ホントのこと言っちゃおうかな。やっぱりよそうかな。
私も国会招致を要請される身になりました。謹んで受けざるを得ませんが、いったい何をどうお話しすればよいのやら。
問題は、2015年4月2日のことですね。これまでは、その日に首相官邸を訪問されたとおっしゃる愛媛県の職員の方にはですね、当時首相秘書官だった私は、「記憶の限り会っていない」と申しあげてきました。でも、よく考えてみますと、「会っていないとは言えない」とも思います。
その昨日の私のコメントが、新聞を賑わせていますが、なんてったって、会っていないのは「記憶の限り」です。資料も見ず、思い出す努力もせずに、そのときの記憶を口にしただけのこと。「会っていない」と言ってきたわけではないのですから。
それから…。これまで、「私が外部の方に対して、この案件が『首相案件』になっているといった具体的な話をすることはあり得ません」とコメントしてきましたが、よく考えてみますと、「『首相案件』になっていると言わなかったとは言えない」と思いますね。
なんてったって、愛媛県と今治市の職員、それに加計学園の幹部の皆様でしょう。みなさまアベ・カケ関係のお身内の方ばかり、けっして外部の方などではありませんから。
さらにですね…。「私が総理から、加計案件を『首相案件』とするように指示されたことなどはない」ともコメントしてきましたが、よく考えてみますと、「加計学園の設置認可を『首相案件』として優先課題にせよと総理から具体的な指示をいただいたことがなかったとは言えない」と思います。
なんてったって、総理と加計孝太郎さんとは、腹心の友という間柄。私は以心伝心で、総理の気持ちがよく分かっていますから、総理からの具体的な指示を受けるまでもなく、首相案件として関係機関に特別なはからいをするよう、内々の根回し、手回しをしてきました。ですから、軽い気持の「記憶の限り」で総理からの指示はなかったと申し上げてきたのです。ですが、総理夫妻と加計夫妻の飲み会だのゴルフだのという機会に私も何度も参加していますから、うちうちのサークルに入れてもらったことでよい気持ちになっているときに、アベ・カケのお二方から、「獣医学部の件よろしくね」「あの件急いでね」「外に洩れないようにうまくやってね」などと、言われたことがまったくなかったかといえば、それは自信がありません。よくよく考えてみれば、明示のような阿吽の呼吸のような、そんな指示を受けていなかったとは言い切れないと思いますね。
ついでに申しあげれば、真実というものは単純に一つではない。一筋縄では、これをつかまえることはできませんね。「記憶の限り会っていない」も真実、「会っていないとは言えない」も真実。「私が外部の方に対して、この案件が『首相案件』になっているといった具体的な話をすることはあり得ません」も真実なら、「愛媛県や加計学園の方に『首相案件』になっていると言わなかったとは言いきれない」も真実。首相の指示はなかったも真実、あったも真実。状況がより確かな真実を決定するのではないでしょうかね。
まあ、これまでは、真実を思い出すインセンティブはありませんでした。なんと言っても、安倍一強でしたからね。思い出さないインセンティブの方がうんと強かったのですから、その状況では「記憶の限り会っていない」が真実だったのですよ。
でもね、少し状況が変わってきた感じがありますよ。佐川さんが世論から、あれだけ袋だたきになっているのを身近に見ていますからね。膝を屈してプライド捨てて、政権に擦り寄った佐川さん。その佐川さんの、これからの身の振り方が保障されてはいないじゃないですか。そんなことを私も考えなくてはならない。
誰が見たって、安倍一強の時代は終わっていますよ。沈みかけた船から、みんなが逃げ出そうとしてはいますが、問題はどこへ乗り換えたらよいのやら。いま、誰もが微妙な心境でしょう。だから、私も、あれやこれやを思い出すインセンティブと、思い出さないインセンティブとが葛藤しているのですよ。ね、真実は状況次第。状況は、世論次第なのですよ。
(2018年4月17日)