改ざん問題質疑議事録の改ざん問題
まず、醍醐聰さんの昨日(3月23日)付ブログを転載させていただく。
タイトルは、「自民党議員の暴言を議事録から抹消するのは公文書の『改ざん』である」というもの。
渡邊美樹議員、和田政宗議員の暴言が議事録から消されようとしている
今朝の『東京新聞』の<特報>欄に「議事録からの発言削除次々」と題する記事が掲載された。それによると、自民党の渡邊美樹議員が3月13日に開かれた参議院予算委員会の過労死防止等に関する公聴会で出席した過労死遺族に対して「お話を聞いていると、週休7日が人間にとって幸せなのかと聞こえる」と発言した箇所が議事録から削除することを同委理事会で決したとのことである。
また、自民党の和田政宗参院議員が3月19日の参議院予算委員会で、財務省の太田充理財局長に向かって、「民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めており、増税派だからアベノミクスをつぶすために、安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているのか」と発言した件も、翌20日、自民党の申し出を受けて、予算委理事会で会議録から削除されることになった、と伝えている。
そこで、参議院事務局の文書課に問い合わせたところ、次の通りだった。
・予算委員会の理事会で渡辺議員、和田議員の該当する発言箇所を削除することが決まっている。その箇所を含め、目下、議事録を作成中である(未完)。
・渡辺議員の該当発言箇所は全て削除、和田議員の該当発言は一部を削除(書き換えではない。)
・こうした削除は「参議院規則」第158条に基づいてなされた。
しかし、こうした暴言はそれ自体、発言した国会議員の資質を国民が判断する上で必要な情報であり、それを会議録から削除することは議員・政党に不都合な事実を抹消する『改ざん』=公文書の私物化にほかならない。
削除は参議院規則にも背く
ちなみに「参議院規則」第158条は、次のとおりである。
「発言した議員は、会議録配付の日の翌日の午後五時までに発言の訂正を求めることができる。但し、訂正は字句に限るものとし、発言の趣旨を変更することができない。国務大臣、内閣官房副長官、副大臣、大臣政務官、政府特別補佐人その他会議において発言した者について、また、同様とする。<以下、省略>」
つまり、発言の「訂正は字句に限」り、「発言の趣旨を変更することができない」と定められているのである。今回の渡邊議員発言、和田議員発言は「字句の訂正」で収まるものでないことは明らかであり、当該箇所を削除すれば、「発言の趣旨」は不明となる。したがって、発言の削除が「参議院規則」第158条に違反することは明らかである。
削除前の発言は決裁文書で残されるが公開されない
今日、参議院事務局文書課にかけた電話の最後で、こんなやりとりをした。
醍 醐「委員会議事録も公文書と考えてよいか?」
(しばらく間をおいて)
参議院「そう考えている」
醍 醐「では、削除前(元)の発言はどこに残るのか?」
参議院「決裁文書に残る」
醍 醐「その決裁文書は情報公開の対象となるのか?」
参議院「非公開としている」
醍 醐「不開示理由のうちのどれに該当するのか?」
参議院「そこまでここで説明できない」
醍 醐「決裁文書も公開されないなら議事録から削除された暴言は国民の目に触れる機会がなくなる」
参議院「録画はある」
醍 醐「しかし、それでは『公文書管理法』が定めた文書主義を遵守することにならない」
公文書としての議事録は国民共有の知的資源であり、国民の知る権利をかなえる公器であって、政党・政治家が身勝手に手を加えることができる私物ではない。この意味で、議事録の改ざんは国民の知る権利を冒涜する不当行為である。
……… 以上引用 ………
森友決裁文書「改竄問題」に関する和田政宗の質問は大きな話題となった。自民党議員の質の低下ここに極まれりという、格好の見本としてである。幇間(たいこもち)さながらの政権へのへつらい・ゴマすり。そして、居丈高に文書改竄の責任を理財局長以下官僚に押しつけようという露骨な意図が見え透いた、聞くに堪えない質問。
恥ずかしげもなく、強きを助けてゴマを摺り、弱きをいじめる。その体質を見せつけたもの。記念碑的質問として、しっかり記録に残しておくべきが、問題箇所削除とは、重ねての「改竄問題」である。
3月19日(月)の参院予算委員会の森友問題の集中審議における和田政宗と太田充理財局長とのやり取り。話題となった部分の「改ざん前」の問題個所は以下のとおりだ。参議院の職員が醍醐さんに語ったとおり、「録画はある」のだから、起こすことは可能なのだ。
▼和田政宗
これ、何にも調査していないですよね、これ。調査、本当にこれやっているんですか、もう答弁全然最初から変わっていないじゃないですか、これ。
この書換えに関して、安倍総理の、「私や妻が国有地払下げに関わっていたのであれば総理大臣も国会議員も辞める」という発言について、この発言があったから財務省の官僚がそんたくして書換えをやった、不用意だったと言っている人や一部のメディアがありますけれども、これはとてもおかしな話でありまして、やましいことがあれば国会議員を辞めるという決意は、これ政治家として皆が肝に銘じておかなくてはならないことでありまして、これだけの気概を持った政治家がどれだけいるでしょうか。その覚悟が褒められるなら分かりますけれども、批判される意味が分かりません。
政治家は身を賭して政治を行う、こうした決意が批判されるなら、政治はそうした覚悟のない、もう極めて甘っちょろいものになってしまいます。
そこで、財務省に聞きますが、麻生財務大臣は、書換えにこの総理発言の影響はないというふうに答弁をしているのに、先週金曜日に太田理財局長は、首相や大臣も答弁がある、政府全体の答弁は気にしていたと思うと答弁をしています。麻生財務大臣は財務省が作った答弁要領を基に答弁しているのに、一方で太田理財局長は矛盾したことを言う。佐川前理財局長の答弁矛盾から書換えが起こったのに、まだこうしたことをやっているわけです。
太田理財局長、この答弁について説明してください
△太田理財局長
基本的に、今回のことは国会の答弁を気にして、そのことをということで申し上げました。それは、基本的には佐川局長の答弁が主ですけれども、じゃ、総理大臣なり大臣なり、政府の答弁は気にしていないというふうに言えるほどの材料は持ち合わせておりません。
(略)
▼和田政宗
(略)
まさかとは思いますけれども、太田理財局長は、民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めておまして、増税派だから、アベノミクスを潰すために、安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁しているんじゃないですか、どうですか。
△太田理財局長
お答えを申し上げます。私は、公務員として、お仕えした方に一生懸命お仕えするのが仕事なので、それを言われると、さすがに幾ら何でも、そんなつもりは全くありません。それは幾ら何でも、それは幾ら何でも御容赦ください。
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太田理財局長の最後の答弁は、悲鳴である。
「それを言われると、さすがに幾ら何でも、そんなつもりは全くありません。それは幾ら何でも、それは幾ら何でも御容赦ください。」とは、言葉を補えば、
「それは言ってはならないことでしょう。それを言われると、私だって腹が立つ。真面目に仕事をしている官僚全体に対する侮辱じゃないですか。さすがに幾ら何でも、ことさらに安倍政権を貶めるなんて、そんなつもりは全くありません。にもかかわらず、それは幾ら何でも酷い言いぐさではありませんか。それは幾ら何でもあり得ぬことの押しつけですから、そんな質問はせぬよう御容赦ください。」
恐らくは、それに続けて、「国会議員の立場を笠に着て、権高に弱い立場にある官僚を苛めおって、それがまともな人間のやることか」と言いたいところを我慢して呑み込んだのだろう。
この和田政宗質問は、共産党小池書記局長から「恐喝的な質問で言語道断」といわれただけでなく、その低劣さは麻生太郎財務相によっても、裏書きされた。翌日(3月20日)の参院予算委員会で、麻生は「少なくとも、その種のレベルの低い質問というのはいかがなものかというのは、軽蔑はします」と言っている。せっかくヨイショして、あからさまに軽蔑されたのだ。
まだ3月だが、「それは幾ら何でも、それは幾ら何でも御容赦ください。」は、今年(18年)の流行語大賞ものだ。受賞者は、もちろん理財局長ではない。こんなセリフを言わせた和田政宗でなければならない。アベを支える者の低劣さを表現したことにおいて称賛に値するからだ。**************************************************************************
これも拡散希望メールの転載
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(2018年3月24日)