諾する」ことは、必ずしも「請求の根拠となった請求原因事実を認める」ことを意味しない。むしろ、これからの訴訟の進展の中でいろんな事実を明らかにしていこうという原告側の思惑を封じ込めようという意図が見え見えと言ってよい。

✦岸田首相は、財務省による改竄の責任を認めることで、安倍さんを叩いたようにも見えるけど。実は助けたというわけ?

☆両方の見方があるだろうね。この認諾が、一時的には安倍に対する打撃になることは避けられないが、長期的に見ると安倍の利益になる公算が高い。この裁判が長引けば、折に触れて安倍の責任、自民党の汚点が思い出される。この訴訟を終了させることは、安倍にだけではなく自民党にも有益なこと。とりわけ来年の参院選への影響を考えれば、今の時期がベストと考えたのかも知れない。

✦なんだ。結局は安倍さんや昭恵さんの責任追求の場がなくなったと言うことか。

☆原告だった雅子さんが、提訴によって獲得しようとしてたのはお金ではなく、文書改竄を命じた人や経過をはっきりさせることだったはず。とりわけ、佐川宣壽と安倍晋三との具体的なやり取り。それが断ち切られて、「真相にふた」「問題に幕」を狙っての認諾。どうにもスッキリしない。

✦今後はどうなるの?

☆国は認諾したけれど、佐川宣壽に対する550万円請求の裁判は残されている。弁護団は努力を重ねるだろうし期待もしたい。関連する情報開示の別訴訟もある。しかし、国を除いて佐川だけになった裁判で、予定していた関係者の尋問を実現したり新しい事実を発掘するような展開は、これまでよりも困難になるだろう。国が認諾した債務を支払えば、もう原告には損害はないと判断されるかも知れない。

✦まるで、疑惑の幕引きに税金1億円を注ぎ込んだみたい。これからどうすればよいの?

☆もう一度原点に帰って、安倍晋三と昭恵の悪行を思い起こし、洗い直そう。そして、世論の力を再結集して国会やメディアに訴える。国会はもう一度、安倍の責任と、岸田の幕引き姿勢を追求しなければならない。日本の民主主義の力量が試されている。

✦一番大切なことはどういうこと?

☆雅子さんは記者会見で「なぜ夫が亡くなったのかを知りたいと思って始めた裁判。お金を払えば済む問題ではない」と話している。本当にそのとおりだと思う。
 もとはと言えば、安倍政権の横暴が幾重にも露わになった事件。しかし、嘘とごまかしにまみれ、政治を私物化してきた安倍政権を政権の座からも国会からも、駆逐できなかった。国民も議会もメディアも力が足りなかった。自公の与党政権を批判する勢力がもっと強ければ、こんなことにはならなかったはず。すべては、安倍晋三という邪悪なる者の責任を徹底追求できなかったことのツケだと思う。
 モリ・カケ・サクラ・クロカワイ…。しっかりと、みんな忘れないように肝に銘じよう。

森友事件について、利害関係のない第三者による徹底した再調査を。

(2021年10月8日)
 確かに言いましたよ。「私・岸田文雄の特技は、人の話をしっかり聞くこと」とね。だってね。これまでの総理が、ひどかったものね。ほとんど人の言うことに聞く耳もたない総理が続いた9年間。その結果、国民からそっぽを向かれたんだから、こういうしかないでしよう。政治の要諦は、「信なくば立たず」ですよ。

 そして、おっしゃるとおり、人の言うこと聞かない総理のしでかした事件の象徴が森友学園事件でしたね。総理夫妻の責任を揉み消す仕事を押し付けられて、善良な公務員が自殺にまで追い込まれたんじゃないかと、国民の多くが疑念をもっている。このままでは、国民の信頼を得られず、自民党は崩壊しかねません。

 「多くの皆さんが政治に国民の声が届かない、あるいは政治が信じられないと切実な声を上げておられました」。こんな事態ですから、国民の声を聞きますよと言わざるを得ないじゃないですか。で、耳を傾けたら、当然に森友事件の徹底解明を求める再調査をせよという国民の声が聞こえて来ますよね。だから私は、総裁選立候補直後に、「国民の声に耳を傾けます」「森友事件の再調査をやります」と確かに言いました。

 でもね。安倍さんが怒ったんですよ。多分、「森友事件を蒸し返して再調査などするのなら、総裁にはしないぞ」「仮に総裁になったとしても、徹底して潰してやるぞ」ということでしょうね。そりゃあそうでしょうね。あの人のことだから。

 だから私は、方針を変えました。ほら、よく言うでしょう。「君子は豹変す」とか、「過ちては即ち改むるにはばかること勿れ」とか。私は君子ですから、再調査はもうしないってことにしたんですよ。「私・岸田文雄の本当の特技は、安倍さんのお話をしっかり聞くこと」なんですから。

 おかげで、目出度く、私は総裁になり、総理にもなれた。そうしたら、赤木雅子さんからの直筆のお手紙ですよ。「財務省の公文書改ざん問題の再調査をしてください」というわけ。これにはコマッタ。きっと、安倍さんだと良心の呵責って感じないんでしょうけど、私はそんな鉄面皮じゃあないから困ってしまう。

 赤木を立てれば安倍立たず、安倍を立てれば世論が立たない。さあ、どうする、どうする。どうしましょうかね。

 その手紙は、「私の話を聞いてください」で始まるんですよ。そして、「夫は、亡くなる前に改ざんや書き換えをやるべきではないと本省に訴えています。それにどのように返事があったのかまだわかっていません」と続く。「夫が正しいことをしたこと、それに対して財務省がどのような対応をしたのか調査してください」というのが主旨だ。「正しいことが正しいと言えない社会はおかしいと思います。岸田総理大臣なら分かってくださると思います」とも書いてある。

 それに、記者会見では、「岸田さんって聞くのが得意、それが長所なんですよね」「だから、きっと私の声も届くはずだし、聞いてくださる感覚があったので、岸田さんに届けるのが一番いいと思いました」「元々は再調査に前向きで素敵な方だと信じています」と説明している。断りにくいよね、これ。

 やっぱり、再調査やることにして、世論を味方に付けるのが得策かな。そしたら、安倍さん怒るだろうな。でも、圧倒的な世論を味方にすれば、安倍さんも恐くはない。ここは、勝負に出てみようかな。安倍さんが怒鳴り込んできたらなんて言おうか。

 「私の特技は安倍さんの話をしっかり聞くことですが、実は聞くだけのことで、聞いたあとことは特技ではないんです」。こう言ったら、お終いだろうな。

 せめてこう言おうか。「安倍さん、森友問題については、本当に信頼できる第三者を選任した外部委員だけで、徹底した再調査をします。で゜すから、安倍さんの身の潔白は徹底して明らかになるはずです。安心してください」とね。あ、安倍さん、真っ青になっちゃった。もしかしたら、そのことが一番イヤなのかも知れない…。

新総裁の政治姿勢 ー 総論は「可」、具体策は「不可」。

(2021年9月29日)
 コップの中の嵐がおさまり、落ちつくところに落ちついたようだ。安倍・菅と、あまりにひどいこの国のトップが9年も続いた。あまりに長かった、国民の声に聞く耳を持たない政治の9年。ウソとゴマカシ、国政私物化の9年でもある。高市早苗以外の人物なら、誰が総裁になっても、少しはマシというべきだろう。ようやく、政権与党に、自らの特技を「人の話をよく聞くこと」というトップリーダーが誕生した。

 岸田文雄は、本日の自民党総裁選開票直後の両院議員総会で新総裁としてあいさつに立ち、こう述べたという。

 「多くの国民が政治に声が届かない、政治が信じられないといった切実な声を上げていた。私は、我が国の民主主義の危機にあると強い危機感を感じ、我が身を顧みず、誰よりも早く総裁選に立候補を表明した」「私たちは『生まれ変わった自民党』をしっかりと国民に示さなければなりません。」

 この言葉は、その後の就任記者会見の冒頭挨拶のなかでも、次のように繰り返されている。

 「国民のみなさまの中に、『国民の声が政治に届かない』、あるいは『この政治の説明が心に響かない』、こうした厳しい切実な声があふれていました。」「今まさに我が国の民主主義そのものが危機にある強い危機感を持ち、私は我が身を顧みずこの総裁選挙、真っ先に手を上げた次第です。」

 これを言葉の通りに聞けば、誰しも岸田の認識を真っ当なものと思うに違いない。「安倍・菅のウソとゴマカシ、国政私物化の9年が、我が国の民主主義そのものの危機」をもたらしたというのだ。だから、この事態を反省し清算する真っ当な政治を行う決意だと思うことだろう。私も、そうであって欲しいと思う。

 ところが記者会見での記者からの質問への回答で、期待は打ち砕かれた。こりゃダメだ。アベ・スガ政権への批判も反省もない。批判も反省もないから、言葉が上滑りして具体性がない。言質を取られまいという物言いだから、国民の胸に響く言葉にならない。これから何をしようというのか、漠然としてつかみようがない。

 記者の質問に答えて、「今のさまざまな政治課題は、国民の協力なく結果を実現することができない時代だと認識している。そういった点から、国民の皆さんにしっかりと政治の説明責任を果たしていきたい」と述べたと報道されている。その言や良し。この人総論を語らせたら、立派にしゃべることができるのだ。採点すれば文句なく合格点。『可』以上は確実。

 ところが、「森友学園」をめぐる再調査をしないのか、という具体的な質問に対する回答は、まったくおかしいものとなる。

 「行政で調査が行われ、報告書が出されている。また司法において裁判が行われ、民事の裁判も続けられており、その判断を見ていかなければならない。こうした行政や司法の取り組みが行われ、それでもいろいろなご意見や思いがあるならば、今度は政治の立場からしっかり説明していかなければいけない」と述べたという。そりゃおかしい。それじゃ旧態依然の自民党、生まれ変われない。完全に不合格だ。『不可』しかやれない。その理由を整理しておきたい。

1 国民のなかに渦巻く政治不信を、まったく理解していない。「行政や司法の取り組みにご意見や思いがあるならば」などと、将来の、あるいは仮定の問題として語る姿勢が不合格。本気でそう思っているなら、決定的な無能力。そう思っているフリをしているのなら、とてつもない不誠実。

2 「行政の調査」への国民の反発を知るべきだ。身内の調査で、多少の尻尾を切ったが膿を出し切っていない。何よりも、安倍晋三の責任に切り込んでいない。然るべき信頼できる第三者による再調査チームの編成が必要なのだ。仮に、安倍晋三が潔白だったとしても、今、それを信じる理性ある人はない。

3 「司法において裁判が行われ、民事の裁判も続けられており」というこの人の言葉づかいは、経過を良く認識していないこと、自信のないことの表れである。「司法において裁判が行われ」は、あたかも刑事裁判が行われたごとき印象の言葉づかいだが、実は刑事の立件はすべて起訴猶予となり立件されていない。もう一度、きちんと経過を把握して、明瞭に見解を述べ直さねばならない。

4 「民事の裁判も続けられて」いることが、再調査を拒否する理由にはなりようがない。自死した赤木さんの遺族が提起した民事訴訟において、国は無責であ類語と言い続けている。果たして、そのような姿勢で良いのかが問われているのだ。第三者による再調査にすべてを委ねることが求められている。それができないのは、安倍晋三に不都合だからと考えざるを得ない。

行政にも司法にも信用を措けない、不十分だということだから、新総裁に期待が大きいのだ。直ちに再調査の態勢を整えていただきたい。それができなきゃ、アベ・スガと、同じ穴のムジナでしかない。少しだけ穏やかなムジナ。

 ああそうか。岸田の言う「危機にある日本の民主主義」とは、「日本の保守政治」のことなんだ。彼は、民主主義の旗手ではなく、自民党保守政治救済の旗手なのだ。そう考えると辻褄が合う。

秋元司有罪は、アベ・スガ政権への断罪でもある。

(2021年9月7日)
 ことあるごとに思い起こそう。忘れぬように繰り返そう。

 モリ・カケ・桜・クロカワイ・アベノマスクにIR

 ウソとゴマカシをもっぱらとし、政治を私物化した安倍晋三という人物と、その政権を忘れてはならない。度しがたい歴史修正主義者で改憲論者の安倍、しかも無能・無責任のこの人物の長期政権をわれわれは許してしまった。さらに1年、その付録であり、事実上の延長政権である菅義偉後継政権がようやく終わった。

 次期総裁選などというコップの中の嵐に興味を惹き寄せようという策謀に乗せられてはならない。アベ・スガ政権を清算して、そのアンチテーゼとしての新政権を樹立する議論こそ、今なすべきもの。

 本日の秋元司のIR汚職と証人買収での有罪判決。あらためて、安倍政権とは何であったかを思い出させる。この秋元という男、なんとも汚い。政治を金儲けの手段としただけでなく、金で無罪も買えると考えたのだ。本日の判決言い渡しで、裁判長に、「公人としての倫理観はおろか、最低限の順法精神すら欠如している」と言わしめたとおりである。この汚い人物が安倍政権IR担当の内閣府副大臣だった。そのイスと人物とよく似合う。釣り合いまことにピッタリではないか。

 しかも、IRは安倍政権の観光振興策の目玉であり、安倍はカジノ議連の最高顧問を務めたこともある。菅とともにカジノの旗振り役だった。成長戦略の目玉として「カジノ解禁法案」採決を強行した当時、「カジノ事業者らによる議連関係者へのロビー活動がすごかった」と報道されている。

 業者にとっても政治家にとっても、おいしい事業であり、法案だった。それだけに、危険が見え見えの代物である。案の定、安倍政権の薄汚さを象徴する収賄事件が発覚して秋元は逮捕され、不要な尻尾として切られた。

 秋元は無罪を争ったが、本日の判決は懲役4年の実刑で、追徴金約760万円(求刑懲役5年、追徴金約760万円)が言い渡された。

 判決言い渡しにおいて、裁判長は「特定の企業と癒着し、職務の公正や社会の信頼を大きく損なった。証人買収は前代未聞の司法妨害だ」と厳しく非難し、刑事責任は重く、長期の実刑は免れないと述べたという。

 この事件の贈賄側は、日本でのIR事業参入を目指していた中国企業「500ドットコム」。この企業から、議員会館事務所で300万円を受け取るなど、総額約760万円相当の賄賂を受領。保釈中だった昨年6~7月、同社元顧問2人に報酬を示し、公判で自分に有利な証言をするよう持ち掛けたが、これが裏目に出た。

 カジノもIRも、こんな汚いものはまっぴらだ。アベ・スガ政権の残滓とともに、日本中から一掃しなければならない。アベ・スガも秋元も、その身を恥じて、もう政界から身を引いてもらいたい。

ところが、秋元は十分に懲りては居ないようだ。判決前のメディアの取材に対して、今秋に予定されている衆院選について「やましいことはないので有罪判決でも出馬する」と答えているという。嗚呼、おそらくは、安倍も菅もなのだ。

桜を見る度に思い起こそう。そして語り継ごう。桜を見る会を私物化した、とんでもない首相がいたことを。

(2021年3月19日)
東京の昨日と今日とは、陽光燦々春も本番の趣。天気上々なれば気分も悪かろうはずはない。上野の桜ももうすぐ見頃。ヨウコウは満開、オオシマザクラは五分咲き、そしてソメイヨシノもちらほらと咲き始めている。コロナ禍のさなか、マスクは手放せないが、間もなく庶民の「花見・桜を見る会」の時期。ちょうど符節を合わせたように、安倍晋三の「桜を見る会・前夜祭」疑惑を忘れるな、という検察審査会議決。

本日書留郵便で、東京第五検察審査会からの、被疑者配川博之に対する審査申立に対する議決書が届いた。内容は、末尾に転載のとおり。

この件の審査申立対象の主役は安倍晋三である。起訴・有罪に持ち込むことができれば、彼の議員としての地位は失われる。彼は、それだけの犯罪を犯してきた人物なのだ。配川は、その公設秘書で端役に過ぎない。後援会長とされていただけの人。しかも、既に略式起訴が確定して有罪(罰金100万円)となっている。

東京地検特捜部は昨年12月、安倍晋三後援会の2016~19年分政治資金収支報告書に、桜・前夜祭の会食費に関する収支計約3022万円を記載しなかったとして、政治資金規正法違反罪で後援会代表だった配川を略式起訴した。が、2015年分については起訴の対象としなかった。会計帳簿の原本が失われていたことが理由とされている。検察審査申立は、これを不服としたもの。

検察が起訴しなかった2015年の「桜前夜祭会食費」について、検察審査会議決は「不起訴不当」と判断した。今後、東京地検が再度捜査し、起訴するかどうかを判断することになる。

この議決書、「検察官の不起訴は、一般市民の感覚では納得できない」とし、「収支報告の原本を廃棄しないための法改正・運用改正を求めている」などの点で立派なものとなっている。

実は、配川に対する審査申立は、時効の関係から急ぐ事情があるとして、安倍告発の本体から、切り離して別事件とした経緯がある。理由はともあれ、配川についての「不起訴不当」の議決は、やや物足りない。安倍に対する審査申立本体では、是非とも「起訴相当」の議決がほしいところ。そして…、毎年桜の咲く季節には、桜疑惑を思い出そう。国政を私物化し、選挙民を会食に誘っては飲食の費用を補填していた、とんでもない首相がいたことを。

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令和3年3月18日
令和3年(申立)第4号

審査申立人 澤藤 大河 殿

同     澤藤統一郎 殿

東京第五検察審査会

通 知 書

 当検察審査会は,上記審査事件について議決したので,別添のとおり,その要旨を通知します。

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令和3年東京第五検察審査会審査事件(申立)第2号,同第3号,同第4号
申立書記載罪名 政治資金規正法違反
検察官裁定罪名 政治資金規正法違反
議 決 年 月 日 令和3年3月3日
議決書作成年月日 令和3年3月17日

議 決 の 要 旨

審査申立人(第2号事件)
上 脇 博 之
審査申立人(第3号事件)
泉 澤   章  外6名
審査申立人(第4号事件)
澤 藤 大 河  外1名

被疑者  配 川 博 之
不起訴処分をした検察官
東京地方検察庁 検察官検事  田 渕 大 輔

上記被疑者に対する政治資金規正法違反被疑事件(東京地検令和2年検第18326号)につき,令和2年12月24日上記検察官がした不起訴処分の当否に関し,当検察審査会は,上記申立人らの申立てにより審査を行い,次のとおり議決する。

議 決 の 趣 旨

本件不起訴処分は不当である。

議 決 の 理 由

1 本件は,安倍晋三後援会(以下「後援会」という。)の会計責任者であった被疑者が,政治資金規正法により山口県選挙管理委員会に提出すべき後援会の平成27年分の収支報告書に平成27年4月に東京都内のホテルで開催された「安倍晋三後援会桜を見る会前夜祭」(以下「前夜祭」という。)における収支を記載しないで,山ロ県選挙管理委員会に提出したという事案である。
なお,平成28年分から令和元年分までの収支報告書に前夜祭の収支を記載しないで山ロ県選挙管理委員会に提出した事実については,既に略式命令がなされている。

2 本件不起訴処分記録並びに各審査中立書及び審査申立人が提出した資料等を精査し,慎重に審査した結果は次のとおりである。
(1)本件不起訴処分記録及び審査申立人が提出した資料等によると,平成27年度の収支報告書の原本(以下「本件原本」という。)は保管期限の経過により既に廃棄されていること,山口県選挙管理委員会が情報公開により開示をしてインターネットで公表ざれている平成27年度の収支報告書の写し(以下「本件写し」という。)は宴会費等を記載すべき部分を含む支出項目や会計責任者が署名する宣誓書等が欠落している不完全なものであることが認められる。
(2)しかし,本件不起訴処分記録によると,被疑者は,本件原本に平成27年の前夜祭の収支を記載しなかったことを認めている。
(3)また,平成27年の前夜祭の収入については,本件写しには収入に関する部分に欠落がないので,本件原本にも同年の前夜祭の収入が記載されていなかったことが認められる。
(4)そして,平成27年の前夜祭の支出については,仮に本件原本に支出項目の部分が欠落していたとしても,本件写しに記載されている平成27年度の支出総額よりも,証拠上認められる同年の前夜祭の支出額の方が多額であることから,本件原本における支出総額の記載は,同年の前夜祭の支出額を加えた記載でなかったことは明らかである。
(5)そうすると,本件原本が既に廃棄されていたとしても,他の証拠によって事実を認定できるので,本件を不起訴とした検察官の裁定は,一般市民の感覚では納得できない。
よって,上記趣旨のとおり議決する。

3 なお,本件では,本件原本が廃棄されているために原本自体を証拠とすることができないので,他の証拠から不記載罪が認定できるかどうかを検討せざるを得 ないが,当検察審査会としては,このような事態を避けるために,不記載罪の公 訴時効が完成するまでは収支報告書の原本を廃棄しないように,法律や運用を改める必要があると考える。

東京第五検察審査

政治腐敗の治療と予防に、市民の告発は有効なのだ。

(2021年3月13日)
忘れてはならない、安倍晋三政権という7年8か月の悪夢を。国政私物化と、ウソとゴマカシで塗り固めた汚れた政権運営を。その汚れた政権が、2020年を「改憲施行の年に」と叫んでいたことを。

心に留めておこう、安倍政権不祥事の数々を。最低限下記の呪文だけは記憶にとどめて、事件を覚えておこう。

モリ・カケ・さくら、タマゴにカジノ、クロカワイ。

森友学園事件・加計学園事件・桜を見る会私物化・鶏卵大手アキタフーズ農水大臣贈収賄事件、秋元司カジノ収賄事件・官邸の守護神黒川弘務事件・河井夫妻公選法起訴事件…。数え切れない、覚えきれない…。この政権は、アベノマスクに象徴される「無能政権」であったばかりではない。腐敗の政権、改憲指向の政権だった。この政権が国内の右翼を勢いづけ、民主主義や人権を脅かしたことを忘れまい。

「忘れまい」と力まずとも、折々、事件の方から国民に挨拶がある。たまたま昨日(3月12日)には、菅原一秀(元経済産業大臣)議員が話題の人となり、記者のマイクとカメラの標的となった。秘書が選挙区内の有権者に香典などを渡していた、あの香典政治家である。「モリ・カケ・さくら、卵にカジノ、クロカワイ」のどこにも入っていない。脇役でしかないが、歴とした安倍腐敗政権の有力大臣であった人。さすがに安倍政権、腐敗の裾野は広い。

この人、市民から刑事告発されたが、地検は起訴猶予とした。しかし、告発した市民はこの処分に納得せず、検察審査会に審査請求をしていたところ、「起訴相当」の議決となった。この議決のインパクトは大きい。告発人にも、検察審査員にも敬意を表したい。こうして、少しずつでも、政治の腐敗は正されていくのだ。

この人、2019年10月、選挙区内の有権者に、秘書が香典を渡してまわったことが明らかになって、公職選挙法違反の疑いで告発状が提出された。公選法は、「政治家がみずから葬儀や通夜に出席する場合を除いて選挙区内の人に香典を渡すこと」を禁じている。「政治家が選挙区内の人にむやみに香典を渡す名目で票を買う行為を防止するために、みずから葬儀や通夜に出席する場合以外の香典交付が禁じられた」と解すべきだろう。

東京地検特捜部は、捜査の結果、この人が「選挙区内の18人に総額17万5千円相当の枕花を寄付していた」「みずから弔問せずに選挙区内の9人にあわせて12万5千円の香典を寄付していた」と認定したうえで、「法を無視する姿勢が顕著とはいえない」として、起訴猶予処分とした。

しかし、審査請求を受けた東京第4検察審査会(東京には、第1~第6審査会まである)が本年2月24日付で「起訴相当」と議決した。その理由を「香典は個人的な関係だけで渡したものではなく、将来における選挙も念頭に置いたものと考えるのが自然だ。公職選挙法は金がかからない選挙を目指していて、検察は、国会議員はクリーンであってほしいという国民の切なる願いにも十分配慮すべき」と指摘していると報道されている。

「起訴相当」であるから、これを受けて地検は再び捜査を行うことになる。仮に、検察が再び不起訴にした場合には、検察審査会の再度の「起訴相当」議決によって強制起訴となりうる。「起訴相当」の議決には11人中8人以上の賛成が必要なのだから、地検は、国民目線の厳しさを心すべきである。

また、たまたま時を同じくして、話題の主となったのが、元東京高検検事長の黒川弘務。世が世であれば、検事総長として政権の守護神となっていたはずのお人。在職中に担当の新聞記者らと点ピンの賭けマージャンをしていた問題で告発され、この人も不起訴処分となったが、第6検察審査会が「起訴相当」と議決し、再捜査が進行していた。

各紙が一斉に報じている。東京地検は、賭博罪で黒川を略式起訴する方針を固めたという。「取材で分かった」との報道だが、リークがあったのだろう。地検は判断を一転させたことになる。略式ではあっても起訴は起訴。元検事長の起訴なのだから、インパクトは大きい。

実は、これまで表面化しなかったが、官僚や政治家に対する接待疑惑が噴出している。これも、安倍政権腐敗の膿である。「ソンタク」とならぶ「セッタイ」が流行語となりそうな雲行き。

あとからあとから切りがないとあきらめることなく、政治浄化の努力を続けよう。「どうせ告発などしたところで、まともに取りあげてはもらえない」と決めつけていては、事態は変わらない。現実に告発が実を結ぶこともあるのだ。

アベに昭恵(妻)ありて、スガに正剛(長男)あり。

(2021年2月5日)
菅内閣は、安倍後継を以て任じている。菅義偉は、ウソとゴマカシの安倍政治の大半に官房長官として関わっていたのだから、負の遺産の承継における「後継内閣」の資格はもとより十分である。だが、それにとどまらないようだ。

何よりも、真似をしがたい近親者の公私混同についても、菅は安倍に負けない。アベにおける昭恵(妻)に当たる存在が、スガでは正剛(長男)のごとくである。

菅の長男・菅正剛が、総務省幹部を違法接待していたことを昨日(2月4日)発売の「週刊文春」が記事にして話題となっている。これは、安倍晋三にとって、妻の安倍昭恵が籠池夫妻と関わって森友学園事件を引き起こしたごとく、菅義偉にとっての痛恨事となりかねない。が、本日のメディアの報道は、オリンピックに関連した森喜朗の「女性差別発言」一色となり、スガ長男の総務省高級官僚接待はやや霞んでしまったことが惜しい。

以下、文春On-lineからの抜粋引用である。

総務省の幹部らが、同省が許認可にかかわる衛星放送関連会社(東北新社)に勤める菅義偉首相の長男から、国家公務員倫理法に抵触する違法な接待を繰り返し受けていた疑いがあることが「週刊文春」の取材で分かった。

接待を受けたのは、今夏の総務事務次官就任が確実視されている谷脇康彦総務審議官、吉田眞人総務審議官(国際担当)、衛星放送等の許認可にかかわる情報流通行政局の秋本芳徳局長、その部下で同局官房審議官の湯本博信氏の計4名。昨年の10月から12月にかけてそれぞれが株式会社東北新社の呼びかけに応じ、都内の1人4万円を超す料亭や割烹、寿司屋で接待を受けていた。また、手土産やタクシーチケットを受け取っていた。

コロナ禍のさなかに総務省幹部らはなぜ接待に応じたのか。菅首相は、総務大臣を務め、総務省でアメと鞭の人事を行い、人事に強い影響力を持つとされる。また、東北新社の創業者父子は、過去、菅首相に合計500万円の政治献金を行っているが、その影響はなかったのか。東北新社に勤める長男が行った総務官僚への違法接待について、菅政権が今後どのような対応をするのか、注目される。

さっそく、昨日(2月4日)菅は衆院予算委員会で立憲民主党の黒岩宇洋議員の質問の矢面に立った。菅の釈明はこんなものだった。

「公的立場にない一民間人に関するもの(問題)だ。プライバシーに関わることであり、本来このような場でお答えすべきことではない」「(長男とは)普段ほとんど会っていない。完全に別人格だ。そこはご理解いただきたい」。

おいおい、それはないだろう。「ご理解いただきたい」という言葉は、そっくりお返ししなければならない。責任を追及されているのは一民間人に過ぎない菅正剛ではなく、内閣総理大臣たる菅義偉、あなたご自身なのだよ。内閣総理大臣たるあなたの影響力が、一民間人に過ぎない長男を通じて総務省の官僚に伝播し、公正な行政を曲げて東北新社という民間企業に不当な利益をもたらしているのではないかという疑惑が掛けられている。そのことをしっかりと自覚していただきたい。

行政の廉潔性や、廉潔性に対する国民の信頼に疑惑を生じさせたのは、直接にはあなたの長男だ。しかし、その疑惑はあなたという国政の最高権力者のバックがあればこそのことだ。つまりは、内閣総理大臣たるあなたと、一民間人たるあなたの長男との二人で疑惑を生じさせたのだ。責任の軽重は、もちろん内閣総理大臣たるあなたの方が限りなく重いが、一民間人の長男も、その疑惑に関わる限りは、プライバシー保護に逃げ込むことは許されない。

夫婦も親子も、別人格であることは当然だ。だが、別人格ながらも親密な関係にあることも、第三者から親密な関係と見られることも至極当然なのだ。総務省の官僚の側から見れば、菅義偉と菅正剛という別人格が、極めて親密な関係にあると忖度せざるを得ないのだ。うっかり正剛に不愉快な思いをさせると、義偉の機嫌を損ねて不利益を被ることになりはしまいか。そのように官僚を思わせているのが、スガさん、あなたの不徳の至り、自業自得なのではないか。そうは思わないかね。

黒岩宇洋は菅の答弁に対して「この疑念、疑惑は私人にかけられたものではなくて、菅政権そのものの疑念、疑惑だ」と批判。まったくそのとおりなのだ。

問題は、「実際に行政の廉潔性が傷つけられたか否か」というだけではない。首相の長男による高級官僚の接待があったというだけで、「行政の廉潔性に対する国民の信頼が傷つけられた」ということでもある。首相の不祥事である。徹底して追及しなければならない。

しかも、周知のとおり、昔も今も菅義偉は総務省とのつながりが深い。メディアの取材に、「同省関係者は『首相の息子に誘われたら、断れないだろう』と漏らす」というコメントがあった。さあ、菅義偉よ、この官僚の声をどのように聞く。

最新世論調査にみる、民意の菅政権離れ。

(2021年1月11日)
一朝有事の際には、一国の政治的指導者の求心力が格段に強まる。典型的には戦時の国民が、強力なリーダーシップを求めるからだ。指導者と国民とは、一丸とならなければ敗戦の憂き目をみることになるという共通の心理のもと、蜜月の関係となる。

戦時に限らず、災害の克服が一国の重要課題となるとき、同じことが起きる。無用な足の引っ張り合いや内部抗争はやめて、政府と国民一体となって効率的に課題を克服しなければならないとする圧力が生じる。こういうときの政府批判者や非協力者は、「非国民」と非難される。

だから、戦時も有事も自然災害も、為政者にとっては、権力拡大のチャンスとしてほくそ笑むべき事態である。新型コロナ蔓延も、その恰好のチャンス。安倍晋三の国政私物化政権を見限った国民の支持を再構築するために、なんと美味しいお膳立て。そう、菅義偉はほくそ笑んだに違いない。実際、台湾やニュージーランドを筆頭に、多くの国の有能な指導者が政治的求心力の高揚に成功している。

ところが、どうだ。菅義偉、このチャンスを生かせていない。いや、こんなチャンスに大きな失敗をやらかしている。政治指導者にとっての「チャンス」は、実は国民にとっては、生きるか死ぬか、生活や生業を継続できるか否かの切実な瀬戸際である。リーダーの舵取りの失敗は、厳しい批判とならざるを得ない。

最新(1月9・10日調査)のJNN(TBS系)世論調査において、「内閣支持と不支持が逆転 コロナ対応で軒並み厳しい評価」との結論が出た。菅内閣、政権支持率を浮揚して、求心力高揚のチャンスに大失態である。この政権の前途は多難だ。国民からの強い批判がもう始まっている。

 菅内閣の支持率は先月より14.3ポイント下落して41.0%となり、支持と不支持が逆転しました。政府の新型コロナ対応にも厳しい評価が出ています。

 菅内閣を支持できるという人は、先月の調査結果より14.3ポイント減って41.0%でした。一方、支持できないという人は14.8ポイント増加し55.9%と、支持と不支持が初めて逆転しました。

 新型コロナウイルスの感染防止に向けた政府のこれまでの取り組みについて聞いたところ「評価しない」が63%と、「評価する」を上回っています。

 政府が1都3県に緊急事態宣言を出したことについて聞きました。
 宣言発表を「評価する」人は65%、「評価しない」人は30%でしたが、タイミングについて尋ねたところ、「遅すぎる」が83%に達しました。

 新型コロナ特措法の改正について聞きました。
 飲食店などが時短要請に応じない場合に罰則を設けることの是非を尋ねたところ、「賛成」は35%、「反対」は55%でした。

 今年夏に予定される東京オリンピック・パラリンピックについて、「開催できると思う」と答えた人は13%、「開催できると思わない」と答えた人は81%でした。

 「桜を見る会」の前夜祭をめぐる事件で、これまでの安倍前総理の説明に「納得できる」と答えた人は12%にとどまり、「納得できない」が80%にのぼりました。

最後の3問が興味深い。コロナの蔓延を押さえ込むために特措法の緊急事態宣言に罰則を盛り込むことは、憲法を改正して政権の恣意を許す緊急事態条項創設への地ならしにほかならない。油断はできないが、反対世論が過半数であることに安堵の思いである。

東京五輪について「開催できると思わない」が81%(!)。これは、衝撃の数字だ。「金食い虫の五輪は早々とやめて、コロナ対策に専念せよ」が世論なのだ。政権がこれを軽視すると、取り返しのつかないことになる。

そして、世論は安倍晋三の旧悪について手厳しい。安倍晋三の「桜・前夜祭」のカネの流れについての認識如何は「総理の犯罪」の成否に関わる。その説明「納得できない」が80%(!)。これまた、世論の健全さを物語っている。なお、共同通信の同時期の調査も、ほぼ同じ傾向となっている。

衆院解散・総選挙の日程を間近にした今の時期、コロナの渦中でのアベ・スガ政権への国民の審判の厳しさは想像以上である。

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