澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

櫻井よしこの護憲派へのエールに応えよう。

首相でありながら改憲の旗を振る安倍晋三。その取り巻きの一人に、櫻井よしこという右翼活動家がいる。この人が、「NEWS ポストセブン」という小学館運営のホームページに寄稿している。一昨日(1月13日)のことだ。表題が興味深い。「世界で一つの変な憲法の改正は今が最後の好機」というのだ。ちょっと変な日本語感覚だが、まさか編集者側が勝手に付けたタイトルではあるまい。

「世界で一つの変な憲法」とは、「世界で一番変な憲法」あるいは「世界でたった一つの変な憲法」ということなのだろう。要するに、「変な」と言いたいのだ。右翼に、立派な憲法と言われては、日本国憲法も形無しだ。櫻井よしこから、「変な」と言われたのだから、日本国憲法はさぞかし本望だろう。

注目すべきは、憲法の改正は今が最後の好機」という表現である。おそらくは、デマでもフェイクでもない。櫻井よしこの心情を吐露した本音なのであろう。そしておそらくは、安倍晋三も同じように考えているに違いない。「今がラストチャンスだ」「今、せっかくのこのチャンスを逃すと、もう改憲はできない」。これが改憲勢力の本音なのだから、護憲派は「さあ、改憲のラストチャンスをつぶそう」「もう少しの努力で、改憲を阻止し得る」と展望を語ることができる。

以下は、櫻井の言の要約である。

  「日本国憲法は、国の交戦権さえ認めない恐らく世界でたったひとつの変な憲法です。日本が国民、国家、国土を自分の力で守る力を持つ『自立』した国になるために、一刻も早く憲法を改正する必要があります。しかし、安倍政権下で期待された憲法改正の発議は、今に至ってもなお実現していません。」
 
  「その最大の理由は、政党および国会議員のあまりの無責任さにあります。とりわけ公明党は与党でありながら、『議論が熟していない』と憲法改正に背を向けています。」
 
   「『モリ・カケ問題』や『外国人人材法案』をタテに、衆参両院の憲法審査会に応じてこなかった立憲民主党や国民民主党など、野党の無責任さは言わずもがなです。」
 
  「国会議員のなかで本気なのは安倍首相を筆頭に少数の議員に限られるのではないか。肝心の自民党さえも、党全体の状況を見ると、その動きは消極的に見えます。」
 
  「憲法改正には衆参両院で3分の2以上、さらに国民投票で過半数の賛成を得る必要があります。与党が3分の2を大幅に上回っている衆議院はともかくとして、参議院では自民党が126、公明党が25、日本維新の会が11議席で合計しても162。ぎりぎり3分の2に達するという薄氷を踏むような状況です。」
 
  「今年7月には参議院選挙があり、改正に賛成する議員で3分の2を確保できる保証はありません。現実的に考えれば、今が憲法改正の最後のチャンスなのです。」

櫻井は、何のために、こんな寄稿をしたのだろうか。私には、護憲派へのエールに聞こえる。千載一遇の改憲のチャンスが、みすみす失われつつあるという。この情勢認識は、改憲陣営への愚痴であり護憲派への励ましにほかならない。

私も、櫻井の情勢分析に同意する。要するに、今や「カイケン、カイケン」と空元気を振りまいているのは、安倍とその取り巻きだけなのだ。「国会議員のなかで本気なのは安倍首相を筆頭に少数の議員に限られる」のである。実は、改憲推進派は、孤立したさびしい少数派に過ぎない。

連立与党の公明党は、風を読むことに長けている。いま、安倍と改憲の策動をともにすれば、党勢を決定的に殺ぐことになる。「平和の党」「福祉の党」の看板を外して選挙はできない。うかうかと、安倍に乗せられてはならない。そのように風を読んでいる。

さらに、「肝心の自民党さえも、党全体の状況を見ると、その動きは消極的に見えます。」は当たり前。安倍との軋轢は避けたいが、安倍改憲に肩入れして安倍との心中なんぞ御免こうむる。皆がそう思っているに決まっている。

そして野党だ。櫻井が愚痴をこぼさざるを得ないほどの立派な姿勢なのだ。これを支えているのは、世論である。安倍というこの危なっかしい人物に、憲法をいじらせてはならないと、多くの人が考えている。

さて、7月の参院選が天王山だ。現在が、「ぎりぎり3分の2に達するという薄氷を踏むような状況」なのだ。改憲阻止派が、この3分の2を突き崩すためには、護憲野党の共闘が必要である。これさえできれば、「改憲のラストチャンス」をつぶすことができるのだ。

櫻井よしこは、正直にこう言っている。「憲法改正は、薄氷を踏むような状況です」。そのとおりだ。我々は、せっかくのこの櫻井のエールに応えねばならない。改憲派が戦々恐々として踏んでいる薄氷を、もっもっと薄くする努力をしよう。さすれば、氷は割れる。水に落ちた安倍改憲策動が再び浮上することはないだろう。
(2019年1月15日)

「詭弁・ご飯論法」は、アベ政治の本質が生み出したもの

行く道に大道と詭道とがあり、弁ずるに正論と詭弁とがある。大道を行く者は正論を称え、詭道を行く者は詭弁を弄す。

大道は道義と道理に通じる。これを行く者は真理と真実に導かれ、その発する言葉にはウソとごまかしはない。道義と道理を恐れるがゆえに大道を踏みはずす者は、私利と私欲に通じる詭道によろめく。そこに真理と真実はなく、まことの言葉も失せている。代わって響き合っているものが、真理と真実を覆い隠さんとする詭弁であり、「ウソとごまかし」にほかならない。

アベ政治とは、憲政が大道を踏みはずして詭道をよろめく姿である。道義と道理を欠くゆえに詭弁を弄すること甚だしく、その詭弁は、いま「ご飯論法」と名付けられている。この詭弁を弄びつつ行くアベの詭道は亡びに至る道である。

上西充子教授の名とともに、一躍有名になった「アベ政権のご飯論法」。次のように紹介されている。

Q「朝ごはんは食べなかったんですか?」
A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」
Q「何も食べなかったんですね?」
A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので…」

Q「では、何か食べたんですか?」
A「お尋ねの趣旨が必ずしもわかりませんが、一般論で申し上げますと、朝食を摂(と)る、というのは健康のために大切であります」
Q「いや、一般論を伺っているんじゃないんです。あなたが昨日、朝ごはんを食べたかどうかが、問題なんですよ」
A「ですから…」

Q「じゃあ、聞き方を変えましょう。ご飯、白米ですね、それは食べましたか」
A「そのように一つ一つのお尋ねにこたえていくことになりますと、私の食生活をすべて開示しなければならないことになりますので、それはさすがに、そこまでお答えすることは、大臣としての業務に支障をきたしますので」

昨日(11月28日)の毎日新聞夕刊「特集ワイド」は、「安倍政権の言い換え体質」を取りあげている。

安倍晋三内閣では、集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制を「平和安全法制」、南スーダンでの戦闘を「武力衝突」、消費増税の延期を「新しい判断」と言い換えた。今も、ある。言い換えを見逃していいのか。

 FTA  ⇒ 「TGA」
 移民   ⇒ 「外国人材」
 徴用工  ⇒ 「労働者」
 ヘリ墜落 ⇒ 「不時着」
 共謀罪  ⇒ 「テロ等準備罪」
 公約違反 ⇒ 「新しい判断」
 カジノ  ⇒ 「統合型リゾート」
 武器輸出 ⇒ 「防衛装備移転」
 安保法制 ⇒ 「平和安全法制」
 情報隠し ⇒ 「特定秘密保護」

なるほど、こう並べてみるとアベ政権のごまかし体質が明確に浮かびあがる。真っ当に国民に説明しようとしないからこうなる。国民をごまかして票を掠めとろうというさもしい根性が、このような詭弁を生み出すのだ。この特集記事では上西教授も取材対象となっている。同教授の口から、アベ政権の「厚顔無恥話法」が話題とされている。これも実に適切なネーミングではないか。

「言い換え」とは、「ごまかし」のことである。全滅を「玉砕」と言い、退却を「転進」と言い換えた大本営発表いらいの我が日本の伝統芸。これこそ、アベ政権が取り戻そうという麗しい日本のかつての得意技。

2018ユーキャン新語・流行語大賞のノミネート30語が11月7日に発表されている。その中に、「ご飯論法」もはいっている。選者にアベ政権の忖度なければ、「ご飯論法」は有力な受賞候補ではないか。選の発表は12月3日(月)。たまたま、「ウソとごまかしの『安倍政治』総検証」院内集会の日。もしかしたら、講演予定の上西教授ご自身から、朗報が聞けるかも知れない。
(2018年11月29日)

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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!

12月3日(月)18時~20時(開場17時30分)

衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」

最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)

始まった参院選に向けての野党共闘協議 ― 市民連合と5野党1会派

改憲派にとっては、「アベのいるうち、両院の議席が3分の2あるうち」が改憲のチャンスという認識。ということは、「アベが首相の座から去ることになれば」、あるいは「衆参どちらかの議院で改憲派議席が3分の2のラインを失えば」、千載一遇のチャンスは喪失することになる。いま、アベ9条改憲の策動による憲法の危機ではあるが、改憲派にとってもけっして明るい展望が開けているわけではない。

右派が描いたアベ改憲シナリオは綻びを見せつつある。国民世論の動向が、改憲を優先課題と認識していないからである。このことが、改憲を軸とした野党の共闘を促しているし、与党内にもアベ改憲に冷ややかな空気を漂わせてている。

憲法改正の課題ばかりは、議会での審議を強行採決で乗り切ろうというアベ政権の常套手段は使えない。そのあとに国民投票が控えているからだ。国民大多数の意見の集約点を国会審議で見極めなければならない。しかし、今国民は、「現政権での改憲には反対」なのだ。だから、改憲勢力も展望を持てない。客観的に改憲は困難なのだ。

アベ改憲がもとより困難なのだから、当初のシナリオのとおりにはことが運ばない。だから焦りが出て来る。その焦りが下村博文の自民党・憲法改正推進本部長への登用。こんな、焦りの結果のタカ派人事でうまく行くはずがない。下村は、「職場放棄失言」でボロを出した。政権と下村の焦りが裏目に出たのだ。かえって、野党を硬化させ臨時国会での憲法審査会開催を困難にしている。

しかも、下村の失態に対する公明党の冷ややかさはどうだ。いま、国民から改憲加担勢力と見られては選挙に勝てないとの思惑が強いのだ。自民党内も、下村に冷たい。アベの求心力低下を思わせる。

アベ改憲実現のためには、今臨時国会で憲法審査会を開き自民党改憲案の提示くらいはしておくことが改憲のためのシナリオだったがそれができない。とすれば、来年6月公示7月投開票の参院選前に、国会が改憲発議をすることは絶望的といってよい。となれば、2019年参院選こそが改憲阻止の重要なキーポイントとなる。半数の改選だが、これで改憲勢力の議席を3分の2以下にすることができれば、当面の改憲の危機を回避できることになる。

9月の沖縄知事選の教訓が大きい。野党の共闘ができれば、「自・公・維(・希)」の改憲勢力に勝てるのだ。安倍政権の露骨な利益誘導の総力戦も民意を動かせなかったではないか。アベ政権、けっして見掛けほど強くはない。

参院選ではいつものことだが、一人区の野党共闘の成否が結果を分けることになる。その一人区は32。いずれも、アベノミクスの恩恵からは置いてけぼりだ。TPPも、農業改革も水産改革も、この一人区では極めて評判が悪い。アベ政権の人気は地に落ちている。むしろ、怨嗟の声か満ちている。スムースな形での野党共闘さえできれば、勝算十分だ。現在の世論動向は、各政党を「与党連合対野党共闘」の対決構図に巻き込まざるを得ない。どちらかの陣営に入る以外に、一人区での当選の目はないのだから。

せっかくの勝機。共闘の協議開始時期としてはもうぎりぎりではないか。具体的な共闘のあり方の協議と候補者の選定を始めなくてはならない。

改憲勢力である与党連合とは「自・公・維」のこと。そして共闘に加わる野党は、立憲民主党・国民民主党・日本共産党・自由党・社会民主党・無所属の会の5党1会派。なかなか難しい野党のとりまとめを買って出ているのが、市民連合。これが、「市民と野党の共闘」の具体的な構図。

一昨日(11月16日・金)、「立憲野党と市民連合の意見交換会」が開催された。
意見交換会参加者は、下記のとおり。

立憲民主党 福山哲郎幹事長・辻元清美国対委員長
国民民主党 平野博文幹事長・小宮山泰子衆議院議員
日本共産党 小池晃書記局長・穀田恵二国対委員長
自由党   森裕子幹事長・日吉雄太国対委員長
社会民主党 吉川元幹事長
無所属の会 大串博志幹事長・広田一国対委員長

同日のTBSニュースは、次のように伝えている。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3526461.html
《野党と市民連合が意見交換、来年の参院選に向け選挙協力を確認》

 立憲民主党など主な野党と、安全保障関連法などに反対する団体「市民連合」が会談し、来年の参院選に向け、選挙協力を進めることを確認しました。

 「前回の参院選挙の前に、やはりこの市民連合と政党との意見交換が大きな役割を果していただいた。来年の参院選挙に向けて、より具体的、建設的な意見交換が出来るようにお願いをしまして」(立憲民主党 福山哲郎 幹事長)

 立憲民主党など野党5党1会派の幹事長らが、「市民連合」のメンバーと会談し、来年の参院選挙に向けて、全国に32ある「1人区」で野党の候補者を一本化することなど、選挙協力を進める方針を確認しました。市民連合は、2016年の参議院選挙でも1人区における野党統一候補擁立を後押ししていて、立憲民主党などは、来年の参院選でも候補者の調整で市民連合に仲介させたい考えです。

 しかし、無所属の会の岡田代表は16日、記者との懇談で、「市民連合が重要なプレイヤーであることは間違いないが、基本は政党がしっかり主導しないと候補者は出てこない」と述べています。

 一方、これまで安全保障や憲法についての考え方の違いなどから出席を見合わせていた国民民主党は、初めてこの会談に出席しました。

また、市民連合自身は、こう報告している。(抜粋)

はじめに立憲民主党福山幹事長より挨拶がありました。
「財務省の文書改ざん、加計学園問題、防衛省の日報隠しといったことで国会が大紛糾している最中に、前回の市民連合との意見交換会が行われました。半年が経った今、安倍政権は臨時国会で入管法改正を無理やり採決しようとしており、その体質は全く変わっていません。一方で、9月には沖縄県民の皆さんの力と、市民の皆さん、そして政党の皆さんの力の中で、玉城デニー知事が当選しました。安倍政権の体質が全く変わらず、民主主義を壊し続けているという状況の中で、今日このような形で集まれたことはとても意義が深いと思います。また、国民民主党の平野幹事長にお越しいただきました。我々としては歓迎させていただきたいと考えております。安倍政権を倒すために、来年の参院選に向けて、より具体的かつ建設的な意見交換をしていきたいと考えています。」

続いて安全保障関連法に反対する学者の会・広渡清吾より挨拶がありました。
「前回の参院選では、野党と市民の努力により32全ての1人区で候補者の1本化が実現し、大きな成果をあげました。来年の参院選に向けて、この水準を後戻りしてはならないと強く思っています。先日『あたりまえの政治』を掲げ、街頭宣伝を行いました。『あたりまえの政治』を求めなくてはならないというのが、今の安倍政権が陥っている状況です。憲法を守る、民意を尊重する、嘘をつかない。このあたりまえのことができない政治を変えなければなりません。そのためにも立憲野党の皆さんと市民との協力を深めていきたいです。」

さらに、立憲デモクラシーの会・山口二郎より安保法制の廃止、改憲阻止、さらに今の日本政治が直面するいくつかの重要な課題について、前回と同様に政策合意を何らかの形で結び、共通の旗印としていきたいといいう提起がありました。

その後、立憲民主、国民民主、共産、自由、社民、無所属の会の各党・会派と、市民連合の各構成団体から、幅広く意見交換が行われ、参院選に向けて市民と野党の協力をさらに強く深めていくことが確認され、意見交換会は終了となりました。

市民連合は、11月28日(水)19時から王子・北とぴあにて、野党とのシンポジウムを開催予定です。私たちは、このような機会を通じて、参院選に向けた協力体制をさらに深化させていきたいと考えています。ぜひご参加いただけますと幸いです。

共闘は容易なことではない。しかし、共闘しなければ選挙に勝てない。選挙に勝てなければ、アベ改憲を阻止することができない。アベ改憲を許せば、この国の平和主義が不可逆的に崩れる。憲法政治に取り戻すことのできない疵がつく。憲法を擁護しようとする諸勢力には、来夏の参院選に向けて選挙共闘するしか途はない。
(2018年11月18日)

麻生に歳費はアホラシイ! 下村歳費もムダヅカイ!

あの下村博文が、自民党の憲法改正推進本部長となっている。思想におけるアベの友達。右の友、ミギトモという。そして、アベの友達加計孝太郎とも金と利権で繋がる古いタイプ。文科大臣の時代に、加計学園から政治資金パーティ券代金として200万円を受領していながら、なぜか政治資金収支報告書には不記載で告発されている、あの下村である。どこに行っても、まともに相手にしてもらえる人物ではない。ましてや憲法改正を論じる資格などあろうはずがない。

そのことについては、10月31日の当ブログ「被疑者下村博文に対する検察審査申立記者会見にて」をご一読いただきたい。
http://article9.jp/wordpress/?p=11362

自民党内で改憲問題の先頭に立っていた船田元や中谷元、少し前には舛添要一などは、保守なりの論客として粘り強く手強い相手という印象がある。しかし、あの下村である。この難題をこなせるわけはない。本気でことをなそうという人事ではない。とはいえ、ウソとごまかしのアベ政権である。油断はならない。

その下村が、11月9日のテレビ番組(TBSのCS)収録でおかしなことを言って物議を醸している。片山さつき同様、期待にたがわぬ「お働きぶり」。

下村の発言は、「憲法審査会で憲法改正について率直な議論をすることさえしないのは、国会議員の職場放棄ではないか」と述べて、憲法審開催に応じようとしない立憲民主党などに苦言を呈した、というのだ。

もう少し詳細には、「(憲法審査会の)自由討議で自民党は(改憲4項目を)出したいと思っているが、野党は野党で考え方を発表してもらってもいい。」「憲法改正について、どう思っているのかについて議論しましょう、ということさえ議論をしなかったとしたら、(野党は)国会議員として職場放棄じゃないですか。高い歳費をもらっているにもかかわらず、国会議員として職場放棄してもいいのか、ということを国民にぜひわかってほしい」「我々は別に強要しているわけじゃない。自民党案を議論しないのだったらダメだ、と言っているのではない。ぜひ国会(の憲法審査会)を開いていただきたい」というものだったという。

言っている内容の非論理はともかく、これは泣き言である。改憲論議が進展しないことについて、相当の焦慮が見て取れる。櫻井よしこのホームページを眺めると、同じ趣旨が読み取れる。11月10日の記事に、こうある。

改憲案の提示が国民主権の一丁目一番地 国会は国民に投票の機会を与えるべきだ」という。改憲手続に執心しているのは安倍一人で孤立している、という焦慮が語られている。この点、アベ取り巻きに共通の思いなのだろう。

「臨時国会は10月24日に始まったばかりだが、その様子を見ていて、政党も国会議員も現実を見ていない、余りに無責任だと、腹立たしい思いになる。とりわけ焦眉の急である憲法改正について、なぜ、こうも無責任でいられるのか。

国際情勢の厳しさは、日本よ、急ぎ自力をつけよと警告している。国民、国家、国土は自国が守るという原点を思い出せと告げている。国民の命や安全に責任をもつべきは政府であるにも拘わらず、日本国政府には国民、国家を守る有効な手段を取ることができにくい。国の交戦権さえ認めない恐らく世界でたったひとつの、変な憲法ゆえである。

憲法改正を急ぐべしと問題提起を続けているのは、安倍晋三首相ばかりのように見える。首相は、『自民党の憲法改正案をこの臨時国会に提出できるように取りまとめを加速すべきだ』と幾度となく旗を振ってきたが、周りの動きはなぜかにぶい。」

「改憲案の提示が国民主権の一丁目一番地」で、「憲法改正が焦眉の急」といっているのは、「安倍晋三首相ばかり」。そりゃそのとおりだろう。自民党内もまとまっていない。公明党はそっぽを向いている。野党は絶対反対だ。国民は憲法改正など、これっぱかしも必要とは思っていない。

さて、昨日(11月11日)の午後、「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」財務省前で「アソウ・ヤメロ」のコールを繰り返し、銀座通りをアソウ辞任要求のデモをした。人数は多くなかったが、参加者は意気軒昂。

市民運動のコールやプラカードのキャッチコピーはいずれも秀逸。
メインは、「麻生財務大臣は即刻辞任せよ。」「国民をナメ切った麻生を追放しよう」「無恥・無知・無能の麻生はいらない」「アベとァソーのとんでもナイ閣 すぐ辞めろ」「国民なめんな」「麻生君 いつまで醜態晒す気だ」

麻生の「不摂生で病気になった人の医療費を負担するのはアホラシイ」発言への反発が強い。社会保険のなんたるかを理解していない。所得格差がもたらす健康格差に理解がない。これが、財務大臣か。「麻生の増税アホラシイ」「麻生に歳費はアホラシイ」のコールが、集会参加者の共感を呼んだ。銀座通りの買い物客も興味は津々。

この秀逸コールをアソウだけに献呈するのはもったいない。まずは下村である。「なににつけても優先順位というものがある」「切実な国民的課題をそっちのけで、不要不急の憲法『改正』問題にこだわり続けているのは、国民の負託に応えるべき国会議員の職場放棄ではないか」「高い歳費をもらっているにもかかわらず、国民の望まぬ改憲にこだわり続けて国会議員として職場放棄してもいいのか、ということをアベ取り巻き連中にはぜひわかってほしい」

端的に申しあげよう。こんな輩に、歳費なんぞやりたくはない。
 麻生に歳費はアホラシイ
 下村歳費も無駄遣い
 片山・甘利もアホラシイ
 アベに歳費もアンマリダ
(2018年11月12日)

見えてきた「安倍改憲阻止」の展望

今朝(10月5日)北海道の旅先で、道新一面トップの見出しが目に飛び込んできた。改憲案、与党協議経ず提示」「自民検討、衆参憲法審に4項目というもの。これはトップ記事とするにふさわしいニュースだ。

自民党は、安倍晋三首相が目指す10月下旬召集予定の臨時国会への改憲案提出を巡り、公明党との事前協議を経ずに、3月にまとめた4項目の改憲条文案を衆参両院の憲法審査会に提示する方向で検討していることが4日、分かった。首相は総裁選で与党協議後に改憲案を提出する意向を示したが、公明党が慎重姿勢を強めていることを受けて方針転換する。今後は憲法審での与野党の議論を踏まえて国会発議につながる改憲案の作成にこぎ着けたい考えだが、公明党や野党が難色を示す中、臨時国会への提出は不透明だ。

これまで再三にわたって説明されてきたアベ改憲の手順は下記の通りである。
改憲原案の党内まとめ⇒与党協議を経ての与党案とりまとめ⇒各野党への提案と意見聴取⇒国会への改正原案提出⇒両院の3分の2以上の賛成による可決⇒国民投票発議
実は「改憲原案の党内まとめ」ができているかも怪しいのだが、ここに来て「与党協議を経ての与党案とりまとめ」はその入り口にも入れないことになったというのだ。「臨時国会への提出は不透明だ」という道新の見解は、さもありなんと言うよりは、むしろ「臨時国会への提出は絶望的」と言うべきではないか。

この道新記事が述べているとおり、首相は総裁選で「与党協議後に改憲案を提出する」意向を示したが、客観情勢を無視した願望に過ぎない。現実には、「友党」からの「友情」も期待し得ない事態なのだ。

さらに本日午後、各メディアが共同通信配信記事を一斉に報道した。「自民、改憲案で与党協議見送りへ」「国会に単独提示、9条改正など」という見出し。

 自民党は、10月下旬に召集予定の臨時国会に、9条への自衛隊明記など4項目の憲法改正条文案の単独提示を目指す方針を固めた。連立を組む公明党が事前協議に一貫して難色を示しているため、協議は見送る。自民党幹部が5日、明らかにした。衆参両院の憲法審査会で条文案を示し、与野党による議論を喚起することを狙う。主要な野党は改憲案の提示自体に反対しており、予定通り進むかは見通せない情勢だ。
 自民党憲法改正推進本部長に内定した下村博文・元文部科学相が4日、推進本部の最高顧問に就く高村正彦前副総裁らと党本部で会談し、条文案の提示を目指す方針を確認した。

この共同通信記事は、今朝の道新記事を確認したといえるものだが、なんとも微妙な書き方。「9条への自衛隊明記など4項目の憲法改正条文案の単独提示を目指す方針を固めた」とはいったいなんのことだ。「単独提示」はやむなくそうせざるを得ないというだけのことで、「単独提示を目指す」はなかろう。また、「単独提示」なら党が独自に決定できるのだから、「方針を固める」必要はない。

正確には、「(自民党は)9条への自衛隊明記など4項目の憲法改正条文案については、他党との連携は不可能と判断せざるを得ず、単独提示を決断した」という記事なのだ。

これまでの方針を貫くことにネックとなったのは公明党の態度であると言う。そりゃそうだ。あらゆる世論調査の結果が、「安倍改憲」には過半数が反対している。改憲はともかく、信用ならないアベの改憲には国民は「ノー」と言っている。そのアベ改憲への協力は、世論への挑戦にほかならない。失敗の公算が高く、その場合には公明も大きく傷つくことになる。内部からの批判の噴出に耐えられないことにもなりかねない。アベ政権との心中を覚悟せずには、与党案作成などできることではない。

今回の沖縄知事選挙に公明党は全国からの大規模動員を掛け従来型スタイルの選挙運動を試みて失敗した。公明支持層を固めることもできず、むしろ公明党員や創価学会員の離反者が大きな話題となった。来年(19年)の統一地方選や参院選を前に、公明党が改憲与党案作成に加担するとは考え難い。

となれば、改憲作業がスムーズに運ぶはずはない。道新は「臨時国会への提出は不透明」といい、共同通信は「(自民の)予定通り進むかは見通せない情勢」という。

アベを先頭とする右翼勢力にとっては、「安倍のいるうち、両院に改憲派3分の2の議席あるうち」こそがまたとない改憲のチャンス。ところが、信用ならないアベ在職中の改憲には国民世論が「ノー」。この矛盾がいよいよ、明確になってきた。

アベがぶち上げた「2020年オリンピックの年に改正憲法の施行を」という構想の実現は、ほぼ絶望的な事態。そして、アベの任期の2021年まではもう少しだ。改憲阻止の展望は十分ではないか。今こそ、改憲発議ストップの世論をさらに積み上げよう。
(2018年10月5日)

アベ3選の今、アベの改憲意欲に吹く嵐。

自民党総裁選が終わった。「石破善戦・安倍意外の苦戦」というのが大方の評価。注目は、この結果を受けての改憲情勢。さて、どうなっているのだろうか。

もちろん、アベ自身は空元気にせよ、改憲を言い続けなければならない立場。3選後の記者会見では、用意したコメントの一番最後に改憲に触れた。

「全ての世代が安心できる社会保障改革。戦後日本外交の総決算。そして制定以来初めての憲法改正、いずれも実現は容易なことではない。いばらの道であります。党内の議論も、他の政党との調整も一筋縄ではいかないかもしれない。しかし、今回の総裁選を通して、党内の大きな支持をいただくことができました。これは、これから3年間、私が自民党総裁として強いリーダーシップを発揮できる、党一丸となって大改革を断行する大きな力になるものと考えています。」

いずれも実現は容易なことではない。いばらの道であります。党内の議論も、他の政党との調整も一筋縄ではいかないかもしれない。」は、だれもが頷くところ。しかし、「今回の総裁選を通して、党内の大きな支持をいただくことができました。私が自民党総裁として強いリーダーシップを発揮できる、党一丸となって大改革を断行する大きな力になるものと考えています。」はだれもが頷くところではない。むしろ、冷笑する向きが多いのではないか。

記者団の質問に答えてこうも言っている。
憲法改正は…今回も総裁選の最大の争点であったと思います。憲法改正推進本部の議論を経て党大会で報告された条文イメージの上に、次の国会に案を提出できるように党を挙げて取り組むべきだと申し上げてきました。そして総裁選の結果、力強い支持を得ることができたと考えています。結果が出た以上、この大きな方針に向かってみんなで一致結束をして進んでいかなければならないと思います。」
「しかし、党として案を国会提出に向けて幅広い合意が得られるように対応を加速してまいりますが、その際には友党の公明党との調整を行いたいと思います。その後のスケジュールは国会次第でありまして、予断を持つことはできないと思いますし、もちろん(衆参両院の)3分の2で発議をしていくことは相当高いハードルですし、できるだけ多くの方々に賛同していただく努力をしていくべきだろうと思います。これは党を中心にそうした努力を行っていただきたい」

アベ改憲を唱えるアベ自身の自信のなさが滲み出ているではないか。3分の2で発議をしていくことは相当高いハードル」との自覚はリアリティに支えられたもの。にもかかわらず、党内論議さえ不十分。友党である公明党との調整もおぼつかない。そしてその先は、まったくの無方針。「次の国会に案を提出できるように党を挙げて取り組むべきだと申し上げてきました。」「大きな方針に向かってみんなで一致結束をして進んでいかなければならない」という言葉が虚しい。あきらめの本心さえ窺うことができる。

アベ3選を踏まえての最初の世論調査を共同通信が発表した。
「自民改憲案提出に反対51%」「「安倍1強」57%が問題視」と見出しを打っている。
共同通信社が20、21両日、自民党総裁選で安倍晋三首相が連続3選を果たしたのを踏まえて実施した全国緊急電話世論調査によると、首相が秋の臨時国会に党改憲案の提出を目指していることに「反対」との回答は51.0%に上り、「賛成」の35.7%を上回った。首相が政治や行政の意思決定で大きな力を持つ「安倍1強」を「問題だ」と答えた人が57.4%、「問題ない」は33.6%だった。
 首相の連続3選を「評価する」は29.7%にとどまり、「評価しない」は24.9%、「どちらとも言えない」は44.7%だった。

これでは、軽々に秋の臨時国会に改憲上程とは行くまい。この世論状況では、議会内の3分の2の獲得がどだい無理な話。アベに義理立てして、うっかり改憲発議に加わると、政治的に大きく傷つくことになりかねないからだ。仮に、3分の2の獲得ができたところで、国民投票では否決される。そのときは、アベ内閣が瓦解するときだ。

同じ共同通信が、公明・山口代表の見解を記事にしている。「改憲世論熟さず―『自民は信頼向上を』」というのだ。これはまことに冷ややかな反応。

 公明党の山口那津男代表は21日、共同通信社の世論調査で、秋の臨時国会への自民党憲法改正案提出に反対が51・0%に上ったことに関し「改憲に向けて世論が熟していない。自民党がこの現実をどう受け止めて対応するか見守りたい」と述べた。取材に対し答えた。
 安倍晋三首相「1強」は問題だとする回答が57・4%だったことには「自民党が受け止めて、信頼感や安心感を高める必要がある」と強調した。

驚いたのは、あの小池都知事が「改憲ふさわしい時期か」と述べていること。
これは朝日。毎日も記事にしている。
 自民党総裁選で連続3選した安倍晋三首相が憲法改正に意欲を示していることについて、東京都の小池百合子知事は21日の記者会見で、「内外に山積する課題はとても大きい。今、日本のエネルギーを憲法改正に集約させていくことにふさわしい時期なのか。よく吟味していただきたい」と述べた。
 小池氏は改憲肯定派だが、首相の拙速な動きに異論を唱えた格好だ。
 首相の地方票の得票率が55%にとどまったことについては、「(国会)議員はいろいろと人間関係があるが、(地方票は)客観的な投票だと思う。選挙は最大の世論調査。地方の声が反映されている」との見方を示した。

山口も小池も、世論の動向を読むのに余念がない。その両名の風の読み方が一致している。いま、改憲に向けて追い風はない、という読み。

自民党総裁選はコップの中の波と風だったが、それでも改憲阻止を望む立場からはまずは波乱なくおさまった。沖縄知事戦は、コップの中の嵐ではない。3選直後のアベ政権を直撃する大嵐を期待したい。
(2018年9月22日・連続更新2001日)

アベ首相 自衛隊幹部に「改憲決意」訓示の禁じ手

今さら言うまでもないことだが、公務員には憲法を尊重し擁護する義務がある。公務員が公務員に、100%公的な場で、「憲法変えた方があなたたちが働きやすくなるでしょう」「だから、私はがんばって憲法を変える決意だ」などと発言することは考えられない。今どき、そんなあり得ベからざることが現実に起こった。しかも、発言者は内閣総理大臣、その発言を訓示として聞かされた側は自衛隊幹部の面々。アベ政権のもとでは、なんでもありなのだ。

まずは、昨日(9月4日)の東京新聞朝刊記事から。
「首相、自衛隊幹部に訓示 『改憲前のめり』批判 共産・小池氏」
安倍晋三首相は3日、防衛省で開かれた自衛隊高級幹部会同で訓示し「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは今を生きる政治家の責任だ。私は責任をしっかり果たしていく決意だ」と強調した。憲法への自衛隊明記に重ねて意欲を示した発言とみられる。野党からは、閣僚らに課された憲法尊重擁護の義務に反するとの批判も出ている。

毎年開かれる会同には今回、自衛隊の将官ら約180人が出席した。首相は直接、改憲に言及しなかったが、自衛隊の違憲論を念頭に「心無い批判にさらされたこともあったと思う。自衛隊の最高指揮官、政治家としてじくじたる思いだ」と語った。これに対して、共産党の小池晃書記局長は「憲法の尊重擁護義務を土足で踏みにじる暴言だ。改憲に向けてあまりに前のめりだ」と批判した。

憲法99条は閣僚、国会議員、公務員に憲法の尊重擁護義務を定めている。今回の訓示は、首相自ら国家公務員である自衛隊員に改憲への意欲を示した形となる。」

同じ問題についての共同通信配信記事は以下のとおり。
「首相訓示は『憲法擁護に反する』 野党批判、自民議員も困惑」
 安倍晋三首相の自衛隊高級幹部会同での訓示に関し、野党や有識者から3日、行政府の長として憲法改正に意欲を示した形で問題だと批判が相次いだ。共産党の小池晃書記局長は「憲法99条が定める閣僚らの憲法尊重擁護義務に反している」とした。自民党ベテラン議員も「全く望ましくない。理解に苦しむ」と困惑している。

首相は同日「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは今を生きる政治家の責任。私は責任をしっかり果たしていく決意だ」と述べた。
 小池氏は記者会見で、会合の性格を考慮すれば、自民党総裁でなく首相としての発言なのは明白だとして非難した。

東京新聞も共同通信も、まことに真っ当な記事を書いたと言うべきだろう。両者とも、憲法99条を引いている。憲法の視座から見て、アベの訓示に問題あることは一目瞭然である。

赤旗の「首相“改憲表明” 小池氏が批判」の記事は、以下のとおり。
 日本共産党の小池晃書記局長は3日、国会内で記者会見し、安倍晋三首相が同日の「自衛隊高級幹部会同」で行った訓示で、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える、これは今を生きる政治家の責任だ」と発言したことについて、「明らかに安倍首相の持論である憲法9条に自衛隊を明記するとの主張を述べたものだ」と指摘し、「憲法尊重擁護義務を踏みにじる発言だ」と厳しく批判しました。

 小池氏は、憲法9条への自衛隊明記は「何の制限もなく海外での武力行使を可能にするものであって、自衛隊員の誇りとは何の関係もない」と強調。防衛省の公式発表によっても、同省の政策方針を自衛隊高級幹部に周知徹底させることなどが高級幹部会同の目的なのに、安倍首相の訓示は自民党総裁としてではなく「内閣総理大臣」として行ったものであり、「このような発言をする場ではない」として、「憲法99条が定める国務大臣、国会議員の憲法尊重擁護義務に明らかに違反する」と重ねて批判しました。

 その上で、「集団的自衛権行使を可能にする安保法制で海外で殺し殺される戦争に自衛隊員を駆り立てることを許さないことこそ、『今を生きる政治家の責任』だ」と主張しました。

小池批判は、単に「99条違反」を指摘するだけでなく、「自衛隊員の誇り」を口実に、実は「海外で殺し殺される戦争に自衛隊員を駆り立てること」がたくらまれているとしている。改憲陰謀を持ちかけられたかたちの自衛隊の面々。本懐だっただろうか。それとも、迷惑だっただろうか。

憲法99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と定める。これは、立憲主義を体現した条文と理解されている。内閣総理大臣たるもの、ひたすらに主権者の命令である憲法を誠実に尊重し擁護する義務を負うのであって、憲法が気に入らないから改正しようなどと言い出してはいけない。内閣は国会に対して法案の上程はできるが、もとより憲法改正の発議権はない。憲法改正手続は、最も国民に近い位置にある国会議員が行うもので、内閣も総理大臣も改憲手続きには関与しない。

にもかかわらず、アベが内閣総理大臣として、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは今を生きる政治家の責任だ。私は責任をしっかり果たしていく決意だ」と発言したのは、小池晃書記局長のいうとおり、「憲法の尊重擁護義務を土足で踏みにじる暴言だ。改憲に向けてあまりに前のめりだ」と批判されなければならない。

官邸のホームページに、この自衛官会同の訓示がアップされている。正確には、第52回自衛隊高級幹部会同 安倍内閣総理大臣訓示」というようだ。これを検証してみよう。https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/0903kunji.html

まず、訓示者の肩書である。「自衛隊最高指揮官 内閣総理大臣安倍晋三」となっている。憲法99条にいう「国務大臣」の訓示であることに疑問の余地がない。靖国神社参拝や玉串料奉納の際に「私人として行った」、あるいは「改憲発言は総裁としてのもの」という言い訳は通用しない。

中で、正確にはこう言っている。

 本日、我が国の防衛の中枢を担う幹部諸君と一堂に会するに当たり、自衛隊の最高指揮官たる内閣総理大臣として、一言申し上げたいと思います。
(略)
  国民のために命をかける。これは全国25万人の自衛隊員一人一人が自分の家族に胸を張るべき気高き仕事であり、自分の子や孫たちにも誇るべき崇高な任務であります。
 幹部諸君。それにもかかわらず、長きにわたる諸君の自衛隊員としての歩みを振り返るとき、時には心無い批判にさらされたこともあったと思います。悔しい思いをしたこともあったかもしれない。自衛隊の最高指揮官、そして同じ時代を生きた政治家として、忸怩たる思いです。
 全ての自衛隊隊員が、強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは、今を生きる政治家の責任であります。私はその責任をしっかり果たしていく決意です。

この原稿は、明らかに官僚の「助言と承認」によって作られている。したがって、あからさまに「憲法を改正します」「自衛隊を憲法上明確にする」とまでは、さすがに言っていない。しかし、彼の訓示はこう読む以外にはない。

「自衛隊員の諸君は、時には『自衛隊は違憲の存在だ』という心無い批判にさらされたこともあったと思います。悔しい思いをしたこともあったかもしれない。自衛隊の最高指揮官、そして同じ時代を生きた政治家として、普通の読み方をすれば自衛隊は憲法違反の存在とする憲法9条を、今日まで改正することなく放置してきたことに忸怩たる思いです。
 全ての自衛隊隊員が、憲法違反との誹りを受けることなく、強い誇りを持って国民のために命をかける任務を全うできるよう環境を整えるために、憲法9条を改正して自衛隊が違憲の存在だという余地をなくする。このことが、今を生きる政治家の責任であります。私は、一日も早く憲法9条改正を実現することによってその責任をしっかり果たしていく決意です。」

アベは、アベ改憲のたくらみと決意を自衛隊に吹き込んだのだ。これは、許されない危険な行為。禁じ手ではないか。やはりアウトだ。アベシンゾー。
(2018年9月5日)

真夏の真昼時、暑いさなかの平和を守ろうという熱いアピールです。

ご近所の皆様、ここ本郷三丁目交差点をご通行中の皆さま。こちらは平和憲法を守ろうという一点で連帯した行動を続けています「本郷・湯島九条の会」です。私は近所に住む者で、憲法の理念を大切にし、人権を擁護する立場で、弁護士として仕事をしています。
真夏の真昼時、暑いさなかですが、平和を守ろう、憲法9条を大切にしようという訴えに、少しの時間耳をお貸しください。

73年前の今日、1945年8月14日午前10時に千代田区内某所で「特別御前会議」なる戦争指導者全員が参集した会議が開かれ、その席でポツダム宣言受諾を決定しました。そしてこの日、天皇(裕仁)の名で連合国(米・英・中・ソ)にその旨を通告し、法的には日中戦争・太平洋戦争が日本の無条件降伏で終了しました。調印式が9月2日横浜沖のミズーリ号上で行われたのは、ご存じのとおりです。既に、ムソリーニは虐殺され、ヒトラーは自殺して、イタリア・ドイツは敗北していましたから、最後の枢軸国日本の敗戦は、第2次大戦の終了でもありました。

そして、翌8月15日正午、天皇が読み上げた「大東亜戦争終結に関する詔書」の録音がNHKのラジオで放送されて、国民に敗戦を知らせました。国力を傾け尽くし、310万人の自国民死者と、2000万人にも及ぶ近隣諸国の犠牲者を出した末に、ようやくにして悲惨な侵略戦争は終わりました。

8月15日正午の天皇の放送は、1億国民からさまざまな思いで受けとられ、さまざまな記録が残されています。名古屋の武田徳三郎さんと志津さん夫妻の場合はこうでした。

夫妻の息子二人は、学徒動員で軍需工場に働いていましたが、名古屋の大空襲で、二人とも亡くなりました。夫妻は、必死になって、夜昼となく遺体を探しますが、ついに肉のカケラも服の端切れさえ見つからなかった。80キロあった徳三郎さんの体重は50キロまで減ったということです。「死のう」「いや、ワシらが死ねば、弔いをする者がなくなる」と思う日々が続いて、8月15日を迎えます―。

天皇陛下の玉音放送があった。「一億玉砕」とばかり信じていた。…だが、四球のラジオから流れる玉音は、ザァザァという雑音の中で無条件降伏を伝えた。…「そんなバカな! 手をあげてやめられる戦争なら、なぜもっと早くやめてくれなんだ。陛下さま、ワシの息子らは、これで犬死になってしもうたがや―」徳三郎さんは泣き崩れた。(毎日新聞社編『名古屋大空襲』)

これを引用した近代史研究者の色川大吉は、1975年にこう書いています。
私はこの部分を天皇(註・裕仁)に読んでもらいたい思う。「手をあげてやめられる戦争なら、なぜもっと早くやめてくれなんだ!」 この悲痛な叫びは、ポツダム宣言の受諾をめぐって天皇制の存続を条件にグズグズ日を延ばしていたあいだにも、50万人以上の民衆を殺し、徳三郎さん夫妻のような、もはや永久に救われない運命を負った庶民を無数に生み出してしまったのである。

無数の悲劇を重ねて、長い長い戦争が終わりました。再び、この戦争の惨禍を繰り返してはならない。多くの人々の切実な思いが、平和憲法に結実しました。とりわけその9条が、再びの戦争を起こさないという国民の決意であり、近隣諸国への誓約でもあります。

大日本帝国憲法は戦争を当然の政策と考え、軍隊の組織編成や、国民を戦争に動員する手続を定めています。戦争を抑制しようという憲法ではなく、主権者である天皇の名による戦争を煽った憲法と言ってもよいと思います。きっぱりとこの好戦憲法は捨て去られ、平和憲法が採択されました。

日本国憲法は、戦争を放棄し戦力を保持しないことを憲法に明確に書き込みました。それだけではなく、この憲法には一切戦争や軍隊に関わる規定がありません。9条だけでなく、全条文が徹頭徹尾平和憲法なのです。戦争という政策の選択肢を持たない憲法。権力者が、武力の行使や戦争に訴えることのないよう歯止めを掛けている憲法。それこそが平和憲法なのです。

ところが、歴代の保守政権は、この憲法が嫌いなのです。とりわけ、安倍政権は憲法に従わなければならない立場にありながら、日本国憲法が大嫌い。中でも9条を変えたくて仕方がないのです。

彼が言う「戦後レジームからの脱却」「日本を、取り戻す」とは、日本国憲法の総体を敵視するという宣言にほかなりません。「戦後」とは、1945年敗戦以前の「戦前」を否定して確認された普遍的な理念です。人権尊重であり、国民主権であり、議会制民主主義であり、なによりも平和を意味します。戦後民主主義、戦後平和、戦後教育、戦後憲法等々。戦前を否定しての価値判断にほかなりません。安倍首相は、これを再否定して「戦前にあったはずの美しい日本」を取り戻そうというのです。

戦後73年、日本国憲法施行以来71年、国民は日本国憲法を護り抜いてきました。それは平和を守り抜くことでもありました。そうすることで、この憲法を自らの血肉としてきました。平和は、憲法の条文を護るだけでは実現できません。国民の意識や運動と一体になってはじめて、憲法の理念が現実のものとして生きてきます。平和憲法をその改悪のたくらみから護り抜き、これを活用することによって恒久の平和を大切にしたいと思います。

そのため、安倍9条改憲を阻止して、「戦後レジームからの脱却」などというふざけたスローガンを克服して行こうではありませんか。夏、8月、暑いさなかですが、そのような思いを新たにすべきとき。憲法9条と平和を大切にしようという訴えに、耳をお貸しいただき、ありがとうございました。
(2018年8月14日)

今国会を締めくくる言葉 ― 「憲政史上最悪の国会」「国民を愚弄するにも程がある」

第196通常国会が、昨日(7月20日(金))事実上閉会した。思い起こせば、アベ政治の醜態極まれりという、「憲政史上最悪の国会」。これでいよいよアベ政権も終わりかと思わせる事態は何度もあった。が、膿にまみれ満身創痍となりながらも、アベ政権は持ちこたえた。内閣支持率は下げ止まり、やや上昇の傾向さえ見せている。アベ政治を許し、アベを政権の座にから追い落とせない、これが日本の民主主義の水準なのだ。

本日の朝日は、「通常国会、事実上閉会」「森友・加計など疑惑解明置き去り」「政権の強引さ、際だった」「野党『憲政史上、最悪の国会』」の見出しで、こう報じている。

 公文書が改ざん、廃棄され、「ない」とされた文書が見つかる。答弁のうそが明らかになる。国会審議の前提は根底から覆された。過労死を招きかねないと指摘された制度やギャンブル依存症が増えかねないカジノ新設を認める法律も野党の反対を押し切って成立。安倍政権の国会軽視が際立つ通常国会だった。

 巨大与党に少数野党。野党が提出した内閣不信任決議案が否決されるのは目に見えている。それでも憲法に基づいた手続きであることには変わりない。
 立憲民主党の枝野幸男代表が不信任案の趣旨説明をしている最中、安倍晋三首相は隣の閣僚と談笑した。「何笑ってんだよ」。野党席からヤジが飛んだ。「憲政史上、最悪の国会になってしまった」。枝野氏は2時間43分にわたった趣旨説明をこう締めくくった。

毎日新聞は、「政府強引、国会に禍根」「森友・加計、疑惑解明至らず」「働き方・参院6増・カジノ… 重要法熟議なく」とよく似た見出しで、今国会をこう総括している。

 通常国会は20日に事実上閉会した。学校法人「森友学園」「加計学園」を巡る問題で、政府・与党は疑惑解明に後ろ向きな姿勢を取り続け、真相究明には至らなかった。約半年にわたった国会論議が深まることはなく、与党は働き方改革関連法や参院定数を「6増」する改正公職選挙法など、問題を数多く抱える法を熟議なく強引に成立させた。政府が提出する法案や行政機関に対する立法府としてのチェック機能に課題を残した。

 立憲民主党の枝野幸男代表は20日の衆院本会議で、安倍内閣不信任決議案の趣旨説明を2時間43分にわたって行った。枝野氏は、不信任の理由は「数え切れないほどある」としたうえで、森友・加計学園問題など7点を挙げて「この国会は民主主義と立憲主義の見地から憲政史上最悪の国会になってしまった」と批判した。

そして、東京新聞。本日(7月21日)の社説が、厳しく力のはいったものとなっている。

国会あす閉会 政権の横暴が極まった

通常国会があす閉会する。与党は延長会期中、国民への影響が懸念される「悪法」の成立を強行する一方、森友、加計問題の解明にはふたをしてしまった。安倍政権の横暴が極まったのではないか。

 あす会期末を迎える通常国会はきのう事実上閉会した。実質的な最終日、与党が成立を図ったのがカジノを中核とする統合型リゾート施設(IR)整備法案だった。
 そもそも刑法が禁じる賭博を一部合法化する危険性や、ギャンブル依存症患者を増やす恐れがある法案だ。地域振興や外国人の集客に本当に役立つのか、審議を通じても疑問は解消されない。法案成立後に政令などで決める事項が約三百三十項目にも上る。そんな法案を成立させていいのか。
 延長国会の期間中、西日本を豪雨が襲い、二百人以上が亡くなった。猛暑の中、多くの被災者が生活再建を急ぐ。避難生活を余儀なくされている方は依然多い。
 生活再建や復旧、復興に向けた策を練り、法の不備を補い、予算を確保することこそが、国会が優先すべき課題ではなかったか。
 しかし、会期末の限られた時間は安倍政権が優先した「カジノ法案」の審議に費やされ、寸断された道路や鉄道、堤防が決壊した河川を所管する石井啓一国土交通相が答弁に追われた。災害対策より賭博か、との批判が出て当然だ。
 西日本豪雨では、気象庁が厳重警戒を呼び掛けた五日夜、自民党議員が「赤坂自民亭」と題する宴会を開き、安倍晋三首相や小野寺五典防衛相らが参加していた。
 豪雨発生時から緊張感を持って災害対応に当たっていたのか、疑問を抱かせる振る舞いだ。
 与党は延長国会で参院議員定数を六増やし、比例代表の一部に優先的に当選できる「特定枠」を導入する改正公職選挙法も成立させた。法律が求める抜本改革に程遠く、「合区」対象選挙区で公認漏れした自民党現職議員の救済策にほかならない。こんな制度をつくり、恥じることはないのか。
 森友学園をめぐる問題では財務省の公文書改ざんが明らかになり、佐川宣寿前国税庁長官による国会での偽証も指摘されている。加計学園は愛媛県に嘘(うそ)をついたと主張する。国民の多くが疑念を抱くのに、与党はなぜ事実を解明しないのか。政治権力を集める首相や官邸への配慮なのか。
 国会で多数を占めれば、何をやっても許される。政権がそんな考えで国会を運営したとしたら、国民を愚弄するにも程がある。

確かに、数を恃んだアベの横暴の国会。しかし、当初はこの国会に「憲法改正原案の発議」がなされる恐れが報じられていたのだ。1か月余の会期を延長してなお、今国会に憲法改正原案の発議はできなかった。衆参両院の憲法審査会も実質審議の場となっていない。そもそも、自民党案さえ確定に至っていない。

 昨夕、安倍晋三は、通常国会の実質閉会を受けて、官邸で記者会見し、改憲について「九月の自民党総裁選で大きな争点になる」と強調した。自民党がまとめた自衛隊明記など改憲四項目の条文案に関しては「(各党間で)取りまとめを加速すべきだ」と述べ、与野党に発議に向けた議論を呼び掛けた。と報道されている。

何度でも繰り返したい。改憲派にとっては、「アベが総理総裁でいるうち、改憲派の議席が両院ともに3分の2を超えているうち」が千載一遇のチャンスなのだ。
「アベが失脚する」か、「改憲派の議席が衆参のどちらかで3分の2を割る」ことになれば、改憲の危機は遠のくことになる。

アベ政権は、今国会で悪法成立の強行と引き換えに、「憲政史上最悪の国会」「国民を愚弄するにも程がある」との酷評にも晒されているのだ。アベ改憲の阻止は、十分に可能と考えられる。
(2018年7月21日)

「嘘つき内閣が嘘に嘘を重ねている」「ご意向内閣総辞職!」「改竄・隠蔽のアベやめろ!」

昨日(5月3日)の憲法記念日。各地の改憲阻止集会は、どこも意気盛んで大いに盛り上がったようだ。当面の課題は「アベ改憲」阻止だが、このような集会や行動の積み重ねは、当面の危機を乗り切る効果をもつにとどまらない。憲法の理念を国民の血肉として獲得する術となるのだ。その意味で、昨日は素晴らしい一日だった。

有明の中央集会のメインスピカーは落合惠子。参集の6万人にこう語りかけている。

「嘘つき内閣が嘘に嘘を重ねています。私たちはすでに知ってしまいました。安倍内閣は『総理のご意向内閣』ではありませんか。忖度がなければ維持もできない内閣ではありませんか」「彼らは福島を忘れ、沖縄を苦しめ、1機800億のイージスアショアなどを米国から喜々として買って国内では貧困率や格差を拡大している。戦争大好き内閣と呼ぶしかありません。公文書の改竄も隠蔽も何でもあり。何でもやるのが現内閣であり、やらないのは福祉と平和と命のためのしっかりした対策であると私は思います」

まったくそのとおりではないか。どの集会のどの発言者も、メッキが剥げて地金が露わになったアベ内閣の本質を衝いている。ジコチュー内閣、行政私物化政権、えこひいき首相、隠蔽・改竄・口裏合わせ、嘘つき・忖度総理…。実はそれだけではない。特定秘密保護法・戦争法・共謀罪そして、行き着く先がアベ改憲だ。だから、「安倍ヤメロ!」「総辞職!」なのだ。

「嘘つき内閣が嘘に嘘を重ねている。安倍内閣は『総理のご意向内閣』」。そこまで言われる内閣も珍しい。こう言われて、そのとおりだよなあと共感が広がる政権もまた珍しい。アベにもその取り巻きにも、怒る理由も気迫もないだろう。もう末期症状だ。「アベのいる内、3分の2ある内」が千載一遇のチャンスなのだから、アベの末期症状は、憲法の元気回復チャンスである。そして、アベ政治の臨終こそが、憲法の再生である。

全国津々浦々に「アベの嘘つき」「アベやめろ」の声が響いたに違いないが、昨日私が講演した立川の憲法集会もその一つ。「市民のひろば・憲法の会」は毎年憲法記念日に集会を開いて今年(2018年)が第32回。今年のタイトルが「やめよう改憲 生かそう平和憲法」というものだった。昨日も述べたとおりの熱気あふれた立派な集会だった。平和で豊かな社会を築くために憲法をどう生かすべきなのか、学び、考えようという気迫にあふれていた。

私の講演の前のプログラムが「朝鮮の楽器演奏と民族舞踊」。西東京朝鮮第一初中級学校(小学生・中学生)の部活動の成果の披露だという。みごとなもので、大喝采だった。

https://www.facebook.com/292497987574541/photos/pcb.992697737554559/992697444221255/?type=3&theater

憲法記念日の憲法集会に朝鮮学校の演舞。まことに時宜を得て結構なことではないか。国際協調、法の下の平等、民族差別の解消、教育を受ける権利、教育行政の責務…等々の憲法理念の実現の課題を考えさせる。このような懸命な子供たちの演技を見ていると国籍や民族などの違いはなんの障壁にもならずに、心の通い合いを感じる。伸びやかな子供たちの豊かな可能性に観客の心が熱くなる。

幕間に申俊植(シンジュンシク)校長が落ちついてコメントした。

「今の演技は、部活動としての民族舞踊の披露です。わが校は、民族教育の特徴はありますが、日本の小学校と特に変わった教育をしているわけではありません。
 地域の皆様にはご理解をいただけるよう努力をしているつもりですが、それでも先日、日本の中学校とのサッカーの対抗試合の際に、相手校の選手から『おまえら、みんなキンジョンウンなんだろう』と言われたという報告がありました。
 私は、腹を立てるのではなく、もっと私たちの日常を見てもらい理解していただく努力をしなければならないと思っています。たびたび、学校見学の日を設定していますが、その日に限りません。いつでもけっこうです、皆様どうぞ見学にお越しください。私自身も授業をもっています。どんな授業を行っているか、ぜひごらんいただきたいと思います。そのようにして、私たちも地域の一員であることにご理解をいただきたいのです」

堂々と立派な、共感を呼ぶ挨拶だった。 **************************************************************************
昨日の集会後、実行委員を中心に20人余りの人々の交流会がもたれた。お茶とお菓子、参加費300円の交流会で、多彩な人々の熱い思いが語られ、貴重な時間となった。

その交流会の際に、内閣総理大臣の衆議院解散権の行使に制約が必要ではないか、党利党略の随時解散権など認めるべきではないとの話題が出た。

解説を求められて、戦後の解散が憲法69条によらずに、7条3項による解散として実務が定着していること。「7条解散は違憲」と提訴のあった苫米地事件で、最高裁大法廷は統治行為論で判断を回避し、結局7条解散にお墨付きを与えることとなったことは解説し、英国の法改正についても触れたが、「その余の各国の制度については調べて当ブログでお返事する」こととした。以下がその回答である。

《アメリカ》上院・下院とも、制度上解散がない。したがって、大統領の解散権もない。

《ドイツ》
上院に解散はない。下院では、首相の信任投票が否決された場合にのみ、首相が解散権を行使できる。留意すべきは、内閣の不信任決議は同時に後継首相を決定しなければならない制度となっており、解散理由とはならない。

《イギリス》
2011年に「固定任期議会法」が成立し、首相による下院の解散権行使というシステムは大きく制限された。議員の任期5年固定を原則とし、解散には下院議員の定数の3分の2以上の賛成が必要となっている。

《フランス》
大統領は、首相及び両議院議長の意見を聴いた後、国民議会を解散できる。

《オーストラリア》
上下院とも、首相がいつでも解散することができる。

《カナダ》
下院は首相がいつでも解散することができる。

(2018年5月4日)

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