澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

安倍晋三の「お友達人事」を許した有権者の責任。

(2022年7月28日)
 本日の毎日新聞国際欄に、「韓国・尹大統領、支持率急落 30%割れ目前 『お友達人事』響き」とある。朝日は既に、「『お友達人事』迷走、支持率急落 韓国大統領が不快感『前政権の閣僚、それほど立派か』」と報道している。キーワードは、『お友達人事』だ。

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の支持率が、就任からわずか3カ月足らずで求心力維持の「危険水域」とされる30%割れに近づいており、その最大の理由が「お友達人事」の悪評だという。

 世論調査会社「韓国ギャラップ」が22日発表した尹大統領の支持率は32%。就任当時の52%から20ポイント急落した。深刻なのは、不支持率が23ポイント増の60%にのぼったこと。韓国メディアは政権末期の「レームダック(死に体)」ではなく、「就任ダック」と報じている。

 大統領を支持しないと答えた人のうち、最も多い24%の人が理由として挙げたのは「人事」だという。この人、検察出身者や幼なじみら「お友達」を要職に起用。知人の息子らを大統領府に採用したことも批判された。さらに、「閣僚人事が失敗だったのでは」との記者の質問に対し、「前政権で指名された閣僚の中に、それほど立派な人たちがいたのか」などと言い放ったことが報じられ、高圧的で独善的なイメージを国民に与える結果となった、と報じられている。

 これが原因で政権の支持率急落・不支持率急増なのだから、韓国の民主主義はまことに健全である、韓国の民衆の政治意識は学ぶべき立派なもの。安倍晋三という日本の首相の人事もひどかった。むしろ、「お友達人事」はこちらが本家本元。ところが、日本の有権者は8年余も安倍晋三で我慢した。日本の民主主義は機能不全である。日本の民衆は愚かな政治指導者に過度に寛容と評するしかない。

 安倍政権の「お友達人事」に仰天した最初は、NHK経営委員の新任者の任命。経営委員会はNHKの最高意思決定機関であり、NHK会長の任命権も罷免権ももっている。その経営委員12人は、国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する。

 それまでは、公共放送に求められる「不偏不党」や中立性重視の立場から、政治色の濃い人事は控えられてきたとされる経営委員人事。初めて、安倍晋三は鉄面皮な人事を通してのNHK支配を試みた。戦後民主主義に挑戦した安倍晋三の面目躍如である。

 2013年10月に任命された新経営委員の顔ぶれは以下の4人である。
  百田尚樹(右翼のお友達)
  長谷川三千子(右翼のお友達)
  本田勝彦(JT顧問)
  中島尚正(海陽学園学校長)

 百田と長谷川は、自民党総裁選に際して発表された「安倍首相を求める民間人有志の緊急声明」の発起人。志と感性を同じくする安倍の「お友達」。本田は安倍が小学生だったの1960年代に家庭教師を務めていたという関係の「お友達」。首相を囲む会「四季の会」のメンバーで、ガチガチの『安倍派』と言われた人物。中島が勤務する海陽学園では、安倍晋三首相の盟友である葛西敬之(JR東海)が副理事長を務めるという、謂わば安倍とは「お友達のお友達」という間柄。

 当時、この人事は衝撃をもって受けとめられた。とりわけ、NHKの幹部はメディアに「官邸が、原発や沖縄の問題を取り上げたNHKのドキュメンタリー番組に不満があるとは漏れ聞いていたが…」と啞然とした表情を見せて語ったという。

 この時期に経営委員会に4人が送り込まれた最大の理由は、差し迫っていた次期NHK会長の後任選びのためだとされた。新会長は、9人の賛成がなければ就任できない。つまり、4人に「NO」といわれた人物は会長になれない。4人は会長選びのキャスチングボートを握っている、と報道された。

 この経営委員会人事の直後、同年12月20日のNHK経営委員会で第21代会長に選出されたのが、あの籾井勝人。「(慰安婦は)戦争地域にはどこでもあった」「政府が右ということを左というわけにはいかない」などという、迷言で一躍知られた人物。「安倍のお友達」が選んだ、「お友達」である。この頃から、NHKは顕著におかしくなって現在に至っている。

 残念ながら、このとき日本の有権者は「アベ友人事」に徹底して怒らず結果としてこの人事を受容した。その結果、到る所に「安倍のお友達」がはびこって、この日本を食い物にしたのだ。さて、安倍がいなくなった今、食い物にされた日本は元へ戻ることができるだろうか。日本を元に戻してはならないという安倍後継勢力が、安倍の国葬に固執している。安倍国葬反対の声を上げることは、実は大きな意義のあることなのだ。

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