澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

臍を噛むまい。「憂しと見し世も 今は恋しき」と。

永らへば またこの頃や しのばれむ
 憂しと見し世ぞ 今は恋しき

百人一首でおなじみの藤原清輔の詠。『新古今集』から採られているそうだが、これは恐い歌だ。希望のない、絶望の歌。この頃そう思う。

この先もっと長く生きていて、憲法の理念が輝く民主的な時代を見ることは、どうやらできそうもないようだ。改憲を唱える反動勢力が跳梁するひどい時代と思っている今日この頃だが、この先になって思い返してみると今の時代が懐かしく思い出されてくることになってしまうのだろう。「ああ、あのときはまだマシだった」と。いま、振り返ってみれば、あのときにはムチャクチャだったと思っていた昔の日々も、今に較べればまだマシだったと恋しいほどに思い出されるのだから。きっと同じことが繰り返されるに違いないのだ。

この歌に貫かれているのは徹底した厭世観だ。世の中、今日より明日がよくなるはずがない。これまでも、どんどん悪くなるばかりだったのだから。一昔前に比べて今はなんとひどいことになっているのだろうか。何年か経って、一昔前となったこの頃を振り返ってみても、今よりよくなっていようはずはない。

驚いたのは、ブッシュ大統領親子が共同して、トランプ批判の声明を出したことだ。トランプのやり方が生温いというのではない。その人種差別主義の言動を真っ向から批判している。あのブッシュ親子にさえ、乱暴で非人権的と批判されているのが超大国アメリカの現政権なのだ。悪しきポピュリズム、反知性主義、排外主義、アメリカの独善。あの当時には、「ひどい」、「最悪」と思われたブッシュでさえ、「今は恋しき」対象なのだ。

アメリカだけではない。日本も同様なのだ。55年体制確立以来、自民党政権は長期低落傾向にあった。弥縫を重ね公明党を抱き込み、何とか延命を重ねた自民党。長く、事実上は改憲をあきらめていた。それがどうだ。安倍晋三という、改憲執念勢力の代表各が首相におさまっている。あの当時は、金権、反動、最悪と思われた田中角栄も、中曽根康弘も、「今は恋しき」ではないか。

そして都政だ。石原慎太郎時代には、こんな保守反動の知事は空前であるばかりでなく絶後だろう、と思ったものだ。しかし、どうもそうではなさそうだ。小池百合子都政は、明らかに猪瀬・舛添時代以下だ。もしかしたら、石原時代よりもひどいことにもなりかねない。その理由は、知事子飼いの政党が議会の第一党になっているからだ。それだけではない。石原慎太郎が筋金入りの右翼で、排外主義者で、差別主義者だったことは天下周知のことだった。ところが、小池百合子がなにものであるかについては、よく知られていないという事情もある。

ようやく、大手メディアが小池批判をするようになってきた。本日(8月21日)の毎日「<政治団体>日本「ファースト」どこへ 米国第一のコピペ?」という記事はその典型だろう。

記事の書き出しは、「小池百合子東京都知事の側近、若狭勝衆院議員が設立した政治団体『日本(にっぽん)ファーストの会』が揺れている」というもの。
識者のコメントを連ねる手法で、「『アメリカ・ファースト』とうり二つ 排外主義連想の指摘も」とし、「東京都議選で都民ファーストはいきなり第1党に躍り出た。」「利益誘導型の旧来の自民党政治が顔を出して無党派層の不満が高まるなか、小池氏はポピュリズムをうまく利用し、民進党に代わって『受け皿』になった」「日本ファーストは近隣諸国からどうみられるか。排外主義を連想するなという方が無理だ」「政策決定者である私が決めた。文書としては残していない。『情報公開は東京大改革の一丁目一番地』と言いながら、結局は『自分ファースト』だった」。若狭氏は7月9日の報道番組で新党のスタンスとして「憲法改正が必要というのは共通している。安倍さんとあえて対立構図を作ることはない」と述べた。「自民党との本質的な違いは見えにくい」。

慎重な言い回しだが、「小池百合子を警戒せよ」「小池百合子にだまされるな」という警告である。安倍晋三、橋下徹、小池百合子などのポピュリストに警戒せよ、だまされるな、ということでもある。

私は、心底心配せざるを得ないのだ。安倍晋三のごとき知性に欠けた反文明人の利己主義者を長く首相に据えておく、「この頃」の世の雰囲気についてである。民主主義運用の難しさについてということでもある。もう少し先になって、「素晴らしい憲法だったと悔やむ日が」(8月21日万能川柳欄・浜松よんぼ)としてはならない。「あの頃に世を憂しと見しは、杞憂なりしか」と詠う日が来なければならない。漫然と待つのではなく、その日が来るように努力を重ねなければならない。それは、可能なはずなのだから。
(2017年8月21日)

有権者は、もったいないがだましよいー「都民ファーストの会」の場合

古川柳は、どら息子の心境をこう喝破する。
母親はもつたいないがだましよい(誹風柳多留)
この前句は、「気をつけにけり気をつけにけり」である。

「前句を息子に用心している母親として、その母をまんまと欺して、勿体ないという体をつける」(宮田正信)と解説される。

どら晋三も、こう思っている。
 国民はもったいないがだましよい
政治家に用心している国民をまんまと欺して、勿体ないというふりをするのだ。
普段は頭の高い俺が、神妙な態で8秒も頭を下げれば、国民なんて甘いものさ。支持率低下は下げ止まったじゃないか。調査によっては、少々だがアップしさえしている。

本当は、核廃絶には反対なんだ。平和は核の抑止力によって保たれている現実をみなきゃならない。でも、そんな本音を口にしたら、またまた支持率ダウンだ。憲法改正もできなくなる。だから、「核保有国と非核国の橋渡しの努力」などと言って国民を欺す以外にない。ましてやここは広島だ。さすがに被爆者までは欺せなかったが、国民は欺せたように思うよ。

どら百合子も、こう思っている。
 都民とはもったいないがだましよい
これまで石原慎太郎以来の都知事と自民党議会に用心している都民をまんまと欺して、勿体ないというふりをするのだ。
「セーフシティ」「スマートシティ」「ダイバーシティ」「東京大改革」「忖度だらけの古い都議会を新しく」などという、わけの分からぬ呪文で甘い都民をたぶらかした。どうです、見事なものでしょう。

いったい、都民ファーストの会とは何なのだろう。小池百合子とは何者だろうか。その代表の野田数とは? そして、55人の大勢力となってひしめく都民ファーストの会所属都議とは、いかなる志と政策を持っているのだろうか。それが、さっぱり分からないのだ。

毎日新聞が、7月の東京都議選で当選した127人の都議全員に、安倍政権の評価や憲法改正の賛否について尋ねた。その回答は、自民・公明・共産・民進の議員については、さもありなんというもの。

ところが、小池百合子知事率いる第1会派「都民ファーストの会」の議員らの回答は驚くべきものだった。というか、あきれかえったものと評すべきだろう。

「『都民ファーストの会』の議員のほとんどが無回答とし、その理由について記した議員の大部分が『都政に専念するため』と説明した。都民ファースト本部から示された模範回答を、そのまま書き込んだといい、所属議員からも『自由な発言が許されない雰囲気がある』との声が上がっている。」というのだ。

以下、毎日の報道の紹介である。
アンケートでは(8月)8日に予定されている都議会臨時会を前に、都議の政治的スタンスを確認するため「安倍政権を評価するか」「憲法改正に賛成か」を尋ね、都民ファースト所属の2人を除く125人から回答を得た。

都民ファーストの議員は、民進党出身の石川良一都議が安倍政権を「評価しない」、民進党出身の中山寛進都議と自民党出身の山内晃都議が「わからない」としたが、他の50人は無回答だった。無回答の理由は、ほとんどが都民ファースト本部が示したという模範回答の「都議として都政に専念する立場であり、国政についてのコメントは控える」と書いた。憲法改正についても石川、中山、山内の3都議が「わからない」とした以外は無回答だった。

都民ファーストは新人が39人を占める。今回のアンケートに限らず会派の締め付けは厳しく、都議が報道機関の取材に応じる場合も原則、本部の許可を得る必要がある。また報道機関も、本部に都議への質問内容を事前に提出することを求められている。

こうした状況について、都民ファースト関係者は「自由な発言が許されない雰囲気がある。都議が話したことを悪く報道されるのを恐れて守りに入っている」と説明。ある都議も「今のメディア対応のやり方が正しいとは思わない」と漏らす。

これに対し、野田数(かずさ)代表は「どんな取材を受けるのか本部が把握することは、民間企業なら当然の対応。うちは既存政党よりも確実に情報公開が進んでいる」と強調した。

毎日のアンケートは、「安倍政権への評価」と「憲法改正の賛否」の2点である。都議たるものが、この2点について、意見をもたないということは考えられない。その意見の表明に躊躇があってはならない。都議が、自分が何者であるかを明確にすることは都民に対する責任ではないか。

しかも、野田数は、都民から信任を得た都議を民間企業の社員と同等に考えている様子なのだ。「都民ファーストの会」は業務命令で、都議にいかようにも指示ができる。口封じも当然、と言っているわけだ。これは、重大事である。

毎日のアンケートは、思いがけなくも、都議会の中の巨大なブラックボックスの存在を炙り出した。結局、小池知事党の都議は、都民への責務をラストとし、所属政党への忠誠をファーストとしたわけだ。「都民ファーストの会」は、実態に合わせて名称を変更した方がよい。「我が党ファーストの会」あるいは、「小池知事ファーストの会」と。

「だましよい」と甘く見られた都民諸君。わけても小池知事党に貴重な一票を投じた諸君。どうやら、親心に付け込んで母親をだますオレオレ詐欺の被害に遭った模様ですぞ。
(2017年8月7日)

街頭からー「安倍晋三だけにではなく、小池百合子にも批判の目を向けよう。」

いふまいとおもへどけふのあつさかな
暴力的なまでに照りつける強い日ざしの中の、真昼の街宣活動となった。

本郷三丁目のご近所の皆様、本三交差点をご通行中の皆さま。毎月第2火曜日の昼休みに続けております、定例の「本郷湯島九条の会」からの訴えです。暑いさなかですが、しばらくお耳を拝借いたします。

7月2日東京都議選から10日ほどが経ちました。その前と後とで、政治的な風景は劇的に変わっています。自民党は、前回59議席から23議席に激減しました。その後の世論調査での内閣支持率は軒並み30%代前半の数値を示し、あの読売の調査でも「不支持52%」となっています。

一強といわれた安倍政権は、誰の目にも行き詰まりが明らかとなっています。安倍自身はトカゲの尻尾を切っての生き残りを考えているようですが、それは甘い。国民は、尻尾ではなく頭のすげ替えを要求していると指摘しなければなりません。

アベ一強にガタがきた原因は大きく二つあります。
その一つが、悪法強行の濫発。特定秘密保護法、集団的自衛権行使を容認した戦争法、福祉の切り捨てや労働法制改悪。そして極めつけが治安維持法の再来というべき共謀罪法。いずれも、数を恃んでのゴリ押し。強行採決。終わったあとに、「これから国民の皆様に丁寧に説明してまいります」という口先だけの反省のポーズ。

もう一つが、政治と行政の私物化。「アベのアベによるアベのための政治」、あるいは、「オトモダチのオトモダチによるオトモダチのための政治」に、国民はノーを突きつけたのです。

では、選挙結果はアベ体制の崩壊が始まったことで、すべてOKだったか。イイエ、そうではありません。自民党から離れた票は、都民ファーストの会が最大の受け皿となって都民ファーストの会が55議席も獲得するという大きな変化が生じました。しかし、いったい都民ファーストの会とはなんでしょうか。実はよく分りません。都民は、実態がよく分からぬままに、巻きおこった風のまにまに、都民ファーストの会に投票してしまったのではないでしょうか。

たとえば、地元文京区の選挙結果を見てみましょう。立候補者は3名でした。そのうちの2人の憲法に対する姿勢ははっきりしています。憲法擁護、憲法の理念の実現を掲げる候補がひとり。共産党の福手裕子さんです。もうひとりは、現行憲法を敵視し自主憲法制定を党是とする自民党から立候補した中屋文孝候補です。この2人の票は接近し、26,782対26,997の票差わずか215票。得票率では、27.91%と28.13%でした。福手裕子さんは共産党公認でしたが、事実上護憲勢力の代表だったと言えます。そして、敗れはしましたが新人でありながら前回トップの自民候補と互角のつばぜり合いを演じました。

トップ当選は、前回民主党から出馬して落選した都民ファーストの会の増子博樹候補でした。間違いなく公明党の票もここに入っています。都民ファーストの会は護憲政党でしようか。それとも改憲政党なのでしようか。実は歴とした改憲派勢力だといわねばなりません。

都民ファーストの会の役員は2人だけ。代表の野田数(かずさ)と小池百合子、この2人だけですべてを決めています。野田は、スキャンダラスな話題を振りまいていますが、大日本帝国憲法の復活を願う立場の極右。そして小池百合子が日本国憲法に敵意満々の右翼。極右と右翼の組み合わせが、都民ファーストの会にほかなりません。

野田は、もと東京維新に所属して、「我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄し」という驚くべき思想の持ち主です。そして、小池百合子は、かつて『VOICE』誌の座談会で「核武装の選択肢は十分ありうる」と次のように述べています。
「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうるのですが、それを明言した国会議員は、西村真吾氏だけです。わずかでも核武装のニュアンスが漂うような発言をしただけで、安部晋三官房副長官も言論封殺に遭ってしまった。このあたりで、現実的議論ができるような国会にしないといけません。」
核武装是非の論議ができるまともな国会にしていこうというのです。

アベ一強を政権の座から追放するだけが課題ではなく、小池百合子やその亜流の跋扈も許してはならないと思います。都民ファーストの会が安倍自民と組んで、自・公・都ファの大連携だって考えられるのではないでしょうか。是非、批判の目で国政も都政も、安倍も小池も見つめていこうではありませんか。
(2017年7月11日)

「おそれいるのはやめようぜ」

そもそも人間チョボチョボだ
背伸びしたって知れたもの
みんなちがってみんなよい
威張るヤツほどエラかない
おそれいるのはやめようぜ

大統領はおバカさん
環境破壊もわしゃ知らぬ
人種差別もハイけっこう
票になるならなんでもさ
身内大事でカネ儲け
こんなお人に
おそれいるのはやめようぜ。

総理大臣ひどいヤツ
頭のレベルはデンデンで
戦後レジーム否定して
戦前体制取り戻す
邪魔な憲法目の仇
政治の私物化 恥知らず
批判されれば切れまくる
こんな程度が総理なの
おそれいるのはやめようぜ。

防衛大臣エラかない
化粧と衣装に念を入れ
公務や本務はそっちのけ
ときどき涙を目に浮かべ
「緊張感もってやっていく」
その内任期は過ぎていく
こんな程度が大臣だ
おそれいるのはやめようぜ。

東大出身エラかない
4年かかっておぼえたは
「このハゲ――――――!」「コノヤロー」「豊田真由子様」「バカ!」
さすがに豊富な語彙の数々と
「死ねば? 生きてる価値ないだろ。おまえとか」
人を見下す酷薄さ。
東大出たという人に
おそれいるのはやめようぜ。

東京都知事はエラかない
所詮は政界渡り鳥
今の止まり木一休み
いつになったら飛び立つか
次にはどこに止まるやら
この人本籍右の人
本性隠した厚化粧
いつかは剥がれる化けの皮
票を取ったと言うだけの そんなお人に
おそれいるのはやめようぜ。

テンノウヘイカもエラかない
かつては神とされていた
テンノーヘイカの命令で
臣民たちは戦場に
今は神様廃業で霊長類のヒト科ヒト
特殊なゲノムがあるじゃなし
オケラだってミミズだって
みんなみんなが万世一系
テンノウヘイカだからって
ありがたがるのはやめようよ
おそれいるのもやめようぜ

社長も上司もエラかない
社長と社員は対等だ
パワハラ・セクハラ許されぬ
心細けりゃ組合だ
しっかり団交やればよい
会長・社長・CEO
会社潰すのこんな人
社長や上司だからって
おそれいるのはやめようぜ

そもそもおれたちエラかない
こんな政権できたのも
こんな総理が威張るのも
こんな大臣居座りも
こんな議員を選んだも
職場の組合弱いのも
郵便ポストが赤いのも
みんなおれたちやったこと

おそれいるのをやめたあと
おそれいらずに声を上げ
おそれいらない第一歩
(2017年7月9日)

心しよう。小池百合子は日本国憲法に敵意をもった、危険な改憲論者である。

七夕である。盧溝橋事件から80周年でもある。風流にひたる時間も、歴史をかえりみる余裕もない。都議選勝ちすぎの、小池百合子と都民ファーストの会批判を続けねばならない。

小池百合子が思想的に右翼であり、改憲論者であって、核武装論者でもあることはよく知られている。だが、「よく知られている」だけでは、小池百合子や都民ファーストの会に迂闊な一票を投じた人々を説得できない。小池百合子が、憲法に敵意をもった、危険な改憲論者であることを、過去の資料で確認しておきたい。

まず、確実な資料として彼女の公式ウェブサイトに掲載したツイートがある。古いものは消されたが、奇特な方が保存して発信を続けている。

その中で、最も有名になったのが自民党広報本部長を務めていた当時、2011年8月26日における下記ツイート。

「本日、サンフランシスコ講和条約発効日である4月28日を主権回復記念日として祝日とする議員立法を総務会で承認し、衆議院に提出いたしました。祝日が多すぎるというなら、借り物の憲法記念日5月3日を祝日から外します。」

主権回復記念日の評価は措く。「借り物の憲法記念日5月3日」という一文に、彼女の「押しつけ憲法観」が見えている。そして、「憲法記念日5月3日を祝日から外します」という言わずもがなの挑戦的な物言いに、日本国憲法への尋常ならざる彼女の敵意を見ることができる。

その少し前には、2010年3月11日付の、こんなツイートもある。
「『朝鮮学校の無償化、首相「法案成立後に判断」』(朝日) それはないでしょ!! 絶対反対! 反日教育を進めている北教組の傘下にある北海道の高校も同類。」

当時の首相は、民主党の鳩山由紀夫。このものの言い方。小池百合子とは、ネトウヨ並みの存在なのだ。

さらにもう少し前には、こんなものもある。
中共の『日本解放工作要綱』にならえば、事業仕分けは日本弱体化の強力な手段。カタルシスを発散させながら、日本沈没を加速させる…。」
2009年11月26日、民主党政権の目玉政策だった事業仕分けに噛みついた発言。それにしても「中共」とは懐かしい言葉。「中共の日本解放工作要綱」の陰謀が民主党の事業仕分けとなって日本弱体化を進行させているという、これも小池の信条や心情がよく出た発言。

小池百合子は、衆院憲法調査会(現・憲法審査会の前身)の委員だった。
2000年11月30日「二十一世紀の日本のあるべき姿」と題する調査会審議に石原慎太郎(当時都知事)が参考人として出席し、現行憲法無効・自主憲法制定の持論を展開した。憲法論としても政治論としても、トンデモ説というほかはない。当時、「保守党」に所属していた小池は、この審議で石原トンデモ説に賛同しているのだ。議事録から抜粋してみる。

小池百合子「石原都知事、本日はありがとうございます。いろいろと御示唆いただきました。結論から申し上げれば、一たん現行の憲法を停止する、廃止する、その上で新しいものをつくっていく、…どの部分をてにをはを変えるというような議論では、本来もう間に合わないのではないかというふうに思っておりますので、基本的に賛同するところでございます。」
「きょうはいろいろと、憲法調査会でございますから憲法問題に関連してお話しいただいているわけですが、私は、むしろアメリカの戦略とすれば、日本にこの憲法を変えさせないのが最大の戦略になってくるんじゃないか。つまり、いろいろな点でがんじがらめにしておいて、そしてそのたびに出おくれるような形にして、最後は小切手外交をさせようというのが、これは一番アメリカにとっていい方法で、なおかつ思いやり予算というような形で置いて、ありがたくそこに海兵隊の人たちが住んでいるというような状況。ですから、アメリカの側から見れば、それが戦略なのかなと思ったりもするわけでございます。
「もう時間がございませんので、これで終わらせていただきますけれども、この現行憲法、これが戦後に果たした役割にいろいろな面で感謝もしつつ、ただ、二十一世紀を見詰める上で、今後の日本がどうあるべきかということを踏まえた、ある意味では帰納法的な憲法の創憲ということを目指すべきではないかという私の意見を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。」

小池も基本的に現行憲法無効論に立って、憲法改正ではなく、新憲法を「創憲」すべきと論じているのだ。「ある意味では帰納法的な憲法の創憲ということを目指すべきではないか」とは、何を言っているのか自分でも分かってはいない発言だが、現行憲法尊重の姿勢に欠け、これを否定したという心情だけは伝わってくる

もっとも、小池の改憲論は一貫していない。
2011年時点での右翼誌「ワック」における渡部昇一との対談では、こんな風である。
九条を前面に出すとこの国はすぐ思考停止に陥り、右だ左だと言い合うばかりで何も進まないという事態が何十年も続いてきました。塩野七生さんもおっしゃっているのですが、まずは誰が聞いても『いい』と言えるような憲法から改正して、『憲法は改正できるものだ』という意識を共有するところからはじめたほうが、結果的には早く憲法を改正できるのではないかと思うんです」(『渡部昇一、「女子会」に挑む!』ワック、2011年)

次いで2012年7月9日、自民党に移っていた小池渡り鳥は衆院予算委員会で、民主党野田佳彦首相(当時)にこうたたみかけている。
○小池委員 私は、社会保障と税の一体改革、……ある意味で、この法案そのものは自民党案の丸のみということを表現される方もおられます。私は、むしろ安全保障の案を丸のみしてほしい。ましてや、憲法改正草案もちゃんと準備いたしておりますので、いっそのこと丸のみするということも、我が国が有しているエネルギーそして時間ということを考えたら、いっそのこと早いんじゃないですか。どうですか、総理。

自民党の「日本国憲法改正草案」は、2012年4月27日に公表されている。もちろん、9条2項を削除して国防軍を創設するという右派の最大限要求案。これを「丸のみ」せよと言っているのだ。

また小池は、2015年2月19日の衆院予算委員会で、安倍晋三に対する質問の中で、こう言っている。
○小池委員 次に、憲法の方でございますが、これについてもまたこれから議論をしっかりと続けていかなければなりませんので、中身の部分はその方に任せまして、大体のロードマップをどういうふうに描いておられるのか、総理に伺わせていただきたいと思います。
 せんだって、船田憲法改正推進本部長との面会の中でも、来年夏の参院選後が常識だろうというふうにおっしゃったと伺っております。これからのタイムスケジュールと、それから、憲法というのは前文から百三条まであるわけでございますけれども、その中から抽出して何かのグルーピングをするのか。例えば、緊急事態に関して、八十三条、財政に関してといったような形を想定しておられるのか、総理の今のイメージをお聞かせいただきたいと思います。
○小池委員 私は以前から、八十三条、財政の条項からまずやってみたらどうかと。一度も憲法改正に国民は投票したことも。ようやく整ったわけですから。ですから、いきなり全部のメニューを最初からというよりも、ひとつそのような形で進める、九十六条よりも私は八十三条から始めるべきではないだろうか、このように思っております

憲法83条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定める。自民党改憲草案はこれに第2項として「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。」と加える。それだけのもの。小池は、「お試し改憲」「慣れさせ改憲」のテーマとして適当ではないかと提案しているわけだ。

小池百合子の本性は、およそ憲法理念とは敵対的なものというほかはない。彼女が「都民ファースト」と言い、「国民ファースト」と言っても無内容。憲法嫌いの積極的な真正改憲派であり民族差別主義者なのだ。しかし、彼女は政界渡り鳥。嗅覚鋭く、機を見風を読む能力には長けた老獪な政治家でもある。その行動原理は、自分の信念にもとづいてのものであるよりは、自分の権力拡大のために有利か不利かの判断に基づく。

彼女は改憲論者としては一貫しているが、具体的な憲法改憲手順については、明らかに変遷している。憲法改正を言い出すことが自分に有利と思えば積極的に安倍政権(ないしはその亜流)と手を組むだろう。状勢を読んで、憲法改正を言い出すことが自らに不利と思えば何食わぬ顔で、憲法に基づく行政を行うだろう。

多くの人々に小池百合子の本性を知らせる努力を怠ってはならない。眉に唾を付けて、しっかりと都政の行方に目を光らせなければならない。盧溝橋の過ちを繰り返さないためにも。
(2017年7月7日)

都民ファーストの会に吹く風を止めよう。そして…。

私は、常識的に、政治状況を保守対革新の図式で見ている。硬直したものの見方だとの批判もあろうが、無原則よりはよほどマシだろう。保守と革新を分けるメルクマールは、私の場合なによりも憲法理念への親和性である。人権・平和・民主主義こそが基本のキ。そして外交は反安保。経済政策は企業ではなくすべての個人の生活を平等に豊かにすること。個人の尊厳と平等の実現に徹しているか、歴史を曲解せず真率に向き合うか。

保守の極に自民党があり、革新の極に共産党がある。
保守も幅は広いが、安倍政権の反憲法的姿勢は最悪なもの。また、北極星のごとく不動の極に位置していた共産党が、最近ものわかりよくやや原則性を稀薄化させているのが不満だが、これに代わりうる政治勢力はない。

この両極間の各々の位置に、幾つかの中間政党が消長を繰り返してきた。かつては、革新極に近い位置に社会党という護憲の大政党があり、保守に近いところに民社党があった。ヌエのごとき公明党は、革新に近い位置に生まれて一貫して保守の側に移行を続けた。今や完全に自民党の補完勢力になり下がっている。

社会党が保守化して民主党になり、保守化に抵抗したグループが社民党として残った。その民主党が長期低落の自民党の受け皿となっていったんは政権の座に着いたが、人心が離れて政権を失った。いまや求心力を失って、保守側と革新側の両極からの引力が働いて、政党としてのまとまりを失いつつある。

さて、問題は都民ファーストの会なる地方政党の位置決めである。もちろん、その出自からして保守陣営に属するものであって、中間政党ではない。これまで、民心が自民党を見限って保守の危機が訪れたとき、自民離れ票の受け皿となったのが中間政党であった。自民から流れ落ちる票が革新まで行き着く前に、中間政党が掬い取るイメージ。都民ファーストの会は、同じ保守陣営として、もっと上流で自民批判票の受け皿となったと言えるだろう。

それでも、自民の大敗は、反憲法的姿勢極端な安倍自民に痛打を与えたという意味で、今回の都議選の意義はあつたものと思う。

都民ファーストの会には、綱領らしい綱領はなく、政策らしい政策もない。実績ある議員はいないし、政治理念での結集体でもない。要するに、時運に乗り風に乗りたいだけの時局便乗願望者の寄り集まりに過ぎない。誰が見ても、この政治集団に未来はない。先行き短命なことは明らかと言えよう。

いま、小池都政と都民ファーストの会の看板は、唯一「情報公開」である。外はない。今のところ、過去の都政のしがらみにとらわれない立場だから、遠慮なく情報公開の立場を貫くことができる。しかし、小池都政にもすぐに苔が生える。しがらみが巻き付いてくる。そのときにも、行政の透明性の確保、情報公開の徹底を貫けるだろうか。

そんな都民ファーストの会が今回都議選で200万票を獲得した。得票率にして36%である。恐るべき風と驚嘆せざるを得ない。いつものことながら、「民主主義とはなんだ?」「こんなものが民主主義か?」と考え込まざるを得ない。

今日、「本郷・湯島九条の会」事務局長から、以下の連絡が入った。
「都議選がおわりましたが、『都民ファーストの会』会長・野田数氏は改憲右翼・国民主権否定どころか、大日本帝国憲法復活論者であり、わたしたちは『臣民』と言って憚らない人物です。小池知事は日本会議に所属しており、わたしたちはファシストに都政を売り渡してしまったのです。
今後の対策を『本郷・湯島九条の会』として建てようと思います」というもの。

今なすべきことは次の2点であろう。
まずは、可及的早期に小池都政と「都民ファーストの会」の化けの皮を剥がす批判の努力をすること。そして、もう一つ。この風のやんだあと、熱に浮かされた人々の小池離れ票を、自民に戻してはならない。革新の側に票を移行させるよう努力すべきこと。言うは易く行うは難し、ではあるが。
(2017年7月6日)

小池都知事に問います。あなたは「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」への追悼文奉呈を辞めるつもりではないでしようね。

両国駅にほど近い墨田区横網に、横網町公園がある。関東大震災(1922年)の頃は陸軍被服廠跡地として空き地であったが、震災に伴う火災でここに避難した3万8000人が焼け死んだ傷ましい大災害の現場として記憶されている。

今は、公益財団法人東京都慰霊協会が管理する東京都慰霊堂や復興記念館がある。震災・戦災の犠牲者追悼の場となっているのだ。

その公園の一角に、「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑」がある。
横網町公園を管理する公益財団法人東京都慰霊協会は、この碑を「関東大震災時の混乱のなかで、あやまった策動と流言ひ語により尊い命を奪われた多くの朝鮮人を追悼し、二度とこのような不幸な歴史を繰り返さないことを願い、震災50周年を記念して昭和48年(1973)に「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼行事実行委員会」により立てられた碑です。」と紹介している。

追悼碑には
次の碑文が刻されている。
「この歴史
永遠に忘れず
在日朝鮮人と固く
手を握り
日朝親善
アジア平和を
打ちたてん
藤森成吉」

また、追悼碑建立の経過が次のとおり、書かれている。
「1923年9月に発生した関東大震災の混乱のなかであやまった策動と流言蜚語のため6千余名にのぽる朝鮮人が尊い生命を奪われました。私たちは、震災50周年をむかえ、朝鮮人犠牲者を心から追悼します。この事件の真実を知ることは不幸な歴史をくりかえさず民族差別を無くし人権を尊重し、善隣友好と平和の大道を拓く礎となると信じます。思想・信条の相違を越えてこの碑の建設に寄せられた日本人の誠意と献身が、日本と朝鮮両民族の永遠の親善の力となることを期待します。
1973年9月 関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑建立実行委員会」

毎年9月1日に、この碑の前で関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典が行われる。日朝協会都連が事務局を務めてのもの。これに都知事からの追悼の辞の奉呈が慣例となっている。私も、昨年は参列した。今年も参加したいと思っている。

日本の植民地支配は歴史の汚点として率直に認め謝罪すべきが当然である。関東大震災時の軍民による朝鮮人に対する虐殺行為は、とりわけ恥ずべき歴史の1ページであるが、この事実を覆い隠そうとすることはさらに恥ずべき行為となる。まずは事実を知ることが繰り返さない第一歩。吉村昭『関東大震災』(文春文庫)と姜徳相著『関東大震災』(中公新書)の両書は日本人必読の書である。

右翼レイシストは、このときの自警団という名の日本人民衆が、無辜の朝鮮人(と中国人)に対して行った戦慄すべき残虐行為を認めたくない。その先頭に立っているのが、自民党の都議古賀俊昭。

本年(2017年)3月2日の東京都議会本会議において、古賀は、工藤美代子著「関東大震災 朝鮮人虐殺の真実」を論拠に、朝鮮人犠牲者の数がこんなに多いはずはないとして、次のように知事に質問した。

「小池知事は、昨年九月一日、同公園で行われた日朝協会が事務局を務める関東大震災犠牲者追悼式典に追悼の辞を寄せています。当組織の案内状には、六千余名、虐殺の文言があります。なお、この団体は、昨年は申請したようでありますけれども、過去、公園占用許可申請書を一度も提出することもなく公園を使用していたほか、都立公園条例で行為の制限条項により、改めて知事の許可を必要とする広告宣伝、物品販売を堂々と行っていました。
東京都を代表する知事が歴史をゆがめる行為に加担することになりかねず、今後は追悼の辞の発信を再考すべきと考えますが、所見を伺います。」「歴史の事実と異なる数字を記述した碑を、東京都の公共施設に設置・展示すべきではなく、撤去を含む改善策を講ずるべきと考えますが、知事の所見を伺います。」

これに対する小池の知事答弁は、次のとおり、かなり危ういものである。
「都立横網町公園におけます関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑についてのご質問でございます。この追悼碑は、ご指摘のように、昭和四十八年、民間の団体が資金を募集し、作成したものを受け入れる形で、犠牲者の追悼を目的に設置したものと聞いております。
大震災の際に、大きな混乱の中で犠牲者が出たことは、大変不幸な出来事でございます。そして、追悼碑にある犠牲者数などについては、さまざまなご意見があることも承知はいたしております。
都政におけますこれまでの経緯なども踏まえて、適切に対応したいと考えます。
そして、この追悼文についてでありますけれども、これまで毎年、慣例的に送付してきたものであり、昨年も事務方において、例に従って送付したとの報告を受けております。
今後につきましては、私自身がよく目を通した上で、適切に判断をいたします。」

「私自身がよく目を通して適切に判断」に注目せざるを得ない。これまでの慣例により毎年送付し続けてきた追悼文である。この慣例は、鈴木俊一も、青島幸男も石原慎太郎も、猪瀬直樹も舛添要一も従ってきたもの。

小池は、本来こう言うべきだった。
「犠牲者数についての議論は本質的なものではありません。傷ましい朝鮮人の犠牲があったことは確かなのですから、これを歴史の闇に葬ってはならないとするのが小池都政の基本方針です」。あるいは「これまで永年にわたって都民を代表する立場で継続してきた朝鮮人犠牲者への追悼文です。今さらこれをやめることは、却って大きな逆のメッセージを発信することになります。軽々にやめるわけにはいかないことをご了承ください。」

こう言わない小池答弁には、これまでの慣例見直しのニュアンスを含むものというほかはない。右翼勢力にも秋波を送って追悼文不送付もあり得るとのメッセージ。

いまや、小池百合子の一挙手一投足が問われている。その本質を問い質すとともに、大いに警戒しなければならない。
(2017年7月5日)

もしや都民ファーストの会は、国民主権を「傲慢な思想」ととらえてはいないか。

都民ファーストの会なる地方政党が、都議会で55議席を獲得して、第一党に躍り出た。アベ一強政治の禍々しさに嫌気をさした都民の気分を受けとめ、アベ離れ票の受け皿になることに成功したこの組織。実は正体不明のままである。本当に、自民の批判勢力なのか、アベ政治対抗勢力として期待しうるのか。その実態を明らかにしていかなければならない。出る杭は大いに打つべし。

都民ファーストの会のホームページを見ても、また、その綱領や政策を見ても、この集団が何を考え、何をなそうとしているのか、伝わってくるものはない。とすれば、この組織の中心に位置する人物像を探らなければならない。そのキーパースンは二人。小池百合子と野田数である。

小池百合子が、政界渡り鳥であり、日本会議につながる右翼思想の持ち主であり、核武装論者でもあることはこれまでも語られてきた。都知事としての議会答弁でも、日の丸・君が代強制容認論者であることを露わにしている。しかし、野田数のなんたるかについて語られていることは過小である。

野田は、都民ファーストの会の設立当初からの代表であり、今回都議選の選挙期間中だけは小池を代表として自らは幹事長となったが、選挙が終わってまた代表に復帰した。都民ファーストの会と、そして小池都政が、このスキャンダラスな人物の動向に影響されるであろうことは否定し得ない。

野田は、1期だけ都議を務めている。自民党公認で当選して、在任中に東京維新なる組織を作ってその代表となった。この東京維新が世間の注目を集めたことがある。日本国憲法無効論にもとづく、「大日本帝国憲法の復活確認を求める請願」に賛成票を投じたことである。

2012年、トンデモ請願が都議会に提出された。その表題は「『日本国憲法』(占領憲法)と『皇室典範』(占領典範)に関する請願」という。内容は、「現行日本国憲法が憲法としては無効であることを確認し、大日本帝国憲法が有効に現存することの決議を求める」という恐るべき請願である。

請願者は憲法無効論者である弁護士の南出喜久治ほか5034人。東京維新の野田と、これも札付きの右翼として名高い土屋敬之の二人が紹介者となったもの。

なお、南出喜久治は京都の弁護士。弁護士にもいろいろあることはご存じのとおり。あのお粗末稲田朋美だって弁護士なのだ。南出は、所属弁護士会から3度懲戒処分を受けた人。3回目は次のような懲戒事由だった。

「2006年3月に京都市内の女性から債務整理の依頼を受け、所有する工場を残すよう頼まれ着手金など300万円を預かったにもかかわらず、2007年7月に依頼を解除されるまで必要な対応をせず、預かり金などを返却しなかったとして、2013年1月28日、京都弁護士会から業務停止3か月の懲戒処分を受けている」(ウィキペディア)。こういう人物が提出した請願なのだ。

請願は、まず総務委員会の審議にかけられる。同年9月18日総務委員会速記録によれば、請願の要旨は、
(1)「憲法、典範、拉致、領土、教育、原発問題などの解決のために必要な国家再生の基軸は原状回復論でなければならないことを公務員全員が自覚すべきであるとする決議がなされること。」
(2)「占領憲法(日本国憲法)が憲法としては無効であることを確認し、大日本帝国憲法が現存するとする決議がなされること。」
(3)「占領典範(皇室典範)の無効を確認し、明治典範その他の宮務法体系を復活させ、皇室に自治と自律を回復すべきであるとする決議がなされること」
の3点だという。

(1)は意味不明。(2)(3)はネトウヨ論法。現行憲法は占領軍の押しつけ憲法だ⇒だから無効⇒だから今だに大日本帝国憲法が有効に存在しているのだ。という「論理」。公の場では恥ずかしくて口にできない代物。これが、紹介議員を得て都議会に出てきたのだ。

共産党の吉田信夫委員が、正鵠を射た弾劾の意見を述べている。
〇吉田委員 「日本国憲法と皇室典範に関する請願について、一言意見を表明いたします。
本請願は、そもそも現行憲法及び皇室典範は無効であるとの認識を前提とし、大日本帝国憲法、明治典範が現存するという極めて特異な考えによるもので、その考えを都議会も認めよというものです。
しかし、先ほどの説明にもあったとおり、質問主意書への中曽根内閣の政府答弁でも、日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正手続によって有効に成立したものであって、その間の経緯については、法理的に何ら問題ないとしており、無効論は成り立ちません。
憲法にうたわれた戦争放棄、主権在民などの諸原則は、決して一方的に押しつけられたものではなく、侵略戦争への深い反省に立った日本国民の願いを反映したものであり、世界の流れを反映したものです。
にもかかわらず、驚くべきは、請願者が、我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄してと、強調していることです。このような主権在民を否定し、時代を戦前に逆戻しさせるかの主張は、到底見過ごすことはできませんし、この請願に紹介議員となった二名の都議(野田と土屋)の良識も問われるものです。よって、本請願は不採択を求めるものです。

総務委員会では全会派の反対で不採択とすべき旨の議決がなされ、2012年10月4日の都議会本会議でも東京維新の会所属の3名と土屋の計4名が賛成に回ったものの、民主・自民・公明・共産・生活者ネット各党などの反対により不採択となった。
この点は、翌日(2012年10月5日)の赤旗が次のように報じている。

「大日本帝国憲法復活請願 『東京維新の会』が賛成」
「橋下徹大阪市長の『日本維新の会』と連携し、9月に結成した都議会新会派『東京維新の会』(民主・自民を離党した3人で構成)は4日の都議会第3回定例会最終本会議で、現行の日本国憲法を無効とし、戦前の『大日本帝国憲法』の復活を求める時代錯誤の請願に賛成しました。請願は日本共産党、民主党、自民党、公明党、生活者ネット・みらいなどの反対で不採択となりました。
請願は、天皇を元首として無制限に権力を与え、国民を『臣民』として、自由と権利を抑圧した大日本帝国憲法を美化。『我々臣民としては、国民主権という傲慢(ごうまん)な思想を直ちに放棄』して、日本国憲法を無効とし、大日本帝国憲法は現存するとの都議会決議を求めています。」

「また、東京維新の会は、都内在住外国人への生活保護支給の減額・廃止を求める陳情に賛成しましたが、反対多数で不採択となりました。」

この東京維新の代表が、野田数なのだ。「『我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄』すべきとして、憲法無効論に基づく大日本帝国憲法の復活確認を求める請願に賛成票を投じた」この人物が、いまは都民ファーストの会の代表である。これが、小池百合子のもっとも信頼する同志なのだ。

小池チルドレンと言われる皆様方よ。あなた方の政党の代表が、かような人物であることをご存じなのだろうか。
(2017年7月3日)

都議選・自民党の歴史的大敗はアベ政治の墓標だ。

都議選の開票が進んでいる。
自民党は、歴史的大敗である。負けたのはアベ様ご一統。「アベのアベによるアベのための政治」あるいは、「トモダチのトモダチによるトモダチのための政治」に、国民の批判が沸騰した。都民は国民を代表して、アベ自民に「ノー」を突きつけたのだ。

前回59人の立候補者全員を当選させた自民が、今回選挙では23議席。そのマイナス36議席。アベ政治の完敗であり惨敗であり総崩れであり、凋落というほかはない。

アベ政治は、株価に支えられた政治との思い込みがあった。財政を株式市場に投じて無理矢理株価を上げて景気の高揚を演出することで、虚構の支持率を保持している底上げ政権。いずれ株価の下落とともに、アベ政治も終わるであろうはかない運命。しかし、裏を返せば株価が下落ぬかぎりは、しぶとく命脈を保つ政権ということでもある。

それが、株価の下落より先に、アベ自民が大逆風に見舞われたのだ。自業自得とはいえ、この現実は予想をはるかに超えるものとなった。

これまでも、世論調査での安倍政権支持の理由は「ほかよりマシだから」。消極的支持でしかなかった。少しのきっかけで、驚くべき奔流が堤防を決壊させる。

これは、アベ自民にお灸というレベルではない。国民がアベ自民を見限ったというべきだろう。「謙虚に選挙結果を受けとめる」のなら、アベ退陣しかあり得ない。

選挙期間の最終日、初めて安倍晋三が秋葉原の街頭演説に顔を出して、盛大な「帰れコール」を浴びた。そして「アベやめろろ」コールも沸き起こった。これがこの選挙のハイライト。状況を象徴するできごと。

安倍の応援を受けたのが、千代田区(定員1)自民公認の中村あや候補。みごと大差で落選している。アベの応援は、足を引っ張るだけだったようだ。

その中村のツィッター。開票前と後。
「最終日午後は秋葉原にて安倍総裁はじめとした多くの国会議員の先生方から激励をうけ、最後の思いを述べさせていただきました。その後マイク納めし、夜は半蔵門駅で最後のご挨拶。選挙戦、悔いはございません!皆様明日は投票へ! 」

「先程の会見でお世話になった先生方に恨み節を言ったかのような変な切り取られ方をしましたが、反論します。”今の国政どう思うか”という質問の答えの中で”…党問わず公人なら国民の代表者としての意識をもたなければならない。…脇が甘い”と言っただけで敗因を押し付けたりしていません。」

「脇が甘い」とはよく言った。しかし、アベ様ご一統、脇が甘い程度ではなかったのだ。

それにしても、都民ファーストの会の票の出方には驚く。風は恐い。明日はどちらに吹くのやら。

共産党が、都ファに埋没せず、前回17議席を今回19議席に増やしたことは欣快の至り。

我が文京区(定数2)の開票結果は、以下のとおり。
当 増子博樹〈元〉 42,185票 43.96% 都フ
当 中屋文孝〈前〉 26,997票 28.13% 自民
次 福手裕子〈新〉 26,782票 27.91% 共産

共産候補は200票差での次点。28%の得票率での落選。無念というほかはない。

最大の関心事は、この選挙結果が改憲策動にどう影響するかという点。レームダック同然のアベの号令で、自公連立が改憲を急ぐなどということは常識的にあり得ない。また、沖縄の県民いじめに居丈高となることもできまい。

残念な面も多々あるものの、ひとまずは胸をなで下ろした開票結果。
(2017年7月2日)

天下分け目の秋葉原に、「アベやめろ」コールの嵐。

7月1日である。安倍内閣が集団的自衛権行使容認の閣議決定をしたあの日からちょうど3年。両院で「底上げの絶対多数」を握った自公与党と、これを閣外から支えた維新。その非立憲勢力が暴走してトンデモ政治状態が続いたこの3年。ようやくにして、これに歯止めが必要との風が吹き始めている。

明日(7月2日)が、注目の東京都議会選挙。本日が、その選挙期間の最終日である。今日までは、ブログでの選挙運動が可能だ。そして、ブログの記載を消す必要はない。だから、しっかりと書いておきたい。

なによりも、アベ一強政治の暴走をストップさせなければなりません。あなたが、平和や民主主義や暮らしを大切にしたいと願うなら、決して自民党に投票してはなりません。そして、衣の下に鎧が見える、自民党と同類の都民ファーストの会にも、です。都知事・小池百合子、なんの実績もありません。なんの理念も、なんのビジョンも。ただ、風を読み、風に乗るだけの節操のない人。

さらに公明党。国政では自民党の下駄の雪となり、腹心の友ともなってともに悪政を推進し、自民党劣勢と見るや手のひらを反して都政では小池と組もうという、これも節義・節操に欠けること甚だしい。何をやりたいのか、政治の理念を語ることがあまりにも少い。

真っ当な政治を取り戻すために、ぜひとも日本共産党の諸候補への投票をお願いいたします。文京選挙区では、共産党公認の福手よう子が厳しい闘いを繰り広げています。ぜひ、当選させてください。

なお、共産党都委員会のホームページは以下のとおり。
http://www.jcp-tokyo.net/
共産党の公認・推薦候補一覧は以下のURL。
http://www.jcp-tokyo.net/profile/list.html
そして、福手ゆう子のサイトは以下に。
https://twitter.com/yukofukute
https://twitter.com/yukofukute
http://yufukute.exblog.jp/

文京区の選挙情勢は、全体の政治状況を象徴している。
都議の定数は2。この2議席を、これまで自民・民主・共産の3候補が、熾烈に争ってきた。順位が入れ替わって勝敗の明暗が変わる。前回選挙では、自民と共産が勝って、民主が落ちた。

今回は、前回民主党公認候補として出馬し落選した増子博樹が、今度はタスキの色を変えて、都民ファーストの会から立候補する。鳩山邦夫秘書から民主党議員を経て、都ファに鮮やかな転進。4年前前回の民主基盤の得票は1万7500票。その大半は期待できないだろう。公明票の基礎票と、小池支持の風の上積みを期待する。公明党は自党の候補者を擁立する力量はない。どの候補にでも、票をとりまとめることができるのが、この宗教政党独特の「強み」。

自民前職で立候補するのが、中屋文孝。東京都議当選3回で、前東京都議会警察・消防委員長、自民党東京都第18代青年部長という肩書。前回選挙では追い風吹いて、2万8400票とダントツのトップだった。今回は、確実に公明票が離れる。安倍政治への逆風が批判票として離れる。

前回の共産候補は3期目の小竹紘子で1万9700票だった。今回は民進党と争わない。民進党区会議員の中には公然と福手応援者が出ている。社民党・自由党・革新無所属などの支援もある。自民離れ票も期待できる。メディアは福手有望とは書かないが、新人の福手にバトンタッチがうまくいけば、十分に当選の目はある。

ところで、昨日の当ブログで、「明日、新たに檜舞台に躍りでる『戦犯』は誰だろう。楽しみでならない。」と書いた。新しい名前はでなかったが、選挙運動最後の日の「戦犯」の任務は、本命のアベ・シンゾー本人が本領発揮して立派に務めた。さすが、シンゾー。

朝日.comでは、「首相演説に『「辞めろ』『帰れ』の声 都議選で初の街頭に」「首相街頭演説に籠池氏現る 『100万円返金したい』」とのタイトル。

私は近所にいながら、現場を見ていない。臨場感あふれるリテラの記事を引用する。

『駅前を覆い尽くす政権批判のプラカード、そしてものすごい音量の「安倍やめろ」の声──。安倍首相は本日16時から秋葉原駅前で行われた都議会選の応援演説に登壇したが、自民党候補の応援どころではなく、国民の激しい批判の声にさらされる結果となってしまった。
「安倍やめろ」コールは自民党陣営の演説スタートまもなくからはじまった。聴衆からは安倍政権を批判するさまざまなプラカードが掲げられ、「安倍やめろ」と書かれた大きな横断幕まで登場。それを自民党スタッフは「自民党青年局」の幟を並べることで隠そうとするなど必死に。他方、駅前にはあの籠池泰典・前森友学園理事長夫妻まで登場するなど、演説会はまさにカオス状態となった。
そして、安倍首相が16時40分ごろに演説カーに登ると凄まじいブーイングと「帰れ!」コールが噴出。安倍首相がマイクを握ると、支持者らが拍手を送るも、より強くなった激しい「帰れ!」「安倍やめろ!」の声に掻き消されたのだ。
この国民の批判が殺到する事態に、しかし、安倍首相は反省するどころか逆ギレ。なんと聴衆を指差しながら「演説を邪魔するような行為」「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と叫んだのだった。
国民の批判の声に陰謀論丸出しで“演説妨害”と決め付けるというのはいかにも安倍首相らしいが、しかしいくら話をスリ替えようが、負け惜しみを言おうが、安倍首相にとって、こうした批判を浴びせかけられる絵ができあがってしまったことは大誤算だったはずだ。この都議会選で安倍首相は2度、応援演説に参加したが、どちらとも街頭ではなく小さな屋内の会場だった。これは批判のヤジがあがることを見越し、声があがりづらい屋内を選んだことは明白。だが、にもかかわらず、会場からはヤジが飛ぶ結果に。』

秋葉原は、右翼の結集地でありアベ支持勢力にとってのメッカである。2012年暮れのアベ政権樹立となった総選挙の最終日には、ここに日の丸と旭日旗が林立した。都内で、安倍が街宣に顔を出すとしたらここしかないはず。それがこの結果だ。天下分け目の秋葉原になるやも知れぬ印象。さあ、明日が選挙だ。
(2017年7月1日)

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