澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

訴訟を手段として憲法を活かすー憲法訴訟(政教分離訴訟)の経験から

憲法訴訟の実践は、私の職業生活における究極のテーマ。
このほど、「壊憲か、活憲か」(ブックレットロゴス№12)に「訴訟を手段として『憲法を活かす」─岩手靖国訴訟を振り返って」の小論を収めた。

同書は、次の4編から成る。
「〈友愛〉を基軸に活憲を」
村岡  到    (季刊『フラタニティ』編集長)
「訴訟を手段として『憲法を活かす』─岩手靖国訴訟を振り返って」
澤藤統一郎(弁護士)
「自民党は改憲政党だったのか」─「不都合な真実」を明らかにする
西川伸一(明治大学教授)
「日本国憲法の源流・五日市憲法草案」
鈴木富雄(五日市憲法草案の会事務局長)
四六判128頁、価格は1100円+税。
案内は下記URLをご覧いただきたい。
http://logos-ui.org/booklet/booklet-12.html

お申し込みは、下記まで。
ロゴス〒113-0033東京都文京区本郷2-6-11-301
tel  03-5840-8525
fax 03-5840-8544

そして、小著には過分の出版記念討論会が予定されている。
と き  2016年9月3日(土)午後1時30分
ところ  明治大学リバティタワー6F(1064教室)
報 告  村岡 到 澤藤統一郎 西川伸一 鈴木富雄
司 会  平岡 厚
参加費  700円

執筆者が4人が、それぞれに報告する。持ち時間は各30分。下記に、私の報告のレジメを掲載する。論旨の要約だけでは芸がない。「憲法訴訟を手段とした活憲」にテーマを絞った報告をしたい。お越しいただけたらありがたい。

なお、同社は、「友愛を基軸に活憲を!」をテーマに、季刊『Fraternity フラタニティ』(友愛)を発刊している。最新号は、No.3 2016年8月1日。
ここにも、「私が携わった裁判闘争」を連載している。
下記のURLを開いていただいて、出来れば定期購読していただけたらありがたい。
http://logos-ui.org/fraternity.html

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2016・9・3
訴訟を手段として憲法を活かす
ー憲法訴訟としての政教分離訴訟
弁護士  澤藤統一郎
※「憲法を活かす」とは
☆憲法典それ自体は紙に書いた文字の羅列に過ぎない。
その理念を社会に活きたものとして活用しなければならない⇒(活憲)。
☆憲法の構造は、「人権宣言+統治機構」となっている。
・憲法とは何よりも人権の体系である。これが憲法の目的的価値。
・統治機構は、人権保障を全うするための国家の秩序を定めている。
平和・民主主義などは重要ではあるが、飽くまで「手段的価値」。
☆「憲法の理念を活かす」とは、
・究極的には人権という「目的的価値」を実現すること。
同時に、統治機構規定における「手段的価値」を実現すること。
・人権という「目的的価値」と、統治の理念としての「手段的価値」とは
緊密に結びついている。
☆緊密な両者の関係
・平和(⇔平和的生存権)
・国民主権(⇔参政権・選挙権)
・政教分離(⇔信教の自由)
・検閲の禁止(⇔表現の自由)
・大学の自治(⇔学問の自由)
・福祉政策(⇔生存権)
・教育の独立(⇔教育を受ける権利)
・象徴天皇制(⇔個人の尊厳)
☆「憲法を活かす」場
・立法 ・行政 ・地方自治 ・企業 ・地域 ・家庭
・教育 ・メディア
・司法権は、違憲審査権(憲法76条)をもって憲法保障機能を司る。
☆司法権の限界
・三権分立のバランス 非民主的な司法が強すぎてはならない
・日本国憲法では、付随的違憲審査制(憲法裁判所とは異なる)
・人権を侵害されたもののみが、その回復の限りで訴権を認められる。
・主観訴訟だけが可能。客観訴訟は不適法・却下となる。

※政教分離訴訟における「憲法を活かす」試み
☆政教分離とは、象徴天皇を現人神に戻さないための歯止め。
国家に対して「国家神道(=天皇教)の国民マインドコントロール機能」
利用を許さないとする命令規定である。
・従って、憲法20条の眼目は、「政」(国家・自治体)と「教」(国家神道)
との「厳格分離」を定めたもの
・「天皇・閣僚」の「伊勢・靖國」との一切の関わりを禁止している。
・判例は、政教分離を制度的保障規定とし、人権条項とはみない。
このことから、政教分離違反の違憲訴訟の提起は制約されている。
・住民訴訟、あるいは宗教的人格権侵害国家賠償請求訴訟の形をとる。
☆運動としての岩手靖国訴訟
(求めたものは、公式参拝決議の違憲、県費の玉串料支出の違憲確認)
靖国公式参拝促進決議は 県議会37 市町村1548
これを訴訟で争おうというアイデアは岩手だけだった
県費からの玉串料支出は7県 提訴は3件(岩手・愛媛・栃木)同日提訴
☆訴訟を支えた力と訴訟が作りだした力
戦後民主主義の力量と訴訟支援がつくり出した力量
神を信ずるものも信じない者も 社・共・市民 教育関係者
☆政教分離訴訟の系譜
津地鎮祭違憲訴訟(合憲10対5)
箕面忠魂碑違憲訴訟・自衛隊員合祀拒否訴訟
愛媛玉串料玉串訴訟(違憲13対2)
中曽根靖国公式参拝違憲国家賠償訴訟
滋賀献穀祭訴訟・大嘗祭即位の儀違憲訴訟
小泉靖国公式参拝違憲国家賠償訴訟
安倍首相靖国公式参拝違憲国家賠償訴訟(東京・大阪で現在進行中)
☆岩手靖国控訴審判決の意義と影響
・天皇と内閣総理大臣の靖国神社公式参拝を明確に違憲と断じたもの
・県費からの玉串料支出の明確な違憲判断は愛媛とならぶもの
・目的効果基準の厳格分離説的適用
目的「世俗的目的の存在は、宗教的目的・意義を排除しない」
効果「現実的効果だけでなく、将来の潜在的波及的効果も考慮すべき」
「特定の宗教団体への関心を呼び起こし、宗教的活動を援助するもの」
☆政教分離国家賠償訴訟の経験は、戦争法違憲訴訟等に受け継がれている。(2016年8月25日)

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