澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

昭和の日に、旧天皇制の時代状況を考える。

本日は、昭和の日。昭和天皇と諡された裕仁の誕生日。かつての天長節である。
祝日法では、「昭和の日」の趣旨を「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」としている。「激動の日々」とは、天皇制ファシズムと戦争の嵐の時代のこと。「復興を遂げた昭和の時代を顧み」とは、敗戦を機として社会と国家の原理が大転換したことを指し、「国の将来に思いをいたす」とは再びの戦前を繰り返してはならないと決意をすること。

いうまでもなく昭和という時代は1945年8月敗戦の前と後に2分される。戦前は富国強兵を国是とし侵略戦争と植民地支配の軍国主義の時代であった。戦後は一転して、「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることの決意」から再出発した平和憲法に支えられた時代。戦前が天皇のために滅私奉公を強いられた時代であり、戦後が国民個人の自由や人権を尊重すべき原則の時代といってもよい。

国や社会の将来に思いをいたすためには、過去に目を閉ざしてはならない。昭和の日とは、なにゆえに戦争が生じたのか、誰にどのような戦争責任があるのか、を主権者としてじっくりと考えるべき日。とりわけ、この日には昭和天皇の戦争責任について思いをいたさなければならない。同時に、「戦後レジームからの脱却」などと叫ぶ政権の歴史認識検証の日でもある。

かつて、祝日には学校で、「祝日大祭日唱歌」なるものを歌った。1893(明治26)年8月12日文部省告示によって「小学校ニ於テ祝日大祭日ノ儀式ヲ行フノ際唱歌用ニ供スル歌詞並楽譜」として『祝日大祭日歌詞並楽譜』8編が撰定された。その「第七」が「天長節」という唱歌。歌詞を見るだに、気恥ずかしくなる。

  今日の吉き日は 大君の。
  うまれたまひし 吉き日なり。
  今日の吉き日は みひかりの。
  さし出でたまひし 吉き日なり。
  ひかり遍き 君が代を。
  いはへ諸人 もろともに。
  めぐみ遍き 君が代を。
  いはへ諸人 もろともに。

なお、全編を挙げれば、以下のとおり。
  第一  君が代 
  第二  勅語奉答
  第三  一月一日
  第四  元始祭
  第五  紀元節
  第六  神嘗祭
  第七  天長節
  第八  新嘗祭

あまり知られていない、「第二 勅語奉答」の歌詞も挙げておこう。こんなものを子どもたちに歌わせていたのだ。こちらは、気恥ずかしさを通り越して、腹が立つ。なお、作詞者は旧幕臣の勝海舟だという。

  あやに畏き 天皇(すめらぎ)の。
  あやに尊き 天皇の。
  あやに尊く 畏くも。
  下し賜へり 大勅語(おほみこと)。
  是ぞめでたき 日の本の。
  国の教(をしへ)の 基(もとゐ)なる。
  是ぞめでたき 日の本の。
  人の教の 鑑(かがみ)なる。
  あやに畏き 天皇の。
  勅語(みこと)のままに 勤(いそし)みて。
  あやに尊き 天皇の。
  大御心(おほみこころ)に 答へまつらむ。

なお、現天皇明仁が誕生したとき(1933年12月23日)には「皇太子さまお生まれになった」(作詞北原白秋・作曲中山晋平)という奉祝歌がつくられ唱われた。

  日の出だ日の出に 鳴つた鳴つた ポーオポー
  サイレンサイレン ランランチンゴン 夜明けの鐘まで
  天皇陛下喜び みんなみんなかしは手
  うれしいな母さん 皇太子さまお生まれなつた

  日の出だ日の出に 鳴つた鳴つた ポーオポー
  サイレンサイレン ランランチンゴン 夜明けの鐘まで
  皇后陛下お大事に みんなみんな涙で
  ありがとお日さま 皇太子さまお生まれなつた

  日の出だ日の出に 鳴つた鳴つた ポーオポー
  サイレンサイレン ランランチンゴン 夜明けの鐘まで
  日本中が大喜び みんなみんな子供が
  うれしいなありがと 皇太子さまお生まれなつた

天皇(皇太子)誕生への祝意強制の社会的同調圧力には、背筋が冷たくなるものを感じる。天皇を中心とした「君が代」の時代は、戦争と植民地支配の時代であり、自由のない時代であった。今日、昭和の日は、「君が代」の時代を決して繰り返してはならない、その決意を刻むべき日である。
(2014年4月29日)

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Published in 火曜日, 4月 29th, 2014, at 20:20, and filed under 天皇制.

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