澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

自民党「改憲案(4項目)『Q&A』」徹底批判 ― 法律家6団体連絡会

2017年5月3日に始まる、アベ9条改憲」提案。これが、今は4項目の『条文イメージ(たたき台素案)』となっている。『条文イメージ(たたき台素案)』とは、なんとも締まりのないグズグズの体。今の時点で、こんなものしか示せないことが、アベとその取り巻きの苦衷をものがたっている。

この4項目の『条文イメージ(たたき台素案)』なるもの、実は、自民党内部でも手続的に確定したものとは言い難い。党内でも固まっていないこの案を与党協議にかけて、公明との摺り合わせを経なくては与党案作成には至らない。与党案の作成ができたとしても、各議院での議席数は十分ではないから、維新にも擦り寄ってもらわねばならない。自・公・維の「改憲3兄弟」の合意案ができても、ことは憲法改正である。ゴリ押しにはなじまない。野党との協議なしには、「憲法改正原案」の確定には到達しえない。改憲の実現には、迂遠な道のりが必要なのだ。

当初、アベ改憲スケジュールは、「2020年を改正憲法施行の年に」というものだった。誰の目にも、これはもう不可能といってよい。

アベ一人笛吹けど自民党議員すら踊ろうとしないのが今の事態。とりわけ、公明党は、アベと同類のイメージを警戒するに至っている。9条改憲の右翼色を前面に出して、「アベ友一味」「改憲一派」とレッテルを貼られることは、選挙戦に大きなマイナスと読んでいる。むしろ、アベ改憲に抵抗の姿勢を見せることで、「平和の党」「福祉の党」のイメージを取り戻してこそ、統一地方選と参院選を闘えるという算段。

だから、レームダック状態が進行しつつあるアベには、もはや改憲主導の力はない。アベ改憲は無理だろう。これが大方の見方。

ではあるが、安心してよいかと言えば、そうもいかない。アベは、相変わらず、ことあるごとに改憲を吹聴し続けている。もちろん、改憲断念と見られたときには、彼の支持勢力から見捨てられ政治生命が終わる宿命なのだから、「まいった」とも、「改憲方針撤回」とも言えないのだ。そのような事態ではあるが、窮鼠は猫をも噛むというではないか。手負いの猪を侮ってはならない。

窮鼠は、本年2月20日、自民党憲法改正推進本部作成による日本国憲法改正の考え方~『条文イメージ(たたき台素案)』Q&A~」を広報ツールとして、同党所属の国会議員等に配布し、改憲に向けた国民運動に活用するよう指示を出している。あわよくば、これで猫を噛もうというのだ。

窮鼠も手負猪も、侮らずにトドメを刺さなければならない。その手立ての一つとして、改憲問題対策法律家6団体連絡会が、Q&A」に対する徹底批判を末尾のとおりにまとめた。このPDFをプリントアウトすれば、22ページのパンフレットとなる。

この「徹底批判」の「Q」は、「自民党Q&A」のQをそのまますべて転載している。「A」は自民改憲案の改正がなされると実際にはこんなに変わってしまうというオーソドックスな法律家の考えを述べたもの。

昨年5月には、『〔解説〕自民党改憲案の問題点と危険性』というパンフ(100円)を刊行している。「徹底批判」の最終ページにその注文方法が掲載されているので、併せて活用をお願いしたい。このPDFは、自由にお使いいただき、ぜひとも、宣伝・拡散にご協力いただきたい。

なお、改憲問題対策法律家6団体とは、下記のとおり。

社会文化法律センター 代表理事 宮里邦雄
自由法曹団 団長 舩尾徹
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 北村栄
日本国際法律家協会 会長 大熊政一
日本反核法律家協会 会長 佐々木猛也
日本民主法律家協会 理事長 右崎正博

以下に、このPDF版パンフの目次と、自衛隊明記に関する「Q4」と「Q5」の部分を摘記し、最後にPDFを添付する。

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 < 目 次 >

《総論》
Q1 なぜ、今、憲法を改正しようとしているのですか?
Q2 どのような憲法改正を考えているのですか?
Q3 条文イメージの位置付けはどのようなものですか?

《各論 1》「自衛隊の明記」について
Q4 憲法9条について、どのように考えているのですか? ・
Q5 自衛隊を憲法に明記する必要はあるのですか?・・
Q6 シビリアン・コントロール(文民統制)って何ですか?
  それについては、どのような規定を置きますか?・
Q7 徴兵制は復活するのですか?・・

《各論 2》「緊急事態対応」について
Q8 緊急事態条項ってなんですか?
  それがないと困ることがあるのですか?
Q9 どのような場合に緊急政令を定めることができるのですか?・・・・
Q10 緊急政令によって、普段よりも国民の権利が
  制限されることになるのではないですか?
Q11 緊急政令は悪用されないでしょうか?
  独裁などの危険はないのでしょうか?
Q12 大地震によって国政選挙ができない場合はどうするのですか?・・・
Q13 憲法を改正して国家議員の任期の特例を設けなくても、
今ある仕組みで対応できるのではないですか?

《各論 3》 「合区解消・地方公共団体」について
Q14 なぜ、憲法改正により、参議院の合区を解消する必要があるのですか?
Q15 投票価値の平等については、どのように考えているのですか?
  改正は、投票価値の平等との関係で問題はないのですか?
Q16 改正により、参議院議員の代表としての性格は、変わりませんか?
Q17 地方公共団体に関する改正は、どのような意味があるのですか?

《各論 4》「教育充実」について
Q18 なぜ教育に関して憲法改正が必要なのでしょうか?
Q19 憲法改正によって、教育無償化が実現されるのでしょうか?
Q20 憲法改正に伴い、教育について具体的に
  どのような措置がとられることになるのでしょうか?
Q21 私学助成って何ですか?
  私学助成に関わる規定(89条)を改正するのはなぜですか?

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Q4 憲法9条について、どのように考えているのですか?
A 憲法9条が掲げる徹底した平和主義に替えて、日米安保条約などによ
る軍事的対応の強化・拡大を考えています。
「自民党Q&A」は、憲法9条の徹底した平和主義は、「国連の集団安全保障体制の下で日本の平和が守れることを想定して」いたものであるが、「国連安保理が期待どおりに機能を果たさなくなっ」たため、自衛隊を作り、安保条約によって、日本に対する武力攻撃には日米両国が共同で対処することになったとし、これを「現実を踏まえた対応」と位置付けています。
しかし、日米安保条約は、変則的ではあるものの軍事同盟条約の一種であり、国連の集団安全保障体制とは別物の、「同盟による平和」の時代の遺物です。自民党の9条改憲案は、この日米の軍事同盟体制をより一層強固にして、自衛隊の海外での武力行使をさらに拡大することを狙うものであり、「武力によらない平和」を希求する憲法9条の精神に反するものです。

Q5 自衛隊を憲法に明記する必要はあるのですか?
A 自衛隊が今まで以上に海外で軍事活動を拡大するためには、憲法に明記
することが必要です。
「自民党Q&A」は、自衛隊明記の必要性として、以下の理由をあげています。自衛隊が「多くの国民の支持を得ているにもかかわらず、①合憲と言う憲法学者が少なく、②中学校の大半の教科書(7社中6社)が違憲論に触れており、③国会に議席を持つ政党の中には自衛隊を違憲と主張するものもあるので、「自衛隊違憲論」を解消するために憲法の改正が必要である。
しかし、こうした状況は、憲法9条の歪曲が、朝鮮戦争の勃発などによるアジアでの対立の激化、米軍の日本駐留の継続、警察予備階から保安隊を経て自衛隊の創設に至るなかで始まり、そして日米の軍事同盟体制が、今日の新「防衛計画の大綱」のように自衛隊の大軍拡を引き起こすところまで進んできたことを端的に示すものです。自民党は、現在の学界や教育界での状況や、他党の自衛隊違憲論などを苦々しく思っているかもしれませんが、そうした状況は、何ら不自然でも不正なことでもありません。こうした状況があったからこそ、これまで9条改憲は阻止されてきたのです。「自衛隊違憲論」に対する敵視は、自らの日米軍事同盟の強化のための9条改憲という企みへの注目をはぐらかし、改憲を容易にすることを狙ったものです。
また、「自民党Q&A」は、「条文イメージは、9条1項・2項を一字一句変えずにそのまま維持するとともに、自衛権行使の範囲を含め、9条の下で構築されてきたこれまでの憲法解釈についても全く変えることなく、国民に信頼されている等身大の自衛隊をそのまま憲法に位置づけるものです」などと述べていますが、これはまったくのウソでしょう。そもそも、自衛隊と自衛権行使の範囲を「全く変えない」のであれば何のための憲法改正でしょう。2015年の安保法制(戦争法)でも、従来は「違憲」としてきた集団的自衛権の行使に、一定の限定を付けながらも踏み切りました。法律でさえできることを憲法の改正で「しない」などという言い訳はとても信じることができません。安保法制をこえる集団的自衛権の行使の解禁がねらわれていると見るべきでしょう。

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「徹底批判」の全文は、下記をクリックしてください。

(完成版)自民党Q&A批判

(2019年3月18日)

 

 

 

 

アベ曰く「9条改憲の必要性は、自衛官募集協力要請のためにあり」 ??

このところ、安倍晋三のやることなすこと叩かれっぱなし。トランプが大統領を続けておられるのも不思議だが、安倍内閣の支持率がそこそこ保って下がらないのはもっと不思議。この国は、もはや真っ当さを失いつつあるのではないか。

まず、2月13日の毎日新聞社説を紹介しよう。表題が、首相の自衛官募集発言 事実の歪曲で憲法語るな」。最初の書き出しが良い。「また安倍晋三首相が憲法に関して奇妙なことを言い始めた。自衛官募集に協力しない自治体があるから憲法改正が必要だという論理だ。」

首相は自民党大会の演説で「新規隊員募集に対して都道府県の6割以上が協力を拒否している」と語り、「憲法にしっかりと自衛隊と明記して違憲論争に終止符を打とうではありませんか」と呼びかけた。
 「都道府県の6割以上」というのは間違いだ。自衛官募集に使うため18歳など適齢者の名簿提供を求める対象は全国の市区町村だからだ。首相も国会で発言を修正した。…自衛隊は9割の市区町村から個人情報の提供を受けていることになる。首相の言う「協力を拒否」は事実を歪曲している。
 首相発言について石破茂元防衛相は「憲法違反なので募集に協力しないと言った自治体は寡聞にして知らない」と語った。自衛隊を憲法に明記したら自治体の協力が進むかのような首相の主張は詭弁に等しい。
 首相はこれまでも「憲法学者の7割以上が自衛隊を違憲と言っている」ことを改憲理由に挙げてきた。事実関係のあやふやな根拠を立てて情緒に訴える論法は今回も同じだ。一国の首相が事実をねじ曲げて憲法を語るべきではない。

翌、2月14日の朝日社説(抜粋)もほぼ同旨。
「自衛官募集 改憲の理由にはならぬ」というもの。この見出しは良い。ずばりの問題点指摘となっている。

 自衛官募集に自治体の協力が得られないから、憲法9条に自衛隊の明記が必要だ―。今年に入って安倍首相が言い出した改憲の根拠は、事実を歪曲し、論理も破綻している。首相の改憲論の底の浅さを、改めて示したと言うほかない。

 首相は先の国会答弁や自民党大会での演説で、9条改正に関連し、自治体の6割以上が自衛官募集への協力を拒否していると強調した。しかし、これは明らかに事実に反する。
 首相はまた、災害時に自衛隊が救援活動を行っていることを引き合いに、自治体の「非協力」を非難した。災害派遣を受けるなら募集活動に協力しろと言わんばかりだ。不見識きわまりない。自衛官募集のために改憲をというのは飛躍がありすぎる。
 9条は戦後日本の平和主義の根幹をなす。その重みを踏まえた熟慮の跡もなく、事実をねじ曲げる軽々しい改憲論は、いい加減に慎むべきだ。

同日の東京新聞社説も引用しておきたい。タイトルは、「首相自衛隊発言 事実曲げ改憲説くとは」

安倍晋三首相は自民党大会で、党総裁として憲法9条改正に重ねて意欲を示したが、その理由に挙げた自衛官募集を巡る発言は事実誤認だ。いくら党の「悲願」とはいえ、事実を曲げてはならない。……憲法に自衛隊の存在が明記されていないから自治体が隊員募集に協力しない、自衛隊の存在が明記されれば自衛官の募集も円滑に行われる、という論法である。

東京新聞社説は、「違憲を理由に協力を拒む自治体はほぼ存在しないことになる。」「誤った事実に基づいて改憲を主張するようなことが許されていいのか。」「改憲しなければ国民の権利や平穏な暮らしが守れない、という立法事実がないから、理由にならない理由をひねり出しているのではないか。」と述べ、最後はこう結ばれている。節度ある防衛力を整備するためにも自衛官の確保は課題だが、事実を曲げてまで、悲願の改憲に結び付けるような言動は厳に慎むべきである。」

朝日が言う「今年に入って安倍首相が言い出した改憲の根拠は、事実を歪曲し、論理も破綻している。首相の改憲論の底の浅さを、改めて示したと言うほかない。」がすべてを物語っていると言って良い。

但し、問題は「自治体が自衛隊の隊員募集に協力しているのかいないのか」にあるのではない。憲法とは、国の基本構造の設計図である。改憲とは、とりわけ9条改憲は、安倍晋三の言うがごとき、些細なみみっちい理由で提起されるべき問題ではない。

むしろ、安倍発言が明らかにした問題点は、自衛隊が9割の市区町村から個人情報の提供を受けているという事実である。唖然とせざるを得ない。

本日(2月16日)の赤旗、「自民党の自衛官募集“圧力”」「地方議会抑え込み狙う」「安倍発言を後押し」「沖縄2紙示し」という記事によれば、

自民党文書に添付されていたのは、琉球新報と沖縄タイムスが2015年10月と12月に報じた四つの記事です。琉球新報は同10月に、沖縄市と宜野湾市が、自衛隊の求めに応じて、住民基本台帳から18~27歳未満の約2万4000人分の氏名、生年月日、住所、性別を本人の同意を得ずに提供したと報道。沖縄タイムスは、同12月に両市が市議会で追及をうけ、「市民に不安を与えた」(沖縄市)「配慮不足だった」(宜野湾市)と謝罪したことを報じています。

自分の個人情報を、知らぬ間に自衛隊に流れされたら、これは一大事ではないか。市が謝罪して当然だろう。ところが、これが自民党には面白くない。

自民党が14日に党所属国会議員に配布した文書では、「一部の地方議会においては、左派系会派からの要求に応じて、法令に基づき募集対象者情報の提供を行った行政側が謝罪を行う事態にまで発展しており、看過できない」と強調しているという。

自民党の言ってることは本末転倒だ。自治体が、個人情報を自衛隊に渡していることこそが大問題ではないか。アベ流改憲がなされれば、徴兵名簿ができあがることにもなりかねない。アベの発言は、大きな問題をあぶり出した。

(2019年2月17日)

舛添要一お墨付き「低迷する憲法改正論議」

舛添要一・前都知事が、昨日(2月14日)夜、自分のブログに興味ある記事を掲載した。低迷する憲法改正論議」というタイトル。「改憲派」のこの人の目からも、アベ流改憲論議は低迷しているのだ。

書き出しがこうなっている。「憲法改正の先行きが不透明になっている。憲法改正の気運も下火になっている」。「先行き不透明」とは困難に逢着しているということ、「気運下火」とは首相と側近以外のみんながやる気を失っているということ。あらためてそのとおりだと思う。

しかし、この人は飽くまで、自民党の党是である憲法改正実現にこだわる立場。「改憲を実現するには、専門知識の裏付けのある改正案をとりまとめ、野党をも含めた広範な国民的合意が必要」と言う。その上で、「ところが、今の安倍内閣は、その両方とも欠いている」と嘆くのだ。改憲に汗を流そうという「専門家」はいない。野党とのパイプとなる人材もいない。改憲なんかできるはずはない。この人がそう言うのだから、本当にそのとおりなのだろう。

「現在の自民党では、憲法問題に長年関わってきた専門家議員は排除され、専門家ではない首相側近ばかりが登用されている。安倍首相は自らの案で改憲を急ぐあまり、このような側近重視の布陣となったと思うが、それはかえって改憲を頓挫させるように思えてならない。」

舛添ブログは、さらに、具体的人名を挙げてこう言う。
「自民党改憲推進本部人事では、中谷元、船田元両議員は窓際に追いやられ、下村博文議員が本部長に、新藤義孝議員が本部長代理になった。そして衆議院憲法審査会の筆頭幹事も、中谷議員から新藤議員に代わった。さらに、改憲案を最終決定する総務会の会長は、やはり安倍側近の加藤勝信議員である。
 下村、新藤、加藤議員は、憲法の専門家ではない。「憲法族」でない議員が主導権を握ると、立憲主義を無視したり、天賦人権論を否定したりする非常識な主張が採用されることになる。
 私が起草に関わった自民党憲法改正第一次草案と2012年4月27日に公表された第二次草案とを比べれば、憲法学的に見て、また国際的視点からも、さらには人権擁護の歴史から見ても、後者が拙劣極まりないものであることが分かる。」

誰が見ても、そうなのだ。かつて自民党憲法改正第一次草案を執筆した人の目からも、現行自民党改憲草案は「拙劣極まりないもの」なのだ。この点は強く同意せざるを得ない。

じゃあ、どうすればよいのか。舛添ブログは、「国の根幹である憲法についての議論には、専門知識と謙虚に国民的合意を得る努力が不可欠である。」で結ばれている。

言外に言わんとするところを忖度すれば、こうであろうか。
「安倍さんよ。改憲は、下村、新藤、加藤などの素人連中でできることじゃない。今のままでは改憲は遠のくばかり。いや、場合によっては、失敗してあなたと自民党の命取りもなりかねない。
 だいたい、あの素人連中に任せておくと、立憲主義を無視したり、天賦人権論を否定したり、非常識なことばかり。
 あっ、そういえば、安倍さん。あなたも、ど素人のお仲間でしたっけ」
(2019年2月15日)

晋三さん。あんたの言うこと、そりゃおかしい。危なっかしい。

幾つかのことを確認しておきたい。
自衛隊は、憲法違反の軍事組織である。
自衛隊に限らず、軍隊とは大量殺人を本務とする。
どの軍隊も、「自国の防衛」のために存在するとされている。
どの戦争も、「自国の防衛」の名目で行われる。
そして、自衛隊こそは、隊員の人権を顧みるところのないブラック職場である。

だから、自衛隊を憲法に明記すれば、
自衛隊を違憲の存在から解放して、
大量殺人を本務とする組織として公認することになり、
「自国の防衛」のためとして国民を軍事動員することを容認し、
「自国の防衛」の名目での戦争を可能とすることにもなる。
だからこそ、大事な人をブラック職場にやることはできない。

1月30日の衆院本会議。自民党二階俊博幹事長代表質問に対する安倍晋三首相答弁を以下に抜粋する。私の突っ込みもいれておきたい。

平成の時代を通じた自衛隊に対する国民の評価と憲法改正の考え方についてお尋ねがありました。憲法改正の内容について、私が内閣総理大臣としてこの場でお答えすることは本来差し控えるべきものとは思いますが、私の気持ちを述べよとのことですので、丁寧にお答えをさせていただきたいと思います。

本来、口にしてはならないことだ。憲法は、主権者国民から内閣総理大臣を筆頭とする公務員に対する命令の文書。内閣総理大臣は、ひたすらこれを守るべき立場にある。それを気に食わないから変えようなどとはもってのほか。都合の悪いときは、「私の気持ちを述べることは適切ではありませんので、差し控えさせていただきます」としか言わないくせに、こんなときだけ「丁寧にお答え」の必要はない。

私が自民党総裁として一石を投じた考え方は、現行の憲法第9条の第1項及び第2項を残した上で、自衛隊の存在を憲法に明記することです。

いま、内閣総理大臣として答弁しているのに、「私が自民党総裁として一石を投じた考え方」を述べるのは、職権濫用も甚だしい。主権者が求めているのは、議場で立場を変える「カメレオン首相」ではない。

大きな自然災害が相次いだ平成の時代。困難な災害の現場には、常に自衛隊員の姿がありました。夜を徹し、泥にまみれ、雨に打たれながらも、危険を顧みず、黙々と任務に当たる隊員諸君は、被災された皆さんの心に寄り添い、被災地の力となりました。

消防も警察も市役所職員も青年団も、そしてボランティア諸君も「被災された皆さんの心に寄り添い、被災地の力となった」ではないか。ことさら、自衛隊だけを、褒めあげる必然性はない。また、「だから、自衛隊を憲法に明記せよ」ではなく、「だから、高度に専門化した恒久的な災害救助隊をつくるべきだ」となるべきだろう。

また、PKO法の制定以降、延べ約六万人の自衛隊員が、世界各地で平和と安定のため、汗を流してきました。現地の目線に立った支援、高い規律と丁寧な仕事ぶりで、国際社会から高い評価を得てまいりました。

これは、憲法9条あればこその効果というべきだろう。9条を背負った自衛隊だからこそ、絶対に実力行使をしてはならない、自衛隊なればこその平和的な振る舞い。それゆえにこそ、戦闘に巻き込まれることがなく、国際社会からの信頼を得ていることを肝に銘じなければならない。

自衛隊は、かつては厳しい目で見られた時代もありました。それでも、歯を食いしばり、ただひたすらに職務を全うしてきた。今や、国民の約9割は、敬意を持って自衛隊を認めています。

国民の多くは、国内での災害救助や世界各地での難民支援をする自衛隊員を好ましいと見ているのだ。武力装置としての自衛隊ではなく、飽くまで人道的支援の自衛隊員。自衛隊を憲法に明記すれば、衣の下の鎧を疑われることになる。

しかし、近年の調査でも、自衛隊は合憲と言い切る憲法学者は2割にとどまります

えっ? 自衛隊は合憲と言い切る御用学者が2割も。それは学問の堕落だ。信じがたい。

「君たちは憲法違反かもしれないが、何かあれば命を張ってくれ」というのは、余りにも無責任ではないでしょうか。

誰がそんなことを言ったというのかね。「命を張ってくれ」って? そんな言い方は、それこそ「余りにも無責任」。

多くの教科書に、自衛隊の合憲性には議論がある旨の記述があります。その教科書で自衛隊員のお子さんたちも学んでいるのです。

自衛隊の合憲性に議論があるのは当然のこと。子どもたち誰もが学ぶべき議論ですよ。軍事に頼って我が国の安全が守れるはずがないというのも根拠のある立派な見解。何ですか、晋三さん。「自衛隊員のお子さんたち」をダシに、教科書を書き換えろとでもいうのですか。そりゃオカシイ。

さらには、今なお、自衛隊に関するいわれなき批判や反対運動、自治体による非協力な対応といった状況があるのも事実です。例えば、自衛隊の、自衛官の募集は市町村の事務ですが、一部の自治体はその実施を拒否し、受験票の受理さえも行っていません。また、防衛大臣からの要請にもかかわらず、全体の6割以上の自治体から、自衛隊員募集に必要となる所要の協力が得られていません。

何ですか、晋三さん。「自衛隊に関するいわれなき批判や反対運動」はけしからんと。そりゃ、首相としての発言? 総裁として? 個人的意見? いずれにせよ、自治体行政に対する干渉でしょう。自衛隊内での、イジメや体罰の凄まじさは、旧軍以来の伝統として、みんながよく知っていること。隊の慢性的欠員は、隊自身の体質の問題。

優秀な人材確保のためには、地域に密着した採用活動が重要ですが、自衛隊の採用説明会等の取りやめを求める要請がさまざまな団体により行われており、このため、昨年、採用説明会が取りやめとなった事例もあります。

自衛隊の採用説明会等の取りやめを求める要請運動があってこその民主主義国家、平和国家ではありませんか。でもヘンですね。「今や、国民の約9割は、敬意を持って自衛隊を認めています」というのなら、そんなことにはならないのでは。本当に国民に支持されているのなら、隊員募集に苦労することはないでしょうに。

自衛隊は、これまで4万回を超える災害派遣を行い、助けを求める自治体に直ちに駆けつけ、献身的な働きを行っています。このような現状はまことに残念と言わざるを得ません。このような状況に終止符を打つためにも、自衛隊の存在を憲法上明確に位置づけることが必要ではないでしょうか。

今、自衛隊募集かうまく行かないから、憲法に自衛隊明記が必要だというんですね。そりゃダメだ。自衛隊は、もっと自助努力をしなくちゃね。

同時に、国民のため命を賭して任務を遂行する隊員諸君の正統性を明文化し、明確化することは、国防の根幹にかかわることだと考えています。

おっと、語るに落ちちゃった。アベ改憲は、「国防の根幹にかかわる憲法改正」。そんなことはしちゃいけない。世界の各国が身構えますよ。日本は憲法を変えて、本格的な軍隊をもって、再び「富国強兵の日本を取り戻そうとしているのだ」と。これって、あなたが普段言っていることだけど、危険と思いませんか。

自衛隊に対する国民の信頼は政治の力で得たものではありません。自衛隊員の諸君はみずからの手で国民の信頼をかち得たのであります。次は、政治がその役割をしっかりと果たしていかなければなりません。全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える、これは今を生きる政治家の責任であります。

晋三さん。あんたが言うと、こう聞こえるね。

強く豊かな国をつくるには、戦争を辞さない精強な軍隊が必要です。精強な軍隊は、国民の信頼あってのもの。被災者救援によって、自衛隊はようやく、市民権を得るに至りました。次は、憲法を改正して、自衛隊を憲法に位置づけなければなりません。そこまで行けば、その次は自衛隊を国防軍とし、一人前の戦争のできる組織に変えていく。今が、その大事な一歩のところ。この大事な一歩を踏み出すのが、私という政治家の使命なのであります。

(2019年2月5日)

櫻井よしこの護憲派へのエールに応えよう。

首相でありながら改憲の旗を振る安倍晋三。その取り巻きの一人に、櫻井よしこという右翼活動家がいる。この人が、「NEWS ポストセブン」という小学館運営のホームページに寄稿している。一昨日(1月13日)のことだ。表題が興味深い。「世界で一つの変な憲法の改正は今が最後の好機」というのだ。ちょっと変な日本語感覚だが、まさか編集者側が勝手に付けたタイトルではあるまい。

「世界で一つの変な憲法」とは、「世界で一番変な憲法」あるいは「世界でたった一つの変な憲法」ということなのだろう。要するに、「変な」と言いたいのだ。右翼に、立派な憲法と言われては、日本国憲法も形無しだ。櫻井よしこから、「変な」と言われたのだから、日本国憲法はさぞかし本望だろう。

注目すべきは、憲法の改正は今が最後の好機」という表現である。おそらくは、デマでもフェイクでもない。櫻井よしこの心情を吐露した本音なのであろう。そしておそらくは、安倍晋三も同じように考えているに違いない。「今がラストチャンスだ」「今、せっかくのこのチャンスを逃すと、もう改憲はできない」。これが改憲勢力の本音なのだから、護憲派は「さあ、改憲のラストチャンスをつぶそう」「もう少しの努力で、改憲を阻止し得る」と展望を語ることができる。

以下は、櫻井の言の要約である。

  「日本国憲法は、国の交戦権さえ認めない恐らく世界でたったひとつの変な憲法です。日本が国民、国家、国土を自分の力で守る力を持つ『自立』した国になるために、一刻も早く憲法を改正する必要があります。しかし、安倍政権下で期待された憲法改正の発議は、今に至ってもなお実現していません。」
 
  「その最大の理由は、政党および国会議員のあまりの無責任さにあります。とりわけ公明党は与党でありながら、『議論が熟していない』と憲法改正に背を向けています。」
 
   「『モリ・カケ問題』や『外国人人材法案』をタテに、衆参両院の憲法審査会に応じてこなかった立憲民主党や国民民主党など、野党の無責任さは言わずもがなです。」
 
  「国会議員のなかで本気なのは安倍首相を筆頭に少数の議員に限られるのではないか。肝心の自民党さえも、党全体の状況を見ると、その動きは消極的に見えます。」
 
  「憲法改正には衆参両院で3分の2以上、さらに国民投票で過半数の賛成を得る必要があります。与党が3分の2を大幅に上回っている衆議院はともかくとして、参議院では自民党が126、公明党が25、日本維新の会が11議席で合計しても162。ぎりぎり3分の2に達するという薄氷を踏むような状況です。」
 
  「今年7月には参議院選挙があり、改正に賛成する議員で3分の2を確保できる保証はありません。現実的に考えれば、今が憲法改正の最後のチャンスなのです。」

櫻井は、何のために、こんな寄稿をしたのだろうか。私には、護憲派へのエールに聞こえる。千載一遇の改憲のチャンスが、みすみす失われつつあるという。この情勢認識は、改憲陣営への愚痴であり護憲派への励ましにほかならない。

私も、櫻井の情勢分析に同意する。要するに、今や「カイケン、カイケン」と空元気を振りまいているのは、安倍とその取り巻きだけなのだ。「国会議員のなかで本気なのは安倍首相を筆頭に少数の議員に限られる」のである。実は、改憲推進派は、孤立したさびしい少数派に過ぎない。

連立与党の公明党は、風を読むことに長けている。いま、安倍と改憲の策動をともにすれば、党勢を決定的に殺ぐことになる。「平和の党」「福祉の党」の看板を外して選挙はできない。うかうかと、安倍に乗せられてはならない。そのように風を読んでいる。

さらに、「肝心の自民党さえも、党全体の状況を見ると、その動きは消極的に見えます。」は当たり前。安倍との軋轢は避けたいが、安倍改憲に肩入れして安倍との心中なんぞ御免こうむる。皆がそう思っているに決まっている。

そして野党だ。櫻井が愚痴をこぼさざるを得ないほどの立派な姿勢なのだ。これを支えているのは、世論である。安倍というこの危なっかしい人物に、憲法をいじらせてはならないと、多くの人が考えている。

さて、7月の参院選が天王山だ。現在が、「ぎりぎり3分の2に達するという薄氷を踏むような状況」なのだ。改憲阻止派が、この3分の2を突き崩すためには、護憲野党の共闘が必要である。これさえできれば、「改憲のラストチャンス」をつぶすことができるのだ。

櫻井よしこは、正直にこう言っている。「憲法改正は、薄氷を踏むような状況です」。そのとおりだ。我々は、せっかくのこの櫻井のエールに応えねばならない。改憲派が戦々恐々として踏んでいる薄氷を、もっもっと薄くする努力をしよう。さすれば、氷は割れる。水に落ちた安倍改憲策動が再び浮上することはないだろう。
(2019年1月15日)

「詭弁・ご飯論法」は、アベ政治の本質が生み出したもの

行く道に大道と詭道とがあり、弁ずるに正論と詭弁とがある。大道を行く者は正論を称え、詭道を行く者は詭弁を弄す。

大道は道義と道理に通じる。これを行く者は真理と真実に導かれ、その発する言葉にはウソとごまかしはない。道義と道理を恐れるがゆえに大道を踏みはずす者は、私利と私欲に通じる詭道によろめく。そこに真理と真実はなく、まことの言葉も失せている。代わって響き合っているものが、真理と真実を覆い隠さんとする詭弁であり、「ウソとごまかし」にほかならない。

アベ政治とは、憲政が大道を踏みはずして詭道をよろめく姿である。道義と道理を欠くゆえに詭弁を弄すること甚だしく、その詭弁は、いま「ご飯論法」と名付けられている。この詭弁を弄びつつ行くアベの詭道は亡びに至る道である。

上西充子教授の名とともに、一躍有名になった「アベ政権のご飯論法」。次のように紹介されている。

Q「朝ごはんは食べなかったんですか?」
A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」
Q「何も食べなかったんですね?」
A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので…」

Q「では、何か食べたんですか?」
A「お尋ねの趣旨が必ずしもわかりませんが、一般論で申し上げますと、朝食を摂(と)る、というのは健康のために大切であります」
Q「いや、一般論を伺っているんじゃないんです。あなたが昨日、朝ごはんを食べたかどうかが、問題なんですよ」
A「ですから…」

Q「じゃあ、聞き方を変えましょう。ご飯、白米ですね、それは食べましたか」
A「そのように一つ一つのお尋ねにこたえていくことになりますと、私の食生活をすべて開示しなければならないことになりますので、それはさすがに、そこまでお答えすることは、大臣としての業務に支障をきたしますので」

昨日(11月28日)の毎日新聞夕刊「特集ワイド」は、「安倍政権の言い換え体質」を取りあげている。

安倍晋三内閣では、集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制を「平和安全法制」、南スーダンでの戦闘を「武力衝突」、消費増税の延期を「新しい判断」と言い換えた。今も、ある。言い換えを見逃していいのか。

 FTA  ⇒ 「TGA」
 移民   ⇒ 「外国人材」
 徴用工  ⇒ 「労働者」
 ヘリ墜落 ⇒ 「不時着」
 共謀罪  ⇒ 「テロ等準備罪」
 公約違反 ⇒ 「新しい判断」
 カジノ  ⇒ 「統合型リゾート」
 武器輸出 ⇒ 「防衛装備移転」
 安保法制 ⇒ 「平和安全法制」
 情報隠し ⇒ 「特定秘密保護」

なるほど、こう並べてみるとアベ政権のごまかし体質が明確に浮かびあがる。真っ当に国民に説明しようとしないからこうなる。国民をごまかして票を掠めとろうというさもしい根性が、このような詭弁を生み出すのだ。この特集記事では上西教授も取材対象となっている。同教授の口から、アベ政権の「厚顔無恥話法」が話題とされている。これも実に適切なネーミングではないか。

「言い換え」とは、「ごまかし」のことである。全滅を「玉砕」と言い、退却を「転進」と言い換えた大本営発表いらいの我が日本の伝統芸。これこそ、アベ政権が取り戻そうという麗しい日本のかつての得意技。

2018ユーキャン新語・流行語大賞のノミネート30語が11月7日に発表されている。その中に、「ご飯論法」もはいっている。選者にアベ政権の忖度なければ、「ご飯論法」は有力な受賞候補ではないか。選の発表は12月3日(月)。たまたま、「ウソとごまかしの『安倍政治』総検証」院内集会の日。もしかしたら、講演予定の上西教授ご自身から、朗報が聞けるかも知れない。
(2018年11月29日)

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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!

12月3日(月)18時~20時(開場17時30分)

衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」

最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)

始まった参院選に向けての野党共闘協議 ― 市民連合と5野党1会派

改憲派にとっては、「アベのいるうち、両院の議席が3分の2あるうち」が改憲のチャンスという認識。ということは、「アベが首相の座から去ることになれば」、あるいは「衆参どちらかの議院で改憲派議席が3分の2のラインを失えば」、千載一遇のチャンスは喪失することになる。いま、アベ9条改憲の策動による憲法の危機ではあるが、改憲派にとってもけっして明るい展望が開けているわけではない。

右派が描いたアベ改憲シナリオは綻びを見せつつある。国民世論の動向が、改憲を優先課題と認識していないからである。このことが、改憲を軸とした野党の共闘を促しているし、与党内にもアベ改憲に冷ややかな空気を漂わせてている。

憲法改正の課題ばかりは、議会での審議を強行採決で乗り切ろうというアベ政権の常套手段は使えない。そのあとに国民投票が控えているからだ。国民大多数の意見の集約点を国会審議で見極めなければならない。しかし、今国民は、「現政権での改憲には反対」なのだ。だから、改憲勢力も展望を持てない。客観的に改憲は困難なのだ。

アベ改憲がもとより困難なのだから、当初のシナリオのとおりにはことが運ばない。だから焦りが出て来る。その焦りが下村博文の自民党・憲法改正推進本部長への登用。こんな、焦りの結果のタカ派人事でうまく行くはずがない。下村は、「職場放棄失言」でボロを出した。政権と下村の焦りが裏目に出たのだ。かえって、野党を硬化させ臨時国会での憲法審査会開催を困難にしている。

しかも、下村の失態に対する公明党の冷ややかさはどうだ。いま、国民から改憲加担勢力と見られては選挙に勝てないとの思惑が強いのだ。自民党内も、下村に冷たい。アベの求心力低下を思わせる。

アベ改憲実現のためには、今臨時国会で憲法審査会を開き自民党改憲案の提示くらいはしておくことが改憲のためのシナリオだったがそれができない。とすれば、来年6月公示7月投開票の参院選前に、国会が改憲発議をすることは絶望的といってよい。となれば、2019年参院選こそが改憲阻止の重要なキーポイントとなる。半数の改選だが、これで改憲勢力の議席を3分の2以下にすることができれば、当面の改憲の危機を回避できることになる。

9月の沖縄知事選の教訓が大きい。野党の共闘ができれば、「自・公・維(・希)」の改憲勢力に勝てるのだ。安倍政権の露骨な利益誘導の総力戦も民意を動かせなかったではないか。アベ政権、けっして見掛けほど強くはない。

参院選ではいつものことだが、一人区の野党共闘の成否が結果を分けることになる。その一人区は32。いずれも、アベノミクスの恩恵からは置いてけぼりだ。TPPも、農業改革も水産改革も、この一人区では極めて評判が悪い。アベ政権の人気は地に落ちている。むしろ、怨嗟の声か満ちている。スムースな形での野党共闘さえできれば、勝算十分だ。現在の世論動向は、各政党を「与党連合対野党共闘」の対決構図に巻き込まざるを得ない。どちらかの陣営に入る以外に、一人区での当選の目はないのだから。

せっかくの勝機。共闘の協議開始時期としてはもうぎりぎりではないか。具体的な共闘のあり方の協議と候補者の選定を始めなくてはならない。

改憲勢力である与党連合とは「自・公・維」のこと。そして共闘に加わる野党は、立憲民主党・国民民主党・日本共産党・自由党・社会民主党・無所属の会の5党1会派。なかなか難しい野党のとりまとめを買って出ているのが、市民連合。これが、「市民と野党の共闘」の具体的な構図。

一昨日(11月16日・金)、「立憲野党と市民連合の意見交換会」が開催された。
意見交換会参加者は、下記のとおり。

立憲民主党 福山哲郎幹事長・辻元清美国対委員長
国民民主党 平野博文幹事長・小宮山泰子衆議院議員
日本共産党 小池晃書記局長・穀田恵二国対委員長
自由党   森裕子幹事長・日吉雄太国対委員長
社会民主党 吉川元幹事長
無所属の会 大串博志幹事長・広田一国対委員長

同日のTBSニュースは、次のように伝えている。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3526461.html
《野党と市民連合が意見交換、来年の参院選に向け選挙協力を確認》

 立憲民主党など主な野党と、安全保障関連法などに反対する団体「市民連合」が会談し、来年の参院選に向け、選挙協力を進めることを確認しました。

 「前回の参院選挙の前に、やはりこの市民連合と政党との意見交換が大きな役割を果していただいた。来年の参院選挙に向けて、より具体的、建設的な意見交換が出来るようにお願いをしまして」(立憲民主党 福山哲郎 幹事長)

 立憲民主党など野党5党1会派の幹事長らが、「市民連合」のメンバーと会談し、来年の参院選挙に向けて、全国に32ある「1人区」で野党の候補者を一本化することなど、選挙協力を進める方針を確認しました。市民連合は、2016年の参議院選挙でも1人区における野党統一候補擁立を後押ししていて、立憲民主党などは、来年の参院選でも候補者の調整で市民連合に仲介させたい考えです。

 しかし、無所属の会の岡田代表は16日、記者との懇談で、「市民連合が重要なプレイヤーであることは間違いないが、基本は政党がしっかり主導しないと候補者は出てこない」と述べています。

 一方、これまで安全保障や憲法についての考え方の違いなどから出席を見合わせていた国民民主党は、初めてこの会談に出席しました。

また、市民連合自身は、こう報告している。(抜粋)

はじめに立憲民主党福山幹事長より挨拶がありました。
「財務省の文書改ざん、加計学園問題、防衛省の日報隠しといったことで国会が大紛糾している最中に、前回の市民連合との意見交換会が行われました。半年が経った今、安倍政権は臨時国会で入管法改正を無理やり採決しようとしており、その体質は全く変わっていません。一方で、9月には沖縄県民の皆さんの力と、市民の皆さん、そして政党の皆さんの力の中で、玉城デニー知事が当選しました。安倍政権の体質が全く変わらず、民主主義を壊し続けているという状況の中で、今日このような形で集まれたことはとても意義が深いと思います。また、国民民主党の平野幹事長にお越しいただきました。我々としては歓迎させていただきたいと考えております。安倍政権を倒すために、来年の参院選に向けて、より具体的かつ建設的な意見交換をしていきたいと考えています。」

続いて安全保障関連法に反対する学者の会・広渡清吾より挨拶がありました。
「前回の参院選では、野党と市民の努力により32全ての1人区で候補者の1本化が実現し、大きな成果をあげました。来年の参院選に向けて、この水準を後戻りしてはならないと強く思っています。先日『あたりまえの政治』を掲げ、街頭宣伝を行いました。『あたりまえの政治』を求めなくてはならないというのが、今の安倍政権が陥っている状況です。憲法を守る、民意を尊重する、嘘をつかない。このあたりまえのことができない政治を変えなければなりません。そのためにも立憲野党の皆さんと市民との協力を深めていきたいです。」

さらに、立憲デモクラシーの会・山口二郎より安保法制の廃止、改憲阻止、さらに今の日本政治が直面するいくつかの重要な課題について、前回と同様に政策合意を何らかの形で結び、共通の旗印としていきたいといいう提起がありました。

その後、立憲民主、国民民主、共産、自由、社民、無所属の会の各党・会派と、市民連合の各構成団体から、幅広く意見交換が行われ、参院選に向けて市民と野党の協力をさらに強く深めていくことが確認され、意見交換会は終了となりました。

市民連合は、11月28日(水)19時から王子・北とぴあにて、野党とのシンポジウムを開催予定です。私たちは、このような機会を通じて、参院選に向けた協力体制をさらに深化させていきたいと考えています。ぜひご参加いただけますと幸いです。

共闘は容易なことではない。しかし、共闘しなければ選挙に勝てない。選挙に勝てなければ、アベ改憲を阻止することができない。アベ改憲を許せば、この国の平和主義が不可逆的に崩れる。憲法政治に取り戻すことのできない疵がつく。憲法を擁護しようとする諸勢力には、来夏の参院選に向けて選挙共闘するしか途はない。
(2018年11月18日)

麻生に歳費はアホラシイ! 下村歳費もムダヅカイ!

あの下村博文が、自民党の憲法改正推進本部長となっている。思想におけるアベの友達。右の友、ミギトモという。そして、アベの友達加計孝太郎とも金と利権で繋がる古いタイプ。文科大臣の時代に、加計学園から政治資金パーティ券代金として200万円を受領していながら、なぜか政治資金収支報告書には不記載で告発されている、あの下村である。どこに行っても、まともに相手にしてもらえる人物ではない。ましてや憲法改正を論じる資格などあろうはずがない。

そのことについては、10月31日の当ブログ「被疑者下村博文に対する検察審査申立記者会見にて」をご一読いただきたい。
http://article9.jp/wordpress/?p=11362

自民党内で改憲問題の先頭に立っていた船田元や中谷元、少し前には舛添要一などは、保守なりの論客として粘り強く手強い相手という印象がある。しかし、あの下村である。この難題をこなせるわけはない。本気でことをなそうという人事ではない。とはいえ、ウソとごまかしのアベ政権である。油断はならない。

その下村が、11月9日のテレビ番組(TBSのCS)収録でおかしなことを言って物議を醸している。片山さつき同様、期待にたがわぬ「お働きぶり」。

下村の発言は、「憲法審査会で憲法改正について率直な議論をすることさえしないのは、国会議員の職場放棄ではないか」と述べて、憲法審開催に応じようとしない立憲民主党などに苦言を呈した、というのだ。

もう少し詳細には、「(憲法審査会の)自由討議で自民党は(改憲4項目を)出したいと思っているが、野党は野党で考え方を発表してもらってもいい。」「憲法改正について、どう思っているのかについて議論しましょう、ということさえ議論をしなかったとしたら、(野党は)国会議員として職場放棄じゃないですか。高い歳費をもらっているにもかかわらず、国会議員として職場放棄してもいいのか、ということを国民にぜひわかってほしい」「我々は別に強要しているわけじゃない。自民党案を議論しないのだったらダメだ、と言っているのではない。ぜひ国会(の憲法審査会)を開いていただきたい」というものだったという。

言っている内容の非論理はともかく、これは泣き言である。改憲論議が進展しないことについて、相当の焦慮が見て取れる。櫻井よしこのホームページを眺めると、同じ趣旨が読み取れる。11月10日の記事に、こうある。

改憲案の提示が国民主権の一丁目一番地 国会は国民に投票の機会を与えるべきだ」という。改憲手続に執心しているのは安倍一人で孤立している、という焦慮が語られている。この点、アベ取り巻きに共通の思いなのだろう。

「臨時国会は10月24日に始まったばかりだが、その様子を見ていて、政党も国会議員も現実を見ていない、余りに無責任だと、腹立たしい思いになる。とりわけ焦眉の急である憲法改正について、なぜ、こうも無責任でいられるのか。

国際情勢の厳しさは、日本よ、急ぎ自力をつけよと警告している。国民、国家、国土は自国が守るという原点を思い出せと告げている。国民の命や安全に責任をもつべきは政府であるにも拘わらず、日本国政府には国民、国家を守る有効な手段を取ることができにくい。国の交戦権さえ認めない恐らく世界でたったひとつの、変な憲法ゆえである。

憲法改正を急ぐべしと問題提起を続けているのは、安倍晋三首相ばかりのように見える。首相は、『自民党の憲法改正案をこの臨時国会に提出できるように取りまとめを加速すべきだ』と幾度となく旗を振ってきたが、周りの動きはなぜかにぶい。」

「改憲案の提示が国民主権の一丁目一番地」で、「憲法改正が焦眉の急」といっているのは、「安倍晋三首相ばかり」。そりゃそのとおりだろう。自民党内もまとまっていない。公明党はそっぽを向いている。野党は絶対反対だ。国民は憲法改正など、これっぱかしも必要とは思っていない。

さて、昨日(11月11日)の午後、「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」財務省前で「アソウ・ヤメロ」のコールを繰り返し、銀座通りをアソウ辞任要求のデモをした。人数は多くなかったが、参加者は意気軒昂。

市民運動のコールやプラカードのキャッチコピーはいずれも秀逸。
メインは、「麻生財務大臣は即刻辞任せよ。」「国民をナメ切った麻生を追放しよう」「無恥・無知・無能の麻生はいらない」「アベとァソーのとんでもナイ閣 すぐ辞めろ」「国民なめんな」「麻生君 いつまで醜態晒す気だ」

麻生の「不摂生で病気になった人の医療費を負担するのはアホラシイ」発言への反発が強い。社会保険のなんたるかを理解していない。所得格差がもたらす健康格差に理解がない。これが、財務大臣か。「麻生の増税アホラシイ」「麻生に歳費はアホラシイ」のコールが、集会参加者の共感を呼んだ。銀座通りの買い物客も興味は津々。

この秀逸コールをアソウだけに献呈するのはもったいない。まずは下村である。「なににつけても優先順位というものがある」「切実な国民的課題をそっちのけで、不要不急の憲法『改正』問題にこだわり続けているのは、国民の負託に応えるべき国会議員の職場放棄ではないか」「高い歳費をもらっているにもかかわらず、国民の望まぬ改憲にこだわり続けて国会議員として職場放棄してもいいのか、ということをアベ取り巻き連中にはぜひわかってほしい」

端的に申しあげよう。こんな輩に、歳費なんぞやりたくはない。
 麻生に歳費はアホラシイ
 下村歳費も無駄遣い
 片山・甘利もアホラシイ
 アベに歳費もアンマリダ
(2018年11月12日)

見えてきた「安倍改憲阻止」の展望

今朝(10月5日)北海道の旅先で、道新一面トップの見出しが目に飛び込んできた。改憲案、与党協議経ず提示」「自民検討、衆参憲法審に4項目というもの。これはトップ記事とするにふさわしいニュースだ。

自民党は、安倍晋三首相が目指す10月下旬召集予定の臨時国会への改憲案提出を巡り、公明党との事前協議を経ずに、3月にまとめた4項目の改憲条文案を衆参両院の憲法審査会に提示する方向で検討していることが4日、分かった。首相は総裁選で与党協議後に改憲案を提出する意向を示したが、公明党が慎重姿勢を強めていることを受けて方針転換する。今後は憲法審での与野党の議論を踏まえて国会発議につながる改憲案の作成にこぎ着けたい考えだが、公明党や野党が難色を示す中、臨時国会への提出は不透明だ。

これまで再三にわたって説明されてきたアベ改憲の手順は下記の通りである。
改憲原案の党内まとめ⇒与党協議を経ての与党案とりまとめ⇒各野党への提案と意見聴取⇒国会への改正原案提出⇒両院の3分の2以上の賛成による可決⇒国民投票発議
実は「改憲原案の党内まとめ」ができているかも怪しいのだが、ここに来て「与党協議を経ての与党案とりまとめ」はその入り口にも入れないことになったというのだ。「臨時国会への提出は不透明だ」という道新の見解は、さもありなんと言うよりは、むしろ「臨時国会への提出は絶望的」と言うべきではないか。

この道新記事が述べているとおり、首相は総裁選で「与党協議後に改憲案を提出する」意向を示したが、客観情勢を無視した願望に過ぎない。現実には、「友党」からの「友情」も期待し得ない事態なのだ。

さらに本日午後、各メディアが共同通信配信記事を一斉に報道した。「自民、改憲案で与党協議見送りへ」「国会に単独提示、9条改正など」という見出し。

 自民党は、10月下旬に召集予定の臨時国会に、9条への自衛隊明記など4項目の憲法改正条文案の単独提示を目指す方針を固めた。連立を組む公明党が事前協議に一貫して難色を示しているため、協議は見送る。自民党幹部が5日、明らかにした。衆参両院の憲法審査会で条文案を示し、与野党による議論を喚起することを狙う。主要な野党は改憲案の提示自体に反対しており、予定通り進むかは見通せない情勢だ。
 自民党憲法改正推進本部長に内定した下村博文・元文部科学相が4日、推進本部の最高顧問に就く高村正彦前副総裁らと党本部で会談し、条文案の提示を目指す方針を確認した。

この共同通信記事は、今朝の道新記事を確認したといえるものだが、なんとも微妙な書き方。「9条への自衛隊明記など4項目の憲法改正条文案の単独提示を目指す方針を固めた」とはいったいなんのことだ。「単独提示」はやむなくそうせざるを得ないというだけのことで、「単独提示を目指す」はなかろう。また、「単独提示」なら党が独自に決定できるのだから、「方針を固める」必要はない。

正確には、「(自民党は)9条への自衛隊明記など4項目の憲法改正条文案については、他党との連携は不可能と判断せざるを得ず、単独提示を決断した」という記事なのだ。

これまでの方針を貫くことにネックとなったのは公明党の態度であると言う。そりゃそうだ。あらゆる世論調査の結果が、「安倍改憲」には過半数が反対している。改憲はともかく、信用ならないアベの改憲には国民は「ノー」と言っている。そのアベ改憲への協力は、世論への挑戦にほかならない。失敗の公算が高く、その場合には公明も大きく傷つくことになる。内部からの批判の噴出に耐えられないことにもなりかねない。アベ政権との心中を覚悟せずには、与党案作成などできることではない。

今回の沖縄知事選挙に公明党は全国からの大規模動員を掛け従来型スタイルの選挙運動を試みて失敗した。公明支持層を固めることもできず、むしろ公明党員や創価学会員の離反者が大きな話題となった。来年(19年)の統一地方選や参院選を前に、公明党が改憲与党案作成に加担するとは考え難い。

となれば、改憲作業がスムーズに運ぶはずはない。道新は「臨時国会への提出は不透明」といい、共同通信は「(自民の)予定通り進むかは見通せない情勢」という。

アベを先頭とする右翼勢力にとっては、「安倍のいるうち、両院に改憲派3分の2の議席あるうち」こそがまたとない改憲のチャンス。ところが、信用ならないアベ在職中の改憲には国民世論が「ノー」。この矛盾がいよいよ、明確になってきた。

アベがぶち上げた「2020年オリンピックの年に改正憲法の施行を」という構想の実現は、ほぼ絶望的な事態。そして、アベの任期の2021年まではもう少しだ。改憲阻止の展望は十分ではないか。今こそ、改憲発議ストップの世論をさらに積み上げよう。
(2018年10月5日)

アベ3選の今、アベの改憲意欲に吹く嵐。

自民党総裁選が終わった。「石破善戦・安倍意外の苦戦」というのが大方の評価。注目は、この結果を受けての改憲情勢。さて、どうなっているのだろうか。

もちろん、アベ自身は空元気にせよ、改憲を言い続けなければならない立場。3選後の記者会見では、用意したコメントの一番最後に改憲に触れた。

「全ての世代が安心できる社会保障改革。戦後日本外交の総決算。そして制定以来初めての憲法改正、いずれも実現は容易なことではない。いばらの道であります。党内の議論も、他の政党との調整も一筋縄ではいかないかもしれない。しかし、今回の総裁選を通して、党内の大きな支持をいただくことができました。これは、これから3年間、私が自民党総裁として強いリーダーシップを発揮できる、党一丸となって大改革を断行する大きな力になるものと考えています。」

いずれも実現は容易なことではない。いばらの道であります。党内の議論も、他の政党との調整も一筋縄ではいかないかもしれない。」は、だれもが頷くところ。しかし、「今回の総裁選を通して、党内の大きな支持をいただくことができました。私が自民党総裁として強いリーダーシップを発揮できる、党一丸となって大改革を断行する大きな力になるものと考えています。」はだれもが頷くところではない。むしろ、冷笑する向きが多いのではないか。

記者団の質問に答えてこうも言っている。
憲法改正は…今回も総裁選の最大の争点であったと思います。憲法改正推進本部の議論を経て党大会で報告された条文イメージの上に、次の国会に案を提出できるように党を挙げて取り組むべきだと申し上げてきました。そして総裁選の結果、力強い支持を得ることができたと考えています。結果が出た以上、この大きな方針に向かってみんなで一致結束をして進んでいかなければならないと思います。」
「しかし、党として案を国会提出に向けて幅広い合意が得られるように対応を加速してまいりますが、その際には友党の公明党との調整を行いたいと思います。その後のスケジュールは国会次第でありまして、予断を持つことはできないと思いますし、もちろん(衆参両院の)3分の2で発議をしていくことは相当高いハードルですし、できるだけ多くの方々に賛同していただく努力をしていくべきだろうと思います。これは党を中心にそうした努力を行っていただきたい」

アベ改憲を唱えるアベ自身の自信のなさが滲み出ているではないか。3分の2で発議をしていくことは相当高いハードル」との自覚はリアリティに支えられたもの。にもかかわらず、党内論議さえ不十分。友党である公明党との調整もおぼつかない。そしてその先は、まったくの無方針。「次の国会に案を提出できるように党を挙げて取り組むべきだと申し上げてきました。」「大きな方針に向かってみんなで一致結束をして進んでいかなければならない」という言葉が虚しい。あきらめの本心さえ窺うことができる。

アベ3選を踏まえての最初の世論調査を共同通信が発表した。
「自民改憲案提出に反対51%」「「安倍1強」57%が問題視」と見出しを打っている。
共同通信社が20、21両日、自民党総裁選で安倍晋三首相が連続3選を果たしたのを踏まえて実施した全国緊急電話世論調査によると、首相が秋の臨時国会に党改憲案の提出を目指していることに「反対」との回答は51.0%に上り、「賛成」の35.7%を上回った。首相が政治や行政の意思決定で大きな力を持つ「安倍1強」を「問題だ」と答えた人が57.4%、「問題ない」は33.6%だった。
 首相の連続3選を「評価する」は29.7%にとどまり、「評価しない」は24.9%、「どちらとも言えない」は44.7%だった。

これでは、軽々に秋の臨時国会に改憲上程とは行くまい。この世論状況では、議会内の3分の2の獲得がどだい無理な話。アベに義理立てして、うっかり改憲発議に加わると、政治的に大きく傷つくことになりかねないからだ。仮に、3分の2の獲得ができたところで、国民投票では否決される。そのときは、アベ内閣が瓦解するときだ。

同じ共同通信が、公明・山口代表の見解を記事にしている。「改憲世論熟さず―『自民は信頼向上を』」というのだ。これはまことに冷ややかな反応。

 公明党の山口那津男代表は21日、共同通信社の世論調査で、秋の臨時国会への自民党憲法改正案提出に反対が51・0%に上ったことに関し「改憲に向けて世論が熟していない。自民党がこの現実をどう受け止めて対応するか見守りたい」と述べた。取材に対し答えた。
 安倍晋三首相「1強」は問題だとする回答が57・4%だったことには「自民党が受け止めて、信頼感や安心感を高める必要がある」と強調した。

驚いたのは、あの小池都知事が「改憲ふさわしい時期か」と述べていること。
これは朝日。毎日も記事にしている。
 自民党総裁選で連続3選した安倍晋三首相が憲法改正に意欲を示していることについて、東京都の小池百合子知事は21日の記者会見で、「内外に山積する課題はとても大きい。今、日本のエネルギーを憲法改正に集約させていくことにふさわしい時期なのか。よく吟味していただきたい」と述べた。
 小池氏は改憲肯定派だが、首相の拙速な動きに異論を唱えた格好だ。
 首相の地方票の得票率が55%にとどまったことについては、「(国会)議員はいろいろと人間関係があるが、(地方票は)客観的な投票だと思う。選挙は最大の世論調査。地方の声が反映されている」との見方を示した。

山口も小池も、世論の動向を読むのに余念がない。その両名の風の読み方が一致している。いま、改憲に向けて追い風はない、という読み。

自民党総裁選はコップの中の波と風だったが、それでも改憲阻止を望む立場からはまずは波乱なくおさまった。沖縄知事戦は、コップの中の嵐ではない。3選直後のアベ政権を直撃する大嵐を期待したい。
(2018年9月22日・連続更新2001日)

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