澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「法と民主主義」5月号紹介。「ロシアのウクライナ侵略に抗議する ― 9条徹底の立場から」

(2022年5月6日)
 「法と民主主義」2022年5月号【568号】が、連休にはいる前の4月27日に発刊になっている。特集は、「ロシア―ウクライナ問題」だが、メインタイトルは、「ロシアのウクライナ侵略に抗議する」。そして、副題が「9条徹底の立場から」。拠って立つ立場を明確にしての、平和論であり、9条改憲反対論の特集である。いずれも、時宜にかなった力作。掛け値なく読み応えは十分。学習(会)資料としても使える。ぜひ、ご購読だけでなく、熟読いただきたい。

特集・ロシアのウクライナ侵略に抗議する ― 9条徹底の立場から

◆戦争はやめろ! 絶対に殺すな! ── 特集にあたって … 新倉 修
◆巻頭論文●ウクライナ危機における国際法と国連の役割 … 松井芳郎
◆インタビュー●軍事侵攻の根本原因と市民社会の役割を考える … 君島東彦
◆ウクライナ戦争と日本政府の責任、そしてわれわれは … 和田春樹
◆歴史の針を巻き戻すプーチンの戦争 … 木畑洋一
◆軍事侵攻を契機とする反9条論と改憲論 … 清水雅彦
◆台湾有事の発生を阻止するための外交力こそ … 猿田佐世
◆ウクライナ侵攻を考える ── イラク訴訟の経験から … 川口 創
◆そして、誰もいなくなる前に ── 核兵器による威嚇を許さない … 和田征子
◆ロシアにおける「言論抑圧」 … 竹森正孝
◆ロシアの軍事侵攻に抗議する各地の運動 … 大山勇一
◆【資料】
 ・ウクライナ侵略をめぐる動き
 ・ロシアのウクライナへの軍事侵攻に対する平和を求める声明等を発出した団体

◆連続企画・憲法9条実現のために(37)
 「核共有論」の非現実性 … 前田哲男
◆司法をめぐる動き〈73〉
 ・旧優生保護法国賠訴訟 大阪高裁判決の意義 … 安枝伸雄
 ・3月の動き … 司法制度委員会
◆メディアウオッチ2022●《「核時代の戦争」と世論・情報・メディア その2》
 君は「核戦争」を想定するのか? テレビ、新聞での議論を考える … 丸山重威
◆とっておきの一枚 ─シリーズ?─〈№12〉
 明るいリアリスト … 松井繁明先生×佐藤むつみ
◆改憲動向レポート〈№40〉
 敵基地攻撃能力について「〔基地だけでなく〕中枢を攻撃することも含むべき」と
 主張する安倍晋三元首相 … 飯島滋明
◆インフォメーション
 あらためて緊急事態条項創設改憲案に反対する法律家団体の緊急声明/
 「改憲ありき」の拙速な憲法論議に異議あり(いま、憲法審査会は?4・7院内集会)
◆時評●プーチンによるウクライナ侵略 … 大久保賢一
◆ひろば●司法の限界? ── 一部に停止命令、一方で工事進行 … 丸山重威

https://www.jdla.jp/houmin/backnumber/pdf/202205_01.pdf

 松井芳郎巻頭論文が必読であることは当然として、君島東彦インタビューが短いながらも印象的である。ウクライナ国内にも、ウクライナの軍事行動を批判する平和運動があることを紹介したあとに、次の言葉がある。

 「日本国憲法の平和原理の核心は、安全を確保するために軍事力依存を極小化し(軍事主権の放棄)、他国との信頼関係を構築するというもの(共通の安全保障)です。安全保障のためにはなによりも武力紛争を「予防」するために積極的に行動することが大切です。21世紀に入って、『受け身の応答から積極的な予防へ』と言われるようになりました」

 そして、「積極的な武力紛争予防」のキーワードが「信頼関係」の構築であるという。「市民に求められているのは、軍事力を使えない環境―信頼関係―を作る努力です」「国境を越えて連帯する市民、越境的市民の連帯が東アジアにおいて平和を構築する努力をしているのです」

 また、清水雅彦論稿が、こういう比喩を述べている。耳を傾けたいと思う。
    
「人が強盗にあったとき、
   ? 強盗が刃物を持っていようが闘う
   ? その場から逃げる
   ? 強盗の要求通り財布を差し出す
という選択肢が考えられるが、?や?の選択を責めることはない。
 しかし、これが国家による戦争だと、なぜ戦うことが当然かの議論になるのだろうか」
 「今回の件でも、ウクライナ国民が
   ? ロシア軍と戦う 
   ? 国内外に逃げる
   ? 降伏する
という選択肢から自身の判断で選択できるのが望ましく、兵役の拒否も保障されるべきである。特に?は屈辱的なことではあるが、犠牲者を最小限にする。時間がかかっても国際世論を背景にした非軍事・不服従等で抵抗するという選択肢もあるはずだ。単純に「非武装」「非戦」(無抵抗ではない)がダメとはならない」

https://www.jdla.jp/houmin/index.html

そして、お申し込みは下記URLから。
https://www.jdla.jp/houmin/form.html 

 なお、「『維新』とは何か」を特集した「法と民主主義」4月号【567号】の売れ行きが好調で、在庫が枯渇しそうとの報告。ぜひ、こちらも、お早めの申し込みを。

https://www.jdla.jp/houmin/backnumber/202204.html

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