次回は結審の法廷・7月1日(水)15時 ー 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第43弾
本日(4月22日)の「DHCスラップ訴訟」法廷傍聴に、そしてまた法廷後の報告集会にも多数ご参集いただき、まことにありがとうございます。
前回2月25日の法廷から今日までの間に、二つのできごとがありました。
その一つは、3月24日に、民事第23部の合議体(宮坂昌利裁判長)でDHCスラップ訴訟の二つ目の判決が言い渡されました。もちろん原告の請求を棄却した判決。DHCと吉田両名の完敗です。裁判長の名をとって宮坂判決ということにしましよう。私は、まだ宮坂判決の全文を読んではいません。しかし、何度か記録を閲覧して、双方の主張をよく把握しています。また、内容を伝え聞いてもいます。
この事件で被告にされた方は、ツイッターで相当に遠慮のない発言をしています。趣旨は、私のブログとほとんど同じ。しかし、吉田や渡辺に対する舌鋒の鋭さは私の及ぶところではありません。これに較べれば、私のブログなど温和しいもの。あるいは生温いもの。その手厳しいツイッターでの発言について、宮坂判決は、なんの躊躇もなく、名誉毀損も侮辱も否定して、原告の請求を棄却しています。
注目すべきはこの判決の中に次のような趣旨の判示があるとのことです(正確な引用ではありません)。
「そもそも問題の週刊誌掲載手記は、原告吉田が自ら『世に問うてみたい』として掲載したもので、さまざまな立場からの意見が投げかけられるであろうことは、吉田が当然に予想していたはずである」「問題とされているツイッターの各記述は、この手記の公表をきっかけに行われたもので、その手記の内容を踏まえつつ、批判的な言論活動を展開するにとどまるもので、不法行為の成立を認めることはできない」
私の事件の被告準備書面では、吉田が週刊新潮に手記を発表して、「自ら政治家にカネを提供したことを曝露した」という事実を捉えて、「私人性の放棄」と主張しました。これに比較して、宮坂判決ではむしろ、吉田は「自ら積極的に公人性を獲得した」と判断したと言ってよいと思います。
1月15日の折本判決、そして3月24日の宮坂判決と、当然のことながらDHC・吉田側全面敗訴の判決が重なりました。この流れの中で、私の事件も万が一にも敗訴はありえないものと確信するに至っています。
但し、これを喜んでばかりはおられません。先ほどの法廷後の報告集会における烏賀陽弘道さんのミニ講演にあったとおり、スラップ訴訟提起の重要な狙いとして、「論点すりかえ効果」と、「潜在的言論封殺効果」があることを考慮しなければなりません。
本当は、吉田嘉明が政治家に対して8億円もの政治資金を拠出していたこと、しかもそれが表に出て来ないで闇にうごめいていたことこそが、政治資金規正法の理念に照らして問題であったはずです。ところが、その重要な問題が、いまは澤藤のブログの記載が名誉毀損にあたるか否かという矮小化された論点にすり替えられてしまっています。この論点すりかえを声を大にして、問題にし続けなければならないと思います。
そして、スラップ訴訟が言論封殺を目的とするものであることは明らかですが、けっして澤藤の言論だけを封殺の標的にしているのではありません。澤藤に訴訟を仕掛けることによって、同じような発言をしようとした無数の潜在的表現者を威嚇し萎縮させて、潜在的言論封殺効果を狙っているのです。ですから、自分が勝訴の見通しをもつに至ったというだけで喜ぶわけにはまいりません。このような不当訴訟を仕掛けたことに対するDHC・吉田に対する相応のペナルティがなければ、スラップ訴訟の効果を払拭し、再発の防止をすることができないのです。是非、皆さまとこの点についてよく相談し、実効性のある対応策をとりたいと思います。
さて、二つ目のできごとです。
法廷を傍聴された方はお気づきのとおり、裁判長が交代となりました。前任の石栗正子裁判長は4月1日付で東京家裁に転出となり、後任は、前大阪地方裁判所の総括裁判官だった阪本勝判事です。
新裁判長は明らかに、訴訟の終結を見通して本日の法廷に臨んだという印象です。発言の端々から、書面を十分に読み込んだという自信が感じられました。次回までに、原被告各一通の準備書面と、原告吉田の陳述書、そして被告本人である私の陳述書を提出して、次回結審と決まりました。
次回期日は、7月1日(水)午後3時。631号法廷です。
この法廷で、私が被告本人としての陳述書を要約して朗読します。スラップ訴訟の不当性と表現の自由の重要性を、民主主義になりかわって裁判所に訴えることになります。そして、この法廷で判決言い渡し期日が決まることになります。是非皆さま、法廷を満席にして、ご声援をお願いいたします。
そして、閉廷後の報告集会も賑やかに盛大にやりましょう。多くの皆さまのご発言をお願いいたします。
あらためて思います。DHCスラップ訴訟とは、政治的言論の封殺であり、カネで政治を動かそうという策動批判の抑止であり、また規制緩和による消費者利益侵害への批判の制圧でもあり、さらには司法を言論弾圧に悪用することでもあります。多くの方が、それぞれの問題意識から、このDHCスラップ訴訟に関心をもって、ご支援いただいていることとは思います。今回は直接の被害者の立場に立たされた私が、攻撃されている民主主義的諸理念を代理して、DHCスラップ訴訟の不当を訴えなければならないと思っています。
皆さま、お忙しいとは存じますが、7月1日(水)15時のご予定を確保していただきますよう、よろしくお願いいたします。
(2015年4月22日)