教育委員会の「事実上の解体」を許してはならない
本日は、地方教育行政法改悪に反対する声明についての文科省記者クラブでの会見。やや長いタイトルだが、「首長や国の権限を強め、教育への政治的支配を強化する地方教育行政法『改正』への反対声明」。タイトルから声明の内容を察してもらえるだろう。
同期の児玉勇二弁護士の奮闘で、昨日までに162名の「賛同呼びかけ人」が集まった。著名な教育学者や教育法学者、子どもの権利やいじめ問題に携わってきた弁護士や、活動家が名を連ねている。今、衆院で審議の地教行法改正案を、百害あって一利なしとして、廃案を求めるもの。
声明は第1?4のパラグラフからなる。
第1パラグラフでは、安倍政権のいう「戦後レジーム」とは、日本国憲法と準憲法としての教育基本法が形づくる基本理念にほかならず、「戦後レジームから脱却しての教育再生」とは、日本国憲法と教育基本法を頂点とする戦後教育法体系への全面攻撃であることを指摘している。
第2パラグラフは、今国会に上程されている地教行法「改正」案が、事実上教育委員会制度の解体を目論むものとして容認し得ないとするもの。教育委員会制度は、戦後教育法体系の中にあって、政治や権力の直接介入から教育の自主性を擁護するための中心をなす制度のひとつである。安倍政権の教育委員会解体は、教育に対する権力支配・政治支配を貫徹することを目的とするもの。
第3パラグラフが、いじめ問題を論じて長文になっている。教育委員会不要論は、大津市のいじめ自殺事件を発端にしている。いじめに関する調査事実の隠蔽を画策する教育委員会と、事実の開示を求める市長という対立構造が描き出され、教育委員会を不要とする世論の素地をつくった。これを意識して、いじめを撲滅するためにも、教育委員会解体をしてはならないとする主張である。
声明は、大津市の第三者調査委員会の報告書の次の部分を引用している。
「それでは(『教育委員会』の)存在意義がないのかという問いには否と答えなければならない。本来委員には生徒の権利を保障するために当該地域の教育について積極的に意見を述べ役割を果たすという職責があるはずであるが、これまでの長い経過の中でそうした職責を十分に果たすことができない状況に置かれるようになった。」「今重要なことは、教育長以下の事務局の独走をチェックすることであり、その一翼を担う存在としての教育委員の存在は決して小さいものではない。」「ここで重要な問題は、こうした本来の教育委員会の活動を復活するためにどのような委員各自の行動や施策が必要かということである。」
この考え方は、本声明の基調に通じるもの。
また声明は、次のとおり指摘している。
「過去の多くのいじめ事件において、いじめが無いものと隠蔽され、その陰で多くの子どもたちが犠牲となってきた事実を真摯に見つめなければならない。隠蔽の多くは、教育委員会事務局と首長とが一体となってのものであって、教育委員が主導してのものではない。首長に権限を集中し、教育長の権限を強化すれば、歯止めが失われて隠ぺいの可能性はむしろ増大する。この隠ぺい体質を無くすことこそが真の改革の課題と言わなければならないが、そのためには、見識と能力を有する教育委員の選任制度を確立し、教育委員会の独立性を高めて、教育長への指揮監督を強める権限の強化こそがあるべき方向でなければなない。法案は改革の方向を完全に誤っていると言わざるを得ない。」
この部分が、本声明の白眉である。
そして、第4パラグラフでは、現行の制度下において、公権力や地方政治の支配・介入に抗して教育委員会本来の役割を果たしている典型例を挙げている。今、行うべきはこのような教育委員会本来の趣旨や理念を再生させる工夫であって、教育委員会解体ではないことを述べて、政府提出案の廃案を求めている。
全体として、いじめ事件の調査資料の公開に教育委員会が消極的だとして、いじめ事件の防止が教育委員会制度「改正」の口実にされていることへの怒りが基調となっている。まず、隠蔽は必ずしも「委員」の責任ではなく、教育委員会事務局の責任であることの指摘が重要である。そして、事態の改善のためには、教育委員会の権限を強化することと、教育委員の人選宜しきを得ることが必要である。いじめ事件への対応を口実に、教育委員会を解体して政治や権力の教育への介入を許してはならない。それは、安倍政権にとっての「教育の再生」ではあっても、実は戦前教育復活の悪夢なのだから。
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※ファクスの場合 03?5453?4000
※メールの場合 下記URLに送信書式のフォーマット
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☆抗議内容の大綱は
*籾井勝人会長は即刻辞任せよ。
*経営委員会は、籾井勝人会長を罷免せよ。
*百田尚樹・長谷川三千子両経営委員は即時辞任せよ。
*経営委員会は、百田尚樹・長谷川三千子両経営委員に辞任勧告せよ。
こちらもよろしくお願いします。
(2014年5月13日)