澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

東京都内のPCR検査数なぜ減っている。

 新型コロナウィルス感染症対策の基本方針が見えてこない。政府のやることに信頼感がないのだ。それが多くの人の不安や焦慮の原因となっている。

誠実さのカケラもなく無能な総理には、もとより何の期待もしていない。国民に語りかけるその言葉の無内容さに呆れるばかり。しかし、日本の官僚の能力や使命感には期待できるのではないか。あるいは日本の医療水準や医療体制は信頼に足りるものではないか。ひそかに、そんな淡い期待をもっていた。それがどうやら、木に縁りて魚を求むの類であったようだ。日に日に、絶望感が深まっていく。

ことあるごとに、「日本すごい」という連中がいる。そのような連中の精神構造を軽蔑しつつも、そうであって欲しいという願望は私の中にもあった。単なる願望ではなく、日本は「中くらいの国」として、イザというときには国民にとって頼りになる存在ではあろうなどと思うところはあった。その幻想が音を立てて崩れつつある。

台湾・韓国・シンガポール、そして中国すらも、それぞれの流儀で新型コロナ感染の拡大を克服しているように見える。ヨーロッパではドイツだ。私は、中国の統制型統治には強い嫌悪感がある。韓国のプライバシー無視の政策も好きではない。しかし、それぞれの国がそれなりのやり方でコロナ対策に成功しつつあり、その過程で国家や国民の力量を示している。どうも、日本はその力量に乏しいようなのだ。

日本型の感染対策の基本は、クラスター潰しだと説明されてきた。しかし、今や、その手法の失敗が国民の実感として明らかになってきている。では、どうするのか。その基本方針が見えてこない。PCR検査は増やさなければならないのに、むしろ減っているのだ。これは、どうしたことだ

公表されている限りでだが、4月に入ってからの東京都内の各日の感染者数と検査者数の推移は以下のとおりである。まず、関心をもつべきは、驚くべき検査者数の過少である。しかも、最近は検査数が減少しているのだ。

 各日の感染者数 検査者数
 1(水) 66  164
 2(木) 97  469
 3(金) 89  551
 4(土)116   65
 5(日)143   62
 6(月) 83  356
 7(火) 79  271
 8(水)144  366
 9(木)178  344
10(金)188  362
11(土)197  503
12(日)166   57
13(月) 91  250
14(火)161   91
15(水)127  未発表
(死者累計47、累計感染者に対して2%)

緊急事態宣言の出る寸前の土・日の検査人数は、65人・62人である。12日(日)もわずかに57人。昨日14日は91人。牧歌的な数ではないか。ドイツや韓国と比較すべくもない。

また、3月中の各日曜日の検査者数は、以下のとおり。日曜はほとんど検査をしていない。担当職員が休まなければならないからであろうが、緊迫感は感じられない。なお、29日(日)だけが331名と突出している理由は分からない。永寿総合病院の患者や職員を対象としたものであったのかも知れない。

 1日 14
 8日  0
15日  0
22日  1
29日331

検査者数に対する陽性率は、下記のとおり上昇している。検査対象を有症者に絞る方針を採っているからであるとしか考えられない。

3月末日現在の累計感染者数 521,累計検査者数3173  陽性率16%
4月8日現在の累計感染者数1338,累計検査者数5111  陽性率26%
 14日現在の累計感染者数2319,累計検査者数7084   陽性率33%

なぜこのような検査者数の推移になっているのか、合理的な説明はない。まず知りたいことは、「専門家委員会の基本方針にもとづいて検査対象を絞り込んでいるのでこの検査数で十分だ」と考えているのか、あるいは、「不十分だが、人的物的な条件整備が調わないのでやむを得ない」のか。誰もが疑問に思っていることである。説明責任を果たさねばならない。次の疑問、次の提言は、そこから始まる。

以上の検査人数の推移と陽性確認者数の推移を見れば、いま検査対象は、明らかな有症者とその周りの濃厚接触者だけに限られているごとくである。そのことは無症状の感染者を追うことも隔離することもあきらめたということを意味する。検査の無力を認めたに等しい。

あるいは、受け入れ診療機関の有床数に見合った感染者数を考慮して、検査者を絞っているのではないのだろうか。

官僚だけではない。都知事にも聞きたい。テレビで顔見せするだけが能ではない。多数の検査希望者が拒否されている実態があるにもかかわらず、この検査者数推移はどうしたことか。緊急事態宣言後も検査者が増えていないのはどうしてなのか、納得できるよう聞かせていただきたい。

国民の納得を得ることなくして、危機の克服はあり得ない。
(2020年4月15日)

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Published in 水曜日, 4月 15th, 2020, at 22:09, and filed under コロナ.

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