澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

あなたにドブに捨ててもよい金があって、健康被害のリスクを厭わない勇気をお持ちなら、「健康食品」をお求めなさいー「DHCスラップ訴訟」を許さない・第58弾

私が、DHC吉田の批判記事を書いたのは、私怨や私憤の動機からではない。そもそも私はDHCという企業について格別の関心を持っていたわけではない。吉田嘉明の名前は、まったく知らなかった。私怨や私憤の感情が湧くはずもない。

私のブログ記事の動機は二つ。一つは、政治とカネの問題での意見表明である。政治が金で動かされてはならない。とりわけ国民の目の届かない「裏の金」が政治を支配するようなことがあってはならない、ということ。そして、もう一つが消費者問題の視点である。企業はその利潤を追求するために、消費者に対して、不要なもの、あるいは有害なものさえ売り付ける。これを防止するためには行政による厳格な規制は不可欠だが、業界は常にこれを嫌って規制をなくそうと画策する。このような消費者の利益に反する行為は許せないということなのだ。

だから、私はこう書いた。
「DHCの吉田嘉明は…、化粧品やサプリメントを販売してもっと儲けるためには厚生行政や消費者保護の規制が邪魔だ。小売業者を保護する規制も邪魔だ。労働者をもっと安価に使えるように、労働行政の規制もなくしたい。その本音を、『官僚と闘う』『官僚機構の打破』にカムフラージュして、みんなの党に託したのだ。」「自らの私益のために金で政治を買おうとした主犯が吉田。その使いっ走りをした意地汚い政治家が渡辺。渡辺だけを批判するのは、この事件の本質を見ないものではないか。」(2014年4月8日)

私は、40年余の弁護士としての職業生活を通じて、一貫して消費者問題に取り組んできた。消費者問題を資本主義経済が持つ固有の矛盾の一つとして把握し、資本の利潤追求の犠牲となる市民生活の不利益を防止し、救済しなければならないと実践し続けてきた。また、医療過誤訴訟や薬害などの医事訴訟にも、もっぱら患者の立場から取り組んできた。

健康食品やサプリメントの跋扈については心穏やかではいられない。消費者の無知に付け込んでの巧妙な広告で、種々の商品やサービスを売り付けるのが典型的な悪徳商法。健康食品の売り方も、まったく同じ構造と考え、DHCに限らずこの業界の問題点を広く消費者に啓発したいと考えてきた。

その気持が、「DHCといえば、要するに利潤追求目的だけの存在」「広告で消費者を踊らせ、無用な、あるいは安全性の点検不十分なサプリメントを買わせて儲けたい」というブログの文章になった。もちろんこのことは、DHCだけについてだけではなく、数え切れないほどの「健康食品販売会社」「サプリメント販売業者」に通有のことなのだ。

今さら麗々しく言うまでもないことだが、健康食品として売られている商品は、医薬品ではない。医薬品は、その薬効や安全性について、厳格な審査手続を経て行政の許可や承認を得なければならない。薬効薬理試験・薬物動態試験・安全性薬理試験・毒性試験等々の過程を経て、薬効や安全性が確認されたものだけが厳重な管理のもとに処方され、あるいは売薬となる。国民の健康保持のために厳重な行政規制が行われているのだ。

そのような医薬品でさえ、副作用による健康被害は避けられない。これに備えた医薬品副作用健康被害救済制度が整えられている。

だから、医薬品ではない健康食品やサプリメントには、効能のエビデンスがないことは常識なのだ。効能のない商品を売るだけならまだしも、口に入れるものであるのに、その安全性のチェックはなされていない。もちろん、副作用が生じた場合の被害補償の制度もない。

薬事法は、厳格な手続を経て承認された医薬品以外の商品について、薬効を唱うことを禁じている。健康食品やサプリメントについて、「○○に効く」などと宣伝してはならない。薬事法違反だけではなく、「不当景品類及び不当表示防止法」(景表法)違反にもなる。

それを踏まえて、この業界は、「違法すれすれ宣伝」で商品を売り付け、莫大な利益をあげているのだ。高橋久仁子群馬大学教授の「フードファディズムーメディアに惑わされない食生活」(中央法規出版)には、このあたりの事情が分かり易くまとめられている。

「違法すれすれ宣伝」の工夫として編み出された常套手段は次の三つ。いずれも、メデイアに満載されている。このような宣伝にお目にかからぬ日はない。

(1) キーワードはずし
 「糖尿病に効く」と書けば薬事法違反。だから、「糖尿が気になる方へ」と、「効く」という効能のキーワードを外す手法。消費者が勝手に行間を読んで「効く」と誤解しても、業者の責任ではないというわけだ。

(2) 擬装「研究会」からの情報発信
 健康食品を売りたい業者が、「○○研究会」を名乗って情報発信するという形をとる手法。手の込んだバリエーションはたくさんあるという。

(3) 効果体験談
 業者が「効能・効果」を標榜しているのではなく、その商品利用者の体験談を紹介しているだけという体裁をとる手法。もっともこの体験談の真偽のほどは確認のしようがない。この人にたまたま効いたからとて、私にも効く保証はない。また、有害情報は語られることがない。

薬功がないのは当然の前提として、最大の問題は安全性についてである。医薬品のような規制や管理の整備はなく安全の確認はなされていない。企業がどのように都合のよい宣伝をしようとも、公正な立場からの安全性のチェックはないのだ。

まずは、ぜひとも、下記の各ホームページを開いてご覧あれ。その上で、健康食品やサプリメントの類を摂取しようという勇気のある人だけが、リスク覚悟の自己責任でカネを出せばよい。

国立健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
  https://hfnet.nih.go.jp/

厚生労働省 食品の安全に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/qa/index.html

私は一昨日のブログで、「あなたが健康を願うのなら、健康食品の摂取はおやめなさい」と書いた。今日はそれを改めよう。「あなたにドブに捨ててもよい金があって、健康被害のリスクを厭わない勇気があるなら、「健康食品」をお求めなさい」と言うべきなのだ。消費者の利益のためにそう申しあげたい。

さて、内閣府の審議会「食品安全委員会」の「いわゆる『健康食品』の検討に関する報告書」を一部ご紹介したい。ぜひとも、下記のURLをクリックして、「報告書」「メッセージ」「Q&A」をご覧いただきたい。これを読めば、健康食品やサプリメントを買おうという意欲はなくなるはずだ。「これまで払った金を返せ」とも言いたくなるだろう。
  https://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.html

まずは、異例の委員長の「国民の皆さまへ」と題する呼びかけを引用しておこう。誇大広告による健康食品健康被害を避けるために、このような呼びかけが必要な事態なのだ。

「若さと健康を願うあなたに」、「△△の健康のための○○」といったキャッチフレーズを、毎日たくさん見聞きします。そして、医薬品のようにカプセルや錠剤の形をしたサプリメント、「健康によい」成分を添加した飲料や食品など、さまざまな「健康食品」が売られています。今や国民のおよそ半分の方々が、こうした「健康食品」を利用されているという調査もあり、「健康食品」市場が拡大しています。これは、健康で長生きしたいという古来変わらない人々の願望の表れでしょう。

「健康食品」がこのような願いに応えるものならばよいですが、残念ながら、現代でも「これさえ摂れば、元気で長生きできる」という薬や食品はありません。それどころか逆に、「健康食品」で健康を害することもあります。しかも、そのような情報は皆様の目に触れにくいのが現状です。消費者は、「健康食品」のリスクについての情報を十分に得られないまま、効果への期待だけを大きくしやすい状態に置かれているといえます。

食品安全委員会ではこういった状況を憂い、幅広い専門家からなるワーキンググループを作り、「健康食品」の安全性について検討しました。まず「健康食品」から健康被害が起こる要因を挙げ、次にその要因ごとに、健康被害事例などを含めた文献などからの科学的事実を調べ、皆様に知っていただきたい要点として取りまとめました。そうして作成した報告書からさらに抜粋して、皆様に向けて19項目のメッセージをまとめました。これらには「健康食品」で健康被害が出ることをなくしたいという本委員会の願いを込めました。

その中でお伝えしたいことのエッセンスは下記のとおりです。「健康食品」を摂るかどうかを判断するときに、是非知っておいていただきたいことをまとめてあります。これらを読んで、「健康食品」についての科学的な考え方を持って、その判断をしてください。健康被害を避けるためにとても大切な知識です。

内閣府審議会の報告書でありメッセージである。多少のぼかしはやむを得ない。しかし、行間を読めば、「効能が確認されている健康食品はない。」「安全性が確認されている健康食品もない。」「むしろ有害を心配しなくてはならない。」と言っている。私の意見で補えば、「業者のあの手この手の宣伝に引っかかるのは愚かだ」「効き目はなく、安全性も確保されていないものを金を出して買うことはない」「あなたが、本当に健康を願うのなら、健康食品もサプリメントも直ぐにおやめなさい」と理解すべきなのだ。

さらに次のようにもいう。
「健康食品」は医薬品ではありません。品質の管理は製造者任せです。
・ 病気を治すものではないので、自己判断で医薬品から換えることは危険です。
・ 品質が不均一、表示通りの成分が入っていない、成分が溶けないなど、問題ある製品もあります。成分量が表示より多かったために健康被害を起こした例があります。
このことが繰りかえし語られている。

21項目の「Q&A」のうち、Q18が「健康食品は健康によいと言って販売されていますが、これまで健康被害が報告されたことはありますか?」というもの。
これに対する回答全文が、次のとおり。
「健康食品として販売されているものは、食品ですから、ほとんどのものは健康に対する効果や安全性は評価されていないので、安全が担保されているわけではありません。また、医薬品のような品質の管理はされていませんので、中には有害な成分を含んでいて健康被害を起こす例も見られます。
実際に、ビタミンやミネラルなど微量栄養素を過剰に摂取したために起こった健康被害や、痩身目的などの健康食品での死亡事故が報告されています」

この「Q&A」を読むと、子どもには摂らせるべきでない。妊娠中はやめてください。高齢者はサプリメントを摂るべきではない。病弱な人もおやめなさい。他人の効果を鵜呑みにしてはいけません。痩身効果をうたったダイエット食品で、人での安全性が実証されているものはほとんどない。現在の日本人にサプリメントでビタミンやミネラルを補う必要はない。むしろ、セレン、鉄、ビタミンA、ビタミンDの過剰症に要注意。注意は、トクホや機能性表示食品についても同じ。…

キリがないが、もう一つだけ引用しておこう。19のメッセージのうちの第14である。
⑭ ダイエットや筋力増強効果を期待させる食品に注意すること。
痩身効果をうたった食品は、医薬品と違い、効果が実証されているものは ほとんどありません。脂肪の吸収を阻害する、代謝を促進するといった宣伝をしていたとしても人で効果や安全性がきちんと調べられているものはほとんどありません。「運動や食事制限なしに痩せられる」といった類のメッセージには注意が必要で、多くは効果がないと思われますが、仮に通常の食品と異なる何らかの生理的効果があるとすれば、安全性の面で問題となるリスクが高いと考えられます。こういったものには医薬品成分や類似成分、規制対象となる成分が含まれているものもあり、過去にも痩身効果をうたい違法に 医薬品成分等が添加された製品で重篤な肝障害や死亡を起こした例もあります。また、筋肉増強効果をうたった食品でも死亡事例が起きています。医薬品成分が添加された製品は、食品ではなく、無承認無許可医薬品となりますが、行政が摘発しなければ「健康食品」と称して販売されています。これらの安易な利用には注意が必要です。

私の健康食品業界批判、そしてDHC吉田批判は不当だろうか。
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   DHCスラップ訴訟12月24日控訴審口頭弁論期日スケジュール
DHC・吉田が私を訴えた「DHCスラップ訴訟」は、本年9月2日一審判決の言い渡しがあって、被告の私が勝訴し原告のDHC吉田は完敗となった。しかし、DHC吉田は一審判決を不服として控訴し、事件は東京高裁第2民事部(柴田寛之総括裁判官)に係属している。

その第1回口頭弁論期日は、
クリスマスイブの12月24日(木)午後2時から。
法廷は、東京高裁庁舎822号法廷。
ぜひ傍聴にお越し願いたい。被控訴人(私)側の弁護団は、現在136名。弁護団長か被控訴人本人の私が、意見陳述(控訴答弁書の要旨の陳述)を行う。

また、恒例になっている閉廷後の報告集会は、
午後3時から東京弁護士会502号会議室(弁護士会館5階)A・Bで。
せっかくのクリスマスイブ。ゆったりと、楽しく報告集会をもちたい。
表現の自由を大切に思う方ならどなたでもご参加を歓迎する。
(2015年12月11日・連続第986回)

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