澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

戦争法反対運動の中での「日本民主法律家協会第54回定時総会」

日本民主法律家協会(日民協)は60年安保改定に反対する大国民運動から生まれた。幅広い多くの法律家が、自らの職能の持つ使命感から安保反対の国民運動に参加した。その法律家集団が、「安保条約改定阻止法律家会議」を経て、1961年10月に日民協の設立に至った。協会は、安保闘争の申し子である。

安保闘争が、主権と平和と民主主義の擁護を願う国民的な拡がりを持つものであったことから、日民協は自ずと法律家団体の統一戦線的組織となった。思想的な幅の広さだけでなく、「法律家諸団体の連合組織として、また学者・弁護士・税理士・司法書士・裁判所職員・法務省職員・法律事務所職員など多職能の法律分野で働く人々が参加しているという、他に例のない特色」(「協会案内」から)をもっている。

その「安保闘争の申し子」が、新安保闘争というべき戦争法案反対の国民運動燃えさかる中で、本日第54回定時総会を迎えた。アメリカと日本との関係、支配層の憲法嫌悪、世論と議席数の乖離、民主主義の脆弱さ…、基本的なことがらが60年安保の当時と少しも変わっていないことに驚かざるを得ない。なんと、当時の首相の孫が、現首相という因縁さえもある。悪夢のデジャヴュではないか。

日民協が自らに課してきた主たる課題は、一つが「憲法の擁護」であり、もう一つが「司法の独立」である。その取り組みが憲法分野重視のこともあり、もっぱら司法問題を重視したこともあった。今は、まぎれもなく熱い憲法の季節。

以下が、総会で採択された「壊憲と戦争への道を許さず、国民の力で憲法を守り抜こう」と題する、「戦後70年にあたってー日本民主法律家協会第54回定時総会アピール」である。同アピールは下記の3パラグラフから成っている。
 第1パラグラフで、日本国憲法に内実化されている平和を説いて、戦争法案が違憲であって、それ故に国民の平和への願いを踏みにじるものとして指摘し、
 第2パラグラフで、今や憲法9条だけでなく、あらゆる憲法理念が、安倍政権によって全面的に攻撃されていることを、「壊憲」として指摘し、
第3パラグラフにおいて、戦争法案審議の強行と壊憲の動きに反対する歴史的な国民運動を巻き起こそうと呼びかけている。
 ぜひ、ご一読いただきたい。

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    壊憲と戦争への道を許さず、国民の力で憲法を守り抜こう
1 戦後70年。この節目の年に、この国は再び戦争への道に足を踏み出そうとしています。
 日本は、アジア諸国民2000万人以上、日本人約310万人の尊い命を奪った侵略戦争の悲惨な経験から、再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、不戦の誓いを持って戦後の国際社会に復帰し、戦争放棄と戦力不保持を規定した憲法9条の下、戦後70年にわたり、海外での武力行使を許さない立場を堅持してきました。
しかし、今国会に提出された安保関連法案(戦争法案)は、戦闘地域を含め世界中どこでも、いつでも、アメリカをはじめとした他国の軍事行動に対し、弾薬や武器の提供などの兵站活動、武器の使用、さらには参戦も、切れ目なくできるようにしたもので、平和国家としての日本の国のあり方を根本から変える戦争法案です。
 憲法9条は、戦争を永久に放棄し、戦力の不保持,交戦権の否認を謳っており、本来、自衛隊の存在を認めることさえ困難です。戦争法案は、憲法9条によって守り抜かれてきた「戦わない」という一線を踏み越えるもので、明らかに憲法違反であり、解釈で憲法9条を壊すことは立憲主義の見地から許されないことはもちろん,70年間戦争を拒否してきた日本国民の平和への意思を踏みにじるものです。

2 安倍政権の政策は、憲法9条の破壊にとどまりません。日本の戦後の制度の根幹を揺るがす重大な政策転換を全面にわたって行おうとしています。
 労働者の権利を壊す残業代ゼロ法案、命と環境を壊す原発推進、暮らしを壊す社会保障大幅縮減、農業破壊のTPP、軍事国家化のみならず国民の知る権利・批判の自由を壊す秘密保護法、国民のための教育権を壊す教育の国家統制、学問の自由・大学の自治を壊す大学管理強化・文系学部圧殺、司法の独立を壊す司法「改革」、法科大学院制度導入に伴う法学研究の破壊、刑事被告人・被疑者の権利を壊し監視社会を作る刑事司法制度の大改悪(盗聴拡大・司法取引導入など)等々の、個別問題としても大きな憲法破壊の動きが同時進行で襲いかかってきています。
 安倍政権は、憲法を頂点とする戦後の制度を「戦後レジーム」と罵倒し、ここから「脱却」することを目標として暴走しています。これらはいずれも憲法壊し、つまり「壊憲」です。

3 安倍政権は、戦争法案の危険性を隠したまま、また、壊憲政策と言うべき幾つもの法案を数に任せて成立を強行しようとしています。
 しかし、国民や国会を無視した安倍政権の反民主主義的態度が国民に大きな不安を抱かせ、国会を大きく揺るがせています。与党の推薦者をはじめ参考人全員が戦争法案を違憲と断じ、憲法研究者や学者が今までにない広がりで廃案を求め、国民運動の共同の輪が広がり、運動に関わったことのない人々も声をあげ始め、多くの地方議会でも反対意見書が採択され、世論調査でも、国民の大多数が反対し、さらに広がりをみせています。また、壊憲政策というべき幾つもの法案に対する反対の声も強まっています。
 延長国会となったこの夏、国民の共同を、より多様に、より広く、より地域に根ざして、大きく発展させ、政権と国会を包囲し、戦争法案を必ず廃案にし、また壊憲政策を頓挫させなければなりません。
 この国が歴史的岐路に立つ今、私たちは、本協会設立の原点である、法律家を結集する結節点としての役割、また、国民各層と共同する役割を深く自覚し、壊憲と戦争への道を許さず、主権者である国民の力を結集して憲法を守り抜くことを決意します。
(2015年7月4日)

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