澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

NHK「情報公開請求」訴訟第1回口頭弁論傍聴のお願い。

(2021年9月13日)
 日本最大のマスメディアであり、世論の形成にこれ以上の影響力を持つ組織はないと思われるのが公共放送・NHK。一面「放送の自由」を掲げるジャーナリズムでありながら、放送法という法律に設立と運営の根拠をもつ特殊法人として、強く行政の規制を受けざるを得ない微妙な存在。市民が育てなければならない

 そのNHKに、情報公開の面から切り込む、初めての「NHK情報公開請求訴訟」の第1回口頭弁論期日が迫ってきました。

  日時 9月28日(火)午前10時40分から約1時間
  法廷 東京地裁103号(1階の「大法廷」)
  (傍聴は抽選が予定されています)

 弁護士の意見陳述だけでなく、原告団長の醍醐聰(東大名誉教授)さん、副団長の長井暁さん(元NHKチーフ・プロデューサー)、西川幸さん(視聴者の立場から)の3人が、口頭での意見陳述をします。

 コロナ禍さなかの口頭弁論ですが、是非傍聴をお願いします。傍聴席の抽選は予定されていますが、当初の予想よりは傍聴者は少なそう。もちろん、どなたも抽選に参加できます。身分証明も不要です。終了後には、小集会も予定しています。

 組織の民主化の要諦は、運営の透明化にあります。その透明化の切り札は情報公開に尽きます。民主性を標榜する組織は、積極的に内部情報を関係者に提供するとともに、要求あれば特定された文書の開示請求に応じなければなりません。説明責任遂行に伴う情報公開の全うこそが、すべての組織の民主的運営の土台というべきです。

 いま、情報公開請求裁判は数多く起こされています。その訴訟の形式は、行政訴訟です。「行政機関情報公開法」、あるいは「独立行政法人等情報公開法」に基づいて文書開示を請求し、不開示決定を得た場合に、その「不開示という行政処分」の取り消しを求める訴訟なのです。

 しかし、NHKには、どちらの法律の適用もありません。「独立行政法人等情報公開法」は、192にも上る独立行政法人あるいは特殊法人を対象としていますが、NHKは意識的に適用外とされています。NHKは、内規によって独自の情報公開制度を定めていますが、これは飽くまでも自主規制規則に過ぎず、法的な効果をもつものではない、というのがNHKの姿勢です。「裁判所に持ち込まれることなどあり得ない」というNHKや経営委員会の思い込みが、これまでの開示請求に関する不誠実な対応の原因の一つと考えられます。

 NHKが視聴者に対する情報公開制度を作り、この制度の存在を公表し、実際に運用してきた以上は、この制度を遵守すべきことが、NHKと視聴者との間の受信契約の内容となっている、というのが私たちの主張の柱です。
 行政訴訟ではなく、民事訴訟として、受信契約にもとづく文書開示請求権の行使としての、これまでに前例のない裁判が、「NHK情報公開請求訴訟」なのです。是非、ご注目ください。

 なお、この訴訟は、NHKだけを被告にしているのではありません。あの、悪名高い、NHK経営委員会森下俊三委員長を、二人目の被告として、この人に損害賠償請求をしています。

 NHKの最高機関は、「NHK経営委員会」です。経営委員会が、会長を任命もし、罷免もする権限をもっています。その経営委員会委員長が、元総務事務次官からの要請を受けて、明らかに「かんぽ生命不正報道」の番組制作を妨害して、制作現場に土足で踏み込んだのです。明らかな放送法違反です。

 この訴訟で開示を求めているメインの文書は経営委員会議事録です。その議事録が出せない、あるいは議事録の公開が遅延したのは、委員長森下俊三の番組制作妨害が議事に関わっているからだというのが、私たちの主張です。

 NHKを、真のジャーナリズムに育てようという、壮大な国民運動の一環としてのNHK情報公開請求訴訟にご注目とご支援をお願いいたします。

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