澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

電通幹部に「新・仏の十則」

1 社員あっての会社である。命より大切な仕事はありえないものとこころえよ。

2 会社はすべての社員に安全配慮義務を負うことを知れ。なすべき安全配慮の具体的な内容については謙虚によく学び考えよ。

3 会社と社員とは対等平等であることを認識せよ。常に、社員の人格を尊ぶべきことを心がけよ。

4 社員は、平等に遇しなければならない。性別、国籍、信条、学歴、または縁故等を理由とする一切の差別的処遇をしてはならない。

5 労働条件の明示と遵守こそが、社員との信頼の基礎であることを再認識せよ。明示された労働条件を超える業務指揮をしてはならない。

6 コンプライアンスの欠如は、会社に致命的な打撃となるものと知れ。戦々恐々として薄氷を踏むが如くコンプライアンスを心がけることが幹部の使命である。

7 信頼される堅固な内部通報のパイプを確保せよ。社員からの法令違反やハラスメント報告に聞き耳を立て、迅速に対処せよ。

8 社長や役員との摩擦を恐れるな。社命に拳々服膺するよりは、部下の意を体して、正論を堂々と述べよ。でないと君が卑屈未練になるばかりでなく、社のためにならない。

9 労働組合には誠実に対応し、その運営に介入してはならない。労働組合の活動歴を社内の待遇に不利にも有利にも考慮してはならない。

10 この十則を守りなば会社は社員の士気とともに興隆し、無視せば社員の士気とともに衰亡に至るべし。この旨を銘記し手帳に刻して毎日三読せよ。
(2016年11月26日)

薫風の中の闘うメーデーを祝する

本日は第86回メーデーである。労働者の祭典は、清々しくもさわやかなこの季節のこの日にふさわしい。

もっとも、連合メーデーは4月29日におこなわれた。「昭和の日にメーデー」とは、「紀元節に民主主義」「靖国と非戦」「安倍晋三と憲法」ほどの違和感がある。

さらに昨年の連合メーデーは、安倍晋三を招いての集会だった。今年も安倍代理としての塩崎厚労相に挨拶させている。さわやかならざること甚だしい。

連合メーデーのメインスローガンは、
「平和を守り、雇用を立て直す
みんなの安心のため、さらなる一歩を踏み出そう!」
というもの。

連合のホームページでは、古賀伸明会長の主宰者挨拶を次のように報じている。
「現在、政府が推し進めようとしている労働者保護ルールの改悪についてや、労働者派遣法が、均等待遇原則が欠落し世界の常識から逸脱していることにふれ、『“生涯派遣で低賃金”を招く改悪案に連合は断固反対する。労働者保護ルール改悪の流れにストップをかけるため、立ち上がり、行動しよう』と強く訴えた。同時に『戦争は最悪の人権侵害である。二度と戦争を起こしてはならない』と戦後70年の年に開催した本メーデー中央大会に込めた平和を希求する思いで結んだ。」

なるほど、連合とて労働組合である。労働法制の改悪には断固反対なのだ。「平和」だって語らねばならない。このことに評価を惜しんではならない。

対して、本日の全労連・全労協系の本家の統一メーデー。メインスローガンは、以下のとおり、時代を表すものとなっている。
 「戦争する国づくり」反対。
 安倍「暴走」政治ストップ。
 憲法を守りいかす社会の実現。
 8時間労働を守れ。派遣法・残業代ゼロなど労働法制改悪反対。
 大幅賃上げ実現でくらしの改善、景気回復を。
 時給1000円以上、全国一律最賃制の実現。
 年金・医療・介護など社会保障制度の拡充。「貧困と格差」の解消を。
 消費税10%増税中止、TPP交渉撤退。
 被災者が希望のもてる早期復興。原発再稼働反対、原発ゼロの日本。
 安倍「教育再生」反対。辺野古新基地建設反対。オスプレイ配備・訓練反対。
 核兵器の全面禁止・廃絶を。

平和と憲法擁護、そして安倍政権批判が真っ先にある。まったくそのとおりだ。
次いで、労働法制についての諸要求を述べ、生活者としての福祉を掲げる。
復興と原発ゼロを明確化し、教育・沖縄・核廃絶と対決点を明確にする。
労働者の祭典は、闘う労働者の決意を示す場とならざるを得ないのだ。その決意を披瀝してまことにさわやかである。

本日の赤旗は、さらに詳細に共産党独自のメーデースローガンを掲げている。
☆「海外で戦争する国」への暴走ストップ! 「戦争立法」を許すな。「秘密保護法」を廃止せよ。憲法9条を守ろう。
☆「正社員ゼロ」「残業代ゼロ」への道=労働法制大改悪を阻止しよう。過労死ゼロへ、残業時間の上限を法定せよ。人間らしく働ける雇用のルールを確立しよう。中小企業への抜本的支援とあわせ、だれでも時給1000円以上、全国一律最低賃金制を確立しよう。男女の賃金格差をなくせ。大企業の内部留保を活用し、大幅賃上げと安定した雇用の拡大で経済の好循環を。
☆消費税大増税路線を中止せよ。医療・介護、年金・社会保障を拡充せよ。財政危機の打開は、富裕層・大企業の応分の負担と国民所得増で。
☆農林水産業と食の安全、医療と雇用を土台から破壊し、経済主権をアメリカに売り渡すTPP(環太平洋連携協定)交渉から撤退せよ。家族農業と農協をつぶす「農業改革」反対。
☆東日本大震災からの復興に全力をあげよう。被災者の生活と生業の再建に公的支援の拡充を。「安心して住み続けられる故郷」を取り戻そう。
☆原発再稼働を許さず、「即時ゼロ」を。輸出の強行反対。福島原発事故の収束に全力をあげよ。政府と東電の責任で徹底した除染と全面賠償を。労働者の健康を守り、待遇の抜本的改善を。
☆政党助成金の廃止、企業・団体献金の禁止を。小選挙区制を撤廃し、民意を反映する選挙制度へ抜本改革しよう。
☆辺野古新基地建設反対、普天間基地無条件撤去。日米安保条約を廃棄し、米軍基地のない日本を。対等・平等の日米友好条約を結ぼう。北東アジアでも平和の地域共同体を。
☆「戦後70年」――歴史を偽造し、過去の侵略戦争を賛美する安倍首相の暴走を許すな。
☆「被爆70年」――核兵器禁止条約の国際交渉をすみやかに開始せよ。アメリカの「核の傘」から離脱し、非核の日本を。
☆国民的共同を広げ、安倍政権を打倒しよう。暮らしと民主主義の守り手、反戦と平和の党=日本共産党の前進で、新しい日本への流れを。

対決点を明確にしたこのスローガン群に概ね賛成といわざるを得ないが、教育とメディアへの権力的統制への警鐘のないこと、「憲法9条を守ろう」だけがあって、「改憲阻止」「憲法を活かそう」「立憲主義堅持」とはなっていないことが、不満といえばやや不満。その程度だ。

よく知られているとおり、メーデーはアメリカで8時間労働制を要求する闘いに始まった。19世紀の話である。それが今、日本のメーデーで「8時間労働を守れ」という切実なスローガンを掲げざるを得ない事態である。このことの深刻さを噛みしめなければならない。

100年を大きく超すメーデーの歴史は、労働者の経済的な要求の実現のためには、労働者自身が団結して闘わねばならないこと、しかも政治的スローガンをも併せて掲げて闘わねばならないことを教えている。

薫風の中の闘うメーデーに、精一杯のエールを送りたい。
(2015年5月1日)

恐るべき法感覚ー維新議員の「残業代支払わない」宣言

議会というところは、諸勢力、諸階層、諸階級の代表が、それぞれの利益を代弁してせめぎ合うコロシアムだ。有権者は、どの政党、どの議員が自分の味方で、敵は誰なのかを見極めなければならない。多くの政党や議員が、騙しのテクニックに磨きをかけて、庶民の味方を装う。「オレオレ詐欺に引っかかってはなるものか」という、あの細心の注意が必要なのだ。

時にホンネが語られることがある。ついつい議員の地金が出る。メッキがはげ、衣の下から鎧が見える。これを見逃してはならない。

その典型例が、昨日(3月25日)の衆議院厚生労働委員会での、維新の党足立康史議員(比例近畿)の発言。これは、維新の党が誰の味方で誰の敵であるかを、よく物語って分かり易い。同時に、維新の党のレベルを物語る点でも興味深い。

共同配信記事は以下のとおり。短いがまことに要領よく事態をとらえたもの。

「維新議員、秘書残業代不払い宣言 『労基法は現実に合わない』
 維新の党の足立康史衆院議員(比例近畿)は25日の厚生労働委員会で質問に立ち、元私設秘書から未払いの残業代700万円を請求されたことを明かし『払うことはできない。私たち政治家の事務所は、残業代をきっちりと労働基準法に沿って払えるような態勢かと問題提起したい』と述べ、未払いを正当化した。
 足立氏は『私は24時間365日仕事をする。そういう中、秘書だけ法に沿って残業代を支払うことはできない』と持論を展開。元秘書からの請求に対しては『ふざけるなと思う』と強弁。
 取材に対し『労基法は現実に合っておらず、見直しが必要だ。議論を喚起するために発言した』と述べた。」

「ふざけるな」と言いたいのは、まずは未払いの残業代を請求している元秘書氏だろう。そして、おそらくは現役の同議員秘書氏もだ。うかうかしていると残業代を含めた未払い賃金の請求権は2年で時効になる。早めに手を打っておくことをお勧めする。

それだけではない。すべての労働者が「足立議員よ、フザケルナ」と言わねばならないし、法による秩序を大切に思うすべての国民が「維新の党よ、フザケルナ」と言いたいところだ。私は、法による秩序すべてが守るに値するという立場ではない。しかし、社会法の典型として弱者を保護する労基法は厳格に遵守されねばならないことは当然だ。仮に、法改正を要するとの意見を持っていたとしても、現に存在する法規に違反することは許されない。この維新議員、恐るべき法感覚と指摘せざるを得ない。

いうまでもなく、残業には割増分(25%)を付した賃金を支払わなければならない(労基法37条)。その支払いを拒絶することは犯罪に当たる。刑罰は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金である(労基法119条1項)。足立発言は、国会と公の場での犯罪宣言にほかならない。足立議員は、告発され厳重に処罰されてしかるべきだ。

念のためにユーチューブで彼の質問を聞いてみた。「自分はこういう労働基準法を改正するために議員になった」とまで言ってのけている。臆面もなく、強者の側に立って、弱者保護の法律をなくしてしまおうという使命感。こんな議員、こんな政党に票を投じることは、自分のクビを締めることになる。

画面を見つつ納得した。なるほどこれが維新の役割なのだ。この維新の議員は、「残業代ゼロ法案」を提案している悪役・政府与党の政務三役までを品良く見せている。こんなお粗末な手合いが、維新の党を作り、議員になっているのだ。民主主義の堕落というほかはない。

この足立という議員。元は「みんなの党」支部長からの転身だという。2012年の総選挙では、陣営から選挙違反の逮捕者を出している。投票呼びかけの電話作戦を担当した女性運動員3人に時給約800円の報酬を支払う約束をしたという被疑事実。維新全体がそうだが、コンプライアンス意識に問題あり、なのだ。

「ブラック議員」というネーミングが、まことにふさわしい。ブラック企業、ブラック社長、ブラック選対だけではない。ブラック政党、ブラック政治家、ブラック議員、そしてブラック政権だ。この世にブラックが満ちている。

さて、今日から統一地方選挙に突入だ。ブラック掃除のチャンスである。残念ながら、足立議員は今回は選挙民の審判を受けないが、同類の維新を一掃することは可能だ。労働者の利益のためにも、民主主義の劣化防止のためにも、自民とともに維新にノーを突きつけよう。
(2015年3月26日)

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