澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

これが、教育行政のやることか。都教委の再処分に抗議する。

 一昨日(2月21日)のこと、悪名高い都教委は「国旗・国歌(日の丸・君が代)」への敬意表明の強制に服しがたいとした教員2名に、またまたの懲戒処分(戒告)を発令した。これで、「10・23通達」に基づく「不起立懲戒処分」は、延べ482件となった。

今は卒業式直前の時期、入学式も2か月先のことだ。この懲戒処分は、今年の学校行事に関してのものではない。実は昨年のことでも一昨年のことでもなく、驚くべきことだが、2009年と10年の卒業式における不起立が処分理由とされているのだ。8年前と9年前のことが今頃なぜ?

都教委の説明は以下のとおりだ。
「本件服務事故については、平成29年(2017年のこと。つまり昨年-澤藤註)9月の東京地方裁判所判決により、東京都教育委員会が発令した減給処分が取り消され、同処分の取消しが確定したことから、判決を踏まえて懲戒処分の程度を検討し、改めて戒告処分を行った。」

何を白々しい。正確にこういうべきなのだ。
「東京都教育委員会は、国家あっての個人という国家主義理念を徹底すること、また明治維新以来天皇制国家が進めた富国強兵の対外膨張政策の歴史的正当性を堅持することこそが都立学校の基本的な教育理念であり、都立校の教員にはこのような国家主義と大日本帝国憲法的歴史観にもとづく教育を積極的に推進する『正しい』思想の持ち主でなくてはならない。当教育委員会としては、かねてからこのような人事方針を明確にしてきたところであり、その見地から国旗・国歌(日の丸・君が代)への敬意表明は極めて重要な集団儀礼として、これを強制してきた。この当教育委員会の施策は、政権政党である自由民主党の政策とも一致するものとして妥当と考えるべきである。
 都立校の教員には、このような都教委の思想と教育方針を受容するか、少なくとも面従腹背すべきことが求められるのであって、不幸にして面従腹背をなしえないという教員には、思想的な転向をしてもらわねばならない。このことは、国家観や、歴史観、教育観においてのことのみならず、自己の信仰上の理由から国旗・国歌(日の丸・君が代)への敬意は表明しがたいとする者も当然に包含されるものである。
 そのため、当初当教育委員会は、不起立1回なら戒告とするが、2回目には減給1月の処分とし、3回目には減給6月、そして4回目には停職1月と処分量定を累進加重し、7回目には懲戒免職として、思想の転向ない限り当該教員を教育現場から追放することを企図していた。
 ところが、裁判所の判断がこれに横槍を入れ、最高裁も戒告はともかく減給以上は懲戒権の濫用として取り消しを命じるという、思いがけない事態となった。教員らが、いみじくも名付けた「転向強制システム」が崩壊したのだ。
 本件の2名の教員もその一場面なのだ。この2名には、当初減給1月と減給6月の各懲戒処分を発令したものであるが、人事委員会の口頭審理を経て行政訴訟に至り、平成29年(2017年のこと。つまり昨年-澤藤註)9月15日の東京地方裁判所判決により、東京都教育委員会が発令した減給処分を違法として取り消す判決が言い渡され、当教育委員会が控訴を断念したことから各処分の取消しが確定した。なお、同日の判決では6名・7件の減給・停職処分が取り消され、その内5名・5件の処分取り消しが確定している。
 これに対して、当然のことながら、各当事者からは過酷で違法な処分をしたことに対して教育委員会は謝罪すべきだという強い要請があったが、当教育委員会はこれを突っぱねて謝罪を拒絶し、在職教員2名について再処分に及んだものである。残念ながら、減給は取り消されたものの、戒告であれば裁判所も容認してくれるはずと考えている。
 当該教員らは、再び人事委員会の口頭審理を経て処分取消訴訟に至ることになって、過重な労力や時間あるいは費用負担を強いられることになると抗議を寄せているが、当教育委員会の知ったことではない。当教育委員会としては税金をもって争訟の費用をまかなうのであるから、闘争資金も労力も無尽蔵で痛くも痒くもないことを付言しておきたい。
 最後に、当教育委員会はこれまでどおり、国家主義にもとづく愛国教育の一環として国旗・国歌(日の丸・君が代)の強制を貫徹することで、自民党や右翼の皆様のご期待に応える所存であることを申し添える。」
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平成30年2月21日

教   育   庁

卒業式における職務命令違反に係る懲戒処分について

東京都立学校で実施された卒業式において、一部の学校で服務事故が発生したことに伴い、以下のとおり教員の懲戒処分を行ったので、お知らせします。

1 処分の事由
平成21年度及び平成22年度に実施された卒業式において、国歌斉唱時に国旗に向かって起立し斉唱することを校長から職務命令として命じられていたにもかかわらず、起立せず職務命令に違反した。

2 処分の内容
職務命令違反を行った教員について、地方公務員法に基づく懲戒処分を行った。
処分の程度   戒告
該当者数  2校 2名
学校名(当時)
都立○○○○高等学校
都立○○○高等学校

3 発令年月日
平成30年2月21日

4 その他
本件服務事故については、平成29年9月の東京地方裁判所判決により、東京都教育委員会が発令した減給処分が取り消され、同処分の取消しが確定したことから、判決を踏まえて懲戒処分の程度を検討し、改めて戒告処分を行った。

【問合せ先】
東京都教育庁人事部職員課 電話03-5320-6798(直通)

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「日の丸・君が代」強制・再処分に抗議する声明

 東京都教育委員会(都教委)は、私たちの「『再処分』を行わないこと」を求める申し入れ(2017年11月15日、2018年1月26日)にもかかわらず、東京地方裁判所(東京地裁)で減給処分を取り消された現職の都立高校教員2名に対して7年前、8年前の事案で、新たに戒告処分を出し直すこと(再処分)を決定し、2月21日付で処分発令を強行した。これにより「日の丸・君が代」を強制する10・23通達(2003年)に基づく懲戒処分の数は延べ482名となった。

東京地裁は2017年9月15日、2010年~2013年に都教委が行った減給・停職処分6名・7件が「裁量権の逸脱・濫用」で「違法」として取り消した。都教委はこのうち1名・2件の減給処分取消のみを不服として控訴し、他の5名・5件の減給・停職処分取消については判決を受け入れ控訴を断念し、処分取消が確定した。
しかし都教委は、違法な処分をしたことを反省もせず、該当者に謝罪するどころか現職の都立高校教員2名に改めて戒告処分を出し直した(再処分をした)のである。私たちは、この暴挙に満身の怒りを込めて抗議し、その撤回を求めるものである。

周知のように、2012年1月16日の最高裁判決は、起立斉唱・ピアノ伴奏を命ずる職務命令が「思想及び良心の自由」の「間接的制約」であることを認め、減給以上の処分については、「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要」で「処分が重きに失し、社会観念上著しく妥当を欠き、懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として減給・停職の懲戒処分を取り消した。その後の最高裁、東京高裁、東京地裁の各判決もこれを踏襲して73件・63名の減給・停職処分を取り消した。

今回の再処分は、減給処分を違法としたこれらの司法の判断を重く受け止めるどころか、その趣旨を無視して、新たに戒告処分を出し直すことで教職員を萎縮させ「屈服」させようとする都教委の異常な「暴力的体質」を改めて露呈した。
今都教委のなすべきことは、東京地裁判決を謙虚に受け止め、違法な処分により筆舌に尽くしがたい精神的、経済的損害を被った被処分者への謝罪と名誉回復・権利回復を早急に行うことである。また、司法により違法とされた処分を行った組織の在り方を点検し、責任の所在を明らかにし、再発防止策を講ずるとともに、10・23通達に基づく校長の職務命令、懲戒処分、再発防止研修など「日の丸・君が代」強制の一連の施策を抜本的に見直し、反省することである。

私たち被処分者の会・原告団と弁護団は、これまで何度となく、都教育委員会及び教育庁関係部署との話し合いを求めてきた。にもかかわらず都教委は、最高裁判決の補足意見が求めている原告団・弁護団との「話し合い」を拒否して問題解決のための努力を放棄する不誠実な対応に終始している。それどころか、司法の判断をもないがしろにして、処分を乱発しているのである。

私たちは、東京の異常な権力的教育行政の抜本的転換を求めると共に、自由で民主的な教育をよみがえらせるために、「日の丸・君が代」強制に反対し、不当処分撤回まで闘い抜く決意である。「子どもたちを再び戦場に送らない」ために!

2018年2月21日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」が代」裁判原告団

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◆かくも不当な再処分を許さないために、戒告処分の取り消しと損害賠償を求めて粘り強く闘っています。東京高裁判決に何としても勝利するため傍聴支援をお願いします。

◆東京「君が代」裁判第四次訴訟・控訴審判決
~いよいよ判決です。こぞって傍聴に来てください。
4月18日(水)13時15分 東京高裁824号法廷

(2018年2月23日)

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Published in 金曜日, 2月 23rd, 2018, at 20:11, and filed under ナショナリズム, 日の丸君が代, 表現の自由.

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