澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

名護高校の生徒諸君 ― 小泉進次郎のトークに欺されてはいけない。

稲嶺候補敗北という名護市の選挙結果は衝撃だった。「名護ショック」症状からの早期回復が今の課題だ。この結果を選択した名護市民とは、決して異世界の住民ではない。日本国民の一部の住民であり、明らかに私たち自身なのだ。その選択は、どのようにしてなされたのか、納得できる分析がほしい。

巷間言われていることはいくつかある。稲嶺陣営は基地反対を焦点に据え、渡具知陣営は争点をそらして経済活性化を訴えた、その作戦が功を奏したというのだ。なるほど、政権が露骨に一方陣営にはムチを他方にはアメの露骨な誘導を行ったというわけだ。

また、基地反対運動の先が見えず、住民が疲れ果ててこれまでとは別の選択を強いられた結果ともいう。公明党がその存在感を示さんがために全力をあげた結果だとも、さらには、この選挙では初めての18歳・19歳の選挙権行使が影響を与えた…のだとも。

政権が地元に、基地の負担を強いたうえに、こう言っているのだ。
「おとなしく基地の建設を認めろ。そうすれば悪いようにはしない。その見返りは真剣に考えてやろう。」「しかし、言うことを聞かないのなら、徹底して経済的に締め上げるから覚悟しろ。」
こう言われて、「我々にも五分の魂がある」という派と、「魂では喰えない。背に腹は代えられない」という派が真っ二つになった。前2回の選挙は「五分の魂」派が勝ち、今回は「背に腹」派が勝ったということのように見える。

若者の動向、とりわけ初めての18歳選挙導入の効果が、「背に腹」派に有利に働いた模様なのだ。
地元OTV(沖縄テレビ)の出口調査では、年代別の投票先は次のようだったという。若者世代の保守化は著しいというほかない。
10代 稲嶺37% 渡具知63%
20代 稲嶺38% 渡具知62%
30代 稲嶺39% 渡具知61%
40代 稲嶺41% 渡具知59%
50代 稲嶺38% 渡具知62%
60代 稲嶺65% 渡具知35%
70代 稲嶺68% 渡具知32%
80代 稲嶺67% 渡具知33%
90代 稲嶺86% 渡具知14%

RBC(琉球放送)の出口調査では、
10代 稲嶺33.3% 渡具知66.6%
20代 稲嶺44.0% 渡具知56.0%

私にとって衝撃だったのは小泉進次郎の名護高校生に対する語りかけ、いや、その語りかけに対する高校生の反応だ。進次郎演説の無内容のひどさにも驚いたが、この無内容演説に対する高校生のあまりに無邪気な肯定的反応は衝撃というほかない。なるほど、アベ政権の18歳選挙権導入実現には、それだけの読みと狙いがあったのだ。

私には信じがたい。若者が政権与党の幹部にあのような、アイドルに接するような態度をとれるものだろうか。ユーチューブで見聞く限りだが、小泉には若者に地元の展望を語る何ものもない。蕎麦がうまかった。渡具知は名護高の出身だ。娘も同じ高校に通っている。地元で生まれ育った人で地元の振興を。名護湾は美しい。名護とは「なごやか」が語源ではないか。18歳の皆さんの投票で逆転できる…程度のことしか言わない。驚いたが、具体的な地域振興策さえ口にしないのだ。落語家が枕を振って、これからどんな噺が始まるかと思いきや、枕に終始してオシマイ、というあのはぐらかし。

ところが、高校生はおとなしくにこやかにこのつまらぬマクラを聞いている。「和みの名護湾に、基地を作ってよいのか」「オスプレイで、学校の騒音はどうなるのか」「ヘリが校庭に落ちてきたらどうする」などと、ヤジは飛ばない。君らの大半は、基地建設にゴーサインを出したことになる。君たちは、名護の将来を真剣に考えたのか。

名護高校生諸君に聞いてもらいたい。
私は、弁護士になって以来、詐欺ないしは悪徳商法に欺された人々の被害救済訴訟を自分の使命として多数手がけてきた。欺された人々は例外なく、悪徳商法のセールスマンを、「自分に幸運をもたらす親切なよい人」と思い込むのだ。笑顔で、礼儀正しくて、口当たりの良い言葉を話して、こうすれば利益が確実と思い込ませるのが、悪徳商法のセールスマンなのだ。

だから、甘い言葉には、欺されぬよう気をつけなければならない。欺されぬためには、まずは徹底して疑問をぶつけることだ。それから、一セールスマンの意見を鵜呑みにせず、ライバル関係にある他の意見にも耳を傾けて、対比をしなければならない。さらに、自分一人で判断せず、周囲の人々と意見交換も大切だ。

ベネフィットだけを誇張してリスクを隠すセールストークが悪徳商法の基本だ。効能だけを語って、決して副作用を語らないサプリメントの売り方も分かり易い。選挙も同じだ。私の耳には、小泉進次郎の名護高校生諸君に対する選挙応援演説は、ソフトでスマイルいっぱいの悪徳商法トークに聞こえる。

キミたちはなめられているのだ。こんな程度で、ごまかすことのできる相手だと。キミたちを一人前の自立した有権者だと考えていたら、こんな程度の話ができるはずはない。何よりも、建設を許せば耐用年数200年という恒久基地の将来像について一言あってしかるべきではないか。もっと具体的に、今の市政に足りないもの、どうしたらそれを補うことができるのか、どうして稲嶺にはできず渡具知ならできるのか、真剣な訴えがあって当然だろう。

小泉進次郎には、まず問い質すべきだった。「どうして、選挙演説で基地のことをお話ししないの」「辺野古基地の建設は我慢しなければならないの」「基地ができたら、今普天間の学校や保育園で起こっていることが今度は名護で起こることにならないの」「オスプレイはどのくらいうるさいの」「どうして、渡具知さんが勝った場合だけ経済振興になるのですか。稲嶺さんでは応援しないと言うことですか」「あなたは私たちに、具体的に何をお約束されるのですか」「そのお約束は、稲嶺さんが市長ではできないのでしょうか」「稲嶺さんの政策のどこに間違いがあるということでしょうか」「結局あなたは、名護のためにはではなく、基地建設推進のために渡具知さんを応援しているのでではありませんか」

これに小泉がこう答えれば、はじめて議論の出発点になる。ここから論争が始まる。
「基地に反対して、平和や環境や自治を守ろうというのは単なる理想だ。それでは君たちの地元の豊かな暮らしはできないのが現実だ。海は壊されて基地ができ、治安は悪化し、騒音は酷くオスプレイの墜落の心配もあるかもしれない。それでも、アベ政権は君たちに経済の振興策を提供することができる。基地反対派には支援はしない。君たちは決断すべきなのだ。基地に反対を貫くことで理想や理念を守ろうというのか、それとも基地反対では喰えない現実を覚って賛成にまわるのか。」

なお、質問される前からこう言っておけば、詐欺商法の汚名を甘受せずともよい。これは詐欺商法とは別種の脅迫商法ないしは恫喝商法なのだから。

名護高校の諸君に、いや全県・全国の若者に、心からのお願いをしたい。これからの人生には何回もの選挙があるだろう。悪徳商法に欺されてはならないという気構えで、とくと考えて投票されよ。少なくとも、選挙運動のセールストークを鵜呑みにするようなことがあってはならない。甘い言葉には毒があるのだ。疑問点は徹底して問い質すこと。そして、相手陣営の見解もよく聞いて比較してみること。最低限これだけのことはしなければならない。これからの選挙の結果には、若者の命がかかってくることにもなりかねないのだから。
(2018年2月5日)

切られちまった尻尾の愚痴ー名護市長選告示の日に

私が切られた尻尾だ。尻尾だって身体の一部じゃないか。よく言うだろう、「小指の痛みも全身の痛み」って。小指だけじゃない、尻尾だっておんなじだ。尻尾だって生きている。尻尾にだって意気地もあれば、いかほどかの魂もある。切られて、へっちゃらではないんだよ。でも、切られた尻尾と切られぬ小指。どうしてこんなにちがうんだろう。やっぱり、無念だ。しばらくは、切られた姿でのたうちまわっている以外にない。

切られた尻尾にも、名前はちゃんとある。俄然時の人になった、話題の松本文明。それが私の名だ。

3日前の1月25日のことだ。日本共産党の志位和夫が衆院本会議で代表質問をした。キョーサントーだぜ。アベシンゾーは、ヤジで「ニッキョーソはどうした。ニッキョーソ」って騒いでいたが、キョーサントーの方が敵としてはるかに手強いだろう。だから私は、アベシンゾーを手本に、隙あらばなんか言ってやろうと待ち構えていた。志位は、演説で沖縄の問題に触れた。沖縄は私が副大臣として関わるテーマだから、聞き耳を立てた。

演説のなかで志位は、沖縄で起きた米軍普天間飛行場所属ヘリの事故を巡る問題に触れた。保育園や小学校の保護者の不安の声を紹介して、普天間基地の存在と辺野古新基地建設を攻撃し、沖縄からの海兵隊撤退を求めた。

そこで、私は議場からヤジを飛ばした。「それで何人死んだんだ」と。一人も死んではいないだろう。機体が不時着したり、ヘリのドアが落ちたくらい、たいしたことではないじゃないか。たとえ事故が、保育園や小学校で起きたとしても、だ。キョーサントーは何を大袈裟なことを言っているんだ。私は一人の死者も出ていないという真実を語っただけのこと。このヤジのどこが問題なんだ。国会は言論の府だったはずじゃないか。この国の国会には言論の自由はないのか。

なんてったって、国土の防衛こそが最重要事だろう。安全保障は何にも勝る重大政策だ。中国に攻められてみろ。北朝鮮からのミサイルが飛んできたことを思え。ヘリの不時着やドアが校庭に落ちたくらいで騒いでいることが、なんと平和惚けの議論なのかよく分かるだろう。

私は、自分のヤジが取り立てて問題のあることではないと思っていたのだが、本会議終了後赤旗の記者から取材を受けた。やましいところはないから、ヤジを飛ばしたのが自分であることは認めた。もっとも、「死者が出なければ良いという考えか」という質問には、私もバカではないから「そんなことは全然ない」と返答しておいた。

ところが、この記事が翌26日の赤旗に出た。産経でも読売でもない。キョーサントーの機関紙だ。赤旗がなんと言おうと官邸も党も動じることはなかろうと思っていた。なんたって、官邸も党も、ホンネのところでは、私の発言とまったく同じ考えなんだから。上の方では言いにくいことをよく言ってくれたと褒められても良さそうなところ。だから、記者たちには、おわびも発言撤回も辞任もないと、強気に出て否定しておいた。官邸も党も私を守ってくれるはず、そう思っていた。

ところが、当てが外れた。私の読みが浅かった。官邸も党も、私に、即刻沖縄担当の内閣府副大臣を辞任しろというのだ。そりゃなかろうとは思ったが、どうにもしょうがない。ふてくされながらも辞表を提出し、メデイアからは「事実上の更迭」と書かれた。

タイミングが悪いと説得された。名護市長選挙の告示日が目前だ。2月4日に投開票を迎えるこの選挙戦への影響を懸念せざるを得ないというのだ。で、1月26日のうちに、アベシンゾーより事実上副大臣の更迭だ。要するに、トカゲの尻尾として切られたのだ。しょうがないけど、やっぱり釈然としない。

記者会見では神妙なところを見せた。「ただいま、総理にお会いをいたしまして、『大変誤解を招く発言でご迷惑をかけています』『ついては、辞表を持って参りましたので、よろしくお取りはからいをお願いします』ということです。辞表を提出をして参りました」

(首相からは)「いや、『特に今、この国が大変な時期なので、緊張感を持って対応してもらわないと、困ります』という注意を受けました」

「いずれにしても誤解を招いて、重要な予算審議、国会審議が始まる中で、沖縄県民並びに国民の皆さんに迷惑をかけたと思って直ちに今辞表を出してきたということであります」

「いろんなメディアの方から、大きく問い合わせ、もろもろありまして。なるほど、これほど大きな誤解を受けているんだったら、もうその、なんというんでしょう。私がいろいろ今しゃべっていることはすべて釈明にしか聞こえない。弁解にしか聞こえない。これじゃやっぱりだめだ、と。ここはおわびをする方がいい、こういう思いを持ちました

自分でも何を言ってるんだかよくは分からない。「誤解」ってなんだ、誰にお詫びしているんだって、聞かれてまともに答えられるわけがない。面白くないのは、尻尾を切った頭の方が涼しい顔をして、イケシャシャアとしていることだ。同じ考えのはずなのに、すべてを尻尾のせいにして切り捨てたんだ。アベシンゾーというトカゲは、一体何本の尻尾を持っているんだろう。切る尻尾と残す尻尾。どう区別しているのか、どうにも腑に落ちない。

アベが口にした、「緊張感を持って対応」って、ホンネを漏らさぬよう緊張しろっていうことなんだ。うっかりホンネを言ってしまうと、せっかく欺して手にしていた票が逃げる、腹ふくるるを我慢して本当に思っていることをしゃべっちゃダメ、ということなんだな。

しかしだ、私よりずっと罪の重かろう閣僚連が、切られぬ尻尾として数多くいるのに、どうして私だけが切られるのか。腑に落ちない。安倍昭恵は切られぬ尻尾として残され、籠池夫妻が何ゆえ切られた尻尾になったんだ。加計孝太郎も相当に腐敗した危ない尻尾だ。それでも、どうして切られていないのだ。

だいたい、私は運が悪いのだ。2003年の第43回総選挙では、私の選挙運動員が大学生に現金12万円を渡したとして逮捕された。たったの12万円で逮捕だ。いつかの都知事選でのどこかの陣営でもあったことだが、あっちは見逃されているではないか。

いよいよ本日、名護市長戦が始まった。何が争われているのか。本当は、こうだ。自・公・維の側は、保育園や学校の安全などより、国防が第一なのだ。米日の軍事基地の効率的な運用のためには、騒音問題も、安全や治安問題も小さな問題だろう。「一人の死者も出してはいないんだから、取るに足りないのだ」がホンネだ。だけど、それを言っちゃあ勝てないから、衣の下の鎧を隠しながらの選挙戦。

その点、オール沖縄派は、辺野古新基地反対のホンネを語っての選挙だから、やりやすかろう。私は、結局、オール沖縄派に塩を送ったことになるだろうだから、私は、官邸と党に、お詫びをしたんだ。決して沖縄県民にお詫びをしたわけではない。むしろ、切られた尻尾として、何が正しい選択かを県民にお伝えしたのだから、御礼を言われてもいいんじゃないかな。
(2018年1月28日)

沖縄に春の訪れーめでたやな南城市長選にオール沖縄の勝利

さてもめでたや 新玉の春は心も若がえて 四方の山辺の花盛り…(「四季口説」(しちくどぅち))。昨日(1月21日)投開票の南城市長選で「オール沖縄派」候補が、現職の4戦を阻止して初当選した。今年を占う初春の吉事である。

沖縄の今年は、「選挙イヤー」だという。
1月21日投開票の南城市長選を皮切りに、ことしの沖縄は県知事選と17市町村での首長選、加えて30市町村で議員選挙、3つの補欠選挙と計51の選挙がある。その数もさることながら、中央政界の関心が高く、沖縄の将来を占う選挙が控えているのも特徴だ。「辺野古新基地建設の是非」を争う県知事選(11月想定)と、その前哨戦に位置づけられる名護市長選(2月4日投開票)だ(「沖縄タイムス」)。

その初戦での「オール沖縄派」の勝利だから、まずはめでたい。琉球新報の長い見出しは以下のとおり。
「南城市長選 瑞慶覧氏が初当選 古謝氏に65票差、市政交代 オール沖縄に追い風」

沖縄タイムスはこうだ。
「南城市長選:知事が支援する新人当選 瑞慶覧長敏氏、65票差で現職破る」

いずれも接戦・僅差を見出しにしているが、12年間継続した保守市政の岩盤を破って、現職四選を阻止したことの意味は大きい。

▽南城市長選開票結果
 当11429 瑞慶覧長敏 無新
   =社民・共産・社大・自由・民進推薦
  11364 古謝 景春 無現
   =自民・公明・維新推薦

なお、当日有権者数は3万4328人。投票総数は2万2973。有効投票数は2万2793、無効票は180。

何よりも、この選挙は「オール沖縄」の今後の消長を占う選挙だった。
琉球新報は、「2月の名護市長選、秋の県知事選の前哨戦とも位置付けられた選挙で、瑞慶覧氏を支援した『オール沖縄』勢力が弾みをつけた格好だ。」とし、
毎日は、「米軍機の相次ぐトラブルによる県民の不満の高まりが古謝氏への逆風になった面もある。安倍政権は今年、現職が翁長氏系の名護、那覇両市長選に勝利して県内全11市を政権寄りの首長で固め、翁長氏が掲げる『オール沖縄』を崩そうと狙っていただけに、南城市での敗北は痛手だ。」と評した。

ところで、全国の人々に、南城市の存在はどれほど認識されているだろうか。恥ずかしながら、私も「ナンジョウシ? どこ?」。

2006年、佐敷町・玉城村・知念村・大里村の合併で誕生した市だという。佐敷や玉城知念ならイメージが湧くのだが、どうも「南城」では。琉球王国を建国した尚巴志王の出身地でもあり、保守県政築いた西銘順治沖縄県知事(故人)は、南城名誉市民とのこと。西銘の男子二人は、自民党の国会議員となっている。本来保守の強いところなのだ。

学生時代に復帰前の沖縄に旅して、久高島で12年に一度午年の旧正月に行われる祭イザイホーのあることを知って、できれば見学をと思った。佐敷の馬天港から久高島に行く船便まで調べたが、わずかな宿代と交通費を捻出できず諦めたことがある。この馬天も久高も今は南城市だ。新市発足以来12年間の保守市政が、ここで「オール沖縄」派の市政に転換した意味は大きい。

次はいよいよ、名護市長選挙(1月28日告示、2月4日投開票)。「社民・共産・社大・自由・民進」のオール沖縄と、「自民・公明・維新」のオール保守の対峙という構図は南城市長選と同じ。ただ、オール沖縄側が現職で、オール保守側が新人候補と、攻守所が変わっている。

同市長選は、三選を目指す現職の稲嶺進氏(72)=社民、共産、社大、自由、民進推薦=と、元市議で新人の渡具知武豊氏(56)=自民、公明、維新推薦=の一騎打ちとなる見通しで、両陣営は選挙戦本番さながらの活動を繰り広げている。

下記は、本番さながらの選挙戦を闘っている現地からの檄。
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名護市民と沖縄県民の不屈の闘いの勝利を目指して。

名護市長選挙も告示まであとわずか。既に最終盤の模様です。
安倍反動内閣は2014年7月1日、憲法違反の集団的自衛権の行使容認と辺野古新基地建設の作業開始を同時に閣議決定しました。作業開始から3年半が経った今日でも建設工事は遅々として進まず、完成の目処が立たないのが現状です。それは県民の不屈の闘いによって拒否されているからです。こうしたなかで名護市長選挙が闘われています。
本来ならば当然に、辺野古新基地建設の是非が選挙戦最大の争点となるはずです。しかし、自公陣営とその候補者はデマと争点そらしに徹して、死にものぐるいで運動を強めています。
名護市民はSACO合意以降の20年間、日米両政府の悪政と闘ってきました。2010年1月には稲嶺市政を打ち立てて、市民が主人公の市政で市民のくらしと命を守る政治を貫いてきました。一方、市政の問題でも自公陣営とその候補者は市民の立場に立つことができず、対案すら提起できないためデマ宣伝に徹しているのです。
我々は市政の継続をめざして、この間全国の仲間のみなさんと団結して頑張ってきました。我々の闘いがオール沖縄陣営の団結と前進に大きく寄与しています。しかし、闘いを勝ち抜くためには最終の最終までの奮闘が必要です。共に頑張りましょう!
(2018年1月22日)

成人の日、若者に「脱保守化」を勧める

成人式を迎えた若者諸君。成人おめでとう。
君たちは、この社会を構成し運営していくメンバーとしての資格を手に入れた。これからは、この社会の構造や運営のあり方について、大いに意見を述べていただきたい。それによって、社会は変わるのだから。

君たちには多様な可能性が開けている。未来は、君たちのものだ。君たち自身の力で、未来を変えることができる。これから長く君たちが生きていくことになるこの社会をよりよく変えていくのは君たちだ。

若いということはそれだけで素晴らしい。若さとは、理想や純粋の別名でもある。真実や正義を希求し、理想を実現するための行動をいとわない。この社会の虚偽や不正に対する怒りのエネルギーに満ちている、それが若者だ。

この世の不正義、この世の不平等、権力や資本の横暴、人権の侵害、民主主義の形骸化…。平和憲法の蹂躙、核の恐怖、原発再稼働の理不尽、沖縄への圧迫、格差貧困の拡大…。この世の現実は理想にほど遠い。若さとは、この現実を変えて理想に近づけようという変革の意志のことではないか。

ところで、若さとは長い未来に生きることを意味する。社会が今より良くなればその利益は君たちが長く享受することになる。反対に社会が今より悪くなればその不利益は君たちが長く甘受しなければならない。

仮に、憲法が改正されて、自衛隊が国防軍となり、集団的自衛権行使の名の下、世界の至るところでアメリカと共同して開戦するようなことになれば、前線に立つのは君たちだ。周辺諸国と軍備の増強を張り合って抑止力の均衡という恐怖の中で長く生きることになるのは君たちだ。新自由主義という格差と貧困の元凶となる経済政策が続くようなら、一部の例外を除いて君たちの大部分が格差と貧困にあえぐことになる。

自由・平等・連帯・個性の顕現を実現すべく合理的な社会を求めてその仕組みを変えていこうという志向が「革新」の立場。世の中を今程度で良しとして妥協するのが「保守」の立場。現状に満足せず理想を掲げて現実を動かそうとするのが「革新」で、理想は措いて現実を肯定するのが「保守」。

古来、若者は常に革新派だった。純粋に理想を追求するのが若者なのだから。しかし、人は若さを失うとともに、社会のしがらみを抱えることになる。守るべき多くのものが幾重にも桎梏となって、守りの姿勢にはいらざるを得なくなる。その結果、年齢を重ねるに連れて、理想よりも現実、変革よりも現状の維持を選択する心情となる。これが保守化ということだ。

政党は、革新から保守の目盛りの中に点在し、その両極に共産党と自民党がある。これまで、常識的に、共産党の支持者は若者が、自民党の支持者は高齢者が多いと思われてきた。革新的な若者が社会で生きていくうちに保守化して、政権与党を支持するようになる。一昔前までは、世論調査の結果もそう語っていた。

ところがどうだ。昨今は様変わりだという。
昨年10月の総選挙におけるNHKの出口調査が話題となった。私には衝撃だった。自民党に投票した有権者の世代別割合は、20代が50%、30代42%、40代36%、50代34%、60代32%、70代以上が38%だったという。年齢が上がるほど自民党支持者が減っている。つまり、若年層ほど保守的傾向が強く、高年齢層ほど保守支持が弱まるというのだ。常識とは正反対の現実。

もしかしたら戦後の教育は失敗したのだろうか。若者は理想を語ることをやめ、社会を変革していこうという気概を失ったのか。不正義や理不尽を怒るエネルギーを持ち合わせていないのか。ひたすら社会の空気を読み、忖度に長けた成人になっているのだろうか。

「今の程度に就職できることがありがたい。」「無難に働けるなら、それ以上は望まない」「民主党政権時代の混乱よりは、アベ政権の安定が望ましい」というのが若者の言葉だろうか。それが本当のホンネか。願わくは、そのような投票行動は、若者の仮の姿であってほしい。いま流行の「面従腹背」の実行と受けとりたい。

本日成人式に出席の若者諸君。もう、君たちは自分自身の将来のために覚悟を決めねばならない。もう、素直だの忖度だのは不要だ。空気を読むことはやめよう。生涯面従腹背を貫ぬいてもおられまい。現状維持の姿勢から、抜け出そう。もう少しましな、多くの人々にとって居心地の良い、生きるに値する社会をつくるために。
(2018年1月8日)

市民と野党の共闘候補に「隠れ改憲派」はふさわしくない。

10月20日投開票の第48回総選挙。あれから既に1か月余が過ぎた。自分なりに腑に落ちる総括をしなければと思いつつ、なんとも落ちつかぬままで、まとめきれない。総括の最重要問題は共闘のあり方だ。

世論調査に表れた民意はけっして改憲支持ではなく、とりわけ9条改憲に賛成ではない。ところが、1996年総選挙で小選挙区制導入以来、憲法擁護を掲げる少数野党は勢いを殺がれ、今や議席の80%超が「改憲派」である。明らかに、民意と議席数に乖離が生じている。国会の中に「3分の1の堅固な壁」が築かれていたのは、はるか昔語りのこと。

小選挙区制を所与の前提とする限り、改憲を阻止するには、改憲阻止を掲げる政党や無党派市民との共闘が不可欠である。しかし、現実の問題として共闘は難しい。小選挙区候補として誰を立てるべきか。当然に、改憲阻止の一点で党派を超えた信頼を勝ち得る人物であるべきだが、これがなかなか人材を得にくい。

私の地元(東京2区、文京・台東・中央・港)の経験は一つの典型ではないか。貴重な教訓でもあると思う。

東京2区では共産党と立憲民主党との共闘が成立した。自民候補(辻)と、共闘候補(松尾)、そして希望の党候補(鳩山)の三つどもえとなり、自民党(公明推薦)候補が勝った。野党共闘候補は次点となって、比例復活もならなかった。新人としては健闘したとの評価もある。注目すべきは、比例代表の共産党票は激減した。その結果もあって、改憲阻止の政治戦において貴重この上ない東京比例区からの共産党候補の当選者は2名にとどまった。前回3名からの後退である。

観念的には、野党共闘の必要性は当然のことだ。問題はその候補者。東京2区で、ばたばたと決まった候補者選定の経過の詳細は知る立場にない。共産党が突然に予定候補を下ろして立憲民主党公認の松尾明弘という若い弁護士を政策協定ないままに、共闘候補者とした。この候補者、これまでどんな分野でどんな活動をしてきた人物かはまったく知らない。人権や平和に関する活動をしてきた人ではない。なにを訴えたくて、政治家を志したのか、選挙が終わったいまも、よく分からない。

松尾明弘の選挙用ホームページには、「護憲」の2文字はない。「改憲阻止」も、「憲法理念の実現」もない。安倍改憲阻止が最大の政治課題となっているときに、これに触れるところがないのだ。

彼が政策のトップに掲げるのは、次のレベルである。
1. 安全保障(外国の脅威から国を守る)
現実的で抑制的な安全保障政策を進めます。「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」との基本理念に基づき、日米同盟の深化を図ります。
2. 憲法について(国家の暴走を許さない)
未来志向の憲法を積極的に議論します。立憲主義を守りながら「新しい人権」や「統治機構改革」など時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに積極的に議論します。

これなら、踏み絵を踏んで希望の党に行ける。私はかつて彼のこの言を「明らかに付け焼き刃の護憲派」と評したが、訂正しなければならない。今の政治状勢において、こんなことをスローガンに立候補する者は、「改憲派」の範疇に入れなければならない。この候補者の擁立は、護憲指向の有権者の票を掠めとろうというに等しい。

この候補者、選挙中の東京新聞候補者アンケートに、「改憲・賛成」「9条改憲・賛成」「憲法9条の2項を残したまま自衛隊を明記することに・賛成」「安倍政権下で成立した安全保障関連法、特定秘密保護法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法についての評価は・評価できるものも評価できないものもある」と答えて物議を醸した。

なにしろ、売りは長身と靴のサイズ。およそ共感できる候補者ではない。こんな候補者だが、私も票読みをした。今にして、恥ずかしい。不明を恥じいるばかり。

私はこれまで、選挙では一貫して共産党を支持してきたが、それは憲法擁護の立場からだ。明文改憲にも、解釈壊憲にも、最もぶれずに頼りになる存在と評価すればこそのこと。その共産党に実益なく、共産党の票も議席も大きく減らした共闘のあり方を、「大義」や「大局」の見地から素晴らしいなどと言っておられるかという思いが強い。

北海道や新潟など共闘成功実感例の報告もあるが、東京2区では「長続きするであろう共闘の成果」は、見えていない。まさか、次回も同じ候補者で、となろうはずはなかろうが。

なお、「市民と野党の共闘」において、東京2区で市民の中核をなしたのは、「みんなで未来を選ぶ@文京台東中央」(通称 ぶたちゅう)だった。

その総括が送られてきた。以下のとおり、紹介に値する立派なものと思う。自覚し自立した市民の運動が選挙を支えていることに感動を覚える。

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                        2017年衆議院選挙を振り返って

2017年1月、安倍政権の暴走を止めるため文京区、台東区、中央区の市民が集まり「みんなで未来を選ぶ@文京台東中央(以下、「ぶたちゅう」という)」が発足しました。設立集会では「立憲主義の回復」、「安保法制の廃止」、「個人の尊厳を擁護する政治の実現」を目指し、衆議院小選挙区東京2区で安倍政権に対峙する野党統一候補の実現と後押ししていくことが確認されました。
発足後は月1回のペースで統一候補に求める政策について議論を続け、9月には8項目の政策案が決定しました。単に自公の候補者に勝てればよい、野党統一候補が決まれば誰でも応援するということではありません。ぶたちゅうは私たちの掲げる政策案8項目の実現を目指す候補者を「市民と野党の候補者」として後押ししていくことを確認しました。
また政策協議と並行して市民と野党の共闘の雰囲気を盛り上げようと、7月9日に「二日遅れの七夕ウォーク」と称し、民進党(当時)の松尾明弘氏、共産党の石澤憲之氏と市民が一緒に文京区内を練り歩き野党共闘をアピールしました。政党の垣根を超え市民と一緒に行動した第一歩でした。

○統一の経緯
松尾氏、石澤氏へぶたちゅうの政策案を提示し、さらに協議を進めていこうとしていた矢先、衆議院の解散総選挙が決まりました。そして希望の党の発足、民進党の分裂と松尾氏を取り巻く環境が激変しました。希望の党の理念と合いいれないとした松尾氏は希望の党からの出馬を断り民進党から離党。これまで野党統一候補の実現に向けて歩んできた私たちの努力も無に帰したかに思えたその時、立憲民主党が立ち上がり松尾氏は立憲民主党からの出馬を決意しました。公示直前の10月6日、共産党が小選挙区の候補者であった石澤氏を比例の候補者に回すことを決断、東京2区における野党候補者の一本化が実現しました。これは、私たち市民が諦めずに野党共闘を求め活動を続け、政党が応えた結果に他なりません。ただし、公示日直前の一本化ということもあり、ぶたちゅうと松尾氏との間で政策協定を結ぶことはできませんでした。候補者との政策協定がなかったことが最後の最後まで確信をもって候補者を応援することに躊躇させる要因となり、これは今後の活動を考える上でも大きな教訓となりました。
公示日直前、10月7日の全体会において、候補者一本化という目的を達成したこと、実際の選挙においては、ぶたちゅうとしてではなく、個々人がそれぞれ選挙ボランティアとして選挙に関わっていこうと確認をして公示を迎えることになりました。

○選挙戦
実際、立憲民主党からの出馬とは言うものの、選対も万全な体制ではなく、必然ぶたちゅうの中心メンバーもネットワークを活用して松尾候補を応援することになりました。候補者カーへの同乗、ポスターや証紙貼り、政策パンフレットのポスティング、電話かけなどSNSによる選挙ボランティア募集に応じて次々に市民が選挙事務所を訪れ松尾候補を盛り上げました。まさに市民が直接選挙を作り上げていく選挙となりました。また民進党、共産党、社民党、無所属の区議が一緒になって松尾候補を街頭で応援し、市民が松尾候補の応援スピーチを行いました。
政党同士連携して国政選挙を戦うという初めての経験のため、ところどころ連携不足が生じていました。問題が起きるたびにぶたちゅうを始めとした市民が候補者や選対に率直に意見を上げ、政党間の認識のずれを埋める役目を果たしました。安倍政権を倒すためにはこの選択肢しかない、立憲野党の候補者を勝たせたい、立憲民主党に対する期待、人々の思いが一致点となり選挙最終日まで闘いぬくことができたのです。
結果的には自民辻候補に2万票余りの差をつけられ、比例でも惜敗率で惜しくも復活当選はなりませんでした。この結果をどうとらえるのか。今回の辻候補の得票率は46%、松尾候補は37%、鳩山17%。前回2014年の得票率は辻43%、中山(民主)・石沢(共産)37%、大熊(維新)18%です。混乱の中で迎えた衆院選挙でしたがふたを開けてみれば東京2区においては前回の選挙とほぼ同じ構図となりました。立憲民主党への追い風はありましたが、所詮は反安倍政権、共産党を含めたリベラル層の中での票の移動であり、希望の党ができたことで野党は分断され、自公の候補者と立憲野党という一対一の対決構図に持ち込めなかったことが敗因となりました。前回と変わりのない低投票率では選挙に関心のある人の中での票の移動では決して自民党候補には勝てません。この3年の間に安保法制、共謀罪法、モリカケ問題などがあっても票数を増やした自民党に対抗していくにはどうすればいいのか。保守3割、リベラル2割、残りの5割は無党派層と言われ、これから求められるべき運動はその5割の人にどう投票所に足を運んでもらうかにかかっています。

○これから
この選挙から私たち市民が学んだことは「統一候補者が決まれば終わりではない。野党共闘をかかげれば勝てるわけではない。」ではないでしょうか。
市民が直接候補者と関わり支えることで、政党同士の手を繋ぐ役目を果たし闘った初めての選挙となりました。
正直、私たちぶたちゅうもこのような選挙になるとは思っていませんでした。候補者は一晩にして地盤を失い、何もない中での選挙戦のスタート。結果的に市民が選対にどっぷりと入り込むことになり、市民の立場から候補者や選対へも遠慮なく要望を伝え、時にはダメ出しをして選挙を作り上げていきました。もしも政党が敷いた従来の選挙スタイルにお客様感覚で選挙ボランティアに行っていたらこのような選挙は生まれなかったでしょう。
市民と政党、候補者が同じ立場で政策や戦略を練り上げていくことがこれからの選挙には求められています。ぶたちゅうの目的は「統一候補の実現」でしたが、奇しくもそれだけでは選挙に勝つためには足らないことを学び、この経験を今後のぶたちゅうの運動をどう発展させるか考える一助としていきたいです。
そして組織票を意識した闘いはもちろんのこと、どれだけ多くの無党派層に政治に関心を持ってもらい、自分たちの生活と政治が直結しているのだと気づいてもらうこと、選挙時だけでなく普段から政治にコミットできる場を作っていくことが私たち市民に求められているのだと思います。
ぶたちゅうは主権者としてこれからも政治に関わり、不断の努力を続けて参ります。

以上
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もっとも、運動に参加した無党派市民の中には、この総括とはやや違った感想をお持ちの方もいる。そのような方のお一人のご意見をご紹介したい。(原文のままではないが、文意を損ねてはいない)

朝日新聞の候補者アンケート(10月14日)に対して、
共闘候補の松尾明弘氏は、「憲法改正に『どちらかと言えば賛成』」、「防衛力強化に『賛成』」と答えています。ここまでは、東京新聞アンケートからすれば想定の範囲内でした。しかし「原発再稼働に『賛成』」には驚き(辻自民党候補、鳩山希望の党両候補は「どちらとも言えない」)、先制攻撃論に「どちらかと言えば賛成」にはぶっ飛びました(辻は「賛成」、鳩山は「どちらとも言えない」)。こんな回答をする立憲民主の候補はもちろん他に一人もいません(東京新聞アンケートと同じ結果)、希望ですら24人中、1区松沢、15区柿沢、17区西田、20区鹿野、23区伊藤の5人だけです(松原仁や長島昭久のほうがましな回答でした)。松尾候補は、希望のなかに入ってもかなり「右」ということになります。

自民党候補ですらだれでも「先制攻撃に賛成」しているわけではありません。(たとえば、1区山田、3区石原、4区平、5区若宮は賛成していない)。

新聞アンケートの回答について「政治家として未熟」という意見がありましたが、そんな次元の問題ではなく、これは松尾氏の国防に関する「信念」なのではないかと考えます。

防衛力を強化し、先制攻撃までできるようにするには、日本は建前では防衛用の兵器しかもっていないので、今後は攻撃用の武力も整備することになります。「非核三原則堅持」(辻も同じ)とはいうものの、北朝鮮の核に対抗し、プルトニウムもあり余っているのだから、日本も核武装しようという道筋になるのではないかと思われます。

もちろんぶたちゅうの「8項目の候補予定者に求める政策」
1.安倍政権での下での憲法「改悪」に反対し、すべての人の人権を大切にする社会をめざす
3.武力による解決を否定し、憲法の精神に立脚した真の平和外交をめざす
6.原発に頼らないエネルギー政策、電力自給率における再生可能エネルギーの割合の増加につながる経済政策と、法整備の推進を求める
および、以前の7項目の統一候補に求める政策ともかけ離れています。(略)

選挙期間中に不特定多数の文京・台東・中央・港の有権者に松尾候補を推薦したわたくし自身の責任を大いに感じています。

松尾氏が次回も立候補するというご意向なら、立憲や希望ではなく、自民党から立候補すべきだと思います。

 

まったく同感である。みんなが右へならえで、「もう一息だったね。今度は当選のために頑張ろうね」などと言うのではなく、一人ひとりが自立する市民として意見を述べていることが素晴らしいと思う。

なお、私は松尾明弘候補は、立憲民主党内の「隠れ改憲派」であると指摘せざるを得ない。東京2区で改憲阻止の立場から選挙に携わった方に、「次回も松尾明弘候補」はあり得ないことを確認していただきたいと切実に願う。
(2017年11月27日・連日更新第1702回)

自民党の「合区解消改憲案」の前途に暗雲

第48回総選挙は、形の上では「改憲派圧勝」だった。安倍政権にとっては念願の改憲実現に向けての絶好のチャンス。改憲へ具体的な一歩を踏み出さねばならない。時期を失すれば改憲世論はジリ貧となり、永遠に改憲の機会を逃すことにもなりかねない。さあ、今だ。アベ一族はそう意気込んでいるに違いない。

だが、改憲をめぐる世の中の雰囲気は、なかなかアベの思うとおりとはなっていない。明らかに安倍一強の力の衰えを世論が感じ取っているのだ。だから、これまでアベにおもねり、阿諛追従していた風見鶏の一群が、姿勢を変えてきた。いつまでもアベの下駄の雪であることに、先行きの不安を禁じえないのだ。それが、改憲問題に表れてきている。

アベの意気込みにかかわらず、改憲のハードルは高い。まずは自民党内での原案をとりまとめなければならないが、いままでのようには行かない。党内の各勢力が、ものを言い始めているではないか。次いで、連立を組む公明と摺り合わせなければならない。しかし、公明は明らかに及び腰だ。今回選挙では、公明は票も議席も大きく減らした。アベといつまでも蜜月ではさらなる退潮を余儀なくされる。さらに、野党第1党の立憲民主党を抱き込まねばならない。これが難物…のはず。残る希望と維新はたいしたことはない…だろう。共産・社民は相手にせず…に違いない。最後の難関は、国民投票。あらゆる世論調査が、けっしてアベ改憲路線を容認していない。

結局国民は改憲など望んでいない。その空気は、アベ一族以外も肌で感じている。アベ以外の政治勢力にとっては、改憲に本腰を入れる状況ではないのだ。それでも、アベとその取り巻きが焦って急げば、手痛い失敗をすることになるだろう。その失敗は取り返しがつかない。半永久的に改憲の企みは封印されることにもなる。

その第1ハードルの自民党内の意見とりまとめ。これまでの党内論議から、改憲テーマは以下の4点に絞られている。
 A 憲法9条に自衛隊明記
 B 緊急事態条項の整備
 C 教育無償化
 D 合区解消

もちろん、Aが本命。次いでB。Cは維新取り込みのトリック。Dは、関心が島根・鳥取、徳島・高知の地域限定テーマ。

総選挙直後の今、自民党がA・B・C・Dの各テーマについて、気勢を上げるのかと思いきや、どうもそのようではない。A・B・Cは、いずれも先送りだという。Dのみが残ったが、さして意気が上がる様子でもない。

昨日(11月17日)の毎日新聞一面左肩に、「自民改憲案:年内集約断念、参院合区解消は大筋了承」の見出し。

「自民党は16日、安倍晋三首相が掲げる自衛隊の明記など4項目の党憲法改正案について、年内の取りまとめを見送る方針を固めた。衆院選で議論が遅れたことなどから党内集約が間に合わないと判断した。党執行部は年明けにもまとめたい考えだが、首相が想定する「来年の通常国会で改憲原案発議」がずれ込む可能性もある。一方、自民憲法改正推進本部(細田博之本部長)は16日の全体会合で、参院選の合区を解消する憲法47条、92条改正案のたたき台を大筋了承した。」

「一方、自民の重点4項目のうち▽自衛隊明記▽教育無償化▽緊急事態対応--の3項目は党内でも意見集約のメドが立たない。首相は「丁寧」な政権運営を強調しており、他党との議論に想定以上の時間がかかる可能性もある。自民改憲推進本部の岡田直樹事務局長は16日の記者会見で党改憲案について「スケジュールありきでない。積み残した課題もある」と指摘した。」

さて、ほかの3点はダメでも、これだけはその大筋了承されたという「合区解消改憲案」。その「自民党・憲法47条・92条改正案のたたき台」とはどんなものか。

「たたき台は、国政選挙について法律で定めるとしている47条に、選挙区の区割りは行政区画などを勘案するとの条文を追加。さらに参院議員が『広域的な地方公共団体の区域から少なくとも一人が選出される』などのただし書きを加える。」という。

具体的には次のとおり。
<現行憲法47条>「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める」

これに、次の一文を追加する案だという。
「各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」「参議院議員の全部または一部については、改選ごとに各広域的な地方公共団体の区域から少なくとも一人が選出されるよう定めなければならない」

<現行憲法92条>「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」
これに次の一文を追加するという。
「地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域的な地方公共団体とすることを基本とし、その種類は、法律で定める」

なんだか笑っちゃいたくなる改憲案。憲法ではなく、本来は公職選挙法を改正するだけで済む問題。人口の都市部への集中で、参院選挙の定数が不均衡となった。一票の格差を是正するために、昨年(2016年)の参院選で「鳥取・島根」「徳島・高知」の2合区が導入され、一票の最大格差を3.08倍に縮小した。しかし、合区では「地方の声が届かない」「地元密着の政治家が育たない」と地元からは解消要求の声が高い。

だからと言って憲法を変えなければならない問題ではない。合区するのには公選法改正の手続だけでできた。分区することも、国会が決めればよい。もちろん一票の格差をなくする工夫と手立てをしてのこと。むしろ、改憲をしてまで一票の格差を認めようという発想がおかしい。

現行憲法は、「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める」のだから、国会の工夫の余地は限りなく大きい。一票の格差を解消するには、地方区の定員を増やせばよい。あるいは、ブロックごとの比例代表制を採用すればよい。もちろん、比例代表の全国区だけにすれば、理想的な一票の格差解消が実現する。議員定数を増やすことに躊躇は不要である。欧米に比較して、日本の議員数は少ないのだし、費用が心配なら、議員一人あたりの歳費を削ればよいだけのこと。

さて、ようやく自民党内では具体化するかに見えた、合区解消改憲案。早くも前途多難なのだ。

今朝(11月19日)の毎日新聞第5面。「参院改革協:合区解消改憲 賛同なし」の見出し。

{参院各会派の代表者による改革協議会は17日、選挙制度専門委員会(岡田直樹委員長)を開いた。選挙区の「合区」をなくしたい自民党が都道府県単位に戻すよう主張したのに対し、公明党などは「1票の格差」是正を重視する立場を表明。自民党は現在、合区解消の憲法改正案を検討中だが、他党との隔たりは大きいままだ。」

自民党から、各会派の反応を探った形だが、うまく行かなかったようだ。
「公明党の西田実仁参院幹事長は、国会議員を『全国民の代表』と規定した43条と自民党の案は矛盾するのではないかと指摘。『参院の権限縮小には反対だ』と明言した。公明党は全国を10程度のブロックに分けた大選挙区制にして定数配分を調整し、格差是正を図るべきだと提案した。共産党も合区を解消する改憲は『14条(法の下の平等)に違反する』と反対し、全国9ブロックの比例代表制を提唱した。国会の『1院制』を目指す日本維新の会は『道州制導入による選挙制度の抜本改正』を訴え、社民党は現行憲法下での制度改正を主張した。衆院選で混乱した民進党は党内論議が進んでおらず、足立信也氏が個人的な意見として、選挙区で複数候補への投票を認める『連記制』に言及した。」

自民党のみが、「合区解消のための改憲提案」。公明も含め、他党の全てが、改憲なしの改革案か、現状のままでよいとの意見。選挙では大勝したはずの自民党が孤立しているのだ。自民党が、憲法問題に関して民意を代表しているわけではないことをよく物語っている。
(2017年11月18日)

1000年前の同窓会の詩に思う。

北宋に韓維という詩人がいた。
科挙の合格掲示板「榜」に名を連ねた同榜の友人たちと心許す仲だったという。

とりわけ同郷の者と親しく、8人で「八老会」なるグループを作っていた。その、8名の宴席の様子が、「卞仲謀八老会」という七言絶句として残されている。
1000年前の同窓会の詩。老境での同窓会の雰囲気が、今に変わらないのが面白い。

 同榜同僚同里客
 班毛素髪入華筵
 三杯耳熱歌声発
 猶喜歓情似少年

読み下しは以下のとおりかと思う。

 同榜 同僚 同里の客
 班毛 素髪 華筵に入る
 三杯 耳熱くして歌声発す
 猶お喜ぶ 歓情の少年に似たるを
(班毛はまだらに白いごま塩頭。素髪は白髪頭。いずれも老人を指す)

拙訳ではこんなところ。

 若いあの頃袖触れ合った
 古い仲間と宴の席に
 飲んで歌ってはしゃいで熱い
 おれもおまえも変わらない

原意に沿えば…。

 あの頃は紅顔の少年だった仲間たち
 今は、髪も白くなっての宴の席に。
 わずかの酒で身体がほてり、
 あの頃の懐かしい歌も出る。
 ああ、あの頃の情熱は失せていない。

一海知義の著書からたまたま見つけたこの詩を、学生時代の同窓会の案内文に使ってみた。訳は、勝手な我流である。入学から数えると55年も昔の仲間。

60年安保直後のあの頃。私の周りのどの学生も反体制だった。誰も彼もが、反自民であり、反安保であった。当然のごとくに護憲であり反戦平和であった。問われたのは、その本気度であったり、口先だけでなくどう行動するかであった。

あの頃、水か川上から川下に流れるごとく、若者は自然に革新の立場となった。問題は、就職し職業をもって、世のしがらみを身につけるうちに、妥協せざるを得なくなっていくことだ。

おそらくは、班毛・素髪で華筵に入り、酒の三杯で耳を熱くして歌声発すれば、世のしがらみを身につける前の「本当の自分」を思い出すことになる。だから、老境の同窓会は、楽しくもあり、ほろ苦くもあるのだ。

それにつけても、である。若者の投票行動が、老人よりも保守的だという報道に仰天せざるを得ない。理想を追うはずの若者が、どうしてこの矛盾だらけの今の世を「これでもいいじゃないか」と言っておられるのか。どうして、正義に敏感な若者が格差を広げる経済政策を看過するのか。どうして、洋々たる未来を生きる若者がかくも危険な原発再稼働を容認できるのか。どうして、自由や平等や平和の理念を謳う憲法に対する攻撃を、我が身への敵対行為ととらえられないのか。どうして、金で動かされている政治と社会に反吐が出るほどの怒りを燃やさないのか。どうして、潔癖なはずの若者がかくも醜悪なアベ晋三を許しておけるのか…。

子供は無邪気でいられない。
青年は潔癖ではいられない。
壮年は自分の意思では動けない。
そんな世にあって、
老人だけが、昔みた夢の中に生き続けている…、
のかも知れない。

だから、明日(11月3日)の「怒りの10万人集会」に、
まずは老体が出かけよう。だから、若者も出ておいで。

「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション 11.3国会包囲大行動」

 日時:11月3日(金・休)14時~
 場所:国会議事堂周辺
 主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
(2017年11月2日)

「新潟ショック」を考えるー持続的野党共闘はいかにして可能か

知人から、新潟日報の切り抜きをいただいた。10月24日(火)付の「新潟ショック再び(上)」というタイトル。「(上)」があるのだから、当然、(中)も(下)もある。「再び」だから、前幕もあるわけだ。

ネットを検索すると、以下のとおり出ている。(もっとも、全文を読むには登録が必要)

新潟ショック再び(上) 共闘効果
「民進系の苦境、共産が救う」
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20171024353548.html

新潟ショック再び(中) 自民敗北
「魔の2期生 基盤弱く」
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20171025353758.html

新潟ショック再び(下) 県政地図
「波紋呼ぶ知事の肩入れ」
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20171026353918.html

リードは以下のとおりだ。
22日投開票の第48回衆院選は県全域で「自民対野党共闘」の図式となり、県内6小選挙区で野党側が4勝2敗と勝ち越した。昨年の参院選、知事選に続き、共闘態勢を敷いて票を積み上げた野党陣営。自民党は2期生が支持基盤の弱さを露呈し、小選挙区で五つあった議席を半分以下に減らした。与党が3分の2の議席を得た全国情勢と反対の結果は、関係者に衝撃を与えた。なぜ県内では、与野党勢力が逆転したのかー。激戦を総括し、今後の県内政界地図を展望する。

リードが言う「6小選挙区で野党側が4勝」の内訳は、立憲民主党1、無所属3である。また、自民2勝も際どい辛勝だった。

北海道・沖縄とならんで、新潟は野党共闘の威力が発揮された成功地域として注目されている。「新潟ショック再び(上) 共闘効果」の記事の最後は、森裕子(参議院議員)の次の言葉で締めくくられている。
「安倍1強を打ち破るヒントは、新潟にある」
野党共闘の成果へのたいへんな自信だ。

記事の内容は、涙ぐましいまでの共産党の、共闘先候補への献身ぶりである。共産党は、全6区に候補者擁立を予定していたが、公示直前で1区のみ残して5区の候補を下ろしている。これで、「自民対オール野党共闘」の図式ができた。それだけでない。共産県議が立憲民主党候補者支援で「自分の選挙以上に動いた」という例が紹介されている。人手のない民新系候補者の手足になったのが、共産党だったのだという。オール野党共闘を下支えしたのが、自党の独自候補を下ろした共産党だったという報道。勝てたから、肯定的な報道となっている。

しかし、これは美談の紹介記事ではない。まったくの第三者であるメディアの関心は、「かくのごとき野党共闘が、安倍一強政治を打ち破る萌芽たりうる」というところにある。しかし、運動に参加する者の視点は、自ずから異なる。このような共闘関係は本当に長続きするものだろうか、と疑問を呈せざるを得ない。

新潟のようには結果が出せなかったものの、全国的に同じような共産党から立憲民主党や無所属の候補者への献身的支援が行われた。その結果、共産党は大きく比例得票数を減らし、議席数も激減した。これでよいということにはならなかろう。

新潟の共産党比例票数は前回と比べて、あるいは昨年の参院選と比べて増えただろうか。増えないとすれば、共産党はこの選挙でそこまで他党に尽くして、いったい何を得たのだろうか。

共産党の票が痩せ、共産党の議席が減っても、それ以上に護憲政党全体の議席が増えればいいじゃないか。などと言うことで、共闘が長く続くわけがない。新潟1区は、候補者を下ろした共産党の献身的な支援で立憲民主党の候補者が当選した。次回も、次々回も共産党は同じことを繰り返すのだろうか。そうすれば、党勢はジリ貧化するしかない。

新潟県全6区で野党共闘が成立するなら、その内の何区かは共産党や自由党・社民党に候補者を譲るとか、「小選挙区は立憲民主党でも比例は共産」と共闘候補者自身が訴えるとか。共闘とは、参加する者にメリットがなければならない。何の見返りもない献身の継続には明らかに無理がある。

安倍一強を倒し、確固たる国会内護憲勢力を形づくるための野党共闘が、その核になるべき共産党の身を削って成り立っている現実に不安を覚える。共闘参加の各野党に、相互のメリットが獲得できるような工夫が必要である。野党間の接着剤となる市民運動は、政党間の公平を実現するよう配慮をしなければならない。

「新潟ショック」とは、野党共闘の成立による政権側のショックのことだ。漫然としていては、この不公平な事態は続かない。万が一にも、いつの日か野党共闘にヒビがはいって、野党の側が「新潟ショック」などと口にすることのないように希望する。
(2017年11月1日)

狐狸にばかされた10月総選挙のあとに、雨にも風にも負けず市民アクション

今日で10月が終わる。2017年10月とはいったい何だったのか。タヌキやキツネにだまされ続けたような、おかしな1か月だった。

印象は雨ばかりの10月。暗く寒く降られっぱなしの1か月だった。憲法の運命にも、風雨が強かった。少なくも湿っぽく、威勢のよい話のないこの1か月。この長雨は、憲法の涙雨かと思わせるほど。

先月末は、かなりの程度にアベ政権を追い詰めていた空気があったではないか。あわよくばこの機会にアベ退陣を、などと思ってもいたはずが、あれは雨中の幻であったか。大山鳴動して濡れネズミの一匹も出てこない。狐狸の跳梁の後に目を覚ませば、相も変わらぬアベ政権の安泰で、護憲勢力が寒空にかぜっぴきの体。

野党共闘の難しさの実体験がむなしい。むなしいが、貴重なものだと思う。選挙後に、いろんな人の経験と意見を聞いたが、置かれた場所や環境、あるいは立場で、一人ひとり極端に意見が違う。そんなものなのだろう。そんな中から、教訓を得なければならない。

私の周りで、なんとはなしに形成された護憲派の合意は、こんなところだろうか。

今回選挙は、小選挙区制が諸悪の根源であることを誰の目にも明白にした。本気になって、選挙制度を改革しなければならない。

しかし、選挙制度改革の早期実現は容易でない。その間にも選挙は繰りかえされるだろう。その場合、小選挙区を前提とする限り、野党の共闘なくして改憲発議を阻止する議会内勢力を形成することはできない。

明文改憲阻止を最優先課題とするならば、とりあえずは「アベ改憲構想反対」での国会内共闘を作りあげるしかない。そうしなければ、修復不能な改憲策動の進展を危惧せざるを得ない事態となる。

その共闘を実現する原動力は、各地域の市民運動が担うことになるだろう。市民運動の力量が、各野党の共闘を作りあげ、支え、維持することとなる。当選させるだけでなく、変節を許さない市民の運動の継続が求められる。

「立憲民主党を信頼してよいのか」という問に、「その中心にいる人々は戦争法や共謀罪反対運動の中で、市民に背中を押されて変わってきている」と感想を述べる人が多い。「市民運動がしっかりしている限りは信頼できる」ということだ。

選挙直前になってからではない持続的な「市民と野党の共闘」があって、その成果としての共闘候補者の選任がなされるべきなのだろう。

そんなことを考えさせられた10月が今日で終わって明日から11月。まずは、特別国会が始まり、11月3日の憲法公布記念日を迎える。そして、今や支持率最低のトランプが来日する。厳重な警備の迷惑とともに、である。

その後はどうなるのか分からない。臨時国会は開かれるのか。加計学園の獣医学部設置認可はどうなるのだろう。森友学園の国有財産バーゲン疑惑解明はどこまで進むのだろうか。自民党内の改憲発議案作りの作業は進展するのだろうか。

全ては、市民と野党の共闘の盛り上がり次第ということになる。
まずは、明日(11月1日)の特別国会開会にタイミングを合わせた対国会市民行動。

「安倍9条改憲を許さない! 森友・加計学園疑惑徹底追及ー安倍政権の退陣を要求する11.1国会開会日行動」

スケジュールは以下のとおり。
11月1日(水),12:00~13:00  国会前行動
総がかり行動・全国市民アクションと共謀罪NO!実行委員会が共催で,
13:30~15:00,参議院議員会館講堂で,共謀罪NO!実行委員会主催の「共謀罪法の廃止を求める11・1院内集会」

「特別国会に共謀罪廃止法案を提出してもらおうという趣旨で,各政党に案内を出して,議員の出席を呼びかけています」「希望の党で当選した元民進党の国会議員で共謀罪反対でがんばった議員にも1人1人声をかけています」とのこと。

11月3日には、「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション 11.3国会包囲大行動」が企画されている。久しぶりに10万人規模の大集会を目指している。

日時:11月3日(金・休)14時~
場所:国会議事堂周辺
主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

3日の大集会には、私も「弁護団」の腕章をつけて要員として参加する。市民運動の盛り上がりが、国会内の野党共闘の力と質に反映するというのだから、傍観ばかりはしておられない。

11月が、天候も政治もまともな1か月であって欲しいと願っている。天候は願うだけでしかないが、政治は有権者の運動次第。諸行動の盛り上がりを期待したい。
(2017年10月31日)

「小選挙区制こそ諸悪の根源」と、「野党共闘のあり方」と。

気が重いのだが、自分なりに総選挙の総括をしておかねばならない。日本国憲法の命運如何という視点からの評価だ。明文改憲の阻止、解釈壊憲の進展への歯止めに、今回総選挙の結果がどう関わるかの評価。

私はいつまで経っても、できた人間にはなれない。些事に動じることなく、将来を展望して楽観するなどという仙人の心境とは無縁で、常に目の前のできごとに一喜一憂するしかない性分。その私の目には、この選挙結果には一喜なく多憂あるのみ。

自公の「大勝」という各紙の大見出しに背筋が寒くなる。改憲発議には改憲派議員の議席数だけがものを言う。衆院の議席総数は465だから、発議に必要な3分の2の議席数は310である。自民の当選者数が284、公明29、与党だけで313議席、またも3分の2超となった。公示前勢力が、自民284公明35だから、与党の議席数が増えたわけではないが、今回は改憲を公約化しての選挙であったし、アベ政権の不支持率が支持率を上回るアベ逆風の中での選挙。それでも、与党で3分の2。

希望(50議席)も維新(11)も、改憲容認政党だから、これを加えると371議席。ほぼ80%になる。

今朝(10月24日)の毎日に、全当選議員に対する政見アンケートの集計が掲載されている。「改憲」賛成者が前回に引き続き82%。九条改正問題に限っても、自衛隊明記賛成54%、国防軍化9%という恐るべき事態。両院の憲法審査会を舞台に、アベ自民の改憲策動が始まるだろう。本格的な衝突が避け得ないことを覚悟しなければならない。

なお、「希望」議員の47%が自衛隊明記賛成で、反対39%と割れているという。

もっとも、大勝した自民党が有権者の圧倒的多数から支持を得ているわけではない。この議席数はけっして民意を反映したものではなく、小選挙区制のマジックの効果ではないか。

「自民党がえた比例得票は33%(有権者比17.3%)なのに、全議席の61%の議席を得たのは、もっぱら大政党有利に民意を歪める小選挙区制がもたらしたものであり、『虚構の多数』にすぎません。」というのが、本日(10月24日)赤旗に発表になった共産党のオフィシャルな見解。この各数字は、前回14年総選挙とほぼ同じもの。前回正確には、自民の比例得票率は33.11%で議席占有率は61.26%。得票に応じた33%の議席でよいのに、現実には全議席数の61%も取っている。その超過分28%分が「虚構の多数」というわけだ。今回も同様に、虚構の下駄履き議席数は実に130に及ぶ。

もっとも、考え方はいろいろある。自民党の小選挙区得票は2672万票で、得票率は48.21%。
ところが小選挙区の獲得議席数は218だから、議席占有率は小選挙区全議席数289の75.43%となる。
この75.43%のうち、比例配分なら48.21%となるべき議席割合の超過分27%は、小選挙区効果による水増し分と言ってよい。これが59議席に相当する。小選挙区だけで59議席が「虚構の多数」となる。

また、総選挙では有権者は各2票(小選挙区票+比例票)をもっている。これを全国の有権者分合計すると、投票総数は1億1180万票となる。この票数で465議席が決められているのだから、自民党の得票(小選挙区票+比例票)は4527万票で得票率は40.72%となる。ところが獲得議席数は284だから議席占有率は61%となる。
この計算方法でも、20%が小選挙区効果による水増し分となる。これが93議席に相当する。

なお、この計算方法で共産党の正当な議席数を計算すると、得票率8.46%相当の比例配分なら39議席を獲得すべきが、現実には12議席に過ぎない。小選挙区効果がマイナスに働き、27議席減となっているのだ。

つまり、小選挙区・ブロック別比例代表併用制の選挙制度を採用の結果、最大党の自民党には93議席のプラス効果を、少数党の共産党には27議席のマイナス効果が生じている。これは不公平の極みではないか。

本来、議会は有権者の意見分布を正確に反映する鏡でなくてはならない。意識的にいびつな鏡を作る小選挙区制であってよいわけがない。アベ一強政治の歪みをもたらした根源はこの小選挙区制にある。世論調査における国民の憲法意識と、議員アンケートの極端な乖離の根源もここにある。

「政治の堕落・腐敗の根源は小選挙区制だ!」「小選挙区制をなくせ!」「国民の意思を正確に反映する国会を作れ!」と言い続けなければならないと思う。
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しかし、選挙制度の改善を待っていては当座の間に合わない。全てを小選挙区の罪として済ませることもできない。自民党の有権者数に対する絶対得票率は概ね25%で推移している。自公の与党合計でも30%程度。それなら、反アベの野党が結束すれば、小選挙区制を反自公側に有利に使える、という発想が出て来る。全野党共闘でなくても、9条改憲反対の野党が結集すれば、相当の選挙区でアベ自民の非立憲派候補に勝つ可能性が開けてくる。

タラ・レバの話だが、「今回の衆院選で野党が候補者を一本化していれば、少なくとも84小選挙区で与党を逆転していた可能性がある」(毎日)、「複数の野党候補(野党系無所属を含む)が競合した「野党分裂型」226選挙区のうち、約8割の183選挙区で与党候補が勝利をおさめた。一方、朝日新聞が各野党候補の得票を単純合算して試算したところ、このうち3割超の63選挙区で勝敗が逆転する結果となり、野党の分散が与党側に有利に働いたことがうかがえる。」(朝日)などと報じられている。

公示以前に進んでいた、民進・共産・自由・社民の共闘の規模は実現しなかったが、市民運動が仲介の労をとり、立憲野党勢力の結集がはかられた。市民と野党の共闘として、政策協定としては7項目の共通政策を確認した。その第1が「九条改正への反対」である。これに、「特定秘密保護法・安保法制・共謀罪法の廃止」「原発ゼロの実現」などが続く。全野党共闘ではないが、立憲野党の共闘は成立した。

さて、この共闘はうまく作動したのだろうか。間違いなく、立憲民主党には利益をもたらした。今回立憲が比例代表で得た得票数1100万票は、前回14年総選挙で民主党が得た970万票を上回っている。減った共産党票160万票の受け皿となった可能性を否定し得ない。

共産党には共闘の直接の利益は見あたらない。67の小選挙区で予定候補を取り下げた。それだけでなく、その地区の野党共闘候補当選のための選挙運動もしている。そうして、自党の得票を減らしたのだ。その結果が、獲得議席数で前回21から12への大幅後退。比例代表得票は、前回606万票(11.4%)から440万票(7.9%)への後退である。結局、「比例だけは共産党」の訴えでは、現実には票が出ないのだ。

私は共産党を一貫して支持してきたが、それは憲法擁護の立場から。明文改憲にも、解釈壊憲にも、ぶれることなく反対を貫く、最も頼りになる存在だからだ。その共産党に実益なく、票も議席も大きく減らす共闘のあり方を、「大義」「大局」から素晴らしいなどと言っていてよいものだろうかと思う。ブレない共産党がしっかりした地歩を固め存在感あってこその、国会内護憲共闘ではないか。

共闘はウィンウィンで、なければならない。共闘参加者にともに利益がなければならない。一方だけが譲って他方だけが受益の関係では、長く続くはずがなかろう。今回、市民連合の総括が、「自党の利益を超えて大局的視野から野党協力を進めた日本共産党の努力を高く評価したいと考えます」と言わざるを得ない事態が、不自然でおかしいのではないだろうか。
http://shiminrengo.com/archives/1954

私の地元でも、共産党が予定していた小選挙区候補者を下ろし、立憲民主党の候補を推した。共産党の活動家がポスター貼りもしたという。そのポスターに、「比例は立憲民主党に」と書き込んであった。これが、正常な共闘のあり方だろうか。将来を見据えた共闘関係を築くためには、共闘参加者全体に相応の利益が実感できるあり方を考えなければならないと思うのだが。

まずは、立憲民主党の国会内での活動のあり方を注目したい。
(2017年10月24日)

 

 

 

 

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