澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

大嘗祭は、飽くまで天皇の私的行事に徹しなればならない。

本日は「勤労感謝の日」。昔から、この祝日の趣旨も意義もさっぱりわからない。

勤労とはいったい何だ。賃労働のことか、搾取のない異世界の労働か。感謝とは何だ。誰が誰の勤労にどのように感謝せよというのか。失業者は感謝されないのか。働かずしてたらふく喰っている者が、汗水たらして働いている者に感謝する日という趣旨なら分からないでもないが、それならばどうして5月1日ではなく、11月23日なんだ。

祝日法には、「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」と記されている。この記載、なんとも出来がよくなく、座りが悪い。「国民たがいに感謝しあう」は、一般人の感覚として気持ちが悪いフレーズではなかろうか。

戦前の典型的な宮中祭祀であった新嘗祭の日を、天皇主権が否定された戦後においても国民に記憶させようという見え透いた企て。無理を通した涙ぐましい努力の結果。出来は悪くても、新嘗祭の日を祝日にし、そのたびに多くの国民に新嘗祭を思い出させ、語らせることには成功している。

本日も天皇の家族はしきたりに従った新嘗祭を行っている。それは、純粋にその家族限りの宗教行事であって、国家とも国民ともまったく無関係なものとしてである。それが憲法の政教分離が要求するところなのだ。

来年(2019年)、天皇が交代する。来年の新嘗祭はなく、代わって大嘗祭が行われる。大嘗祭は、天皇の代替わりのあと、在位中に一度だけ行われる宗教的秘儀とされる。秘儀なのだから、何がどう行われるかは実はよく分からず、よく分からないから諸説紛々としている。いずれにせよ、五穀豊穣や生殖による繁栄を祈る宗教儀式であり、天皇としての霊力がこの儀式で承継されるという。

天皇という国家公務員職の交代に伴うセレモニーが許されないはずはない。しかし、宗教色をもつことは固く禁じられている。ところが、憲法を無視して大嘗祭を国家行事としてやりたいという勢力が確実に存在する。国民主権の徹底を嫌い天皇主権に郷愁をもつ保守勢力、憲法改正の突破口として厳格な政教分離条項に穴を開けようという政治家たち。

農業社会に成立した呪術的な未開宗教は、必然的に五穀豊穣を祈ることになる。新嘗祭とはそのような由来の宮中祭祀であっただろう。未開宗教が祈りの対象としたもう一つの重要課題は、生殖による繁栄である。この二つの課題は、避けて通れない。大嘗祭は何らかの形でこの両者にコミットするのだろう。

純粋に天皇家族限りの私的な宗教行事である限り、どんな行事を行おうと、他からとやかくいう筋合いはない。しかし、これにいささかでも公的な色彩が付されれば、とやかく言わずにはおられない。主たる問題は、けっして原始宗教の名残を後生大事に墨守しようとすることの滑稽さにあるのではない。

かつて神であり、それゆえ主権者とされたのが天皇である。国民主権、民主主義の最大の敵対物であり、いまだに民主主義政治に危険な存在と認識しなければならない。

かつて天皇とは、政治権力者のこの上なく便利で調法な支配の道具であった。政治的権能は失った今も、社会的権威としては生き延び、確実に影響力を有している。天皇の権威と、民主主義の成熟度とは反比例する。天皇を権威付ける方策に手を貸してはならない。

来年行われるはずの大嘗祭を公的行事としてはならず、これに公金を投入してはならない。
(2018年11月23日)

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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!
アピール運動の署名集約集会

12月3日(月)18時?20時(17時30分開場)

衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」

衆議院第1議員会館は丸ノ内線・国会議事堂、有楽町線・永田町駅
(どなたでもご参加いただけます。
議員会館ロビーで入館証をお受け取り下さい。)

民意を無視して9条改憲を強引に進めようとしている「安倍政治」。その「安倍政治」において、公文書・公的情報の隠蔽・改竄・廃棄・捏造が横行し、権力のウソとごまかしが国民主権や議会制民主主義を脅かそうとしています。
私たちは、森友・加計学園に典型的にみられる権力の私物化、「働き方改革」のウソ、外交交渉の内容の捏造等々、ウソとごまかしによる「ポスト真実」の政治を許せず、アピールを発表して賛同の署名を呼びかけました。
下記のとおり、賛同署名集約の集会を開催いたします。この日、署名簿を安倍晋三氏に届けるとともに、この集会にさまざまな分野からの発言を得て、「安倍政治のウソのごまかしを総検証」いたします。そして、どうすれば、安倍政治に終止符を打つことができるか考えてみたいと思います。どうぞご参加ください。

  司会 澤藤統一郎(弁護士)
  挨拶 浜田桂子(絵本作家) 

 「安倍政治」と「ポスト真実」
   小森陽一(東京大学大学院教授)

 「働き方改革」一括法と「ポスト真実」
?   上西充子(法政大学キャリアデザイン学部教授)

 「公文書管理」と「ポスト真実」
?   右崎正博(獨協大学名誉教授)

 日米FTA(自由貿易協定)と「ポスト真実」
?   古賀茂明(元経済産業省官僚)

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