「解釈改憲による集団的自衛権行使容認」の世論は絶対少数だ
安倍政権がたくらむ解釈改憲によっての集団的自衛権行使容認の可否が、憲法問題の当面の焦点である。ようやく、各メディアとも、この問題に大きな関心を寄せてきている。
たまたま、「朝日」「毎日」「日経」「共同通信」4社の世論調査結果が、26日付の各紙で発表になった。消費増税の世論調査とセットになって、そちらに見出を取られたために必ずしも注目度が高くない。が、「(集団的自衛権行使容認に)『反対』の声が広がっていることが報道各社の世論調査で明らかになりました」と、本日の赤旗が報道しているとおりである。
各紙の調査結果は以下のとおり。
「日経」 集団的自衛権の行使容認に「賛成」 32%
集団的自衛権の行使容認に「反対」 54%
「毎日」 集団的自衛権を行使できるようにした方がいいと思う 37%
行使できるようにした方がいいと思わない 53%
「朝日」 憲法解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにする賛成 27%
憲法解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにする反対 59%
「共同」 憲法解釈の変更で集団的自衛権行使を容認すべき 20・0%
憲法を改正して行使を容認すべき 24・1%
集団的自衛権については「行使できないままでよい」 47・4%
選択肢を3個にした点については共同の調査が行き届いている。「毎日」の「集団的自衛権を行使できるようにした方がいいと思う 37%」は、「解釈改憲による集団的自衛権行使容認」の意見だけでなく、「堂々と改憲の手続を踏んでの集団的自衛権には賛成だが、解釈改憲という姑息な手段によることには反対」という意見をも含むものとなっている。今、その両者の区分けが重要な論争点になっているにもかかわらず、である。
いずれの調査結果も、「憲法解釈の変更によっての集団的自衛権行使を容認する」世論は、絶対少数である。安倍政権の薄汚い解釈改憲手法に拒絶反応があることは、共同の「3選択肢設問」に対する回答が示唆するところである。
安倍政権は、けっして強固な国民の支持を得てはいない。とりわけ、憲法問題においては。ここで世論を読み間違えて強引な手法に走ると、あっという間に政権は崩壊しかねない。各調査結果はそう語っている。なお、今後の推移を注視したい。
以上の世論調査結果について、本日の「朝鮮日報」(日本語版)が、共同の調査を中心に詳しく報じ、関連して次の記事を掲出している。(「朝鮮日報」は韓国最大発行部数のクォリティペーパー)
「共同通信が26日報じたところによると、日本政府と自民党は、集団的自衛権の行使に向けた手続きを盛り込んだ『集団的自衛事態法(仮称)』の制定を検討しているという。自民党が現在検討している『集団的自衛事態法』は、米国などの同盟国が第三国から攻撃を受け、日本に支援を要請した場合、首相が自衛隊の出動計画を立て、国会の承認を得られるようにするという内容だ。また、国会の議決によって、集団的自衛権の行使を中断するという内容も盛り込まれる見通しだ。共同通信は『集団的自衛権の行使について、国会の承認を義務付ける内容が盛り込まれているのは、(自民党と連立政権を組む)公明党や野党の反対を抑えるためだ』と報じた。だが、緊急事態が発生した場合、事後承認を認めるか否かについては論議を呼ぶとみられる」
日本の集団的自衛権問題についての、韓国メディアの関心の高さを窺うことができる。当然に、中国やシンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン等々も同様であろう。安倍政権の憲法政策は、国の内外から、鋭敏な眼で見つめられている。いやそれだけではなく、人類史が積み重ねてきた叡智と良心から見つめられていると知るべきだろう。
(2013年8月27日)