澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

明日は、こぞって日比谷野外音楽堂に

有楽町駅前をご通行中の皆様、ただいま特定秘密保護法に反対する東京弁護士会緊急街頭宣伝活動を行っています。しばし、耳を傾け、配布しておりますビラをお読みください。

私は東京弁護士会に所属する弁護士です。登録以来40年余、日本国憲法を携えて法律実務を行う立ち場にあることを、我が身の幸運と考えてまいりました。日本国憲法こそは、日本国民の宝物であり、平和を願う世界の民衆の希望でもあると確信しています。

私のように、憲法をこよなく大切に思う者にとって、今国会で審議されています特定秘密保護法案は、到底容認しえません。この法案が法律として成立すれば、必ずや大きく憲法を蝕むものになります。日本国憲法が輝かしく掲げる国民主権、平和、そして人権という理念がいずれもないがしろにされる。座して看過するにしのばず、この法案の廃案を求めます。法案の成立を阻止すべく大きな声を挙げていただくよう、皆様に訴えます。

特定秘密保護法案によれば、特定秘密とは「安全保障に関する情報であって、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるために、特に秘匿することが必要であるもの」として、行政機関の長が指定したものです。特定秘密を取り扱う公務員が秘密を漏えいすれば、最高刑懲役10年をもって処罰されます。公務員だけでなく、秘密を侵害して取得した民間人も最高刑は懲役10年。公務員に漏えいするよう働きかけをした民間人も、その未遂も処罰対象となります。特定秘密を取り扱う公務員には何が特定秘密であるかがわかっていても、民間人側にはまったくわかりません。これは地雷のようなもの。踏んで爆発して大怪我をして初めて地雷が仕掛けられたことを知ることになるのです。

このような形で特定秘密が設定され厳重に秘匿されることでどうなるのでしょうか。二つのことだけを申し上げ、お考えいただきたい。

一つは、この特定秘密がいったい誰を対象に秘匿されるものであるのかということ。行政が情報を隠そうとしている相手は主権者である国民なのです。国民にとって最も重要で知らなければならない、平和や戦争にかかわる情報を国民の目から耳から隠そうというのです。その国民の中には当然に、国会議員も含まれます。特定秘密は、一般国民だけに秘密なのではなく、国会にも秘密、裁判所にも秘密になります。行政機関の長が特別に認めた場合にだけ、国会や裁判所に「他に漏れないよう」必要な措置が講じられていることを前提に例外的に解禁されます。これは、国会も裁判所も主権者国民も、「行政機関の長」が許可した範囲だけで情報を知ればよいという思想に基づくものです。

いうまでもなく、私たちは民主々義社会に生きています。民主々義とは、国民一人ひとりが自分の意見をもち、他の人の意見にも耳を傾けながら、討議を重ねて政策を形成していくというプロセスを指します。国民が自分の意見をもつためには、タブーなく、正確な情報を取得できなくてはなりません。特定秘密保護法の思想は、これに逆行するものです。

古来、情報を握る立ち場にある者が実質的な権力の掌握者となります。特定秘密保護法では、行政機関の長が、その一存で特定秘密の指定もできる、解除もできることになっています。国民に知られては不都合な情報はストップし、知らせたいとする情報はゴーサインとできるのです。

もうひとつ。特定秘密は国民に隠されますから、何が秘密かはヒミツということになります。どこにどのような秘密が存在するかは、国民には一切わかりません。その特定秘密の指定は、法が成立すれば当初40万件になると見込まれています。その40万件の秘密の内容は、国民も、国会も、裁判所も窺い知ることはできません。気骨あるジャーナリストがこれを暴こうとすれば、地雷を踏む危険を冒すことになります。

行政権力の側からみれば、こんなに都合のよい法律は他にありません。不都合な情報は隠せる。しつこく情報を求めるメディアには、犯罪になるぞと脅すことができる。良心的な公務員も、「なにしろ懲役10年ですから、取材は勘弁してください」ということになる。刑罰による威嚇効果は、メディアの取材活動に著しい萎縮効果をもたらします。国民が知らねばならないことが伏せられたまま、間違った方向に国の進路が決められてしまうことを恐れねばなりません。

お考えください。何が秘密かはヒミツなのですから、40万件の特定秘密が本当に法律が要求している要件を満たしたものなのか、恣意的に行政が国民に知られたくないからもぐり込ませた秘密なのか、それはヒミツなのです。誰も検証のしようがない。ここに、特定秘密の危険の本質があります。

この主張に対して、行政の側は、「国民は国家を信頼すべきだ。何を秘密にするかは、行政に任せておけ」という基本思想なのです。しかし、国民は国家を信頼してはならない。権力に対しては、常に、猜疑の目をもって監視を怠ってはならない。それが民主政治の大原則ではありませんか。

とりわけ、安倍政権を信頼してはならないとおもいます。かれは、「日本を取り戻す」と言っています。つまり、安倍さんによれば、「日本は今、奪われている」のです、「本来の日本ではない不正常な事態にある」という基本認識なのです。彼が取り戻そうとする日本とは、いったいどのような日本なのでしょうか。

彼は、「戦後レジームからの脱却」を口にする人物です。つまりは、戦後民主々義を総体として否定する立ち場です。戦後レジームを脱却して取り戻そうとする「強い日本」とは、戦前の大日本帝国憲法時代の日本。おそらくは彼が、尊敬して止まないという祖父岸信介が商工大臣を務めていた東條英機内閣の時代としか考えられません。それは、日本国憲法を根底から危うくする道です。

安倍晋三内閣を信頼して、目を耳も塞いでいたら、国民はあらぬところに連れて行かれかねません。自分たちの国の行く手は自分たちで決める。目も耳も口も、大きく開いていなければならないはずではないでしょうか。

私は、日本国憲法をこの上なく大切に思う立ち場から、安倍内閣こそ危険な存在だと考えざるを得ません。安倍内閣が提案した法案だから、いっそうの警戒が必要なのです。ところが伝えられるところでは、「みんなの党」は「特定秘密の指定と解除に首相が責任をもつことが確認されたから法案賛成にまわる」というのです。私には、信じがたいことです。行政権の行為の不当を心配しているときに、「行政府の長が責任をもつから安心」とは、何を言っているのかわけがわかりません。しかも、その責任をもつという人物が、憲法にとっても、国民にとっても、今最も危険な人物なのです。到底、修正案で納得できるはずがありません。

今、国民世論と国会の議席との間に、大きなネジレが生じています。世論調査の結果では、国民は特定秘密保護法に大きな不安を抱いています。議席の数の力でなんでもできるわけではありません。この法案を無理に通せば政権はもたない、と思わせることができれば廃案に持ち込むことが可能となります。

そのために、明日の特定秘密保護法に反対する日比谷野音の大集会にご参加下さい。できたら、集会後のデモにもご参加下さい。

私が子どもの頃、今は亡き父に言いました。どうしてみんな戦争に反対しなかったの。父は答えました。とても戦争に反対なんて言えなかったんだよ。どこの家庭でもあった会話ではないでしょうか。

今なら、ものが言えます。今なら、特定秘密保護法反対の集会が開けます。デモもできます。しかし、この法案を通せば、確実にものが言いにくい状況がつくられます。歴史が変わるきっかけになるかも知れません。

今に、子や孫に、「どうしてあのとき反対の声を挙げなかったの」と問われかねません。ぜひも明日は集会にご参加下さい。そして、集会の規模と熱気で、廃案を勝ち取る運動の第一歩にしようではありませんか。

明日、11月21日木曜日午後6時半、日比谷公園内の野外音楽堂でお目にかかりましょう。
(2013年11月20日)

こんな法案を、わずか2週間ほどの審議で通過させるなど論外だ

昨日のブログに、「みんなの党と言えども、みんながみんな自公との修正協議に賛成ではあるまい」と書いた。ところが、「みんなの党」には、一人ひとりのみんなはなく、党代表の愚昧な判断だけがあったごとくである。結局本日(19日)午後に、法案賛成にまわることに正式決定したとの報道。

「みんなの党のみんな」よ、ほんとにこれでよいのか。こんなに露骨に、自民党補完勢力の正体さらけだし、「官僚支配と闘う」などというスローガンの嘘っぱちを証明して見せて、有権者に恥ずかしくないのか。たったひとりの気骨ある議員もいないのか。

革新無党派層の票をさらって議員になって、都内の有権者を裏切って「みんなの党」に走った川田龍平の名誉挽回のチャンスだったが、その機会は永久に失われた。

本日は、品が悪くなるのは覚悟の上で気合いを入れてブログを書かねばと思っていたが、メディアの筆が鋭い。自分の文章は書かずに、いくつかの記事を紹介するに留めたい。

まずは毎日社説。みんなの党の修正合議の報にたじろがず、ぶれず揺るがず、原則論を貫いている。立派なものだ。

法案が衆院に上程された10月25日以後の特定秘密保護法関連の社説は12本になった。うち11本が「秘密保護法案を問う」と標題を付したシリーズもの。中見出しまで付して、その全部を書き出せば次のとおりである。
 10月26日 秘密保護法案 国会は危険な本質見よ
 11月 5日 秘密保護法案を問う 国民の知る権利
 11月 6日 秘密保護法案を問う 国の情報公開◇「不都合」隠される懸念
 11月 7日 秘密保護法案を問う 国政調査権◇国会が手足を縛られる
 11月 8日 秘密保護法案を問う 重ねて廃案を求める
 11月10日 秘密保護法案を問う テロ・スパイ捜査◇歯止めが利かぬ懸念
 11月12日 秘密保護法案を問う 歴史研究◇検証の手立てを失う
 11月13日 秘密保護法案を問う 強まる反対世論◇与党は考えを改めよ
 11月14日 秘密保護法案を問う 野党◇成立阻止が目指す道
 11月15日 秘密保護法案を問う 報道の自由◇「配慮」では守れない
 11月18日 秘密保護法案を問う 刑事裁判◇「秘密」のまま処罰とは
 11月19日 秘密保護法案を問う 修正協議◇安易な合意は禍根残す

以上のとおり、毎日は、与党に対しては「強まる反対世論◇与党は考えを改めよ」と述べ、野党に対しては「野党 成立阻止が目指す道」と諭していた。が、結局「みんなの党」は聞く耳を持たなかった。この政党に毎日はこう言っている。

「法案への疑問や懸念は国会審議でむしろ深まるばかりで、付け焼き刃的な修正でカバーできるものではない。与党による強行採決など数頼みの手段は許されない。野党側も将来に禍根を残しかねない中身での妥協は厳に慎むべきである」「何が秘密であるかが明らかにされないうえ情報公開のルールもなく、国会や司法のチェックも及ばない。質疑を重ねるほど法案の構造的な問題を露呈しているのではないか」

「そんな法案を2週間ほどの審議で通過させるなど論外だ。参院選で国会のねじれが解消して4カ月ばかりで数まかせの手段を行使するようでは選挙結果を有権者からの『白紙委任』とはき違えているに等しい」

「不可解なのがみんなの党の柔軟姿勢だ。同法案は官僚による情報独占、立法府や司法に対する行政優位を強めかねない大きな問題がある。ところが渡辺喜美代表は『総論賛成』と早々に言い切り、安倍晋三首相との会食で修正案まで示したという。官僚支配に反対した党の理念とどう整合するのか。同党の主張に沿い秘密指定への首相の関与が強化されたとしても恣意的な指定のおそれなどが解消するとは言い難い。安易な妥協で与党に採決の口実を与えてしまえば、その責任は重い。政党の真価が試される場面だ」

「2週間ほどの審議で通過させるなど論外」であるにもかかわらず、「不可解なのがみんなの党の柔軟姿勢」との指摘。11月13日付の毎日には、「同法案には、民主党が反対する方針を固めたほか、みんなの党は近く、独自に修正案をまとめる予定だ。共産党、生活の党、社民党は反対を決めており、自民党が現段階で修正協議に入れるのは維新だけというのが現状」との記事。「自民党が現段階で修正協議に入れるのは維新だけ」と思っていた矢先の、みんなの転びである。不可解以外に形容しがたい。

このことに、もっともストレートな見出しを付けているのが、「日刊ゲンダイ」で、「非難噴出! みんなの党『秘密保護法』ドタン場で裏切り合意」というもの。記事の内容を抜粋すれば以下のとおり。

「みんなの党の山内康一国会対策委員長は『(与党側の)誠意ある回答だった。趣旨をおおむね認めてもらった』と喜んでいたから開いた口が塞がらない。与党は首相の関与を形式的に明記するだけで、実務を各省庁が担う実態はほとんど変わらない。みんなは19日午前の政調部門会議で与党との修正協議を執行部に一任してしまった」「19日午前の党本部前には、みんなの裏切り行為を知った市民団体『秘密保護法を考える市民の会』の有志が集まり、『知ろうとするだけで犯罪』などのプラカードを掲げて抗議。『みんなの党のみんなとは誰のことか』『一人一人の議員はどう思っているのか』などとシュプレヒコールを上げた」

そしても最後が「東京新聞」。同紙は、解説ではなく、夕刊1面の記事として「恣意性チェック骨抜き」と見出しを打った。

「みんなの党は…与党が示した修正案を了承した。修正案は、政府の意のままの秘密指定を防ぐ第三者機関の設置は盛らず、「首相の『第三者機関的関与』で恣意的運用を排除し、指揮監督権を明記」としたが、首相は政府代表そのもので「第三者」ではなく、すでに「指揮監督権」もある。恣意性の検証は骨抜きとなった」と、記者の怒りが伝わってくる内容。

敵と味方がようやく見えてきた。問題の重要性も、問題の核心も見えて来つつある。大きな国民世論のうねりが起こる前に、慌てての強行採決に及ぶようなことがあれば、それこそ国民からの鉄槌を受けることになろう。
(2013年11月19日)

みんなの「修正合意」は自爆テロに等しい

今、野党は全部「特定秘密保護法」反対ですよ。実は自民党も、本当の腹を明かせば賛否半々だと思いますよ。総理が廃案言い出せば、楯突く議員はほんの一握り。安倍さんが方針を決めれば、推進派のマスコミの方も方針が変わる。安倍総理として国民から与えられた権力を、正しくあるべき姿に使う、こんな機会はない。殆どの国民も「特定秘密保護法反対」で協力出来る体制なんですよ。みんな万歳じゃないですか。こんな運のいい総理はいないと思いますよ。結局は、総理の判断力、洞察力の問題だと思いますけれども、そういう方向に行ってほしいと思う。

「特定秘密保護法は廃案」という方針を政治が出せば、必ず知恵ある人が、そのことを前提にして、日米関係の維持にいい案を作ってくれる。専門家の知恵を借り、その結論を尊重して進めていくべきだ。これからの日本において、「安全保障にかかわる問題はすべて秘密」と言って済むと思う方が楽観的で無責任過ぎる。

安倍晋三首相が決断すれば特定秘密保護法は廃案にできる。首相の力は絶大だから、首相が「廃案にしよう」と言えば、みんな反対はできない。政治的にはできるだけ早く、特定秘密保護法廃案という方向を明確に出した方がいい。こんな恵まれた時期はない。ピンチをチャンスに変える権力を首相は持っている。この環境を生かさないのはもったいない。分かってほしい。

その時期としては「即廃案」がいいと思う。時期を遅くして、国民の信頼を獲得する目はない。時期を失すれば、また「右翼で軍国主義者の安倍があがいている」なんて印象を悪くするだけだから。

大騒ぎしての廃案だが、国民みんなして、民主々義や知る権利の大切さを確認するというチャンスを天が与えてくれたと思えばよい。みんなで、この道を進まなければいけない時だ。

18日の夜。ここまで書いて、どうも事情が変わっているようすに気がついた。
自・公と、「みんな」が実務担当レベルでは修正協議に合意という報道がなされている。「野党はみんな反対ですよ」ではなく、自公に尻尾を振って擦り寄る政党が現れたのだ。どうも、にわかには信じがたい。「みんな」という政党は、メディアの論調を把握しているのだろうか。反対世論の急速な盛り上がりを無視しているのだろうか。野中氏や古賀氏のような、保守の長老も問題点を指摘して憂慮していることをどう考えているのだろうか。

みんな案の眼目は、「閣僚らが特定秘密を指定する時は首相の同意を義務づけること」だという。憲法65条は「行政権は内閣に属する」としているのだから、特定秘密保護法案における「行政機関の長の特定秘密指定」が、首相の同意に反してなされるはずはない。また、「指定は閣僚が行う」と言い、「首相が同意する」と言っても、実務は官僚に任されることは目に見えている。与党案だという「個々の指定・解除も首相が指揮監督し、必要な際は資料の提出を求める」も、厖大な数(当初は40万件)の特定秘密指定も解除も、所詮は官僚の手の内。「実際の業務を各省庁が担う実態はほとんど変わらない」と報じられているとおりだ。「みんな」は、自・公に恩を売るチャンスを狙っていたのだろう。ほんの少しの、名目だけに過ぎない「改善」案と引き換えに、法案成立推進派への仲間入りを果たそうというのだ。

これしきのことで、特定秘密保護法が成立に至るとは思えない。「みんな」だって、みんながみんな修正案に賛成というわけではなかろう。ただ、確実に言えることは、これで「みんな」の自民党補完勢力としての正体が露わになったこと。「第3極」とは、「半自民」「ミニ自民」「亜流自民」「自民の外から自民に尻尾を振る立ち場」のこと。もし、「みんな」が正式に、この修正案で自・公に手を貸して法案成立促進の側にまわるのなら、国民から厳しい批判に晒される。これは、自爆テロに等しい愚挙と言わねばならない。民主々義と平和を標的にしたテロ行為、そして自らを亡ぼすことにならざるを得ない自爆行為と知るべきだ。
(2013年11月18日)

リベラル・ノンリベラル・アンチリベラル ー各紙社説の分類

各紙が各様に、特定秘密保護法案の行方について、社説に見解を述べている。

赤旗は別格として、「毎日」が量・質ともに群を抜いている。同紙は、既に「特定秘密保護法反対宣言紙」である。法案が衆院に上程された10月25日以後の社説は10本。うち9本が「秘密保護法案を問う」と標題を付したシリーズもの。法案の問題点をあらゆる角度から徹底して解き明かそうという気迫が感じられる。社説だけではない。解説記事にも、「余録」にも、編集長のコメント欄にも、また投書にも、特定秘密保護法反対の気概が横溢している。廃案を求める姿勢に揺るぎなく、「権力には一歩も引いてはならない」とするジャーナリスト魂に脱帽するしかない。

 10月26日 秘密保護法案 国会は危険な本質見よ
 11月 5日 秘密保護法案を問う 国民の知る権利
 11月 6日 秘密保護法案を問う 国の情報公開
 11月 7日 秘密保護法案を問う 国政調査権
 11月 8日 秘密保護法案を問う 重ねて廃案を求める
 11月10日 秘密保護法案を問う テロ・スパイ捜査
 11月12日 秘密保護法案を問う 歴史研究
 11月13日 秘密保護法案を問う 強まる反対世論
 11月14日 秘密保護法案を問う 野党 成立阻止が目指す道
 11月15日 秘密保護法案を問う 報道の自由

毎日に比較すればもの足りないところが残るとは言え、朝日も、法案反対の姿勢を貫いている。

 10月26日 特定秘密保護―この法案に反対する
 10月30日 秘密保護法案―首相動静も■■■か?
 10月31日 情報を守る―盗聴国家の言いなりか
 11月 6日 秘密保護法案―社会を萎縮させる気か
 11月 8日 特定秘密保護法案―市民の自由をむしばむ
 11月12日 秘密保護法案―極秘が支えた安全神話
 11月16日 特定秘密保護法案―成立ありきの粗雑審議
 11月16日 特定秘密保護法案―身近な情報にも影

そして、本日の朝日2面「日曜に想う」に、星浩特別編集委員の「秘密保護法案 あの頃の自民なら」という「準社説」。「あの頃」というのは、1985年に自民党が「スパイ防止法案」提案した頃のこと。自民党内の戦争体験世代のバランス感覚があの法案を廃案にした、という文脈。具体的に挙げられている議員の名は、宮下創平・梶山静六・野中広務・加藤紘一・河野洋平の諸氏。いま自民党中枢にその諸氏あらば、「こんな法案が提出されることはなかったのではないか」「この法案は政権政党としての自民党の劣化を映し出している」と結ばれている。

次いで、「東京」である。そのリベラルな姿勢の印象に比して、社説の本数は意外に少ない。しかし、社説の内容はきっぱりと廃案を求めるものとなっている。

 10月23日 「戦前を取り戻す」のか 特定秘密保護法案
 10月31日 日本版NSC 秘密保護法を切り離せ
 11月 8日 特定秘密保護法案 議員の良識で廃案へ

以上のリベラル3紙だけでなく、ノンリベラル紙も瞥見してみよう。
まずは、日経。最近1か月の関連社説は下記の2本。
 10月20日 秘密保護法案はさらに見直しが必要
 11月16日 疑念消えぬ秘密保護法案に賛成できない

意外に内容は悪くない。「安全保障にかかわる機密の漏洩を防ぐ枠組みが必要なことは理解できる。だがこの法案は依然として、国民の知る権利を損ないかねない問題を抱えたままだ。これまでの国会審議では、疑念がむしろ深まった印象さえある。このままの形で法案を成立させることには賛成できない。徹底した見直しが必要である」「法案が成立すると、国政調査権や国会議員の活動を制約するおそれもある。三権分立の根幹にかかわるこうした議論も深まっていない。このまま拙速に成立を急げば、将来に禍根を残すだろう」とけっして政府・与党に与するものではない。が、なんとなく他人事についての通り一遍の記述。自社のジャーナリストとしての使命に関わるものという真剣味が感じられない。自社は弾圧対象にはなく、「安全圏」にあるという意識ではなかろうか。

さて、問題の「読売」である。関連社説は本日分を入れて3本。
 10月24日 秘密保護法案 国会はどう機密を共有するか
 11月 8日 秘密保護法案 後世の検証が可能な仕組みに
 11月17日 秘密保護法案 将来の「原則公開」軸に修正を

秘密保護の法律は必要との立ち場。そのうえで、与野党の修正協議を促す基本路線。
「安全保障戦略の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)の機能を充実させる上で、欠かせない法整備だ。国民から疑念を抱かれぬよう、与野党は議論を尽くし、合意点を探ってもらいたい」「与党時代に同様の法制を検討した民主党も、修正協議に参加すべきだろう」という。

しかし、その読売でさえ、「政府が特定秘密の対象を際限なく拡大し、都合の悪い情報を秘匿しかねないとの懸念は根強い」「半永久的に情報が秘匿されるといった批判もある」と問題点を認めている。そこで、「重要なのは、一定期間後に特定秘密情報を『原則公開』すると明示することではないか。後日あるいは遠い将来でも、公開するとなれば、政府の恣意的な指定に歯止めをかける効果が期待できる」と提案する。また、「仮に、捜査当局の判断で報道機関に捜査が及ぶような事態になれば、取材・報道の自由に重大な影響が出ることは避けられない。ここは譲れない一線だ」とも言わざるを得ない。

この「戦前取り戻し法」の成立に手を貸せば、いかに「政権寄り」姿勢を標榜するノンリベラル紙といえども、我が身の不幸に帰結することを覚悟しなければならない。

最後は、アンチリベラル紙「産経」である。およそジャーナリズムとは無縁の存在として無視してもよいのだが、少しだけ言及しておきたい。関連社説は次の1本だけ。
 10月24日 秘密保護法案 国会はどう機密を共有するか

もちろん、政権ベッタリ新聞の面目躍如に「今国会での成立を図ってほしい」という基調。それでも、「政府が恣意(しい)的な解釈、拡大解釈を行う懸念は残る。特定秘密を扱う公務員が取材に対して萎縮し、結果として情報隠しとなる恐れもある」「制度の運用に当たって政府には、『国民の知る権利』を担保する『取材・報道の自由』への十分な配慮を強く求めたい」とは言うのである。

特定秘密保護法案については、強く廃案を求めるリベラル派と、法案の修正協議によって妥協の道を探れとするノンリベラル派、そして、「今国会での成立を求める」とするアンチリベラル派に分かれる。説得力においてリベラル派が圧倒しているが、法案審議の帰趨は予断を許さない。

なお、ノンリベラル・アンチリベラルの両派といえども、リベラル派が指摘する法案の問題点・危険性は認めざるを得ない。そして、この法案の成立を急がなければならないとする根拠を提示する論調はない。産経といえども「今国会成立」とは一応は言いながらも早期成立を必要とする理由は一言も述べてはいない。十分な審議を要求することは、圧倒的多数の国民の声である。政府も自・公も、この声に背を向けてはならない。

谷垣禎一さん、重要法案にふさわしい徹底審議をお願いする

私は、自民党という政党を、けっして、大資本の利益の代弁者としてのみ見てきたわけではない。とりわけ、わが故郷岩手の地での自民党は、農民・漁民や中小業者の利益代弁者としての性格を色濃く持っていた。自民党は一色ではない。少なくとも、ついこの間までは。代表する利益集団も様々であり、思想も幅広い。「国民政党」といえば聞こえはよいが、実は鵺のごとき、異質な者の連合体でしかない。しかしまあ、なんと強靱な鵺であろうか。

鵺のごとき自民党という形容には、同党が安倍晋三のごとき唾棄すべき極右からのみ成り立っているわけではないという認識にもとづいている。とりわけ、かつては保守本流を任じていた宏池会に連なる、大平・鈴木・宮沢・加藤、そして古賀・谷垣などの諸氏には、「自由・民主」の理念を掲げた党名に恥じないリベラルな雰囲気を感じさせるものがあった。

とりわけ、弁護士でもある谷垣禎一議員には、自民党内の良識を代表するリベラル派として好意を感じていた。よく知られているとおり、同議員は、かつて「われら自民党議員『スパイ防止法案』に反対する」という論稿を「中央公論」1987年4月号に掲載している。その内容たるや、リベラル派議員としての面目躍如たるものがある。

同論文のリードは、次のとおり。
「わが国が自由と民主主義にもとづく国家体制を前提とする限り、国政に関する情報は主権者たる国民に対し基本的に開かれていなければならない。国民がこれにアクセスすることは自由であるのが原則なのだ。そしてこの国政に関する情報に、防衛情報が含められていることも論を俟たない」

1985年時点での国会の論争で、「国家機密法」(提案側は「スパイ防止法」)の法案に反対した側の論理を、さすがに正確に捉え巧みにまとめている。このような趣旨の論文を雑誌に発表した経過は、同論文自体が以下のように語っている。

自民党内で、「日本はスパイ天国であり、スパイ防止法を制定する必要がある」との議論が高まったのは、1980年1月の宮永元陸将補による防衛庁秘密文書漏えい事件。これを機に、党内に特別小委員会が設けられ、
同年4月に「防衛秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」(第1次案)
82年7月に、第2次案
84年「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」(第3次案)
85年6月、第3次案を第102通常国会に自民党案として提案したが、
同年12月、103臨時国会で審議未了廃案。
86年5月、党総務会に「防衛秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」(3次案に修正を施したもの)提案 激しい議論になる。
同年11月 谷垣・白川(勝彦)の起案で、計12名の議員が反対の1次意見書提出。
同年12月 谷垣・白川が詳細な逐条の2次反対意見書を提出。
87年4月 中央公論に論文と、両意見書を掲載

なお、連名した当時の12人の自民党議員たちは以下のとおり。
大島理森(衆)、太田誠一(衆)、熊谷弘(衆)、熊川次男(衆)、白川勝彦(衆)、杉浦正建(衆)、谷垣禎一(衆)、鳩山由紀夫(衆)、村上誠一郎(衆)、谷津義男(衆)、石井一二(衆)、佐藤栄佐久(参)

当ブログでも紹介したとおり、村上誠一郎議員だけは、今回の「秘密保護法案」に明確な反対意見を表明している。その首尾一貫した姿勢は賞賛に値する。もちろん、秘密の範囲を大きく広げたこと、精密な罰則規定を盛り込んで萎縮効果を狙っていること、適性評価の制度を新設したことなど、「特定秘密保護法」は、かつての「スパイ防止法」より格段に「悪く」なっている。谷垣議員や大島議員は、態度を変えたことについて、説明の責任があろう。

それにしても、87年の谷垣論文は、いま参考にすべき点を多々含むものとなっている。少し、重要部分を抜き書きしてみる。

「国民が国政に関する情報にアクセスすることは自由であることが原則なのだ。」「(防衛秘密は)あくまで原則に対する例外であるから、何でも秘密だというのでは、自由の原則が崩れてしまう。例外の認定は限定的でなければならないのだ。まして刑罰で秘密を守ろうという場合は、よくよく絞りをかけておかないと人の活動をいたずらに萎縮させることになりかねない」「しかし、秘密は例外であり、例外の認定は限定的でなければならないという考え方は、現在のスパイ防止法のとるところではない」

「この法案については、ジャーナリストの取材活動への制約や一般人にまで処罰が及ぶことへの警戒が語られるが、自由であるべき政治活動が制約され、萎縮するのではないかという点も私は危惧する」

「多くの人が、この法案の犯罪構成要件の絞りが十分でないと指摘している…。このような批判に対しては、運用のよろしきと判例による絞りによってこの難点を解消できるという人がある。しかし、どんな行為が処罰されるかは判決が出るまでわからないというのであれば、人は『ヤバいかも知れない』と思った途端にその行動を(本来許されている行為かも知れないのに)トーン・ダウンさせるであろう。このような萎縮効果の積み重ねこそが、自由な社会にとって一番問題なのである」

「(処罰の対象とされている)情報収集活動については、それが本来国民の自由な活動に属すべきことがらであるから、特に違法性の高い行為=本来のスパイ活動に限定して処罰規定を設けるべきだと考える」

以上の記述の「スパイ防止法」を「特定秘密保護法」に置き換えれば、そのまま中央公論の来月号の記事になる。その言やまことによし、である。とりわけ、スパイ防止法案を、「このような発想でつくられた法案が、国家による情報統制法の色彩を持つことを避けられない」との記述は、さすがにリベラル派ならではのもの。

「いまになって、態度を変えて怪しからん」と論難しても詮方なきこと。しかし、谷垣さん、あなたの良心にお願いしたい。この法案は、そもそも立法事実に欠けている。少なくとも、この法律を早期に成立させなければならない理由は皆無である。性急な審議の促進にも、審議未了の打ち切りにも、一片の道理もない。この法案のもつ意味の重大性にふさわしく、十分な時間をかけて論議を徹底していただきたい。かつてはあなた自身も指摘したとおり、問題点は数え切れないほどある。十分に審議を尽くすなかで、国民の十分な理解に基づく賛否の意見分布を見極めていただきたい。それこそが、「わが国が自由と民主主義にもとづく国家体制を前提とする限りの大原則」ではないか。法案の問題点を、国民の目から隠すための審議の打ち切りなどは、絶対にあってはならない。
(2013年11月16日)

維新・みんなの両党に申し上げるーここは踏みとどまっていただきたい。

まずは率直に申しあげる。このところの維新の衰退、みんなの伸び悩みの原因は明らかだ。「第3極」としての存在感を失ったから。つまりは、有権者の目に、自民の補完勢力としてしか映らなくなったからではないか。

いま、その有権者が、今国会での最大対決法案の審議の行方を見守っている。各党の動向は、主権者の監視のなかで検証に晒されているのだ。維新・みんなの両党に真率に申し上げたい。「やはり、自民党の補完勢力じゃないか」「所詮は自民党の別働隊でしかなかったのか」と、国民に烙印を押されるようなことがないようにお願いしたい。

自民党と妥協し法案修正に手を貸し、問題満載のこの法案の審議を打ち切って、特定秘密保護法制定に一役果たすとすれば、歴史に悪名を残す間もなく、有権者から見捨てられて消滅することになりかねない。にもかかわらず、自民党に「貸しをつくる」つもりだというのなら、状況の読み違えも甚だしい。

国民は法案の危険性について急速に理解を深めつつある。廃案を求める国民世論は飛躍的に盛りあがりつつある。パブコメを見よ、各紙の世論調査の変化を見よ。メディアも到底黙殺し得ず、ここに来て叛骨のジャーナリストの本領発揮の発言が目立つようになっている。明らかに、廃案を求める潮流が、与党と政権を圧倒しつつある。自・公は、国会の中では多数でも、この問題では国民世論に孤立しつつあるではないか。

だからこそ、安倍政権と自・公の与党は焦りを見せて、審議の打ち切りを強行しようとしている。しかし、今までこの法律なくて誰も何の痛痒も感じていない。多くの反対声明の真っ先に、「そもそも立法事実がない」(わざわざ刑罰権を発動して禁止の法律を作るべき根拠たる事実がない)、「立法の必要性を欠いている」と指摘されているとおりである。だから促進側は、せいぜいが「これまでなかったことが不自然」程度のことしか言えないのだ。早期成立にも、審議促進にも一点の道理もない。数々の疑問点について審議を尽くすべきことこそ、民主々義の要諦。審議の日程を切り詰め、ことさらに進行を急いで、強行採決をたくらむことは、国民からの非難を浴びるだけ。あえて、その非難の矢面に立つべく、自・公に追随するなど愚かなことではないか。

考えても見よ。両党とも、官僚支配打破が旗印のはずではなかったか。法案が成立した場合には、発足段階で40万件と言われる特定秘密の指定は政治家にできることではない、官僚が行うのだ。秘密の管理も、秘密の解除も、実は官僚が行う。官僚が自分に不都合な情報を秘密指定することはたやすいこと。古来、情報を掌握する者が実質において権力者となる。特定秘密として握った情報は、行政の透明性の要請からも、説明責任からも除外される。そして、小出しの情報で国政を誘導できる。特定秘密保護法の制定とは、官僚の権力掌握の源泉をつくってやることではないか。「強行採決色を薄めたい与党の演出に使われるような修正に応じるようなことがあれば、その姿勢の真偽すら問われよう」との常識的な指摘にどう反論できるというのか。

この法案は、稀代の悪法と言うほかない。「良い面も悪い面もある」などという生やさしいものではない。「国民主権を尊重する立ち場からの、行政情報透明性確保の要請」と「行政の便宜を第一義とする立ち場からの、行政が秘匿を欲する情報の国民への秘密確保の要請」の厳しい相克において、行政情報の透明性を廃して、露骨に秘密保護に偏重しているのが基本構造の正体。これは、国民からの監視を避けて行政の恣意を可能とする。その結果として、時の政権の思惑で政治を誘導できることになる。そのことが「新しい戦前」をつくる時代の転換点ともなりかねない。安倍内閣の危険なホンネを忖度すれば、背筋が寒くなる。

「平和を指向するのか戦争をできるようにするのか」「人権を伸長するのか、切り詰めるのか」「民主々義を増進するのか形骸化するのか」「議会制民主々義を発展させるのか、その危機をもたらすのか」「国民の知る権利を尊重するのか、ないがしろにするのか」「罪刑法定主義を擁護するのか放擲するのか」「戦前のごとき公安警察の復活を許すのか、許さないのか」…。特定秘密保護法案は、あらゆる問題において、良い方向へのベクトルをまったく持たない。どこをどう切り取っても、危険な悪法にしかならないのだ。

もうひとつ指摘しておきたい。「小さく産んで大きく育てる」という言葉がある。自・公は、最悪の場合はこの立場を取ろうとしているのだ。つまりは、「大きく産むこと」が困難ならば、小さくともまず産むことが大切、という考え方だ。いったん産みおとすまでが一苦労。あとは、気長に大きく育てればよい。治安維持法も軍機保護法も「小さく生まれて、大きく凶暴に育った」。 あの手口を学んでみようとしているのだ。

治安維持法は、1925年に「小さく」生まれた。但し、「国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」と、天皇制を変革し資本主義を否定する思想を処罰する、その基本枠組みはしっかりと持つものだった。
これが、1928年と1941年の2度にわたって大改正されて、「とてつもなく大きく」育った。条文が全7ヶ条だったものが全65ヶ条になっただけでなく、処罰範囲も拡がり、極端なまでに重罰化され、特別の刑事訴訟手続までが法定された。

軍機保護法も同じ。1899年に制定されたが、戦時色が強くなった1937年に全面改正され、さらに太平洋戦争開戦直前の1941年にも改正されて完成体となっている。軍事機密を防衛するために、一般人も処罰対象にし、報道の自由を圧殺した。今次の特定秘密保護法案と基本構造を同じくするものだ。

国民弾圧法規としての危険な本質は修正によっても変わらない。「修正させた」ことは何の手柄にもならない。「法案成立に手を貸した」ことの汚名と国民からの批判を覚悟しなければならない。だから、重ねて、維新・みんなの両党に申し上げる。ここは踏みとどまってもらわねばならない。法案の修正に応じて自・公に妥協するのではなく、あくまで廃案の姿勢を貫いていただきたい。監視している国民の期待に応え、批判に耐えうる態度を貫いていただきたい。
(2013年11月15日)

 *************************************************************************本日、日弁連から下記のメールが届いた。ご紹介しておきたい。

  ◇◇◇◇ JFBA通信 No.135(通算No.222) ◇◇◇◇
   2013.11.15発行
  日本弁護士連合会 広報室

☆。..:*゜「STOP!『秘密保護法』11.21大集会」へご参加ください *:..。☆
日弁連は、「STOP!『秘密保護法』11.21大集会実行委員会」主催の集会の後援をしています。奮ってご参加ください。
 日時:11月21日(木)18時30分開会 19時30分国会請願デモ
 会場:日比谷野外音楽堂
 詳細はこちら。 http://www.himituho.com/

民主党の混沌ー特定秘密保護法案への対応 

特定秘密保護法案の成否に大きく関わるものとして民主党の動向が注目されている。反対を貫くのか、自民党との妥協策に走るのか。

「毎日」の13日朝刊トップが「特定秘密保護法案 民主反対へ 修正協議応じず」と打ち、大きく耳目を集めた。そして、「北海道新聞」が続いて、同日の夕刊1面で、「民主 秘密保護法案反対へ 自公は維新と修正協議」と記事を出した。

「毎日」の記事のキモは、「民主党幹部は12日、毎日新聞の取材に、海江田万里代表ら党執行部が11日に同法案に反対で臨む方針を確認したことを明らかにしたうえで『採決で反対するだけか、対案を出すかはまだ決めていない』と説明した」というもの。

道新は、「民主党幹部は同日、仮に与党側との修正協議を行っても、大幅な内容変更は困難との見通しを示した上で『一部を修正した程度で法案に賛成すれば、民主党の存在意義がなくなる』と述べた」「国会審議で秘密指定が妥当かどうか検証できないなどの問題点が明らかになったことに加え、同法案に対する世論も厳しいため、海江田万里代表ら党執行部が反対に傾いた」としている。

ところが、13日付の民主党ホームページの記載内容は、すこし様子が違う。同党「広報委員会」名の発表は、タイトルを「特定秘密保護法案に関する一部報道に『事実と違うもの』と抗議 松原国対委員長」としている。毎日や道新の報道を真っ向否定するのではないが、「法案に反対とは言われたくない」との態度がありあり。自民との協議の余地も残しておきたいとの腹と読める。内部での意見の不一致が解消されていないということなのだろう。続いて次のように述べている。

「民主党は13日昼、国会対策役員・理事合同会議を開いた。松原仁国会対策委員長は冒頭のあいさつで、特定秘密保護法案に関し、『民主党が与党との修正協議には入らず反対する方針を固めた』とする同日の一部報道を取り上げ、…『事実と違うもの』だと抗議の意を表した。これに関連し、国家安全保障特別委員会では、特定秘密保護法案と情報公開法改正案の審議が本格化していると述べ、さらに議論を深めていくとした」というもの。

また、同党ホームページに、「役員会で『特定秘密の保護に関する法律案』に関する論点整理(メモ)を提示」とも掲載されている。「同メモは、政府案についての問題点を50項目にわたって整理したもの」「民主党としては修正案か対案を準備する方向だ」「国会審議のなかで、いろいろ問題点が浮かび上がってきた。答弁はまだまだ不十分だ」「与党にも窓は開いている」‥。

以上の記事を読んでもなにが方針かは分からない。要するに、方針は混沌としているとしか言いようがないのだろう。

ところで、「50項目の論点整理(メモ)」は、昨日来、民主党ホームページからダウンロードできる。A4・8ページの分量だが、結構な読みごたえがある。

たとえば、「『秘密保護法』制定の必要性」と標題された、冒頭の3項目は以下のとおり。

(なぜ新規立法が必要なのか)
○現在の国家公務員法、自衛隊法などの秘密保護法制では、どこがどのように問題なのか。「防衛秘密」、「特別防衛秘密」などの制度で対応できるのではないか。なぜ現行法では駄目で、新規立法が必要なのか。現行法の見直しで対応することは政府として検討したのか。

(立法の目的に合致するのか)
○政府は、外国の情報機関からの情報提供を受けるとともに共有するために必要と説明している。そもそも米国など外国からの要請がどこまでのものなのか。本法律によって外国の情報機関が情報提供・共有をするという確証はあるのか。その理由は何か。

(肝心な運用はすべて政令にゆだねられ、政府の都合で運用されるおそれ。)
○本法案は、以下のように、「特定秘密」の範囲および指定、管理や有効期限、指定者や適正評価、「知る権利」、刑罰対象行為などで、数多くの曖昧な点がある。しかし、これらの統一的な運用を図るために必要な基準は、有識者の意見を聞くものの、すべて政令に委ねられ(第18条、第20条)、政府が定めて運用することになっている。これでは、時の権力の恣意性によらない民主的で公正な運用を保障することができないのではないか。基準とともに、実際の運用についても、国会が関与して国民の監視ができるような仕組みを検討する必要があるのではないか。

以上の3項目の「徹底追及」「徹底解明」が、今月中に審議できようとはとても考えがたい。50項目全部となればなおさらのこと。この50項目のホームページでの公表を根拠に、「徹底審議を通じて廃案に追い込む姿勢」と見ることもできようし、「与党にも窓は開いている」と「自民党との妥協を探る姿勢」を見ることもできる。

私の理解だが、民主党内にも意見はさまざまなのだろう。この混沌がどう収束するかは、今のところ予断を許さない。毎日も道新も、民主党が反対に転じた理由として「同法案に対する世論の厳しい反応」を挙げている。もしかしたら、まだ「世論の厳しさ」の伝わり方が十分ではないのかも知れない。

そこで、やはり11月21日(木)午後6時半の STOP!「秘密保護法」11・21大集会が大きな意味をもつことになりそう。この集会が法案審議の帰趨を決めることになるかも知れない。

同集会には、日弁連が後援することが正式に決まった。山岸憲司会長が登壇して挨拶することになるだろう。私も万余の群衆の一人として参加する。その数を、その声を、その力を、与野党にも政府にも見せつけよう。そして、民主党を励まそうではないか。
(2013年11月14日)

STOP!「秘密保護法」11・21大集会へ!

お互い、仕事は忙しい。
プライベートの時間も惜しい。
夜は寒いし、からだもきつい。
それでも、21日だけは都合をつけて、
日比谷に行こう。
日比谷野音の大集会に。

俺があがいてどうなるものか。
文句はあるけど、おっくうだ。
ウチでのんびりしていたい。
それでもこの日は時間を割いて、
日比谷に行こう。
日比谷野音の大集会に。

それは秘密だ知ってはならぬ。
知ろうとすれば厳罰だ。
何がヒミツか、それさえヒミツ。
何も見えない、聞こえない。
真っ暗闇の危ない世界。
どこへ引かれて行くのやら。
アベノ独裁、まっぴらだ。

昔、大人に言ったっけ。
 どうして戦争しちゃったの。
 どうして戦争止めなかったの。
 どうして抵抗しなかった。
今に、子どもに言われるぞ。
 どうして、あの日に日比谷に行かなかったの。

今のうちならまだ間に合う。
今のうちなら、文句が言える。
今ならこその大集会。
その今だから、日比谷に行こう。
日比谷野音の大集会に。

みんなが風と日和を読みながら、
お互い時流を眺めてる。
一人ひとりが寄り集って、
万余の数となるならば、
万余のシュプレヒコールが響き合う。
声は届くぞ、与野党に。
アベノ耳にも突き刺さる。

大群衆の情熱で、風が起こるし、流れができる。
日和を見ていた風見鶏、きっと慌てて向き変える。

「今こそ声をあげよう!11・21大集会」へ!
STOP!「秘密保護法」11・21大集会へ!
11月21日(木)午後6時半
日比谷野外音楽堂へ そしてその後のデモ行進に。
東京以外の各地でも、同じ時間の大集会に。

幟があったら幟をもって
幟がなければ、プラカードつくり、
それもなければ手ぶらでも。

仲間があれば連れだって、
仲間がなければ誰かを誘い、
それもなければ一人でも。

時間があったら最後まで、
時間がなければちょっとだけ。
ともかく行こう。この日だけは。

割いた時間は無駄にはならぬ。
一人ひとりのその声が、
 悪法退治の主役となって、
 民主々義をつくり出す。
 平和な社会をつくり出す。
 揺るぎない新たな歴史をつくり出す。

21日は日比谷に行こう。
日比谷野音の大集会に。
(2013年11月13日)

特定秘密保護法案ー反対世論は沸騰しつつある

本日(11月12日)の「毎日」は、一面トップに「特定秘密保護法案『反対』59%」の大見出し。これに「審議『慎重に』75%」と続いている。同紙が11月9、10両日に実施した世論調査の結果だ。心なし、誇らしげな紙面。

「毎日」は、特定秘密保護法案賛否の世論調査結果を10月4日にも発表している。その前回調査結果へのブーイングを同日付の当ブログで取りあげた。
  http://article9.jp/wordpress/?p=1286
10月冒頭の前回調査では、特定秘密保護法「必要でない」は15%に過ぎず、「必要だ」が57%を占めた。同じ「毎日」が本日発表した調査結果は、賛否の数値が劇的に逆転している。秘密保護法案「反対」59%、「賛成」29%である。質問事項が精密になったこともあるが、明らかに世論はこの1か月で大きく動いた。「毎日」自身が、「国会審議などで法案の問題点が明らかになりつつあり、世論の慎重論につながったとみられる」と解説している。いっそうの宣伝活動を強めることによって、反対世論はさらに大きくなる。もうすぐ廃案に手が届く。その確かな手応えが感じられる。

毎日の今回調査は、1か月前の前回調査と比較して詳細であり、質問項目も増えている。今国会での審議の在り方についての質問と回答は重要だ。結果は、以下のとおり。
  「今の国会で成立させるべきだ」   8%
  「今国会にこだわらない慎重審議」 75%
  「廃案にすべきだ」           11%
解説は、「(合わせて)86%が会期内成立に否定的」。しかも、「安倍内閣を支持する層では「慎重審議」は81%とさらに上昇し、自民支持層でも79%に達した。法案に賛成する層でも「慎重審議」は76%を占めている」としている。当ブログで「風向きが変り始めた」と紹介した共同通信の調査結果(10月28日)と符節が合っている。

さらに興味深いのは、「法案成立後、政府が都合の悪い情報を隠すおそれがあると思うかどうかを尋ねたところ、「思う」が85%を占め、政府の「情報隠し」への懸念が強いことを裏付けた」ということ。これは心強い。政府を信頼できないとする世論が85%で、「思わない」という頑固な政府信頼派の10%は除くとしても、この法案反対には9割の国民の声を揃えることが可能だとの示唆ではないか。

なお、「毎日」は、本日も「秘密保護法法案を問う」シリーズの社説第6弾を掲載している。「歴史研究」について「検証の手立てを失う」というもの。締めくくりが、「歴史研究が妨げられることは単に専門家たちの問題ではない。研究の積み重ねが、やがて教科書にも生かされ、国民全体に共有されていく。現代の専門家が困ることは、未来の国民が困ることにつながる」と、さすがに説得力がある。

「朝日」も本日の紙面で世論調査の結果を公表した。ここでも、次のとおり「反対」が「賛成」を上回っている。

特定秘密保護法案の賛否について聞いたところ、
  「賛成」は30%で、
  「反対」の42%の方が多かった。
  「その他・答えない」は28%だった。

また、特定秘密保護法ができることで、秘密情報の範囲が広がっていく不安をどの程度感じるか、4択で尋ねると、「感じる」と答えた人は「大いに」19%、「ある程度」49%を合わせて68%にのぼった。「あまり感じない」は22%で、「まったく感じない」は5%だった。

本日は朝日も社説を書いている。「秘密保護法案 極秘が支えた安全神話」というもの。16年前に朝日が入手して報じた「原発テロ対策」から話しを始め、「原発の安全神話を支えたのは、秘密をつくりたがる官僚体質と、それを許した政府の不作為ではなかったか」と問題を提起している。これも肯ける。

その朝日に、「週刊朝日」の広告。その中に、「本誌は特定秘密保護法に反対します」との宣言文があって「運命の人 西山太吉氏の警告」の記事が掲載されている。これは良い。私も、「当法律事務所は特定秘密保護法に反対します」と宣言しよう。多くの人に続いてもらいたい。

また、各紙が、昨日(11日)なされた、テレビ番組に出演しているキャスターやジャーナリスト8人の記者会見と反対声明を大きく報じている。自発的に集まったという8人は、鳥越俊太郎、金平茂紀、田勢康弘、田原総一朗、岸井成格、川村晃司、青木理、大谷昭宏。これに、赤江珠緒、吉永みち子も名を連ねているという。この顔ぶれは凄い。どう凄いかはともかく、新聞を読まないテレビ族に影響は大きい。

この件を報じた「東京」は、「国家のヒミツ『息苦しく非民主的』ジャーナリスト会見」と見出を打った。
「田原さんは『秘密をチェックする機関もなく、内閣の承認で永遠に情報公開されない。こんなばかばかしい法律があってはならない』と厳しく批判した」「会見では秘密の範囲のあいまいさなどに不安の声が噴出。田勢康弘さんは『いつの時代も政府は拡大解釈し、隠し、ウソをつく。これを前提に考えるべきだ。これほど危ない法案はない』と述べた」「川村晃司さんは『正当な取材なら罪に問わないというが、正当かどうかを決めるのは国。メディア規制の法案だ』と指摘し、報道する側の萎縮効果を懸念した」「声明は『秘密の多い国家は息苦しく、非民主的。特定秘密保護法案の法制化を黙視できない』としている。声明に同調するが、名前を出せないというテレビ関係者もいるといい、金平茂紀さんは『この息苦しさこそ秘密保護法の本質。修正ではなく、廃案にすべきだ』と主張した」と報じている。

さらに、各紙が日本外国特派員協会(東京都千代田区)の、昨日(11日)付けの声明発表を報じている。日本外国特派員協会(東京都千代田区)とは、日本で取材する外国報道機関の特派員の団体で、約2千人が所属しているという。その特派員たちが日本の国会議員にもの申すのは、極めて異例のこと。日本で取材活動をする外国人記者にとって、他人事ではなく、自らの職業的使命に抵触し、場合によっては逮捕・起訴の危険を感じざるをえないということなのだ。

赤旗の報道は以下のとおり。要約しようと思ったが、ハサミを入れがたい。赤旗を講読していない方はぜひ目をお通しいただきたい。

日本外国特派員協会(ルーシー・バーミンガム会長)は11日、日本の国会議員にたいし、「『特定秘密保護法案』は報道の自由および民主主義の根本を脅かす悪法であり、撤回、または大幅修正を勧告する」とした会長名の声明を発表しました。

声明は、同法案に「強い懸念を持っている」と表明。その理由として、記者を起訴と懲役刑の対象にしかねない条文と、それに準ずる一部与党議員の発言をあげています。

 また、「政府と政治家の活動に関する秘密を明らかにして、国民に知らせることが調査報道の真髄だ」と述べ、「調査報道は犯罪行為ではなく、むしろ民主主義の抑制と均衡のシステムに不可欠な役割を果たしている」と強調しています。

 声明は、法案の条文では「報道の自由」が憲法上の権利ではなく、「政府高官が、『充分な配慮を示すべき』案件にすぎなくなっていることを示唆している」と指摘。ジャーナリストへの脅し文句も含まれ、「これは報道メディアに対する直接的な威嚇であり、個別のケースにおいて許せないほどに拡大解釈ができる」「政府・官僚が存分にジャーナリストを起訴できるよう、お墨付きを与えることになる」と批判しています。

 その上で、同法案の全面的な撤回または、「将来の日本の民主主義と報道活動への脅威をなくすような大幅な改定」を求めています。

以上のとおり、特定秘密保護法案に対する反対世論は沸騰し始めている。しかし、与党と安倍政権とは、反対世論の盛り上がりを恐れて、審理の打ち切りと早期の強行採決に持ち込むおそれがある。「自民党国対幹部は、『21日までに参院に送付する』と述べ、会期内成立の方針に変わりはないことを強調した」というのが、現在報じられている政府与党の審議予定状況。

11月21日(木)夕刻には、特定秘密保護法反対陣営総決起の日比谷野音大集会とデモ行進が予定されている。それまでの10日間に、どれだけの世論形成ができるか、時間との勝負の様相だ。
(2013年11月12日)

「STOP! 秘密保護法共同行動」の街頭宣伝活動で

ご紹介いただきました日本民主法律家協会の澤藤です。有楽町をご通行の皆様、ぜひ耳をお貸しください。私は、特定秘密保護法の成立は議会制民主々義の危機だと申し上げたい。なんの誇張でもない、正真正銘の民主々義の危機。そのような意味で、この法案は稀代の悪法というにふさわしい。

先程から何人もの弁士が語っているとおり、特定秘密保護法とは「行政機関の長(各省大臣等)が国民に知らせてはならないとする情報を特定秘密に指定してこれを国民の目の届かないところに隠蔽し、この情報を国民に知らせようとする者に重罰を科す」という基本構造をもった法律です。国民の目と耳を塞ぎ、主権者である国民の知る権利をないがしろにするもの。そのことによって、国民が正確な情報に基づいて自分の意見を形成して政治に参加するという、民主々義の根本を堀崩すものとならざるをえません。

当然のことながら、「知る権利を侵害される国民」の中には国会議員もふくまれます。国会議員も、正確な情報に基づいて意見を形成して国会審議に参加するという、国民から付託された使命を全うすることができなくなります。本来国会は国権の最高機関であって行政府には優位に立ちます。国政調査権を行使して行政を監督すべき立ち場にあります。ところが、特定秘密保護法が成立すれば、知る権利を侵害された国会は最高機関としての役割を果たせなくなります。国会の使命として最も重要な、戦争と平和、国際協調や外交の問題について、行政機関の長が許可した範囲の情報しか入手できないことになるからです。

戦前には、民主々義は存在しませんでした。立法権は天皇にあり、貴衆両院からなる帝国議会は天皇の「協賛機関」に過ぎませんでした。国民は、敗戦という高価な代償をもって日本国憲法を獲得し、その中に国民主権原理という大事な柱を据え付けました。国会は国権の最高機関として、行政の暴走への十分な監視監督ができなくてはなりません。

条文を引用すれば、憲法62条は「両議院は各々国政に関する調査を行い、これに関して証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」と各院の国政調査権を定めています。これを承けた国会法や議院証言法は、政府が国会への報告の義務を負うこと、求められた証言や資料提出の義務を定めています。どうしても義務を履行できない場合には、「国家の重大な利益に悪影響を及ぼす」との声明を内閣が出さなければなりません。

ところが、特定秘密保護法案は、国会と行政の立ち場を行政優位に逆転します。これでは、国会は行政の暴走をチェックすることができません。これが、議会制民主々義の危機という理由です。

特定秘密保護法案では、国会が行政に求めた情報の提供について、それが特定秘密にあたる場合には、行政機関の長が「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」にだけ国会の要求に応じればよいことにされています。つまりは、諾否の権限を行政の側が握っているのです。しかも、行政機関の長が国会に特定秘密を提供する場合にも、国会は非公開の秘密会でなくてはならないのです。主権者である傍聴人も、国民の知る権利に奉仕すべき立ち場にあるメディアの記者たちも閉め出した密室での「特定秘密のこっそり提供」なのです。

まだ先があります。秘密会で提供された特定秘密を知った国会議員が、これを政党の幹部に報告しても、仲間との政策議論の場で口にしても、あるいは調査依頼のために政策秘書に漏らしても、最高刑懲役5年の犯罪なのです。その議員に働きかけて情報を得て、記事を書こうとした気骨ある記者も処罰対象となります。

かくも厳重に秘匿される「特定秘密」とはなんでしょうか。「安全保障にかかわる情報で、4分野(外交・防衛・スパイ・テロ)の法律列挙事項に関する、特に秘匿を要するもの」というのです。外交問題にしても防衛事項にしても、主権者である国民が最も知ることを望み、最も知らねばならないものです。このような特定秘密の指定件数は、法が成立すればまず40万件を超えると言われています。

内容が重要でしかも厖大な秘密情報。それが隠蔽されたままでは、平和を守り戦争を防止するための国会審議はまったくできません。日米間に密約はないのか、非核3原則は守られているのか、日本に寄港している核艦船に放射線漏えいはないのか、オスプレイの構造上の欠陥はないのか、国内原発の構造は安全なのか、TPPでは主権が売り渡されているのではないか、自衛隊も公安調査庁も警察も平和を求める市民団体の監視を行っているのではないか、国民のプラバシー侵害を行っているのではないか‥、幾多の重要問題が秘密にされ国会の審議は形骸化してしまいます。しかも、「何が秘密かはヒミツ」なのですから、時の政権に不都合な情報が特定秘密に紛れ込むことは大いにあり得るところです。

特定秘密保護法は、国会の権威、国会の権限を貶めるものです。国会に対する行政優位、実質的には官僚優位をもたらし、議会制民主々義の危機を招くものです。保守も革新もなく、国民からの付託を受けた国会議員が、自らの使命や権能の失墜をもたらす法案に賛成することが理解できません。民主々義を大切に思う多くの人々の力を結集してこの法案を廃案に追い込もうではありませんか。
(2013年11月11日)

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