澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

もしや都民ファーストの会は、国民主権を「傲慢な思想」ととらえてはいないか。

都民ファーストの会なる地方政党が、都議会で55議席を獲得して、第一党に躍り出た。アベ一強政治の禍々しさに嫌気をさした都民の気分を受けとめ、アベ離れ票の受け皿になることに成功したこの組織。実は正体不明のままである。本当に、自民の批判勢力なのか、アベ政治対抗勢力として期待しうるのか。その実態を明らかにしていかなければならない。出る杭は大いに打つべし。

都民ファーストの会のホームページを見ても、また、その綱領や政策を見ても、この集団が何を考え、何をなそうとしているのか、伝わってくるものはない。とすれば、この組織の中心に位置する人物像を探らなければならない。そのキーパースンは二人。小池百合子と野田数である。

小池百合子が、政界渡り鳥であり、日本会議につながる右翼思想の持ち主であり、核武装論者でもあることはこれまでも語られてきた。都知事としての議会答弁でも、日の丸・君が代強制容認論者であることを露わにしている。しかし、野田数のなんたるかについて語られていることは過小である。

野田は、都民ファーストの会の設立当初からの代表であり、今回都議選の選挙期間中だけは小池を代表として自らは幹事長となったが、選挙が終わってまた代表に復帰した。都民ファーストの会と、そして小池都政が、このスキャンダラスな人物の動向に影響されるであろうことは否定し得ない。

野田は、1期だけ都議を務めている。自民党公認で当選して、在任中に東京維新なる組織を作ってその代表となった。この東京維新が世間の注目を集めたことがある。日本国憲法無効論にもとづく、「大日本帝国憲法の復活確認を求める請願」に賛成票を投じたことである。

2012年、トンデモ請願が都議会に提出された。その表題は「『日本国憲法』(占領憲法)と『皇室典範』(占領典範)に関する請願」という。内容は、「現行日本国憲法が憲法としては無効であることを確認し、大日本帝国憲法が有効に現存することの決議を求める」という恐るべき請願である。

請願者は憲法無効論者である弁護士の南出喜久治ほか5034人。東京維新の野田と、これも札付きの右翼として名高い土屋敬之の二人が紹介者となったもの。

なお、南出喜久治は京都の弁護士。弁護士にもいろいろあることはご存じのとおり。あのお粗末稲田朋美だって弁護士なのだ。南出は、所属弁護士会から3度懲戒処分を受けた人。3回目は次のような懲戒事由だった。

「2006年3月に京都市内の女性から債務整理の依頼を受け、所有する工場を残すよう頼まれ着手金など300万円を預かったにもかかわらず、2007年7月に依頼を解除されるまで必要な対応をせず、預かり金などを返却しなかったとして、2013年1月28日、京都弁護士会から業務停止3か月の懲戒処分を受けている」(ウィキペディア)。こういう人物が提出した請願なのだ。

請願は、まず総務委員会の審議にかけられる。同年9月18日総務委員会速記録によれば、請願の要旨は、
(1)「憲法、典範、拉致、領土、教育、原発問題などの解決のために必要な国家再生の基軸は原状回復論でなければならないことを公務員全員が自覚すべきであるとする決議がなされること。」
(2)「占領憲法(日本国憲法)が憲法としては無効であることを確認し、大日本帝国憲法が現存するとする決議がなされること。」
(3)「占領典範(皇室典範)の無効を確認し、明治典範その他の宮務法体系を復活させ、皇室に自治と自律を回復すべきであるとする決議がなされること」
の3点だという。

(1)は意味不明。(2)(3)はネトウヨ論法。現行憲法は占領軍の押しつけ憲法だ⇒だから無効⇒だから今だに大日本帝国憲法が有効に存在しているのだ。という「論理」。公の場では恥ずかしくて口にできない代物。これが、紹介議員を得て都議会に出てきたのだ。

共産党の吉田信夫委員が、正鵠を射た弾劾の意見を述べている。
〇吉田委員 「日本国憲法と皇室典範に関する請願について、一言意見を表明いたします。
本請願は、そもそも現行憲法及び皇室典範は無効であるとの認識を前提とし、大日本帝国憲法、明治典範が現存するという極めて特異な考えによるもので、その考えを都議会も認めよというものです。
しかし、先ほどの説明にもあったとおり、質問主意書への中曽根内閣の政府答弁でも、日本国憲法は、大日本帝国憲法の改正手続によって有効に成立したものであって、その間の経緯については、法理的に何ら問題ないとしており、無効論は成り立ちません。
憲法にうたわれた戦争放棄、主権在民などの諸原則は、決して一方的に押しつけられたものではなく、侵略戦争への深い反省に立った日本国民の願いを反映したものであり、世界の流れを反映したものです。
にもかかわらず、驚くべきは、請願者が、我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄してと、強調していることです。このような主権在民を否定し、時代を戦前に逆戻しさせるかの主張は、到底見過ごすことはできませんし、この請願に紹介議員となった二名の都議(野田と土屋)の良識も問われるものです。よって、本請願は不採択を求めるものです。

総務委員会では全会派の反対で不採択とすべき旨の議決がなされ、2012年10月4日の都議会本会議でも東京維新の会所属の3名と土屋の計4名が賛成に回ったものの、民主・自民・公明・共産・生活者ネット各党などの反対により不採択となった。
この点は、翌日(2012年10月5日)の赤旗が次のように報じている。

「大日本帝国憲法復活請願 『東京維新の会』が賛成」
「橋下徹大阪市長の『日本維新の会』と連携し、9月に結成した都議会新会派『東京維新の会』(民主・自民を離党した3人で構成)は4日の都議会第3回定例会最終本会議で、現行の日本国憲法を無効とし、戦前の『大日本帝国憲法』の復活を求める時代錯誤の請願に賛成しました。請願は日本共産党、民主党、自民党、公明党、生活者ネット・みらいなどの反対で不採択となりました。
請願は、天皇を元首として無制限に権力を与え、国民を『臣民』として、自由と権利を抑圧した大日本帝国憲法を美化。『我々臣民としては、国民主権という傲慢(ごうまん)な思想を直ちに放棄』して、日本国憲法を無効とし、大日本帝国憲法は現存するとの都議会決議を求めています。」

「また、東京維新の会は、都内在住外国人への生活保護支給の減額・廃止を求める陳情に賛成しましたが、反対多数で不採択となりました。」

この東京維新の代表が、野田数なのだ。「『我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄』すべきとして、憲法無効論に基づく大日本帝国憲法の復活確認を求める請願に賛成票を投じた」この人物が、いまは都民ファーストの会の代表である。これが、小池百合子のもっとも信頼する同志なのだ。

小池チルドレンと言われる皆様方よ。あなた方の政党の代表が、かような人物であることをご存じなのだろうか。
(2017年7月3日)

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Published in 月曜日, 7月 3rd, 2017, at 23:47, and filed under 都政.

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