澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

大相撲千秋楽の国歌斉唱に異議あり。自衛隊の伴奏にさらに異議あり。

大阪府立体育館での大相撲春場所が終わった。荒れる春場所とはならなかった。予定調和のごとく白鵬(モンゴル)が優勝。これを追う逸材として照ノ富士(モンゴル)が名乗りを上げた。大関候補というよりは、逸ノ城(モンゴル)とともに近い将来の横綱候補といってよい。さらに、栃の心(グルジア)、大砂嵐(エジプト)、臥牙丸(グルジア)など、やがて上位を外国勢が独占する勢い。

2006年初場所の大関栃東を最後に、連続55場所日本人力士の優勝が途絶えている。公平に見て、さらにしばらくは日本人力士の優勝はなかろう。しかし、大相撲の心地よさは、よい相撲を見せる力士には人種や国籍を問わず声援が飛ぶことだ。

日本相撲協会の公式サイトでは来場者アンケートによる「敢闘精神あふれる力士」を毎日掲載している。千秋楽は、トップが照ノ富士、2位日馬富士、3位白鵬とモンゴル勢の独占。場所を通じてのトップは断然照ノ富士だった。
http://www.sumo.or.jp/honbasho/main/kanto_seishin

かつて実力ナンバーワンだった小錦の横綱昇進が見送られたとき、差別の臭いを感じさせられた。が、今そんなことをしていては、興行としてなりたたない。協会の姿勢をここまで糺した、日本の相撲ファンはけっこう質が高いのではないか。

で、目出度く千秋楽かといえば、実はちっとも目出度くはない。千秋楽の君が代斉唱には以前から大きな違和感あって異議を唱えてきた。外国人力士の活躍はその違和感をいっそう大きくしている。くわえて今場所は、別の問題が生じている。君が代斉唱の伴奏が、「陸自第3音楽隊」になったというのだ。

私は産経は読まないし、絶対に買わない。ささやかな経済制裁を続けている。その産経の関西版に、こんな記事があることを教えてもらった。

「国技の国歌斉唱、ぜひ国の守り手で」春場所千秋楽、陸自第3音楽隊が初の伴奏(産経・関西)
http://www.sankei.com/west/news/150321/wst1503210024-n1.html

「22日の千秋楽での表彰式前に行われる国歌斉唱の伴奏を、陸上自衛隊第3音楽隊(兵庫県伊丹市)が今場所初めて担当する。春場所以外の本場所(東京・名古屋・福岡)ではすでに各地の自衛隊音楽隊が伴奏を担当。大阪での第3音楽隊の初登場で、全ての本場所で自衛隊音楽隊が“そろい踏み”となる。
 『国技の本場所での国歌斉唱はぜひ、国の守り手の自衛隊にお願いしたい』
 春場所の表彰式での伴奏について、日本相撲協会から自衛隊大阪地方協力本部を通じて、第3音楽隊に要請があった。
 昨春までは約30年間、大阪市音楽団(オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラに名称変更)が担当。昨年4月に同市直営から一般社団法人化したことで、相撲協会との交渉で演奏料などの折り合いがつかず、降板することに。そこで、第3音楽隊に白羽の矢が立った。
 第3音楽隊の阿部亮隊長=1等陸尉=は『たくさんの観客の前での演奏なので、立ち居振る舞いから緊張感をもって行いたい』と練習に余念がない。22日は表彰式での賜杯授与時の『得賞歌』と優勝パレード出発時『国民の象徴』の各演奏も担当する。
 第3音楽隊は昭和35年に発足した陸自第3師団の直轄。現在40人の編成で音楽を主任務とする専門部隊だ。」

恥ずかしながら、「大相撲の年6回の本場所では、東京では陸自東部方面音楽隊などが、名古屋では陸自第10音楽隊が、福岡では陸自第4音楽隊などが、それぞれ国歌斉唱などの伴奏を担当している」ことは知らなかった。何よりも、「国技の国歌斉唱は国の守り手の自衛隊に」という協会の姿勢は、到底許容しがたい。

ところで、公益財団法人日本相撲協会は、その定款(今は「寄付行為」という言葉は使わない)における設立目的に「太古より五穀豊穣を祈り執り行われた神事(祭事)を起源とし、我が国固有の国技である相撲道の伝統と秩序を維持し継承発展させる」とある。協会は、「我が国固有の国技である相撲道の伝統と秩序」とは、日本の軍事とともにあるという認識なのだ。だから、「国技」(相撲)と「国歌斉唱」(君が代)と「国の守り手」(自衛隊)とは、よく似合うというわけだ。

こうして、「日の丸・君が代」と自衛隊とが、一緒になって市民生活に入り込んでくる。そして、君が代斉唱に唱和するよう社会的同調圧力が強まることになる。大相撲だけではない。オリンピックも、国民体育大会も、プロ野球開幕式も同じように警戒しなければならない。

とりあえずは、産経だけにではなく、大相撲も個人的経済制裁の対象としよう。金輪際大相撲などは観に行かない。関連グッズも買わない。まことにささやかだが、宣言的効果くらいはあるのではないか。
(2015年3月23日)

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