次回口頭弁論は2月25日(水)10時30分 ー 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第36弾
私が被告になっているDHCスラップ訴訟の次回口頭弁論が近づいてきました。日程をご確認のうえ、是非傍聴にお越しください。
2月25日(水)午前10時30分? 口頭弁論期日
東京地裁631号法廷(霞ヶ関の地裁庁舎6階南側)
同日11時00分? 弁護団会議兼報告集会
東京弁護士会507号会議室(弁護士会館5階)
今回の法廷では、前回期日での裁判長からの指示に基づいて、
被告が再度の主張対照表を提出し、原告が被告の準備書面3・4に対する反論の準備書面を陳述の予定です。
法廷終了後の報告集会兼弁護団会議は、東京弁護士会館507号室で、11時?13時の時間をとっていますが、実際には正午少し過ぎくらいまでになると思います。
報告集会の予定議事は次のとおりです。
☆弁護団長の進行経過と次回以後の展望の説明。
裁判所の求釈明の趣旨と本日陳述の準備書面の内容
当日の法廷を踏まえて、次回以後の審理の展望
☆ミニ講演 「スラップ訴訟と表現の自由」
内藤光博専修大学教授
☆議事1 審理の進行について
本日までの審理の経過をどう見るか。
今後の主張をどう組み立てるか。
☆議事2 DHCスラップ訴訟第1号・折本判決(1月15日・地裁民事30部)をどう評価し、本件にどう活用するか。他事件被告弁護団との連携をどうするか。
☆議題3 今後の立証計画をどうするか。
☆議題4 反訴の可否とタイミングをどうするか。
☆議題5 マスコミにどう訴え、どう取材してもらうか
☆議題6 同種の濫訴再発防止のために何をすべきか
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本件はいくつもの重要な意義をもつ争訟となっています。
(1) まず何よりも、憲法21条によって保障されている「表現の自由」が攻撃されています。この訴訟は、不当な攻撃から表現の自由を守る闘いにほかなりません。
しかも、攻撃されている表現は、典型的な政治的言論です。仮に、いささかでも被告の表現が違法とされるようなことがあれば、およそ政治的言論は成り立ち得ません。
(2) 本件で攻撃の対象とされた表現の内容は「政治とカネをめぐる問題」です。具体的には、「大金持ちが、金の力で政治を左右することを許してはならない」とする批判の論評(意見)です。現行法体系における政治資金の透明性確保と上限規制の重要性が徹底して論じられなければなりません。
(3) しかも、原告の攻撃の直接的対象は、8億円という巨額の金員拠出の意図ないし動機を厚生行政の規制緩和を求めてのものとした常識的な批判なのです。厚生行政における対業者規制は、国民の生命や健康に直接関わる、国民生活の安全を守るために必要な典型的社会的規制です。安易な規制緩和を許してはなりません。行政の規制緩和を桎梏と広言する事業者に対する消費者(国民)の立場からの批判の封殺は許されません。
(4) さらに、言論封殺の手法がスラップ訴訟の提起という、訴権の濫用によることも大きな問題点です。経済的強者が高額請求の訴訟提起を手段として、私人の政治的言論を封殺しようとする憲法上看過できない重大問題を内包するものです。これを根絶し、被害を出さないためにどうすべきかをご一緒に考えたいと思います。
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以上のような、意義ある訴訟の舞台設定は、DHC・吉田側が作ってくれたものです。このせっかくの機会を生かさない手はありません。上記(1)の表現の自由は訴訟の結果としての判決で実現するとして、(2) 以下の各問題については、明らかになった問題点を世に大きく訴え、世論の力で制度改革に繋げたいと願っています。
その第1は、(2)の「政治とカネをめぐる問題」です。DHC吉田は、「政治資金に使われると分かりながら資金提供したことについての道義的責任」に関して、「献金なら限度額が法で定められておりますが、貸金に関してはそういう類の法規制はありません。借りた議員がちゃんと法にのっとって報告しておれば何の問題もないのです」と言っています。もし、そのとおりなら、この事件は政治資金規正法の欠陥が露呈したことになります。金力の格差が政治を歪めてはならないとする民主主義の大原則にも、政治資金規正法の趣旨にも反する脱法についての開き直りを許さないために、法改正を目ざさなくてはなりません。
今、西川農相への複数の献金問題が話題を呼んでいます。そのうちの一つが、農林水産省から補助金交付の決定を受けていた精糖工業会からの献金。これを追求された農相と政権は、「精糖工業会そのものからの献金ではなく、会が入っているビルの管理会社(精糖工業会館)からの献金だから問題ない」と言っています。これも明らかな脱法行為。「こんな脱法が許されれば、誰もが真似をして法は骨抜きとなる」と、厳しく野党からの追及を受けています。
DHC吉田から渡辺に渡ったカネも同じ。「献金ではなく貸金だから、いくら巨額になっても無制限の青天井」では、「こんな脱法が許されれば、誰もが真似をして法は骨抜きとなる」と、厳しく追及を受けねばなりません。脱法を防ぐ法改正が必要なのです。
また、(3)サプリメントの規制緩和問題についても、(4)目に余るスラップ訴訟防止の方策についても、まずはその弊害の実態をよく認識し、その上で知恵を出し合いたいと思います。
是非、次回法廷のあとの報告集会にご参加いただき、意見交換に加わっていただくよう、お願いいたします。
(2015年2月21日)