澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

憲法擁護のお気持ちを、日本共産党と野党共闘候補へ。

ご無沙汰をお詫びし、暑中お見舞い申しあげます。

いつになく梅雨寒の日が長く続きますが、既に季節は小暑。そして、七十二候では「蓮始開(はすはじめてひらく)」の侯となっています。このところ、朝の日課としている散策では、ようやく開きはじめた上野不忍池の蓮の華が目の楽しみ。
早咲きの華あり、晩咲の華あり。競って高く咲く華もあれば、葉裏にひっそりと咲く華も。蕾もあれば、盛りの花も、そして既に散った花弁も。人の様々と変わらない蓮の華の風情。

気候はやや不順ですが、ご家族の皆様には、健勝にお過ごのことと存じます。

 ところで、第25回参議院議員選挙の投票日が目前に迫っています。来たる7月21日(日曜日)の投票日には、日本共産党と野党共闘の候補者に一票を投じていただくよう、お願いを申しあげます。

「安倍一強」と言われる異様な事態が続いていることに不安を禁じえません。この社会はいったいどうなってしまったのだろう。この先さらにどうなって行くのだろう。このままであってはいけない、今のうちに何とかしなければならないという、焦りに似た気持ちを感じ続けています。

とりわけ、このまま安倍一強の政権を存続させておくことによって、日本国憲法が「改正」されてしまうのではないかという強い危機感を持たざるを得ません。仮に、今度の選挙で、自民党や与党勢力、あるいは政権に擦り寄る維新などが、大勝して議席を増やすようなこととなれば、憲法「改正」の手続が具体化することになりかねません。

また、反対に、憲法「改正」に反対する勢力が大きく議席を増やすことができれば、憲法改悪のたくらみを打ち砕くことになります。その意味で、今度の選挙には日本国憲法の命運がかかっているのだと思います。

日本国憲法の命運は、この憲法の理念として国民に受容されてきた、平和や国際協調、そして民主主義や人権の命運でもあります。安倍政治がたくらむ改憲とは、平和や民主主義や自由、そして経済的弱者の生存の権利を危機に追い込むものと警戒せざるを得ません。けっして、改憲を許してはなりません。

本日(7月18日)の赤旗一面のトップに、安倍9条改憲の阻止 共産党が伸びてこそ」という大見出しがあります。私は、そのとおりだと思うのです。

その記事のリードには、こう述べられています。
「安倍晋三首相が各地の遊説などで改憲を前面にすえ、9条の自衛隊明記を公然と訴えるなか、9条改憲に向けた暴走を止めるかどうかが参院選の重大争点として浮上してます。…何としても、この野望を止めなくてはなりません。止める一番確かな力は、日本共産党の躍進です。」

まったく、そのとおりではありませんか。船が大きく右舷の側に傾くとき、平衡を取り戻すには、できるだけ左舷の側に集まらねばなりません。今まさにそのときなのだと思うのです。しかも、船が沈まぬうちの緊急の課題として。

安倍晋三という人物は、極右の勢力に担がれて、改憲を使命に頭角を表してきた政治家です。彼は、支持勢力をつなぎ止めるためにも、改憲を言い続けなければならない立場にあります。とりわけ、右翼勢力が目の仇とする「憲法9条」を変えようと口にし続けねばならないのが、彼の背負った使命でもあり、宿命でもあります。

もちろん、国民世論は、けっして安易に改憲を許すものではなく、首相の思惑とは大きな隔たりがあります。改憲実現のハードルが高いことは自明のことですから、安倍自民党は、できるだけ、耳に甘い言葉で、有権者を欺そうと考えます。今回も、奇策を編み出しました。いや、詐欺の発案といった方が適切なのかも知れません。

それが、「9条1項2項は全文そのままにして、9条の後に、新たに『第9条の2』1か条を追加する」という、自民党の改憲案(自民党は、条文イメージ(たたき台素案)」と言っています)です。その文言は以下のとおりです。

第9条の2
1 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
2 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

これが、安倍自民党の「安倍9条改憲」案です。よくお読みください。念のため、現行の9条の全文を引用しておきます。

第9条
1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

現行9条2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と定めます。つまり、日本国憲法は、「戦力」の保持を禁じているのです。では、「戦力」とは何でしょうか。「陸海空軍その他の戦力」というのですから、「陸軍・海軍・空軍」は当然に戦力に当たります。陸海空軍に当たらなくても、それに準じる実力組織は、「その他の戦力」に当たることになります。

つまりは、戦力とは、対内的な治安のために必要な警察力の範囲を超えて、外敵との交戦をなしうる人的・物的な組織体を指すとするのが常識的な見解でしょう。憲法上、警察力の保持は当然として、それを超える軍事力の保持はなしえないと覚悟を決めて、この憲法を作ったのです。

ところが、1954年に政府は、戦力をこんな風に定義しました。「自衛のため必要な最小限度を超える実力組織」というのです。

自衛のため必要な最小限度」が分かれ目です。これを超えるれば「戦力」に当たりますが、「自衛のため必要な最小限度」の範囲内の実力組織であれば、「戦力」に当たらない。こうして、自衛隊が生まれ、育ってきました。

今や、自衛隊はその実態からは、世界第6位とも5位とも言われる「陸・海・空軍」といわざるを得ませんが、建前は飽くまでも「戦力=軍隊」ではなく、憲法に認められた「自衛のため必要な最小限度の実力組織」なのです。

実は、この「戦力」についての解釈は、自衛隊を創設するために政府がひねり出した解釈ですが、今や、自衛隊の拡大増強を縛るものとなっています。

以下は、防衛省・自衛隊自身のホームページからの引用です。
「わが国が憲法上保持できる自衛力は、自衛のための必要最小限度のものでなければならないと考えています。その具体的な限度は、その時々の国際情勢、軍事技術の水準その他の諸条件により変わり得る相対的な面があり、毎年度の予算などの審議を通じて国民の代表者である国会において判断されます。憲法第9条第2項で保持が禁止されている「戦力」にあたるか否かは、わが国が保持する全体の実力についての問題であって、自衛隊の個々の兵器の保有の可否は、それを保有することでわが国の保持する実力の全体がこの限度を超えることとなるか否かにより決められます。
 しかし、個々の兵器のうちでも、性能上専ら相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合にも許されません。たとえば、大陸間弾道ミサイル(ICBM:Intercontinental Ballistic Missile)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有は許されないと考えています。」

今の自衛隊は、政府自身の憲法解釈上、このような「縛り」(厳密な縛りとは言えない、緩いものではありますが)がかかっていることになります。しかし、安倍自民党は、このような手枷足枷の桎梏を取り払って、自衛隊を堂々の「国防軍」としたいのです。そのホンネを語っているのが、2012年4月28日発表の「自民党憲法改正草案」です。現行の憲法第2章「戦争の放棄」は、安全保障」に置き換えられ、堂々と自衛隊の海外派兵も治安出動も憲法上可能となります。軍法会議も整備されます。

このような、安倍自民党のホンネを視野に入れて「安倍9条改憲」の提案を読まねばなりません。たたき台とされている「9条の2」の案が、「前条の規定(9条1項・2項)は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず」となっているのは、9条1項・2項をまずは、ご破算とすることを意味します。

その上で、「そのための実力組織として、法律の定めるところにより、自衛隊を保持する。」「自衛隊の行動は、法律の定めるところによる」とは、結局法律の作り方次第、国会の過半数の勢力が、これまでの憲法9条の縛りを離れて、広範な裁量のもと、新たな自衛隊を設計し運用することが可能となるのです。

この改憲は、何としても阻止しなければなりません。そのためには、これまで安倍9条改憲と最も厳しく切り結んできた日本共産党に活躍してもらわねばなりません。そして、13項目の共通政策を作成した野党共闘は、共通政策の第1項目を「改憲阻止」としています。

ぜひとも、今回は、「安倍改憲」阻止のための選挙として、
32ある地方区の一人区では「野党共闘候補」を複数区では「日本共産党の公認候補」を、そしてもう一票の比例区では、「日本共産党」と政党名を記入して投票ください。

以上、日本国憲法と平和と民主主義に成り代わって、お願いを申しあげます。
(2019年7月18日・連続更新2299日))

日本国憲法を大切に思う有権者は、けっして維新に投票してはならない。

いよいよ参院選に突入である。日本国憲法の命運にかかわる選挙戦。本日(7月5日)の各紙は、安倍政権を問う」「改憲3分の2が焦点」「争点は、年金・増税」とほぼ共通している。

驕る平家は久しからず。長すぎるアベ政権の綻びは明らかで、有権者はウンザリのはずなのだが、アベは、政治の安定」を売り物としての延命策。なんという開き直りよう。なんというふてぶてしさ。なんという図々しさ。

ところで、多くの政党・政派が有権者の支持獲得を競っているが、各政党は一本の物差しの所定の目盛りに位置している。大雑把にいえば、最も右に自民党が、最も左に共産党が位置して、その中間にそれぞれの政党が、あるいは自民寄りに、あるいは共産寄りに、ふさわしい位置を占めている。

本日の朝日が、これを図示している。「朝日と東大谷口研究室」の共同調査による、「候補者 読み説く」という記事。いくつもの指標で、13もの政党の立ち位置を図示しているが、最も目を惹くのは、憲法改正に関する各党の積極度。

常識的には、改憲積極派の最右翼が自民党で、その対極の積極護憲派の位置に共産党がある。その両極の間の自民寄りに公明党、共産党寄りに立憲・国民などがある。この常識は、大きな間違いがない。

ところが、朝日の改憲度物差しの図示には、驚くべきことがある。右翼自民よりも、さらに右に位置する政党がある。なんとそれが維新なのだ。維新こそが自民党を凌ぐ積極改憲派なのである。

念のため、改憲派⇔護憲派》の位置関係を順に並べてみると、次のとおり。
維新・自民・公明・国民・立憲・れ新・共社 の順となる。

そして、自民と公明の間は、かなり大きく開いている。ここに、紛れもない右翼の「N国」や、何ものかよく分からない「安楽死の会」などの諸派が入る。

なるほど、維新と共産。これは改憲・護憲軸の両極端、水と油なのだ。そういえば、最近維新が共産に絡む事件が目につく。取りようによっては、維新の自民党への媚びであり、すり寄りの手段のようでもあるが、本来この両党は本質的に相性が悪いのだ。

通常国会閉幕直前の本年6月25日、野党4党1会派が、共同で衆院本会議に内閣不信任案を提出した。これに、維新は反対に回り、足立康史が反対討論をした。足立が登壇すると、与党席から拍手が起こったという。

足立の演説は驚くべきものだった。アベ内閣が国民の信任に値するものであるか否かの、メインテーマには直接触れずにこう述べ、その行動の基準が、反共にあることを明言したのだ。

「念のため申し上げますが、私たち日本維新の会は内閣不信任決議案に反対と申し上げたのは、別に自民党や公明党と行動を共にしたいからではなく、共産党と同じ行動を取るのが、死んでもいやだからであります!」

通常国会閉会後の6月30日、ドワンゴとヤフー共催によるネット党首討論で、維新の松井代表と、共産党の志位委員長との間に、こんなやり取りがあった。
https://www.youtube.com/watch?v=Wdm4c7NCqlc

司会:松井さん、お願いします

松井:今、消費増税のお話がありました。これはもう、他の政党の皆さん、そうなんですが、2011年復興増税の折には増税の負担を国民の皆さんにお願いする限り国会議員が、すべての国会議員で身を切る改革をやろうと。ということで、いっとき2割カットがスタートしたのに、今は元に戻ってしまっております。
 まず国民の皆さんに負担をお願いするのなら、自分たちが自分たちの身分を見直すべきだと思いますが、志位さん、どうでしょうか。

志位:あの、私たちは消費税を国民に押し付ける代わりに自分たちの身を切るというのは、これは理屈が違うと思います。身を切れば増税を押し付けていいんでしょうか? そんなことにはならない。ただ、私たちはたとえば、政党助成金、317億円。これ、各党が取っているわけですが、松井さんのところもたくさん貰っていると思います。

松井:いや…、活動経費に…(聞き取れず)
志位:これ全部返上したらいかがですか? 私たちは廃止を求めておりますし、私たちは受け取っておりません。まず身を切ると言うんだったら、まずそこから取り組んだらいかがですか?
松井:いや、それは…

7月3日、日本記者クラブ主催「党首討論会」でもこんな場面があった。
https://www.youtube.com/watch?v=DQgu5yni7rI

松井:前の総選挙のときの党首討論で、国会議員が領収書なしでもらえている文書通信交通滞在費は見直すべきだ、せめて領収書公開しようと提案したとの話があり、「その折、志位さんはやるといったが、あれからもう2年が経過している。今のところ、知らぬ存ぜぬで、これはまったく実行されていない。志位さんの公約というのはそういう軽いもんなんでしょうか」

志位:共産党ウオッチャーで有名な松井さんがご存じないというのは驚きましたが、私たちはホームページで、文通費の使途をすでに公開しております。公表した通り、文通費の趣旨を踏まえて活用し、人件費と選挙には使っておりません。会計処理はすべて、領収書と伝票に基づいて行い、領収書と伝票を保管しており、ルールができればいつでも提出する用意はあります。

 …領収書、私、維新の会についてちょっと調べてみたんですが、ここに持ってきた杉本和巳議員の使途報告書は、100万円の文通費の全額を杉本議員自身が支部長を務める政党支部に入れており、領収書はこの2枚付いておりますが、領収書を発行したのも杉本議員、領収書を受け取ったのも杉本議員、何に使われたのかはまったくのブラックボックスです。この使途が何かが大事なのであって、使途を公表して初めて公表したといえるのではないでしょうか。

 この問題についてもう一言申し上げますと、先ほど「身を切る改革」ということ議論になりましたが、そんなに身を切るのがお好きなら、政党助成金を返上したらいかがと、私は思います。

こういうのを、みごとな「切り返し」「返り討ち」というのだろう。あるいは、「効果的逆襲」「ブーメラン効果」「ツケが回る」「形なし」「ぐうの音も出ない」「身から出た錆」…。維新には党首の発言にファクトチェックの助言をする態勢がないのだろうか。いずれにせよ、憲法を大切に思う有権者は、けっして維新に投票してはならない。
(2019年7月5日)

「法と民主主義」6月号《特集・アベノミクス崩壊と国民生活》のお薦め

梅雨空ぐずつく中、本日で6月が終わる。天皇交替とそれに伴う新元号騒ぎはやや落ち着き、通常国会が会期の延長なく閉幕し、鳴り物入りの大阪G20もさしたる話題なくスケジュールを消化した。

ところで、大阪に集まった各国首脳の顔ぶれ。知性ある人の影は薄く、知性の欠けた人物ばかりが我が物顔の振る舞い。およそ人類の理想とは無縁で、人権や民主主義、格差の是正などになんの関心もなさそうなトランプ、習近平、プーチン、そしてトランプにものが言えない安倍晋三。もうひとり、カショギ殺害の犯人と名指しされているサウジの皇太子など。なるほど、これが今の世界の縮図なのだ。

週明けの明日、7月1日からは本格的な参院選挙戦。日本国憲法の命運にかかわる選挙だが、自ずと焦点はアベノミクスの評価となり、具体的には「消費増税」の可否と「年金問題」が争点となる。憲法改悪阻止のために、政権与党の経済政策の失敗を論じなければならない。

このほど発刊となった、日本民主法律家協会の機関誌「法と民主主義」6月号は、そのような問題意識から、「アベノミクス崩壊と国民生活」を特集した。
https://www.jdla.jp/houmin/index.html

下記のとおり、緊急の特集に素晴らしい執筆者を得ることができた。

特集★アベノミクス崩壊と国民生活
◆特集にあたって … 編集委員会・南 典男
◆今、一番心配すべきことは何か グローバル経済と日本 … 浜 矩子
◆アベノミクスを歴史の文脈でとらえる … 山本義彦
◆安倍政権による「全世代型社会保障」への軌跡 … 二宮厚美
◆アベノミクスと増税・消費税 … 浦野広明
◆アベノミクスと漁業… 加瀬和俊
◆アベノミクスと日本の財政 … 醍醐 聡

■連続企画●憲法9条実現のために〈23〉
安倍改憲を吹っ飛ばせ!自民党改憲Q&A徹底批判
(改憲問題対策法律家6団体連絡会・安倍9条改憲NO!全国市民アクション主催 院内集会より)
・集会で明らかにされた「自民党改憲Q&A」の嘘とごまかし … 大山勇一
◆司法をめぐる動き
・冤罪救済と誤判の防止に向けて … 高見澤昭治
・5月の動き … 司法制度委員会
◆メディアウオッチ2019●《選択の季節に》
トランプ、年金、イージスはつながっている 政府がウソを言うのは当たり前か? … 丸山重威
◆あなたとランチを〈№46〉
さあこれから飛ぶぞ … ランチメイト・大久保賢一先生×佐藤むつみ
◆改憲動向レポート〈№15〉
「憲法9条改正など私たちにはありえない。世界の真珠だ」(国文学者・中西進先生) … 飯島滋明
◆トピックス●いまなぜ西暦併用アピールなのか … 稲 正樹
◆時評●「裁判所にだけは行きたくない!」「弁護士のお世話にはなりたくない!」 … 今 瞭美
◆ひろば●不便にして、かつ有害。日常生活からの元号排除を … 澤藤統一郎

「法と民主主義」(略称「法民」)は、日民協の活動の基幹となる月刊の法律雑誌です(2/3月号と8/9月号は合併号なので発行は年10回)。毎月、編集委員会を開き、全て会員の手で作っています。憲法、原発、司法、天皇制など、情勢に即応したテーマで、法理論と法律家運動の実践を結合した内容を発信し、法律家だけでなく、広くジャーナリストや市民の方々からもご好評をいただいています。定期購読も、1冊からのご購入も可能です(1冊1000円)。

お申し込みは、下記のURLを開いて、所定のフォームに書き込みをお願いいたします。なお、2019年6月号は、通算539号になります。

https://www.jdla.jp/houmin/form.html

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◆特集にあたって

 内閣支持率を支えてきたアベノミクスは、崩壊する過程に入ったと思う。
 内閣府が公表する景気動向指数が2019年1~3月期、4月期と連続して「悪化(景気後退の可能性が高い)」になった。株価や不動産価格が高かったのは、日本銀行が莫大な国債を買って金融緩和を続け、株、不動産信託を購入して買い支えてきたからだ。国の借金は鰻登りに増加したが、成長戦略は失敗し、名目GDPは停滞したままである。膨大な財政負担だけが残った。
他方、アベノミクスは国民生活に深刻な危機をもたらしている。
老後の資金形成で「およそ2000万円必要になる」などとした金融庁の審議会がまとめた報告書が国民に大きな不安をもたらしている。
 社会保障制度だけでなく、実質賃金及び家計消費の低下、地域経済の衰退、地銀・信金の経営悪化、内需の衰退、貿易収支の赤字化など、国民生活全般に深刻な危機が生じている。戦後憲法のもと築かれてきた社会保障制度、雇用・賃金を保障する労働基本権制度、所得再分配機能を持った税制度、地域を活性化させる地方自治制度などが、アベノミクスによって加速度的に壊されている。

 本特集は、本年7月に予定されている参議院議員選挙を前にして、アベノミクスが日本経済と国民生活の深刻な危機をもたらしていることを明らかにし、アベノミクスから抜本的に転換する経済政策を展望しようというものである。

 浜矩子氏(同志社大学教授)は、グローバル経済の中でのアベノミクスの特異性として、①国家主義を標榜する最もたちの悪い「ディグローバル」(国境を越えた人々のつながりの破壊)であること、②キャッシュレス化(実は、物理的現金から電子的現金に現金決済の形態を切り替えること)を推進し、権力が市民の現金取引を捕捉しようとしていること、③ギグエコノミー化(フリースタイルで働くこと)と称して、働く人々の人権を蔑ろにし、生産性向上のために使おうとしていること、そしてこの三つが関連し合っていることを指摘している。
 山本義彦氏(静岡大学名誉教授)は、ナチスが経済を安定させてナチズム体制を構築したのと同様に、第二次安倍政権が経済の浮揚によって改憲を実行しようとしていることを喝破した上で、アベノミクスの6年間が給与水準の低下、消費税増税や年金給付の低下をもたらして国内市場を制約していると指摘し、給与条件の向上、正規労働力の本体化、中小企業の生産活動の強化、法人税の適切な負担、介助労働の条件向上など、アベノミクスと真反対の方向に舵を切ることを展望している。
 二宮厚美氏(神戸大学教授)は、安倍政権7年間で社会保障費の削減が4兆2720億円に及び、圧縮されたのが医療・年金・介護の高齢者向けの福祉(「高齢者三経費」)であること、削減の理由として「高齢者三経費」の対応に消費税率10%への引き上げが必要(「社会保障・税一体改革」)と述べていたことを明らかにした上で、安倍政権はその後「一体改革」に代えて「全世代型社会保障」のキャッチフレーズを持ち出し、消費税増税後も高齢者三経費に回さないで済まし、社会保障費削減を基調とする政策を続けるとしており、ペテンであると鋭く問題を指摘している
 浦野広明氏(立正大学法学部客員教授)は、安倍政権の消費増税8%によって、①消費支出が減って今に続く深刻な不況を引き起こしたこと、②消費税収入の大部分が法人税減税の穴埋めと軍事費に消えたこと、③消費税は企業の(利益+賃金)にかかるので、企業の外注化を促してリストラを促進したことなどを指摘した上、消費税増税を中止して人権を基軸とした税制(応能負担の原則・税金を福祉に使う)に転換することを展望する。
 加瀬和俊氏(帝京大学教授)は、安倍内閣による漁業・農業の「成長産業化」方針の下で、漁業法が大幅に改変され、企業的経営体が優良漁場を優先的に確保し、免許された海面を私有地のように排他的に占有し続ける仕組みが作られ、①小規模漁業者を排除し、②都道府県行政を国の付属物とみなし、③現場の実情を軽視していると指摘している。アベノミクスによって、漁業のみならず地域経済全体が壊されようとしている。
 醍醐聡氏(東京大学名誉教授)は、アベノミクスにおける財政について、防衛関係費の後年度負担残高の伸びが大きいこと、装備品の価格や納期は米政府が主導しており、米側の納品書と精算書の記載に食い違いがあったこと、その一方で、市民生活に直結する社会保障関係費と地方交付税ののびが大幅に抑制されてきたことなどを指摘している。

 アベノミクスからの政策転換を、広く訴え、安倍内閣を追いつめ、日本国憲法がかがげる人間らしい生活を取り戻す闘いのために、ともに頑張りましょう。
〈「法と民主主義」編集委員会・南典男(弁護士)〉

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「ひろば」(執行部関係者の巻末コラム)欄は、私(澤藤)が書いた。「不便にして、かつ有害。日常生活からの元号排除を」という標題。

4月1日に新元号が発表され、5月1日新天皇就任となった。だからといって世は何も変わらず、また変わってはならない。にもかかわらず、メディアは浮き足立ち、これに乗せられた人々の「代替りフィーバー」「令和フィーバー」現象である。政権の思惑どおりであったろう。
30年前は下血報道が長く続いた後の天皇の死に伴う交替劇だった。国民に前天皇の死に対する弔意が求められ、日本社会の少なからぬ部分が唯々諾々とこれに従った。歌舞音曲の自粛が申し合わされ、大きな社会的同調圧力が可視化された。
あのとき、よく分かった。天皇を「国民統合の象徴」としている憲法規定は、ナショナリズム喚起の有用な道具なのだ。対内的・対外的な国民統合の道具は、政権にとって便利な統治の装置なのだ。
今回の新天皇就任には、天皇の死が伴っていない。国民主権原理を逸脱した前天皇のメッセージが生前退位容認の特例法となったからだ。そのために、今度は祝意強制の圧力が蔓延した。新天皇就任祝意一色のメディアの垂れ流し、前天皇礼賛の提灯記事・提灯番組の羅列が大きな役割を果たした。その提灯メディアに乗せられて、戦前・戦中を彷彿とされる提灯行列までが行われたという。
「住民たちがちょうちんを振ったり万歳三唱をしたりして歓迎の気持ちをあらわすと、両陛下は、上下左右にちょうちんを振ってこたえられました。…… 両陛下の姿が見えると住民から歓声があがり、両陛下は、何度も手を振ってこたえられていました。」というのが、NHKの報道である。ここに、主権者の姿はなく、臣民の残滓が見えるのみ。
あらためて、象徴天皇制礼賛ないし受容のイデオロギーとの対峙が課題となっているが、その課題は、象徴天皇制を支える小道具との日常生活での対決として具体化する。その中で最重要のテーマが、「日の丸・君が代」強制への抵抗と、元号使用の拒否であろう。
元号という紀年法は、天皇の在任期間と緊密に結びつけられた天皇制の付属制度であることから、その表記が通用する地域は限定され、存続期間も有限である。明らかな欠陥紀年法。ビジネスには、不便極まりなく、国民生活にも元号は廃れつつある。先年、ある皇族女子の婚約記者会見での発言が、すべて西暦で語られていたことが話題となった。
ところが、裁判所は5月1日以後文書の日付に新元号を使い始めた。当然に、事件番号もである。訴状や準備書面の主張部分はすべて西暦を用いても、固有名詞である事件番号は元号を用いるしかない。そこで、裁判所を孤立させたい。弁護士はすべからく、西暦を使おうではないか。そうすれば、やがては法律文書も、判例検索もすべて西暦表記に統一せざるを得なくなる。
もっとも、現状は楽観できない。人権派と思しき弁護士の元号使用に愕然とすることがある。本誌への寄稿にも、時に元号表記があって戸惑わざるをえない。
時代遅れの元号表記、不便というだけではない。国民の主権意識覚醒の障害として有害なのだ。日常性から排除しなければと思う。(弁護士 澤藤統一郎)

(2019年6月30日)

戦争は絶対に厭だ。われら庶民、儲けと権力欲の「戦争屋」にだまされてなるものか。

「戦争屋にだまされない厭戦庶民の会」から、厭戦庶民』の32号と33号が届いた。小さなパンフだが、とても面白い。充実している。肩肘張らないつぶやきもあれば、肩肘張った論文もある。石川逸子さんの詩もあり、みごとな替え歌もあり、言葉遊びもある。肩書を「弁護士・平和委員会代表理事」として内藤功さんも書いている。多くは、神奈川県内の活動家、それも元気溢れる高齢の方の発言集。

この会は、名物活動家・信太正道さんが主宰していた。元特攻隊員だったが出撃寸前に敗戦となって命ながらえた方。戦後は海上保安庁職員、海上自衛隊、航空自衛隊をへて日航機長となった。徹底した非戦論者で、9条改憲阻止の信念と活動に揺るぎがなかった。

信太さんは2015年11月10日に亡くなられたが、その遺志を継ぐ人々が「戦争屋にだまされない」とする、「厭戦庶民の会」の活動を続けているのだ。ひとりの人の熱意が、その人の死後にも他の人に受け継がれる好例。

この会の会則は、9か条ある。その第9条が、以下のとおりである。
「(不戦の誓い)私たちは、戦争を放棄し、軍備および交戦権を認めません」

「改憲的護憲論」には反対を明確にしたうえ、反アベ政権の運動においては、そういう人とも批判的に共闘を、という学習会の報告もなされている。

時節柄、天皇や天皇制、元号に関わる論稿が多い。象徴天皇制を厳しく指弾する意見もある。こんな記事が目を惹いた。

「私は天皇制は勿論、天皇の存在そのものに絶対反対なのです。」という立場を明確にした方の、かなり長い論文の次の一部分。

「戦直後、当時の共産党を中心に、天皇制打倒が叫ばれた。しかし、そこには天皇制の捉え方について、二つの意見があった。
 一つは、徳田球一書記長のとらえ方=天皇とは、どう言い繕っても、排他的民族主義・侵略性の思想を秘めた国のトップである。今こそ(この敗戦という大転換期に)即これを無くさないかぎり、いかなる共和的民主国家も出来得ない。というもの。
 今一つは、野坂参三に代表されるとらえ方=天皇には二つの側面がある。一つは絶対的天皇制権力機構であり、他方は宗教的側面である。天皇制権力機構は即廃絶すべきであるが、他の天皇の宗教的側面は国民が天皇を慕っているのだから、今、それをも即打倒というべきでなく、後の、国民投票によるべきだ。        そして結果的に…いろんな経緯はあるとしても日本の新憲法に、この野坂泰三氏の思想が取り入れられた。
 天皇の制度権力機構は廃止する。しかし日本国の象徴として天皇を残す。である。」

 「天皇制の忌まわしさにおいて、その独裁的権力機構と、その宗教的といえる精神的なもの象徴天皇制とどちらが恐ろしいか、私に言わせれば後者です。」

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そして、紹介したいのが、疎開世代の「戦争体験」。

美空ひばり「一本の鉛筆」と
「日米安保闘争」
私の「厭戦」の原点です
長谷川徑弘(84歳)

 毎年5月の「平和のための戦争展inよこはま」に「美空ひぱり~一本の鉛筆」の展示を担当して久しくなります。
         ◇
 これには、私が「太平洋戦争」下、横浜から箱根に集団疎開していた時に、母親が「粗末な便箋に鉛筆書きの手紙」を毎月1通出してくれた思い出があるからです。
 今年(2019年)6月24日は美空ひぱり没後30年です。
 新聞・TVなどで、回顧番組があるでしょうが、「一本の鉛筆」の紹介があるかどうか。若い人たちには、「ひぱり」が、忘れられてきているかも、気がかりです。
         ◇
 「一本の鉛筆」のメロディも歌詞も、淡々としていますが、共に彼女の心情をこめた最高のものです。メロディは低音域でゆったりした3拍子。
 歌詞には
 「一本の鉛筆があれば戦争はいやだと私は書く」
 「一枚のザラ紙があれば あなたをかえしてと私は書く」
 「一本の鉛筆があれば 8月6日の朝と書く」
 「人間の命と書く」

 「ザラ紙」は「わら半紙=上質紙に対して下等紙」の事。
          ◇
 こうした歌詞が、私が疎開先で受け取った母からの「便箋に鉛筆書き」の手紙とダプルのです。
 その母は、5・29横浜大空襲の後の6月9日、産後の体を壊して他界。赤子も後を追う。私と妹は集団疎開先に居て、母の死に顔を見られなかった。
 「母を返して」。

 こんな事も。戦後、親戚預けになった弟2人が、他人様への気苦労人生でか、数年前に病み他界。今、残りは、年長組の兄・私・妹の3人。人生が逆さまになった。
         ◇
 「戦争体験者」は、「戦争体験」を語り続けなければなりません。「過去」の先に「現在と未来」があるから。
 ひばりさんは、横浜大空襲の前、4月16日の磯子地区の“はみ出し爆撃”で被災して。
         ◇
 私の住まいの玄関脇に「一本の鉛筆~ひばり」の手製ボード、メーデーなどには手製プラカー
ドを抱えて出かけます。どこかで見かけたら、私です。
 私のもう一つの。“厭戦”は、「日米安保条約」です。
①1952年「旧安保」(「起ちあがれ(安保破棄の歌)」、
②1960年「新安保」(子ども遊び「アンポハンタイ」/6・23全国統一行動)、

③1970年「10年固定期限終了・安保廃棄6・23集会各地で盛り上がる」。
         ◇
この後、「安保闘争」は影が薄くなって、はや50年・半世紀になろうとしています。
 私は、「諸悪の根源・日米安保条約」と指摘する畑田重夫先生(95歳)からいただいた「生涯学習・生涯青春」の直筆色紙を、机前に貼りつけ、がんぱっています今、84歳。

今、このような無数の先輩たちが、「改憲阻止」「安倍ヤメロ」の運動の先頭にいる。
(2019年6月25日)

みなさま。今度の参院選は、憲法「改正」を阻止するための重要な選挙です。

ご近所のみなさま、ご通行中の皆さま。こちらは、本郷湯島九条の会です。
私は、本郷5丁目の弁護士ですが、日本国憲法とその理念をこよなく大切なものと考え、いま、憲法の改悪を阻止し、憲法の理念を政治や社会に活かすことがとても大切との思いから、志を同じくする地域の方々と、九条の会をつくって、ささやかながら憲法を大切しようという運動を続けています。

会は、毎月第2火曜日の昼休み時間を定例の街頭宣伝活動の日と定めて、ここ本郷三丁目交差点「かねやす」前で、改憲阻止と憲法理念の実現を訴えて参りました。とりわけアベ政権の、憲法をないがしろにする姿勢を厳しく糾弾しつづけてまいりました。

さて、みなさま。今通常国会は、6月26日で閉会となります。会期の延長はなく、総選挙との同日選もない模様。7月4日に参院選の公示となり、21日投開票の見通しです。
この参院選挙の争点はなんでしょうか。真正面から、「憲法改正の是非を問う選挙」と言って差し支えないと思います。そのため、大切な選挙戦となって

安倍晋三という政治家がいます。歴史修正主義者で、政治の私物化に余念のない人物。こんな男を、内閣総理大臣にしているのが、今の時代の空気なのです。総理大臣と言えば、行政のトップで、憲法を遵守し擁護すべき義務を負う立場。にもかかわらず、彼は、日本国憲法が大嫌い。改憲に執念を燃やしています。本当は全面的に憲法を変えたいのだけれど、それは到底無理だから、手はじめにせめて4項目だけを変えたい。これが、彼の改憲論です。4項目の筆頭には、「9条改正」が掲げられています。9条1項と2項をそのまま残すと言いながら、これを死文化させるのが、「アベ流9条改憲論」にほかなりません。

彼の改憲論は、自民党の参院選選挙公約の6本の柱の中に、しっかりと書き込まれました。この自民と、これを支持する公明・維新の3党が、改憲派です。

公明・維新以外の野党が、改憲阻止勢力。全国に32ある参院選挙一人区のすべてで、立憲主義を大切しようという野党が、市民連合を仲介者として、13項目の共通政策をもって候補者調整をすることに合意しました。その13項目の筆頭が、「改憲を許さない、国会での改憲の発議を許さない」という改憲阻止の政策です。

こうして、「改憲派3党」対「改憲阻止の野党共闘」という構図ができあがり、改憲をめぐっての選挙戦が始まろうとしています。

もちろん、選挙の争点はけっして改憲の是非にとどまるものではありません。しかし、ほとんどの具体的な政策の対立は改憲の是非に重なり、改憲問題に収斂すると言って過言ではありません。

たとえば、沖縄・米軍辺野古新基地建設強行問題。あるいは1機100億円を超すF35を105機も購入するというバカげた予算の使い方。どちらも結局は、9条の平和主義と武力による安全保障という基本的な立場のせめぎ合いではありませんか。

またたとえば、消費税10%への増税の可否。庶民に優しい税制なのか、金持ち優遇の税制を進めるのか。憲法25条が定める福祉の理念を進めるのか退歩させるのかの問題にほかなりません。

原発再稼働反対。最低賃金を全国一律で、時間給1500円に。選択的夫婦別姓の実現。いずれも、憲法の理念からは当然の政策です。

みなさま。日本国憲法とは、人権の尊重・民主主義の徹底、平和と国際協調を唱った法体系です。今必要なのはその改正ではなく、憲法に盛りこまれている豊かな理念を現実のものとする努力ではないでしょうか。

7月の参院選は、憲法の命運にとっての大切な選挙です。平和を望むみなさま。人権や民主主義を大切に思うみなさま。労働条件の改善や、子育ての環境の充実、障がい者やお年寄りに優しい、手厚い福祉社会の実現を希望するみなさま。ぜひ、自民・公明・維新の改憲勢力にではなく、共通政策を掲げる野党共闘の陣営をご支援いただきたいのです。

今、お配りしているビラの裏面に、野党の共通政策13項目を記載しています。ぜひとも、お読みください。よろしくお願いします。

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1 安倍政権が進めようとしている憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力を尽くすこと。

2 安保法制、共謀罪法など安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律を廃止すること。

3 膨張する防衛予算、防衛装備について憲法9条の理念に照らして精査し、国民生活の安全という観点から他の政策の財源に振り向けること。

4 沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行うこと。さらに、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること。日米地位協定を改定し、沖縄県民の人権を守ること。また、国の補助金を使った沖縄県下の自治体に対する操作、分断を止めること。

5 東アジアにおける平和の創出と非核化の推進のために努力し、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止向けた対話を再開すること。

6 福島第一原発事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意などのないままの原発再稼働を認めず、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指すこと。

7 毎月勤労統計調査の虚偽など、行政における情報の操作、捏造の全体像を究明するとともに、高度プロフェッショナル制度など虚偽のデータに基づいて作られた法律を廃止すること。

8 2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること。

9 この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能とするための保育、教育、雇用に関する予算を飛躍的に拡充すること。

10 地域間の大きな格差を是正しつつ最低賃金「1500円」を目指し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立し、貧困・格差を解消すること。また、これから家族を形成しようとする若い人々が安心して生活できるように公営住宅を拡充すること。

11 LGBTsに対する差別解消施策、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員間男女同数化(パリテ)を実現すること。

12 森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。幹部公務員の人事に対する内閣の関与の仕方を点検し、内閣人事局の在り方を再検討すること。

13 国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること。

(2019年6月11日)

参院選野党共闘態勢成立を歓迎 ー 「政策協定」と一人区の統一候補擁立

間近に迫った参院選の野党共闘態勢が成立した。けっして、確固たるものとは言い難く、安心して見ていられるものでもないが、ようやく形ができ上がったたことを歓迎したい。あとは、この形にどう魂を吹き込むかが課題となる。

昨日(5月29日)、市民連合と5野党・会派が「共通政策」に合意した。形式は、市民連合の要望13項目に、5野党・1会派の代表が、「上記要望を受け止め、参議院選挙勝利に向けて、ともに全力で闘います」として、署名したものである。まずは、この内容に目を通していただきたい。

市民連合の要望書
来る参議院選挙において、以下の政策を掲げ、その実現に努めるよう要望します。

だれもが自分らしく暮らせる明日へ
1 安倍政権が進めようとしている憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力を尽くすこと。
2 安保法制、共謀罪法など安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律を廃止すること。
3 膨張する防衛予算、防衛装備について憲法9条の理念に照らして精査し、国民生活の安全という観点から他の政策の財源に振り向けること。
4 沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行うこと。さらに、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること。日米地位協定を改定し、沖縄県民の人権を守ること。また、国の補助金を使った沖縄県下の自治体に対する操作、分断を止めること。
5 東アジアにおける平和の創出と非核化の推進のために努力し、日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止に向けた対話を再開すること。
6 福島第一原発事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意などのないままの原発再稼働を認めず、再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指すこと。
7 毎月勤労統計調査の虚偽など、行政における情報の操作、捏造(ねつぞう)の全体像を究明するとともに、高度プロフェッショナル制度など虚偽のデータに基づいて作られた法律を廃止すること。
8 2019年10月に予定されている消費税率引き上げを中止し、所得、資産、法人の各分野における総合的な税制の公平化を図ること。
9 この国のすべての子ども、若者が、健やかに育ち、学び、働くことを可能とするための保育、教育、雇用に関する予算を飛躍的に拡充すること。
10 地域間の大きな格差を是正しつつ最低賃金「1500円」を目指し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立し、貧困・格差を解消すること。また、これから家族を形成しようとする若い人々が安心して生活できるように公営住宅を拡充すること。
11 LGBTsに対する差別解消施策、女性に対する雇用差別や賃金格差を撤廃し、選択的夫婦別姓や議員間男女同数化(パリテ)を実現すること。
12 森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽(いんぺい)の疑惑を徹底究明し、透明性が高く公平な行政を確立すること。幹部公務員の人事に対する内閣の関与の仕方を点検し、内閣人事局の在り方を再検討すること。
13 国民の知る権利を確保するという観点から、報道の自由を徹底するため、放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築すること。
                                                        2019年5月29日
 私たちは、以上の政策実現のために、参議院選挙での野党勝利に向けて、各党とともに全力で闘います。
 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

上記要望を受け止め、参議院選挙勝利に向けて、ともに全力で闘います。
立憲民主党代表 枝野幸男
国民民主党代表 玉木雄一郎
日本共産党委員長 志位和夫
社会民主党党首 又市征治
社会保障を立て直す国民会議代表 野田佳彦

この政策協定を手放しで満点というつもりはない。しかし、ここまでの合意をまとめ上げた関係者の努力には敬意の表明を惜しまない。

なんと言っても、今回の参院選には、日本国憲法の命運がかかっている。「改憲阻止選挙」でなくてはならない。自公維の改憲勢力に、改憲阻止の野党共闘が対峙する構図がつくられなければならない。いま、その形ができたのだ。

「改憲阻止」「改憲発議阻止」「安保法制廃止」「防衛予算削減」「辺野古新基地建設中止」そして、「原発再稼働反対」「消費増税中止」がきちんとはいっている。

念のためテーマを羅列すれば、下記のとおり、アベ政治と対決する政策が網羅的に並んでいる。
「改憲阻止」「改憲発議阻止」「安保法制廃止」「共謀罪法制廃止」「防衛装備膨張見直し」「防衛予算削減」「辺野古新基地建設中止」「環境の回復」「普天間早期返還」「日米地位協定改定」「沖縄県民の人権を守れ」「国の沖縄県下自治体への地方自治権侵害をやめよ」「東アジアにおける平和の創出と非核化」「北朝鮮との国交正常化」「拉致問題解決」「核・ミサイル開発阻止に向けた対話を再開」「現状での原発再稼働を認めない」「再生エネルギーへの転換による原発ゼロ実現」「行政における情報の操作、捏造の究明」「関連法の廃止」「消費税率引き上げを中止」「総合的な税制の公平化」「保育、教育、雇用に関する予算の飛躍的拡充」「最低賃金1500円を目指す」「8時間働けば暮らせる働くルールの実現」「貧困・格差の解消」「公営住宅拡充」「LGBTsに対する差別解消施策」「女性に対する雇用差別賃金格差撤廃」「選択的夫婦別姓・議員間男女同数化(パリテ)実現」「森友学園・加計学園及び南スーダン日報隠蔽の疑惑を徹底究明」「透明・公正な行政の確立「内閣人事局の在り方を再検討」「放送事業者の監督を総務省から切り離し、独立行政委員会で行う新たな放送法制を構築する」。

この政策協定成立と同時に、新たに19の参院選1人区で野党統一候補を擁立することの合意もできた。これで、全国32ある参院選1人区のうち合計30選挙区で、野党統一候補を擁立することでの合意に至ったことになる。合意に至らずに残されたのは、国民と社民党が競合する鹿児島と、擁立作業が進んでいない宮崎の2県のみ。30選挙区の公認予定者の内訳は、無所属14、立憲7、国民民主5、共産3。なお、佐賀は国民が擁立作業中という。

もっとも、この文書の性格について全党が一致というわけではなさそうである。しかし、各党の代表者が、「上記要望を受け止め、参議院選挙勝利に向けて、ともに全力で闘います」との文言を承認して、署名をしたのだ。その上での各選挙区での候補者調整である。それだけの重みは否定し得ない。そもそも、政党間の政策協定とは、法的拘束力をもつ契約書ではない。政治的、道義的なものだ。後は、反アベ・反自公の改憲阻止勢力糾合を確かなものとする努力を積み上げていくしかない。

当然に、右派勢力はこれにケチをつけようとする。たとえば、産経。「参院選候補者一本化も野党はや不協和音」という見出しでの報道。

「野党党首らは会談後、野党共闘を支援する『安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合』の代表者らと国会内で会い、『憲法9条「改定」反対』など左派色の強い13項目にわたる政策要望書にサインした。

「共産党の志位和夫委員長はその後の記者会見で『市民と野党の共通政策として調印された。野党共闘の政策的な旗印が鮮明に翻った』と歓迎。要望書で示された政策を参院選の『共通公約』と位置づけた。」

これに対し、国民民主党の幹部は『要望書を受け取ったことを示すためにサインしただけだ。共通公約ではない』と真っ向から否定した。」

との記事。「国民民主党の幹部」とは、まさか玉木代表ではあるまい。「要望書を受け取ったことを示すためにサインしただけだ。」は、誓約文言の内容に照らして、明らかにおかしい。しかし、要は「真面目に共闘に参加せず、こんな後ろ向きなことを言っていれば置き去りにされる」と、「国民民主党の幹部」にも思わせるだけの空気を作れるか否かなのだ。

朝日の報道は前向きである。「立憲の枝野幸男代表は会談後、「候補者の一本化はスタートラインだ。地域事情に応じて、各党とも最大限の努力をする」。国民の玉木雄一郎代表も「応援態勢を一つにして当選につなげる」と述べ、野党間の協力態勢の構築が必要だとの認識を示した。」としている。

また、朝日は、「改選数1の1人区で、野党は6年前に2勝29敗と惨敗。全選挙区で候補者を一本化した3年前は11勝21敗と持ち直した。複数区のように与党と議席を分け合うことがないため、野党は「1人区の趨勢(すうせい)が参院選の勝敗に大きく影響する」(立憲の福山哲郎幹事長)と重視してきた。国民幹部は「前回の11勝が最低目標だ」と語る。」

さらに朝日は、「5月の連休明けを目指した一本化の決着は大幅にずれ込んだ。さらに6年前に大敗した影響で、野党の現職の立候補予定者は国民の1人のみ。野党内では『新顔は地域への浸透に時間がかかる。一本化は遅すぎた』(閣僚経験者)との懸念が出ている。」とも報じている。なるほどそうかも知れない。

日本国憲法の命運を決する選挙戦、ここからスタートである。
(2019年5月30日)

与党提出の改憲手続法改正案採決と衆参憲法審査会の開催に、断固反対する法律家団体の緊急声明

はじめに

自由民主党や日本維新の会などは、継続審議となっている「日本国憲法の改正手続きに関する法律」(以下「改憲手続法」という。)改正案の今国会成立を狙い、衆議院憲法審査会での審議・採決を強行する構えを崩していない。自民党は夏の参議院選の公約に自衛隊明記の9条改憲案など4項目の改憲案を列記し「早期の憲法改正を目指す」こと、継続審議となっている改憲手続法の早期成立を目指すことを明記する調整を進めていると報道されている。

改憲問題対策法律家6団体連絡会は、自民党4項目改憲案に強く反対し、改憲手続法改正案の採決と現時点の衆参両院の憲法審査会の開催に断固として反対するものである。

1 安倍自民党による改憲発議を許してはならない―自民党9条改憲案は9条2項を空文化させて海外での戦争を可能にする

自民党9条改憲案は、「前条の規定は、わが国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。…」とするもので、明らかに憲法9条2項の空文化を狙うものである。「必要な自衛の措置」の名目でフルスペックの集団的自衛権の行使が憲法上可能となり、憲法の平和主義の原理を葬り、アメリカ軍の指揮の下で何時でもどこでも海外で戦争ができる国へ転換を図るものである。これらの本質を隠し、「自衛隊の任務・権限は変わらない」などと国民を欺き、安倍首相の主導のもと数の力で9条の改憲発議を行う暴挙を許してはならない。

また、自民党の緊急事態条項に関する改憲案は、軍事的な緊急事態における内閣の権限拡大と人権の大幅な制限に利用される危険性がある。大地震などの自然災害に対応するためであれば、すでに災害対策基本法や大規模地震対策特別措置法などによって規定されており、緊急事態条項に関する改憲の必要性はない。

合区解消の改憲案は、憲法の基本原理である国民主権や普遍的価値を有する平等原則を著しく損なうものである。合区にかかわる問題の解消は、議員の総定数の見直しや選挙制度の抜本的な改革など法律改正で実現できるのであり、改憲は必要ない。

自民党の教育に関する改憲案は、教育が「国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担う」として教育への国家介入を正当化する危険がある。教育の充実は、国会と内閣がその気になれば、法律や予算措置で可能であり、改憲は必要ない。

以上のとおり、自民党の4項目改憲案は、いずれも改憲の必要性・合理性を欠くうえに、日本国憲法の基本原理である平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を破壊するものであり、安倍自民党による改憲発議を断じて許してはならない。

2 国民不在のまま、安倍自民党改憲のための憲法審査会を開催してはならない

安倍首相は、内閣総理大臣の資格に基づいて憲法改正を推進する主張を繰り返している。「憲法尊重擁護義務」(憲法99条)を負う首相や国会議員が改憲を主導することは憲法に違反する。憲法改正は、国民の中から憲法改正を求める意見が大きく発せられ、世論が成熟した場合に限り行われるべきものである。今、国民の中で改憲を望むのは少数であり世論は全く熟していない。

憲法によって公権力を制約し、国民の権利・自由を保障するのが立憲主義である。憲法に拘束される権力の側が、国民を差し置いて憲法改正を声高に叫び、発議に向けた憲法審査会の開催を「ワイルド」に野党に迫るようなときは、憲法審査会が安倍自民党4項目改憲のために悪用されることを十分に警戒しなければならない。立憲主義を守るために憲法審査会を開催してはならない。

また、安倍首相は2020年に新しい憲法を施行すると明言して改憲ありきの立場であり、これまでの政府与党の政治手法に鑑みれば、現時点で憲法審査会を開催した場合、事実に基づく慎重な議論が行われることは期待できず、強引な議論で多数派の要望のみが実現される危険性が極めて高い。憲法審査会の伝統たる「熟議による合意形成」を尊重するのであれば、事実に基づく議論が期待できない現在の政治状況において、憲法審査会を開催すべきではない。

3 改憲手続法改正案は重大な欠陥があり、このまま成立させてはならない

継続審議となっている与党提出の改憲手続法改正案は、名簿の閲覧、在外名簿の登録、共通投票所、期日前投票、洋上投票、繰り延べ投票、投票所への同伴の7項目で、2016年に成立した公職選挙法改正の内容にそろえて国民「投票環境を向上させる」ためなどと与党は説明する。しかし、投票環境の後退を招くもの(期日前投票時間の短縮、繰り延べ投票期日の告示期限の短縮)も含まれていたり、郵便投票の対象の拡大については見送りとされている。何より、テレビ・ラジオの有料広告規制が、投票前2週間の投票運動のみに限定されていて、「国民投票を金で買う」危険性が考慮されていない本質的な欠陥があるほか、公務員・教育者に対する規制の問題、最低投票率の問題が全く解決されていない重大な欠陥のある法案である。

2007年5月の成立時において参議院で18項目の附帯決議、2014年6月の一部改正の際にも衆議院憲法審査会で7項目、参議院憲法審査会で20項目もの改善を約束した附帯決議がなされているほか、日本弁護士連合会をはじめとする法律家・法律家団体からも早急な見直しが求められている。このように重大な欠陥のある法案を急ぎ成立させる理由は全くない。それは、安倍首相が目指す臨時国会での改憲4項目発議の環境を整えるものでしかない。

以上

2019年5月27日

改憲問題対策法律家6団体連絡会

社会文化法律センター      共同代表理事 宮里 邦雄

自 由 法 曹 団            団  長 船尾  徹

青年法律家協会弁護士学者合同部会 議  長 北村  栄

日本国際法律家協会        会  長 大熊 政一

日本反核法律家協会         会  長 佐々木猛也

日本民主法律家協会         理 事 長 右崎 正博

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日本民主法律家協会からのお知らせとお願いです。

☆昨日(5月27日)、改憲問題対策法律家6団体連絡会は、「与党提出の改憲手続法改正案採決と衆参憲法審査会の開催に、断固反対する法律家団体の緊急声明」を発出し、官邸、衆参憲法審査会委員全員、各政党、メディア等に送付して執行しました。

本日(5月28日)午前中行われる憲法審査会幹事会までに送り、立憲野党を励ます目的としてのものです。

☆また昨日、法と民主主義」5月号を発刊しました。特集は「いま、ジャーナリズムを問う―本当に伝えるべきことは何か」。

各分野から、いまのジャーナリズムのあり方を批判的視点で論じています。

さらに、4月22日の院内集会「安倍政権と取材の自由」における東京新聞・望月衣塑子記者の講演とパネルディスカッションなど、興味深い記事が今月号も満載です。

特集★いま、ジャーナリズムを問う── 本当に伝えるべきことは何か

◆特集企画にあたって … 編集委員会・丸山重威
◆災害と報道 … 礒野弥生
◆自衛隊タックシール問題について … 藤井美保
◆原発と五輪プロパガンダ … 中村梧郎
◆沖縄の民意が問い掛けるもの … 西江昭吾
◆消費税は社会保障を削る… 浦野広明
◆統計不正疑惑── 揺らぐ日本の統計 … 岡田俊明
◆「徴用工」「慰安婦」問題と歴史認識の課題 … 石山久男
◆公文書は誰のものか?── 一連の公文書問題から考える… 榎澤幸広
◆不正と虚飾の東京五輪 … 喜久山大貴
◆突出する軍事費と2019年度予算の特徴 … 熊澤通夫
◆象徴天皇制を論じたか── 仕組まれた「代替わりフィーバー」 … 丸山重威

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■連続企画●憲法9条実現のために〈22〉
安倍政権と取材の自由── ──官邸による取材の自由と国民の知る権利への侵害を跳ね飛ばす院内集会
(改憲問題対策法律家6団体連絡会主催・院内集会より)
◆民主主義とは何か── 安倍政権とメディア … 望月衣塑子
◆パネルディスカッション … 梓澤和幸/永田浩三/望月衣塑子/清水雅彦
◆司法をめぐる動き
・「ネトウヨ」化する裁判所 元朝日新聞記者・植村隆名誉毀損訴訟 … 穂積 剛
・4月の動き … 司法制度委員会
◆メディアウオッチ2019●《メディアは誰のものか》
「アベノ・メディア作り」止まらず 自民党は対若者戦略 … 丸山重威
◆あなたとランチを〈№45〉
みんなに頼りにされて … ランチメイト・尾林芳匡先生×佐藤むつみ
◆改憲動向レポート〈№14〉
「改憲論議は国会議員の責務」といった発言を繰り返す安倍首相 … 飯島滋明
◆インフォメーション
◆時評●「人質司法」は解消されるか … 村井敏邦
◆ひろば●深刻な危機──安倍政権の破綻政策 … 南 典男

ぜひお読みいただき、広げて下さい。

以上を反映してホームページを更新しましたので、こちらもお目をお通し下さい。

https://www.jdla.jp/

https://www.jdla.jp/houmin/

(2019年5月28日)

安倍君、これ以上、沖縄をいじめるのはやめなさい! 大事な憲法をいじるのはやめておとなしく身を引きなさい!

本日は、1947年5月3日に日本国憲法が施行されてから、72回目の憲法施行記念日。もとより、この憲法が理想の憲法というわけではない。一字一句、永遠に手を付けてはならないとする「不磨の大典」でもありえない。旧憲法の残滓を多分に引き継いで、改正を要する部分もあることは当然である。

しかし、72年前に実定憲法となった日本国憲法の主要部分は、人類の叡智の結実というべき近代憲法として、現代日本に有用で貴重なものと言わねばならない。憲法規範とは、社会の現実をリードすべきものであるのだから、社会が憲法に追いついていない以上、規範としての日本国憲法はその貴重な存在価値を失わないのだ。

憲法にはコアの部分の体系とは相容れない大きな例外領域を残している。それが象徴天皇制という憲法の飛び地とも、番外地とも、ブラックホールともいうべき制度。憲法本来の体系とはなじまないこの夾雑物を廃絶することは、真の意味での「憲法改正」である。

政治勢力を革新と保守に二分すれば、日本国憲法制定以来、革新の側は憲法を理想の方向に「改正」する力量を持ちえなかった。いま、天皇制廃絶の「改憲」を提起する実力をもっていない。将来の課題としておくほかはない実情なのだ。

さりとて、保守勢力による「憲法改悪」を許さないだけの力量は、革新が身につけてきたところである。現にこの72年間、保守ないし右翼勢力の改憲策動を封じて、日本国憲法は一字一句変えられていない。

革新陣営に憲法改正を実現する力量なく、さりとて保守勢力にも憲法改悪の実力を欠くことが、長く憲法を改正のないまま推移させてきた。

今また、憲法は、保守ないし右翼の側からの攻撃に曝されて試練の時にある。が、けっして改憲実現が容易な事態ではない。改憲を阻止し憲法を擁護しようという市民の力量には侮りがたいものがある。

本日、この憲法を擁護しようという護憲派の市民集会が、全国の各地でもたれた。東京有明では、その中央集会が開催され、盛会だった。

「2019 平和といのちと人権を! 5・3憲法集会 -許すな!安倍改憲発議-」の会場は人の波で埋まった。天候にも恵まれ、主催者発表で6万5000人の大集会だった。

集会のスローガンは、以下のととおりである。
 私たちは
 安倍政権のもとでの9条改憲発議は許しません
 日本国憲法を守り生かし、不戦と民主主義の心豊かな社会をめざします
 二度と戦争の惨禍を繰り返さないという誓いを胸に、
 「戦争法」の廃止を求めます
 沖縄の民意を踏みにじる辺野古新基地建設の即時中止を求めます
 被災者の思いに寄りそい、原発のない社会をめざします
 人間の平等を基本に、貧困のない社会をめざします
 人間の尊厳をかかげ、差別のない社会をめざします
 思想信条の自由を侵し、監視社会を強化する「共謀罪」の廃止を求めます
 これらを実現するために行動し、安倍政権の暴走にストップをかけます

メインステージでのスピーチは、耳を傾けるに値する気合いのはいったものだった。沖縄・原発・格差・貧困・教育・外国人・差別、そして選挙共闘が話題となった。中でも、永田浩三さんと本田由紀さんの発言は出色だった。東京朝鮮学校生徒の訴えとコーラスも胸に響くものだった。

永田浩三さんのやや長いスピーチを、産経が全文文字に起こしている。「こんな怪しからんことを言っている」という趣旨なのかも知れないが、文字で読み直すと、あらためて覚悟を決めた発言の迫力が伝わってくる。しかもその迫力を包み込んだユーモアが耳に心地よい。主要なところを抜粋して、紹介させていただく。これで、会場の雰囲気を感じていただきたい。

「皆さん、こんにちは。32年間、NHKでプロデューサー、ディレクターをしていました。今は大学の教員として若者とともにドキュメンタリーを作ったりしています。今日は、総理の仕事をしている安倍晋三君について話したいと思います。知らない人は、あの嘘つきといえば思い出されるかもしれません。

 私と安倍君は同じ1954年生まれです。同じ学年には志位和夫君、前川喜平君、ドイツの首相、メルケルさんがいます。安倍君は福島原発事故の後、すぐに原発をやめると決めたメルケルさんとは相性が良くないみたいですし、加計学園の獣医学部を作るのが、いかに無理筋だったかを証拠立てて語る前川君が苦手なようです。あと志位和夫君も苦手みたいです。

 私たち1954年生まれは、皆、戦後民主主義教育の申し子です。日本国憲法の3つの柱、『国民主権』『基本的人権の尊重』『平和主義』がどれほど大事なのか、小学校や中学校でしっかり学んだんです。先生たちも熱心でした。
 
 小学校4年生のとき、東京五輪がありました。オリンピックは参加することにこそ意義がある。日の丸が上がるかどうかは関係ない。優れた競技やすごい記録に拍手を送るんだ。アベベ、チャフラフスカ、ショランダー…。柔道で神永昭夫がオランダのヘーシンクに負けたときも、ショックはなくて、ヘーシンクに私は拍手を送りました。『日本を、取り戻す。』『がんばれ! ニッポン!』。その旗を振る安倍君、少し了見が狭すぎませんか」

 「大学を卒業し、安倍君はサラリーマンを経て、政治家になり、私はNHKのディレクターになりました。ある時、思いがけない接点ができました。2001年のことです。私は、日本軍の慰安婦として被害に遭った女性たちを扱ったNHKの番組の編集長でした。一方、その時、安倍君は内閣官房副長官。君は放送の直前にNHK幹部たちにちょっかいを出し、番組が劇的に変わってしまいました。永田町でどんなやりとりがあったのか。その後、朝日新聞の取材で輪郭が明らかになっています。私は抵抗しましたが、敗れました。体験したことを世の中に語ることができず、孤立し、長い間、沈黙を続けました。悔しく、また恥ずかしいことです。あのとき君はそれなりの権力者でした。放送前に番組を変えさせるなんて、憲法21条の言論の自由、検閲の禁止を犯すことになり、そのことが世の中にさらされれば、君は今のような総理大臣になっていなかったことでしょう」

 「今、官邸記者会見で、東京新聞の望月衣塑子記者が菅(義偉)官房長官からさまざまな圧力を受け、質問が十分にできない中、それでも、われわれの知る権利の代行者であろうと必死で頑張っています。私には人ごととは思えません。でも、私と大きく違うのは、望月さん自身が勇気を出してSNSや集会で状況を発信し、市民とともに事態を共有することで、ジャーナリストを含めた連帯の輪が広がっていることです。市民とジャーナリストの連帯、メディアを市民の手に取り戻す。希望の光がわずかに見える思いです」

 「安倍君の話に戻ります。君が以前アメリカを訪問したとき、キャロルキングの『You’ve Got a Friend』という曲が好きだと言いましたね。『どんなに苦しいときでも友達でいようよ』。僕も大好きですし、その感覚はわかります。でも、残念だけど、君とトランプ米大統領は友達なんかじゃない。欠陥だらけの高額な兵器を買わされるカモにされているだけです。君には戦争の中で傷ついた人、声を上げられない弱い人を思いやる気持ちが欠けています。君の『You’ve Got a Friend』は友達にえこひいきをし、国の仕組みを私物化することです。それは友情ではない!」

 「友情とはもっと気高く素晴らしいものです。君は実力以上に大事にされました。これ以上、何を望むことがあるでしょうか。同い年、同じ学年として忠告します。『これ以上、日本社会を壊すことはやめなさい! これ以上、沖縄をいじめるのはやめなさい! 大事な憲法をいじるのはやめておとなしく身を引きなさい!』

 「今日は5月3日、32年前、朝日新聞阪神支局で小尻知博記者が銃弾に倒れました。言論の自由が脅かされる社会なんてあってはなりません。ここにお集まりの皆さんが思っておられるのは多分、こうだと思います。リセットすべきなのは、元号ではなく、今の政権なのだと」「今の政権は嘘をつく、今の政権は嘘をついているのです。嘘にまみれた安倍政権こそ終わりにすべきです。心あるジャーナリストとの連帯で、安倍政権を今年中に終わりにさせましょう。ありがとうございました」

(2019年5月3日)

「敵の敵は味方」なのか、そうではないのか。

春。暖かい風が心地よい。しかも、この上ない好天。早朝、不忍池をめぐる。万物が蘇生している。花は紅柳は緑だ。上野の桜は五分咲きというところか。

1963年ちょうど今頃の春の盛りに、私は目黒区駒場にある学生寮の住人となった。北寮と名付けられた棟の3階の壁のペンキの匂いを今も覚えている。完全自治制のその寮の6人定員の各部屋は、部活動の単位で割り当てられていた。私が所属したのは中国研究会。略して「中研」だった。東西対立の厳しい時代、西側陣営には英国以外に新中国を承認する国のなかった当時のことだが、社会主義革命をなし遂げた中国に関心もあり、ここに明るい未来があるように見てもいた。

私は熱心な会のメンバーではなかったが、一通りは中国の近代史を学んだ。そのなかで興味をそそられたのは、国共合作である。誰かがこう言った。「抗争の相手と手を結んで間違わない、中国共産党の戦略と判断力はすごい」「いや、誰が考えても当時はそうするしか選択の余地がなかっんだろう」。さて、どうなんだろうか。

また、誰かが言った。「敵の敵は味方なんだ。そう考えなければ、味方はやせ細るばかり。国民党だって味方と考えなければ、大きな力にはなれない」。うん、そうかも知れない。「いや、敵の敵は味方なんて言っていると、敵と味方の境界が分からなくなる。何のために闘っているのかぼやけてしまわないか」。なるほど、そうなのかも知れない。

私には戦略・戦術の是非はよく分からなかったが、第2次国共合作においては、日本という侵略者が主たる敵であることが明らかで、国民党も共産党もこの主敵と闘うためには協力せざるを得ない歴史的状況があった。その少し前にはフランスで、反ファシズム、反帝国主義、反戦を統一スローガンとして掲げる人民戦線政府が誕生している。

敵の敵は味方というテーゼの一般化は難しい。先日、本郷三丁目で「NHKから国民を守る党」を名乗る人物が旗を立てビラを配っていた。この政党は、明らかに「NHK」を敵としている。私も、NHKを敵とみる立場。では、「NHKから国民を守る党」は、敵の敵として私の味方か。どうもそうではなさそうだ。この政党とお友達とみられたくはない。

このワンイシュー政党、どう見ても胡散くさい。この党の党首は、立花孝志という人物。この人のホームページを見ると、「私はNHKから被害を受けている視聴者・国民を全力で、命がけで、お守り致します」と威勢がよい。その具体的に被害の内容は3類型あるというが、なかなか理解が難しい。
①経済的被害者【受信料支払い者 約50%】
 支払い者【不払い者の分まで支払わされている】
②精神的被害者【受信料不払い者 約50%】
 24時間体制でやって来るNHK集金人【反社会勢力関係者も多数在籍】からの脅迫行為や裁判の被告になってしまうかも?という不安による精神的被害

たった一つよく分かるののは、「③情報的被害者」なる類型の中の、「反日的な報道をされている」という一項目。立花らの立ち位置から見ると、NHKの報道姿勢は「反日」であり、「左に偏向している」ことで、国民に被害を与えている。このNHKの反日・偏向報道被害から国民を全力で守るというのだ。これには驚ろかざるを得ない。

NHKの報道姿勢は、その総体的傾向において政権ベッタリ、対米追随、皇室礼賛というほかはない。その権力批判を忘れさったNHKを、「反日」「偏向」というのがこの政党。「敵の敵」ではあるか、こんな政党を味方と見るわけにはいかない。

また、大阪府・大阪市を牛耳っている大阪維新。私は、維新を民主主義に危険な敵と見続けてきた。ところが今、維新を敵とする主たる勢力は自民である。いうまでもなく、自民党も、私にとっての敵である。改憲を目論む勢力として敵リストの筆頭に位置する。

敵の敵は味方」という公式は、「維新と敵対している自民は味方」とも、「自民と敵対している維新は味方」とも言いうる。さて、今行われているクロス選挙戦どう対応すべきか。

「敵の敵は味方」という一般論は、実は何の指針にもならない。そのときどきで、何が主要なテーマであるかを考え、各勢力の力関係に鑑みて、方針を決するしかない。大阪では、知事・市長を押さえて、大阪都構想を打ち出している維新が主敵。自民大阪と組んでも、維新を倒さねばならない。この判断においては、一般論的公式はなんの役にも立たない。

思えば戦国の昔、七雄は合従連衡を繰り返した。各国の目的は、自国の安泰・他国の併呑という単純さだったが、誰が味方かは、情勢次第で複雑に変化した。

今、改憲阻止が最大の政治課題であり獲得目標である。明文改憲阻止は、現実的に可能な課題であり、万が一にも明文改憲を許すと、取り返しのつかないことになる。そのためには、アベ改憲推進勢力の敵はすべて味方とするしかない。

9条改憲を推し進めようとする者が敵、これを阻止する者が味方。改憲を阻止するためには、味方を増やして敵を孤立させるしか方法はない。ここでは、「敵の敵はすべて味方」だ。国共合作もよし、統一戦線でも人民戦線でもまたよし。肝要なのは、「安倍政権下での改憲阻止」の一点で結集した味方を増やすことに専念するすることだ。

こうして、改憲勢力を孤立させ、7月参院選で改憲勢力から議席を奪うことができれば、しずかな心で、来年の桜を観ることができるだろう。
(2019年3月27日)

自民党「改憲案(4項目)『Q&A』」徹底批判 ― 法律家6団体連絡会

2017年5月3日に始まる、アベ9条改憲」提案。これが、今は4項目の『条文イメージ(たたき台素案)』となっている。『条文イメージ(たたき台素案)』とは、なんとも締まりのないグズグズの体。今の時点で、こんなものしか示せないことが、アベとその取り巻きの苦衷をものがたっている。

この4項目の『条文イメージ(たたき台素案)』なるもの、実は、自民党内部でも手続的に確定したものとは言い難い。党内でも固まっていないこの案を与党協議にかけて、公明との摺り合わせを経なくては与党案作成には至らない。与党案の作成ができたとしても、各議院での議席数は十分ではないから、維新にも擦り寄ってもらわねばならない。自・公・維の「改憲3兄弟」の合意案ができても、ことは憲法改正である。ゴリ押しにはなじまない。野党との協議なしには、「憲法改正原案」の確定には到達しえない。改憲の実現には、迂遠な道のりが必要なのだ。

当初、アベ改憲スケジュールは、「2020年を改正憲法施行の年に」というものだった。誰の目にも、これはもう不可能といってよい。

アベ一人笛吹けど自民党議員すら踊ろうとしないのが今の事態。とりわけ、公明党は、アベと同類のイメージを警戒するに至っている。9条改憲の右翼色を前面に出して、「アベ友一味」「改憲一派」とレッテルを貼られることは、選挙戦に大きなマイナスと読んでいる。むしろ、アベ改憲に抵抗の姿勢を見せることで、「平和の党」「福祉の党」のイメージを取り戻してこそ、統一地方選と参院選を闘えるという算段。

だから、レームダック状態が進行しつつあるアベには、もはや改憲主導の力はない。アベ改憲は無理だろう。これが大方の見方。

ではあるが、安心してよいかと言えば、そうもいかない。アベは、相変わらず、ことあるごとに改憲を吹聴し続けている。もちろん、改憲断念と見られたときには、彼の支持勢力から見捨てられ政治生命が終わる宿命なのだから、「まいった」とも、「改憲方針撤回」とも言えないのだ。そのような事態ではあるが、窮鼠は猫をも噛むというではないか。手負いの猪を侮ってはならない。

窮鼠は、本年2月20日、自民党憲法改正推進本部作成による日本国憲法改正の考え方~『条文イメージ(たたき台素案)』Q&A~」を広報ツールとして、同党所属の国会議員等に配布し、改憲に向けた国民運動に活用するよう指示を出している。あわよくば、これで猫を噛もうというのだ。

窮鼠も手負猪も、侮らずにトドメを刺さなければならない。その手立ての一つとして、改憲問題対策法律家6団体連絡会が、Q&A」に対する徹底批判を末尾のとおりにまとめた。このPDFをプリントアウトすれば、22ページのパンフレットとなる。

この「徹底批判」の「Q」は、「自民党Q&A」のQをそのまますべて転載している。「A」は自民改憲案の改正がなされると実際にはこんなに変わってしまうというオーソドックスな法律家の考えを述べたもの。

昨年5月には、『〔解説〕自民党改憲案の問題点と危険性』というパンフ(100円)を刊行している。「徹底批判」の最終ページにその注文方法が掲載されているので、併せて活用をお願いしたい。このPDFは、自由にお使いいただき、ぜひとも、宣伝・拡散にご協力いただきたい。

なお、改憲問題対策法律家6団体とは、下記のとおり。

社会文化法律センター 代表理事 宮里邦雄
自由法曹団 団長 舩尾徹
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 北村栄
日本国際法律家協会 会長 大熊政一
日本反核法律家協会 会長 佐々木猛也
日本民主法律家協会 理事長 右崎正博

以下に、このPDF版パンフの目次と、自衛隊明記に関する「Q4」と「Q5」の部分を摘記し、最後にPDFを添付する。

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 < 目 次 >

《総論》
Q1 なぜ、今、憲法を改正しようとしているのですか?
Q2 どのような憲法改正を考えているのですか?
Q3 条文イメージの位置付けはどのようなものですか?

《各論 1》「自衛隊の明記」について
Q4 憲法9条について、どのように考えているのですか? ・
Q5 自衛隊を憲法に明記する必要はあるのですか?・・
Q6 シビリアン・コントロール(文民統制)って何ですか?
  それについては、どのような規定を置きますか?・
Q7 徴兵制は復活するのですか?・・

《各論 2》「緊急事態対応」について
Q8 緊急事態条項ってなんですか?
  それがないと困ることがあるのですか?
Q9 どのような場合に緊急政令を定めることができるのですか?・・・・
Q10 緊急政令によって、普段よりも国民の権利が
  制限されることになるのではないですか?
Q11 緊急政令は悪用されないでしょうか?
  独裁などの危険はないのでしょうか?
Q12 大地震によって国政選挙ができない場合はどうするのですか?・・・
Q13 憲法を改正して国家議員の任期の特例を設けなくても、
今ある仕組みで対応できるのではないですか?

《各論 3》 「合区解消・地方公共団体」について
Q14 なぜ、憲法改正により、参議院の合区を解消する必要があるのですか?
Q15 投票価値の平等については、どのように考えているのですか?
  改正は、投票価値の平等との関係で問題はないのですか?
Q16 改正により、参議院議員の代表としての性格は、変わりませんか?
Q17 地方公共団体に関する改正は、どのような意味があるのですか?

《各論 4》「教育充実」について
Q18 なぜ教育に関して憲法改正が必要なのでしょうか?
Q19 憲法改正によって、教育無償化が実現されるのでしょうか?
Q20 憲法改正に伴い、教育について具体的に
  どのような措置がとられることになるのでしょうか?
Q21 私学助成って何ですか?
  私学助成に関わる規定(89条)を改正するのはなぜですか?

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Q4 憲法9条について、どのように考えているのですか?
A 憲法9条が掲げる徹底した平和主義に替えて、日米安保条約などによ
る軍事的対応の強化・拡大を考えています。
「自民党Q&A」は、憲法9条の徹底した平和主義は、「国連の集団安全保障体制の下で日本の平和が守れることを想定して」いたものであるが、「国連安保理が期待どおりに機能を果たさなくなっ」たため、自衛隊を作り、安保条約によって、日本に対する武力攻撃には日米両国が共同で対処することになったとし、これを「現実を踏まえた対応」と位置付けています。
しかし、日米安保条約は、変則的ではあるものの軍事同盟条約の一種であり、国連の集団安全保障体制とは別物の、「同盟による平和」の時代の遺物です。自民党の9条改憲案は、この日米の軍事同盟体制をより一層強固にして、自衛隊の海外での武力行使をさらに拡大することを狙うものであり、「武力によらない平和」を希求する憲法9条の精神に反するものです。

Q5 自衛隊を憲法に明記する必要はあるのですか?
A 自衛隊が今まで以上に海外で軍事活動を拡大するためには、憲法に明記
することが必要です。
「自民党Q&A」は、自衛隊明記の必要性として、以下の理由をあげています。自衛隊が「多くの国民の支持を得ているにもかかわらず、①合憲と言う憲法学者が少なく、②中学校の大半の教科書(7社中6社)が違憲論に触れており、③国会に議席を持つ政党の中には自衛隊を違憲と主張するものもあるので、「自衛隊違憲論」を解消するために憲法の改正が必要である。
しかし、こうした状況は、憲法9条の歪曲が、朝鮮戦争の勃発などによるアジアでの対立の激化、米軍の日本駐留の継続、警察予備階から保安隊を経て自衛隊の創設に至るなかで始まり、そして日米の軍事同盟体制が、今日の新「防衛計画の大綱」のように自衛隊の大軍拡を引き起こすところまで進んできたことを端的に示すものです。自民党は、現在の学界や教育界での状況や、他党の自衛隊違憲論などを苦々しく思っているかもしれませんが、そうした状況は、何ら不自然でも不正なことでもありません。こうした状況があったからこそ、これまで9条改憲は阻止されてきたのです。「自衛隊違憲論」に対する敵視は、自らの日米軍事同盟の強化のための9条改憲という企みへの注目をはぐらかし、改憲を容易にすることを狙ったものです。
また、「自民党Q&A」は、「条文イメージは、9条1項・2項を一字一句変えずにそのまま維持するとともに、自衛権行使の範囲を含め、9条の下で構築されてきたこれまでの憲法解釈についても全く変えることなく、国民に信頼されている等身大の自衛隊をそのまま憲法に位置づけるものです」などと述べていますが、これはまったくのウソでしょう。そもそも、自衛隊と自衛権行使の範囲を「全く変えない」のであれば何のための憲法改正でしょう。2015年の安保法制(戦争法)でも、従来は「違憲」としてきた集団的自衛権の行使に、一定の限定を付けながらも踏み切りました。法律でさえできることを憲法の改正で「しない」などという言い訳はとても信じることができません。安保法制をこえる集団的自衛権の行使の解禁がねらわれていると見るべきでしょう。

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「徹底批判」の全文は、下記をクリックしてください。

(完成版)自民党Q&A批判

(2019年3月18日)

 

 

 

 

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