澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

文京区議会の偉大な第一歩 ― 『共謀罪』への反撃

本日(6月22日)、文京区革新懇事務局からご報告を受けた。
本日の文京区議会本会議で、「組織的犯罪処罰法(共謀罪の趣旨を含む)の廃止を求める請願」採択の議決があったとのこと。これは快挙だ。さすが、わが地元の議会。立派なものだ。

この請願は5月31日付で賛同者の署名簿を添えて議会に提出された。タイトルは「『共謀罪』法案(組織的犯罪処罰法改正案)の廃案を求める請願」。請願者は、文京平和委員会と文京革新懇の連名。請願案件は、総務区民委員会に負託されて請願審査がなされたが、採択に至らぬうちに共謀罪法は強行成立してしまった。

ところが、その後の委員会審査では、「共謀罪に反対との趣旨は明瞭なのだから、『法案の廃案』は、『法の廃止』と読み替えよう』との取り扱いになったという。

総務区民委員会の委員数は9名。議長ととして議決に加わることができない委員長を除くと8名。その8名が、採択賛成5・反対3という分布になったという。

未来・共産・市民・永久(とわ)と4会派が賛成にまわり、自民と公明が請願採択反対の姿勢を貫いて敗れた。みじめやな公明。ここでも下駄の雪。自公勢力、もはやけっして多数派ではないのだ。

こうして本会議での議決を経た請願書は、文京区民の意思として、議長名で政府関係機関に要望書として提出されることになる。

果敢に請願採択に取り組んだ関係者と文京区議会に敬意を表したい。このような取り組みが、運動に関与するみんなを勇気づける。これは「偉大な第一歩」と言ってよい。共謀罪の危険性を訴え続けよう、法の廃止を目指した具体的な運動をしよう。大いに励まされる。

法案段階での廃案を求める請願の内容を記載しておきたい。

件名:「共謀罪」法案(組織犯罪処罰法改正案)の廃案を求める請願
【請願理由】
このほど政府は、犯罪の合意を処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を本格的に審議入りさせました。この「共謀罪」法案は過去3度にわたり提出されたものの、憲法で保障された思想・信条、内心の自由を侵すものとして、国民の大きな反対によって廃案となったものです。
今回の法案も、以下のように多くの問題点があります。
第一に、政府は東京五輪の開催を控え、テロ対策としてこの法整備の必要性を強調しますが、適用される対象277にはテロとは無関係のものがあり、「組織的犯罪集団」の定義もあいまいで、市民活動も対象になりかねません。
第二に、犯罪が実行される前段階での合意や準備行為だけで処罰することは、近代刑法の原則を覆すものであり、また該当行為の範囲も不明確です。
第三に、共謀罪が新設されれば、日常的な会話が盗聴される恐れかあり、また市民同士の相互監視や密告社会を生み出す危険もあります。
よって私たちは、以下のことを強く求めます。
【請願事項】
「組織犯罪処罰法改正案」を廃案にするよう、国に求めること
(2017年6月22日)

『共謀罪』成立に対する抗議声明4題

2017年6月15日「中間報告」(国会法56条の3)なる奇策(法務委員会採決省略)によって、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正法案)が可決成立した。究極の強行採決と言って過言でない。共謀罪の内容の異常にふさわしい、手続的異常であった。あの日から1週間となる。

繰りかえし繰りかえし、この手続の異常と共謀罪の危険性をともに訴え続けることが、この法律(『共謀罪』)を使いにくくし、その運用を押さえ込み、さらには法の廃止を展望することにもつながる。

そのためには、この経過を記憶しよう。それにふさわしい、『共謀罪』の危険性と手続の異常を告発する抗議声明4題を掲記しておきたい。

**************************************************************************
共謀罪法案の強行採決に強く抗議する声明
2017年6月19日

共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
社会文化法律センター     代表理事 宮 里 邦 雄
自由法曹団            団長 荒 井 新 二
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 原   和 良
日本国際法律家協会        会長 大 熊 政 一
日本反核法律家協会        会長 佐々木 猛 也
日本民主法律家協会       理事長 森   英 樹
日本労働弁護団          会長 徳 住 堅 治
明日の自由を守る若手弁護士の会 共同代表 神保大地・黒澤いつき

2017年6月15日午前7時46分,参議院本会議において,「中間報告」(国会法56条の3)により法務委員会の採決を省略するという極めて異例な手段によって,共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の採決が強行され,同法案は可決成立した。
私たちは,この暴挙に強く抗議する。

共謀罪は,277種類もの犯罪について,日本刑法では例外中の例外とされる予備罪にも至らない,およそ法益侵害の危険性のない「計画」(共謀)を処罰しようとするものであり,刑法の原則を根本から破壊する憲法違反の悪法である。

政府は,共謀罪法案を「テロ等準備罪」と呼び,国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准するためには共謀罪の創設が不可欠である,同条約を批准しなければ東京オリンピックも開催できないなどと宣伝してきたが,TOC条約はテロ防止を目的とするものではないこと,同条約を批准するには共謀罪は不要であること,共謀罪が対象とする277の犯罪にはテロと無関係の犯罪がほとんどであり,テロ対策の法制度は整備済みであること,従って共謀罪がいかなる意味でもテロ対策法とはいえないことは,すでに明らかになっている。

また,「計画」,「準備行為」,「組織的犯罪集団」等の概念はあまりにも不明確である上,政府答弁も二転三転し,国民は何が犯罪であり,何が犯罪でないのかを知ることができない。別表に掲げられた対象犯罪277が極めて広範であることとあいまって,共謀罪が罪刑法定主義(憲法31条)に違反することは明白である。

共謀罪の最大の問題は,政府に異をとなえる市民団体などの活動の処罰や,その情報収集・捜査の根拠とされ,市民のプライバシーの権利(憲法13条),内心の自由(憲法19条),表現の自由(憲法21条)を侵害する危険が極めて高いことである。
法務大臣は,衆議院では,条文上何らの根拠がないにもかかわらず,「組織的犯罪集団とは,テロリズム集団,暴力団,麻薬密売組織などに限られる」,「通常の団体に属し,通常の社会生活を送っている方々は処罰対象にならない」と繰り返し答弁してきたが,参議院に至って,「対外的には環境保護や人権保護を標榜していたとしても,それが言わば隠れみの」である団体は組織的犯罪集団となり得るとの重大な答弁を行った。また,組織的犯罪集団の「周辺者」も捜査対象となることを認めた。
これは,共謀罪が成立すれば,正当な目的をもつ団体であっても,警察がその目的を「隠れみの」であると考えれば,その団体や,構成員ないし「周辺者」とみなされた市民が日常的な警察の監視対象とされることを意味する。
対象犯罪277の中に,組織的威力業務妨害罪や組織的強要罪など,基地やマンション建設に反対する行動などに適用される可能性の高い「犯罪」類型が含まれるだけに,上記の日常的な情報収集をもとに強制捜査や処罰が行われるおそれがある。
こうした重大な答弁が参議院になってからなされ,十分な審議がますます必要になったにもかかわらず,強引に採決した与党の強権的な国会運営には憤りを禁じえない。

法案審議中の5月18日,国連特別報告者ジョセフ・カナタチ氏は,共謀罪法案が「プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」との懸念を表明する書簡を安倍首相に送付した。ところが,日本政府はこの書簡に対し,単に「強く抗議」し,何ら回答しないという恥ずべき態度をとった。こうした日本政府の対応は海外メディアでも危惧感をもって大きく報道された。共謀罪法案が,このように国際社会に背を向けて成立した経緯も忘れてはならない。

国会法56条の3第2項は,「特に緊急を要すると認めたとき」に限り,法務委員会の採決を省略して本会議で採決することを認める。しかし,共謀罪を成立させることに何らの緊急性はなかった。共謀罪法案は,そもそも立法事実が存在しない上,法務大臣がしばしば答弁不能になるなど政府側の解釈が最後まで迷走し,疑問や矛盾が山積していたのであり,6月18日の会期末をもって廃案にすべき法案であった。このような法案について,奇策というべき手段で強行採決した与党の国会運営は,議会制民主主義を死滅させる暴挙である。

共謀罪法案の廃案をめざす声は,全国に大きく広がった。おびただしい数の市民集会,デモ,街頭宣伝,国会周辺では連日の座り込みや昼夜の共同行動が行われた。国会内では4野党1会派が結束して闘い,法律家も,日弁連及び52の単位弁護士会の全てが共謀罪に反対する声明を出し,多数の学者,作家,ジャーナリスト,マスメディアも反対の論陣を張った。そのなかで私たち法律家団体連絡会もあらゆる努力をした。世論調査では反対が賛成を上回った。こうした運動の広がりは,共謀罪を発動させない大きな力になると確信する。

「現代の治安維持法」,「監視社会を招く違憲立法」として強く批判してきた共謀罪であるが,私たち法律家は,今後も市民・野党と手を携え,共謀罪の廃止をめざし,共謀罪の発動を許さない活動を続ける。その一環として,国連特別報告者カナタチ氏が提案した,「監視活動を行う警察を監督する第三者機関」の設置をめざすことも重要な課題である。
私たちは,これからも市民が絶対に萎縮することなく,自由に表現し,自由に仲間と集いあえる社会を維持するため,全力を尽くす決意である。
**************************************************************************
いわゆる共謀罪の創設を含む改正組織的犯罪処罰法の成立に関する日弁連会長声明

本日、いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案(以下「本法案」という。)について、参議院本会議において、参議院法務委員会の中間報告がなされた上で、同委員会の採決が省略されるという異例な手続により、本会議の採決が行われ、成立した。

当連合会は、本法案が、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強いものとして、これまで本法案の制定には一貫して反対してきた。また、本法案に対しては、国連人権理事会特別報告者であるジョセフ・カナタチ氏が懸念を表明する書簡を発出するという経緯も存した。

本国会における政府の説明にもかかわらず、例えば、①一般市民が捜査の対象になり得るのではないか、②「組織的犯罪集団」に「一変」したといえる基準が不明確ではないか、③計画段階の犯罪の成否を見極めるために、メールやLINE等を対象とする捜査が必要になり、通信傍受の拡大など監視社会を招来しかねないのではないか、などの様々な懸念は払拭されていないと言わざるを得ない。また、277にも上る対象犯罪の妥当性や更なる見直しの要否についても、十分な審議が行われたとは言い難い。

本法案は、我が国の刑事法の体系や基本原則を根本的に変更するという重大な内容であり、また、報道機関の世論調査において、政府の説明が不十分であり、今国会での成立に反対であるとの意見が多数存していた。にもかかわらず、衆議院法務委員会において採決が強行され、また、参議院においては上記のとおり異例な手続を経て、成立に至ったことは極めて遺憾である。

当連合会は、本法律が恣意的に運用されることがないように注視し、全国の弁護士会及び弁護士会連合会とともに、今後、成立した法律の廃止に向けた取組を行う所存である。
2017年(平成29年)6月15日
日本弁護士連合会
会長 中本 和洋
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/170615.html

**************************************************************************
日本ペンクラブ声明「共謀罪強行採決に抗議する」

国内外の専門家、表現者、市民から、多くの意見が表明されるなか、国会において十分な審議が尽くされないばかりか、多くの疑問をのこしたまま、思想・表現の自由に重大な悪影響を及ぼすいわゆる「共謀罪」が強行的に採決されたことを深く憂えるとともに、強い怒りを禁じえない。
今回の衆参両院における法案審議と採決にいたる過程は、民主主義のルールを無視し国民を愚弄したものであり、将来に大きな禍根をのこす暴挙である。
われわれは法案審議のやり直しを強く求める。
2017年6月15日
日本ペンクラブ会長 浅田次郎
**************************************************************************
緊急声明:国会不在の共謀罪法案強行成立に抗議する(JCJ)

政府・与党は、参議院法務委員会の審議、討論と採決を省略して、委員長中間報告によって本会議採決を強行、共謀罪新設法案の強行成立させた。
メディアは「奇策」と報じたが、「国会の自殺行為」としかいいようがない。われわれは、「内心の自由」「表現の自由」を破壊し、警察権を拡大して、戦争が出来る国をつくる改憲をめざす安倍内閣に対し、満身の怒りを込めて抗議する。
共謀罪法案について政府は、マフィア対策でしかない条約を「テロ防止条約」だと偽り、組織外の周辺の人をも含んで捜査の対象とされるのに「一般人は関係がない」とウソの答弁を繰り返した。そして、法案自体、277といわれる対象犯罪の数どころか、構成要件とされる「計画」や「準備行為」の定義はあいまいなままで、「何をしたら罪になるのか」さえ明らかにされていない欠陥、かつ憲法違反の法案である。
今回の強行は、安倍政権の目玉政策の「特区」が、実は首相の親友の学園に便宜を図り、政策自体が歪められた疑惑が国会審議で明らかになり、その進展を恐れた政権が「加計隠し」を図ったものだと指摘されている。しかし同時に、それだけでなく、「2020年に9条改憲の施行」をめざす安倍政権が今年中の自民党案作成、2018年12月の衆議院任期中の改憲発議、国民投票、さらに天皇退位、元号改元、などという独裁的「改憲スケジュール」に乗ったものだとも取りざたされている。
われわれは共謀罪法案の新設と安倍改憲戦略の狙いを見抜き、日本を再び暗黒の時代に戻すことがないよう、日本国憲法を擁護し、改憲を許さず、平和と人権、そして民主主義を進めるジャーナリズムの精神を貫き、あきらめず闘い続けることをここに声明する。
2017年6月16日
日本ジャーナリスト会議
(2017年6月21日)

あがれあがれ、もっとあがれ不支持率ーこの暴挙への怒りを持続させよう

6月18日。193通常国会終了の日である。
この国会で共謀罪法が成立し、アベ友学園・腹心の友学園の疑惑は晴れぬまま、会期は閉幕した。アベ政権は国民をなめきっている。「戦争法案であれだけ支持率を下げたものの、有権者の物忘れのスピードは早かったではないか」「今度も多少は支持率下がるだろうが、なに、アベ一強に代わる選択肢はなかろう」という見くびり方だ。

日本の政治は、批判の言論に反応しての修正能力を失っている。権力者による行政の私物化が進行し、行政の公正・公平に疑惑を持たれるのに、政権担当者に懼れの気持がない。疑惑の隠蔽が可能と自信過剰に陥っている。疑惑の指摘者を脅して黙らせ、記録は徹底して破棄し隠匿する。この国会で垣間見えたこの国の行政は腐りきっている。アベ自身が、「これから丁寧に国民の皆様に説明していく」と神妙な顔つきを見せながら何もせずにすっぽかす光景を何度も見せつけられてきた。

その行政の横暴を国会がチェックできない。与党議員は、政権から独立した立法府の一員であることのプライドを持たない。読売・産経に代表されるメディアの劣化も甚だしい。総じて、政治の劣化であり、民主主義形骸化の事態である。

朝日は、この国会に表れた政府の姿勢を、「厳しい追及を受けた政府は、『認めない』『調べない』『謝らない』答弁を連発した。会期150日間の答弁に、批判や疑問を正面から受け止めない姿が浮かぶ。」と表現した。

私は戦前の政党政治形骸化の過程を直接に知る世代ではない。しかし、なるほどこんな風だったのかと思わせる時代の空気を感じる。戦前の臣民は、天皇制に弾圧された人々ばかりではない。天皇にひれ伏し圧倒的に支持した人々が、侵略にも戦争にも熱狂したのだ。株価上昇の一事で政権を支持している現在の国民が、「満蒙はわが国の生命線」と納得した当時の臣民に重なって見える。

これだけのムチャクチャな横暴をやってのけたアベ政権に対する世論の批判は、それなりに大きい。本日(6月16日)、幾つかの世論調査結果が発表され、軒並み内閣支持率を下げている。

共同通信社が17、18両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は44・9%で、前回5月から10・5ポイント急落した。不支持は43・1%。安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡り、行政がゆがめられたことはないとする政府側の説明に「納得できない」としたのは73・8%で、「納得できる」は18・1%にとどまった。加計学園を巡る記録文書についての政府の調査で真相が「明らかになったと思う」は9・3%、「思わない」は84・9%だった。「共謀罪」の採決で、与党がとった異例の手続きについては、67・7%が「よくなかった」と批判した。(共同)

毎日新聞調査でも、支持率は「前回から10ポイント減」となって、不支持が逆転している。

毎日新聞は17、18両日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は36%で、5月の前回調査から10ポイント減。不支持率は44%で同9ポイント増加した。不支持が支持を上回ったのは2015年10月以来。「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法を参院委員会採決を省略して成立させた与党の国会運営や、学校法人「加計学園」の問題への政府の対応などが影響したとみられる。(毎日)

日本テレビ系の、NNN世論調査では安倍内閣支持率の推移は以下のとおり。この調査でも、不支持が支持を上回っている。
       支持する  支持しない  わからない
今 回 (6月) 39.8%   41.8%     18.4%
前 回 (5月) 46.1%   36.4%     17.6%
前々回 (4月) 50.4%   30.8%     18.8%

こんな問に対する回答もある。
問 あなたは、加計学園の獣医学部開設のいきさつについての、安倍総理の説明に納得しますか、納得しませんか?

(1) 納得する 9.6 %
(2) 納得しない 68.6 %
(3) わからない、答えない 21.7 %

問 「総理のご意向」「官邸の最高レベル」などの言葉を使って、文科省に積極対応を求めたとされる内閣府が、「そのようなことを伝えた認識はないことが確認された」などとする調査結果を公表しました。あなたは、内閣府の調査結果に納得しますか、納得しませんか?

(1) 納得する 11.3 %
(2) 納得しない 68.1 %
(3) わからない、答えない 20.6 %

問 「共謀罪」の趣旨を含んだテロ等準備罪を新たにつくる、「改正組織犯罪処罰法」が、国会で成立しました。あなたは、この法律に賛成ですか、反対ですか?

(1) 賛成 31.8 %
(2) 反対 39.5 %
(3) わからない、答えない 28.8 %

各世論調査に現れた国民意識の反応は健全なものだ。問題は、その持続性。私は、この怒りを忘れない。そして、「忘れるな」「忘れてはならない」と執拗に訴え続けたい。
(2017年6月18日)

「安倍政権を支持しない」が93%!という調査も出てきた

朝は、6時半からウトウトしながらのTBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」。金曜日の小沢遼子さんがリタイヤしてさびしくなったが、森本毅郎はハリのある声で健在。しばらく腰痛の治療でのお休みもあったが、今やこの人、齢をとることを忘れたのではないかと思わせる。

今週は、番組の特別企画として、「忖度しない!ご意向まつり」を実施。リスナーの「ご意向」を募集してきた。ミニ世論調査である。森本ファンの投票だから、当然にサンプルは偏っている。世間とはひと味違うところに面白みがある。

今日(6月16日・金)がその最終日で、テーマは「あなたは安倍政権を支持しますか。しませんか」。究極の強行採決で共謀罪法案を強引に押し通したその翌日というタイミング。支持と不支持の二者択一で、「分からない」も、「どちらとも言えない」もない。興味津々の結果は…。

「支持する!」・・・・・7%
「支持しない!」・・・93%
 (応募総数701通)
https://www.tbsradio.jp/156827

この結果は、「やはり」というべきか、それとも「驚くべき」というべきか。

読み上げられた、主な不支持の理由。
「共謀罪の決め方がひどかった。とても支持できない。支持する人がいるのが不思議」「国有地払い下げもすっきりしない、獣医学部新設もすっきりしない。国会や官房長官の説明は国民を馬鹿にしている。自浄作用がなくなった現政権は、まったく支持できない」「首相でありながら平気で野次を飛ばし、自分が野次を飛ばされると怒り出し、野党議員に対して反撃する様は見ていられない。」「『丁寧に説明していく』となんども言っているが、その説明を聞いたことがない。」「異論を唱えるものに冷たく、お友達には手厚い政権に未来を託せない」「秘密保護法、カジノ法案、安保法案、共謀罪を強行採決。しかし、この力を与えたのは国民。次は自民党に投票するのをやめて、暴走を止めなければと思う」

支持の7%は「経済政策の評価」と、「民進党よりはマシ」。
「(アベの)振る舞いは目にあまるが、金融緩和で株は上昇している。この実績は評価すべき」「民進党を見ていると、安倍政権を支持するしかない。蓮舫さんはパフォーマンスばかり。共謀罪の審議も、法案の問題点を追及すべきなのに、法相の個人攻撃ばかりだった」

「100対0」となっては、却って恐い。「93対7」は、確実に今の良質な国民意識の一面を物語っている。みんなもどかしいのだ。こんな粗暴な政権をのさばらせ放置してきたことを。そして、いまだに退治することができずに拱手傍観せざるを得ないことを。

そんな気持で、7時45分に家を出た。今日は東北新幹線に乗り遅れてはならない。やや急いで、丸の内線・本郷三丁目駅の入り口まできて、オジさん5~6人がビラを配っているのに遭遇した。てっきりマンション販売ビラかと思ったら、これが自民党都議会議院選挙候補者の宣伝行動。

思わず、言葉が出た。「えっ? 自民党?」「自民党だけは絶対にダメだ」「自民党よ。昨日は、国会で何をした」「キミたち恥ずかしくないか」「アベ晋三のために政治をねじ曲げて恥ずかしいとは思わないのか」。一番駅寄りに、議員バッジを付けた、候補者と思しき人物が立っていた。配っていたビラの写真の人物。睨みつけて大きな声で、「恥を知れ。自民党!!」

件の人物はなにも言わずに、えへらえへらしているだけ。もちろん、自民党にだって表現の自由はある。しかし、共謀罪法をだまし討ちで成立させた翌日のことだ。これくらいは言っておかなくては。

えこひいき政治も、だまし討ち国会運営も、結局は国民がアベ政権与党に与えた議席の数の力によるものだ。まずは、至るところで「アベ政権ノー」の声を出そう。NHKや読売の世論調査で内閣支持率が、「森本毅郎スタンバイ!」並みに近づけば、確実に政治状況は変わる。

このまま自民党が選挙に勝つようなことでは、「アベの、アベによる、アベのための政治」「アベ政権の、自公与党による、アベの身内とおともだちのための政治」が続くことになる。

まずは東京都議選で、驕る自公勢力に熱いお灸をすえなければならない。
(2017年6月16日)

「共謀罪法」成立のこの日を、しっかりと記憶に留めておこう。

今朝、与党が参院本会議で採決を強行し共謀罪法(形式は、「組織犯罪処罰法」改正)が成立した。身震いがする。

2017年6月15日を記憶せねばならない。この稀代の悪法を国会に提出したのは安倍晋三内閣。成立させた主力は自民党だが、自民と連立を組んで下駄の雪になり下がって久しい公明党の罪は深い。それだけではない。日本維新の会という与党別働隊の姑息さも記憶に留めておこう。

備忘録として、問題点をできるだけ簡潔に書き留めておきたい。

まずは法案審議から法成立までの手続の問題。
民主主義とは手続的正義である。民主主義の立場からは、法案審議の結果ではなく、過程こそが重要なのだ。審議とは国民の代表者による討議を意味する。充実した討議が尽くされ、その内容が国民に公開されなければならない。主権者国民は、この熟議の過程を把握して法案への賛否の意見を形成する。その主権者の意見分布が、自ずから審議に影響する。少なくとも、次の選挙における主権者の審判の判断材料となる。

ところが、共謀罪法案の審議に、手続的正義はなかった。与党は、衆院での審議30時間、参院は20時間と、強行採決までの勝手な時間設定をして、ひたすらその消化にのみ関心を寄せ、およそ真摯な議論応酬の姿勢はなかった。まったくの消化不良のまま、衆院での強行採決が行われ、参院では委員会採決すらカットされた。囁かれた「20時間で強行採決」の20時間の議論すらなかった。時間だけでなく、その討議の質も目を覆わんばかり。

私は、「中間報告」という委員会審議カットの奥の手あることを知らなかった。過去にも例があると指摘されて、思い出してみればそんなこともあったかとおぼろげな記憶があるかないか。すぐには、与党側の作戦が理解できなかった。

これは、手続的正義の観点からは、「だまし討ち」「卑劣」「姑息」「議論からの逃走」「汚い禁じ手」「究極の強行採決」…。どう言われようと、弁解の余地はない。積み残した問題山積のまま、自公は、野党との議論を避けて逃げたのだ。形式的に取り繕ってみても、実質的には手続的正義を欠いた行為。政党として、政治家として、なんと恥ずべきことをしでかしたものか。今朝成立した共謀罪法は、こんな恥ずべき手段で成立した法律だと、深く烙印を押しておこう。

「議会制民主主義の危機」「国会死にかけている」「参議院の自殺行為」などの刺激的なフレーズが、誇張に感じられない。いつから、どうして、日本はこんなムチャクチャな国になってしまったのだろう。

さて、問題は成立した法案の内容である。
内閣が提案理由とした「テロ対策」に有効かという問には、明らかに「ノー」という以外はない。しかも、この法律は不必要というだけではない。著しく危険で有害なのだ。

取って付けたような、「テロ等準備罪」という命名。名は体を表していない。批准のために必要と、共謀罪成立のためのダシにされたパレルモ条約(TOC条約)。政治的なテロ対策条約ではなく、マフィア・ヤクザの国際越境的な経済活動取り締まりが目的であることはよく知られてきた。テロ対策に役立つものではないと化けの皮が剥がれそうになって、自公勢力が幕引きに焦り出したのでもあろう。

しかし、この法が「役に立たない」というのは不正確である。刑事権力を持つ者の立場からは、非常に役に立つのだ。テロ対策にではなく、権力に抗う者、まつろわぬ者、あるいは権力から見て好ましからざる者に対する弾圧に、極めて有用なのだ。弾圧にまで至らずとも情報収集段階でこの法律は使える。

なにしろ、犯罪行為の着手以前の「準備行為」を一般的に犯罪とするというのだ。なんでも、「準備行為」として把握できる調法な法律。

「国民総監視社会」とは、現実に一億国民が監視対象となる社会ではない。権力が不都合と考えた誰でもが、監視対象となりうるということなのだ。政権に楯突きそうな人物のプライバシーを丸裸にして弱みを探し出す、そんなことをやるのに役に立つ。

権力にとって使い勝手がよいということが、とりもなおさず国民にとって非常に危険な代物ということになる。

なにしろ、犯罪行為の着手以前の「準備行為」が一般的に犯罪とされるというのだ。なんでも、「準備行為」として把握される危険極まりない法律。

集会結社の自由も言論出版の自由も、政権が嫌う思想、権力に憎まれる思想の表現の自由に意味がある。読売や産経が、権力からの弾圧を心配する必要はない。彼らはのびのびと権力の広報で紙面を飾ることができる。しかし、これを言論出版の自由が保障されているとは言わない。

反権力の表現の自由、あるいは反権威の表現の自由こそが権利として保障されることに意味をもつ。実に曖昧な、なにが犯罪か茫漠とした行為を犯罪とすることは、権力の恣意的な取り締まり対象の選択を許容することになる。権力は、いつでも好ましくないとする行為を取り締まることができるのだ。このことは、社会全体に広範で深刻な萎縮効果を及ぼすことにもなる。多くの国民が無難に、見ざる・聞かざる・言わざるを決めこむことになる。忖度の充満した息苦しい世の中になる。それは、権力にとって支配しやすい望ましい時代。

安倍晋三とその取り巻きの高笑いが聞こえる。身震いがする。

とりあえずのリベンジは、次の選挙でするしかない。東京都民には、7月2日がその日だ。
(2017年6月15日)
なお、本日付で日弁連会長声明が出ている。以下のとおり。
**************************************************************************
いわゆる共謀罪の創設を含む改正組織的犯罪処罰法の成立に関する会長声明
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2017/170615.html

本日、いわゆる共謀罪の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案(以下「本法案」という。)について、参議院本会議において、参議院法務委員会の中間報告がなされた上で、同委員会の採決が省略されるという異例な手続により、本会議の採決が行われ、成立した。
当連合会は、本法案が、市民の人権や自由を広く侵害するおそれが強いものとして、これまで本法案の制定には一貫して反対してきた。また、本法案に対しては、国連人権理事会特別報告者であるジョセフ・カナタチ氏が懸念を表明する書簡を発出するという経緯も存した。
本国会における政府の説明にもかかわらず、例えば、①一般市民が捜査の対象になり得るのではないか、②「組織的犯罪集団」に「一変」したといえる基準が不明確ではないか、③計画段階の犯罪の成否を見極めるために、メールやLINE等を対象とする捜査が必要になり、通信傍受の拡大など監視社会を招来しかねないのではないか、などの様々な懸念は払拭されていないと言わざるを得ない。また、277にも上る対象犯罪の妥当性や更なる見直しの要否についても、十分な審議が行われたとは言い難い。
本法案は、我が国の刑事法の体系や基本原則を根本的に変更するという重大な内容であり、また、報道機関の世論調査において、政府の説明が不十分であり、今国会での成立に反対であるとの意見が多数存していた。にもかかわらず、衆議院法務委員会において採決が強行され、また、参議院においては上記のとおり異例な手続を経て、成立に至ったことは極めて遺憾である。
当連合会は、本法律が恣意的に運用されることがないように注視し、全国の弁護士会及び弁護士会連合会とともに、今後、成立した法律の廃止に向けた取組を行う所存である。
2017年(平成29年)6月15日
日本弁護士連合会 会長 中本 和洋

もう堪忍袋の緒が切れたーバカ殿にはやめてもらおう。

のう、皆の衆。
緊急にお集まりいただいたのは、ほかでもない。最近の藩政のことだ。
役人どもの目のないことは確かめてある。存念なく話し合いたい。

最近の藩政はおかしい。とうてい見過ごしてはおられない。とりわけ、藩主〈アベ加計の守〉のバカ殿ぶりには、愛想もこそも尽き果てた。アベ加計が転封でこの地の藩主になってからもう4年半になる。最初から、おかしな奴だとは思っていたが、これほどとは思わなんだ。

このバカ殿は、領民あっての藩であることが、まったく分かっておらん。藩政には公道がある。領民の声に耳を傾け、公平・公正を旨としなければならない。

ところが、このバカ殿は、「ご意向」を振りかざし、「忖度」を流行らせ、藩政批判には聞く耳を持たず、「印象操作」だとバカの一つ覚えの反論を繰り返すばかり。

アベ自身が、領民から疎まれていることは、よく分かっておろう。だから、特定秘密保護法だの共謀罪だのと言い出しているんじゃ。こうやっての皆の衆との話し合いに目を光らせ、一網打尽でしょっぴきたい。それが共謀罪の狙い。そのために、藩庁の役人どもが、うろうろ見回りをしている。領民総監視藩政がアベの目指すところ。

しかも、どうにも我慢のできないのは、アベ一存のえこひいき政治じゃ。アベシンゾ-小学院は、藩主の奥方が名誉校長を務めるとかで一時はたいへんな勢いじゃった。9万両相当の藩の敷地をだな、わずか1万両で払い下げて大問題となった。もっともこの事件、旗色悪いとみたアベがな、途中で盟友籠池を裏切って知らん顔となって、馬鹿を見たのは籠池よの。気をつけねばならんのは、この大問題が偶然に発覚したことじゃ。これは氷山の一角じゃろうて。発覚しない同じような問題が数多くあるに違いなかろうと、領民皆がバカ殿政治に疑心暗鬼となっておる。

「信なくば立たず」と、政治の神髄を寺子屋で習うたろう。藩政は、領民からの信頼なくして成り立たないということじゃ。アベ・バカ殿政治は、アベ友学園事件の不始末で完全に信を失った。この辺でアベ加計は腹を切るかと思ったものじゃった。

ところが、これがしぶとく生き延びての。そして、続いて発覚したのが今話題の加計学園問題。バカ殿の腹心の友の事業のために藩政の中枢が動いて、支藩から、土地はただで提供するは、建物建設には補助金を出すは、という至れりつくせりでな。

実は、アベの威を借るキツネやタヌキの有象無象が藩政を壟断しておる。菅が筆頭かの。それに萩生田や、八田、竹中だのという連中。そしてそれを手助けする読売・産経・山口・田崎などの面々。この連中を一掃しなければならない。

反対に、役人の中にも真面目な者もおってな。内部告発とか、公益通報とかする者が現れた。これは、バカ殿派には大きな痛手。これを鎮圧しようと奴らは躍起になっている。その先頭に立っているのが、あのヨシイエのところのせがれ。あいつは、元はおれたちの味方のような顔をしておったがな。ところが、士分に取り立てられてからは、ひどい寝返りだ。張り切ってバカ殿派の手先になってな、今度も内部告発者は処罰するぞ、と息巻いておる。

しかもだ。今日になって、アベの一味が狂ってしまったようだ。突然に今日(6月14日)中に、共謀罪のお触れを出そうと深夜になっても作業中だ。これはトンデモナイ事態。アベのバカ殿やその取り巻きを一掃するには、久々に一揆を起こさねばならない。

一揆の趣意書を直訴状として拵えてみた。飽くまで素案だ。今日はこれを皆の衆で練り上げていただきたい。孫子のために、打倒アベで立ち上がらねばならん。このことに気持は一つよのう。なあ、皆の衆。

**************************************************************************
             直  訴  状
バカ殿アベ加計の守信介・罪となるべき下記八つの所業あるにつき、直ちに職を辞し蟄居謹慎を申しつけられるべきこと。領民一同之を建白。

第1の所業 明文改憲の罪
明文改憲によって、国防軍創設・天皇元首化・基本的人権の侵奪をたくらむほか、96条先行改憲論に象徴される立憲主義への飽くなき攻撃こそ最大の罪。今は、9条3項加憲を行おうとしていること、不届き千万。

第2の所業 解釈改憲の罪
集団的自衛権行使容認の強行や武器輸出解禁の姿勢に表れているとおり、改憲手続きを迂回して憲法の理念を実質的に破壊する罪は重い。

第3の所業 共謀罪法案審議強行の罪
国民運動弾圧の「平成の治安維持法」を制定し、国民総監視社会を作ろうとすること大罪なり。

第4の所業 公平公正を害するえこひいき行政の罪
腹心の友のためや、「アベシンゾー首相ガンバレ」とコールする教育施設に特別の配慮を惜しまない偏り行政の罪。

第5の所業 マスコミ介入と懐柔の罪
一方では停波をチラつかせ、他方では「読売を読め」という、批判するメデイアと擦り寄るメデイアを意識的に選別した対応の罪

第6の所業 原発再稼動と輸出の罪
3・11で顕在化した恐怖、利権構造、政策決定過程の密室性は、脱原発の澎湃たる天の声を呼び起こした。再稼動と輸出とは、人類の未来に対する大罪である。

第7の所業 核廃絶に反対の罪
唯一の被爆国でありながら、国民と被爆者の意思に反して核兵器禁止条約に反対するという愚行こそ、天地の許さぬ大罪である。

第8の所業 辺野古新基地建設強行の罪
沖縄県民の立ち場でアメリカと交渉するのではなく、アメリカの立ち場で沖縄に基地を押し付け、新たな基地被害をつくり出す重罪。
(2017年6月14日)

1925年「治安維持法」と、2017年「共謀罪法案」への賛成討論。ーその虚実の皮膜

私は、歴史に記憶さるべき本日1925年3月7日のこの日、第50帝国議会通常会の衆議院本会議において、ただいま議題となりました治安維持法案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

治安維持法案については、国民の一部から、とりわけ無産政党の諸君から、これは政府の恣意的な刑罰権の発動を許すことにつながる弾圧立法である、ひいては思想そのものを取り締まるもので近代刑法の原則を逸脱するなどという、いわれのない非難が浴びせられています。しかし、本法案は、国民の不安や懸念を払拭するのに十分な処罰範囲の限定と明確化が図られていることを、まずもって申し述べます。

まずは、構成要件が厳格に規定されている点です。
法案は、わずか7箇条。極めて簡明な条文となっています。その中心をなす第一条の条文を朗読いたします。
「國体ヲ變革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ處ス」「前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス」極めて明確ではありませんか。

この構成要件における行為は、「結社を組織すること」または「情を知って結社に加入する」ことです。しかし、全ての結社が違法となり禁止されるはずはありません。本罪はこれを限定し、目的犯として「國体ヲ變革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的」とする結社のみが、違法とされるのです。「國体ヲ變革」しようという皇国臣民にあるまじき目的、また「私有財産制度ヲ否認」という唾棄すべき共産主義や無産主義者だけを処罰するものであることが、法文上明確に限定されています。畏れおおくも、皇室の尊厳を否定しようと言うがごとき、非国民や一部の極端な主義者だけが、処罰対象で、さらに、主義そのものを処罰するのではなく、「結社」や「加入」という外部に明らかな行為があって初めて処罰が可能となるのですから、内心の自由を害するのではないかとの懸念も払拭されております。このような何重もの限定により、これらの非国民集団との関わりを持たない一般の善良な国民が処罰されることはなく、まったく心配する必要のないことを強調しておきたいと思います。

次に、本法案が成立した際の運用面に関し申し述べます。
法案審議の中で、一般の方々が捜査の対象になるのではないかとの懸念が示されました。しかし、捜査は、任意捜査、強制捜査を問わず、「國体ヲ變革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トスル結社」の成員に限定されている以上、これとかかわりのない一般の方々に犯罪の嫌疑が発生する余地はなく、捜査の対象になることは考えられません。

また、本法案の成立により一億総監視社会になるとか、戦争に近づくとか、「政府の悪口も言えなくなる治安維持法」などといった批判、主張がありました。しかし、本法案は、手続法ではなく実体法の制定であって、治安維持法の成立は現在の捜査のあり方に何ら影響を与えるものでもありません。しかも、捜査機関が一億人を常時監視するのにどれはどのコストとマンパワーが必要になるのか。余りに非現実的な主張であります。

法的根拠に基づかないレッテル張りによって国民の不安をあおり、その自由な言動、活動を萎縮される暴挙を行っているのは一体誰なのか。一部の野党、とりわけ無産政党の諸君には猛省を促すものであります。

なお、ことさらに捜査機関が本法の濫用をするであろうという荒唐無稽な主張もありました。しかし、わが帝国は、法治国家であります。文明国でもあります。国体を変革することを目的とした結社を処罰すること以上に、その執行において拷問や司法手続を経ない身柄の拘束などする必要は毫もありません。

大日本帝国憲法によって、行政手続は法定され、大審院以下の司法制度も整い、臣民の自由と権利は憲法上保障されているではありませんか。立憲主義は、あまねく帝国に満ち、新聞や雑誌、あるいはラジオなどの報道機関の監視が行き届いている現在、捜査機関の権限の濫用の問題が生じる可能性は皆無です。不見識きわまりない主張であると断じざるを得ません。

原案のとおり、すみやかなる法の成立を求めるものであります。

**************************************************************************
第193通常国会 衆院本会議2017年5月23日における共謀罪法案賛成討論

公明党の吉田宣弘です。
私は、ただいま議題となりました組織的犯罪処罰法改正案、いわゆるテロ等準備罪処罰法案並びに自由民主党、公明党及び日本維新の会の共同提出による修正案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

テロ等準備法案は、国民の不安や懸念を払拭するのに十分な処罰範囲の限定と明確化が図られていることを申し述べます。
一点目は、構成要件が厳格に規定されている点です。
まず、犯罪主体を、重大な犯罪の実行を結合の目的とする組織的犯罪集団に法文で明確に限定しています。そして、行為は、具体的、現実的な計画と、それに基づく準備行為を必要としています。

この三重の限定により、組織的犯罪集団とのかかわりのない一般の方々が処罰されることはなく、従前政府が提出した共謀罪に対し示された、内心の自由を害するのではないかとの懸念も払拭されております。
ニ点目は、本法案は、我が党の意見も踏まえ、対象犯罪を、六百七十六から、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される二百七十七の罪に限定されている点です。

次に、本法案の運用面に関し申し述べます。
法案審議の中で、一般の方々が捜査の対象になるのではないかとの懸念が示されました。しかし、捜査は、任意捜査、強制捜査を問わず、組織的犯罪集団に限定されている以上、これとかかわりのない一般の方々に犯罪の嫌疑が発生する余地はなく、捜査の対象になることは考えられません。

また、本法案の成立により一億総監視社会になるとか、LINEもできない共謀罪などといった批判、主張がありました。しかし、テロ等準備罪は通信傍受洗の対象犯罪ではなく、LINEやメールが本罪の嫌疑を理由に傍受されることはありません。また、本法案は、手続法ではなく実体法の改正であって、テロ等準備罪の新設は現在の捜査のあり方に何ら影響を与えるものでもありません。しかも、捜査機関が一億人を常時監視するのにどれはどのコストとマンパワーが必要になるのか。余りに非現実的な主張であります。

法的根拠に基づかないレッテル張りによって国民の不安をあおり、その自由な言動、活動を萎縮される暴挙を行っているのは一体誰なのか。一部の野党諸君には猛省を促すものであります。

なお、本法案を治安維持法と同視するような荒唐無稽な主張もありました。しかし、治安維持法は、国体を変革することを目的とした結社を処罰し、その執行において拷問や司法手続を経ない拘束までもが行われた悪法です。本法案とぞの内容が根本的に異なります。しかも、治安維持法の問題は、旧憲法下での制度、戦時体制が前提となっています。成熟した民主主義と司法手続、マスコミ等により監視が行き届いている現在、治安維持法と同様の問題が生じる可能性は皆無です。不見識きわまりない主張であると断じざるを得ません。

よって、すみやかなる法の成立を求めるものであります。
(2017年5月25日)

共謀罪法案に対する国連特別報告者の「懸念」と「怒り」

3月21日に上程され、ズタボロになりながら5月23日衆院を通過した共謀罪法案。数の力でゴリ押ししようという「保守ブロック(アベ政権+自民・公明・維新)」と、人権や民主主義の理念でこれを廃案に追い込もうという「野党(民進・共産・自由・社民)+市民」勢力のせめぎあいが続く。その舞台は、参議院だけではない。街頭も、メディアも、市民の会話も、メールもブログも闘いの場だ。

その緊迫の事態に、廃案を求める勢力に思いがけなくも強力な助っ人が登場した。国連の看板を背負った助っ人である。政府や与党には、面白くないこと甚だしい。何しろ、法案推進の錦の御旗が「国連の条約批准のために必要」というものだった。正式に国連から任命された人の「共謀罪法案への懸念の表明」は、大きな打撃だ。世論にも、大きな影響を及ぼすことが必至である。しかも、菅官房長官が、余計な反発をして、ことを大きくした。形勢に逆転を及ぼしかねない。

衆院法務委員会強行採決の前日となる5月18日のこと、国連プライバシー権に関する特別報告者であるジョセフ・ケナタッチが、共謀罪(政府の言う「テロ等準備罪」)法案に関する書簡を安倍首相宛てに送付するとともに、これを国連のウェブサイトで公表した。書簡の内容は、「共謀罪法案は、プライバシー権と表現の自由を制約するおそれがあるとして深刻な懸念を表明する」という内容。

その書簡の全文(英文)は次のURLで閲覧できる。
http://www.ohchr.org/Documents/Issues/Privacy/OL_JPN.pdf

国連の特別報告者とは何者か。国連人権理事会に任命されて、特定の個別テーマまたは個々の国について、調査のうえ報告義務を負い、人権に関する助言を行う独立した人権問題専門家であるという。

国連広報センターのホームページ(下記URL・日本語)では次のように解説されている。
http://www.unic.or.jp/activities/humanrights/hr_bodies/special_procedures/

特別報告者と作業部会
人権に関する特別報告者と作業部会は人権擁護の最前線に立つ。人権侵害を調査し、「特別手続き」に従って個々のケースや緊急事態に介入する。人権専門家は独立している。個人の資格で務め、任期は最高6年であるが、報酬は受けない。そうした専門家の数は年々増えている。2013年4月現在、36件のテーマ別、13件の国別の特別手続きの任務があった。

人権理事会と国連総会へ宛てた報告書を作成するに当たって、これらの専門家は個人からの苦情やNGOからの情報も含め、信頼にたるあらゆる情報を利用する。また、最高のレベルで政府に仲裁を求める「緊急行動手続き」を実施する。多くの調査は現地で行われる。当局と被害者の双方に会い、現場での証拠を集める。報告は公表され、それによって人権侵害が広く報じられ、かつ人権擁護に対する政府の責任が強調されることになる。
これらの専門家は、特定の国における人権状況や世界的な人権侵害について調査し、監視し、公表する。

ケナタッチはマルタ出身の研究者(マルタ大教授)で、プライバシーの権利に関する特別報告者。2015年に国連人権理事会により任命されたという。「プライバシーの権利」は、「世界人権宣言」12条と「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(「自由権規約」)17条で定義されており、国連人権理事会に報告する任務(マンデート)を果たす立場にある。

その人権専門家である国連特別報告者の書簡が、「法案はプライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と言ったのだ。「対象となる犯罪が幅広く、テロや組織犯罪と無関係なものも含まれる可能性がある」とした。さらに具体的に、法案の「計画」や「準備行為」、「組織的犯罪集団」の文言があいまいで、恣意的な適用のおそれがあること、対象となる277の犯罪が広範に過ぎ、テロリズムや組織犯罪と無関係の犯罪を多く含んでいることも指摘し、いかなる行為が処罰の対象となるかが不明確で刑罰法規の明確性の原則に照らして問題があると詳細に言及している。当然に影響は大きい。

これに対して、菅義偉官房長官は精一杯の不快感を表明した。5月22日の記者会見で、「政府が直接説明する機会を得られることもなく、公開書簡の形で一方的に発出された。内容は明らかに不適切なものであり、強く抗議した」「特別報告者は国連の立場を反映するものではない」。また、「法案は、187の国・地域が締結する条約締結のために必要な国内法整備であって、プライバシーの権利や表現の自由を不当に制約するとして恣意的運用がなされるということは全くあたらない」と反論。外務省を通じて国連に抗議したことも明らかにしている。さて、この記者会見、国連を背負った特別報告者の意見への反応としていかがなものか。

この菅の抗議に対する特別報告者の反論が、待ち構えていたように素早い。その内容が23日に公表されている。報道では、民進党か抗議書を入手して発表したという。本日(5月24日)の赤旗が、次のとおりに内容を要領よく要約している。

日本政府の抗議への反論(要旨)
▽私の書簡は、日本政府が、提案された諸施策を十分に検討することができるように十分な期間の公的議論を経ることなく、法案を早急に成立させることを愚かにも決定したという状況においては、完全に適切なものだ。

▽私が(5月18日に)日本政府から受け取った「強い抗議」は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身はなかった。その抗議は、私の書簡の実質的内容について、一つの点においても反論するものでもなかった。

▽日本政府は、これまでの間、実質的な反論や訂正を含むものを何一つ送付して来ることができなかった。いずれかの事実について訂正を余儀なくされるまで、私は、安倍首相に向けて書いた書簡のすべての単語、ピリオド、コンマにいたるまで維持し続ける。日本政府がこのような手段で行動し、これだけ拙速に深刻な欠陥のある法案を押し通すことを正当化することは絶対にできない。

▽日本政府は、2020年の東京オリンピックに向けてTОC条約を批准するためにこの法案が必要だと主張する。しかし、このことは、プライバシーの権利に対する十分な保護措置のない法案の成立を何ら正当化するものではない。

5月18日付ケナタッチ書簡は、威儀を正した公式文書である。このときには、「懸念」が述べられていたに過ぎない。しかし、23日付反論では、日本政府の姿勢に「腹に据えかねる」という「怒り」が滲み出ている。同時に、けっして引かないという決意も読み取れる。このように特別報告者の決意を固めさせたのは、ひとえに菅官房長官の手柄だ。

日本政府はこれまで共謀罪制定の根拠として国連のTOC条約批准のためとしてきた。同じ国連の人権理事会が任命した特別報告者という専門家から、「日本政府は、2020年の東京オリンピックに向けてTОC条約を批准するためにこの法案が必要だと主張する。しかし、このことは、プライバシーの権利に対する十分な保護措置のない法案の成立を何ら正当化するものではない。」と、真っ向から批判されたことの意味は大きい。

事態は、ゴリ押し勢力にとっても極めて深刻である。参院は、ケナタッチ報告者を招いて、TОC条約批准にこの法案が必要か否かの意見を聞いてみてはどうだろうか。

いずれにせよ、せめぎあいの力学に小さからぬ変化が生じた。国会内だけを見れば、廃案を求める勢力の議席は少数である。しかし、国会外の世論はけっして廃案派が少数ではない。さらに国連に代表される世界の良識は廃案派の味方なのだ。世界の良識、国会外の世論の動向が、国会内に影響をもたらさぬはずはない。このせめぎあいは、まだまだ続く。帰趨はまだ見えてこない。
(2017年5月24日)

共謀罪は、全ての「一般人」の自由を圧殺する。

本日(5月23日)夕刻、仕事を切り上げて国会前に駆けつけた。5時少し過ぎころだったが、衆議院の本会議は既に終わっていた。共謀罪法案は、自民・公明・維新の保守3党の数の力で、衆議院を通過した。4野党は、論戦に力を尽くしたと思う。しかし、衆寡敵せず、数の力に押し切られた。この数の力を、自民・公明・維新の非立憲・非民主3党に与えたのは、国民自身だ。

本来、民主主義とは多数決主義ではない。討議によって国民に利益をもたらす政策を見いだし合意して決定するプロセスである。言うまでもなく、重要なのは審議時間ではなく、よりよい政策に到達すべき議論の深まりこそが重要だ。

国民の自由にかくも危険きわまる法案である。討議を通じて、その欠陥が炙り出されつつあった。当然に廃案になるか、大きく修正されるべきことが明らかとなってきていたではないか。277罪の共謀罪を作ろうという法案。1罪について4時間の議論を重ねれば1000時間が必要だ。30時間では、ようやく議論が緒に就いたばかり。熟議にはほど遠い醜態をさらしての審議打ち切りと採決の強行。

自・公・維の思惑は、「この欠陥法案は審議を重ねるほどにボロが出る。日が経つに連れ反対世論が大きくなるのだから、無理は承知で早めに審議を打ち切って成立させるに越したことはない。国民がこの法案の危険性を見抜いて、大きな反対運動が盛りあがらないうちに」というもの。そのよこしまな思惑を潰しきることができない。これが、私たちの国の民主主義成熟度の現状なのだ。

もちろん、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)は衆院を通過しただけで、まだゴールは先のことだ。ようやく、法案の危険性は国民の間に浸透しつつある。メディアも本格的な報道や論評をするようになってきた。

これまで、「テロ等準備罪」という、取って付けた法案名の印象操作が功を奏してきたのがもどかしい。「テロ制圧のためなら、多少の人権制約に行き過ぎがあっても、やむをえないじゃないか」「テロ対策は、屋上屋を重ねてもよいじゃないか」「安全のためだ。自由だの人権だのと言っておられないのでは」という、気分がありはしないか。

しかし、この法案はテロ対策を目的としたものではない。テロ防止に役に立たない。もともとは、TOC条約(パレルモ条約)の締結に必要という政府の説明だった。同条約は、マフィアやヤクザという組織暴力に対する経済面からの封殺を目的とするもので、政治的テロの予防や制圧を目的とするものではない。

しかも、277もの犯罪について実行行為着手以前の「共謀」の段階で摘発しようという無茶な法律を作ろうというのだ。犯罪の実行行為がないのに処罰の対象となるのだから、「内心を処罰する悪法」と言われ、刑罰権の恣意的な発動に道を開くことになる。何が国民に禁止される行為で、何が自由になしうる行為なのかの境界が不明なる。権力は、その恣意でどんな行為も摘発しうることになる。暗い監視社会が到来しかねない。

その指摘に、政権の側はこう反論する。「それは杞憂だ。この法は、『テロリズム集団その他の組織的犯罪集団』の活動として行われる行為だけを処罰するもので、「一般人が捜査の対象になることはない」。これに欺されてはならない。

そもそも、「一般人」とは何だ。定義なしに「一般人が捜査の対象になることはない」ということはまったく無意味である。刑法は、殺人・窃盗・詐欺・放火等々の犯罪行為を定める。「犯罪を犯す者は、一般人ではない」と言えば、「全ての刑事法の全ての犯罪は、犯罪者だけを対象とするもので、一般人を対象とするものではない」ことになる。

むしろ政権は、特定のグループに属する人々を念頭において、それに属しない人々を「一般人」と言っているとの疑念を払拭できない。政権の頭の中では、国民が二分されている。処罰対象の「組織的犯罪集団たりうる、特定グループ」とそれ以外の「一般人」に。『テロリズム集団その他の組織的犯罪集団』の定義は極めて曖昧なのだ。だから、「特定のグループ」は、法の運用次第、どのようにでも構想できることになる。

1925年成立の治安維持法においては、「特定のグループ」は、法文に書きこまれていたわけではないが、明らかに共産党であった。つまり、「この法律は、共産党だけに適用します。それ以外の『一般人』が捜査の対象になることはない」「だから、『一般の方』が案ずるには及ばない」としての立法だった。

しかし、治安維持法がその後大きく育ち、共産党だけではなく、社会民主主義者にも、労働運動にも、在日の民族独立運動にも、平和運動にも、報道の自由にも、教育運動にも、宗教家にも弁護士にも、猛威を振るったことは周知の歴史的事実。「特定のグループ」は限りなく肥大し、「一般人」は限りなくその範囲を狭めていったのだ。

歴史的教訓として確認しなければならないことは、弾圧立法の下において、国民はけっして「自分は一般人の範疇」として安閑としてはおられないということなのだ。それは、特定の人の自由を見殺しにするにとどまらず、自分が享有するものでもある自由一般を失うことにつながる。共謀罪法案とは極めて曖昧な構成要件で、日常行為が広く犯罪として摘発される危険性をもつことにある。まずは、「特定グループ」がターゲットになるのではあろうが、やがては誰をも、摘発の対象にしかねないのだ。

これからが、反対運動の本番だ。私も非力ながら、できるだけのことをしなければならない。あとになって悔やむよりは、今の苦労を選ぶべきなのだから。
(2017年5月23日)

衆議院法務委員会における共謀罪法案の採決強行に抗議する声明

2017年5月19日
 共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
  社会文化法律センター 代表理事 宮里邦雄
  自由法曹団      団長 荒井新二
  青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 原和良
  日本国際法律家協会  会長 大熊政一
  日本反核法律家協会  会長 佐々木猛也
  日本民主法律家協会  理事長 森英樹
  日本労働弁護団    会長  徳住堅治
  明日の自由を守る若手弁護士の会
             共同代表 神保大地・黒澤いつき
本日,衆院法務委員会において、共謀罪(「テロ等準備罪」)法案を含む組織犯罪処罰法改正案の採決が強行された。来週にも本会議への上程を計画していると伝えられる。私たちは,この暴挙に対し,満腔の怒りをもって強く抗議する。

そもそも、刑法は、どの行為が犯罪とされるかを定めているが、裏返せば、犯罪とされずに自由に行動できる範囲を定めているといえる。犯罪とは人の生命や身体自由名誉財産に被害を及ぼす行為と説明され、法益の侵害又はその現実の危険性が生じて初めて事後的に国家権力が発動されるというシステムは,我々の社会の自由を守るための制度の根幹である。
約300もの多くの犯罪について共謀の段階から処罰できることとする共謀罪法案は、既遂処罰を基本としてきた我が国の刑法体系を覆し、人々の自由な行動を制限し、国家が市民社会に介入する際の境界線を、大きく引き下げるものである。
私たちは沖縄ですでに弾圧の道具に使われている威力業務妨害罪の共謀罪が法案化されていることに警鐘を鳴らしたい。1999年に制定された組織犯罪処罰法によって、組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪、組織的信用毀損罪が作られ、法定刑が長期3年から5年に引き上げられ、廃案となった2003年法案で共謀罪の対象犯罪とされた。これらの犯罪は、もともと構成要件があいまいで、労働運動などの弾圧法規として使われてきた問題のある犯罪である。この共謀罪はひとつだけでも治安維持法に匹敵する著しい危険性を持っている。自民党の2007年小委員会案では、これらの犯罪は共謀罪の対象から外されていたのに、これを何が何でも共謀罪の対象としようとしている安倍政権には、市民の異議申し立て活動に対する一網打尽的弾圧の意図を疑わざるを得ない。

「組織犯罪集団」の関与と「準備行為」を要件としても、法案の適用範囲を厳しく限定したものとは評価できない。首相は、一般人は処罰の対象にならないと説明しているが、同法案では、原発反対運動や基地建設反対運動などに適用され得る組織的威力業務妨害罪や、楽譜のコピー(著作権法違反)や節税(所得税法違反)など市民が普通の生活の中で行う行為が犯罪に問われかねないものも,対象犯罪に含まれている。そもそも、同法案には一般人を対象としないなどという文言はなく、「計画」と「準備行為」があれば、条文解釈上、誰でもが処罰対象となり得る規定となっている。現在の審議状況では、到底、私たち市民が納得できるだけの充分な説明が尽くされたとは言えない。警察は今でも,市民運動に関わる人の情報を収集したり,イスラム教徒だというだけで調査の対象とするなどの違法なプライバシー侵害を繰り返しているが,共謀罪が制定されれば、今以上に,市民の行動や,人と人との会話、目配せ、メール、LINEなど、人の合意のためのコミュニケーションそのものが広く監視対象とされる可能性が高い。政府は,共謀罪の制定が国連越境組織犯罪防止条約(TOC条約)の批准のために不可欠であるかのように主張するが,諸外国の例を踏まえれば、このような広範な共謀罪法案を成立させることなく国連条約を批准しても、国際的な問題は全く起きるものではない。また,この条約の目的はマフィアなどの経済的な組織犯罪集団対策であり、テロ対策ではない。日本は、国連の13主要テロ対策条約についてその批准と国内法化を完了している。法案には「テロリズム集団その他の組織犯罪集団」という言葉は入れられたものの、テロリズムの定義もなく、法の適用範囲を限定する意味はない。
共謀罪法案をめぐる衆議院法務委員会の審議・運営は,政府が野党議員の質問にまともに答える姿勢を放棄して「一般市民は捜査の対象にもならない」など根拠のない答弁を機械的に繰り返したり,野党議員が大臣に答弁を求めたにもかかわらず政府職員が勝手に答弁するなど,異常かつ非民主的という他ないものであった。5月17日,野党議員が金田法務大臣の解任決議案を提出したことは,道理にかなったものである。こうした異常な審議の挙句,いまだ審議すべき重要問題が多数積み残されたまま,本日,採決が強行されたことは,暴挙といわざるを得ない。

5月16日報道された朝日新聞の世論調査では、共謀罪法案を今国会で成立させる必要はないという意見は64%に達し、必要とする意見18%を大きく上回った。共謀罪法案反対の世論は急速に広がっており,国民の多数は、この間の審議を通じて浮かび上がってきた法案の多くの問題点について,審議を深めることを願っている。私たち共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会は、我が国の人権保障と民主主義の未来に大きな禍根を残す共謀罪法案の成立を阻止するため、引き続き全力を尽くす決意である。
以上
**************************************************************************
以上の声明の「超訳ver.」が発表されている。「明日の自由を守る若手弁護士の会」の文責になるもの。これも、ご紹介しておきたい。

今日、衆議院の委員会で、共謀罪をつくる法律案が無理やり通されました。来週にも、衆議院の本会議にかけられる計画だと報じられています。私たちは、心のどん底から怒ってるので抗議のシャウトをします。

刑法という法律は、どういうことをすれば犯罪になるか、どういう行為は自由にしていいのかを決めています。人の命や身体、財産などを傷つけたり、傷つける危険性があってはじめて、国家権力が動く、というシステムになっています。そうでないと、私たち自由に行動できないからです。共謀罪の法案は、約300もの犯罪について、話し合っただけのときから刑罰をあたえることができるとしています。この法案は、命などの危険があってはじめて罰されるというシステムをひっくり返し、私たちが自由に行動できないようにし、国家が市民の行動に簡単に口を出せるようにするものです。沖縄では、「威力業務妨害罪」という犯罪がすでに、市民の行動を取り締まるための『名目』に使われてしまっています。今回の法案では、その「威力業務妨害罪」も話し合えば共謀罪になるとされているので、めちゃくちゃ危険です。「組織的威力業務妨害罪」という犯罪は、もともと「何をすれば犯罪になるのか」があいまいで、労働組合の活動などをつぶすために使われてきたので、大問題です。これひとつとっても、戦前の治安維持法と同じレベルでキケンな法律なのです。自民党は、2007年の党内の議論では「組織的威力業務妨害罪」などは共謀罪に入れていなかったのに、安倍政権は、なにがなんでも話し合っただけで犯罪にしようとしています。「物言う市民」を手当たり次第に取り締まるつもりだとしか思えません。首相は、イッパンジンは処罰されないと言っています。でも、「組織的威力業務妨害罪」は、原発反対や米軍基地反対の活動に使われかねません。楽譜のコピーは著作権法違反になりますし、節税も所得税法違反と疑われかねません。こういった行為は、市民が普通にやっていることなのに、話し合っただけで犯罪になりえるのです。だいたい、「イッパンジンは処罰されない」なんて、法案のどこにも書いてありません。「計画」して「準備行為」があったとされれば、誰でも処罰される可能性があるのです。全然納得できません。警察は今でも、犯罪をしていない人の個人情報を集めたり、イスラム教徒だというだけで尾行したりして、プライバシーを侵害しています。共謀罪ができれば、今以上に、私たちの行動や会話、目線、メール、LINEなど、コミュニケーションそのものが監視されるおそれがあります。政府は、「共謀罪を制定しないとTOC条約を批准できない」と言っていますが、諸外国を見てみても、こんな広範な共謀罪法案を作らずに条約を批准しても、問題ありません。そもそもTOC条約はマフィア対策のもので、テロ対策ではありません。日本はすでに国連の13個のテロ対策条約を批准しているし国内にもバッチリ適用できています。共謀罪法案にはとってつけたように「テロリズム集団その他の組織犯罪集団」って言葉は入っていますが、テロリズムの定義もなく、あたかも「テロ対策」っぼく見せるためだけのものです。
衆議院法務委員会では、政府は野党議員の質問にまっっったくまともに答えず、「一般市民は捜査の対象にならない」と根拠レスな答弁をただただ繰り返したり、野党議員が大臣の答弁を求めているのに政府の職員が勝手に答弁したり、異常としか言いようがなく、民主主義を踏みにじるものでした。5月17日に野党議員が金田法務大臣の解任決議案を提出したのは、当たり前すぎるほど当たり前のことです。こんなめちゃくちゃな審議のあげく、まだまだ審議しなければならない問題は山ほどあるのに、今日、強行採決されたことは、「暴挙」以外の何者でもありません。

5月16日に報じられた朝日新聞の世論調査では、「共謀罪法案を今国会で成立させる必要はない」という声は64%に達し、「必要」という声(18%)を大きく上回りました。共謀罪法案に反対する声は猛烈なスピードで広がっていて、多くの国民が、衆議院での審議を通じて浮かび上がってきたこの法案の「ヤバさ」について、もっと審議してよと願っています。私たち共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会は、日本の人権保障と民主主義の未来を大きくゆがめるであろう共謀罪法案の成立を食い止めるため、これからも全力を尽くします。
以上

澤藤統一郎の憲法日記 © 2017. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.