澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

松井一郎大阪府知事は、「瑞穂の國記念小學院」の設置認可をしてはならない

暦は、今日から草花の弥や生ふ春。夕方から降り始めた雨も、木の芽にやさしい。
この春の、与野党の攻防のテーマは、以下の「隠蔽・4点セット」なのだそうだ(毎日)。なるほど。
(1)文部科学省の天下りあっせん
(2)南スーダンに派遣された陸上自衛隊部隊の日報隠し
(3)「共謀罪」を巡っての法相の「質問封じ」
(4)森友学園の国有地格安取得

だが、問題はこれだけではない。「隠蔽セット」には豊洲の闇の解明を付け加えるべきだろうし、沖縄・辺野古新基地建設強行問題もある。アベ政権のトランプ追随姿勢も大きな問題だ。

数ある問題の中で、「アベ友疑惑事件」は、ようやく世間とメディアの大きな関心を惹くものとなってきた。極右とアベ妻との接触が出発点で、疑惑のデパートの様相を呈している。ここに来て森友学園のすさまじい極右教育の内容が話題となり、こんな教育を行う学校への設立認可に積極的だった橋下・松井の維新府政問題となっている。

この問題での攻防の焦点は、4月開校予定の「瑞穂の國記念小學院」の開設許可を阻止できるか否かとなっている。明らかに、松井知事は森友学園を見限っている。こんな「学校」を認可して、維新が日本会議の同類と見られることは避けたいという思惑。

そのような状況下で、本日(3月1日)自由法曹団大阪支部が、大阪府知事と府教育長宛てに、この小学校の設置認可をしないよう求める下記の要請書を提出した。要請の理由として、以下の5点を挙げている。
 1 教育基本法に反する行為
 2 財務基盤の脆弱性
 3 予算計画の杜撰さ
 4 土壌汚染の残存
 5 その他(民族差別・児童虐待など)

時宜を得た適切なものと思う。全国の多くの団体や個人が、これに倣った要請行動をされるよう、期待したい。

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学校法人森友学園「瑞穂の國記念小學院」の設置認可をしないよう求める要請書
大阪府知事  松井一郎殿
大阪府教育長  向井正博殿
2017年3月1日
自由法曹団大阪支部

第1 要請の趣旨
学校法人森友学園が認可申請をしている「瑞穂の國記念小學院」(大阪府豊中市)の設置認可をしないよう求める。

第2 要請の理由
1 学校法人森友学園は教育基本法に反する行為をする学校法人であること
報道によれば、学校法人森友学園(以下単に「森友学園」という。)が設置運営している塚本幼稚園は、運動会で園児らに「大人の人たちは日本が他の国々に負けぬよう尖閣諸島、竹島、北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が心改め歴史教科書で嘘を教えないようお願いします。」「安保法制、国会通過、よかったです。」「安倍首相がんばれ、安倍首相がんばれ」と選手宣誓させている。
また、森友学園の理事長である籠池泰典氏は、「美しい日本憲法をつくる1000万人賛同の輪を! 私は憲法改正に賛成します」の署名用紙を塚本幼稚園園児の保護者らに配布するなど署名活動を行っている。
これらの行為は、教育基本法が禁止する特定の政党を支持する政治教育その他の政治的活動(法14条2項)にあたり、違法であることは明らかである。
森友学園という同一の学校法人が運営し、瑞穂の園記念小學院と塚本幼稚回とは教育理念や教育方針が共通していることや、幼稚園と小学校には連続性があり、申請されている「瑞穂の國記念小學院」のカリキュラムを見ても、道徳の時間が国の基準では年34時間から35時間であるのに対し、年50時間と多く、これに加えて特別活動を1学年次、2学年次では、それぞれ年105時間を充てるとされていることからすれば、仮に小学校が設置認可されれば、塚本幼稚園と同様もしくはそれ以上の違法な政治活動が小学校でも行われる可能性が高いものと言わざるをえない。
このような違法行為を行う森友学園が認可申請している小学校を大阪府が設立認可するということは、森友学園が行う違法行為を大阪府が放置するにとどまらず、積極的に違法行為を援助、助長、促進させるという態度の表明に等しいことを特に銘記しなければならない。

2 森友学園の財務基盤が脆弱であること
私立学校の運営主体である学校法人は、継続的かつ安定的に責任ある学校運営を図るために、財務基盤が脆弱であってはならない。
この点、私立学校法に基づき設置を義務づけられた知事の諮問機関である大阪府私立学校審議会(以下「私学審」という)の2014年12月の定例会において、学校法人森友学園が本件小学校の設立にあたり私立学校会計基準の第2号準備金の積み立てを全くしていないこと、借入金が保有している流動資産よりも多いことが報告され、委員から同法人の財務基盤を懸念する意見が相次いで出ている。
現段階でも、森友学園は、私立学校を設置運営する主体として財務基盤が脆弱であるため、永続的かつ安定的な責任ある学校運営がそもそも期待できないものと言わざるをえない。
これに加えて、小学校敷地に供される予定の国有地(以下「本件国有地」という。)がその売買代金が1億3400万円と破格の値段で売買されており、本件国有地の売買は、国の財産は適正な対価なくしてこれを譲渡してはならないと規定する財政法9条1項違反の疑いがある。
今後の事態の推移によっては、本件国有地の適正価格と売却価額の差額分の返還を求められる可能性がある。そうなれば、現状でさえ脆弱な森友学園の財務基盤は一気に崩れ、危機的な状況に陥ることは明らかである。

3 予算の計画が杜撰であり、審査基準に適合しないこと
(1)上記第2号準備金の積み立てがなされず、小学校設置自体の計画性に疑問があることに加え、収入や支出の見通しについても委員から疑問視する意見が出されてきた経過がある。
私学審の2014年12月定例会では、入学者数の見込みの根拠資料となる豊中市内の幼稚園在園者の保護者に実施したとするアンケートについて、アンケートの配布状況や抽出の精度に偏りがあり、アンケートの結果は入学者予定数の見積もりの根拠として正確性を欠くのではないか等、入学者の見涌しについて委員から疑問視する意見が出されていた。
また、支出の面では人件費の割合が低いこと、収支計画についても、初年度から黒字というのは通常ありえない等の意見が委員から出され、開設7年目には借入れもなく土地まで購入できるとする計画についても委員から疑問視されていた。
(2)その後、条件付き認可答申を出したとされる2015年1月の臨時審議会でさえ、寄付金の割合が他の幼稚園に比べ多く、寄付金の申込内容の確証があるのか、寄付が実行されているのかどうか等、児童生徒を募集する前に精査するべきではないかとの意見が委員から出ていた。
また、支出の面では、他の「人件費の割合が30%も行かないような状態で小学校を経営できるのでしょうか、高校の場合なら相当ひどいことをしないといけない」との意見も委員から出ていた。
(3)これ以後の私学審の定例会でも森友学園からの報告について審議を継続していたが、4月1日の開校予定日まで残り1か月強となった2017年2月22日に開かれた臨時の私学審においても、財務状況や教育方針を疑問視する意見が委員から相次ぐなど、疑問や不安は依然として払拭されておらず、これは条件付きの認可答申を維持することに対して懸念する意見が表明されたものと理解できる。
このように、開校予定日の40日前になって、依然として学校法人森友学園の学校運営に係る財務状況や予算の計画等に対する疑念が払拭されないということは、もはやこれ以上疑念を払拭させる材料が提出される見込みはないと考えなければならない。
私学審は児童、保護者への影響を最小限にとどめるためにも、早急に認可撤回の判断をし、大阪府知事は森友学園の「瑞穂の園記念小學院」を認可しないとの結論を速やかに出すべきである。
学校法人森友学園による認可申請に伴い提出された予算計画については、適正な計画とはいえず、「開設年度から少なくとも2年間の学校運営に係る予算について、適正な計画を立てており、授業料、入学料等現金の経常的収入その他の収入で収支の均衡を保つことが可能であると認められること。」とする「大阪府私立小学校及び中学校の設置認可等に間する審査基準」(第1の7(8))に適合しないと大阪府知事、大阪府教育長は速やかに判断するべきである。

4 土壌汚染が残存している可能性があり児童の安全を確保できないこと
学校法人森友学園は、国から本件国有地を事業用定期借地権の契約を2015年5月29日に締結した。
その後、本件国有地の地下埋蔵物の撤去と土壌汚染対策を実施したとして、地下埋蔵物撤去費8632万4000円、土壌汚染対策費4543万6000円の内訳で合計1億3176万円が有益費として、国(大阪航空局)から学校法人森友学園へ2016年4月6日に支払われた。
さらに、同年6月20日、学校法人森友学園は国と売買契約を締結し本件国有地の売渡をうけたが、その売買価格は鑑定価格9億5600万円から地下埋蔵物撤去及び処理費用として約8億2000万円を差し引き、売買価格が1億3400万円とされた。
しかしながら、地下埋蔵物の撤去がされたのは実際には校舎の底地部分のみであり、その他の校庭部分などは、掘り起こしたものを敷地内に埋め戻し、撤去していないと森友学園理事長の籠池氏は明らかにしている。地下埋蔵物のみならず、汚染物質の除去が適正になされたのかについても疑問が残ると言わざるをえない。
そもそも、ヒ素や鉛等の有害物質がなぜ本件国有地から検出されたのか、その由来が明らかにされていない。由来が明らかになっていない以上、本件国有地の地下の深い箇所まで汚染されている可能性がある。一旦掘り起こした地下埋蔵物の埋め戻しをしたのであるから、学校予定敷地内の土壌には今もなお汚染物質が残存しているのではないかという疑念が生じる。
敷地内の土壌改良が適正になされ、ヒ素や鉛等の汚染物質が確実に除去されていることを検査し、土壌の安全を確認することは、児童の生命、身体の安全を確保するためには不可欠である。豊中市の協力を得ながらも、土壌の安全確認は、最終的には小学校の設置認可に関わる大阪府の責務として行うべきである。
仮に、大阪府が本件国有地の土壌改良後の安全確認をしないまま、設置認可をすることがあれば、児童の生命・身体の安全を軽視するものとの誹りを免れない。

5 結語
以上の理由のほかにも、森友学園が運営する塚本幼稚園では、園児の保護者に対し中国人や韓国人を蔑視する書面を交付したり、園児を決まった時間以外にトイレに行かせない等、園児を虐待する事案があるなどと報道されている。日を追うごとに森友学園の私立学校運営の適格性に疑念を生じさせる事態が次々と明るみになっている。
以上により、自由法曹団大阪支部は、児童、保護者の人権を擁護する見地から、森友学園による「瑞穂の國記念小學院」の設置認可をしないよう貴殿らに要請する次第である。

(2017年3月1日)

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