澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

菅義偉よ、かくまで「アベ後継」をウリにするというのか。

(2020年9月2日)

安倍晋三による再びの政権投げ出しである。前回のように国政選挙での与党大敗北に続く醜態とはいえないものの、明らかに八方塞がりの失政の中で、やる気を失った無責任というしかない。

その安倍政権の7年8か月に、国民はウンザリしていたはずである。アベ政権といえば、立憲主義の否定であり、日本国憲法理念の否定であり、国政の私物化であり、嘘とごまかしと忖度の政治手法であり、三権分立の軽視でもあった。経済政策では格差と貧困を深化させ、コロナ対策ではアベノマスク以外に有効な策はなく、無為・無能・無策。しかも、こんなにも公文書管理をないがしろにし、強権と忖度に支えられ、品性に欠ける振る舞いで国民からの顰蹙を買った為政者も珍しい。北方領土問題も拉致問題も1ミリも進展させることができなかった。もちろん、辺野古も、慰安婦問題も、徴用工問題も、核軍縮も。

だから今自民党は、マンネリ停滞で薄汚れたイメージのアベ政治からの脱皮のチャンスである。安保で倒れた岸信介のあとに所得倍増計画の池田をもってきて鮮やかな転身を見せたように、あるいはロッキードの田中角栄からクリーンな三木武夫に頭をすげ替えたように、自民党は国民に別の顔を見せなければならない。

ところがどうだ。後継総裁は、出馬宣言前から菅義偉に決まりという報道である。政策や抱負を語る以前から、密室の談合で派閥の論理で菅義偉に決定というのだ。既に党内7派閥のうち5派閥が菅支持に固まっているとか。少しだけ驚いた。菅といえば、アベ政権そのものではないか。アベ政治からの脱却ではなく、国民から見離されたアベなきアベ政治をこれからも続けようというのだ。

本日(9月2日)夕刻、菅は総裁選出馬の記者会見を行った。何とも新鮮味に欠け、何とも華がなく、何とも変わり映えせず、いかんとも明るい展望はまったくなく、旧態依然の政治続行の予感に改めてウンザリと言うしかない。菅は、「安倍政権の取り組みをしっかり継承し、さらに前へ進めるために私の持てる力を全て尽くす覚悟だ」と述べた。「安倍政権の取り組みをしっかり継承し」とは、内容においては新自由主義的政策を継承し、政治手法としては強権と忖度、嘘とゴマカシを続けようというのだ。そして「さらに前へ進める」とはどういうことだ。アベ政権への反省の弁がまったくないのだ。

ハト派と言われる「宏池会」の岸田文雄も、アベに対する党内批判派の石破茂も、脱アベのイメージ演出にはもってこいの存在。この2人ではなく、旧態依然アベカラーに染まりきった菅に決まりだというのだから政治の世界は分からない。その総裁選挙の日程は9月14日である。

さて、対する野党の側の事情。9月10日に、立憲・国民の合流新党が結成されて代表選が行われる。新代表に新味はなかろうが、新党の存在感を示そうとこれまで慎重だった「消費税減税」に踏み込むのではないかと報道されている。

私の主たる関心事は、改憲策動の有無である。常識的には、アベができなかった明文改憲を、アベ後継ができるはずもない。しかし、これは、アベ後継が国民世論をどう読むかにかかっている。国民世論は必ずしも「改憲反対」ではなく、「安倍のいるうちの改憲には反対」という読みもある。

新党には改憲反対の姿勢を明確にし、市民の護憲運動とスクラムを組んでいただきたい。アベなきアベ政治の継続が明文改憲に結びつく危険な事態は継続しているのだから。

決して、改憲策動に乗せられてはならない。9月16日発足の新政権が、今秋にも衆院解散・総選挙に踏み切るのではないかという声も聞こえる。もちろん、野党側の態勢不備に付け込んでのことだ。これまで、護憲派は薄氷を踏む思いで国政選挙を乗り切ってきたが、この次の総選挙も、決して楽観できるものとなりそうもない。これも、アベなきアベ政治の置き土産である。

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Published in 水曜日, 9月 2nd, 2020, at 22:35, and filed under 安倍政権.

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