桜を見る度に思い起こそう。そして語り継ごう。桜を見る会を私物化した、とんでもない首相がいたことを。
(2021年3月19日)
東京の昨日と今日とは、陽光燦々春も本番の趣。天気上々なれば気分も悪かろうはずはない。上野の桜ももうすぐ見頃。ヨウコウは満開、オオシマザクラは五分咲き、そしてソメイヨシノもちらほらと咲き始めている。コロナ禍のさなか、マスクは手放せないが、間もなく庶民の「花見・桜を見る会」の時期。ちょうど符節を合わせたように、安倍晋三の「桜を見る会・前夜祭」疑惑を忘れるな、という検察審査会議決。
本日書留郵便で、東京第五検察審査会からの、被疑者配川博之に対する審査申立に対する議決書が届いた。内容は、末尾に転載のとおり。
この件の審査申立対象の主役は安倍晋三である。起訴・有罪に持ち込むことができれば、彼の議員としての地位は失われる。彼は、それだけの犯罪を犯してきた人物なのだ。配川は、その公設秘書で端役に過ぎない。後援会長とされていただけの人。しかも、既に略式起訴が確定して有罪(罰金100万円)となっている。
東京地検特捜部は昨年12月、安倍晋三後援会の2016?19年分政治資金収支報告書に、桜・前夜祭の会食費に関する収支計約3022万円を記載しなかったとして、政治資金規正法違反罪で後援会代表だった配川を略式起訴した。が、2015年分については起訴の対象としなかった。会計帳簿の原本が失われていたことが理由とされている。検察審査申立は、これを不服としたもの。
検察が起訴しなかった2015年の「桜前夜祭会食費」について、検察審査会議決は「不起訴不当」と判断した。今後、東京地検が再度捜査し、起訴するかどうかを判断することになる。
この議決書、「検察官の不起訴は、一般市民の感覚では納得できない」とし、「収支報告の原本を廃棄しないための法改正・運用改正を求めている」などの点で立派なものとなっている。
実は、配川に対する審査申立は、時効の関係から急ぐ事情があるとして、安倍告発の本体から、切り離して別事件とした経緯がある。理由はともあれ、配川についての「不起訴不当」の議決は、やや物足りない。安倍に対する審査申立本体では、是非とも「起訴相当」の議決がほしいところ。そして…、毎年桜の咲く季節には、桜疑惑を思い出そう。国政を私物化し、選挙民を会食に誘っては飲食の費用を補填していた、とんでもない首相がいたことを。
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令和3年3月18日
令和3年(申立)第4号
審査申立人 澤藤 大河 殿
同 澤藤統一郎 殿
東京第五検察審査会
通 知 書
当検察審査会は,上記審査事件について議決したので,別添のとおり,その要旨を通知します。
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令和3年東京第五検察審査会審査事件(申立)第2号,同第3号,同第4号
申立書記載罪名 政治資金規正法違反
検察官裁定罪名 政治資金規正法違反
議 決 年 月 日 令和3年3月3日
議決書作成年月日 令和3年3月17日
議 決 の 要 旨
審査申立人(第2号事件)
上 脇 博 之
審査申立人(第3号事件)
泉 澤 章 外6名
審査申立人(第4号事件)
澤 藤 大 河 外1名
被疑者 配 川 博 之
不起訴処分をした検察官
東京地方検察庁 検察官検事 田 渕 大 輔
上記被疑者に対する政治資金規正法違反被疑事件(東京地検令和2年検第18326号)につき,令和2年12月24日上記検察官がした不起訴処分の当否に関し,当検察審査会は,上記申立人らの申立てにより審査を行い,次のとおり議決する。
議 決 の 趣 旨
本件不起訴処分は不当である。
議 決 の 理 由
1 本件は,安倍晋三後援会(以下「後援会」という。)の会計責任者であった被疑者が,政治資金規正法により山口県選挙管理委員会に提出すべき後援会の平成27年分の収支報告書に平成27年4月に東京都内のホテルで開催された「安倍晋三後援会桜を見る会前夜祭」(以下「前夜祭」という。)における収支を記載しないで,山ロ県選挙管理委員会に提出したという事案である。
なお,平成28年分から令和元年分までの収支報告書に前夜祭の収支を記載しないで山ロ県選挙管理委員会に提出した事実については,既に略式命令がなされている。
2 本件不起訴処分記録並びに各審査中立書及び審査申立人が提出した資料等を精査し,慎重に審査した結果は次のとおりである。
(1)本件不起訴処分記録及び審査申立人が提出した資料等によると,平成27年度の収支報告書の原本(以下「本件原本」という。)は保管期限の経過により既に廃棄されていること,山口県選挙管理委員会が情報公開により開示をしてインターネットで公表ざれている平成27年度の収支報告書の写し(以下「本件写し」という。)は宴会費等を記載すべき部分を含む支出項目や会計責任者が署名する宣誓書等が欠落している不完全なものであることが認められる。
(2)しかし,本件不起訴処分記録によると,被疑者は,本件原本に平成27年の前夜祭の収支を記載しなかったことを認めている。
(3)また,平成27年の前夜祭の収入については,本件写しには収入に関する部分に欠落がないので,本件原本にも同年の前夜祭の収入が記載されていなかったことが認められる。
(4)そして,平成27年の前夜祭の支出については,仮に本件原本に支出項目の部分が欠落していたとしても,本件写しに記載されている平成27年度の支出総額よりも,証拠上認められる同年の前夜祭の支出額の方が多額であることから,本件原本における支出総額の記載は,同年の前夜祭の支出額を加えた記載でなかったことは明らかである。
(5)そうすると,本件原本が既に廃棄されていたとしても,他の証拠によって事実を認定できるので,本件を不起訴とした検察官の裁定は,一般市民の感覚では納得できない。
よって,上記趣旨のとおり議決する。
3 なお,本件では,本件原本が廃棄されているために原本自体を証拠とすることができないので,他の証拠から不記載罪が認定できるかどうかを検討せざるを得 ないが,当検察審査会としては,このような事態を避けるために,不記載罪の公 訴時効が完成するまでは収支報告書の原本を廃棄しないように,法律や運用を改める必要があると考える。
東京第五検察審査