安倍内閣は、わが国の「健全な民主主義の根幹」を揺るがしている。
各地でロウバイが見頃だという。梅の蕾の綻びもほの見える。桜はまだまだ蕾が固いが、今年の桜はいつもにまして楽しみだ。とりわけ、新宿御苑の桜は,どうしても見に行かねばならない。もちろん、誰からの招待もなく、昨年から500円に値上げされた入場料を支払ってのこと。
もうすぐ、1月20日から始まる通常国会では、まずは徹底した「桜疑惑」追及が期待される。御苑の桜が散る頃に、アベ政権も散れぞかし。
そんな期待を抱かせる根拠は、野党追及本部の合同ヒアリングが充実しているからだ。昨年臨時国会終盤での野党による桜疑惑追及の矛先は鋭く、政権・与党は、野党側の会期会延長要求を頑なに拒んだ。しかし、閉会中も野党の合同ヒアリングは続き、その成果を挙げている。この政権の正体が少しずつ明かされているのだ。
野党合同ヒアリングの成果が、官房長官記者会見に活かされている。昨日(1月10日)官房長官は、記者会見で安倍晋三首相主催「桜を見る会」をめぐり、2013?17年度分の招待者名簿について「行政文書ファイル管理簿に記載していなかった」のは「公文書管理法の関連規定および内閣府の文書管理規則に違反する違法な対応だった」と認めた。これは、大問題である。
この菅長官説明は、「前日の野党追及本部の合同ヒアリングでの野党側の指摘を事実上認めたもの。文書管理をめぐる相次ぐ法令違反を引き起こした安倍政権の重大な責任が改めて問われます。」というのが、本日(1月11日)赤旗のトップ記事。
東京記事が端的にこうまとめている。
安倍晋三首相主催の「桜を見る会」を巡り、菅義偉官房長官は10日の記者会見で、2013?17年度の招待客名簿を行政文書の管理簿に記載していなかったことは「公文書管理法の関連規定、内閣府の文書管理規則に違反する対応だった」と述べた。名簿を廃棄する前に首相と協議して同意を得る同法の手続きを踏んでいなかったことも明らかにし、これも違法だとの認識を示した。桜を見る会を巡る問題は、政府が公文書管理の違法性を認めざるを得ない異例の事態になった。
違法は、2013?17年度の5回にわたる「桜を見る会・招待者名簿」の管理についてのもの。2013年は、第2次安倍内閣発足直後に当たる。第2次安倍内閣発足以来、ずっと違法な文書管理が行われてきたのだ。では、18年と19年はどうだったか。これは、もっとタチが悪い。この招待者名簿は、17年までは保存期間が「1年」とされていた。だから、行政文書管理簿にも廃棄簿にも記載が義務付けられていた。それを、18年に「1年未満」に変えたのだ。こうすれば、管理簿にも廃棄簿にも記載することなく、都合の悪いときにはすぐに廃棄して、知らん顔ができるのだ。
だから、13?17年度の招待客名簿についてだけ、「政府『違法』 管理簿不記載 首相同意なく廃棄」なのだ。第2次安倍内閣成立以来、この内閣のやり口は、姑息千万。残しておくには不都合に過ぎる文書だから、追及を不可能にするために、策を弄したとしか考えられないではないか。アベシンゾーとその取り巻き、この件に限らず、小狡いし、国民をナメ切っている。主権者は本気で怒らねばならない。
東京新聞記事には、「立憲民主党の安住淳国対委員長は記者団に『行政府の立法府に対する挑戦であり、国民の財産を毀損する許しがたい行為。場合によっては犯罪に近い』と批判。20日召集の通常国会で追及する考えを表明した」とある。まったく、そのとおりである。
何度でも繰り返す。公文書とは、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」なのだ。アベシンゾーとその一味は、この国民共有の財産を私物化してきた。これまでも、隠匿し、改ざんし、廃棄してきたのは、自分たちの行政を隠しておかねばならなかったからなのだ。こうして、わが国の「健全な民主主義の根幹」が,今揺るぎつつある。
(2020年1月11日)