澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

衆議院沖縄3区補選 革新側候補統一に ー 瑞慶山茂君の出馬撤回を評価する

今年(2019年)は亥年、統一地方選と参院選が重なる「選挙の年」。7月参院選が憲法の命運を決める重大な選挙で、今年の統一地方選は地方選独自の課題だけでなく、参院選の前哨戦としての意味も大きい。その統一地方選の前半戦(4月7日)の告示日が今日となり、いよいよ選挙イヤー始動である。

ところで、同じ重要性をもつ衆議院議員の補選が二つ(大阪12区・沖縄3区)ある。なかでも、玉城デニーの沖縄県知事選挙出馬によって空位となっている衆院沖縄3区補選の成り行きが注目される。4月9日告示で、投開票が1カ月後の4月21日。

前回(17年10月22日)総選挙の開票結果は下記のとおり。
当 玉城デニー 58 無所属    前 95,517票(57.9%)
次 比嘉奈津美 59 自民(公推薦)前 66,527票(40.3%)

今回の補選では、「オール沖縄」がフリージャーナリスト(元・琉球新報記者)の屋良朝博を擁立し、自民党が島尻安伊子(元沖縄担当相)を公認して公明・維新がこれを支える。改憲推進派と護憲派、基地推進勢力と基地反対勢力との一騎打ちとなる見通し、と報道されてきた。

しかし、選挙の争点は、基地問題だけではない。中央政権がチラつかせる経済振興策というエサに対する対応も大きな争点とならざるを得ない。デニー後継の屋良圧勝とは単純にならない。それに、島尻の評判はともかく知名度の高さは大きな武器である。新人屋良の知名度はけっして高くはない。要するに、接戦は必至なのだ。

この情勢で、革新陣営にある弁護士・瑞慶山茂が立候補を表明した。彼は、沖縄戦の民間戦争被害国賠訴訟弁護団長、「南洋戦」被害国賠訴訟弁護団長として知られる。

彼は私と修習同期(23期)。同期というだけでなく、1年4か月の実務修習を、東京の同じ班でともにした。実務修習をともにしただけでなく、カリキュラム外の活動もともにして、お互い信条も心情も理解したと思っていた。彼が革新陣営の弁護士であることに疑問の余地はない。

その彼の突然の立候補表明には、戸惑わざるを得なかった。もちろん、立候補は権利である。彼の立候補が売名であるはずはない。しかし、革新が共同を求められているこの政治状況の中で、革新の票を割る、あるいは「オール沖縄」票を削ることになりはすまいか。という危惧である。やきもきしている内に、昨日(3月20日)午後、メーリングリストに彼の投稿があった。ホッとしている。

23期の皆様へ

衆院沖縄3区補選の件につきまして、本日、屋良朝博氏と政策協定を結びましたので、ご報告いたします。
協定書を添付いたしますので、ご確認下さい。
やむを得ずの出馬表明でしたが、その話はまた改めて。
今後とも宜しくお願いいたします。

その政策協定のなかに、瑞慶山茂は、支援者と自らの思いを屋良朝博に託すことにし、出馬を取りやめ、沖縄基地問題に正面から取り組み、戦争政策に反対し、今回の補欠選挙に出馬の準備を進めている屋良朝博を推して、本補欠選挙に臨み、屋良朝博の必勝に向けて支援する決意をした。」とある。潔さを印象づけた立派な下り方で、筋を通している。

政策協定全文は以下のとおりである。雨降って、地はより強固になったと理解している。
**************************************************************************

衆議院沖縄3区補欠選挙に向けた
屋良朝博と瑞慶山茂の政策協定書

衆議院沖縄3区補欠選挙が4月9日告示、同21日投開票で実施される。弁護士・瑞慶山茂は、この間、先の大戦における沖縄戦の民間被害者および旧南洋群島・フィリピン群島などで戦禍に巻き込まれた県出身住民や遺族らに対する国の謝罪と損害賠償を求める国家賠償訴訟の弁護団長として取り組んできた。また、沖縄戦等被害者や全国の空襲被害者と遺族らの救済を国の責任において行う「空襲被害者等援護法案」及び「沖縄戦時行為等被害者等援護特別措置法案」(仮称)の制定をめざして立法活動を行ってきた。
そのため、「沖縄・平和の党」を設立し、今回の補欠選挙に出馬表明を行ったが、このたび、屋良朝博と直接会う機会があり、沖縄の困難な現状と輝かしい未来について虚心坦懐に話し合った。その結果、瑞慶山茂は、屋良朝博の人柄と深い見識に接し、支援者と自らの思いを屋良朝博に託すことにし、出馬を取りやめ、沖縄基地問題に正面から取り組み、戦争政策に反対し、今回の補欠選挙に出馬の準備を進めている屋良朝博を推して、本補欠選挙に臨み、屋良朝博の必勝に向けて支援する決意をした。
ついては、弁護士・瑞慶山茂とフリーランスライター・屋良朝博は、次のような認識を共有し、本補欠選挙に向けて、未補償のまま放置されている数多くの民間戦災者の救済措置等の実現に係る重点政策に合意するものである。

重点政策

先の大戦から74年になるが、旧軍人・軍属には総額60兆円の援護がなされている一方、多くの方々が戦災者として今なお、身体的精神的障害や後遺症に苦しみ、ご遺族への弔慰もない状況が続いている。そんな中、従来の空襲訴訟において司法は「立法を通じて解決すべきだ」との判断を下し、また、ドイツやフランスなど諸外国では民間人も軍人も分け隔てなく平等に補償していることを踏まえれば、日本政府は国の責任において民間の戦争被害者の救済措置を講じるべきであると考え、次の課題及び政策実現に共に取り組むものである。
1、国に対し、先の大戦における空襲や地上戦などの民間の被害者への謝罪とその救済および被害実態の徹底した調査を求めていく。
2、「空襲被害者等援護法を実現する議員連盟(超党派)の活動を通して、「空襲被害者等援護法案」および「沖縄戦時行為等被害者等援護特別措置法案」(仮称)の制定に全力をあげる。
3、戦争につながる米軍基地の早期撤去を求め、基地のない平和な世果報の沖縄を創り上げていく。
なお、具体的な選挙協力については、今後必要に応じて協議する。

2019年3月20日

フリーランスライター 屋良 朝博 印
弁護士        瑞慶山 茂 印

(2019年3月21日)

Comments are closed.

澤藤統一郎の憲法日記 © 2019. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.