澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「憲法の季節」から「経済の季節」へー意識的な転換に警戒の目を

さあて、本日(9月24日)は、自民党総裁再選に伴う記者会見の日だ。これを、安保関連法の軋轢と混乱に終止符を打つセレモニーとしなければならない。

憲法の季節は終わりだ。安保関連法のことなど、みんな早くきれいさっぱりと忘れてもらいたい。立憲主義違反だとか、平和主義にもとるとか、非民主的だとか、いろいろ言われたけれど、法案が成立してしまえば、もうこっちのもの。あとは、目立たないところで、制服組と外務省の官僚諸君が良きにはからうだろう。最初から国民を刺激する愚策は講じない。少しずつ、小出しになし崩していくんだ。これが安倍晋三流。

しばらくは、憲法や安全保障の課題を離れよう。この法案審議の中で生まれた、「数々の安倍およびその取り巻きたちの名言集」は見たくも聞きたくもない。一刻も早く忘れたいし忘れてもらいたい。問題は、国民がいつまで覚えているかだ。国民の記憶力、どうせ大したものじゃない。

今日からは、政治を離れて「経済の季節」だよ。国民に憲法改正問題を忘れてもらうには、政権の目標を経済の復興におくことしかないということだ。

とはいえ、どうにも力がはいらない。自分でも、自分の言葉が空虚だと思えてならない。何か、国民にアピールするものが欲しいところだが、そんなうまい話があるわけないから仕方がない。ああ空しい。言葉だけが宙に浮いている。そう思いながらの記者会見だから、迫力に欠けることこの上ない。

ホントなら、東京オリンピックを語って盛り上げたいところだ。だってそのために招致した国民統合のためのイベントだろう。国威発揚の舞台だ。端的に言えば、国民が政権に反抗しないように与えておく娯楽として、これに優るものはないじゃないか。ところが、これはダメだ。使えない。ブエノスアイレスでの招致演説で、「放射能は完全にコントロールされ、ブロックされている」なんて私自身がデタラメ言っちゃったし、その後の国立競技場建設問題も、エンブレムもみんなおかしくなってきた。このネタ、古傷を思い出させて、とても使えない。

それで、苦し紛れの「アベノミクスは第2ステージに移る。『1億総活躍社会』をめざす」なーんちゃって。こういう普通の感覚ではとても恥ずかしくて口にできないことを、堂々と言ってのけるのが、やっぱり総理総裁たる私の器なんだな。

アベノミクスは、このところすこぶる評判が悪い。アホノミクスという揶揄の言葉が定着しつつある。とりわけ、アベノミクスの本丸となる「第3の矢・成長戦略」の成果がまったく見えないではないか、という批判が強い。いつまでも、「もう少し待て」「その内に、地方も良くなる、庶民の懐も暖かくなる」と言って来たけれど、結局は貧困と格差の拡大だけが現実となっているというわけだ。そう言われてもやむを得ないね。そのとおりなんだもの。

だからここで、趣向を変えてみよう。アベノミクスの第3の矢に替えて、「新3本の矢」だ。これぞ、矢のインフレ、デフレからの脱却の術。またの名を安倍流忍法「国民の目先・目眩ましの術」。「強い経済(GDP600兆円)」「子育て支援」「社会保障」だ。少子高齢化の社会に挑戦して、女性の活力も高齢者の労働能力も活用して、強い経済をつくっていこうという呼びかけ。「えっ? いままでそんなことも考えて来なかったの?」と言われると、グサッと胸を抉られる思い。「問題はどうやって実現するかの具体策でしょう? 何か名案があるの?」と聞かれると、グサッグサッと来る。さらに、「安定した財政再建のためとして、庶民増税を実行し、社会保障を削ってきたのは安倍政権じゃないの」などと言われると、グサグサグサッと3本の矢が方向を変えて、私の顔に突き刺さる。

でも、国民のほとんどが私の言うことを素直に聞いてくれるお人好しばかり。NHKや産経・読売のような、政権を批判しないことを身上とする御用メディアが、大いに頼りになる。だから、これでもなんとか持ちこたえられる。

もっとも、話題を経済だけで済ませるわけにはいかない。記者の質問に応じて、「憲法改正は自民党の党是」だと言っちゃった。「改正に支持が広がるように努力を重ねていく」とも述べておいた。来夏の参院選では一応「公約に掲げていくことになる」と言わざるを得ない。ホントは言いたくはなかったのだけど、逃げているように見られるのもみっともないからね。「安倍政権の間は憲法改正の議論はしないというかたくなな態度ではなく、未来の日本、今の日本のために何が必要か勇気を持って(憲法改正の)議論に参加してほしい」と呼びかけたが、まずかったかな。この頃、何もかもうまくいかなくて、さっぱり自信がないんだ。

それでも、これからは「経済問題」を前面に押し出して、ビリケン(非立憲)安倍といわれないように、点を稼がなくてはならない。とりあえずは、来年夏の参院選までが勝負だ。安保関連法案での安倍内閣へのバッシングを国民が忘れてくれるかどうか。そこが勝敗の分かれ目だ。
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戦争法案採決の不存在を主張し審議の続行を申し入れる緊急のメール署名は、醍醐聰さんが提唱し、一昨々日の当ブログでも拡散を呼びかけたもの。
    http://form1.fc2.com/form/?id=009b762e6f4b570b
署名数は本日(9月24日)の17時現在で27,000筆を超えたとの報告である。
    http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-bd74.html
「あんな採決は認めない」という市民の怒りの声を、明日(9月25日)参院議長と特別委委員長に届けたい。私も、醍醐さんに同道する。未署名の方は、ぜひ緊急にお願いしたい。
(2015年9月24日・連続907回)

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