澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

速報が出る度もしや「アベ逮捕」

昨日(7月4日)の毎日新聞仲畑万能川柳欄に、刺激的な一句。
速報が出る度もしや「安倍辞任」 (秦野・たっちゃん)

明けての今日(7月5日)なら、こうでなくてはならない。
速報が出るたびもしや「アベ逮捕」 (よみびと知らず)

昨日現職の文科省局長が、受託収賄の容疑で逮捕されたというのだ。この容疑、どこかで聞いたことがあるような…。日本中で、「もしやアベ逮捕」の期待が高まったとして少しもおかしくない。近畿財務局や佐川理財局長の訴追には鳴りを潜めていた特捜が、今回ばかりはえらく張り切っている。裏があるやらないのやら。難波の仇を江戸で討つのおつもりか。

局長逮捕の被疑事実は「請託をうけて、『(A)東京医科大を文部科学省の私立大学支援事業の対象に選定するという便宜を図る』見返りに、『(B)被疑者の子どもを医科大学に不正入学させてもらった』」ということのようだ。『(A)公務員の職務権限行使』の見返りに、『(B)賄賂の収受』が行われたという、(A)と(B)と、「(C)両者の関連性(見返りに)」の存在が、単純収賄罪成立の骨格である。「請託をうけて」という加重要件が加われば、受託収賄罪として法定刑が重くなる。

誰もが連想する。「もしやアベ逮捕」はあり得ないのか。首相とて公務員である。ロッキード事件では田中角栄が受託収賄で起訴され、1・2審とも有罪判決となった。もっとも、上告中に田中は死亡し、公訴棄却で終わっているが、首相の収賄罪も成立するのだ。検察にやる気さえあれば。

アベの犯罪成立のためには、「『(A)腹心の友が経営する学校法人加計学園の獣医学部設立の要望実現に最大限の便宜を図る』見返りに、『(B)加計学園側から被疑者(アベ)本人に対して賄賂(「人の欲望を満たすに足りる何らかの有形無形の利益」)が提供されてこれを収受した』」ということが必要になる。

誰の目にも(A)は明らかと言ってよかろう。では、(B)の賄賂の収受はどうか。これはことの性質上、表だって人目に付くことではない。必ず裏で行われることだが、その端緒が見えないわけではない。たとえば、アベとの付き合いについて、加計孝太郎はしばしばこんな話を周囲に漏らしているという。
「安倍総理とゴルフに行くのは楽しいけどお金がかかるんだよな。年間いくら使って面倒見てると思う?」(週刊新潮17年7月20日号)

「年間いくら使って面倒見てると思う」かって? そりゃ知りたい。教えていただきたい。是非とも、国会の証人尋問でしゃべっていただきたい。あるいは、特捜の捜査に資料を提供していただきたい。ゴルフ接待、会食接待を調べるところから、賄賂収受が見えてくるだろう。

「魚は頭から腐る」。このごろ、よく聞く。ロシアの諺だというが、なるほど霞が関の腐り方を言い得て妙である。首相が腐り、大臣が腐り、次官が腐り、局長が腐ってきたのだ。上からの腐りが局長まで及んだのに、局長だけが逮捕されて、大臣や首相が安閑としておられるのがおかしいし面白くない。

速報が出る度に、もしや「アベ逮捕」と期待してもよいはずではないか。アベ責任追求の世論がさらに沸騰し、検察にやる気があれば、の話だが。
(2018年7月5日)

私が出会った弁護士(その1) ― 津田騰三

私が弁護士という職業人を初めて目にしたのは18歳の春のこと、その弁護士は津田騰三と言った。戦前「ひとのみち教団」に対する弾圧事件を担当した弁護士。戦後は、免田事件や徳島ラジオ商事件の再審を手がけ、日弁連人権委員長としても活躍された。

私は、「ひとのみち教団」の後身であるPL教団が経営する高校を卒業して大学受験のために上京していた。そのとき、宿泊していた教団の施設でこの人と会話するする機会があった。およそ、知識人としての雰囲気とはほど遠い人だった。

ひとのみち弾圧事件とは、天皇制政府による国家神道教義(天皇神格化教)と相容れない宗教弾圧の一典型であって、不敬罪が弾圧法規となった。教義が不敬というのである。

高校時代週一度の「宗教の時間」があって教団史を学んだ。ひとのみち教団がどんなに理不尽な弾圧を受けたかについての説明はビビドで印象に深い。言いがかりとしか言いようのない姑息な手口を駆使した特高警察や思想検事、そして天皇の裁判所には憤りを覚えた。

古参の教団幹部が語る弾圧事件の顛末の中に、若き弁護士津田騰三の名があった。教団への功労者として記憶されれた人だったが、どんな弁護方針をとったかについてまで語られるところはなかった。おそらくは、不敬罪と闘ったのではなく、教団や教義がいかに天皇制に従順であるかを強調したのだろう。教団の教組であった被告人は、忠良なる臣民で、いささかも天皇を最高神とする思想に背くところはない。不敬の廉は甚だしい誤解であり心外この上ない、という弁護活動。

そんな弁護方針ではあっても、当時、不敬罪被告事件弁護の受任は大きな覚悟が必要であったろう。その覚悟には敬意を表しなければならない。

津田弁護士は、教団の幹部とも言えない私の父を知っている風だった。「あんたのお父さんは、ずいぶん酒がいける口だそうじゃないか」「ええ。本当かどうか怪しいものですが、若いころには一晩で2升空けたこともあるなんて言っています」

津田さんは、ちょっと横を向いて、ぼそっと一言。「一生(一升)で二升飲む人もいるか」

この人の話は、とりとめのないことが多かった。「一生で二升飲むか」という語り口。「学生時代は勉強なんかしなかった。私は相撲ばかりやっていた。それでも、卒業すれば弁護士になれた時代で有り難かった」「憲法なんかろくに知らなかったけど、戦後すっかり変わったから、余計な勉強しなくて正解だった」

その後何度かお目にかかる機会があった。確か、徳島ラジオ商殺し事件で何次目かの再審請求が却下となったころ、短時間ながら印象に残る話しを聞いた。まだ、私は弁護士になろうなどとは考えていない学生だった。

私は、こんな風に質問したと思う。「冤罪と言われる事件の訴訟の記録は膨大だと思うのですが、誰が読んでも無罪だと分かるものですか」

これに答えて、津田弁護士かく語りき。
「冤罪といわれる事件でも、訴訟記録は有罪立証に十分の体裁が整えられている。まあ、誰が読んでも有罪だろうと思うように上手にできているものさ。少しでも立証に欠けるところや怪しいところがあれば、それは冤罪ということだ」

そのときはよく分からなかった。有罪には有罪の証拠があり、無罪なら無罪の証拠があるはずではないか。有罪立証に欠けるところがあったとして、限りなく黒に近い灰色というだけで冤罪というわけではなかろう。漠然と、そんなふうに反論したいような気分だった。

今にして分かる。刑事事件とは、飽くまでも無罪が推定される。検察官が被告人の有罪を、「合理的な疑いを入れない程度にまで」立証して初めて有罪。それができなければ無罪なのだ。有罪か無罪かのどちらか。その中間の灰色の世界はない。

6月11日の袴田巌さんについての、東京高裁(大島隆明裁判長)再審開始取消決定。「推定無罪」も、「疑わしきは被告人の利益に」の原則もない。津田さんに言わせれば、「有罪立証に十分の体裁は上手に整えられてはいる」「でも、少しでも立証に欠けるところや怪しいところがあれば、それは冤罪」なのだ。

大島隆明決定は、袴田さんの有罪確定判決を覆した静岡地裁決定で採用された本田克也・筑波大教授によるDNA鑑定手法に疑義を呈した。「研究途上の手法で有効性には重大な疑問が存在する」としたうえで「手法を過大評価した地裁決定は不合理」と結論づけている。これは決して「合理的な疑いを入れない程度にまで」有罪の立証ができたとしていることにはならない。ならば、冤罪として再審開始決定をなすべきではないか。他にも、「有罪立証に欠けるところや怪しいところ」はいくつもある。

改めて津田騰三弁護士の飄々とした風貌を思い出す。この人の刑事弁護士としての大局観の正しさを反芻している。1971年私が弁護士となってからは殆ど接点はないまま、1982年に亡くなられた。
(2018年6月21日)

「特捜のほんとうの顔」は、「忖度捜査」の顔なのか。

1997年刊の岩波新書の一冊に「特捜検察」がある。著者魚住昭の思い入れたっぷりの内容で、特捜部への評価が過ぎるのではないかとの危うささえ感じさせる。

その魚住も書中に、「その一方で、彼らは突然、別の顔を見せることもあった。たとえば東京・町田市で起きた共産党幹部宅の盗聴事件。特捜部は87年夏、神奈川県公安一課の組織的犯行だったことを突き止めながら、実行犯の警察全員の起訴を見送った。…… 真実を追求してやまない捜査官気質と、時に政治的判断と組織防衛を優先させる官僚的体質。いったいどちらが、彼らのほんとうの顔なのだろう。私はときどき、考え込むようになった。」と記している。

「特捜のほんとうの顔」は誰しも知りたいところ。今、多くの人が、特捜のほんとうの顔をこう見ている。本日(6月10日)の毎日新聞投書欄に、「“忖度捜査”だったのか=無職・安達善一・70」の投稿。大阪府富田林市の人。もしかしたら、昔袖すり合っているかも知れない。

 森友学園への国有地売却を巡る一連の問題で虚偽公文書作成、背任などの容疑で捜査していた大阪地検特捜部は、財務省理財局長だった佐川宣寿氏ら全員を不起訴処分とした。全く裏切られた思いだ。任意捜査であることに当初から疑問を感じていたが、「結局、そういうことか」と。官邸、財務省への“忖度(そんたく)捜査”だったのなら、検察も同じ穴のむじなというべきか。

 神戸製鋼所による品質検査データ改ざん問題では東京地検特捜部が5日、不正競争防止法違反容疑で強制捜査に乗り出した。かたや民主主義を揺るがす公文書の改ざんであり、更に国会で堂々とうそを重ね、しらを切り、それでいて家宅捜索もなく、結論は「おとがめなし」。この違いはどこから生まれるのか。

 私たちの国有財産の不適切極まりない処分を許すことは不条理ではないのか。一人の担当者の命を奪った理不尽な事態に切り込む検察であってこそ、その存在価値がある。諸悪の根源に迫る検察であってほしい。

「結局、そういうことか」と、今誰もが、検察・特捜を見ている。官邸、財務省への“忖度捜査”だったのだ。そうして、「政治的判断と組織防衛を優先」させたのだ。魚住は飽くまで、「時に」政治的判断と組織防衛を優先させる…と言った。官僚的判断は「時に見せる別の顔」であって、ほんとうの顔は「真実を追求して言ったまない捜査官気質」にあると言いたいのだろう。

しかし、ここしばらく、特捜が巨悪を追い詰めたという話しを聞かない。アベ政権の悪だくみを徹底して追求するかと思えば、腰砕けの“忖度捜査”だ。忖度捜査とは、政権の顔色を窺っての「捜査した振り」のことだ。

もう、時の経つ内に、忖度捜査の顔こそが特捜の「ほんとうの顔」になってしまったのではなかろうか。
(2018年6月10日)

佐川宣寿証人の証言を、議院証言法違反で問い得るか。

先週の4泊5日韓国ピース・ツアーの間に、仕事が滞溜した。新聞や郵便物も山積みになった。この浦島太郎状態からようやく日常のペースが戻ってきた。

3月27日衆参予算委員会における佐川宣寿証人の喚問記録も拾い読みして、何とか浦島症状から覚醒した感がある。次は連休明けの沖縄の旅が待ち遠しい。

さて、佐川宣寿証人喚問の議事録を読んで、思うところを整理してみたい。

民事法廷での証人尋問で、その証人に対して証人自身の刑事責任に関する証言を求められることは考え難い。刑事事件においても、宣誓した証人に、証人自身を犯罪者とする証言を求めることは稀有なことであろう。要するに、証人とは、民事にせよ刑事にせよ、自分の責任とは関係のないことについて聞かれることが原則なのだ。

ところが、議院証言法による証人喚問は、純粋の証人として他人の責任に関しての証言を期待されているのではなく、自身の責任を追及される立場の「証人」が多い。刑事訴訟の感覚から言えば、証人であるよりは「被疑者・被告人」の立場に近い。そのため、法廷ではめったにない、証言拒否が濫発されることになる。刑事法廷では、訴追されている被告人が宣誓して供述することはない。

憲法38条1項は、「何人も、自己に不利益な供述を強制されない」と定める。黙秘権として知られるが、合衆国憲法の自己負罪拒否特権の移入だとされる。なんびとも、自白を強制されることはない。捜査のあり方についての憲法原則でもあるが、何よりも被疑者・被告人の人格尊重の大原則でもある。

議院証言法は、議会の国政調査権を実効あらしめるために、誰に対しても証人として議会に出頭を求め、宣誓のうえ真実を語るべく義務付けをなしうる制度を作った。しかしこれには、自ずから人権原理からの制約や限界があることになる。法は証人に、一般的に真実を語るよう義務づけはできても、自己負罪拒否特権までを奪うことはできない。

すると、証人の偽証や証言拒否について、議院証言法違反で訴追できるかは、次のように考えを整理することができるだろう。

第1 原則(「国政調査権を実効あらしめる」「国民の知る権利を実現する」趣旨)
☆第1条(出頭・証言義務) 各議院から、議案その他の審査又は国政に関する調査のため、証人として出頭及び証言…を求められたときは、…何人でも、これに応じなければならない。
☆第6条(偽証) この法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3月以上10年以下の懲役に処する。
☆第7条(出頭・証言拒否) 正当の理由がなくて、証人が出頭せず、…又は証人が宣誓若しくは証言を拒んだときは、1年以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する(併科も可)。

第2 制約(「人権原理にもとづく限界」「三権分立の制度の趣旨からの制約」)
☆第4条1項(自己負罪拒否特権=憲法38条1項「何人も、自己に不利益な供述を強制されない」にもとづく免責規定) 証人は、自己…が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるときは、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。
☆第4条2項(業務に対する信頼保護の要請に基づく免責規定) 医師・弁護士・宗教者…は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、宣誓、証言又は書類の提出を拒むことができる。ただし、本人が承諾した場合は、この限りでない。
☆第5条 (公務の秘密保護の要請に基づく免責規定) (略)
☆第5条の2(特定秘密保護の要請に基づく免責規定) (略)

第3 各議院の告発手続(院の自律性と刑事司法権との関係)
☆第8条 各議院若しくは委員会は…証人が前2条(偽証、出頭・宣誓・証言拒否)の罪を犯したものと認めたときは、告発しなければならない。
☆8条2項 (議院ではなく)委員会…が前項の規定により告発するには、出席委員の3分の2以上の多数による議決を要する。
☆判例上親告罪であり、告発の権限は各院・委員会だけにある。(各院の自律権尊重の立場からの立法)
*検察が独自の判断で捜査・起訴はできない。
一般国民の告発による捜査・起訴もできない。

第4 実践的に
☆第6条(偽証)については、これを免責する根拠はいささかもない。
*偽証とは、「証人が自己の記憶に反することを述べること」(主観説)であるが、客観的事実との矛盾を積み上げて、推認するしかない。
*「官邸の指示なし」「昭恵夫人の影響なし」などの部分が問題になるだろう。
☆第7条(出頭・宣誓・証言拒否)
*まさしく、正当の理由の有無が問題となる。自己負罪の可能性を認めた趣旨であれば、「正当な理由ない」とは言いにくい。(反面、文書改ざんについての犯罪の成立が事実上推定されることになりうる。)
*むしろ、「刑事訴追を免れるためでない」別の偽証の動機を積み上げることが、重要であろう。
☆佐川証人が証言拒否なら、真相を明らかに出来る他の証人を喚問しなければ、国政調査権は全うできない。
(2018年4月4日)

未決勾留428日の民商職員に、一審有罪破棄(差戻し)の控訴審判決

かつては、松川事件・三鷹事件、菅生事件、白鳥事件、メーデー事件等々の大型「刑事弾圧事件」があった。過半は、権力による謀略事件である。しからずとも、公権力が政治的意図をもって、政治活動や市民運動に打撃を与えるための刑事訴追。逮捕・勾留・捜索・差押え、そして起訴、有罪判決執行までがフルコースだ。

最近は少ない。が、もちろんなくなったわけではない。隙があれば、権力とは牙を剥くもの。私はそう思っている。労働争議への介入、選挙弾圧、集会やデモへの過剰な取締り、そして民主運動諸団体の活動掣肘を狙った刑事事件のでっち上げ。

そのような現在進行中の刑事弾圧事件の典型として、岡山倉敷民商(民主商工会)弾圧事件がある。
その倉敷民商職員に対する、「法人税法違反幇助・税理士法違反」被告事件の控訴審判決で朗報がはいった。一審の有罪判決を破棄して、地裁に差し戻す判決。無罪判決ではないが、無罪に道を開いた判決である。

「山陽新聞」(電子版)の第一報が次のとおり。
「高裁支部 一審破棄差し戻し 倉敷民商職員脱税ほう助
建設会社の脱税を手助けしたなどとして、法人税法違反ほう助などの罪に問われた倉敷民主商工会(倉敷市)事務職員禰屋町子被告(62)の控訴審判決で、広島高裁岡山支部は(1月)12日、懲役2年執行猶予4年とした一審岡山地裁判決を破棄、審理を同地裁に差し戻した。
判決理由で長井秀典裁判長は、一審で鑑定書として証拠採用された広島国税局財務事務官の報告書について『一審が鑑定書に当たるとして事実認定に用いたのは違法。判決に影響を及ぼすことが明らかな手続きの法令違反がある』とした。」(2018.1.12)

一審判決の決め手とされた証拠が、証拠能力のないものとして排斥されたのだ。禰屋さんが、無罪となる可能性はきわめて高い。

この広島国税局財務事務官の報告書については、次のように問題にされていた。
「岡山・倉敷民商弾圧事件・禰屋町子さんの控訴審初公判が(2017年)10月27日、広島高裁岡山支部で開かれました。長井秀典裁判長は、『国税査察官報告書』を鑑定書扱いした一審判決に疑問を投げかける『意見書』を証拠採用しました。裁判の流れが大きく変わる可能性も指摘されています。裁判所が証拠採用したのは、立命館大学大学院法務研究科の浅田和茂教授が刑事法学の観点から検討した『意見書』。岡山地裁判決が『鑑定書』として扱った国税査察官報告書について『必ずしも特別の専門的知識を用いたものとはいえない』とした上で、『査察官は訴追者そのものであって第三者としても鑑定人とはいえない』と指摘。さらに『たとえ書面の内容が鑑定にあたり査察官が第三者に当たるとしても、他の査察官の報告書の利用は再伝聞であって、そのままでは証拠能力を有しない』と断定しています。」(全国商工新聞2017年11月13日号より)

2017年3月3日禰屋裁判の不当判決に対する国民救援会の抗議声明の中に次の言葉が見える。
「禰屋町子さんは本来無罪であり、この事件の真実は、憲法が保障する納税者の自主申告権にもとづき運動をすすめる民主商工会への弾圧である。
禰屋さんは428日間勾留され本犯の建設会社の社長は逮捕も勾留もされず追徴課税があったかも明かされていない。」

また、下記は一審判決以前に書かれた、「週刊金曜日」の解説記事(抜粋)である。筆者は成澤宗男さん。

「逮捕者は428日も勾留――不可解な公安『倉敷民商』捜索
確定申告の際、申告者が作成した決算書の数字を税務ソフトに入力するといった手伝いをしただけで民主商工会(民商)の女性事務局員が脱税がらみの「法人税法違反容疑」等で逮捕・起訴され、しかも当の申告者が逮捕も勾留もされていないのに、何と約1年2カ月間(428日)も勾留される――。こんな異様な事件が、岡山地裁で審理中だ。

この女性は、倉敷民商の事務局員・禰屋町子さん。事件の発端は2013年5月21日、岡山県倉敷市の民商事務所に広島国税局が、当時会員だった建設会社社長夫妻の「脱税容疑」と称して捜索に入ったこと。禰屋さん宅も捜索された。

禰屋さんの容疑は、建設会社の経理担当者の指示に従い、単にパソコンの会計ソフトの入力作業や振替伝票の作成を行なったことが脱税(法人税法違反)を「幇助」し、さらに資格がないのに税理士の業務をした(税理士法違反)というもの。だが、家宅捜索で押収された164点の書類中、この建設会社関連のものはごくわずかで、大半が容疑と関係のない倉敷民商の会議議事録や会員の名簿、スケジュール表といった組織の内部資料で占められていた。

しかも、この種の経済事件とはまったく管轄外のはずの岡山県警公安部は翌2014年1月21日、禰屋さんを「法人税法違反」で逮捕したのに続き、2月には「税理士法違反」で再逮捕。だが、脱税当事者であるはずの建設会社社長夫妻は後に在宅のまま懲役1年6カ月・執行猶予付きの有罪判決が確定したものの、1日も勾留されず、なぜか広島国税局の捜索すら受けていない。

つまり、形式上脱税事件の「主犯」を単に「幇助」した立場の禰屋さんが、「主犯」が免れた国税局の捜索や勾留を強いられた上に、勾留日数も428日にも及ぶという異常な事件だ。さらに検察側は肝心の建設会社の脱税に関し、現在まで重加算税が課せられたのかどうかの事実すらも明らかにしていないという不自然さだ。弁護側は、「禰屋さんが一貫して容疑の否認を貫いたため、裁判所が事実上の制裁を課した人権侵害だ」と抗議している。」

「かりに民商側の行為が違法でも通常は反則金等の行政罰で足りるケースだ。それを管轄外の公安警察が捜索し、「主犯」でもない逮捕者を長期勾留するのは、「中小企業会員の『自主計算・自主申告運動』を続けてきた民商に対する、権力の弾圧」(須増事務局次長)と批判されても仕方ないだろう。」

禰屋さんの428日間の勾留は、有罪判決を前提とした刑の執行の前倒しにほかならない。禰屋さんが無罪判決を受けたとする。無実の者が、確定判決もないままに428日間もの自由刑の執行を受けて、自由を失ったことになる。この自由の喪失は、取返しがつかない。

昨年(2017年)7月31日に逮捕され、以来半年になろうとする長期勾留中の籠池夫妻の場合も同様だ。私たちは、政権の意向を忖度した近畿財務局の関係者の8億円値引きが背任に当たるとして告発した。この公務員らの背任こそが主たる犯罪で、籠池の補助金詐欺容疑はこれに付随する微罪というべきものだろう。

にもかかわらず、近畿財務局の関係者には何のお咎めもなく、籠池側は逮捕されて半年間の勾留。独房の中で年越しを余儀なくされた。このような事件では、もっと柔軟に保釈の活用あってしかるべしである。そうでないと、裁判所までが弾圧事件に加担していることになる。
(2018年1月15日)

本件では瑕疵担保責任は生じないー森友学園への土地譲渡に代金値引きの理由はない。

 森友学園事件も加計学園事件も、うやむやのうちに幕引きをしてはならない。徹底した追求が必要だ。世論もメディアも矛を収めてはならない。国会も会計検査院も本気にならねばこの国は腐ってしまう。そして、最後の切り札が刑事司法。そろそろその出番ではないのか。

そんな問題意識で、本日(11月22日)醍醐聡さん以下の「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」有志が、近畿財務局長を背任で告発した。告発状は以下のとおり。

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 発 

2017年11月22日

東京地方検察庁 御中

 

告発人   醍醐聰以下別紙告発人目録に記載のとおり

 

被告発人  美並義人(財務省近畿財務局長)

 

告発人ら代理人弁護士 澤藤統一郎

同          澤藤 大河

同          杉浦ひとみ

 

第1 本件告発の概要と背景事情

1 本件は、いわゆる森友学園事件の一連の経過における疑惑の一端について関係者の刑事訴追を求めるものである。

森友学園事件は、我が国の最高権力者の行政私物化を象徴する事件として、国民から徹底的な疑惑解明を切望されているにもかかわらず、説明責任を負う行政が政権に対するおもねりの故に事実の隠蔽に終始して全容の解明にはほど遠い実情にある。疑惑の中心にある安倍晋三首相とその夫人の疑惑解明への熱意も乏しい。このままでは、いくつもの疑問を残したまま疑惑解明に幕が下ろされるのではないかと危惧せざるを得ない。

この事態において、告発人らは行政から独立し、不偏不党の立場にあって一切の忖度や行政からの介入に無縁の存在としての刑事司法に疑惑の全容解明を期待して、本告発に及ぶものである。

2 森友学園をめぐる一連の疑惑の核心は、学校法人森友学園が小学校建設予定地とした国有地の極端な低額譲渡にある。この国有地の極端な低額譲渡は、必然的に当該国有財産の管理担当官の国に対する背信行為の存在を疑わしめ、背任罪の成否解明を必要とする。

具体的には、国有財産法や財政法に定められた、国有財産を適正に管理し、これを譲渡する場合には客観的に適正な価格を以てするよう職務上の義務を負う近畿財務局担当官の背任罪の成否である。

その被疑事実に関しては、すでに木村真豊中市議らによる背任罪での刑事告発が先んじ、さらに本年7月13日付で、「国有地の低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会」の阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)や上脇博之神戸学院大学教授らが、詳細な理由を付した告発状を大阪地検に提出してこれに続いている。

また、本件告発人と重なる「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」有志103名が、本年10月16日に御庁に対して池田靖近畿財務局統括国有財産管理官(当時)を背任で、佐川宣寿財務省理財局長(当時)を証拠隠滅で告発したところでもある。しかし、現在まで告発対象の被疑事実について見るべき捜査の進展はない。

3 詳細は後述するが、当該国有地の極端な低額譲渡は、買主(森友学園)から売主(国)に対する瑕疵担保責任に基づく損害賠償相当金額を予め控除するとの口実をもって実行された。具体的には、瑕疵とは当該土地に地下埋設物が存在するということであり、損害賠償相当金額とは地下埋設物の撤去費用とされた。

しかし、瑕疵担保責任とは、売買対象物に「隠れたる瑕疵」が事後的に発見された場合の民事的責任(民法570条)である。事後的に高額な損害賠償責任を負担せざるを得ない場合があることはともかく、予め売主において瑕疵の有無や程度を確認することなく瑕疵担保責任を認めて、幻の地下埋設物の撤去費用相当の損害賠償を認めるなどは考え難い。しかも、契約締結時点において確認されていない瑕疵を原因として、土地価格の85%もの金額の損害賠償を認めたのである。これは、合理的な取引主体としてありうべからざる行為というほかはない。

4 なお、本件において問題となるべきは、合理的な地下埋設物撤去費用の算定如何ではない。本告発は、そもそも本件売買対象地には(法的意味における)瑕疵は存在していないことを指摘するものである。

したがって、背任罪は埋設物の撤去費用算定を必要とせずに成立し、その損害額は、地下埋設物撤去費用相当額として譲渡代金から控除された全額である。

本告発は、以上の視点から、被告発人の本件国有地売却を背任罪に問擬して刑事訴追を求めるものである。

5 繰り返すが、本告発は森友事件疑惑の一部についてのものに過ぎない。告発人らは、本件被疑事実の捜査を端緒とする厳正な刑事司法の発動によって森友学園をめぐる疑惑全容の解明を期待するものである。

 

第2 告発の趣旨と告発事実

被告発人美並義人の下記行為は、背任(罰条:刑法第247条)に該当するので、同被疑事実について厳正な捜査の上、刑事上の処罰を求める。

  被告発人は、財務省近畿財務局長の任にあって、国に対して、国有財産法、財政法等の規定に基づき、所管の国有財産を適正に管理しこれを譲渡する場合には客観的に適正な対価をもってすべき任務を負う者であるところ、

2016年6月20日、大阪府豊中市野田町1501番(8770.43㎡)の国有地(以下、「本件国有地」という)について、売払人国の契約担当官として、買受人学校法人森友学園との間に国有財産売買契約を締結するに際して、

本件国有地の地下埋設物撤去費用を過大に評価しこれを控除する費用が必要との外観を装うことによって、極端に低廉で不適正な対価をもって譲渡しようと企図し、

本件国有地には、契約の目的に支障となる地下埋設物の存在が確認されていないことを知悉しながら、これあるとの架空の想定の下、不要な地下埋設物撤去費用8億1900万円を計上し、

森友学園の経済的利益または自己の身分上の利益を図る目的のもと、

時価評価額9億5600万円から、不要な地下埋設物撤去費用8億1900万円を控除する名目をもって、売買代金を金1億3400万円と定めて、もってその任務に違背して国に金8億1900万円相当の損害を与えたものである。

 

第3 本件被疑事実と告発に至る事情

1 国有財産法第9条1項は、「国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない」と定める。

当然のことながら、国有財産の譲渡は、適正な対価をもってしなければならない。換言すれば、当事者の交渉による任意の価格設定はあり得ず、担当官には客観的に適正な対価での譲渡が義務づけられている。このことが、確認しておくべき大原則である。

民有財産の売買においては、売買対象物の処分権限をもつ売主がどのような思惑にもとづいて価格設定をしても問題にはならない。価格交渉の妥結点がいかなるものであっても、刑事上なんの問題も起きない。しかし、国有財産の譲渡における対価は、自由な価格交渉によって決することを許されていない。国有財産の管理を任務とする公務員が、適正な対価を下回る価格での譲渡をすれば、国に対する関係で、背信行為となり、損害を与えたことにもなって背任罪が成立する。

2 本件では、時価9億5600万円の土地の売買代金が、地下埋設物撤去費用相当額8億1900万円を控除することによって1億3400万円となっている。実に、土地価格の85.67%の値引きである。

本件における背任罪成否の焦点は、この値引きに根拠があるかの1点にかかるものであるが、そのような値引きの根拠はあり得ない。

仮に、適正な撤去費用相当額を8億1900万とする地下埋設物が存在したとすれば、そのような地下埋設物の種類や量、埋設場所などの確認と記録が不可欠であり、金額算定の根拠も明示されなければならない。しかし、そのような資料も根拠も残されてはいない。

3 この点について、政府委員として国会での答弁を担当した佐川宣寿理財局長(当時)は、この8億1900万円は、本件国有地売買における瑕疵担保責任免除の対価である旨を繰り返し答弁している。

その趣旨は、民法570条の瑕疵担保責任について特約を締結し、民法上の瑕疵担保としての地下埋設物撤去費用相当分の損害賠償債務を負わないとするものであるから、値引額である8億1900万円は埋設物の撤去費用相当額として適正なものでなくてはならない。

地下埋設物撤去費用金額の妥当性を判断する前に、2段階の問題が存在する。まず、果たして地下埋設物が存在するか。そして、仮に地下埋設物が存在するとして、それが損害賠償を必要とする瑕疵に当たるか。前者が事実の問題であり、後者が法的評価の問題である。

この両者が共に肯定された場合にはじめて、損害賠償金額つまりは撤去費用相当額の妥当性が問われることになる。いずれかが否定されれば撤去費用相当額を特定する必要なく、値引きの8億1900万円全額が背任の被害額となる。

4 まず、地下埋設物の有無の問題である。

国(近畿財務局)と森友学園間の、本件国有地についての「国有財産売買契約書」において、本件土地に存在すると確認された埋設物は「陶器片、ガラス片、木くず、ビニール等のごみ」のみ(第42条第4項)であって、校舎建設のための杭打工事に支障となるコンクリート片などは発見されていない。

また、近畿財務局の依頼を受けて2016年5月31日に「不動産鑑定評価書」を同局宛てに提出した担当不動産鑑定士も評価書の中で、「地中埋設物として廃材、ビニール片等の生活ゴミが確認されている」と記しており、校舎建設のための杭打工事に支障となるコンクリート片などは挙げていない。

さらに、国土交通省大阪航空局が作成した「参議院予算委員会視察時資料」(2017年3月16日)は、本件国有地の断面図(イメージ図)を添付している。それによると、深さ3.8mまでに汚染土のほか、配水管、マンホール・アスファルト・コンクリートガラ等が存在したと記しているが、それらは国が森友学園に精算払い済みの「有益費の支払い対象」と明記している。

その上で、大阪航空局は、深さ3.8m~9.9mまでに存在すると想定された廃材等が、本件国有地に係るごみ撤去費用の見積もり対象となると記しているが、9.9mの掘削工事中に「掘削機の先端部に絡みつくほどの廃材等」が目視されたことを廃材が地中に存在する根拠としたに過ぎない。

しかし、仮にその想定が当たっているとしても、大阪航空局の前掲資料によれば、2009年8月に行われた土地の履歴調査等から、深さ9.9mあたりのの地中は昭和40年代初頭まで池や沼で、その後宅地化されたものと推定している。こうした経過で深さ9m前後の地中に存在すると推定された廃材等が校舎建設工事に支障をきたすとは、およそ考えられない。

5 次いで、瑕疵に当たるかという問題である。

「陶器片、ガラス片、木くず、ビニール等のごみ」の存在は、瑕疵担保責任の根拠としての「瑕疵」に該当することになるであろうか。

この点、佐藤善信国土交通省航空局長(当時)も、こうした廃材、生活ごみが存在していても「工事の施工には問題はございません」(参議院予算委員会、2017年2月28日、会議録)と答弁している。森友学園の籠池理事長(当時)も2017年2月20日に放送されたTBSの単独インタビューにおいて、「運動場の下は取り出さなくていいんですから、さわっていないんだから、そこにお金がかかることはありません」と明言している(衆議院財務金融委員会、2017年2月21日、会議録)。現に、森友学園は2017年4月の小学校開校に向けて、地中深くから廃材等を取り出すことなく、校舎の建設工事を続けてもいた。

6 類似案件の下級審判例として、神戸地裁、昭59・9・20判決(『判例タイムズ』No.541, 1985年2月1日、180頁)がある。

「鉄筋三階建ての分譲マンションを建築する目的で買い受けた造成地の地下にビニール片等の廃棄物が混入していたとしても、杭打工法により予定どおりのマンションを新築して買受目的を達している場合には、右造成宅地に瑕疵があるとはいえないとされた事例」と紹介されている。

その理由として同判決は、「本件土地にはビニール片等の廃棄物が混入していたため、当初予定していたベタ基礎工法を杭打工法に変更を余儀なくされたにせよ、現にこれを新築することができてその買受目的を達していたこと、工法の変更が必要不可欠なものであったという確証はない」ことを挙げている。

「造成地の地下にビニール片等の廃棄物が混入していたとしても、現にこれを新築することができてその買受目的を達していた」場合には、瑕疵はないというものである。

7 売主の瑕疵担保責任として、撤去費用相当額の損害賠償責任を認めた下級審の代表的判決例として次のものを引用しておきたい。

「宅地の売買において、その地中に、大量の材木等の産業廃棄物、コンクリートの土間や基礎が埋設されていたことが、土地の隠れた瑕疵になるとされた事例」(東京地裁平4・10・28判決、『判例タイムズ』No.831,1994年2月1日、159頁)

その理由として東京地裁は、「本件の場合、大量の材木片等の産業廃棄物、広い範囲にわたる厚さ約15センチメートルのコンクリート土間及び最長2メートルのコンクリート基礎10個が地中に存在し、これらを除去するために相当の費用を要する特別の工事をしなければならなかったのであるから、これらの存在は土地の瑕疵にあたるものというべきである」と指摘している。

つまり、地下埋設物が存在したこと自体ではなく、買主が土地を買受の目的に充てる工事を遂行する上で、埋設物が障害になったという事実にもとづいて「瑕疵」に当たると判断し、当該地下埋設物の撤去に要した費用を売主が賠償すべき損害と認定したものである。

8 以上の常識的見解から、本件国有地の埋設物が土地の「瑕疵」当たらないことが明瞭である。その性状が、「陶器片、ガラス片、木くず、ビニール等のごみ」のみ(第42条第4項)であって、コンクリート土間やコンクリート基礎などではないのである。校舎建設のための杭打工事に支障となる性状のものは発見されていない。

なお、この点について、近畿財務局からの依頼に基づいて不動産鑑定士が作成した前記不動産鑑定評価書の中に、「最有効使用である住宅分譲に係る事業採算性の観点からは地下埋設物を全て撤去することに合理性を見出し難く、正常価格の観点から逸脱すると考えられる」との指摘がある。杭打ちが可能でさえあれば瑕疵には当たらず、その撤去費用を控除して本件国有地の評価を大きく下げることは、正常な価格評価から逸脱するとの考えと理解される。

9 また、本件国有地の売買契約締結に至る過程での価格交渉の席上、近畿財務局の担当者が「土地の瑕疵を見つけて価値を下げていきたい」などと発言していた事実がある(「新たなメモ見つかる」『報道ステーション』2017年8月3日)。これに照らせば、近畿財務局は正常な売買交渉ではないことを十分認識しながら、森友学園に利益を得させるため、瑕疵担保責任を故意に拡大解釈し、異常な廉価での売却を実行する背任を犯したと言わざるを得ない。御庁の捜査において、この点を厳重に究明されるよう強く要望する。

 

以上、本件告発は、森友学園事件疑惑の全容解明を期待する国民世論を代表しておこなうものである。御庁検察官は、権力に屈しない毅然たる姿勢をもって、本告発にかかる事案について厳正な捜査を遂げ、さらに権力中枢の関与についてまで、国民が納得できるよう十分な捜査をされるよう望む次第である。

                                                               以  上

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記者会見で配布した解説のメモも紹介しておきたい。

森友学園事件関連・美並義人近畿財務局長告発メモ

☆ 告発罪名背任(刑法第247条)

☆ 2016年6月20日付「本件国有地」売り払いにおいて、根拠なく、地下埋設物撤去費用名下に8億1900万円の値引きをして、国に対して同額の損害を与えたことが、背任罪に当たる。

☆ 地下埋設物撤去費用の妥当性が問題なのではなく、土地に瑕疵がないのに値引きをしたこと自体が問題で、値引き額の全額が国の損害となる、というのが本告発における指摘。

☆ 佐川理財局長の国会答弁では、「瑕疵担保責任を免れるための対価を値引きした」とされているが、瑕疵担保の要件としての地下埋設物はない。あっても、瑕疵に当たるようなものではない。

☆ 地下埋設物は2層に区別。
深さ 0 ~3.8m  借地契約時代に有益費として支払済み。
深さ3.8m~9.9m   こちらだけが問題。
工事の支障になる埋設物の確認はない。
むしろ、支障がないことの証言があり、現実に工事は進行した。
小学校敷地であることを考えても、
深さ3.8m~9.9mの埋設物は問題にならない。

☆ しかも、「地下埋設物撤去費用名下に8億1900万円の値引き」というスキームは、近畿財務局側からの提案であった。

(2017年11月22日・連日更新第1697回)

 

冤罪を訴える人々と、国民救援会。

日本国民救援会は、1928年4月7日に結成されたというから、来年が設立90周年となる。そのホームページには、「戦前は、治安維持法の弾圧犠牲者の救援活動を行い、戦後は、日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤として、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支え、全国で100件を超える事件を支援しています。」とある。

その国民救援会が発行する「救援新聞」は旬刊で、毎月5の日に発行。最新刊の11月5日号の第4面から6面に、救援会が支援している冤罪被害者(あるいは家族)の声が紹介されている。
「私は無実です ご支援ください」という大きな見出し。ほとんどが再審請求中の事件で、その数25件。一つ一つの事件の本人の「私は無実です」という訴えが痛々しい。

その事件名と当事者の名前だけを連ねておく。
●秋田・大仙市事件  畠山博さん
●山形・明倫中裁判  元生徒7人
●宮城・仙台北陵クリニック筋弛緩剤冤罪事件  守大助さん
●栃木・今市事件 勝又拓哉
●東京・三鷹事件 竹内景助さん(故人)
●東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件 小林卓之さん
●東京・小石川事件 井原康介さん
●長野・冤罪あずさ35号窃盗事件 Yさん
●長野・あずみの里「業務上過失致死」事件 山口けさえさん
●福井・福井女子中学生殺人事件 前川彰司さん
●静岡・袴田事件 袴田巖さん
●静岡・天竜林業高校成績改ざん事件 北川好伸さん
●愛知・豊川幼児殺人事件 田邉雅樹さん
●三重・名張毒ぶどう酒事件 奥西勝さん(故人)
●滋賀・湖東記念病院人工呼吸器事件 西山美香さん
●滋賀・日野町事件 阪原弘さん(故人)
●京都・タイムスイッチ事件 車本都一さん
●京都・長生園不明金事件 西岡廣子さん
●兵庫・花田郵便局強盗事件 ジュリアスさん(仮名)
●兵庫・えん罪神戸質店事件 緒方秀彦さん
●岡山・山陽本線痴漢冤罪事件 山本真也さん
●高知・高知白バイ事件 片山晴彦さん
●熊本・松橋事件 宮田浩喜さん
●鹿児島・大崎事件 原口アヤ子さん
●米・ムミア事件 ムミア・アブ=ジャマールさん

救援新聞には、「ひとこと」という会員の投書欄があって、宮城の女性が、次の投書を寄せている。
「『司法』というのは、正義の守り手のはずです。それなのに冤罪が生まれる。それでも再審請求し、正義が正義になるよう、力を合わせないといけない。これも闘い?」

司法の正義とは、けっして冤罪者を出さぬことだ。しかし、冤罪は後を絶たない。冤罪が明らかになったとき、司法は頑強にこれを認めようとしない。司法が間違ったとなれば、司法の権威が損なわれると考えるからだ。しかし、司法が自らの権威の失墜を恐れて冤罪の救済を怠るようなことがあれば、そのこと自身が大きな正義の喪失であり、司法の権威と信頼は地に落ちることになる。

市民運動が、雪冤を訴える冤罪被害者の声に耳を傾けて励まし、再審無罪を勝ち取ることができれば、市民自身が正義を実現し、失墜した司法の権威回復に寄与したことになる。

戦前、市民運動としての救援会と被告と弁護士との三者の連携を、「モ・ベ・ヒ」の団結と言ったそうだ。モは救援会の前身の「モップル」、ベは弁護士、ヒは被告本人である。当時、冤罪と言えば、弾圧事件だった。これに抵抗する、強固な弾圧からの救済運動組織が必要とされた。救援会は、その流れを汲んでいる。

その弾圧事件はけっして過去のものではない。公選法による弾圧も、民商に対する弾圧も、そして公務員労働者に対する弾圧もけっしてなくなることはない。「共謀罪法」が成立した今、新たな弾圧事件の発生も懸念される。

権力による市民への弾圧がなくなり、司法の誤りがなくならぬ限り、国民救援会は発展し続ける。創立90周年から、100年を超えて、いつまでも…。
(2017年10月30日)

森友学園事件で新たな告発

本日、「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の有志103名が東京地検特捜部に森友学園への国有地売却に関連する告発状を提出した。

告発対象は、池田靖氏(近畿財務局統括国有財産管理官・当時)の背任(刑法第247条)、佐川宣寿氏(財務省理財局長・当時、現国税庁長官)の証拠隠滅(刑法第104条)である。

本日午前10時、代理人弁護士5名と告発人代表5名が東京地検を訪れて告発状を提出、その後11時から東京地裁庁舎内の司法記者クラブで記者会見を行った。

 

告発状をお読みいただけば、告発をした意味をご理解いただけるものと思う。

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告  発  状

2017年10月16日

東京地方検察庁 御中

 

告発人      醍醐聰以下別紙告発人目録に記載の103名

 

告発人ら代理人

弁護士  澤藤統一郎

同    澤藤 大河

同    杉浦ひとみ

同    武井由起子

同    太田 啓子

同    八坂 玄功

 

第1 本件告発の概要と背景事情

1 本件は、いわゆる森友学園事件の一連の経過のなかで、これまで明らかとなった限りでの関係者の刑事被疑事実を告発するものである。

森友学園事件は、最高権力者の行政私物化を象徴する事件として、国民から徹底的な疑惑解明を望まれているところ、説明責任を負うべき行政が政権に対するおもねりの故に消極姿勢に終始し、全容の解明にはほど遠い実情にある。このままでは、いくつもの疑問を残しながら疑惑解明に幕が下ろされるのではないかと危惧せざるを得ない。

この事態にあって、告発人らは行政から独立し、政治的に不偏不党の立場にあって一切の忖度に無縁の存在としての刑事司法に疑惑の全容解明を期待して、本告発に及ぶ。本告発は事件の核心の一端に触れるものとして、その端緒を提供するものである。

2 森友学園をめぐる一連の疑惑の核心は、学校法人森友学園が小学校建設予定地とした国有地の極端な低額譲渡にある。この核心たる事実は、必然的に当該国有財産の管理を担当する公務員の国に対する背信行為をともなうものとして、背任の刑事被疑事件を伏在するものとなっている。

具体的には、国有財産法や財政法に定められた、国有財産を適正に管理し、これを譲渡する場合には客観的に適正な価格を以てするよう職務上の義務を負う近畿財務局担当官の背任行為である。

その被疑事実については、すでに木村真豊中市議らによる背任罪での刑事告発が先んじ、さらに本年7月13日付で、阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)や上脇博之神戸学院大学教授のグループが、詳細な理由を付した告発状を大阪地検に提出してこれに続いている。しかし、その捜査の進展はいまだに見られない。

3 捜査の進展が見られないうちに、マスメディアの疑惑解明に向けた調査と報道が進展した。本件国有地の譲渡価格をめぐる森友学園の籠池前理事長夫妻、代理人弁護士(当時)、工事業者らと近畿財務局担当官との交渉経過の録音記録が、最近になって順次テレビメディアで公開された。その録音の時期は概ね2016年3月から5月のこととされたもので、これが公開に至ったのは、いずれも先行する各告発の以後においてのことである。

この生々しい録音記録は、交渉経過の証拠資料として強い証明力を有するものと考えられる。この録音記録を証拠として、その任務に違背して国有財産を不当な廉価であると認識しつつ譲渡した池田靖・近畿財務局管財部統括国有財産管理官(当時)を背任の被疑事実をもって告発する。

それとともに、この交渉経過について国会で虚偽答弁を重ねたことが明確となった佐川宣寿理財局長(当時)を、同虚偽答弁によって被告発人池田の背任の証拠方法である当該国有財産譲渡に関する交渉経過の電子データ復元記録の顕出を妨げた証拠隠滅の被疑事実を告発する。

告発人らは、この両名についての各被疑事実の捜査を端緒として、厳正な刑事司法の発動を通じた疑惑全容の解明を期待するものである。

 

第2 告発の趣旨

被告発人池田靖、同佐川宣寿の下記各行為は、それぞれ背任罪(刑法第247条)及び証拠隠滅罪(同第104条)に該当するので、各被疑事実について厳正な捜査の上、刑事上の処罰を求める。

 

1 被告発人池田靖は、近畿財務局管財部統括国有財産管理官の任にあって、国に対して、国有財産法、財政法等の規定に基づき、管内の国有財産を適正に管理しこれを譲渡する場合には客観的に適正な対価をもってすべき任務を負う者であるところ、

2016年3月下旬ころ、大阪府豊中市野田1501番(8770.47㎡)の国有地(以下、「本件土地」という)について、その取得を希望する学校法人森友学園の代表者籠池泰典理事長(当時)らとの譲渡対価の交渉の席上、当該土地に埋設されたゴミ撤去費用を過大に評価しこれを控除する外形を装うことによって、極端に低廉で不適正な対価をもって譲渡しようと企図し、

本件土地の深度3m以下には、埋設ゴミの存在が確認されていないことを知悉しながら、「3メートル以下の地下にも多量のゴミがあるとの架空の想定の下、過大なゴミ撤去費用を計上して、これを適正対価額から控除するという名目で廉価の譲渡をするストーリーをイメージしている」という趣旨の近畿財務局職員(氏名不詳者)の発言を承けて、「資料を調整する中で、どういう整理をするのがいいのかご協議させて頂けるなら、そういう方向でお話し合いさせてもらえたらありかたい」と発言してその不適正対価による譲渡の意思を表明した上、

同年6月20日、国が学校法人森友学園に対し、時価評価額9億5600万円の国有地である本件土地を学校法人森友学園に譲渡するに際して、

森友学園の経済的利益または自己の身分上の利益を図る目的のもと、

存在確認のない地中埋設物についての架空あるいは過大な撤去費用8億1900万円を計上してこれを控除する名目をもって、

国をして金1億3400万円の不適正な対価で本件土地を森友学園に譲渡せしめ、もってその任務に違背して国に最大額金8億1900万円相当の損害を与えたものである。

 

2 被告発人佐川宣寿は、財務省理財局長として森友学園事件についての国会各委員会質疑における政府答弁者として森友問題の疑惑を解明すべき立場にあって、自身の発言が虚偽であることを認識しながら、

(1) 同年3月15日衆院財務金融委員会において、「大阪航空局に埋設物の撤去・処分費用を依頼いたしまして、それを見積もって、それを前提にして、私どもは不動産鑑定にかけてございます。それを受けましたのが(2016年)5月の末でございますが、いずれにしても、そういう価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方(森友学園側)からいくらで買いたいといった希望があったこともございません」と答弁し、

(2) さらに同年4月3日衆議院決算行政監視委員会において、森友学園との交渉、面談記録に関して、「紙もパソコンのデータも同様の取扱い(保存期間1年未満の文書として廃棄)をしている。パソコン上のデータも、短期間で自動的に消去され、復元できないシステムになっている」と答弁し、

もって、被告発人池田靖についての前記告発事実のとおりの刑事被疑事件(背任)に関する証拠方法である国有地譲渡対価値引き交渉に関する復元可能な電子データの顕出を妨げて、証拠を隠滅したものである。

 

第3 本件各被疑事実と告発に至る事情

1 本件土地譲渡対価額の交渉経過について

(1) 大阪市淀川区に本部を置く学校法人森友学園は、豊中市の本件土地を敷地とする小学校(瑞穂の國記念小學院)の開設を予定して、まず本件土地についての賃貸借契約を締結し、次いで賃借土地の譲渡を希望して、同土地を管理する近畿財務局と譲渡価格について交渉し、2016年6月に譲渡を受けた。

その譲渡対価額が、時価評価としての鑑定額の1割程度のものに過ぎず、実額にして8億円もの値引きがされたことが大きな問題となった。とりわけ、開設予定の小学校の名誉校長として安倍晋三総理大臣の妻である昭恵氏の関与が深く、一時期同校の校名を「安倍晋三記念小学校」としての寄付金募集の事実もあったことから、権力者の行政私物化ではないか、あるいは行政官の政権への過剰な忖度ではないか、との疑惑が生じた。

しかも、当初はその譲渡価格の公表すら拒まれ、さらに「疑惑」追求の過程で、交渉記録は一切破棄されているとの対応で物議を醸した。少なからぬ国民が国政の暗部を見せられた思いとなり、安倍晋三氏自身の疑惑全面否定の言や、重要な証人である安倍昭恵氏の国会での聴取を頑なに拒否する姿勢を、圧倒的な世論が納得せず、徹底した疑惑解明を望む事態が続いている。

(2) 森友学園と近畿財務局との本件土地の譲渡価格交渉は、2016年3月に始まり、同年6月に合意に達して決着した。

その合意は、本件土地の時価評価額を9億5600万円とし、この評価額から地下に埋設されていたごみ撤去費用8億1900万円と事業長期化損失300万円の合計8億2200万円を控除するとの名目で、1億3400万円を対価とするもので、その合意にしたがって本件土地の譲渡が実行された。この合意スキーム(交渉経過の中では、「ストーリー」)を発案し提案しているのが被告発人池田にほかならない。

(3) なお、本件土地の地下3mまでには、生活ゴミの埋設があり、校舎建築工事の過程でゴミ撤去が必要となって、2016年3月16日に当時本件土地の賃貸人であった国から森友学園に対して、ゴミ撤去費用相当額の1億3176万円が『有益費』として支払われている。その結果、森友学園が実質的に負担したのはわずか224万円となった。つまり、キャッシュ・フローで言えば、近畿財務局の担当官に「限りなく『0円』で」と希望を申し出た森友学園の望む交渉結果となったのである。

 

2 新たな音声データの放映

(1) 以上の交渉経過については、国会で疑惑解明のための質疑の対象となったものの、すべての交渉記録が破棄されたとして、詳細が明らかになることはなかった。

しかし、最近この疑惑を裏付ける近畿財務局の担当官と森友学園籠池理事長(当時。以下、同じ)との譲渡対価金額をめぐる交渉の席での会話音声記録が複数公開に至っている。もとより、その取材源については告発人らの知るところではない。しかし、取材源如何にかかわらず、疑問の余地なく音声自体が証拠資料としての証明力を持つものとなっている。

(2) その典型が、関西テレビの番組「報道ランナー」における「徹底ツイセキ 森友学園問題」のシリーズである。

同シリーズは、本年8月1日「国有地8億円値引きの謎 音声データを独自入手」として放送以後、9月18日まで11回にわたっての放送となっている。

その9月18日放送分が、「【森友問題 徹底ツイセキSP】新たなゴミは本当にあったのか?「8億円値引き」本当のわけは」と題しての放送で、このなかで公開された音声データに、2016年3月下旬ころに録音されたものとして、本件土地の譲渡対価額についての森友学園籠池泰典理事長らと被告発人池田らのと交渉の席上、当該土地に埋設されたゴミ撤去費用を過大に評価しこれを控除する外形を装うことによって、極端に低廉で不適正な対価をもって譲渡しようという会話が録音されている。

近畿財務局側は、氏名不詳の職員が「3メートルまで掘っていますと。土地改良をやって、その下からゴミが出てきたと理解している。その下にあるゴミは国が知らなかった事実なので、そこはきっちりやる必要があるでしょうというストーリーはイメージしているんです」と発言し、被告発人池田が、「資料を調整する中で、どういう整理をするのがいいのかご協議させて頂けるなら、そういう方向でお話し合いさせてもらえたらありかたい」と発言してその不適正対価による譲渡の意思を表明している。

(3) また、同シリーズの本年8月1日「国有地8億円値引きの謎 音声データを独自入手」の番組によれば、被告発人池田は、やはり16年2月から3月にかけての森友学園籠池理事長らとの交渉の席で次のように発言している。

「できるだけ早く価格提示をさせていただいて…、ちょっとずつ土壌も処分しているけど、ある前提で全部、想定の撤去費を評価から控除する。で、金額を提示させていただくということなんです。ですので、そこそこの撤去費を見込んで、価格計上をさせてもらおうと思ったんですよ。だから、われわれの見込んでいる金額よりも、(撤去費が)少なくても、われわれは何も言わない」

「理事長がおっしゃられてる『0円に近い(譲渡対価希望金額)』というのが、どういうふうにお考えになられているのか、売り払い価格が0円ということなのかなとは思うんですけど、私ども以前から申し上げているのは、『有益費』の1億3000万円という数字を国費として払っているので、その分の金額ぐらいは少なくとも売り払い価格は出てくると、そこは何とかご理解いただきたい」

これに対して、籠池理事長が「(有益費の)1億3000万円がうんぬんというよりも、ぐーんと下げていかなあかんよ」と応じると、被告発人池田はさらにこう発言している。

「理事長がおっしゃる0円に近い金額まで、私はできるだけ努力する作業を、いま、やっています。だけど1億3000万円を下回る金額にはなりません」

以上のとおり、被告発人池田が、架空ないしは過大なゴミ撤去費用を計上することによって、森友学園側の希望を容れた極端に低額な対価を以てする国有地の譲渡をしたことが明らかである。具体的には、国が本件土地賃貸借契約の貸主として、すでに森友学園に支払っている有益費1億3176万円を下回る価格設定はできないが、森友学園の希望する「実質0円」にできるだけ近づけるよう努力して、要望に添うという意思の表明にほかならない。

そして、現実に本件土地譲渡にあたって森友学園が実質的に負担する金額が「0円に近い金額」になるよう算定がなされたのである。

(4) また、本年8月3日放映のテレビ朝日「報道ステーション」において、「新たなメモ見つかる、森友土地値引き」と題した報道がなされ、2016年3月30日に森友学園籠池理事長夫妻と森友学園の弁護士、設計会社、施工会社の4社で打ち合わせをおこなった際の次の内容のメモの存在が明らかとなった。

「できる限り低い金額で買い取りたい→航空局も同意」

「航空局・財務局→彼らのストーリー」

「調査ではわからなかった内容で瑕疵を見つけていくことで価値を下げていきたい」

「9mの深さまで何か出てくるという報告を(するよう)、財務局から学園サイドに言われている」

このメモでは、既に同月30日時点で、同月11日に見つかったとされる新たなゴミの撤去に必要な費用分の減額に藉口して、森友学園が本件土地をなるべく安価で取得できるよう、近畿財務局が動いていたことが明らかとされている。

 

3 被告発人池田の背任罪成立について

国有財産法第9条1項は、「国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない」とする。国有財産の譲渡は、適正な対価をもってしなければならない。換言すれば、当事者の交渉による任意の価格設定はあり得ない。このことが、確認しておくべき大原則である。

私有財産の売買においては、売買対象物の処分権限をもつ売り主がどのような思惑にもとづいて価格設定をしてもよい。価格交渉の妥結点がいかなるものであっても、なんの問題もない。しかし、国有財産の譲渡における対価は、自由な価格交渉によって決することを許されていない。国有財産の管理を任務とする公務員が、適正な対価を下回る価格での交渉をし譲渡をすれば、国に対する関係で、背信行為となり、損害を与えたことにもなって背任罪が成立する。

最近になって公開された交渉経過の録音記録によれば、被告発人池田は、森友学園籠池理事長の、可能な限り低廉な価格でという要求に応じたことが明らかで、適正な価格算定の意図がなく、客観的に著しく不適正な低額での譲渡を実行したものというほかはない。

 

4 被告発人佐川の証拠隠滅罪成立について

(1) 証拠隠滅罪の証拠とは

刑法104条証拠隠滅罪にいう「証拠」とは、刑事事件について、捜査機関および裁判体において、国家刑罰権発動の可否または量定を判断するに当たっての根拠と認められる一切の証拠方法をいうものである。犯罪の成否、態様、刑の軽重に関する資料のほか、訴訟手続に関わる資料も含まれる。

近畿財務局と森友学園との本件国有地の低額譲渡に関する交渉を記録した文書及び電子データは本件背任罪の成否および情状にかかわる直接の物的「証拠」に該当することが明白である。

(2) 証拠の隠滅行為とは

刑法104条証拠隠滅罪にいう「隠滅」とは、大審院判例以来「証拠の隠匿・滅失に限らず、『証拠の顕出を妨げ、または、その証拠としての価値を滅失・減少させる行為のすべて』をいうものとされている。また、本罪は抽象的危険犯として、証拠の隠滅によって刑事訴追の妨害を成功させるという結果の発生に至ることを必要としない。

(3) 被告発人佐川の証拠隠滅行為

本年4月3日衆議院決算行政監視委員会における被告発人佐川の政府参考人としての答弁は議事録によれば以下のとおりである。

「○佐川政府参考人 お答え申し上げます。

私ども財務省の行政文書管理規則上、行政文書につきましては、あらかじめ、保存期間あるいは保存期間満了後の措置について定めなければならないということになってございまして、保存期間満了後、例えば国立公文書館に移管しないというようなものについては廃棄するということになっておりますので、規則に基づいて事案終了後廃棄しているということでございます。」

「○佐川政府参考人 お答え申し上げます。

私ども、行政文書は、紙もパソコン上のデータも同様の取り扱いにしてございます。紙の方は、先ほど申しましたように、さまざまな不要になりました紙はそういうことで処理をしてございます。パソコン上のデータも、今ちょっと手元にございませんが、前に一度お答えしたことがございますが、短期間でそこは自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、そういう意味では、パソコン上にもそういうやりとりみたいなデータは残っていないということでございます。」

単に電子データを含む記録が不存在というにとどまらず、その電子データについては「短期間で自動的に消去され、復元できないシステムになっている」という復元不能にまで言及する点で、積極的な証拠方法利用が絶対不能との答弁である。

(4) しかし、同年4月7日の衆議院内閣委員会において、中尾陸理財局次長(当時)は「自動消去機能というのは基本的にございません」、「消去は職員がパソコンを操作して行う」と被告発人佐川の先の答弁を訂正している。

また、本年9月22日、麻生太郎財務大臣は、関係機関による調査が行われているのを受けて、当該の電子データの廃棄・消去を延期していると発言、データの復元がなお可能な状況にあることを認めている。

以上のことから、「交渉記録の電子データも消去して、復元できなくなっている」という被告発人佐川の国会答弁が虚偽であることは明らかである。

同人は、当時財務省理財局長として国会(委員会)の場において国有財産の管理や譲渡に関して責任を持って真実を説明すべき立場にあった。同人の発言は、議事録として記録・公表され、信用性の高いものとして扱われるものである。本件土地譲渡に関する一連の交渉経過に関する記録の存否についても、行政当局の代表として、社会的に真実と受けとめられることになる。

そのような立場にある者が、虚偽の国会答弁をし、虚偽内容の議事録を作成せしめたのである。被告発者佐川による「証拠不存在」「復元不能」という虚偽の国会答弁は、その立場に照らして、被告発人池田の犯罪事実について、復元可能電子データ交渉記録という重要な刑事被疑事件の証拠を闇に葬り、その顕出を妨げる行為として証拠隠滅行為に当たると言わざるを得ない。

また、「そういう価格につきまして、こちらから価格を提示したことも、向こうからいくらで買いたいと希望があったこともございません」との明らかな虚偽答弁も、積極的に被告発人池田の犯罪事実を隠蔽する意図を露わにする重要な虚偽の発言というにとどまらず、証拠方法の「復元不能」という発言と一体となって証拠の顕出を妨げる証拠隠滅の一部を構成する行為というべきである。

(5) 告発人の認識

被告発人佐川が「森友学園との国有地の売買交渉記録は昨年6月に売買契約が締結されたあと短時間で廃棄され、財務省は交渉記録の電子データも消去して、復元できなくなっている」と答弁したその時点では、関係者以外誰も消去されたという電子データの内容を知ることはできず、これが疑惑解明の妨害行為ではあっても、特定人の特定の犯罪についての証拠隠滅に当たるというまでの認識はなかった。

しかし、最近になって公開された国有地譲渡価格をめぐる交渉に関する録音記録によって、その経過の一部が明らかとなって、廃棄されたという交渉記録の電子データが犯罪(背任)の証拠であることが初めて明確となった。

なお、被告発人佐川は、国会答弁において「そういう価格につきまして、こちらから価格を提示したことも、向こうからいくらで買いたいと希望があったこともございません」と明言している。しかし、今や明らかになったことは、森友学園側から「0円に近づけて」という価格の希望があり、被告発人池田が積極的にその希望に添った形での交渉に応じて最終妥結に至っていることである。この背任の経過に関する記録顕出の妨害も、被告発人佐川の証拠隠滅行為となるものである。

 

終わりに

以上の被告発人両名に対する本件告発は、森友学園事件疑惑の全容解明を期待する国民世論を代表しておこなうものである。御庁検察官は、権力に屈しない毅然たる姿勢をもって、本告発にかかる事案について厳正な捜査を遂げ、さらに権力中枢の関与についてまで、国民が納得できるよう捜査が及ぶことを望むものである。

以上

 

「鶏よ、鳴け。夜がゆっくり明け始めている。」ー袴田巖再審開始を求める意見広告

 良心は無実の人間のいのちを守る唯一の声である。
 暗く苦しい夜が長ければ長いほど、ひときわ声高く響く良心の声よ。
 暗澹と悲痛と憤怒の錯綜した獄中14年有余、私を支えたのはその声だ。
 鶏よ、鳴け、私の闇夜は明るくなった。
 鶏よ、早く鳴け、夜がゆっくり明け始めている。
(袴田巖 1981年5月6日 書簡集より)

本日(8月18日)の朝日・毎日の両紙に掲載された、「袴田事件の一刻も早い再審開始を求める」意見広告。一面全部を使ったインパクトの大きいこの広告の冒頭に、この胸を打つ一文がある。これは詩だ。美しく心情を描いている。

袴田さんは、「世界最長収監の死刑囚」として知られている。1966年6月30日清水で起こった一家4人の殺人事件。その犯人として同年8月18日に逮捕された。本日の意見広告掲載は、51年前の同じ日付を意識してのことかも知れない。当時30歳であった。以来拘束が続けられ、死刑確定囚の身のまま釈放されたのが2014年3月27日のこと。この間の身柄拘束は47年7月余、日数にして17,389日だという。人生の大半を死刑の恐怖と絶望のうちに過ごしたことになる。

彼に対する取り調べは過酷で凄まじいものだった。いったんは「自白」を余儀なくされたが、公判段階からは一貫して否認し続けた。しかし、彼の無実の声は届かなかった。判決は有罪。しかも死刑である。後の裁判所が「証拠の捏造の疑いを否定できない」とされた審理での有罪である。

最高裁が上告を棄却して死刑が確定したのが、1980年12月。「私の闇夜は明るくなった。」と、彼が綴った81年5月は、第1次再審請求直後のこと。この時期、日弁連も支援を決めている。

彼は、「良心は無実の人間のいのちを守る唯一の声である。」という。良心とは、彼の無実を信じて救援活動に没頭した家族や支援者の良心であり、ジャーナリストの良心であり、弁護団の良心でもあったろう。多くの良心が、無辜の人の心の支えとなったのだ。

しかし、現実の経過は厳しいものだった。「夜がゆっくり明け始めている。」と彼が呟いたときから、釈放まで33年を要している。しかも、その釈放から3年を経た今もなお、静岡地裁の再審開始決定には、検察官の即時抗告があって現在東京高裁で審理半ばである。だから、「もう待てない。一刻も早い再審開始を」という意見広告なのだ。

意見広告の下段には、袴田さん自身の次のつぶやきが、掲載されている。
 私はすべての権力者に向かってこの質問を投げかけるのだ。
 いつまで無実の明らかな私の自由をふみにじるのかと。
 私の心身は反則によってKOされたまま踏みにじられている。
 そのKOの底に身を横たえてしまうしかないのか。
 そして日一日と正義を殺されていくのか。
 これが私の生である。私の無念とするところである。…
 私は無実だ。…
(袴田巖 1981年11月29日 書簡集より)

冒頭の文章の明るさとはちがって、厳しさを感じさせる一文。これが、わずか半年後のこと。
「私は無実だ。…」と言いつつも、「日一日と正義を殺されていくのか。」という、呪詛の言葉が重い。私たちが作り運営する刑事司法の仕組みが、人の運命をもてあそび、無実の人の人生を奪ったのだ。

治安を維持するための刑事司法の必要性は自明である。しかし、刑事司法作用は生の権力発動として一歩間違うと、重大な人権侵害をもたらす。

そこで、「推定無罪」「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の大原則が掲げられねことになる。そして、この理は再審制度においても適用されるというのが、「白鳥決定」において最高裁が明言したところである。しかし、それでも冤罪はなくならない。

刑事司法とは、刑罰権・捜査権を行使する国家権力と、裸の私人とが対峙する場である。警察も検察もそして裁判所も、被告人の弱い人権に配慮しなければならない。刑事訴訟法とは、被告人の人権擁護のための体系にほかならない。

有罪判決は、「合理的な疑いを容れない程度」の心証があることを必要とする。証拠に照らして、「合理的な疑いを容れる余地なく有罪」と考えられる場合にのみ有罪判決となるのだ。白鳥決定は、再審の場合も同様だという。

この制度は、人類が正義の実現と人権擁護とを追求してたどり着いた、文明の到達点である。これに反して、「権力は間違いを犯さない」「警察がつかまえた者、起訴された者が無罪では権力が間違ったことになる」「だから、被告人が無罪となってはならない」という権力無謬の考えが権力機構の側に残存している。

袴田さんには、ぜひとも正義と人権を回復してもらいたい。
今こそ叫ぶときだ。
「私はすべての権力者に向かってこの質問を投げかけるのだ。
 いつまで無実の明らかな私の自由をふみにじるのかと。」
ようやくにして、「多くの良心に支えられて夜はゆっくり明け始めている」のだから。
(2017年8月18日・毎日連続更新第1601回)

愚かな大統領と、敬すべき自治体警察と。

「トランプ発言」新たな火種 容疑者に「甘くなるな」 警官に粗暴行為奨励か

昨日(8月2日)「毎日」夕刊8面右肩の記事。この見出しだけだと、「愚かな大統領の新たな愚行」の報道というだけに見えるが、実はそうではない。ときどき、愚かな大統領と対比しての、敬すべきアメリカに感心させられることがある。当然のことだが、愚劣な大統領を支持しているだけがアメリカではない。これを毅然と批判するアメリカの奥深さがあるのだ。主としては、そのことの報道となっている。

リードは以下のとおり。
【ワシントン高本耕太】トランプ米大統領が警察官らを前にした演説で、犯罪容疑者に「甘くなり過ぎるな」と粗暴行為を奨励するような訓示をした。各地の警察組織から「適正な法執行の精神に反する」と反発の声が上がったのに対し、サンダース大統領報道官が「大統領は冗談のつもりだった」と釈明し、批判の火に油を注いだ。背景には、警察による市民への暴力事案が後を絶たない米国社会の現状がある。

愚かな大統領は何と語ったか。
トランプ氏は7月28日、ニューヨーク州を訪問し、ラティーノ(中南米系)ギャング「MS13」摘発にあたる州や自治体警察官らを激励した。演説でトランプ氏は「あなたたちは凶悪犯を護送車に乗せる時、頭をぶつけないよう手を添えたりする」と身ぶりを交え説明。「殺人をするような犯罪者だ。お願いだからそんなに気を使わないでくれ」と語った。

この愚劣な男の脳裏には、人間の尊厳も、文明が築き上げてきた刑事手続の原則も、司法警察本来のあり方などの理念はない。犯罪者を生み出す社会の責任も、犯罪を減らすための政策もかけらすらない。あるのはひたすら「ここでどう言えば、民衆に受けるだろうか」というさもしい根性だけ。これがポピュリズムなのだ。

おそらくは、トランプはこう考えた。「犯罪者の尊厳を語っても、民衆に受けるはずはない」。「むしろ、『憎むべきギャングに容赦するな』と語ることで、自分の本来的支持者からも、警察関係者からも喝采を浴びることができるに違いない」「そうすることが、危うい大統領としての地位を固めることになる」。ポピュリスト・トランプのことだ。こう忖度して間違いはない。

ところが、この演説への反応は、予期に反するものとなった。
この発言に対し、南部ルイジアナ州のニューオーリンズ市警は声明で「大統領の発言は、法にのっとった警察活動や地域社会との連携とは対極のものだ」と批判。西部オレゴン州のポートランド市警は公式ツイッターに「我々は、容疑者であっても尊厳と敬意を込めて対応する」と表明した。

これは、驚くべきことではないか。日本のアベ首相は、法の支配や民主主義の理解度において、トランプとは兄たりがたく弟たりがたい。そのアベ発言に対して、警察や自治体が公式に批判することが考えらるだろうか。しかも、批判の根拠は「法の支配」「個人の尊厳」「基本的人権いう文明社会の根源的原理に則ったものであり、この批判の真っ当さに反論すべくもない。

31日の記者会見で大統領の発言の真意を問われたサンダース報道官は「ジョークのつもりだった」と答弁。さらに波紋が広がった。

最初のボタンの掛け違いをごまかそうとすると、このように波紋を広げることになるのだ。トランプの愚劣な発言を糊塗しようとして、大統領府全体が批判の対象となった。毎日は、この経過に続けて、次のような背景事情と波紋をこう解説している。

首都ワシントン近郊の東部メリーランド州ボルティモアでは2015年、警察に拘束された黒人男性が護送車で移送される間に脊髄を損傷し死亡する事件が発生。抗議デモが暴動に発展した。その他にも米国では黒人らに対する警察官の過剰な行為や差別的な扱い、射殺事件が相次ぎ、社会問題になっている。
ワシントン・ポスト紙は31日、「警察暴力はジョークではない」との論説記事を掲載。「警察が『法を超える存在』となり社会からの信頼を失えば、地域の安全を守ることは困難になる」とトランプ氏の発言を非難した。

アメリカの民主主義や分権主義を侮ってはならない。なかには、その理念を体現するホンモノもいるのだ。

それだけではない。被疑者の人権を尊重しなければならないという実務的要請は、安永健太さん事件が教えている。容疑者に手荒に接することは、ときに不幸な市民の命を奪うことにもなるのだ。下記の当ブログ(2017年7月10日)を参照願いたい。

http://article9.jp/wordpress/?p=8830
2007年9月25日、安永健太さんは自転車に乗って障害者作業所から自宅に帰る途中で、不審者と間違われ、警察官から後ろ両手錠を掛けられ、5人もの警察官にうつぶせに取り押さえられて心臓突然死をしてしまいました。
健太さんには中等度の知的障害を伴う自閉症スペクトラム障害があり、コミュニケーションが難しいという特性がありました。健太さんは警察官と相対していた時も、「アーウー」としか言葉を発していなかったそうです。しかし、警察官は誰一人として健太さんに障害があることに気づきませんでした。
家族は健太さんが死んでしまった原因を知りたいと思い、刑事裁判で健太さんを取り押さえた警察官の刑事責任の追及をするとともに、民事裁判(国家賠償請求訴訟)として健太さんを死亡させたことの損害賠償を佐賀県に求めました。
しかし、刑事裁判では健太さんを取り押さえた警察官は無罪となり、民事裁判でも、佐賀県の責任は認められないまま、裁判は終わりました。(「考える会」のパンフレットより)
(2017年8月3日)

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