澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

3月3日は納税者一揆第2弾だ。「少々普通じゃない者」も「こんな人たち」もみんな集まれ。

佐川長官 御用だ! 
従業員用エレベーターで逃げるな! 
国会へ出てこい!
佐川長官を任命したのは麻生大臣だ! 
麻生も責任を取れ!
麻生はニヤけた答弁やめろ! 国民をなめるな!
安倍首相、佐川長官を「適材」とは何事だ!
公務員は安倍の私兵ではない。国民全体への奉仕者だ!
昭恵さん、「私も真実を知りたい」はないだろう! 
知りたいのはこっち(国民)だ! 国会で証言せよ!
税金は政府の私物ではない 国民のために使え!

麻生よ。俺たち「少々、普通じゃない」ってか。
安倍政権は「普通」かね?
あんたは、どんだけ真っ当なんだ。
国民を愚弄しちゃいけない。
納税者を怒らすな。
主権者の逆鱗に触れるな。

さあ、納税者一揆の第2弾だ。
3月3日、再度国税庁を包囲しよう。
このまんまじゃあ、納税がばからしい。
真面目な納税者はあつまれ。
「少々普通じゃない者」も、
「こんな人たち」も、
佐川と麻生と安倍に、抗議の声を上げよう。

金子兜太さんを偲びつつ、叫ぼう。
「アベ政治を許さない」と。
**************************************************************************
■2月16日納税者一揆第1弾の様子は、以下の通り。
① ユープランの動画(フルバージョン)
https://www.youtube.com/watch?v=ECxGAC0yAWs
(1時間33分21秒 包囲行動+デモ行進)

②毎日新聞動画ニュース
「確定申告:怒る納税者 国税庁長官罷免求め、街頭行動」
https://l.mainichi.jp/HcdoLz3
③「『佐川はやめろ!』財務省・国税庁前で怒りの納税者一揆」
(レイバーネットTV,2018年2月16日、7分間動画)
http://www.labornetjp.org/news/2018/0216kokuzei

3月3日「モリ・カケ追及! 納税者一揆 第2弾」をやります
私たちの運動も2.16行動1回で「幕引き」とはいきません。
国会は佐川氏と昭恵夫人の証人喚問、麻生財務相、安倍首相の「適材適所」発言をめぐって緊迫した状況が続く見込みです。

そこで、当会は、次のようなアピールを掲げて、第2弾の行動を行うことにしました。より多くの方に参加いただける土曜日です。
<モリ・カケ追及! 第2弾 国税庁包囲行動&デモ行進>

3月3日(土)13時30分 日比谷公園 西幸門集合
13時40分~ 国税庁・財務省包囲行動
14時30分  デモ出発
よびかけ一式:
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/233-dd8f.html
チラシ:
https://app.box.com/s/aqgf2wydnsudd2pxfg6fyw4suug7tp0h
——————————————————————
「森友・ 加計問題の幕引きを許さない市民の会」
HP:http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/
連絡窓口(メール):moritomosimin@yahoo.co.jp
または、morikakesimin@yahoo.co.jp
携帯電話:070-4326-2199 (10時~20時)
(2018年2月21日)

マイナンバー? そんな数字は記憶にない。そんな記録は廃棄した。

鉄門を出て不忍池まで無縁坂を下りながらこう考えた。
今年もまた来た申告期。はてさてどうするマイナンバー。原則貫けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に税務は不愉快だ。不愉快が高じると、安い所へ引き越したくなる。しかし、どこへ越してもマイナンバーからは逃げられない。そう悟った時に決意が生れる。角が立っても窮屈でも、意地を通すが我がさだめ。今年も書いてはならないマイナンバー。

五條天神のみごとな梅をみながら、こうも考えた。
とりわけ今年は格別だ。国税庁の長官が、あの佐川宣寿。「記憶にない」「記録は廃棄した」と言い抜いて、そのご褒美で出世したあの佐川。まことに適材が適所に配置されているのだ。そんな政権に協力などしてやるものか。佐川が長官で、徴税はスムーズに行われたなどと、安倍や麻生に言わせてなるものか。

上野大仏の雪割草の咲き初めを愛でつつ考え続けた。
何ゆえ佐川が出世できるのか、なにゆえのご褒美頂戴なのだろうか。安倍と昭恵の窮地を救ったからとしか考えようがない。安倍は、官僚諸君にこう教えているのだ。「行政の公平や透明性の原則を守ろうなどとすれば角が立つ。意地を通せば窮屈だ。政権におもねれば褒められる。出世したければ忖度だ。百僚百官みんなこぞって忖度にやよ励めよ」と。これが、安倍政権の正体であり、ホンネではないか。だから、マイナンバーなど書いてやってはならないのだ。

上野公園から、湯島天神に足を伸ばして、人混みとタコ焼きの匂いの中で、結論に達した。
納税は拒否しない。拒否すべきでもない。しかし、佐川国税庁長官に協力してはならない。その意思表示として、マイナンバー記載は断固拒否しよう。これを咎められたら、大きな声で言ってやろうじゃないか。
「マイナンバー? そんな数字は記憶にない。そんな記録の保存はない。」
「マイナンバー? そんな記録は廃棄した。」
**************************************************************************
マイナンバー記載が昨年(所得税については2017年1月)以来、法的な義務であることはずいぶんと喧伝された。問題は、「マイナンバー記載を拒否したらどうなるか」である。刑事罰、行政罰はあるのか。そもそも受け付けてもらえないのではないか。まったく心配には及ばない。「マイナンバー記載を拒否」することの不利益はない。むしろ、マイナンバー記載は、重要な個人情報漏洩のリスクを覚悟しなければならない。

以下は、国税庁ホームページに掲載されている、「番号制度概要に関するFAQ」である。よくお読みいただきたい。
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/gaiyou.htm

Q2-3-2 申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか。(平成29年9月7日更新)
(答)税務署等では、社会保障・税番号<マイナンバー>制度に対する国民の理解の浸透には一定の時間を要する点などを考慮し、申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合でも受理することとしていますが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出してください。
なお、記載がない場合、後日、税務署から連絡をさせていただく場合があります。
ただし、その場合でも、税務職員が電話で直接マイナンバー(個人番号)を聞くことはありません。税務職員を装った不審な電話にはくれぐれもご注意願います。
※ 税務職員を装った不審な電話、メールなどにご注意ください。

Q2-3-3 税務署等が受理した申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合には、罰則の適用はありますか。
(答)税務署等が受理した申告書や法定調書等の税務関係書類にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。
**************************************************************************
要するに、マイナンバー記載は、「形式的には法的義務」だが、違反に何の制裁もない。これを強制する手段もないのだ国税庁は、国民に「法を守るようお願いしている」に過ぎない。しかもその長官自身が、国会で嘘を突き通し 「記録は廃棄した」と答弁してきた人なのだ。国民の耳には、「そりゃ聞こえませぬ、長官殿」となるのは当然ではないか。

実のところ、私にとってはホントに知らないマイナンバー、知りたくもないマイナンバー、なのである。ナンバー通知の受け取り自体を拒否している。マイナンバーとは、国家が国民を管理して統治する技術としての国民皆背番号制である。マイナンバーをツールとして、あらゆる個人情報の統合が可能となる。いま、反対の声をあげないと、その使途は無限に拡大し、IT技術の発達と相まって、権力が国民生活の隅々まで管理する恐るべき事態を招くことになろう。

管理などされたくない人々の声が大きくなれば廃止できる。佐川宣寿の国税庁長官就任は、そのような大きな運動の起爆剤ととなり得る。これこそ、真の意味での「適材適所」ではないか。
(2018年2月18日)

2月16日 納税者一揆の爆発だ!! ― 「モリ・カケ追及! 緊急デモ」のお知らせ

国民は、モリ・カケ問題に怒っているぞ。
安倍晋三の政治と行政の私物化に怒り心頭だ。
その解明と追及の不徹底にイライラしているぞ。
安倍やその手下は、国民の共有財産をいったい誰のものと思っているんだ。
こんな政府に税金なんか納めたくないぞ。
だから、確定申告の初日に、納税者一揆だ。

一揆の揆は難しい字だ。手許の漢和辞典(大漢和語林)では、漢音でキ、呉音でギと読み、「はかる」と訓じている。意味に「はかり考えること」「はかりごと」とある。一揆は、多数人がひとつになって「はかり考える」「はかりごと」を企て実行することなのであろう。我が国で古くから、一致協力する意味の言葉として定着し、権力者に対抗しての連帯や団結、そしてその行動として使われた。同じ辞書に、「農民や信徒などが団結して権力者に立ち向かうこと」とある。民衆の権力者の横暴への怒りの発露が一揆なのだ。

私は一揆が大好きだ。民衆の団結と知恵の力が権力者の心胆を震えあがらせる。こんな痛快なことはない。

しかし、今や農民一揆だの打ち壊しの実力行使の世ではない。一揆の精神でデモをかけよう。安倍や麻生、佐川らに。森友・加計問題対する国民の怒りを行動で表わそう。

詳細は、「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」のホームページで。
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/216-c9bf.html
**************************************************************************
今国会でのモリ・カケ問題に対する政府答弁は国民を愚弄する、うそとごまかし満載の極めて異常なものです。
(参考 モラルも血も涙もない異様な国 納税者はどう見たか 麻生ニタニタ答弁(日刊ゲンダイ) http://www.asyura2.com/18/senkyo239/msg/270.html)
私たちの会は今年度の確定申告が始まる2月16日(金)午後、次のような「モリ・カケ追及! 緊急デモ」を行うことになりました。

モリ・カケ追及! 緊急デモ
悪代官 安倍・麻生・佐川を追放しよう!
 検察は財務省を強制捜査せよ!
安倍昭恵さんは証人喚問に応じなさい
 納税者一揆の爆発だ!

主催 森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会
<行動スケジュール  2月16日(金)
13時30分 日比谷公園 西幸門 集合
13時40分 ~財務省・国税庁 包囲行動
宣伝カーを使ったアピール行動
14時15分 デモ出発(西幸門)
→ 銀座・有楽町の繁華街を行進
15時(予定) 鍛治橋(丸の内)で解散

背任、証拠隠滅の悪行を犯しながら、責任逃れの答弁で逃げ切りを図ろうとする悪代官たちを許さない主権者の怒りを総結集して、納税者一揆を爆発させましょう!
皆さまのご参加、お知り合いへの呼びかけをぜひともお願いします。

PDFダウンロード
https://app.box.com/s/ktgpzbj9uw92kh9hx5ye7ui1h46b57jn
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
当日のコール(案):みんなで提案しようではありませんか
・今日から確定申告だ
・税金いったい誰のもの
・全国民の財産だ
・財産管理がおかしいぞ
・ただ同然で売り払い
・記録も記憶もないという
・そいつは誰の責任だ
・アイアムソーリー 安倍ソーリー
・安倍の取り巻き怪しいぞ
・検察は財務省を強制捜査せよ!
・森友疑惑に 加計疑惑
・森友・加計は火を噴いた
・龍池留置に出世の佐川
・加計孝太郎氏は逃亡中
・孝太郎さん どこにいる
・「モリ・カケ」食い逃げ 許さんぞ
・音声・録音 嘘はない
・佐川は辞めろ
・任命責任 麻生だろ
・嘘つき大将 安倍晋三
・昭恵夫人は 喚問だ
・加計の孝太郎氏も喚問だ
・おれたち国民怒ってる
・納税者一揆の爆発だ!

(2018年2月3日)

未決勾留428日の民商職員に、一審有罪破棄(差戻し)の控訴審判決

かつては、松川事件・三鷹事件、菅生事件、白鳥事件、メーデー事件等々の大型「刑事弾圧事件」があった。過半は、権力による謀略事件である。しからずとも、公権力が政治的意図をもって、政治活動や市民運動に打撃を与えるための刑事訴追。逮捕・勾留・捜索・差押え、そして起訴、有罪判決執行までがフルコースだ。

最近は少ない。が、もちろんなくなったわけではない。隙があれば、権力とは牙を剥くもの。私はそう思っている。労働争議への介入、選挙弾圧、集会やデモへの過剰な取締り、そして民主運動諸団体の活動掣肘を狙った刑事事件のでっち上げ。

そのような現在進行中の刑事弾圧事件の典型として、岡山倉敷民商(民主商工会)弾圧事件がある。
その倉敷民商職員に対する、「法人税法違反幇助・税理士法違反」被告事件の控訴審判決で朗報がはいった。一審の有罪判決を破棄して、地裁に差し戻す判決。無罪判決ではないが、無罪に道を開いた判決である。

「山陽新聞」(電子版)の第一報が次のとおり。
「高裁支部 一審破棄差し戻し 倉敷民商職員脱税ほう助
建設会社の脱税を手助けしたなどとして、法人税法違反ほう助などの罪に問われた倉敷民主商工会(倉敷市)事務職員禰屋町子被告(62)の控訴審判決で、広島高裁岡山支部は(1月)12日、懲役2年執行猶予4年とした一審岡山地裁判決を破棄、審理を同地裁に差し戻した。
判決理由で長井秀典裁判長は、一審で鑑定書として証拠採用された広島国税局財務事務官の報告書について『一審が鑑定書に当たるとして事実認定に用いたのは違法。判決に影響を及ぼすことが明らかな手続きの法令違反がある』とした。」(2018.1.12)

一審判決の決め手とされた証拠が、証拠能力のないものとして排斥されたのだ。禰屋さんが、無罪となる可能性はきわめて高い。

この広島国税局財務事務官の報告書については、次のように問題にされていた。
「岡山・倉敷民商弾圧事件・禰屋町子さんの控訴審初公判が(2017年)10月27日、広島高裁岡山支部で開かれました。長井秀典裁判長は、『国税査察官報告書』を鑑定書扱いした一審判決に疑問を投げかける『意見書』を証拠採用しました。裁判の流れが大きく変わる可能性も指摘されています。裁判所が証拠採用したのは、立命館大学大学院法務研究科の浅田和茂教授が刑事法学の観点から検討した『意見書』。岡山地裁判決が『鑑定書』として扱った国税査察官報告書について『必ずしも特別の専門的知識を用いたものとはいえない』とした上で、『査察官は訴追者そのものであって第三者としても鑑定人とはいえない』と指摘。さらに『たとえ書面の内容が鑑定にあたり査察官が第三者に当たるとしても、他の査察官の報告書の利用は再伝聞であって、そのままでは証拠能力を有しない』と断定しています。」(全国商工新聞2017年11月13日号より)

2017年3月3日禰屋裁判の不当判決に対する国民救援会の抗議声明の中に次の言葉が見える。
「禰屋町子さんは本来無罪であり、この事件の真実は、憲法が保障する納税者の自主申告権にもとづき運動をすすめる民主商工会への弾圧である。
禰屋さんは428日間勾留され本犯の建設会社の社長は逮捕も勾留もされず追徴課税があったかも明かされていない。」

また、下記は一審判決以前に書かれた、「週刊金曜日」の解説記事(抜粋)である。筆者は成澤宗男さん。

「逮捕者は428日も勾留――不可解な公安『倉敷民商』捜索
確定申告の際、申告者が作成した決算書の数字を税務ソフトに入力するといった手伝いをしただけで民主商工会(民商)の女性事務局員が脱税がらみの「法人税法違反容疑」等で逮捕・起訴され、しかも当の申告者が逮捕も勾留もされていないのに、何と約1年2カ月間(428日)も勾留される――。こんな異様な事件が、岡山地裁で審理中だ。

この女性は、倉敷民商の事務局員・禰屋町子さん。事件の発端は2013年5月21日、岡山県倉敷市の民商事務所に広島国税局が、当時会員だった建設会社社長夫妻の「脱税容疑」と称して捜索に入ったこと。禰屋さん宅も捜索された。

禰屋さんの容疑は、建設会社の経理担当者の指示に従い、単にパソコンの会計ソフトの入力作業や振替伝票の作成を行なったことが脱税(法人税法違反)を「幇助」し、さらに資格がないのに税理士の業務をした(税理士法違反)というもの。だが、家宅捜索で押収された164点の書類中、この建設会社関連のものはごくわずかで、大半が容疑と関係のない倉敷民商の会議議事録や会員の名簿、スケジュール表といった組織の内部資料で占められていた。

しかも、この種の経済事件とはまったく管轄外のはずの岡山県警公安部は翌2014年1月21日、禰屋さんを「法人税法違反」で逮捕したのに続き、2月には「税理士法違反」で再逮捕。だが、脱税当事者であるはずの建設会社社長夫妻は後に在宅のまま懲役1年6カ月・執行猶予付きの有罪判決が確定したものの、1日も勾留されず、なぜか広島国税局の捜索すら受けていない。

つまり、形式上脱税事件の「主犯」を単に「幇助」した立場の禰屋さんが、「主犯」が免れた国税局の捜索や勾留を強いられた上に、勾留日数も428日にも及ぶという異常な事件だ。さらに検察側は肝心の建設会社の脱税に関し、現在まで重加算税が課せられたのかどうかの事実すらも明らかにしていないという不自然さだ。弁護側は、「禰屋さんが一貫して容疑の否認を貫いたため、裁判所が事実上の制裁を課した人権侵害だ」と抗議している。」

「かりに民商側の行為が違法でも通常は反則金等の行政罰で足りるケースだ。それを管轄外の公安警察が捜索し、「主犯」でもない逮捕者を長期勾留するのは、「中小企業会員の『自主計算・自主申告運動』を続けてきた民商に対する、権力の弾圧」(須増事務局次長)と批判されても仕方ないだろう。」

禰屋さんの428日間の勾留は、有罪判決を前提とした刑の執行の前倒しにほかならない。禰屋さんが無罪判決を受けたとする。無実の者が、確定判決もないままに428日間もの自由刑の執行を受けて、自由を失ったことになる。この自由の喪失は、取返しがつかない。

昨年(2017年)7月31日に逮捕され、以来半年になろうとする長期勾留中の籠池夫妻の場合も同様だ。私たちは、政権の意向を忖度した近畿財務局の関係者の8億円値引きが背任に当たるとして告発した。この公務員らの背任こそが主たる犯罪で、籠池の補助金詐欺容疑はこれに付随する微罪というべきものだろう。

にもかかわらず、近畿財務局の関係者には何のお咎めもなく、籠池側は逮捕されて半年間の勾留。独房の中で年越しを余儀なくされた。このような事件では、もっと柔軟に保釈の活用あってしかるべしである。そうでないと、裁判所までが弾圧事件に加担していることになる。
(2018年1月15日)

官房機密費訴訟上告審ー最高裁はブラックボックスに光を当てうるか。

国の財政は国民が納めた税金によって成り立っている。国の機関が国民に税金の使途について報告の義務があり、納税者たる国民はすべての税金の使途について知る権利がある。国民が主権者である以上、あまりに当然のことだ。

ところが、これに例外がある。正確に言えば、例外としてまかり通っている「穴」がある。官房機密費(「内閣官房報償費」とも)がその典型。例年14億6000万円が予算計上され、内閣情報調査室の活動に充てる2億円ほど(これも具体的な使途は明らかにされない)を差し引いた残りの12億円余りが、官房長官の一存で使えるカネとされる。

「使途は自由、領収書は不要、会計検査院もノーチェック」だと言われている。国民への報告義務のないカネ。私的な着服があっても、流用があっても、国民の目からは覆い隠されて窺い知ることができない。検証のしようがない、まさしくブラックボックスの世界。

そんなカネだから、昔から疑心暗鬼の対象となってきた。悪いうわさが絶えない。野党工作費として使われた、首相経験者に中元・歳暮として現ナマが渡されている、世論操作のため御用評論家にばらまかれている、外遊する議員への餞別、飲み食いに使われている…。

ときに、官房長官経験者から、「これでよいのか」と問題提起がなされる。小渕恵三内閣の野中広務、民主党野田佳彦政権の藤村修など。

野中広務がメディアに漏らしたところでは、「官邸の金庫から毎月、首相に1000万円、衆院国対委員長と参院幹事長にそれぞれ500万円、首相経験者には盆暮れに100万円ずつ渡していた」という。「前の官房長官から引き継いだノートに、政治評論家も含め、ここにはこれだけ持って行けと書いてあった。持って行って断られたのは、1人だけ」「国民の税金だから、官房機密費を無くしてもらいたい」などとも。

2009年総選挙で自民党が大敗し、政権交代が決まった直後に、麻生内閣の河村建夫官房長官が2億5000万円の官房機密費を引き出したことが話題となり、告発までされた。もう政権がなくなる時点で、いったい何に使おうと言うことだったのだろうか。謎のままである。

このブラックボックスに光を当てようという試みが、市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバーによる大阪地裁への情報公開請求訴訟。10年がかりの、1次~3次までの3件の訴訟で、官房機密費支出に関連する各文書の開示を求めて、いま最後の最高裁判決を迎えようとしている。

問題になっているのは、官房長官を安倍晋三が務めた2005~06年の約11億円と、河村建夫の09年の約2億5千万円、そして菅義偉による13年の約13億6000万円の、各官房機密費支出に関連する3種類の文書開示の是非。

開示請求は、5種類の文書に対して行われたが、「支払決定書」「領収書」の2種類については、3件の大阪高裁判決のすべてで原告側の敗訴となり、これは既に最高裁でも確定している。残る「政策推進費受払簿」「出納管理簿」「報償費支払明細書」の3種類の文書では、高裁の判断が割れた。

1次・2次各訴訟での大阪高裁判決は原告側勝訴となって、その開示が命じられた。一部にせよ、官房機密費の使途を明かすよう求めた訴訟での高裁認容判断は初めてだという。しかし、3次訴訟では原告側敗訴となって、原告側と被告・国側の双方が上告した。

昨年暮れの12月22日に、最高裁で弁論が行われ、上告審判決が1月19日第2小法廷(山本庸幸裁判長)で言い渡される。さて、「ブラックボックス」に一筋の光が差し込むことになるだろうか。

政権を信頼する立場からは、行政を円滑に進めるための「ブラックボックス」は必要だから情報開示の必要はない、となろう。しかし、健全な民主主義とは政権に対する国民の猜疑によって支えられるとする立場からは、財政使途のブラックボックスなどあってはならない、ということになる。

果たして、最高裁は、健全な民主主義擁護の立場に立つことができるだろうか。
(2018年1月11日)

佐川国税庁長官の罷免を求める1万人署名運動にご協力を

「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」が、『佐川国税庁長官(前理財局長)の罷免を求める1万人署名運動』に取り組んでいる。
ネット署名の締め切りは8月20日(日)24時まで。あと一週間。署名のフォームは、下記のURL。是非ご協力いただきたい。拡散もお願いしたい。現在の署名者数は、約5000くらいと思われる。
http://bit.ly/2uCtQkK
**************************************************************************
佐川宣寿国税庁長官昇進問題の持つ意味について、私なりに考えてみたい。
森友学園問題・加計学園問題とも、安倍晋三というお粗末な政治家が過剰な権力を持ったことから生じた政治と行政の歪みである。政治と行政の歪みの手段は、恣意的な情報操作である。消極的には権力に不都合な情報の隠蔽であり、積極的には意図的に人心を誘導するための情報の捏造である。

8月15日が近い。「政府の行為によって再び戦争の惨禍を繰り返してはならない」という反省と決意は、「大本営発表」によって国民意識が操作され誘導された苦い体験にもとづく、情報民主主義の徹底でもあったはずではないか。

民主主義の政治過程を実効あるものとするためには、国民の知る権利の保障が不可欠である。情報を遮断された状態での国民は真の主権者ではあり得ない。情報操作の対象とされた主権者は裸の王様に過ぎない。主権の行使に必要な正確な情報を得ることのできない状態では、民主主義は成立し得ない。操作され誘導された国民の政治意識も政策的選択も無意味である。選挙での与党勝利も、世論調査での内閣支持率も、所詮は茶番であり民主主義の形骸に過ぎない。こうして維持された政権は、再びの大本営発表を繰り返すことになるだろう。

佐川宣寿理財局長とはいったい何をしたのか。安倍政権が政治と行政を歪めたのではないかという国民大多数が抱いた疑惑の解明を頑なに阻止したのだ。情報を徹底して隠蔽することによって政権を守り抜いたのだ。安倍政権は、露骨な論功行賞で、この功に報いた。理財局長から、国税庁長官への栄転である。

安倍晋三は、「政権に忠実な犬には昇進のご褒美がある」と、実例をもって示した。言い換えれば、「公務員は国民に忠実であってはならない。政権にこそ忠誠を尽くせ」と、誰の目にも分かるようにデモンストレーションしたのだ。

佐川理財局長のみっともなさは、官僚としての良心を捨てて、国民の疑惑解明要望の声に背を向けたところにある。自らの良心と格闘しながら、情報を開示する努力を放棄して、疑惑を糊塗するための記録の隠蔽、記憶の偽証をやってのけたのだ。その苦しい努力は無駄にはならず、昇進に実を結んだ。これこそ、政権が望むところであることが雄弁に語られた。謙虚に丁寧に説明するという安倍政権のホンネがよく分かろうというもの。

この事態を看過してはならない。民主主義を形骸にさせてはならない。主権者としての不断の努力を怠ってはならない。せめては、佐川宣寿国税庁長官の罷免を求める1万人緊急署名運動を成功させようではないか。

**************************************************************************
*紙による署名も、8月20日(日)までの到着なら可。
郵便局局留め宛分は → 8月18日(金)到着分までとなる。
下記のURLを参照のこと。
http://bit.ly/2ub1F8W

なお、下記のURLで、リアルタイムのネット署名数と、添えられた意見を読むことができる。(署名者の氏名は秘匿されている)
http://bit.ly/2h5AR94
これがとても興味深いコメントになっている。中心になっている醍醐聡さんから、下記のメールがあったので転載する。

**************************************************************************
ネット署名に添えられたメッセージを読んでいきますと、手前みそのようですが、佐川国税庁長官の罷免を求める署名運動に共感が広がっていることを実感します。私にとって、運動の糧にもなっています。
まだでしたら、皆さまも、ぜひ、訪ねていただいて読んでいただけたらと思います。
ネット署名に添えられたメッセージ → http://bit.ly/2h5AR94
私の拙い呼びかけよりも、いろいろな体験をされた方の貴重なメッセージを読んでいただくのが一番と思い、その後、届いた中から、いくつかを紹介させていただきます。
署名簿を添えた罷免の申しれは8月21日(月)となりました。
それに伴い、署名の締め切りを8月20まで延長しました。
詳しくは以下をご覧ください。拡散もお願いします。
・「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」HP
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/1-2e8c.html
・ツイッター
https://twitter.com/toketusa98/status/895867223776022529

————–以下、ネット署名に添えられたメッセージより —————–
「この要求が通らなければ、今後確定申告時に『領収書は廃棄した』『自動的に消去された』という申告者が殺到すると思うが当然受け入れてもらえますよね?」(8月10日、埼玉県)

「安倍政権、官僚の不誠実さに憤り、もどかしい思いをして居ました。この思いを共有できる人達がいるのが何とも嬉しく、諸兄らの活動に加えて頂けたら…署名しました。此の輪が日本全国に広がるのを期待します。」(8月10日、愛知県)

「私は、財務省外局のOBです。と言っても、佐川氏のようなエリートではなく、いわゆる木端役人でした。しかし、就職時には憲法・国公法遵守の宣誓をし、在職中も出来る限り公正な行政にすべく努力してきたつもりです。少なくとも知っていることを『知らない』とシラをきったり、会〔ママ〕ったことを『記憶にない』ととぼけたり、などと言うふざけた回答をしたことはありません。又、関係者(内外とわず)との会議や交渉事があれば、全て記録に残しておくのは当たり前でした。”すぐ廃棄”などしたら、それこそ『処分物』でした。しかし、残念ながら財務省では、いけしゃあしゃあと嘘をつける人間の方が出世すると言うのは、私の在職中から全く変わっていないと言うのも実感です。この際、こういう財務省の体質にメスを入れ、少しでも国民目線の役所に転換してほしいと切望します。このままでは、『財務省OBです』なんて、とても知人に名乗れません。」(8月11日)

「JALは2007年に最大労組と一体となって、約1万人の客室乗務員の個人情報をファイルしていたことが発覚しました。1回目の裁判で会社が認諾し裁判から逃げましたが、5名の管理職が関与していたことが明らかになりました。その関与していた管理職らが、何とその後昇格をしたのです。違法なことをしても昇格をできるというという世界はJALだけではありませんでした。この度の佐川氏の国税庁の長官への就任でふと思い出しました。佐川氏は1企業の役員ではありません。国民の税金を預かる大事な立場です。就任にあたり公正な税のあり方云々を述べて言いますが、森友問題で8億円もの税金を明快な説明もなくうやむやにしようとした方が、公正な税の扱いを述べる資格はありません。よりにもよってなぜそのような立場につけるのか理解できません。就任の記者会見もできないような後ろめたいことがある方に、国民の税金を任せるわけにはいきません。マスコミももっと追究すべきです。」(8月12日、神奈川県、JALで解雇された者)

「総理大臣はじめ、政府要人、官僚が臆面もなく虚偽発言を押し通す。証拠を隠滅する。公文書を可能な限り公開しようとしない。それが日本の現政権下では常態化してしまっています。国政・地方(必ず同時)選挙で、投票率85%前後、しかも、死票を4%前後に止める完全比例代表制の選挙制度を採用する政治的民度の高いスウェーデンからは、日本は民主主義の後進国と見做されます。こういう政治状況を変えるのは,市民の異議申し立て、抵抗運動以外にありません。憲法16条の請願権を最大限に活かすことが肝要です。これは市民の権利であり、これを活かすことによって民度を高め、ジャーナリズムにも本来の使命へと軌道修正させることにもなります。」(8月10日、スウェーデン)

「嘘つきは泥棒の始まり。泥棒が税金を集める国なんて聞いたことがありません。国税不払い運動が起こる前に罷免を。」(8月10日、岐阜県、ジャーナリスト)

「食もままならない子どもたちが増え続ける中、為政者の意を受け、巨額の国家資産を一部の人たちに還流する。国家公務員の任に非ずです。今直ぐ職を辞し、真実を述べるべきです。」(8月10日、アムネスティ京都四条の会)

「このような運動をしてくれている人がいることを知って大変嬉しく思いますぜひ目的を達成したいです」(8月10日、東京都)
(2017年8月13日・連続第1596回)

「マイナンバー使用は 自尊心が許さない」

先日、少人数の学習会の席で、マイナンバーを話題にした。「みなさん、役所への書類にマイナンバーを書いていますか?」と振ったら、一人の女性がこう言った。
「私には、ちゃんとした名前があります。役所から勝手に12ケタの番号を押しつけられて、これを名前の代わりに使えといわれてもその気にはなれません。私は、国から番号で管理されるのはイヤですから、マイナンバーはけっして使いません。マイナンバー書かないから逮捕するなどということがない限り(笑)」
なんときっぱりした、すがすがしい姿勢。これは素晴らしい。

この女性の発言は、マイナンバー使用の押しつけは自分の人格の尊厳を傷つけるものだという主張。「私は名前を持っている」「私を特定するのは名前で願いたい」「割り当てた番号で私を管理することは拒否する」という、自尊心がほとばしり出た言である。これを支える憲法の条文を探せば13条(個人の尊重)であり、11条(基本的人権の享有)であり、あるいは97条(基本的人権の本質)ということになろう。憲法にどう書かれていようと、なにより大切なのが個人であり、その尊厳だ。国家は、個人の尊厳を傷つけてはならず、個人の尊厳を最大限尊重しなければならない。マイナンバーの使用は、これに反するではないか。

そう思っていたところに、先週金曜日(3月24日)赤旗「くらし・家庭」欄のマイナンバー解説記事に接した。その見出しが「マイナンバーは個人の尊厳侵す」である。解説者は、旧知の浦野広明さん(税理士・立正大学法学部客員教授)。大いに賛同する立場から、ご紹介したい。

まず、結論。明快この上ない。
個人番号(マイナンバー)は憲法13条が保障する個人の尊厳を侵すもので、明らかに憲法違反です。『法律だから』といって従うのではなく、はっきり拒否すべきです。

マイナンバーを違憲と主張する複数の裁判も係属中だという。
国を相手に個人番号の利用停止や削除などを求める違憲訴訟も、全国八つの地裁で進行中です。

具体的にどう対応すべきか。
悪法は世論と運動の力で使わせずに形骸化させることが大事です。窓口で『知りません』『番号を使うつもりはありません』といえば、それまでです。

ほんとうにそれで大丈夫なのか。面倒なことにならないか。
約100件の相談を受け、番号を記載せずに郵送で申告してすべて受理されました。国税庁などの省庁も『番号未記載でも受理し、罰則や不利益はない』と繰り返し表明しています。

次いで、制度についての納得できる説明。まずは法の名称。こんなことご存じでしたか。
「マイナンバー」の根拠法である「個人番号法」の正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」です。似た名前の法律に「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」(2003年)があります。BSE(牛海綿状脳症)対策として導入された同法によって、肉屋さんや消費者は、肉の生産履歴を知ることができます。牛の個体識別は食の安全・安心にとって有用でしょうが、私たちは家畜ではありません。

表向きの立法目的と真の立法動機
徴税など政府の都合や目的のために、私たちの全情報を一つの番号で収集・管理し、「特定の個人を識別するための番号の利用」が個人番号の核心なのです。私たちは既に、個別の目的ごとに、さまざまな番号をつけられています。基礎年金番号や保険者番号、・住民登録番号、運転免許証、パスポート、診察券、口座番号、社員番号などなどです。しかし、個人番号は、すべての情報を一つの番号で国が一元的に管理しようというものです。

マイナンバー制度はどんな危険をもっているか。
番号制を導入している韓国では、コンビニで買い物する際に番号を提示します。何番が、いつ、どこで、何を売買したかが、レジと国税庁のコンピューターが連動していて把握できます。このように、一つの番号で個人の全情報をつかむことは、憲法13条が保障する個人の尊厳に反することは明らかです。

マイナンバーの利便性についての国の説明
国は、「マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤」(内閣官房ホームページ)と説明します。しかし、《コンビニで住民票が取れる》程度の利便性と引き換えに、個人の尊厳を捨てたり、個人情報の流出・番号不正利用の危険に甘んじたりするわけにはいきません。

国民にマイナンバー使用の義務はない。
番号を扱うのは、国と地方自治体、「番号を利用する事業者」です。国民には何ら義務規定はなく、もちろん罰則や不利益もありません。

他人の番号を集めると苦労する
番号は最終的には国が把握しますが、社会保障や税の分野などでは個人番号を集めるのは主に民間です。漏えいなどに対する重い罰則があり、取り扱いで苦労することになります。すでに、番号がもれた時の損害保険も用意されています。

マイナンバー笑うは政府と大企業
個人番号は初期投資だけで3000億円、セキュリティー対策などで1兆円市場といわれます。大儲けするのは一握りの大手IT企業だけです。
(2017年3月27日)

マイナンバー 知らせて危険。知らせられるともっと危険。

年末から年初にかけて確定申告のための支払い調書(源泉徴収の票)が届いた。
今までにないこととして、事前に「調書作成のためにマイナンバーをご連絡ください」とする問合せが何件かあった。そのいずれの問合せにも、「マイナンバー記載なしで調書の作成をお願いします」「その方がお互い面倒でないでしょう」ということで、なんの問題も起きていない。行政が「どうしても必要」という場合には、それなりの対応をしなければと思ってはいたが、そのようなケースに遭遇することはなかった。

マイナンバー、使って何の得もない。うっかり使えば、漏洩のリスクが大きい。知られた者も知らされた者も、リスクを抱えることになる。こんなもの、ないに越したことはない。こんな制度は眠り込ませるに如くはない。

目についた限りで、関連した幾つかの情報をご紹介する。

不記載の給与支払い報告書 市が受け取り拒否を撤回
小松島市(徳島県)「生活と健康を守る会」は、1月18日小松島市に対し、マイナンバー不記載を理由とする申請書等の受け取り拒否を改めるよう申し入れました。
 1月16日、漁業を営む会員の島田佳代さん(仮名、74歳)がマイナンバー不記載を理由に、市から給与支払報告書の受け取りを拒否されました。
 小松島市生健会は3月の税金集団申告に向け、昨年11月から税金学習会を3回開催。その中でマイナンバーについて学習をし、プライバシー侵害のおそれがあるため、マイナンバーは書かないことを確認してきました。
 1月18日は、毎月第1、第3月曜に開催している「なんでも相談会」の日でした。受け取りを拒否された島田さんは相談に訪れ、「給与支払報告書を仕上げ、市役所に提出しようとして拒否された」ことを話しました。
 早速、市に申し入れることにし、島田さんと井上博善会長ほか役員3人が参加しました。市役所からは税務課長と担当係長が出席。初めに、生健会から「給与支払報告書の受け取り拒否は、国の定めたマイナンバーの取り扱い原則から逸脱している。不記載でも受け取るのが原則だ。なぜ受け取り拒否したのか」と質問し、その経緯の説明を求めました。
 担当係長は「窓口担当職員から事情を聴いた。受け取り拒否でなく、会員の方がどうするか考えるため持ち帰った」との説明。島田さんは「マイナンバー不記載では受け取れないと、担当者が言った」と反論。
 その後担当係長から「行き違いがあり、迷惑をかけました。不記載の意思が確認できる場合は受理します」と謝罪がありました。
 その場で(マイナンバー記載のない)給与支払報告書を提出しました。
 2月14日から始まる確定申告のマイナンバー記載の取り扱いについても、尋ねました。「所得税に関するマイナンバーについては、市税務課(所得税申告を受け付ける市の窓口)では確認しないよう税務署から指示されている」「住民税については、マイナンバー記載の場合、証明するものの提示を求める。不記載の場合は、『来年の申告では記載するよう』指導する」との説明がありました。
 最後に井上会長は、「マイナンバー制度により事業所は事務が増えている。国民はマイナンバー漏えいによるプライバシー侵害を心配している。マイナンバー制度は廃止すべきである」と述べました。
(以上、2017年2月5日号「守る新聞」。同会ホームページから)

税申告マイナンバー不要 全生連が省庁交渉で確認

全国生活と健康を守る会連合会(全生連・安形義弘会餐)は8日、国が個人情報を管理するマイナンバー(共通番号)制度をめぐり、担当省庁と国会内で交渉し、税申告の際、マイナンバーの記入がなくても申告が受け付けられることを確認しました。総務省、国税庁、内閣府の3省と交渉しました。
 総務省の担当者は、「マイナンバーの記入がない場合も税申告を拒否することはない。申告を受け付ける。記入がないことによる罰則もない」と話しました。参加者は、新潟県南魚沼市の住民が税申告の際にマイナンバーを記入しないことを伝えたところ、市役所から「記入拒否の理由書を住所・氏名とともに提出せよ」と同市が作成した「マイナンバー未記入理由書」への記入を求められた事例を紹介。「まったく必要がないと周知徹底してほしい」と申し入れました。
 総務省の国税庁の担当者は、「法令上、そういった書類を出してもらう必要はない。自治体にもそういった指導はしていない」と回答しました。
 全生連はこのほか、▽行政から発送される通知などにマイナンバーを記載しない▽国民のプライバシーを侵害するマイナンバー制度そのものを廃止する-ことを求めました。
(しんぶん赤旗 2017年2月10日)

マイナンバー 記載なくても不利益ない 全中連に各省庁が回答
全商連も加盟する全国中小業者団体連絡会(全中連)が(2015年)10月27、28の両日に行った省庁交渉ではマイナンバー(共通番号)制度実施の延期・中止を求めるとともに「共通番号の記載がなくても提出書類を受け取り、不利益を与えないこと」などを要望しました。主だった各省庁の回答を紹介します。

【内閣府】
・「扶養控除等申告書」「源泉徴収票」などの法定資料や雇用保険、健康保険、厚生年金保険など書類に番号が記載されていなくても書類は受け取る。記載されていないことで従業員、事業者にも不利益はない。
・従業員から番号の提出を拒否されたときは、その経過を記録する。しかし、記録がないことによる罰則はない。
・「個人番号カード」の取得は申請によるもので強制ではない。カードを取得しないことで不利益はない。
【国税庁】
・確定申告書などに番号未記載でも受理し、罰則・不利益はない。
・事業者が従業員などの番号を扱わないことに対して国税上の罰則や不利益はない。
・窓口で番号通知・本人確認ができなくても申告書は受理する。
・これらのことは個人でも法人でも同じ。
【厚生労働省】
・労働保険に関して共通番号の提示が拒否され、雇用保険取得の届け出で番号の記載がない場合でも、事務組合の過度な負担が生じないよう、ハローワークは届け出を従来通り受理する。罰則や不利益はない。
・労働保険事務組合が番号を扱わないことによる罰則や不利益な扱いはない。
・番号を記載した書類を提出するとき、提出者本人の番号が確認できない場合でも書類は受理する。

以上のとおり、マイナンバー不記載による納税者等の不利益はない。一応、事業者にはマイナンバー記載の義務は定められており、労働者には協力義務があることにはなっている。だから、行政が、マイナンバー記載の指導を求めることは違法ではない。しかし、国民が自らのマイナンバー不記載の意思を明示すれば、法はこれを強制することを想定して作られてはいない。刑罰のないことはもちろん、強制や誘導のための一切の制度はない。

一方、うっかり番号を預かると、担当者には秘密保持義務が課せられ、「秘密を漏らし、又は盗用した者は、3年以下の懲役若しくは150万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(番号法第50条)」とされる。これはたいへんなことではないか。
マイナンバー人に知らせて危険。人から知らせられると、もっと危険。
(2017年2月12日)

マイナンバー さわらぬ神に 祟りなし

この国の政府と国会は、私の望んでいない法や制度を次から次へと作り出す。特定秘密保護法・戦争法・原発再稼働・TPP…。マイナンバー制もその一つだ。正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下、「番号法」)だそうだが、いよいよ本格的に動き出す。かつては国民総背番号制としての嫌われもの。住基ネットは完全に失敗した。マイナンバー制も国民には何のメリットもない。むしろ、危険なデメリットに充ち満ちている。

総務省は、ひそかに私にも12ケタのナンバーを付けたようだが、余計なお世話だ。いや、失敬きわまる。政府が勝手に付けた識別番号を、私は「マイ」ナンバーとは認めない。そんな番号は知りたくもない。もしかしたら、777777777777というラッキーナンバーであるのかも知れないが、生涯知ることはないだろう。認知しないで無縁で暮らすことにする。

年金番号や顧客管理番号は、私という人格に付されたナンバーではない。事務整理の必要性から、納得できる合理性に支えられた、特定の名簿に付された便宜上の番号だと認識できる。しかし、「行政手続における特定の個人を識別するための番号」とは、氏名と同じく私という人格の特定に、包括的かつ永続的に使われる。そんなものは要らない。まっぴらご免だ。

私が長年顧問を務めたある会社の法務部長のことを思い出す。彼は、その会社を退職したあと県会議員に立候補し、無所属ながら見事に当選した。ところが、在任中に思いがけないスキャンダルを起こして、彼のブログが炎上した。それは、彼が公立病院に通院した際、氏名でなく受付番号で呼び出されたことに立腹して、「自分にはちゃんとした氏名がある。番号での呼出アナウンスは自分の人格を傷付けるものだ」という主旨の抗議をし、その旨をブログにも書いたのだ。「ここは刑務所か!。名前で呼べよ。」というトーン。

たちまち、これに反論が相次いだ。「議員にあるまじき傲慢な態度」「上から目線のものの言い方」「氏名を言わないのはプライバシーへの配慮ではないか」。ブログの炎上がきっかけで、フジテレビのワイドショー番組での強引な取材となった。彼は追い詰められ遂に自殺に至った。

県議としての彼のものの言い方に批判すべきところがあるとは言え、自殺にまで追い詰められるほどのことではなかったろうに。一般論としては「番号ではなく氏名を」という彼のポリシーに共感する。彼のブログには、「確かに個人名を伏せてほしい患者はいるでしょう。そうした方には、“匿名希望”とか、“番号呼び出し希望”と、○印欄を付けるたった数文字を追加すれば済むことでしょう。」という記事もあるのだ。今は亡き彼を弔う気持ちも込めて、「番号制度(マイナンバー制度)の中止と利用拡大のとりやめを求める運動」に加わろうと思う。

私が信頼する税理士の組織として「税経新人会」がある。その会のマイナンバー制度に関するリーフレットをいただいた。マイナンバーを利用する必要はないという趣旨。これがよくできている。

このリーフの最初にマイナンバー制度のイメージが図式化されている。これによると、これまでの税や社会保障における「個別番号」は、すべて「氏名に番号がついていた」。しかし、「マイナンバー」は違う。「番号に情報がつき、氏名も情報のひとつ」だという。なるほど、そういうものか。政府が、ナンバーを通じて国民のすべての情報を取得し管理するシステムなのだ。そんな制度の完成は「1984年」の悪夢ではないか。

このリーフのメインの記事は、三つの「Q&A」である。
Q1 何のためにつくられたのでしょうか?
Q2 番号は提出しなければ不利益があるのでしょうか?
Q3 事業者は、従業員の番号を収集しなければならなないのでしょうか?

「Q1」は、マイナンバー制度の趣旨目的について。「政府のウソ」と、「本当の目的」が語られている。
「Q2」は、求められたマイナンバーを提出しなければならないのか、ということ。これがみんなの知りたいこと。
そして、「Q3」は事業者に向けた説明。「従業員の番号の収集は義務のようだが、収集したくない場合にはどうすればよいのか」に対する解答。

番号法自体は個人(番号をもつ本人)に何の義務も課していない。事業者には形式的には従業員の番号収集義務があるものの強制力はない。むしろ、これを収集してしまうと、面倒なことになる。番号の漏洩は犯罪なのだから、最初から番号の収集などしない方がずっと賢明なのだ。

Q1 何のためにつくられたのでしょうか?
 政府は、①行政の効率化②国民の利便性向上③公平・公正な社会の実現が目的としていますが、
 実際は・・・
①「行政の効率化(費用対効果)」
 費用対効果の試算は明確に示されていません。システムの不具合が続出し改修費用が膨らんでいます。民間企業の負担経費を一切考慮していません。実態は巨額な公共事業です。当初国の基本システム開発だけで3000億円以上、1700自治体を含めると1兆円以上かかり、今後膨大な維持費と開発費がかかっていきます。その大半が入札のない随意契約です。
②「国民の利便性」
 政府のいう利便性→年間1回、一生1回のごくわずかな添付書類の削減にすぎません。その代償として、国民はカードの逸失や情報漏れに気を遣いながら、常時携帯を余儀なくされます。
③「公平・公正な社会の実現」
 現行制度改正・運用で可能です。「公正」の対象は庶民です。番号制度では、パナマ文書で明らかなように、海外に流失した企業・富裕層の資金に対する捕捉はできません。また税収では、本来負担能力のある企業利益・株式等の配当・譲渡などに相応の課税をすべきです。また番号制では、政治家の不正は捕捉できません。

本当の目的は・・・
 国民の財産を含めたプライバシー情報の管理と医療・介護・年金の給付制限です。
真の目的は、すでに成立している改正法に見るように、預金に番号をつけ、国民個々人の資力調査と個人情報の集中的管理と利用です。政府財政制度等審議会で、「マイナンバーの利活用で、預金等の金融ストックも勘案した負担能力判定の仕組みを導入」が提案されました。例えば一定の預金者は医療費や介護保険の保険料や自己負担を増やすなどです。
 民間企業にも個人番号カードや番号利用を認めていき、クレジットカード・社員証・交通系ICカード(スイカなど)など民間カードとのワンカード化やスマートホンにその機能をもたせるなど検討しています。また顔写真などの生体情報の登載も予定して、2020年東京オリンピックなどの警備に利用しようとしています(内閣府IT戦略本部のロードマップ案)。

Q2 番号は提出しなければ不利益があるのでしょうか?
 番号法では、個人に提出義務を規定していませんし、提出しないことによる不利益の記載もありません。番号を記載しなければならないというのは、国税通則法や年金法などに記載されていますが、罰則はありません。漏えいの危険があり、悪用される危険がある番号を出しませんという意思表示をしましょう(収集を求める方は、その内容を記録に残せばよいことになっています)。

<書面で意思表示する場合の例>
        殿               月  日
 貴殿より「個人番号の記載は国税通則法等で定められたもの」であることの説明を受けましたが、私は、漏えいなどの不安を感じるため、個人番号を提出しません。
  氏名

Q3 事業者は、従業員の番号を収集しなければならなないのでしょうか?
番号法では、事業者に対し、収集の義務を規定していません。事業者は、番号を取集した場合は、漏えいしないように「安全管理措置」をとるために経費が増大し、神経を使うことになります。また漏えいした場合は、報告義務、刑事罰・罰金など責任は増大します。これらの負担と責任を考えると収集しないことが一番の「対策」です。

<番号を収集しないことをお知らせする例>
従業員の皆さんへ      年  月  事業主より
 2016年1月より番号(マイナンバー)制度が実施されています。年末調整や労働保険の手続きで、皆さんの番号を預かり書類に記入することとなっています。
しかし事業者には、番号法で番号の収集義務がないのもかかわらず、番号の記載された書類(コピーなど)について収集すると、厳重な管理(安全管理措置)が義務付けられています。安全管理措置の内容は、多岐にわたり、手間とコストがかかり、中小の企業にとっては、とても対応できるものではありません。万が一漏えいした場合は、4年以下の懲役または200万円以下の罰金となっています。日本年金機構からの情報漏えいにも見るように、高度な対策していたにもかかわらず個人情報が漏れてしまい、また最近でもこのような事件(犯罪)はたえません。
 よって、今回事業所としては、検討・熟考した結果、万全の安全管理措置がとれませんので、当面番号をお預かりしないで、税務・社会保険などの書類には番号なして提出することとしました。番号の記載がなくても書類が受理されないということはありません。
また通知カードと一緒に「個人番号カードの申請書」が送られてきます。申請書写真を貼って申し込むと、「個人番号カード」を区市町村の役所で受けることになります「個人番号カード」とはICチップ付きプラスチック製で、表面に氏名、住所、生年月日、性別の4情報と顔写真、裏面に番号が記載されます。
 政府は、この普及を進め、国民に日常不断に携帯させ、いろいろな機会に使用させるように考えています。そうなるとカード紛失等の機会も増え、犯罪に使われることも懸念されます。
 以上のことを考えて、「個人番号カード」の取得は慎重にしてください。「個人番号カード」の取得は強制ではありません。

**************************************************************************
以下は関係の法条を抜粋。

番号法6条
(事業者の努力)個人番号及び法人番号を利用する事業者は、基本理念にのっとり、国及び地方公共団体が個人番号及び法人番号の利用に関し実施する施策に協力するよう努めるものとする。

番号法14条
(提供の要求)個人番号利用事務等実施者は、個人番号利用事務等を処理するために必要があるときは、本人又は他の個人番号利用事務等実施者に対し個人番号の提供を求めることができる。

※個人(番号の本人)の義務規定はなく、事業者も軽い努力義務にとどまる。本人に個人番号の提供を「求めることができる」であって、義務規定とはなっていない。

 

国税通則法124条
(書類提出者の氏名、住所及び番号の記載等)国税に関する法律に基づき税務署長その他の行政機関の長又はその職員に申告書、申請書、届出書、調書その他の書類を提出する者は、当該書類にその氏名、住所又は居所及び番号(番号を有しない者にあつては、その氏名及び住所又は居所)を記載しなければならない。(以下略)

※一応、「記載しなければならない。」というのだから法的な義務ではある。しかし、強制の手段はなく、もちろん罰則もない。

 

「国税庁の番号制度概要に関するFAQ」
Q2-3-2申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか。
(答)税務署等では、番号制度導入直後の混乱を回避する観点などを考慮し、申告書等にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合でも受理することとしていますが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出してください。

※「番号を記載しないと受理しないのか」という問への解答は、「番号の記載がない場合でも受理する」である。「正確に記載した上で提出してください」は税務当局の要望である。
(2016年12月11日)

「リーマンに濡れ衣着せて頬被り」-この頬被りを許すのか、世界が日本の有権者を見守っている。

昨日(5月28日)の朝日川柳欄。入選7句のうち、3句が同じテーマ。さすがに達者な出来映え。

 リーマンもショックで逃げる景気観(東京都 秋山信孝)
 消費税延期のためのG7(大阪府 片柳雅博)
 珍説を咎めず客がおもてなし(埼玉県 小島福節)

アベの思惑の透け方。アベの姑息。アベの狡さと間抜けさ。そのすべてが、川柳子の好餌となっているのだ。
川柳だけでない。社説も辛辣だ。
「首脳宣言で「財政出動」と「経済危機」への言及にこだわり続けた日本のリーダーの姿勢は世界にどう映ったか。議長として指導力はある程度重要だとしても、我田引水では信頼を失いかねない。」
「首相の会見はいかにも我田引水が過ぎる印象だが、それが許されてしまうのも議長国だからだ。各国が持ち回りで議長を務めるため「お互い大目に見よう」との配慮が働くといわれる。議長国の恣意が強くなりすぎると、サミットの意義を低下させかねないことを肝に銘ずべきだ。」(
東京新聞)

本日(5月29日)の毎日朝刊も、アベには無遠慮に「伊勢志摩サミット 『リーマン級』に批判相次ぐ」との記事を掲載している。

「27日閉幕した主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)で、安倍晋三首相が『世界経済はリーマン・ショック前に似ている』との景気認識をもとに財政政策などの強化を呼びかけたことに対し、批判的な論調で報じる海外メディアが相次いだ。景気認識の判断材料となった統計の扱いに疑問を投げかけ、首相の悲観論を『消費増税延期の口実』と見透かす識者の見方を交えて伝えている。」

毎日が紹介する海外メディアの批判記事は、英紙フィナンシャル・タイムズ、英BBC、仏ルモンド紙、米経済メディアCNBC、中国国営新華社通信などである。

たとえば、「BBCは27日付のコラムで『G7での安倍氏の使命は、一段の財政出動に賛成するよう各国首脳を説得することだったが、失敗した』と断じた。そのうえで『安倍氏はG7首脳を納得させられなかった。今度は(日本の)有権者が安倍氏に賛同するか見守ろう』と結んだ。」「ルモンドは、「安倍氏は『深刻なリスク』の存在を訴え、悲観主義で驚かせた」と報じた。首相が、リーマン・ショックのような事態が起こらない限り消費税増税に踏み切ると繰り返し述べてきたことを説明し、『自国経済への不安を国民に訴える手段にG7を利用した』との専門家の分析を紹介した。」「CNBCは『増税延期計画の一環』『あまりに芝居がかっている』などとする市場関係者らのコメントを伝えた」という具合。

BBCがいう「安倍氏はG7首脳を納得させられなかった。今度は(日本の)有権者が安倍氏に賛同するか見守ろう」は重い。こんな、政権を許すのか、実は世界から日本の有権者が見つめられているのだ。

解説記事も辛口。
サミットを締めくくる議長会見。安倍首相は「リーマン・ショック」という言葉を7回も使って「世界経済のリスク」を強調したうえで、「アベノミクスのエンジンをもう一度、最大限ふかしていく決意だ。消費税率の引き上げの是非を含めて検討する」と踏み込んだ。
 首相が「リーマン級のリスク」を主張するのは、これまで、消費増税を延期する例として、2008年に起きたリーマン・ショックや大震災を挙げてきたからだ。しかも、G7で合意した「世界経済のリスク」に対応するため、という理由であれば、自らの看板政策であるアベノミクスが失敗したという批判も避けられるというわけだ
。」(朝日)

「安倍首相がこじつけとも言えるデータを示して『危機に陥るリスクに立ち向かう』と強調した背景について、ある金融市場関係者は『日本経済は不調が続いているが、アベノミクスが失敗しているとは口が裂けても言えない。景気対策の財政出動をするためには、リーマン・ショック級のデータを示すしかなかったのだろう』と指摘している。」(共同)

この各紙の厳しさは、アベノミクス失敗についてのものではない。これを糊塗し、誤魔化し、責任転嫁しようという安倍政権の姿勢への批判の厳しさである。

当然のことながら、「野党は首相への批判を強めている。」と報じられている。
「民進党の岡田克也代表は記者会見で『アベノミクスの失敗を糊塗するため、サミットの場が使われたとすれば罪は重い。ここまでやるか』と厳しく批判した。」
「共産党の志位和夫委員長も記者団に『日本の経済情勢こそリーマン・ショック前の状況だ。自らの失政の責任を世界経済に転嫁するというのは成り立つ話ではない』と述べた。」という。

「信なくば立たず」というではないか。愚直でも、その言動に嘘やごまかしのない限りは政治家の政治生命が断たれることはない。言っていることが姑息で、狡くて、信頼できないとなれば、もはや政治家として立つことはできない。

昨日から今日の紙面を埋めた、安倍の言動への評価の言葉を拾えば、我田引水・恣意・こじつけ、G7の利用、責任転嫁…。首都の知事は、都民の信を失って、水に落ちた。およそ知事としての勤めが果たせる状況にない。アベも同じではないか。彼の言動に信の根拠となるべきものはない。都合のよいデータをつなぎ合わせて、自己弁護の材料としているだけだ。

それにしても、冒頭に引用した3句。この3句が、すべてを語り尽くしている。川柳の説得力恐るべし、である。なお、タイトルの1句は、恥ずかしながら拙句である。残念ながら入選句ではない。
(2016年5月29日)

澤藤統一郎の憲法日記 © 2016. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.