「本郷・湯島九条の会」からの街頭での訴え
本郷三丁目交差点をご通行中の皆さま、ご近所の皆さま。こちらは地元「本郷・湯島九条の会」の定例の訴えです。しばらくお耳を貸してください。
私たちは、憲法を守ろう、憲法を大切しよう、とりわけ平和を守ろう。絶対に戦争を繰り返してはならない。安倍政権の危険な暴走を食い止めなければならない。そういう思いから、訴えを続けています。
一昨年(2014年)の7月に、安倍内閣はそれまで、集団的自衛権行使は違憲としていた憲法解釈を大きく変えて、一定の制約は設けながらも、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定をしました。戦後保守政治が自制してきた一線を越える歴史的暴挙と言わなければなりません。内閣法制局長官の首をすげ替えることまでしての荒療治でした。
そして、多くの国民の反対の声を押し切って、昨年(2015年)9月19日、集団的自衛権行使容認を内容とする戦争法を成立させました。これで、自衛隊は、自衛のための実力という域を超えて、他国の要請によって海外で戦争のできる戦力に変質を遂げています。
「安倍内閣は憲法に縛られない」「不都合な憲法条文は、内閣の方で解釈を変えてしまえ」という傲慢な安倍内閣の姿勢が、大きな批判の的になりました。立憲主義を理解せず、憲法をないがしろにする非立憲内閣、ビリケン内閣ではないか、という批判です。
「憲法9条は非軍事の平和主義を定めている」というオーソドックスな憲法理解をする革新勢力だけでなく、「自衛の場合には軍事的な手段も容認される」という専守防衛論の保守派も一緒になって、安倍内閣の危険な暴走に歯止めをかけようとしたのです。
そのため、安倍政権は戦争法を成立させはしましたが、大きな抵抗に遭って、必ずしも思うがままの立法や運用ができる状況ではありません。政権も、あらためて憲法9条の歯止めの効果を認識せざるを得なくなったのです。安倍内閣は、今や解釈改憲の限界を認識して、明文改憲を実行しなければならない。そのように考えています。
安倍内閣の目指すところは、9条改憲です。2012年の自民党改憲草案のとおりに、9条を改正して堂々の国防軍をもちたいのです。しかし、国民世論が憲法の改正を望んでいないことは明らかです。とりわけ、国民の中には、平和を大切にし憲法9条を変えてはならないという強い願いがあります。だから、安倍内閣も容易に改憲には踏み切れません。
そこで安倍内閣は何をたくらんでいるか。改憲策動を隠しながら、国会内で圧倒的な改憲派の議席を掠めとること、これが安倍政権の基本方針です。
選挙の度に、「改憲は争点ではない」、「今回選挙はアベノミクス選挙だ」などといいながら、選挙が終われば「改憲派が各院の3分の2を占めるに至った」「これが主権者国民の意思だ」と言っているのです。これを繰り返せば、圧倒的多数の改憲派議席を獲得することができる。そうすれば、強引にでも憲法改正の発議ができる。あたかも、改憲が民意だと強弁することさえ不可能ではない。
ですから、今、憲法の命運にとって死活的に大切なのは、3分の1の改憲反対派の議席を確保し守り抜くことです。その貴重な議席を積み上げる国政選挙での勝利が日本の明日の平和を守り抜くことになります。
選挙に勝つには、改憲反対勢力の共闘しかありません。とりわけ、衆議院議員総選挙で295の議席を占める小選挙区選挙での野党共闘の成否が重要です。憲法を守ろう、立憲主義を守ろう、戦争法を廃止しよう、という野党勢力と市民の連携で、改憲・壊憲・非立憲の安倍政権を支える与党に勝たなければなりません。各野党個別の闘いでは個別撃破されてしまうことは灯を見るより明らかです。
本日、その大切な選挙が始まりました。お隣豊島区と練馬区からなる衆院東京10区の補選が告示され、鈴木庸介候補が立候補の届け出をしました。この人、「期待の大型新人」と言われています。何しろ身長190cmの大型。民進党の公認ではありますが、共産・生活・社民の3党が推す、野党共同候補でもあります。10月23日の投開票の結果が注目されます。同時に行われる、福岡6区も同様。改憲派陣営は割れ、改憲阻止派が統一候補を擁立している図式です。
鈴木候補は、こう言っています。
「政治の道を志したきっかけは、内戦が終わった直後に訪れたルワンダ国内で見た無数の頭がい骨。私のこぶしぐらいの子どもの頭を見た時、『この子はどんな恐しい思いを、悲しい思いをしたんだろう』と思うと慟哭を抑えることができなかった」「本当に戦争の恐ろしさ知る人間になりたいとの思いから、アフガニスタン、ボスニア、パレスチナを回った」「今、日本の立憲主義は脅かされている。憲法を軽んじる政治家によって、われわれ日本が積み重ねてきた政治・平和が危機に陥っている」「決してこの国を戦争の惨禍に巻き込んではいけない。私たちのちょっとした選択が、一歩間違えれば戦争になってしまう」
この志を貫いてほしいものと思います。
今や、基本的な政治状況は改憲の是非をめぐる対立構造となっています。安倍政治が投げ捨てた立憲主義の政治を取り戻すことができるか否か。憲法を大切にし、政治も行政も憲法に従って行うという当たり前の大原則を、きちんと政権に守らせる勢力の議席を増やすことができるか。それとも、憲法をないがしろにして、あわよくば明文改憲を実現したいという勢力の議席を増やしてしまうか。
一方に憲法を護ろうという野党4党と市民運動のグループがあり、もう一方に改憲を掲げるアベ自民党とこれに擦り寄る公明・維新のグループがあります。この「立憲4党+市民」と「壊憲派」の憲法をめぐる争い。おそらくは、この構図がこれからしばらく続くものと思います。
今、このように憲法がないがしろにされているこのときにこそ、全力を上げて憲法を守れ、立憲主義を守れ、憲法の内実である、平和と人権と民主主義を守れ、と一層大きく声を上げなければならない事態ではないでしょうか。
本当に、今、声を上げなければ大変なことになりかねません。でも、声を上げれば、もう少しで国会の議席配分を逆転することも可能なのです。このことを訴えて、宣伝活動を終わります。ご静聴ありがとうございました。
(2016年10月11日)