澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「機能性表示食品」という、疫病神・安倍晋三の負のレガシー。

(2024年3月30日)
最近まで、日本に安倍晋三という疫病神が徘徊していた。ずるくてウソつきで、極端な身贔屓で、官僚人事を壟断して「忖度政治」を横行させ、モリ・カケ・サクラ等々の諸事件を引き起こして世論の指弾を受けた…。だけではなく、日本国憲法が大嫌いで、歴史修正主義者で、統一教会との関係が深く、メディアを操縦し、日本の教育・平和・外交・防衛・人権・経済を重篤な疫病症状とし、日本の国力を徹底して殺いだ。いま、自民党内では安倍派に属していたことだけでこの上なく肩身が狭い。党内だけではない、その負のレガシーは全国のあらゆる分野におよんでいる。

たとえば、小林製薬製のサプリメント「紅麹コレステヘルプ」による深刻な被害の問題である。以前から予想された「機能性表示食品」制度の危険が現実のものとなった。これも、安倍晋三という疫病神のなせる業。

誰の目にも破綻が明らかとなったアベノミクスは、3本の矢からできていた。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」そして、「民間投資を喚起する成長戦略」である。この第3の矢の「成長戦略」とは、なんということはない「規制緩和」の別名である。企業に課している社会的規制を取っ払って、自由に任せれば経済は成長することになるだろうという、安直きわまる発想。

「機能性表示食品」という制度も、このような発想から生み出された。国民の健康を犠牲にして、企業に利潤追求の自由を与えたものなのだ。まことに疫病神にふさわしいやりくち。

 安倍晋三(当時首相)は、2013年6月の「成長戦略第3弾スピーチ」で、概要こんなことを述べている。

「私の経済政策の本丸は、三本目の矢である成長戦略です。我が国には、時代に合わない規制がまだまだ存在します。世界と比較すれば、歴然となります。企業活動の障害を、徹底的に取り除きます。

本日、規制改革会議から答申をいただきました。その主な成果を紹介しましょう。
健康食品の機能性表示を、解禁いたします。現在は、国から「トクホ」の認定を受けなければ、「強い骨をつくる」といった効果を商品に記載できません。お金も、時間も、かかります。とりわけ中小企業・小規模事業者には、チャンスが事実上閉ざされていると言ってもよいでしょう。アメリカでは、国の認定を受けていないことをしっかりと明記すれば、商品に機能性表示を行うことができます。国へは事後に届出をするだけでよいのです。」

機能性表示食品問題は、私(澤藤)にとって他人事ではない。ちょうど10年前、私は、このことをブログ「澤藤統一郎の憲法日記」に記事にして、DHCの吉田嘉明から当初2000万円の、さらには訴訟進行中に増額されて6000万円請求のスラップを仕掛けられた。その記念のブログの一部を再録しておきたい。

「DHC8億円事件」大旦那と幇間 その蜜月と破綻
https://article9.jp/wordpress/?p=2386 (2014年4月2日)

《『ヨッシー日記』と標題した渡辺喜美のブログがある。そこに、3月31日付で「DHC会長からの借入金について」とする、興味の尽きない記事が掲載されている。興味を惹く第1点は、事件についての法的な弁明の構成。これは渡辺の人間性や政治姿勢をよく表している。(略)

興味を惹くもう1点は、政治家と大口スポンサーとの関係の醜さの露呈である。金をもらうときのスポンサーへの矜持のなさは、さながら大旦那と幇間との関係である。渡辺は、「幇間にもプライドがある」と、大旦那然としたDHC吉田嘉明のやり口の強引さ、あくどさを語って尽きない。その結論は、「吉田会長は再三にわたり『言うことを聞かないのであれば、渡辺代表の追い落としをする』、と言っておられたので今回実行に移したものと思われます。」というもの。

それにしても、渡辺や江田にとって、大口スポンサーは吉田一人だったのだろうか。たまたま吉田とは蜜月の関係が破綻して、闇に隠れていた旦那が世に名乗りをあげた。しかし、闇に隠れたままのスポンサーが数多くいるのではないか。そのような輩が、政治を動かしているのではないだろうか。

たまたま、今日の朝日に、「サプリメント大国アメリカの現状」「3兆円市場 効能に審査なし」の調査記事が掲載されている。「DHC・渡辺」事件に符節を合わせたグッドタイミング。なるほど、DHC吉田が8億出しても惜しくないのは、サプリメント販売についての「規制緩和という政治」を買いとりたいからなのだと合点が行く。

同報道によれば、我が国で、健康食品がどのように体によいかを表す「機能性表示」が解禁されようとしている。「骨の健康を維持する」「体脂肪の減少を助ける」といった表示で、消費者庁でいま新制度を検討中だという。その先進国が20年前からダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)の表示を自由化している米国だという。

サプリの業界としては、サプリの効能表示の自由化で売上げを伸ばしたい。もっともっと儲けたい。規制緩和の本場アメリカでは、企業の判断次第で効能を唱って宣伝ができるようになった。当局(FDA)の審査は不要、届出だけでよい。その結果が3兆円の市場の形成。吉田は、日本でもこれを実現したくてしょうがないのだ。それこそが、「官僚と闘う」の本音であり実態なのだ。渡辺のような、金に汚い政治家なら、使い勝手良く使いっ走りをしてくれそう。そこで、闇に隠れた背後で、みんなの党を引き回していたというわけだ。

大衆消費社会においては、民衆の欲望すらが資本の誘導によって喚起され形成される。スポンサーの側は、広告で消費者を踊らせ、無用な、あるいは安全性の点検不十分なサプリメントを買わせて儲けたい。薄汚い政治家が、スポンサーから金をもらってその見返りに、スポンサーの儲けの舞台を整える。それが規制緩和の正体ではないか。「抵抗勢力」を排して、財界と政治家が、旦那と幇間の二人三脚で持ちつ持たれつの醜い連携。

これが、おそらくは氷山の一角なのだ。》

機能性表示食品の制度は2015年に発足している。私のブログと吉田嘉明のスラップ提訴はその前年のこと。疫病神に操られ煽られた吉田嘉明や渡辺喜美の醜態と言うべきであろう。多くの人を操り煽った政権トップの罪は深い。既に死者5名と報じられている「紅麹」サプリ問題は、疫病神・安倍晋三の巨大な負のレガシーの一端に過ぎない。

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