昨日(11月29日)、私にとっては近所の文京区民センターで、伊波洋一さん(参議院議員・沖縄の風)の講演会があった。「沖縄県知事選挙 デニー勝利と私たちの課題」という講演会の参加者は77名と報告された。熱気溢れる集会だった。
この集会の主催は、「沖縄を自分の問題として考える会」。この会を知っている人も少なかろう。それもそのはず、当日できたばかりの会。私も呼びかけ人の一人だが、村岡到さんによるこのネーミングが素晴らしい。
以下は、主催者からの報告。
参加者が主催者の予想を大幅に上回る盛況で、椅子が不足するほどであった。沖縄への関心の広がりを示すものとなった。伊波さんの講演は、玉城デニー候補の勝利にむけた闘いの経過を選対の中心で闘った人ならではのリアルな報告で、オール沖縄の闘いの特徴が明らかにされた。
伊波さんの講演のあと、小泉雅英、澤藤統一郎、中瀬勝義、吉田万三(当会代表)が発言し、質疑の後、村岡到(当会事務局長)が閉会挨拶した。司会は武市徹。発言予定の二見伸明さんの代わりに、知事選に応援に駆け付けた創価学会員の女性が発言。長崎の呼びかけ人蓑田剛治氏からのメッセージが紹介された。
吉田会長の発言にもあったように、この会は、共産党員、新左翼活動家、創価学会員、キリスト者、ヤマギシ会、とさまざまな立場の人たちが結集しているところに特徴がある。来年7月には同じ沖縄の風の糸数慶子さんが改選期となる。
小さな会ではあるが、地道に活動を継続したい。
私もこの会の呼びかけ人の一人として、要旨以下のような発言をした。
日本国憲法は、わが国の最高法規とされていますが、実は安保法体系に侵蝕されています。日本国憲法の平和主義・国民主権・人権が安保条約と地位協定によって、虫食いの状態とされています。憲法を凌いで憲法をないがしろにする位置に安保がある。
この二つの法体系の位置関係を目に見える形にしているのが沖縄です。我がもの顔の基地群や戦闘機・爆撃機。普天間も辺野古も、憲法を凌駕する安保の存在ゆえのもの。
沖縄の本土復帰運動は、平和憲法に守られた沖縄を目指すものだったはず。とこがそうはなりませんでした。アメリカが直接支配する沖縄から、安保法体系が支配する沖縄に。つまりは、安保法体系によって大きく穴の開いた憲法しか通用しない沖縄になってしまった。これは、全国民の責任ではありませんか。
その地位を脱すべく、沖縄は闘い続けてきました。その沖縄の闘いから学ぶべき多くのものがあります。まずは憲法を取り戻すことを意識した闘い。平和の破壊、主権の破壊、環境の破壊、地方自治の破壊を食い止め、憲法の理念を実現する闘いの組みかた。そしてその闘いの成果は、幅広い共闘によって生まれたものです。
いま改憲をたくらみ、憲法理念の実現を阻止しているのが、アベ政治です。このアベ政治を終わられるためには、どうしても選挙に勝たねばなりません。日常の闘いの輪を広げて選挙の勝利に結びつける。そのお手本を沖縄の成果に観ることができます。
「オール沖縄」という、保守・革新の垣根を越えた連帯と共闘の発想。この発想を沖縄に学んで、来年の統一地方選挙から参院選で勝利したいと思います。そのことによって、アベ政治を退陣させ、改憲を阻止し、同時に憲法の穴を埋めていきたいと思います。それが沖縄に、平和と主権を取り戻すことになる。そうすれば、沖縄から学んだことへの恩返しができることになります。
(2018年11月30日)
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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!
12月3日(月)18時?20時(開場17時30分)
衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」
最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)
行く道に大道と詭道とがあり、弁ずるに正論と詭弁とがある。大道を行く者は正論を称え、詭道を行く者は詭弁を弄す。
大道は道義と道理に通じる。これを行く者は真理と真実に導かれ、その発する言葉にはウソとごまかしはない。道義と道理を恐れるがゆえに大道を踏みはずす者は、私利と私欲に通じる詭道によろめく。そこに真理と真実はなく、まことの言葉も失せている。代わって響き合っているものが、真理と真実を覆い隠さんとする詭弁であり、「ウソとごまかし」にほかならない。
アベ政治とは、憲政が大道を踏みはずして詭道をよろめく姿である。道義と道理を欠くゆえに詭弁を弄すること甚だしく、その詭弁は、いま「ご飯論法」と名付けられている。この詭弁を弄びつつ行くアベの詭道は亡びに至る道である。
上西充子教授の名とともに、一躍有名になった「アベ政権のご飯論法」。次のように紹介されている。
Q「朝ごはんは食べなかったんですか?」
A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」
Q「何も食べなかったんですね?」
A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので…」
Q「では、何か食べたんですか?」
A「お尋ねの趣旨が必ずしもわかりませんが、一般論で申し上げますと、朝食を摂(と)る、というのは健康のために大切であります」
Q「いや、一般論を伺っているんじゃないんです。あなたが昨日、朝ごはんを食べたかどうかが、問題なんですよ」
A「ですから…」
Q「じゃあ、聞き方を変えましょう。ご飯、白米ですね、それは食べましたか」
A「そのように一つ一つのお尋ねにこたえていくことになりますと、私の食生活をすべて開示しなければならないことになりますので、それはさすがに、そこまでお答えすることは、大臣としての業務に支障をきたしますので」
昨日(11月28日)の毎日新聞夕刊「特集ワイド」は、「安倍政権の言い換え体質」を取りあげている。
安倍晋三内閣では、集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制を「平和安全法制」、南スーダンでの戦闘を「武力衝突」、消費増税の延期を「新しい判断」と言い換えた。今も、ある。言い換えを見逃していいのか。
FTA ⇒ 「TGA」
移民 ⇒ 「外国人材」
徴用工 ⇒ 「労働者」
ヘリ墜落 ⇒ 「不時着」
共謀罪 ⇒ 「テロ等準備罪」
公約違反 ⇒ 「新しい判断」
カジノ ⇒ 「統合型リゾート」
武器輸出 ⇒ 「防衛装備移転」
安保法制 ⇒ 「平和安全法制」
情報隠し ⇒ 「特定秘密保護」
なるほど、こう並べてみるとアベ政権のごまかし体質が明確に浮かびあがる。真っ当に国民に説明しようとしないからこうなる。国民をごまかして票を掠めとろうというさもしい根性が、このような詭弁を生み出すのだ。この特集記事では上西教授も取材対象となっている。同教授の口から、アベ政権の「厚顔無恥話法」が話題とされている。これも実に適切なネーミングではないか。
「言い換え」とは、「ごまかし」のことである。全滅を「玉砕」と言い、退却を「転進」と言い換えた大本営発表いらいの我が日本の伝統芸。これこそ、アベ政権が取り戻そうという麗しい日本のかつての得意技。
2018ユーキャン新語・流行語大賞のノミネート30語が11月7日に発表されている。その中に、「ご飯論法」もはいっている。選者にアベ政権の忖度なければ、「ご飯論法」は有力な受賞候補ではないか。選の発表は12月3日(月)。たまたま、「ウソとごまかしの『安倍政治』総検証」院内集会の日。もしかしたら、講演予定の上西教授ご自身から、朗報が聞けるかも知れない。
(2018年11月29日)
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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!
12月3日(月)18時?20時(開場17時30分)
衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」
最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)
私はテレビを観ないが、ラジオは聞く。いま、自ずと選局はTBSに落ちついている。朝は森本毅郎スタンバイ、夜はセッション22。いずれも、その姿勢や良しである。さすがと感嘆させられることも多い。しかし、いつも同感というわけにはいかない。
10月30日徴用工訴訟・韓国大法院判決を、森本毅郎が批判したのには驚いた。虐げられた無念の思いをようやく晴らした老齢の元徴用工に祝意を表すべきところ、虐げた側の日本政府や日本企業の立場に立っての判決批判。あらためて、この問題での日韓の意識の溝を認識させられた。
セッション22での荻上チキのインタビュー。いつもは感心してばかりだが、漁業法改正問題では大きな違和感をもった。世論をミスリードしたと言っても差し支えない。勝川俊雄(東京海洋大学准教授)を招いての解説では、法改正礼賛の論調。改革の方向は正しい。遅ればせながらも、この法改正でようやく世界の水準に近づくことができる、というもの。これまでこの研究者には比較的良いイメージを持っていただけに、落胆した。
その解説は、今回の改正のポイントを水産資源の持続可能性とした。彼は、現行の漁業法には、水産資源の「持続性」や「持続可能性」という語彙が全く存在しないことを、「驚くべきこと」として、ようやくこれを盛り込んだ法改正を肯定した。政権にとって有り難い学問であり学者というべきだろう。
荻上チキはこれに切り込まなかった。このあたり、「漁民の要求ではなくアベ政権が提出した法案だから、どうせ碌なものではない」「しかも規制改革推進会議が出所だ、財界の要請に決まっている」という感覚があって当然なのに鈍感。アベ政治への警戒感が希薄なのだ。
漁業法制定時、法に「持続性」の文言は確かになかった。しかし、法65条には、「主務大臣または都道府県知事は水産動植物の繁殖保護のため一定の事項に関して、省令または規則を定めることができる。」とあり、この規定が「水産資源枯渇防止法」、さらに現行の「水産資源保護法」に受け継がれている。今回の法改正のポイントは、資源の「持続性」や「持続可能性」ではない。それだけの法改正であれば、漁民の中からこんな反対運動が出てくるわけはないのだ。
今、ようやくメディアは、勝川流の欺瞞から脱して、今次漁業法改正のポイントを、「漁場の企業への開放」「企業の漁業参入の促進」ととらえるようになった。企業の漁場への参入は漁民にとっての生業の危機にほかならない。企業のチャンスは、漁民のピンチなのだ。
ネットに大きく、西日本新聞の記事が紹介されている。「漁業権を企業に開放、70年ぶり大改正案」「臨時国会の焦点に浮上」「漁業者は反発」という見出し。一昨日(11月26日)の配信。九州のブロック紙は、有明海の漁業に関心をもたざるを得ない。各地方紙とも、それぞれに事情は同じだ。
漁業への企業参入を促す漁業法改正案が、入管難民法改正案と並ぶ臨時国会の焦点に浮上している。地元漁協に漁業権を優先付与する規定を廃止し、沿岸水域の利用を企業に「開放」するもので、成立すれば約70年ぶりの大改正となる。だが「水産業の成長産業化に不可欠」と成立を急ぐ政府に漁業者は反発。野党も「沿岸漁業のあり方を根本から崩す法案だ」と批判を強める。
政府が想定するのは養殖業への企業参入だ。企業の投資でマグロ養殖などが大規模化すれば、水産業が成長産業になり、従事する漁業者が増え、所得も上がる?とシナリオを描く。
漁協からは懸念の声が上がる。ノリ養殖が盛んな有明海では、色落ちなどを防ぐため、一部の漁場を使わないなど漁協が生産調整をしてきた。佐賀県有明海漁協の徳永重昭組合長は「漁業者が共同管理し、生産調整してきたが、新規参入企業が空いた区画で勝手に作られると困る」と話す。
法改正の目的の把握に関して、まことに正鵠を射た報道である。学者の解説よりも数段正確ではないか。さらに、同紙の記事はこうも続ける。
改革のもう一つの柱は資源管理の強化だ。魚種ごとに漁獲上限を定める漁獲可能量(TAC)制度は現在、サンマやクロマグロなど8魚種が対象だが、これを他の魚種にも広げる。漁船のトン数や隻数を制限してきた管理制度も、実効性を高めるため個別の漁船ごとに漁獲枠を割り当てる方式に改める。
この方式では、資金力のある企業が多数の漁船を確保し、漁獲枠が集約される恐れもある。小規模漁業者でつくる全国沿岸漁民連絡協議会の二平章事務局長は「大きな事業者を有利にする制度変更だ。小規模事業者が淘汰されかねない」と危ぶむ。
ここで、描かれているのは、「企業対漁民」「大規模事業者対小規模事業者」の対抗関係の構図である。
官邸(アベ政権)の考え方はこうだ。
大切なのは生産性の向上である。それが国民全体の利益となる。漁業の衰退とは漁業における生産性の低下ということだ。企業が漁民よりも、大規模事業者が小規模事業者よりも、効率的で生産性の高い漁業を行うことが可能なのだから、企業による漁業経営の道を開き、大規模事業者に存分に活躍してもらうことが国民全体に利益をもたらすことになる。これができていない現状は、既得権益擁護の岩盤規制があるからにほかならない。この岩盤規制にドリルで穴を開けて、企業あるいは大規模事業者を送り込むことが、漁業活性化の唯一の途であり、アベノミクスの普遍的目標でもある。企業に出番を与えることが、漁民の生業を奪うことになるかも知れないが、それは常に社会の進歩に伴う犠牲というべきで甘受してもらうしかない。
こんな法案、漁民・漁協が猛反対すべきが当然である。政府、与党は全国の漁民・漁協を敵にまわす覚悟での法案提出である。深い審議をされる事態になってはたいへんなのだ。メデイアの注目度が低いうちに無理にでも通してしまえ、という態度。臨時国会での成立を目指し、野党4党派は入管難民法と並ぶ対決法案と位置付けて、本格審議を求めている。
ようやくことの本質が見えてきた。政権が漁業を立て直すというのは、零細漁民によってではない。零細漁民を押しやって、企業あるいは大規模事業者の参入をさせようということなのだ。まさしく「ビジネスチャンス創設の漁業改革」であり、「漁業栄えて漁民亡ぶ」「漁民なきあとの漁場に、企業こそ栄えよ」なのだ。本当にこれでよいのか。
(2018年11月28日)
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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!
12月3日(月)18時?20時(開場17時30分)
衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」
最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)
この世は不思議に満ちている。わけの分からぬことだらけだが、その筆頭がアベ政権の長期存続だろう。
こんなにもウソとごまかしにまみれ、こんなにも憲法をないがしろにした国政私物化内閣が、どうしてかくも長期にわたって政権を維持し続けておられるのだろうか。こんなにも身内の利益をはかり、こんなにも露骨に大企業に手厚く、こんなにも国民生活をないがしろにして、こんなにも多くの国民からうとんじられ、近隣諸国の民衆への排外意識を露わにして差別を恥じず、歴史を真っ当に見ようとしないこんな人物が、どうして行政のトップにおさまっておられるのだろうか。私には、まったくわけが分からない。現代日本の謎としか言いようがない。
萬有の眞相は唯だ一言にして悉す、曰く、「不可解」。「不可解」は人生のみならず、アベ政権もかくなり。
今日も今日とて、外国人低賃金労働者の大量受け入れを意図した出入国管理法改正案を、衆院法務委員会が採決強行した。自民・公明の連立与党に、維新という補完ゴマすり勢力が加わっての数の暴力の行使である。
審議経過に注目していた誰の目にも、議論の不足は明々白々である。およそ議論らしい議論がなされていないだけでなく、議論の前提となっているはずの、失踪技能実習生に対する事情聴取個票の「ウソとごまかし」も明らかにされている。議論の前提さえ調っていないのだ。それにもかかわらずの、「問答無用」採決である。
憲法前文を確認しよう。
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理…」
アベ政権とその追従者たちは、国民からの信託の厳粛さを忘れている。あるいは初めからそんなことを考えたこともないのだ。議会制民主主義は形骸化させられたという段階ではない。死に瀕していると言わねばならない。政権は、どこ吹く風で主権者国民を舐めきっているだけでなく、民主主義そのものを舐めきっているのだ。
ところで、その「主権者国民」の実態である。アベ政権にかくも舐められて、怒りはあるのか。アベ政治を許さないという気概があるのか。
本日(11月27日)毎日夕刊の「特集ワイド」の記事は衝撃的だ。
「NHK連ドラ『まんぷく』暴行シーンは史実か」「過酷だった憲兵の弾圧」というタイトル。そのリードが以下のとおり。
先日、NHKの連続ドラマ「まんぷく」を巡り、ネット上でちょっとした騒動があった。旧日本軍の憲兵がヒロインの夫になる男性に暴行する場面で「優しい日本兵が出てこない。日本人をおとしめるのか」といった批判があがり、論争になったのだ。
不都合な歴史的事実を見ようとしない、無知にして驕慢な日本人の層ができつつあるのだ。櫻井よしこや百田尚樹らが、これを束ねてアベ政治の支持に繋げている。
歴史修正主義ないしは排外主義の日本人集団がアベ政権を支え、その支えに安住した政権が排外主義的な法案を強行している。不思議なことに、このような右翼保守層が、アベ政権の財界へのサービスである新自由主義的規制緩和政策にも賛成していることだ。
だから、アベ政権は「知性をもった一般国民にはこんなにも評判の悪い政権」ではあるが、実は「差別と歴史の修正をこととする右翼勢力からは、こんなにも評判の良い政権」なのだ。それだけに危険極まりない政権と言わざるを得ない。それにしても、「優しい憲兵が出てこない。日本人をおとしめるのか」という無知蒙昧にして恥知らずの輩が国民の多数派であるはずはない。やはりアベ政権の長期持続は「謎」であり「不可解」なのだ。
本日の採決強行の経過を良く見つめて記憶しよう。そして、ことあるごとに遠慮なくアベ政権とその下駄の雪の連中の議会制民主主義破壊の動きを批判しよう。それを積み上げて、次の選挙での政権交代のチャンスに繋げよう。
(2018年11月27日)
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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!
12月3日(月)18時?20時(開場17時30分)
衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」
最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)
「いまこそウソとごまかしの「安倍政治」に終止符を!」アピール呼びかけ人の一人として、皆様に以下の2点をお願い申しあげます。
第1 「いまこそウソとごまかしの「安倍政治」に終止符を!」アピールへの賛同署名をお願いいたします。署名の拡散もよろしくお願いします。
16人の呼びかけ人によるアピールへの賛同署名は、すべてインターネットで集約していますが、現在その数が8000台の半ばで低迷しています。12月3日の提出まで、目標1万名を達すべく努力を傾注したいと考えています。未署名の方は是非下記のサイトから、ご署名ください。また、既に署名をされた方はお知り合いやご参加のメーリングリストを通じて署名要請の拡散にご協力ください。
下記URLを開いていただけば、署名のサイトにアクセスできます。これにご署名いただき、さらに、このURLの拡散にご協力をお願いいたします。
https://bit.ly/2MpH0qW
第2 12月3日(月)夕刻の、「ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!」集会にご参加ください。
アピールへの賛同署名は、12月3日(月)正午に締め切り、安倍晋三氏の事務所に持参いたします。その後に、衆議院議員会館で署名集約の報告集会を開催いたします。会場は、300席の「大会議室」。
同集会のプログラムは以下のとおりです。
司会 澤藤統一郎(弁護士)
開会の挨拶 浜田桂子(絵本作家)
発言1 小森陽一(東京大学大学院教授)
「安倍政治」と「ポスト真実」
発言2 右崎正博(獨協大学名誉教授)
「公文書管理」と「ポスト真実」
発言3 古賀茂明(元経済産業省官僚)
日米FTA(自由貿易協定)と「ポスト真実」
発言4 上西充子(法政大学キャリアデザイン学部教授)
「働き方改革」一括法と「ポスト真実」
各野党議員からの発言
閉会の挨拶 池田香代子(ドイツ文学者・翻訳家)
院内集会の日程と場所は以下のとおりです。
12月3日(月) 18時?20時(開場17時30分)
衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」
最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)
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主権者の厳粛な信託による国政は飽くまで真摯に行われるべきが当然で、「ウソとごまかし」があってはなりません。ウソとごまかしにまみれた「安倍政治」には、一日も早い終止符が必要です。
民意を無視して9条改憲を強引に進めようとしている「安倍政治」。その「安倍政治」において、公文書・公的情報の隠蔽・改竄・廃棄・捏造が横行し、権力のウソとごまかしが国民主権や議会制民主主義を脅かそうとしています。
私たちは、森友・加計学園に典型的にみられる権力の私物化、「働き方改革」のウソ、外交交渉の内容の捏造等々、ウソとごまかしによる「ポスト真実」の政治を許せず、アピールを発表して賛同の署名を呼びかけました。
下記のとおり、賛同署名集約の集会を開催いたします。この日、署名簿を安倍晋三氏に届けるとともに、この集会にさまざまな分野からの発言を得て、「安倍政治のウソのごまかしを総検証」いたします。そして、どうすれば、安倍政治に終止符を打つことができるか考えてみたいと思います。どうぞご参加ください。
(2018/11/26)
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本日(11月25日)は、小平での吉田博徳さんの朝鮮史の講義。講義のタイトルは、「日本と朝鮮の2000年」。2000年の日朝関係史を2回で語ろうという、壮大な企画。
前回が朝鮮の誕生から幕末まで。そして第2回の本日が、我が国の明治維新から現在までの150年。資料は別にして、講義の骨格となった吉田さんのレジメだけを掲載しておきたい。立派なもので、参考になるのものと思う。
近年、慰安婦問題・徴用工問題等、日本の植民地支配時代の日本の違法が清算されていないことが具体的な問題として噴出している。あらためて、日朝・日韓の関係史を確認し直す必要があると思う。この企画は、時宜を得て講演者・受講者の熱意溢れるものだった。また、1921年生まれで、幼児期から青年期までを当地で過ごした吉田さんならではの貴重な講義でもあった。
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=日本と朝鮮の歴史を正しく知ろう=その1
主催「学びあい支えあう会」
後援 日朝協会小平支部
講師 吉田博徳氏
一、 はじめに
日本と朝鮮の歴史の流れについて、骨子を知ること
二、古代の日本と朝鮮
1 日本民族はどうしてできたか 北、西、南から流入した。
2 朝鮮の誕生
?檀君神話と箕氏朝鮮・衛氏朝鮮 三韓(馬韓・辰韓 弁韓)時代
?古代朝鮮と日本の文化
三、三国時代と日本(高句麗・百済・新羅)
1 高句麗の歴史と概要(BC 18?AD 688)
絶えず北方狩猟民族の侵略と闘い、668年に唐・新羅連合軍のため滅亡
2 百済の歴史の概要(BC18?AD663)
農業と文化の興隆に努力し、日本との交流 663年に滅亡
日本は百済再建を援助し、白村江の決戦敗北
3 伽耶(伽羅)の歴史(?AD562)
4 新羅の歴史の概要(BC57?AD935)
約1000年の歴史を持ち、朝鮮半島の統一を達成 その要因
新羅と唐との関係
5 古代朝鮮と日本の関係
大量の渡来人の来日 北方民族の防波堤
四、高麗王朝と日本 (936?1392)
1 高麗王朝の特徴と経過
北方民族、モンゴルの侵略との闘い
2 倭寇の侵略と刀伊の来襲 元寇(文永の役・弘安の役)
五、李氏朝鮮と日本(1392?1910 徳川時代末 1868まで)
1 李氏朝鮮国の特徴
封建的支配体制の整備 世宗によるハングルの制定
2 豊臣秀吉の朝鮮侵略(1592?1598)
第一次侵略(文禄の役)第二次侵略 (慶長の役)
秀吉の朝鮮侵略は何をもたらしたか
3 徳川幕府の朝鮮政策
朝鮮通信使に対する優遇 朝鮮貿易
六、「その1」のまとめ
秀吉の朝鮮侵略を除き、全期間を通じて友好・協力関係であった。
朝鮮からの渡来人は、日本文化の発展に大きな貢献を果たした。
=日本と朝鮮の歴史を正しく知ろう=その2
一、はじめに
紀元前後から徳川時代までの約1800年間は、倭寇と豊臣秀吉の朝鮮侵略を除いて日本と朝鮮は極めて親密であり、朝鮮からの渡来人が日本文化に大きく貢献した。
二、明治維新から韓国併合まで
1 明治維新の性格と朝鮮政策の根源
2 江華島事件。日朝修好条規
3 壬午(じんご)軍乱と済物浦(さいもっぽ)(仁川)条約
4 甲申政変と漢城条約
5 東学農民戦争と日清戦争
6 闘妃暗殺
7 日露戦争と朝鮮 朝鮮の支配権をめぐってロシアと戦う
8 伊藤博文の威嚇外交 第二次日韓条約の乱暴
9 韓国軍隊の解散と義兵闘争
10 安重根(あんじゆんぐん)による伊藤博文の暗殺
11 韓国併合条約
三、日本の韓国植民地支配
1恐怖の武断政治
朝鮮総督府の性格 寺内正毅初代総督による韓国人の無権利状態
2土地調査事業 韓国の農民から土地を取り上げる仕組 日本人の農場の進出
3「3・1独立運動」 独立万歳を叫ぶ非武装の大衆デモに武力弾圧
死者7,509人 負傷15,961人 逮捕者 46,949人などの被害
4 関東大震災と朝鮮人大虐殺
なんの罪もない朝鮮人6,000人以上を虐殺して、調査も謝罪もしない賠償もしていない
5 15年戦争と朝鮮
?侵略戦争の兵粘基地
?強制連行
?日本軍慰安婦
?皇国臣民教育 創氏改名など
?朝鮮人に徴兵制を施行
四、まとめ
1 「植民地時代に良いこともした」論について
2 戦後処理を正しく行わなければ、何年たっても真の友好は生まれない
3 北東アジアの地域共同体構築のために努力しよう
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講演後、会場から今回の徴用工判決について質問が出た。予め、吉田さんは経過の概要と評価とをまとめた資料を用意して回答し、会場にいた私を指名して補充の説明を求められた。その話の内容を、これも以下のレジメにしてみた。なにがしかの参考になろうかと思う。
徴用工訴訟・大法院判決の概要
2018/11/25 弁護士 澤藤
※経過 1997年日本での提訴の前史がある。(敗訴確定)
韓国での提訴が2005年。(徴用工4人)
一審判決(原告敗訴)⇒二審判決(原告敗訴)⇒大法院差し戻し(2012年)
差戻審判決(原告逆転勝訴)⇒大法院判決・2018年10月30日(確定)
※「核心的争点」は、
原告(元徴用工)の被告新日鉄住金に対する「強制動員慰謝料請求権」が、
日韓請求権協定の成立によって消滅したか否か。
※その判断の枠組みは
1本件「請求権」は、解決済みとされた協定の適用対象請求権に含まれているか。
2含まれているとすれば、協定の効力は原告の本件「請求権」にどう影響するか
「強制動員慰謝料請求権」は消滅する? しない?
消滅したのは外交的保護権だけ? 裁判を起こす権利(訴権)も?
※意見の分布(13裁判官)
(1) 多数意見(7名) 結論⇒原告勝訴
「強制動員慰謝料請求権」は、協定の適用対象請求権に含まれていない。
従って、協定の締結によって消滅していない。
(2) 個別意見1(1名) 結論⇒原告勝訴
大法院差し戻し判決の羈束力として含まれていないと解釈するしかない。
(3) 個別意見2(3名) 結論⇒原告勝訴
「強制動員慰謝料請求権」は、協定の適用対象請求権に含まれている。
しかし、同協定によって原告らの個人請求権は消滅していない。
協定によって剥奪されたのは、外交的保護権だけである。
(4) 反対意見(2名) 結論⇒差し戻し(実質原告敗訴)
「強制動員慰謝料請求権」は、協定の適用対象請求権に含まれている。
同協定によって外交的保護権だけが消滅しただけではなく、
原告らの個人請求権の行使(訴権)が制約されたと解すべきである。
※影響 他の裁判への影響 被告は三菱重工業、不二越、IHIなど70社超
元徴用工は22万余(運動体には100万説も)
※本質 植民地支配の未清算 戦争遂行のための外国人の人権侵害
※これまでの日本の見解
政府も、最高裁も、請求権自体の消滅は語っていない。
★日本政府の反応
アベ「国際法に照らしてあり得ない判断だ。日本政府としては毅然と対応していく」
河野「元徴用工の個人請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済」「国際裁判を含めあらゆることを視野に入れた対応をせざるを得ない」
外務省「今後、韓国政府の出方を見極めたうえで協議開催を求める。協議が不調に終われば、第三国の委員を交えた仲裁委員会での話し合いを求める見通しだ。それでも解決しなければ国際司法裁判所(ICJ)への提訴も検討する。」
★新聞論調(2018.11.7 【社説検証】から引用)
1965年の日韓国交正常化の際に結んだ請求権協定では、日本政府や企業の賠償問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記された。韓国政府も個人の請求権を含め解決済みだと認めてきた。しかし、韓国最高裁は「植民地支配や侵略戦争遂行と直結した反人道的な不法行為」と決めつけ、個人請求権を認めた。
こうした判決は、現在の日韓関係を根底から覆すものでしかない。朝日、毎日を含め各紙社説は韓国最高裁の判断を批判する論調でほぼ足並みをそろえた。
韓国の徴用工判決 産経「史実歪め国の約束無視」
★政府とメディアのミスリードによる排外主義世論に警戒を。
(2018/11/25)
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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!
12月3日(月)18時?20時(17時30分開場)
衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」
衆議院第1議員会館は丸ノ内線・国会議事堂、有楽町線・永田町駅
(どなたでもご参加いただけます。
議員会館ロビーで入館証をお受け取り下さい。)
民意を無視して9条改憲を強引に進めようとしている「安倍政治」。その「安倍政治」において、公文書・公的情報の隠蔽・改竄・廃棄・捏造が横行し、権力のウソとごまかしが国民主権や議会制民主主義を脅かそうとしています。
私たちは、森友・加計学園に典型的にみられる権力の私物化、「働き方改革」のウソ、外交交渉の内容の捏造等々、ウソとごまかしによる「ポスト真実」の政治を許せず、アピールを発表して賛同の署名を呼びかけました。
下記のとおり、賛同署名集約の集会を開催いたします。この日、署名簿を安倍晋三氏に届けるとともに、この集会にさまざまな分野からの発言を得て、「安倍政治のウソのごまかしを総検証」いたします。そして、どうすれば、安倍政治に終止符を打つことができるか考えてみたいと思います。どうぞご参加ください。
司会 澤藤統一郎(弁護士)
挨拶 浜田桂子(絵本作家)
「安倍政治」と「ポスト真実」
小森陽一(東京大学大学院教授)
「働き方改革」一括法と「ポスト真実」
? 上西充子(法政大学キャリアデザイン学部教授)
「公文書管理」と「ポスト真実」
? 右崎正博(獨協大学名誉教授)
日米FTA(自由貿易協定)と「ポスト真実」
? 古賀茂明(元経済産業省官僚)
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いつもカバンにくっつけているそれ。小さなポスターみたいなの。それなんなの?
ああ、これ。よく見てね。「DHC 私は買いません」っていう、ミニポスター。みんなに、「DHCの商品は買わないようにしましょう」って、宣伝して歩いているんだ。
DHCって、いっぱいコマーシャルをやってる、あの化粧品やサプリメントの会社でしょう。あの会社の商品を「買ってください」ではなくて、「買っちゃいけないっ」て宣伝しているの?
そう。DHCの商品はけっして買っちゃいけない。DHCを儲けさせちゃいけない。それが、世のため人のため。みんなのためになる。
それって営業の妨害にならないの?
もちろん、営業を妨害している。でも、言葉は選んで「不買運動」と言っている。営業妨害それ自体が目的ではなく、DHCに反省を求めての宣伝。けっして実力行使はしない。嘘は言わない。社会の利益のために、消費者の気持ちに訴えている。
へえ、そうなの。DHCって、何の頭文字?
ほら、ここに書いてある。
D デマと
H ヘイトの
C カンパニー
そうなんだ。とっても面白い。だけど、ホントは違うんでしょう。
ホントは、「大学翻訳センター」の頭文字らしいんだ。でも、デマとヘイトのカンパニーの方が、「名は体を表す」で本当っぽいよね。
DHCの商品、どうして買っちゃいけないの? デマとヘイトの会社だから?
うん、まずはデマとヘイトだ。
沖縄の平和運動に対して、デマを飛ばし偏見をあおって有名になったテレビ番組「ニュース女子」。あの番組の制作会社が「DHCテレビ」で、DHCはその親会社なんだ。「DHCテレビ」の株式の100%をもっているし、代表者も同じ吉田嘉明という男。事実上、DHCテレビはDHCの一部門といってよい。
そのDHCテレビが、「沖縄で基地建設に反対している人たちの中には、数々の犯罪や不法行為を行っている人たちがある」と、取材もしないでウソをばらまき、お正月の娯楽番組であざ笑ったんだ。ゆるせないだろう!
「ニュース女子」のムチャクチャなデマ放送は有名になったから知っている。現地の取材もしないでデマ報道。あれが、DHCの仕業なら「デマのD」は納得。「ヘイトのH」は?
DHCテレビは、「ニュース女子」以外でも、「虎ノ門ニュース」「放言Barリークス」などのネット番組で、沖縄や在日の人だちへの差別発言を繰り返しているんだ。DHC会長の吉田嘉明は、会社のホームページや産経のネットサイトで、在日の人たちを「日本の悪口ばっかり言っている似非(エセ)日本人」「母国に帰っていただきましょう」なんてヘイト発言を発信している。沖縄差別、在日差別で凝り固まっているんだね。
いまどき、そんな恥知らずなことを大っぴらに言う人がいるんだ。お灸を据えなくっちゃね。そんな会社だと知らずにDHCの商品を買うと、デマとヘイトを応援することになっちゃう。
そう。何も知らない消費者がDHCの宣伝に惑わされてその商品を買うと、そのおカネが、沖縄や在日をバッシングするデマとヘイトの資金になる。
DHCの問題って、デマとヘイトだけ? ほかにはないの?
DHCと吉田嘉明はスラップ訴訟の常習犯だ。自分に都合の悪いことを言った人を相手に、やたらと裁判を起こすんだ。2000万円支払えとか、1億円支払えとか。私もやられた。6000万円支払えって裁判。
6000万円の請求はメチャクチャ。さぞかし、びっくりしたでしょうね。
最初の請求は2000万円だった。なんの前触れもなく、ある日突然に訴状が届いた。「私のブログの記事がDHCと吉田嘉明の名誉を毀損しているから、謝罪の上2000万円を支払え」という、まったくバカバカしい提訴。無性に腹が立ってしょうがなかった。
バカバカしいのに、腹を立てたの?
こんなわけの分からない汚い輩が、カネの力だけでエラそうにしていられるこの社会に腹を立てた。こんな汚い訴訟を引き受ける弁護士がいることにも腹を立てた。
バカバカしくても、腹が立っても、裁判には付き合わなければならないから、たいへんだったでしょうね。
私は弁護士だから、「ことは言論の自由に関わる」「こんな不当に屈してはいけない」「不当な提訴とは徹底して闘う」と決意した。で、「DHCスラップ訴訟を許さない」、というDHCと吉田嘉明を糺弾するシリーズを猛然と書き始めた。そしたらすぐに、2000万円の請求が6000万円に跳ね上がった。
へー。DHCと吉田嘉明会長は、「黙れ」「批判は許さない」という目的で提訴したことを認めたも同じじゃない?
私がDHC・吉田嘉明の批判を続けたら請求金額はどんどん増額されるかとも思ったが、さすがに吉田嘉明もあきらめた。6000万円で打ち止め、そのあとの請求の拡張はなかった。DHC・吉田嘉明を批判する私のブログは、本日が140回目となる。
で、裁判は勝ったの?
私の代理人の弁護団は優秀でDHC・吉田嘉明を理論的に圧倒した。まったく勝負にならなかった。もともとDHCに勝ち目のある裁判ではなかったけど、嫌がらせが目的だから、DHC・吉田嘉明は、高裁・最高裁まで争って完敗した。DHCは判決では負けてばっかり。だけどそれでもかまわないんだ。「DHCを批判してみろ。すぐに裁判をかけるぞ。裁判やられたら面倒だろう。だから、DHCを批判するようなことを言うな」というわけだ。
じゃあ、裁判にまけても、DHCはへっちゃらなんだ。
だから、今、私が原告になって「反撃訴訟」をやっている。DHC・吉田嘉明がこんなムチャクチャな裁判を提起したこと自体が違法だという主張。来年(2019年)のうちには一審の判決が出る。
どんなブログが、6000万円の損害賠償請求の対象になったの? 読んでみたい。
これを見ると書いてある。「いけません 口封じ目的の濫訴ー『DHCスラップ訴訟』を許さない・第1弾」
https://article9.jp/wordpress/?p=3036
DHC関係の私のブログは、下記のURLで全部読める。
https://article9.jp/wordpress/?cat=12
DHCや吉田嘉明の問題は、デマ・ヘイト・スラップということね。
まだある。吉田嘉明は渡辺喜美という政治家に8億円の裏金を渡している。その目的は、規制緩和のための政治を求めてのもの。これは、消費者問題に携わってきた私には、どうしても許せない。
分かった。デマ・ヘイト・スラップ・裏金・規制緩和、悪い会社だから徹底して抗議をしましょうってわけね。
そう。見解の相違とか、ものの見方が違う、などと言うレベルの問題ではない。DHC・吉田嘉明のやっていることは、民主主義の基本ルールを大きく逸脱している。だから、抗議というよりは、こんなとんでもない会社にお灸を据えようということ。心ある多くの人々がDHCの商品を買わないとなれば、DHCも反省しなけりゃならなくなる。DHCは商売で儲けた金を、公然とデマとヘイト、スラップ、政治家への裏金の資金にしている。その資金を断つことが民主主義のために有効だと思う。
フーン。選挙ではなく、どこの会社の商品を買うかの選択でも、世の中をよい方向にもっていくことができるんだ。
沖縄の問題や、在日差別、スラップ、政治資金規正の話題が出てきたら、「ところでDHCの商品を買うのはやめましょう」「それにつけても、DHC私は買わない」と言ってね。
了解。私だって、民主主義が好き。表現の自由が好き。デマもヘイトも大嫌いだものね。もう、絶対にDHCの商品は買わない。
(2018年11月24日)
本日は「勤労感謝の日」。昔から、この祝日の趣旨も意義もさっぱりわからない。
勤労とはいったい何だ。賃労働のことか、搾取のない異世界の労働か。感謝とは何だ。誰が誰の勤労にどのように感謝せよというのか。失業者は感謝されないのか。働かずしてたらふく喰っている者が、汗水たらして働いている者に感謝する日という趣旨なら分からないでもないが、それならばどうして5月1日ではなく、11月23日なんだ。
祝日法には、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」と記されている。この記載、なんとも出来がよくなく、座りが悪い。「国民たがいに感謝しあう」は、一般人の感覚として気持ちが悪いフレーズではなかろうか。
戦前の典型的な宮中祭祀であった新嘗祭の日を、天皇主権が否定された戦後においても国民に記憶させようという見え透いた企て。無理を通した涙ぐましい努力の結果。出来は悪くても、新嘗祭の日を祝日にし、そのたびに多くの国民に新嘗祭を思い出させ、語らせることには成功している。
本日も天皇の家族はしきたりに従った新嘗祭を行っている。それは、純粋にその家族限りの宗教行事であって、国家とも国民ともまったく無関係なものとしてである。それが憲法の政教分離が要求するところなのだ。
来年(2019年)、天皇が交代する。来年の新嘗祭はなく、代わって大嘗祭が行われる。大嘗祭は、天皇の代替わりのあと、在位中に一度だけ行われる宗教的秘儀とされる。秘儀なのだから、何がどう行われるかは実はよく分からず、よく分からないから諸説紛々としている。いずれにせよ、五穀豊穣や生殖による繁栄を祈る宗教儀式であり、天皇としての霊力がこの儀式で承継されるという。
天皇という国家公務員職の交代に伴うセレモニーが許されないはずはない。しかし、宗教色をもつことは固く禁じられている。ところが、憲法を無視して大嘗祭を国家行事としてやりたいという勢力が確実に存在する。国民主権の徹底を嫌い天皇主権に郷愁をもつ保守勢力、憲法改正の突破口として厳格な政教分離条項に穴を開けようという政治家たち。
農業社会に成立した呪術的な未開宗教は、必然的に五穀豊穣を祈ることになる。新嘗祭とはそのような由来の宮中祭祀であっただろう。未開宗教が祈りの対象としたもう一つの重要課題は、生殖による繁栄である。この二つの課題は、避けて通れない。大嘗祭は何らかの形でこの両者にコミットするのだろう。
純粋に天皇家族限りの私的な宗教行事である限り、どんな行事を行おうと、他からとやかくいう筋合いはない。しかし、これにいささかでも公的な色彩が付されれば、とやかく言わずにはおられない。主たる問題は、けっして原始宗教の名残を後生大事に墨守しようとすることの滑稽さにあるのではない。
かつて神であり、それゆえ主権者とされたのが天皇である。国民主権、民主主義の最大の敵対物であり、いまだに民主主義政治に危険な存在と認識しなければならない。
かつて天皇とは、政治権力者のこの上なく便利で調法な支配の道具であった。政治的権能は失った今も、社会的権威としては生き延び、確実に影響力を有している。天皇の権威と、民主主義の成熟度とは反比例する。天皇を権威付ける方策に手を貸してはならない。
来年行われるはずの大嘗祭を公的行事としてはならず、これに公金を投入してはならない。
(2018年11月23日)
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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!
アピール運動の署名集約集会
12月3日(月)18時?20時(17時30分開場)
衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」
衆議院第1議員会館は丸ノ内線・国会議事堂、有楽町線・永田町駅
(どなたでもご参加いただけます。
議員会館ロビーで入館証をお受け取り下さい。)
民意を無視して9条改憲を強引に進めようとしている「安倍政治」。その「安倍政治」において、公文書・公的情報の隠蔽・改竄・廃棄・捏造が横行し、権力のウソとごまかしが国民主権や議会制民主主義を脅かそうとしています。
私たちは、森友・加計学園に典型的にみられる権力の私物化、「働き方改革」のウソ、外交交渉の内容の捏造等々、ウソとごまかしによる「ポスト真実」の政治を許せず、アピールを発表して賛同の署名を呼びかけました。
下記のとおり、賛同署名集約の集会を開催いたします。この日、署名簿を安倍晋三氏に届けるとともに、この集会にさまざまな分野からの発言を得て、「安倍政治のウソのごまかしを総検証」いたします。そして、どうすれば、安倍政治に終止符を打つことができるか考えてみたいと思います。どうぞご参加ください。
司会 澤藤統一郎(弁護士)
挨拶 浜田桂子(絵本作家)
「安倍政治」と「ポスト真実」
小森陽一(東京大学大学院教授)
「働き方改革」一括法と「ポスト真実」
? 上西充子(法政大学キャリアデザイン学部教授)
「公文書管理」と「ポスト真実」
? 右崎正博(獨協大学名誉教授)
日米FTA(自由貿易協定)と「ポスト真実」
? 古賀茂明(元経済産業省官僚)
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江戸時代に、代々山田浅右衛門を名乗った首切り役人の家系があった。ご存知、時代劇の(アンチ)ヒーロー「首斬り浅右衛門」である。歴代のうち一人だけが山田朝右衛門を名乗っているが、その本職は斬首の執行ではなく、試し切りだったという。代々のいずれも、試し切りの達人だった。
その考証に関心はないが、家格は一万石相当とされ、実入りは莫大だったという。死体の臓器から家伝のクスリを製造して販売もしていたと伝えられている。
しかし、実入りは良くとも、旗本としての取り立ての機会はなく、明治期にはいるまで士分であっても浪人の身分とされた。「首斬り」は高い技術を要求される職分ではあったが、卑しい職として蔑まれたからであろう。
さて、現代の首斬りヒジネスマン、カルロス・ゴーンのことである。これまでも、毀誉褒貶激しかった人。「稀代のコストカッター」とは、冷酷な首切りをやったということにほかならない。その数、2万人に及ぶという。これを経営手腕として褒めそやすのは、恐るべき頽廃である。真にやむを得ないリストラであったにせよ、卑しい行為として蔑まれなければならない。
これまでゴーンは、労働者の首斬りを敢行した対価として、年間10億円の報酬を得ていたとされていた。この高額報酬を唾棄すべきものと反感をもつべきが正常な感覚である。「人の不幸で肥え太る」ことは、古今を通じて卑しむべきことなのだから。
今、明らかになりつつあるのは、彼の首斬り報酬は実は年間20億円だったという。さらに、会社のカネでの贅沢三昧をほしいままにしていたのだ。いったい、幾らの浪費になるのだろうか。「コストとは、オレのことかとゴーン言い」なのだ。これまで、ゴーンを礼賛していた人々は大いに恥じるがよい。ゴーンの礼賛までには至らずとも、「日産を立て直したのだから、それなりの額の報酬があってしかるべき」などと思い込んでいた人々も。
ゴーンの報酬を最小限とし、冗費を削っていれば、多くの労働者の首を切らずに済んだはずではないか。それをこそ経営手腕という。資本の冷酷な論理を前提にものを見るか。それとも、働く人々の立場からものを見るか。評価は天と地ほどに分かれる。
ちなみに、浅右衛門の斬首の手間賃は、刀砥ぎ代として金2分であったという。
(2018年11月22日)
一昨日(11月19日)、盛岡で「東北沿岸漁民緊急フォーラム」が開催された。東北各県から80名を越える参加者があって、盛況だったという。二平章さん(茨城大学客員研究員・北日本漁業経済学会/会長)からいただいたご報告を紹介したい。
プログラムは以下のとおり。
■開催趣旨説明 二平 章
■主催者挨拶 瀧澤英喜(全国沿岸漁民連絡協議会共同代表・大船渡)
■報告「漁民に知らせず成立ねらう改定漁業法案の驚くべき内容」
長谷川 健二(福井県立大学名誉教授)
「沿岸漁家・漁協経営を破綻に導く改定漁業法案に反対」
濱本 俊策(香川海区漁業調整委員会会長)
■意見表明 赤間廣志(宮城県漁業調整委員会委員)
菅野修一(岩手県漁業調整委員会委員)
片山知史 (東北大学教授)
綱島不二雄 (元 山形大学教授) そのほか参加者より
長谷川福井大学名誉教授、濱本香川県漁業調整委員会会長の講演で「改正」漁業法案の問題点を学習、綱島山形大学名誉教授、横山岩手大学教授、赤間宮城県調整委員会委員、管野岩手県調整委員会委員、鈴木千葉県調整委員会委員らから、漁業法「改正」に反対する立場から意見表明があり、活発な質疑が行われた。
なお、昨日(11月20日)の河北新報は、「漁業権見直しに異議 東北の漁師が緊急集会『漁業者に一切説明のない改定許せぬ』」と次のとおり報じている。
企業などに漁業への新規参入を促す水産改革関連法案の閣議決定を受け、漁業法改定に反対する「東北沿岸漁民緊急フォーラム」が19日、盛岡市であった。全国沿岸漁民連絡協議会などが主催し、約70人が参加した。
改定案は、地元漁協や漁業者を優先していた漁業権の割り当てを廃止する方針。長谷川健二福井県立大名誉教授(漁業経済学)は「漁協による漁場の利用調整が働かなくなり、混乱を招く。企業利益は地元に還元されない」と指摘した。
各都道府県の海区漁業調整委員の選任を選挙から知事の任命に変更する政府案には、塩釜市の漁師で宮城海区の赤間広志委員が「漁業者が自分の意見を主張する機会を奪う」と反対を表明した。
岩手海区の菅野修一委員は「海の資源は効率化を求める企業だけのものではない。漁業者に一切説明のない改定は許せない」と表明。全国海区漁業調整委員会連合会が「地方議会に改定反対の意見書を提出するよう働き掛けてほしい」と呼び掛けた。
下記は、このフォーラムに配布された、二平さんの報告資料。分かり易く、問題点を鋭く指摘している。少し長いが、貴重な資料として全文をご紹介しておきたい。
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東北沿岸漁民緊急フォーラム資料(2018・11・19)
「漁業法改悪と沿岸家族漁業」
二平 章(茨城大学客員研究員)
●はじめに
安倍首相は2018年10月24日の臨時国会冒頭で「70年ぶりに漁業法を抜本的に改正し、
?漁獲量による資源管理を導入する。
?船のトン数規制をなくして大型化を可能とし漁業の生産性を高める。
?漁業権の付与は法律で優先順位を定めた現行制度を廃止し、養殖業への新規参入、規模拡大を促す。」との施政方針演説をしました。
続いて11月6日には「漁業法の一部を改正する等の法律案」(以下、改正漁業法案)を閣議決定し、国会に提出したのです。
規制緩和で企業活動を刺激することなどを柱とした成長戦略は2012年12月から始まった第2次安倍内閣が掲げた経済政策「アベノミクス」の3本の矢のうち、大胆な金融緩和、機動的な財政出動に続く政策でした。それに基づき、安倍首相は2013年の第183国会で施政方針演説し「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指し、聖域なき規制改革を進め、企業活動を妨げる障害を一つひとつ解消する」として「規制改革会議(座長:岡素之 住友商事相談役)」を設置しました。
規制改革会議は、翌年の2014年5月には農業分野において、
?農業委員会の等の見直し、
?農地を所有できる法人の見直し、
?農業協同組合の見直し
の3本を柱とする「農業改革に関する意見」を提言し、安倍内閣は企業参入の障壁になるとして農協法、農業委員会法、農地法を「改悪」しました。
さらに、規制改革会議を受け継ぎ2016年9月に発足した規制改革推進会議(座長:大田弘子 政策研究大学院大学教授)にも提言を出させ、安倍政権は2017年5月に「農業競争力強化支援法」など8法案を国会で可決・成立させたのです。
その主な目的は「生産、資材、流通、種子など食の安定供給を支えてきた制度の変更や収入保険の導入によって競争力のある一部の農業経営体に資源を集中させ、川上・川下部門における民間参入を促すもの」(植田2018)であり、また「自主・自立の農協組織に過剰介入して民間企業に農業・農村でのビジネスチャンスを拡大し農業には全く似合わない新自由主義の効率化と市場競争原理を農村社会に持ち込むもの」(松澤2017)でした。
●漁業権と漁協への攻撃
「農業改革」の名のもとに、農協組織を弱体化させ、農業への大企業の参入・支配力を強め、家族農業経営を破壊へと導く法案を次々と成立させていった安倍内閣は、次には漁業関連法の見直しに乗り出します。
規制改革推進会議は、2017年5月23日に「第一次答申」を発表し、「岩盤規制改革に徹底的に取り組み、ここで一気にアクセルを踏み込む」とし、「漁業改革」について答申は「漁業の成長産業化等の推進と水産資源の管理の充実」を掲げ、2017年に検討を開始し2018 年に結論を出し、結論を得次第速やかに措置するとしたのです。この第一次答申では直接漁業権問題には触れていませんが、答申直前の5月10日に開かれた規制改革推進農業ワーキンググループ(WG)会合では、水産庁に対して「沿岸の漁業権が漁協を通じて管理されていることについての見直し」についてヒヤリングをおこなっており、当初から規制改革推進会議の狙いは、漁業権の見直しにあったことは明瞭でした。
2017年の9月からは規制改革推進会議の中に「漁業改革」を専門的に議論するための水産WG(座長:野坂美穂 多摩大学経営情報学部専任講師)がつくられ、2018年5月までに17回の会合を重ねて、6月に最終答申を行っています。
この水産WGがスタートする直前の2017年7月27日には、安倍内閣の漁業改革への意向を公表する形で、行政改革推進本部行政改革レビューチーム水産庁特別班が、河野太郎行政改革推進本部長、平将明、中西健治、小林史明行政改革本部役員らの出席のもと横やりを入れる形で「区画漁業権の運用見直し」と題する提言をわざわざ記者発表しています。
その内容は、クロマグロ養殖業や真珠養殖業などの区画漁業権の運用について、「漁業法で定められた区画漁業権の優先順位などの参入ルールが漁業への新規参入の障壁となっている。(新規参入にあたっては)企業などが漁業協同組合の組合員となって参入せざるを得ない状況にある。養殖業への参入に際しては、養殖漁場の運用管理上で優位な立場にある漁業協同組合との交渉や調整などで、参入事業者は膨大な時間や労力を費やしている。こうした状況は、養殖業を営む漁業経営者の不必要なコスト増につながり、漁業の成長産業化などの政策推進の妨げになっている。意欲と能力のある者が漁業に円滑に参入できるよう参入ルールや養殖漁場の運用管理について見直しを検討すべき」としたのです。つまり、企業が活躍しやすい海面利用のためには、漁業権や漁業協同組合は企業活動を妨げる障害であり、その影響を排除することが安倍政権の行政改革推進であることを明確に述べたのです。
「農業改革」でなされた実績から見てもわかるように、漁業における「規制改革推進」=「水産改革」のねらいが、企業活動の妨げになる漁業協同組合の弱体化と公選制である漁業調整委員会の権限を縮小し、海面での大規模養殖や風力発電などの企業活動や諫早湾などの開発行政、辺野古などの軍事基地建設での海面埋め立てなど、これまで様々な開発事業の物理的・経済的障害となってきた「漁業権」をなくし、「企業資本が自由に海と資源を利用できる体制に作り変えること」にあることは明瞭といえます。
「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」と公言し、農業や林業つぶしの悪法を次々と成立させてきた安倍政権が、最後の漁業分野で漁民から海を取り上げ「企業のための海づくり」を狙っていると言えるのです。
●「改正漁業法案」の問題点
改正漁業法案は、
第1に水産資源管理手法の見直し、
第2に許可漁業の見直し、
第3に漁業調整委員会制度の見直し
を主要な改革としています。
「法案」は「水産資源の保存および管理」を筆頭に掲げて、あたかも「水産資源の持続的な利用」をめざした法案であるかのような装いを凝らしていますが、その一番のねらいは、企業資本が自由に海面を利用し利潤追求の場にできる漁業権制度の見直しです。
漁業権には共同漁業権、定置漁業権、区画漁業権とよばれる3種類の漁業権があります。戦後民主化の動きの中、1949年にできた戦後漁業法では、地元に居住し、海で働く沿岸漁民に優先的に漁業権を与え、そのために地元漁民が加入する漁協を地元海面の漁業権の一括した受け手とし、漁協内の合議のもとに漁場の円満な利用をはかろうとしました。それは戦前の不在地主的企業免許制度下では、地元漁民は地元資源を利用することができずに、企業の利潤が都市に流出していった反省からつくられた制度でした(加瀬,2018)。
今回の改正漁業法案では、養殖のための区画漁業権を漁協を通さずに企業に直接免許したり、定置漁業権についても、申請が重複した場合これまでは漁協や地元漁民に優先的に与えられていた漁業権を知事の裁量で企業に直接免許することができるようになっています。まさに戦前の「不在地主的企業免許制度」に逆戻りの内容といってもよいものです。
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●漁業権制度の歴史と現状
魚は海の中を自由に泳ぎ回り、漁民はそれを追って漁を営むことから、海面には農業のような排他的な個人所有の「農地」は存立しえません。江戸時代から小さな舟でヒラメを釣る、地引網でイワシを捕る、目の前の磯や浜でアワビやハマグリを捕るといった地先の海がその漁村の専有的な漁場とされ、地元漁民がルールをつくり共有で利用してきました。村と村の境界が地先漁場の境界でもありました。カツオなどの回遊魚が来遊する沖の漁場は少数の大きな舟しか行けず、広大な海なので各船の競合もなく調整も必要ではないことから、各漁村から自由に入り会える自由な漁場として利用されました。現在の漁場利用制度も、基本的にはこのような江戸時代からの「磯は地付、沖は入会(いりあい)」の制度が受け継がれてきていたのです。
地元漁村の漁業者が優先して地先の漁場を利用できる制度としてできた漁業権漁場制度ですが、距岸距離で漁場利用をながめると、日本漁船だけが利用でき、他国の漁船が操業できないのが排他的経済水域(EEZ)で、国連海洋法会議で決められています。これが200海里ラインといわれ岸から370kmで、200海里の外が公海となります。ちなみに日本の領海は12海里で22.2kmです。これに対して漁業権漁場は各地で若干の違いもありますが、おおよそ距岸3?5km以内で極めて狭い範囲に限定されています。
●漁業権の種類
先に述べたように漁業権には漁場の利用の仕方によって、共同漁業権、定置漁業権、区画漁業権があります。
共同漁業権は一定の水面を多数の漁業者が利用する漁業権で、アワビやサザエ、ハマグリやアサリ、ワカメやコンブ、フノリなど地域的な資源を守りながら一定地区の漁民が皆で漁業を営む権利です。一定漁場を多くの漁民で集団的に利用することから漁民の間で混乱が生じないよう利用上の規則をつくり、資源の増殖・管理のために漁場造成、種苗放流、密漁対策などを行っています。そのためにその地区の関係漁民全員が加入している地元漁業協同組合に対して知事が免許を与え、漁協が組合内協議の上で希望漁民に免許を与えています。 定置漁業権は、一定の水面で定置網などの漁具を設置して漁業を営む権利で、網の目合を変えてブリやマグロからサバ・イワシまでをねらう大型定置網および北海道ではサケ定置を営む権利で、経営者の申請に対して県知事が免許します。広い範囲の地先海面を長期間独占することから、その収益を地元漁村・漁民に還元させる趣旨から、商人よりは漁民、個人よりは団体、よそ者よりは地元人を優先する優先順位が現行漁業法には定められています。 区画漁業権は、海面にブリやタイ、最近ではクロマグロ育成用の大型生簀(いけす)や、カキやホタテをつるす筏(いかだ)を設置して、養殖業を営む権利です。養殖業では多数の漁民が内湾など限られた静穏な一定海面に入り会いながら集団的に利用することから、共同漁業権同様、漁場利用のためのルールづくりや漁業者間調整、監視や監督が必要となります。そのため、関係漁民全員が加入している地元漁業協同組合に対して知事が免許を与え、漁協が個人を決定しています。多数の組合員が免許申請することから、県では漁民一人ひとりのことも、漁場の条件も判断できないことから、漁民が全員加入している地元漁協内で協議のうえで養殖施設の台数や設置場所を組合員合意のもとで決定しているのです。ただし、企業などの個別経営であっても漁協の組合員となれば養殖業を営むことは可能で、現在も企業は地元に子会社をつくり、漁協組合員になって養殖業を行っています。
●クロマグロ養殖と企業
海面養殖業は多岐にわたりますが、大多数が小規模・家族経営の形態です。そこに近年、マルハニチロやニッスイ、双日などの大手企業資本が現地に子会社を設立し、漁協に加入してクロマグロ養殖業に参入してきています。「世界6位の排他的経済水域(EEZ)を有効に活用し持続可能で成長力ある漁業を実現する」と規制改革推進会議水産WGの審議事項(2018年9月20日)では「広い海」を喧伝しています。しかし、クロマグロ養殖漁場も、実は多数の沿岸漁民が漁業を営む内湾など狭い共同漁業権内の沿岸域なのです。混乱を起こさずに養殖業を行うためには、内湾域を利用する企業経営体も漁民もすべてが地元漁協に加入した上で、全組合員合意でその水面の有効利用と環境管理につとめることは至極当然のことといえるでしょう。
漁協では養殖漁場を利用する組合員からは個人であれ企業であれ、漁場使用料や市場出荷・販売した場合の販売手数料を徴収しています。これは漁協の運営経費にあてられます。漁場利用にあたっては組合内調整のための協議や漁場管理の労役義務も当然、漁協組合員としては義務となります。また、漁協は漁船登録などの行政代行業務や、種苗放流、漁場監視や海難事故対策などいろいろな公益的な役割も果たしています。まさに協同組織として地先の海の環境と地域漁業を守る役割を担っているのが漁協なのです。利潤追求の企業資本にとっては、漁業権免許を漁協からでなく知事から直接受けることにより、漁協から離脱して、漁協に対する費用負担や調整協議、労役負担をなくし、地元漁民や漁協に制約を受けることなく、企業本位に海面を自由に利用して利潤追求したいというのが本音でしょう。行政改革レビューチームの自民党議員からの提言内容もそのままです。
●企業資本優先の海づくり
沿岸漁場の中に地元漁協と無関係の直接経営者免許の企業養殖が出現すれば、どうなるでしょう。これまでは漁協内で組合員である養殖漁家が協議して海を汚染しないよう過剰な餌やりを防止したり、価格暴落を起こさないように養殖魚の数量調整を行ってきました。その漁場に漁協には所属しない経営者免許の企業養殖ができてきたら、彼らは漁協には無関係に企業の論理で養殖生産することができます。そうなれば漁協を中心とする沿岸の共有海面利用の秩序と体制が崩壊し、沿岸漁場には混乱と対立が生じるのは必然です。株主の利益を優先し、ともすると「今だけカネだけ自分だけ」となる企業論理では、利潤を最優先して共有漁場環境を荒廃させ、利潤がなくなればさっさと撤退して他へ資本を投下するのは、これまで各地で営まれた参入企業養殖の事例をみても明らかです。漁協に支払う各種負担金がいらないとなれば、個別養殖漁家からも直接経営者免許に切り替える経営体が出現し、漁協を中心とした地域の共同体制は壊され、無秩序な養殖生産から次第に小規模・家族経営の養殖漁家は駆逐され、地域漁協も組合員や収入が減少することから縮小していくことになります。地域資源から生み出される富が企業資本によって中央に流出する戦前の状況が生み出されることになり、地域自治体も一層衰退していくことは明らかです。
漁民と漁協の努力でブランドのブリやマダイ養殖業を成功させ豊かな漁村を築いてきている愛媛県うわうみ漁協の佐々木譲組合長も、今回の水産改革について「知れば知るほど正に漁業の成長を企業にゆだねるものであり、歴史的に連帯・協調・相互協力の精神を基本に漁業・漁村社会を守るため、浜の力を漁協に結集し、将来にわたって、その役割を果たすべき零細漁民の救済・成長とは逆に企業の成長を促進するものであり絶対に許せない改革だと思う」とし「協同漁業権区域内に経営者免許での企業参入で漁場行使すれば、生産のすべてにおいて調整不能となる。魚類養殖の免許は組合免許である現状を変更しないこと。共同漁業権内には企業参入を認めないこと」と提言する意見書をまとめています(2018年9月4日意見書)。
定置漁業権でもこれまで、地元漁民や漁協に優先的に免許された定置漁業権が、行政の裁量で企業的経営に直接免許されることになります。また、全国の漁業調整委員会の反対意見を無視して漁業調整委員会委員を公選制から知事の任命制に変更します。今回の漁業法改正は、養殖漁業権や定置漁業権における漁協の漁場管理や漁場調整の権限を無くし、漁業調整委員を任命制にして地方の行政機構にその責任を負わせ、企業資本に優先的に漁場利用権を与え、沿岸漁場を企業資本に明け渡す企業のための海づくりなのです。
●漁船の規模撤廃で強まる漁獲圧力
次に、漁船漁業の企業資本のために「規制緩和」をねらって盛り込まれたのが、大臣許可漁業・沖合漁業における「漁業許可制度の見直し」です。「漁船の数や船の大きさである総トン数規制をなくして船の大型化を可能とし漁業の生産性を高める」条項です。一般的に魚類資源に対する漁獲圧力は漁船の数や漁船の大きさに比例します。現代の漁獲行為は最新鋭の漁網漁撈装置、遠くの海中の魚群を探索できる高性能な魚群探索機器類を用いて行われます。漁船のトン数規模が多くなればより大きなエンジンを積み込み、より高度な魚群探索機器を導入して、魚群を探索する範囲と能力を高め、より大きな漁網を曳く力も強くなります。一隻あたりの漁獲効率が上昇するのは歴然です。漁獲効率をめぐって企業間では漁船装備の船間競争も激化します。高額な漁撈装置や探索機器類ですので導入コストも上昇するでしょう。国は漁獲可能量(TAC)制度を導入するので心配は要らないと言うのでしょうが、企業資本同士が競争する海の上の世界はそう単純にはいかないのが現実の世界です。海上では制限された漁獲量の元、低価格の小型魚は海上廃棄され高価格の魚だけを漁獲したり、資源豊富な沿岸漁場へ違法侵入することが起きてくるでしょう。漁獲効率を高める沖合漁業の出現で沿岸漁業・漁船との間で今以上に資源と漁場をめぐる軋轢が一層顕在化してくると思われます。
また、知事許可漁業・沿岸漁業にたいしても、「制限措置など、大臣許可漁業に関する所要の規定を準用する」となっています。知事許可漁業である県まき網漁業や底びき網漁業においても、トン数規定が外されていったならば、大臣許可船同様、漁獲効率の高い船が地域内漁場に出現し、沿岸資源に対する漁獲圧力は一層強まり、釣り漁業など小規模沿岸漁業は窮地に追い込まれていくことは必然です。現に、今でもM県では一本釣りの天然礁漁場に夜間、灯火で魚を集めて一網打尽に魚をまく、まき網船が出現、一夜にして小規模漁民の釣り漁場が消滅したり、まき網船が一度に多量に魚を水揚げすることから、小規模漁民が水揚げする魚の単価が下落したりする事例が生じて議会でも問題化しています。また、C県では内湾で操業していた県知事許可のまき網が漁船装備を高度化してそれまで操業できなかった外海漁場へ進出、深場のつり対象魚種を漁獲して、小規模つり漁民の操業を不安に落とし入れている事例もあります。漁船のトン数規模制限の廃止は漁船間競争を一層激化させ、小規模漁民が多数で利用していた海を、次第に資本力のある企業の船だけが独占する海につくりかえていくことにつながるでしょう。
●TACによる資源管理
海洋生物の資源管理手法には
?漁船隻数や漁船のトン数規模制限、操業期間の制限、漁船の馬力制限など漁獲圧力を入口で制限する投入量規制(インプットコントロール)、
?漁船設備や漁具の制限による技術的規制(テクニカルコントロール)、
?漁獲可能量(TAC)の設定による漁獲量を制限する漁獲量規制(アウトプットコントロール)の3つがあります。
日本では従来、?の投入量規制や?の技術的規制により漁業管理が行われてきました。?の漁獲量制限管理(TAC管理)は欧米で普及した方法で、魚種ごとに総漁獲可能量(TAC)を決めて、最大持続生産量(MSY)を直接実現しようという管理手法です。
MSY理論とは、ある資源水準に資源を維持しておけば、毎年、最大の漁獲量(MSY)が得られるという理論で、国連海洋法条約では加盟国に資源をMSY資源水準に維持し、MSYを達成することを奨励しています。日本では1996年に国連海洋法条約の批准を行い、TAC法(海洋生物資源の保存及び管理に関する法律)を成立させTAC制度の導入が始っています。 TACによる漁獲量規制はこれまで、サンマ、マアジ、サバ類、マイワシ、スルメイカ、スケトウダラ、ズワイガニの7種で行われていましたが、2018年からクロマグロが8番目の魚種として加わっています。
改正漁業法では、8割の漁獲量魚種にTAC管理を拡大し、魚種ごとの総漁獲可能量(TAC)を計算、個々の漁船へ漁獲量を割り当てる制度(IQ制度)にするとしています。
規制改革推進会議の議論のなかでは2017年9月の水産WGのスタートにあたり野坂美穂座長が「水産ワーキンググループにおける今期の主な審議事項」を示し、第1項の「漁業の成長産業に向けた水産資源管理の点検」において、「産出量規制や個別割当の積極的活用を含め、必要な見直しを行う」としました。これは社団法人日本経済調査協議会の「提言」(2007)以来、規制改革論者が賛美してきた西欧型漁業における出口管理や個別漁獲割当IQ/譲渡制ITQ論を引き継ぐものでした。第6回WGに提出された、「これまでの議論の整理」文書には、「インプットコントロールを重視する漁業許可制度のあり方について検証し改革することが重要」とし、「漁業資源管理の方法は、アウトプットコントロールを基本に・・・可能な限り個別割当(IQ)方式を活用することが重要」と記しています。
しかし、個別漁獲割当であるIQ方式だけで、漁獲権利を商品化して自由に売買できる譲渡制ITQの導入がなければ、漁業資本にとっては「規制緩和」ではなく「規制強化」の面だけが強く出ることになり、必ずしも「一番企業が活躍しやすい国」になるわけではありません。そこで第7回WGに出席した太田弘子規制改革推進会議座長は、「これまでの議論の整理文書」に不満を示して、「これで漁業が成長産業になるかというと、心もとない」と述べ、経営力、資金力、技術力をもつ能力ある担い手(企業資本)が円滑に漁業参入できるよう、漁業資源管理、漁業許可制度、漁業権の配分権を持つ漁協機能の見直しについて、さらなる具体的方策を提示するよう求めました。ここに規制改革推進会議のめざす本質が端的に現れていたと言って良いでしょう。
●TAC管理とMSY理論
MSY理論は密度効果の存在を前提に成り立つ概念で、密度(個体数)の増大により、増加率、死亡率、成長率が変化し、密度効果によって持続生産量に最大値が存在する場合にしか適用可能ではありません。密度効果は親の量と子供の量との関係性で判断されますが、世界中の海洋生物資源のうち親魚量と子供の量に関係性が認められるのは224魚種のうちわずか36種(16%)との報告もあり、近年はMSY理論そのものに科学者たちの批判が高まっています。
川崎(1996)は、FAOはじめ西欧で用いられている水産資源管理理論=MSY理論は、漁業資源の変動を漁業努力量と資源量だけの関係としてとらえ、環境変動が水産生物資源にあたえる影響を無視している。資源変動には環境変動(=レジームシフト)影響の方が一般的であり、日本も世界の漁獲量変動も「乱獲」による「資源枯渇」とするMSY的乱獲理論では説明できないとし、渡邊(2017)は海洋動物の特性は、小型の卵を多量にばらまき、低い生残確率を持つ個体の寄せ集めに次世代を依存するため、当たり年とはずれ年が生じやすく、資源量の変動が大きい。このような特性を持つ資源の安定化にはMSYは使えない。親と子の量的な関係に依拠して加入量を予測することはできないとしています。
片山(2017)は、沿岸資源は「親を獲り残せば増える」例は極めて少なく,もともと親子関係に依存しないで変動する資源特性を持つとしています。産卵親魚量確保のためにIQ等で出口管理を徹底する「ノルウエー型漁業管理」を行っても、加入量の増加は保障されないと述べています。さらに桜本(2018)は、西欧型資源管理手法であるTAC管理の基本にあるMSY理論については、「マユツバ」ものであり、MSY理論に基づいて管理を行おうとすること自体が、管理を失敗させる主因となっていると厳しく批判しています。
●資源乱獲論の流布
FAO(国連食糧農業機関)は、1992年に世界の海産魚類資源の3分の2以上が、乱獲か、これ以上漁獲すると乱獲になるレベルであると発表し,2004年には、「資源が枯渇状態に近い」種類が8%、「過剰な漁獲に陥っている」種類が16%、「これ以上の漁獲圧力が加わると乱獲で資源減少の危機にさらされる」種類が52%、「まだ、漁獲量を増加させる余地がある」種類が24%であると評価しています。また、FAOは1995年12月に京都で開催された「食料安全保障のための漁業の持続的貢献に関する国際会議」において、世界の水産物の供給量の横這いは乱獲の結果だとし、その原因は不適当な漁業管理制度であるとする基調報告を提出しました。まさに近年の日本における規制改革会議の水産資源乱獲論議と同様です。
FAOの報告のあと2000年代に入り,国内外で水産資源の乱獲を「告発」する出版物(例えばC.Clover,2004・井田2005,小松2007)が相次いで刊行されます。これらの著書に特徴的なことは、資源減少の著しい魚種を事例的に取り上げる傾向が強く、増加傾向を示す魚種があることについてはほとんど触れていない点と、資源減少の主な要因を過剰漁獲におき、乱獲の危機を強調する傾向にある点です。
このような漁業資源問題を規制改革推進のための政策作りの一環として、取り上げたのが日本経済調査協議会水産業改革高木委員会でした。「魚食をまもる水産業の戦略的な抜本改革を急げ」とする緊急提言を2007年2月に、ついで提言を同年7月に発表します。これらの提言は同年12月に政府審議会である規制改革会議の「規制改革推進のための第二次答申」に、そのまま盛り込まれます。答申には、わが国水産業は悪循環に陥っており、その背景には、水産資源が枯渇状態にあること、そのことが漁業の衰退と過剰漁獲を招き、さらには漁業の衰退に拍車をかけていると記載されています。現在の規制改革推進会議の議論もまさにこの流れの上にあったと言って良いでしょう。
●日本周辺の魚類資源の動向
規制改革会議の「規制改革推進のための第2次答申」(2007)に盛り込まれた抽象的な「乱獲による資源枯渇論」に対して、「日本沿岸域における漁業資源の動向」を具体的に調べる調査研究委員会(座長:二平章)が組織され、日本沿岸・沖合の漁業資源の個別動向が調査され、結果が東京水産振興会報告書(2011,2012,2013)にとりまとめられました。
そこでは、マイワシ、マサバ、スルメイカ、サンマ、ブリ、ニシン、カタクチイワシなどの浮魚類は1970年代に起きた温暖から寒冷、80年代末に起きた寒冷から温暖への海洋環境のレジームシフトによって資源変動が起きたことが改めて明らかにされています。
さらに、資源変動は比較的安定で漁獲努力量の調節で資源量はコントロールされると長く考えられてきた底魚類についても検討され、漁業が盛んな東北太平洋岸および日本海北部における底魚類、イシガレイ・マガレイ・キアンコウ・ヤナギムシガレイ・アカガレイ・キチジ・ソウハチ・スケトウダラなどが、浮魚類と同様に20年規模の海洋環境のレジームシフトによって資源変動したことが示されました。
また、高木委員会の資料・データ集に「3年間の禁漁で回復させた」として漁業管理成果とされた1990年代の日本海北部のハタハタ資源の復活についても、他魚種の同時的増加現象もふまえ、基本的要因は海洋環境のレジームシフトにあったとされました(二平2013)。
●自然環境破壊による漁業資源の減少
また、東京水産振興会報告書には魚類資源の減少要因として、人為的な環境改変(開発行為)が重要魚種を減少に追い込んだ事例が数多く報告されました。
魚介類資源の減少を続けている瀬戸内海の貝類では、西部のアサリが1973年、サルボウが1976年で消滅、その要因は干拓事業による底質環境の悪化とされています。また、山口県周防灘での底魚類やクルマエビの減少は貧酸素水の影響、兵庫県のカレイ類の減少は、ポートアイランドの二期工事や神戸空港建設工事による潮流の弱勢化による貧酸素の影響、大阪湾のシャコの減少は関西空港工事の影響とされました。兵庫県播磨灘、山口県沿岸でも、埋め立てによりアサリやカレイ・エビが減少し、貝類減少が、植物プランクトン利用の物質循環を遮断し、貧酸素水塊形成を助長、また、埋め立てが多くの魚類の産卵場と幼稚魚の成育場を奪ったと指摘されました。また瀬戸内海の重要資源であるイカナゴは、砂中で夏眠する生態から生息場は海砂の存在に依存します。その瀬戸内海の海砂採取は1960年代から顕著となり6億立米(?)もの膨大な海砂が採取されました。海砂採取実績のない和歌山・大阪、初期に採取禁止にした兵庫県と、岡山・香川・広島・愛媛の4県のイカナゴ漁獲量の比較によれば、前3府県の漁獲量は変動が少ないか増加傾向を示すのに対して、後の4県の漁獲量は1980年代に急減したまま回復することなく低迷していることが明らかにされました。海砂採取の窪地の回復は容易でなく4県でのイカナゴ資源への影響は長期におよぶと報告されています。
伊勢・三河湾では、?埋め立てによる浅海環境の喪失による産卵場、幼稚魚の成育場の減少、?浅海環境の喪失による水質浄化機能の低下、貧酸素化、?資源減少による漁民側の漁獲圧力の増加が起こっているとされ、干潟の埋め立てによる二枚貝資源の減少が海水交換に匹敵する生物ろ過機能を低下させていることが指摘されています。伊勢・三河湾のカレイ類資源では1980年代半ば以降漁獲量の低迷が著しく、休漁しても資源増加はなく、その要因は貧酸素水塊の形成や長良川河口堰建設にともなう海水流動の停滞による泥の堆積など環境悪化にあるとされました。
人為的環境改変の影響は、海面ばかりでなく、湖沼や河川にも現れています。全国第2位の湖水面積をもつ霞ヶ浦の魚類生産量は1970年代半ばの18000トンから現在の2000トンレベルまで低下したが、その要因は河口堰水門の閉鎖による湖水の停滞が湖内の物質循環機能を変化させ魚類群集の構成を変化させたことによるとされました。また、利根川・霞ヶ浦流域は日本でも有数の天然ウナギの生産地でしたが、河口堰建設にともない400トンあった霞ヶ浦の漁獲量は10トンに、700トンあった利根川での漁獲量は50トン以下に減少しています。ウナギ資源の回復には、河口堰建設や河川・湖沼のコンクリート護岸化などで喪失したウナギの生息環境の復元が大きな課題であるとされました。
環境悪化による沿岸資源の生物生産量の低下は、内湾域ばかりではなく、外海域でも起きています。外海域では河川からの砂の供給量の減少や大型港湾建設による砂浜海岸の浸食が全国で問題化しています。鹿島灘のハマグリ漁業は漁業管理の優良事例として有名でしたが、港湾建設による大規模な海岸侵食の影響でハマグリの生育環境はほとんど喪失したことが示されています。
●資源管理と漁業者の合意形成
親子関係に依存しないで変動する資源特性を持つ水産資源についてどのような管理方策を講じるのかが現代の資源管理に問われている課題です。大事な点は海洋環境の変動にも注意を払いながら、毎年の新規加入資源の動向をしっかりとモニタリングし、新規加入の幼魚が確認された場合はできるだけ小型魚の漁獲を控えながら、最大限の経済効果を生み出すような漁獲管理(成長管理)を実行できるよう関係漁業者間で協議・実行すれば良いのです。小型・若齢魚の漁獲実態がある場合、小型魚の漁獲を控えれば単価の高い大型魚に成長するのは明らかです。ただ、漁業現場には資源計算の理屈通りに「管理」の方向に操業が転換できない様々な要因が存在します。小型魚の「管理方策」を実現するには、生産者である漁業者らと徹底した議論を積み重ねながら、実施を阻む様々な課題を漁業者合意のもとで解決しながら「管理方策」の実現に向かうべきです。東北6県の30?以下のヒラメ小型魚管理宣言は県水産試験場の資源担当者らが、利害が複雑にからみあう各地区沿岸漁業者らと小型魚保護効果について度重なる協議を重ねて実現にこぎ着けたものです。コンピュータ上の資源計算結果だけを上意下達に示して、このとおりに操業しない漁業者は「乱獲」をする「悪者」であり許可を取り消すなどと脅すような議論だけでは、問題の解決にはなりません。行政や資源研究者たちが漁業現場に降りて実践化のための具体的論議を漁業当事者らと徹底して行うことがなくては、合意形成はつくられず、資源管理体制へ向けた「改革」にはなりません。また、漁業現場との意見交換がなければ資源計算の元となる数字の信憑性や計算結果の妥当性の検証も不十分になりがちであり、西欧型TAC管理だけが資源管理の唯一の方策であるなどという「西欧崇拝主義」の誤りにも気づかないのです。現在のクロマグロの規制をめぐる国内の混乱も現場実態を精査せず上意下達に実行させようとした点に最大の問題があると言えます。
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●国連家族農業(漁業)10年に向けて
我が国の海岸線の総延長は35,308kmありますが、離島も含め、その海岸線に6,298の漁業集落が存立します。平均して海岸線5.6kmごとに漁業集落が立地しています。漁業集落が条件不利地と言われる島々や半島も含め海岸にくまなく立地することにより、国境を監視し、海岸環境を守り、国土の保全とその均衡ある発展に寄与しています。
また、雇用機会の限られる条件不利地にあって、漁業は地域経済を支える重要な産業の役割を果たしています。養殖漁業を含めると全漁業従事者の79%が沿岸漁業に従事し、全漁業経営体数の94%、漁船漁業の78%が地域に根ざす沿岸漁業を営む経営体となっており、文字通り沿岸漁業が日本の漁業、漁村を支える存在になっています。
これまで沿岸漁業・家族漁業が一方的に衰退してきた背景には、大規模漁業に偏重した対策や土木・開発企業向けの海の公共事業を重視し、小規模・家族漁業経営体の振興対策・所得対策をなおざりにしてきた国の水産政策にその原因があります。
いま国の水産政策に必要なのは、規制改革推進で利潤追求の一部企業資本に漁業権を開放し、沿岸漁場を崩壊させることではありません。沿岸漁場の管理主体として重要な役割をはたしてきた協同組織である漁業協同組合の機能強化をはかり、地域の主体である小規模・家族漁業を育成し、地域漁村を活性化させていくことこそが大切です。このことが、真の「地域創生」であり、島々を含め海に囲まれる日本の国境を守り、国土を守る「安全保障」につながるのです。
国連は来年から10年を「家族農業10年」と決議し、世界でも9割以上を占める小規模家族農業・漁業の振興を打ち出しました。日本漁業でも94%は小規模沿岸家族漁業です。今回上程された改正漁業法案は日本の沿岸漁業・家族漁業を衰退に導く意味で国連の決議に背を向ける法案といえるでしょう。(にひらあきら)
文献
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(2018年11月21日)