東電労組とはなんだ? 連合とはなんだ? そして、国民民主党とは?
(2022年4月17日)
本日の赤旗社会面に、要旨以下の記事が掲載されている。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-04-17/2022041713_01_0.html
《元社員向け広報に「国民」参院候補チラシ同封》
東電が元社員に定期的に郵送している社内報(『TEPCOmmunity(テプコミュ)』)に、7月の参院選に国民民主党から比例代表で立候補する竹詰ひとし・東京電力労働組合委員長への支援を求めるチラシが同封されていた。チラシには、「先輩の皆さまへ」として、「東京電力労働組合は『竹詰ひとし』を電力の代表として国政へ送り出すため、組織の総力を挙げて取り組んでまいります」と書かれている。
竹詰は自身のツイッターで原発について、「日本もより安全性や信頼性等に優れる革新的な炉へのリプレース・新増設や研究開発等の必要性をエネルギー政策に明確に位置づけるなど、原子力の将来ビジョンを国の意思として打ち出すべき」だと述べ、原発推進を訴えている。国民民主党も原発の早期再稼働を主張。2022年度政府予算に賛成し、事実上の与党となっている。
赤旗は、「東電は福島第1原発事故後、実質国有化されている。公的性格がきわめて強い企業が、事実上の与党となった政党の候補を支援する」ことへの批判を紹介している。が、それだけが問題なのではない。
東電労組の「『竹詰ひとし』を電力の代表として国政へ送り出す」という一文が衝撃である。「電力の代表」とは、電力業界の代表の謂いである。労働者・労働組合の代表でも、労働界・労働運動の代表でもなく、電力業界の代表だというのだ。
労働組合が臆面もなく企業・業界代表の姿勢を公言し、だからこそ企業が選挙に協力する。いや、実のところは、企業の代表者が労組の仮面を被って選挙に出馬しているとみるべきだろう。
この竹詰という候補者のホームページには、こんな政策の訴えがある。
??「環境と経済の両立」に向けた現実的な政策を政治へ?
「S+3E」を基本とした現実的なエネルギー・環境政策の実現
資源に恵まれない日本の「エネルギー安全保障」を確保するため「S+3E」の考えのもと、再エネや原子力・火力等、既存の人材や技術を最大限活用した現実的なエネルギー・環境政策の実現に取り組みます。
「S+3E」とは、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画での基本コンセプト。安全性(Safety)を前提としつつ、安定供給(Energy Security)を確保し、経済性向上(Economic Efficiency)と、環境への配慮(Environment)を図るとする。要するに、「S+3E」は原発再稼働容認とセットになって使われ、原発推進OKというお札となっている。
福島第1原発事故の責任者である東電自身が言いにくい原発再稼働推進を、東電労組と、候補者竹詰に言わせている図である。東電は労使協調を旗印とする典型的な御用組合である。だから、東電労組委員長が立候補する選挙は、企業ぐるみ選挙であり、業界ぐるみ選挙であり、労使渾然一体ベッタリ選挙とならざるをえない。
この予定候補者の最近のツィッターにも、「法令に基づく安全基準を満たした原子力の早期再稼働が必要! (午前8:58?2022年4月15日)」と露骨である。
ところで、この人の肩書は、「東電労組・中央執行委員長、関東電力総連・会長、全国電力総連・副会長」であるという。言うまでもなく、電力総連は連合の有力単産である。この電力総連の姿勢は、連合の姿勢でもある。
こうして、企業に支配された労使協調の労働運動は連合に束ねられ、さらに国民民主党をパイプとして保守政権につながり、飲み込まれている。
資本主義社会においては、使用者と労働者の対峙という基本構造がある。真に労働者の利益を守ろうという労組・労働運動は、使用者から独立していなければならない。これが、労働運動の大前提であり、労働法のキホンのキである。ところが、連合・電力総連の「労働運動」は、資本や使用者と対峙する姿勢をもたなない。むしろ企業や財界の意を忖度して、その代弁者として活動する。
東電労組委員長で「電力代表」という、国民民主の予定候補者・竹詰よ。君はいったい、誰のために、誰と闘おうというのか。本来は、労働者のために、東電や財界や、財界の意を政策としている政権と闘わねばならない。しかし、現実にはそうなっていない。
君は、東電と電力業界の利益のために、連合や国民民主の一部隊として闘おうというのだ。君が闘う相手は、立憲民主党であり、日本共産党である。そして、その政党を支えている、資本から独立した自覚的労運動であり、中小零細の未組織労働者であり、厖大な非正規労働者である。君の当選は財界には歓迎されるが、今の世に苦しんでいる弱い立場の人々をさらに不幸にするだけだ。君の落選を願ってやまない。