澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

切られた尻尾のうごめきに目を奪われることなく、トカゲのアタマを押さえねばならない。

(2020年6月28日)
河井克行・案里の運動員買収の実態がほぼ明確になりつつある。検察のリークだけではなく、メディアによる追及もめざましい。何より、世論の糾弾が厳しく、被買収者が否定しきれない空気を作っている。そのことが、「買収ドミノ」「告白ドミノ」といわれる現象を生んでいる。

だが、これまで明らかになりつつあるのは、河井夫妻から地元議員への金の流れだけである。これは、事案の半分でしかない。もっと重要なのは、安倍晋三ないしは自民党中枢から河井夫妻への、買収原資となった金の流れの解明である。いったい誰が、どのような意図をもって、いつ、どのようにこの金額を決め、送金したのか。

この点については、検察のリークも、メディア追及の成果も表れてはいない。世論の糾弾も厳しさも不十分で「告白ドミノ」も存在してはいないのだ。はたして検察は、この点に切り込んでいるのだろうか。メディアはどうだろうか。

トカゲの尻尾切りを、生物学では「自切」というそうだ。非常の時に、トカゲは自ら尻尾を切る。尻尾は容易に切れる構造になっており、切っても出血はせず、やがて再生する。外敵に襲われたとき、自切し尻尾は、しばらく動き回ることで外敵の注意を引きつけ、その隙に本体は逃げることができるのだ、という。これ、アベトカゲの常套手法。本体を守るために、尻尾を切り捨てるのだ。「責任は尻尾限り」と言わんばかりに、である。

今また、安倍晋三は河井という尻尾を切り捨てた。この切り捨てられてうごめく2本の尻尾にばかり注意をとられていると、その隙に本体が逃げおおせてしまうことになりかねない。腐ったアタマをこそ、押さえねばならない。

ところで、たまたま明るみに出た広島の地方保守政界の選挙事情。ドップリ、金が動き金で動く体質をさらけ出した。これは、ひとり広島だけのことなのだろうか、また自民党だけの問題だろうか。広島だけの特殊事情であり、アベ・溝手確執の特殊事情故のこととは思いたいところだが、おそらくはそうではあるまい。

インターネットテレビ局ABEMAに、『ABEMA Prime』という報道番組がある。そこに、かの勇名を馳せた元衆議院議員・豊田真由子が出演して、埼玉4区(朝霞市・志木市・和光市・新座市)でも、事情は大同小異であったと語っている。一昨日(6月26日)のことだ。

埼玉4区は、関東都市圏の一角、けっして保守的風土が強い土地柄というわけではない。ここでの選挙事情は、日本中似たようなものであるのかも知れない。

豊田真由子は、「とある先輩議員から、『ちゃんと地元でお金を配ってるの? 市長さん、県議さん、市議さんにお金を配らなくて、選挙で応援してもらえるわけがないじゃないの』と叱られ、びっくりしたことがある。選挙の時に限らず、この世界は桁が違うお金が動いているんだと、5年の間に感じた」と告白したという。さらにこう言っている。

「私はお金も無かったので、(自民)党からの1000万円と親族からの借金などでやったが、収支報告書を見た他の議員さんに『本当にこれでやってんの? どうやって勝ったの? 市議会議員選挙並みだね』と笑われるくらいだった。ど根性で地べたを這いつくばることで、だんだんとお助けをいただけるようになっていったが、必ずしもそうではない地域があるし、『お金をくれないんだったらあなたを応援しないよ』という方もいる。やっぱりそういう風習のようなものが日本の政治にはあるし、国会議員の選挙というのは、地元の市長さんや県議さん、市議さんに応援してもらわないと、非常に戦いにくい、厳しいということだ。議員さんに世襲の方や大きな企業グループのご子息が多いのも、そうではないとやっていけない世界だからだ」。

わが国の政治風土と、有権者の民度を語る貴重な証言である。そのような、票と議席の集積の頂点に、腐ったアタマが乗っかっている。切られた尻尾のうごめきに幻惑されることなく、この際本体のアタマを押さえなければならない。

恥を知れ、安倍晋三。

昨日(11月8日)の参院予算委。質疑の中で、またまた安倍晋三の醜態が明らかとなった。改めて思う。こんな人物を行政府の長としている、わが国のみっともなさと不幸を。そして、最近よく聞く安倍晋三こそ国内最大のリスク」というフレーズに同感する。

安倍の「醜態その1」は、一昨日の衆院予算委に続いての閣僚席からの野次である。
毎日が、簡潔にこう伝えている。「安倍首相、再びやじ 質問議員指さして」「金子参院予算委員長『厳に慎んで…』」
https://mainichi.jp/articles/20191108/k00/00m/010/282000c

首相が8日の参院予算委員会で、質問する立憲民主党の杉尾秀哉氏を指さしながらやじを飛ばしたとして、杉尾氏が抗議する一幕があった。首相は6日の衆院予算委でも野党議員にやじを飛ばし、棚橋泰文衆院予算委員長が不規則発言を慎むよう要請した。
杉尾氏によると、放送局に電波停止を命じる可能性に言及した2016年の高市早苗総務相の発言について質問した際、首相が自席から杉尾氏を指さして「共産党」とやじ。金子原二郎参院予算委員長が「不規則発言は厳に慎んでほしい」と注意した。
杉尾氏は取材に「国会は政策を論議する場であり、やじは首相の適性や品格に関わる問題だ」と語った。

安倍にとっては、「共産党」が悪口なのだ。戦前の天皇制時代に作られた時代感覚そのままの恐るべきアナクロニズム。それにしても、立憲民主党の杉尾秀哉氏を指さしながらの「共産党」である。意味不明。というよりも、理解を超えた発言。他人ごとながら、「この人、ほんとに大丈夫かね」と心配になる。

安倍の「醜態その2」は、共産党・田村智子議員の質問によって、明らかになった醜行。本日(11月9日)の赤旗トップ記事になっている。
「桜見る会を安倍後援会行事に」「参加範囲は『功労・功績者』のはずが」「税金私物化 大量ご招待」「田村氏追及に首相答弁不能」という大見出し。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-11-09/2019110901_01_1.html

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2019-11-09/2019110903_01_1.html

「安倍内閣のモラルハザード(倫理の崩壊)は安倍首相が起こしている」―。日本共産党の田村智子議員は8日の参院予算委員会で、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に安倍首相や閣僚らが地元後援会員を多数招待していた問題を追及しました。安倍首相は質問に答えられず、審議はたびたびストップ。安倍首相が先頭にたって公的行事・税金を私物化している疑惑が深まりました。

「桜を見る会」の参加者数・支出額は安倍政権になってから年々増え続け、2019年の支出額は予算額の3倍にもなっています。田村氏は、各界で「功労・功績のある方」を各府省が推薦するとしながら、自民党議員・閣僚の後援会・支持者が多数招待されていることを明らかにしました。

安倍首相の地元・山口県の友田有県議のブログ記事では、“後援会女性部の7人と同行”“ホテルから貸し切りバスで会場に移動”などの内容が記されています。
田村氏は「安倍首相の地元後援会のみなさんを多数招待している」「友田県議、後援会女性部はどういう功労が認められたのか」とただしました。
安倍首相は答弁に立てず、内閣府官房長が「具体的な招待者の推薦にかかる書類は、保存期間1年未満の文書として廃棄している」と答弁しました。田村氏は「検証ができない状態ではないか」と厳しく批判しました。

田村氏は「安倍事務所に参加を申し込んだら、内閣府から招待状がきた」という下関の後援会員の「赤旗」への証言を紹介。「下関の後援会員の名前と住所をどの府省がおさえられたのか。安倍事務所がとりまとめたとしか考えられない」とただしました。
さらに田村氏は、友田県議や吉田真次下関市議のブログに、「桜を見る会」とあわせて安倍首相夫妻を囲んだ前夜祭の盛大なパーティーの様子が紹介されていると指摘。「桜を見る会が『安倍首相後援会・桜を見る会前夜祭』とセットになっているんじゃないか」「まさに後援会活動そのものだ」と追及しました。

安倍首相は「お答えを差し控える」と答弁を拒否し、議場は騒然。田村氏は「桜を見る会は参加費無料でアルコールなどをふるまう。政治家が自分のお金でやれば明らかな公職選挙法違反だ。こういうことを公的行事と税金を利用して行っていることは重大問題だ」と強く訴えました。

なるほど、安倍晋三は共産党が嫌いなわけだ。が、問題は安倍自身がしたことの責任だ。田村議員が指摘するとおり、「政治家が自分のお金でやれば明らかな公職選挙法違反」なのだ。これに呼応して、山添拓議員が、「私費でやれば公選法違反。税金で堂々やるとは、私物化も甚だしい!」とツイートしている。さて、政治家が自分のお金でやれば明らかな公職選挙法違反」だが、「税金で堂々やる」のは犯罪にならないのだろうか。そんなはずはなかろう。

問題の条文は公選法199条の2 第1項である。公選法の条文は、極めて読みにくく作られている。文意をとりやすいように整理すれば次のとおりである。

公職選挙法第199条の2
第1項 政治家は、当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならない。

その違反に対する罰則は、下記のとおり。
第249条の2
第1項 第199条の2第1項の規定に違反して当該選挙に関し寄附をした者は、1年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
第2項 通常一般の社交の程度を超えて第199条の2第1項の規定に違反して寄附をした者は、当該選挙に関して同項の規定に違反したものとみなす。

もちろん、有罪が確定すれば、原則5年間の公民権(選挙権・被選挙権)停止となる。

問題は、この安倍晋三による「税金私物化 大量ご招待」を、「寄附」と見ることができるか、である。私は、できると思う。もしこの安倍晋三の税金私物化が、公職選挙法違反にならないとすれば、公選法は甚だしいザル法である。ザルの目を塞ぐ法改正が必要となる。

「寄附」の定義規定は次のとおりである。
公職選挙法第179条第2項
「この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付、その供与又は交付の約束で党費、会費その他債務の履行としてなされるもの以外のものをいう。」

つまり、安倍晋三が山口1区の有権者に、「金銭や物品」を配ることだけが、公職選挙法で禁止された「寄附」に当たるものではない。禁じられているのは、「財産上の利益の供与」一切なのだ。

立法の趣旨は明らかである。カネを持つものが、カネで政治を壟断することを防止するためである。典型的には、カネで票を買うことは買収罪となり、カネを支払っての選挙運動員を使って票を集めることは、間接的に票を買うことになるとして、運動員買収罪となる。しかし、通常の選挙犯罪は、特定の選挙との具体的な関連性が要求される。たとえば、次のとおり。

第221条1項 次の各号に掲げる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
第一号 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。

選挙「買収」は、「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて」という形で、特定の選挙との具体的関連性が要件となっている。しかし、寄附にはその目的規定がない。特定の選挙との関連性が希薄ではあっても、カネの力で選挙民の投票行動が左右されるようなことがあってはならないとするのが法意なのだ。

本件では、安倍晋三がその選挙区の有権者を「参加費無料でアルコールなどをふるまう」会に招待し参加させたことが寄附に当たるか、が問われている。本来の「功労・功績者」への招待であれば公職選挙法条の犯罪とはならないが、欲しいままに予算を計上し、あるいは予算を大幅に上まわる人を招いて、事実上後援会員を「タダで飲み食いさせ」たのは,明らかに財産上の利益の供与であるから、寄附に当たる。問題は、「寄附」とは、自腹を切っての供与だけをいうもので、権力者が税金を欲しいままに使っての選挙民に対する利益供与は除かれるのか、という点に収斂する。

この寄附禁止規定は、「政治家が自分のカネでやる」ことを想定していたには違いない。しかし、身銭を切っての寄附の悪質性よりも、権力者がその地位を利用ないし悪用して、国民の財産を掠めとっての「寄附」がより悪質であることは、誰の目にも明らかではないか。

法の制定時、こんな安倍晋三流の悪質極まりない選挙違反は想定されていなかった。それが、安倍一強の驕りによってここまで腐敗が進行したということではある。しかし、実質的な負担者が誰であれ、有権者に利益を供与せしめた者すべてが、公選法199条の2 第1項違反と解すべきで、その解釈が罪刑法定主義に反するものではないと、私は思う。
それにしても、汚い。恥を知れ、安倍晋三。
(2019年11月9日)

あの「国家戦略特区」、やっぱり「ずさんで、でたらめ」なのだ。

加計学園事件で、ダーティーなイメージをすっかりと定着させた国家戦略特区。久しぶりに、全国紙の一面に顔を出した。毎日新聞が、6月11日・12日と連続して問題の各事件をトップで報道した。

国家戦略特区問題とくれば、主役は常に諮問会議議長の安倍晋三である。が、このたびの毎日報道2事件の準主役は同一人物で、国家戦略特区諮問会議・ワーキンググループ座長代理の原英史である。

この人、元は通産官僚。2009年に退官して、2010年民間人の立場で雑誌『SAPIO』に連載した記事の表題が、『おバカ規制の責任者出てこい!。いささか不真面目な物言いだが、この人の考え方も、この人を有識者委員に迎えた国家戦略特区の基本スタンスも察しがつこうというもの。

規制がおバカか、無理無体の規制緩和がおバカなのかが、今深刻な課題として、問われているのだ。

11日の記事は、見出しが国家戦略特区 政府ワーキンググループ委員関連会社 提案者から指導料200万円 会食も」「外国人美容師解禁を巡る原氏と特区ビズ社の関係」という記事。

リードだけ引用すれば、下記のとおり。

「政府の国家戦略特区を巡り、規制改革案を最初に審査するワーキンググループ(WG)の原英史座長代理と協力関係にあるコンサルタント会社が、2015年、提案を検討していた福岡市の学校法人から約200万円のコンサルタント料を受け取っていた。原氏は規制緩和の提案を審査・選定する民間委員だが、コンサル会社の依頼で、提案する側の法人を直接指導したり会食したりしていた。」

12日の記事は、見出しが府、特区審査開催伏せる」「WG委員関与 HPと答弁書」というもの。
これもリードだけ引用すれば、下記のとおり。

「国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の原英史座長代理が申請団体を指南し、協力会社がコンサルタント料を得ていた問題で、原氏と同社が関与した漁業法にかかわる規制改革案のヒアリング開催が、首相官邸ホームページ(HP)で伏せられている。政府は審査の透明性を確保するとして、提案者や規制官庁にヒアリングした日付・案件を公表しているが、今回の案件が掲載されていないのは提案者の要望を受け入れたとみられる。事実と異なるヒアリング件数の政府答弁書も閣議決定していた。」

ジャーナリズムの真骨頂は、権力に不都合な事実を洗い出し暴き出すところにある。毎日は、よく取材してこの任を果たした。これは、氷山の一角ではないのか。願わくは、各紙、各記者が、さらに徹底して追求して、ディテイルを明らかにしていただきたい。

問題の会社は「特区ビジネスコンサルティング」(略称「特区ビズ」、現在は商号変更して「イマイザ」)というのだそうだ。いかにもふざけた名称だし、「特区ビジネスコンサルティング」という業務の成立自体が胡散臭い。「この『特区ビズ』は、少なくとも15年3~12月は、原が代表を務める政治団体『土日夜間議会改革』と同じマンションの一室(東京都千代田区)に事務所を設置。一部のスタッフは団体と特区ビズの業務を掛け持ちし、電話番号も同じだった。特区ビズの社長は、政治団体の事務も担当していた」と報じられている。原は、毎日に反論をこころみているが、この点については否定していない。

また、「同社は15~16年、数十件の特区提案にコンサルタント業務などで関与。このうち少なくとも福岡市中央区の美容系学校法人が、日本の美容師資格を持ちながら国内で就労できない外国人を特区内で働けるようにする規制改革を希望し、同社にコンサル料を支払った。法人などによると14年11月以降、原氏らは法人側と福岡市内でたびたび面会。法人副理事長(当時)は原氏と市内のかっぽう料理屋で会食し、費用は法人が負担した。副理事長はコンサル料の支払いを認め、『特区ビズの方として原氏と会った。提案書の書き方を教わった』と語った。提案は15年1月、特区ビズ社名で内閣府に提出され、WGで審査中」という。この点についても、事実に争いはなさそう。

もう1件。12日報道の件はこんな内容だ。
「複数の関係者によると、この改革案は漁業法で制限されていた真珠養殖の規制緩和を求めるもので、2015年6月ごろ、関東地方の真珠販売会社が提案した。その際、原氏は同社に自身と協力関係にある『特区ビジネスコンサルティング』(特区ビズ、現在は商号変更)を紹介。特区ビズが提案資料を作成し、原氏もたびたび助言した。この規制改革案はその後、WGでの議論を踏まえ、昨年12月の漁業法改正で実現した。」

特区の設定とは、他にない特例を認めようというもの。行政に求められる公平性の原則をくずして、例外としての不公平取り扱いを認めることなのだ。そのような、原則を崩すだけの際だった合理性・必要性が求められる。他の件にもまして、手続の徹底した透明性の確保と、厳正厳格な公平性・中立性について国民の高度な信頼が求められる。

しかし、毎日の取材があぶり出した事実は、国民の疑惑を招くに十分である。あのアベの下で、またぞろ問題が出てきたと思わせる。これに対する原の反論は、「自分はカネをもらっていない」という弁明である。毎日は「原がカネを受けとった」とは言っていないのだが。

毎日は、取材対象の弁明についても、こう記事にしている。
「元経産官僚の原氏は、…毎日新聞の取材に『(同社に)協力はしているが(コンサル料は)知らない。会社と私は関係ない』と説明した。内閣府は『委員が提案者の相談に応じ、制度を紹介するのは通常の活動』としつつも、同社と原氏の関係は『事務局として承知していない』と回答した。

ワーキンググループ幹部とコンサルの業者が、こんなにも一体となって、こんなにも親密にビジネスとしてほいほいと動いていることに、愕然とせざるを得ない。コンサルを求める方も、ビジネスチャンスを窺う利にさとい企業である。こんな環境でコンサルの業者が動けば、当然にカネも動く。一体となっている特区諮問会議委員にもカネにまつわる疑惑が生じるのは当然のことだ。

こういう話しは、なかなか外へは出にくい。特区ビジネスのクライアントとしても後ろめたい話で、積極的に語りたいことではない。カネが絡み、諮問会議の関係者が絡んでいればなおさらのことだ。ようやく氷山の一角が見えた貴重な事例。一事が万事、これがありふれた事態なのかと思わせる。まずは、行政や国会の場での、徹底した疑惑の解明が望まれる。

なお、規制改革を担当する内閣府特命担当大臣は、あの片山さつきである。片山さつき自身の問題については、2018年11月9日付けの当ブログをご覧いただきたい。

片山さん、ずさんで、でたらめ。めちゃくちゃじゃないですか。
http://article9.jp/wordpress/?p=11428

嗚呼、アベ内閣。あっちもこっちも、「ずさんで、でたらめ。めちゃくちゃ」だ。
(2019年6月13日)

「法と民主主義」最新号 再審問題特集のご紹介

日本民主法律家協会のホームページが、リニューアルされた。一昨日(4月1日)からのお披露目となっている。見映えよく、読み易い。なかなかよくできている。中身の充実ぶりは、従来からのものだが、なおこれからが期待される。

そのURLは、下記のとおり。是非、ご覧いただきたい。
https://www.jdla.jp/

そのホームページに重要な位置を占めるのが、機関誌「法と民主主義」のコーナー。

2019年2/3月合併号【536号】
特集★再審開始に向けた闘い──冤罪をただすために

◆特集企画にあたって                  高見澤昭治
◆戦後冤罪の原点・帝銀事件──20次に及ぶ再審請求   渡邊良平/山際永三
◆三鷹再審請求事件──再審開始に向けた科学的な主張立証 野嶋真
◆一審無罪、一転死刑に・・・獄死─名張毒ぶとう酒事件40年に及ぶ闘い
                                                       鈴木 泉
◆狭山再審請求事件──すでに崩壊している秘密の暴露   中北龍太郎
◆袴田再審請求事件──原則を貫いた迅速な審理を     戸館圭之
◆マルヨ無線再審請求事件──火災はなぜ発生したのか    岩下祐子
◆大崎再審請求事件──アヤ子さん92歳、命あるうちに無罪を 鴨志田祐渼
◆日野町再審請求事件──虚偽の証拠と証言で無念の獄中死   玉木昌渼
◆松橋再審請求事件──もうすぐ無罪・再審請求から決定まで  斎藤 誠
◆福井女子中学生殺人再審請求事件──供述証拠だけに基づく判決 佐藤辰弥
◆鶴見再審請求事件──「これで死刑はないよな」まず有罪あり粗雑な認定
                             大河内秀昭
◆唯一残る死刑執行後の再審請求──重要証拠の改ざんもあきらかに 飯塚事件
                             徳田靖之
◆恵庭OL殺人再審請求事件 ──「推定有罪」を打ち砕く科学的新証拠を提示
                              中山博之
◆事件にされた「単純事故」──仙台北陵クリニック再審請求事件 阿部泰雄
◆豊川再審請求事件──「無辜の救済」という司法の任務に立ち返れ 菊地令比等
◆小石川再審請求事件──新たな証拠開示で再審開始を       三角 恒
◆湖東記念病院再審請求事件──この事件から汲み取るべき教訓・弁護士立合いの必要性
                              井戸謙一

特集の趣旨を語っている「特集企画にあたって」の一部を引用しておきたい。

 誠に残念なことであるが、我が国の司法は死刑判決を含め、冤罪を生み続け、冤罪事件が跡を絶たない。
 その原因はどこにあるのか。本誌2016年11月号の特集「日本国憲法公布70年ー原点から今を問う」において、長年にわたり裁判官を務めた秋山賢三氏は「司法は冤罪と向き合うことができるか」の中で、裁判制度の「徹底した中央集権的組織、官僚的統制」、「起訴した以上は何が何でも有罪を獲得することに徹底的に固執する検察」、それと「劣悪な弁護環境」を挙げている。
 冤罪被害の深刻さは、それを経験したものでなければ分からないが、その影響は本人にとどまらず、家族全体が奈落の底に突き落とされたようなひどい目に遭い、一生を台無しにされてしまう。
 2010年から16年にかけて、足利、布川、東電OL、東住吉と、無期懲役刑で再審無罪が相次いだが、数多くの冤罪の存在を知ると、有罪率が99・何パーセントなどということ自体が、日本の司法の無能さを表していると言っても過言ではないであろう。
▼再審請求事件の実態
 冤罪を正すために再審請求を申し立てる事件が数多く存在するが、その実態はどうなっているのか。
本特集は、それを明らかにするために、日弁連人権擁護委員会が発行している「再審通信」などを参考に、現に闘われている主な再審請求事件を取り上げ、次のような依頼文を付して、弁護団にその報告をお願いした。
 「3000字という短い文章に纏めるのは、大変だと思いますが、次の順序で執筆いただければと思います。①事件の概要、②捜査状況、③確定審の経過と結果、④再審請求審の経過と結果(なお、上記の中で、確定審および再審請求審の問題点について端的に指摘するとともに、できましたら弁護団長、主任弁護人、弁護人数、支援活動の紹介もお願いします。また、表題や項目毎に的確な見出しを付けていただければ、幸いです)。」
 本文を読んでいただければお分かりのように、いずれの事件についても、それぞれの弁護団から、忙しい中、渾身の思いを込めて報告がなされている。

上記事件の中で、唯一「もうすぐ無罪」と表題を付していた「松橋再審請求事件」について、「再審無罪」の判決が言い渡された。本号発刊間もない3月29日、熊本地裁でのこと。
また、本号発刊直前の3月18日には、最高裁(第2小法廷)が、検察官の特別抗告を棄却して「湖東記念病院再審請求事件」の大阪高裁再審開始決定が確定した。その結果、無罪判決に至ることは、確実視される。

両事件をはじめ、各事件の報告が、見込み捜査や自白偏重、そして再審の困難等々の、刑事司法制度改革の課題を示している。とりわけ、死刑事案の冤罪は深刻である。死刑廃絶も、視野に入れなければならない。

特集以外の記事の主なものは以下のとおりである。
トピックス●沖縄とフクシマ
■「辺野古県民投票」の経緯と結果─弁護士、そして、一市民として関わって
中村昌樹
■あの日から9年目を迎えたフクシマ            伊東達也
連続企画●憲法9条実現のために〈20〉
映画「憲法を武器として・恵庭事件知らざる50年目の真実」について  内藤 功
特別寄稿●国家が人を殺すとき
──死刑 、世界の現実、そして日本が死刑を廃止すべき理由
ヘルムート・オルトナー(本田 稔・訳)
司法をめぐる動き
・日本の士官学校の実態に迫る裁判─防衛大・暴行いじめ事件判決   佐藤博文
・1月・2月の動き                     司法制度委員会

メディアウォッチ2019《政治のごまかし メディアのすり替え》

統計偽造、官邸会見、国会答弁のウソ                丸山重威
あなたとランチを〈№44〉        ランチメイト・石井逸子さん×佐藤むつみ
新企画・「改憲動向レポート」(№12)
「私がうそを言うわけない」と発言する安倍首相                       飯島滋明
BOOK REVIEW前田朗著『ヘイト・スピーチ法 研究原論』三一書房 楠本 孝

「なるほど、面白そうだ」「ためになりそうだ」「読んでみたい」とおっしゃる方は、下記のURLから申し込みをいただきたい。できれば定期読者になっていただきたいが、もちろん個別のご注文も歓迎する。

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(2019年4月3日)

ゆく秋や 哀れスルガは 身の終わり

師走である。何とも、季節の遷りが速い。
暦の上では、昨日までは秋。その秋の終わりに、スルガ銀行不祥事の処分が発表になった。同銀行は昨日(11月30日)、シェアハウス向けの不正融資問題で117人を処分し、同時に業務改善計画を金融庁に提出したと発表した。

ところで、言葉遊びである。誰が作ったやら、これほどうまくできている例を他に知らない。

  あきのかがすおうとするがみのおわり

漢字で表記すると面白くもおかしくもないが、こうなる。
  秋の蚊が、吸おうとするが、身の終わり。

元気のよい夏の蚊ではない。ヨタヨタと元気のない秋の蚊である。血を吸おうと人の肌にとりついたが、たちまち事は露見。逃げ遅れて叩かれ、哀れ身の終わりとなった。それだけの句。

いくつの国名を読み込んでいるか。
 「安芸の加賀、周防と駿河、美濃尾張」で6か国、は正解ではない。
ひらがなの「の」と「と」を、能登と読んで7か国が正解なのだ。17文字すべてが、国名の読み込みに使われている。たいへんな才能というべきか、恐ろしく暇な御仁の手すさびか。

この17文字の中に「するが(駿河)」が入ってるのが、実に示唆的でもあり、予言的でもある。
今話題のスルガ銀行。2004年の商号変更前は、駿河銀行だった。静岡県沼津市に本店を置く地方銀行の雄の一つ。元は堅実な経営姿勢で知られ、バブルで傷を負わなかったことが賞讃された。よりによってその「駿河」が、消費者の血を吸おうとして、この秋身の終わり同様の体である。

メディアは、厳しく同行のコンプライアンス軽視の姿勢を批判している。いつもながらの企業の不祥事発覚のたびに、行政規制の重要さを再確認させられる。この行政規制とコンプライアンスが重要なのだ。

思い出す。バブルが終わって吹き出した日本企業の醜状。私は、当時日弁連の消費者委員長としてこれに向き合った。それまで消費者問題とは、豊田商事であり、茨城カントリークラブであり、武富士であり、あるいは霊感商法であり、原野商法等々であった。言わば、経済社会の片隅、あるいは日陰に生じるものであった。

ところが、蓋を開けてみれば、似たようなことを銀行も生保もやっていた。証券会社などはもっとひどかった。その典型が変額保険であり、過剰融資問題であった。シェアハウス向け融資と基本構造を同じくする。以来、消費者問題とは企業社会そのものと向きあうべきものと意識されるようになった。

資本主義社会とは個別資本の利潤追求の行動を是認する制度である。しかし、この野蛮な資本の衝動を放置していたのでは、人を限りなく搾取し収奪することになる。法や行政による規制が絶対に必要なのだ。

バブル経済崩壊のあと、経済社会を立て直すためにとして、規制緩和論が台頭した。新自由主義という「理論」の衣をまとって。だが、消費者問題に携わる現場からは、悲鳴にも似た規制緩和論への反発が生じた。企業は常に規制緩和を求め、消費者はこれに抵抗を続けざるを得ない。

たとえば、DHCの吉田嘉明である。吉田嘉明は政治家・渡辺喜美に8億円の裏金を提供した。その動機として彼が最も力んで主張しているのは、「日本国をより良くしようと脱官僚を掲げる政治家(註-渡辺喜美)を応援するために、大金(註-8億円)を貸し付けた」というのである。

今さら言うまでもないが、吉田嘉明は化粧品とサプリメントを製造販売する会社の経営者として厚労省の規制に服する。ところが、新潮手記の冒頭には、「厚労省の規制チェックは他の省庁と比べても特別煩わしく、何やかやと縛りをかけてきます」「霞ヶ関、官僚機構の打破こそが今の日本に求められる改革」「それを託せる人こそが、私の求める政治家」と露骨に書き連ねているのだ。

並みの文章読解能力を持つ人がこの手記の記載を読めば、吉田嘉明のいう「国をより良くする」とは「脱官僚」と同義であり、「日本をダメにしている監督官庁の規制をなくすることを意味している」と理解することになる。彼が「国をより良くしようと脱官僚を掲げる政治家を応援するために、8億円もの大金を政治家に渡した」のは、「他の省庁と比べても特別煩わしい厚労省の規制チェックを緩和する」期待を込めてのことなのだ。彼の手記は、そのような読者の理解を誘導する文章の筋立てとなっているのだ。

秋の蚊を叩きながら、つくづくと思う。
「企業の利益よりも、消費者の利益が大切ではないか」「コンプライアンスは大切だ」「もっと果敢に行政規制の制度を活用すべきだ」。

また、こんな見え透いた企業人の言葉に欺されてはいけない。
「規制緩和こそが経済再生の切り札だ」 「企業の自由な行動を保障しなければ日本企業の競争力が失われる」。

ゴーンの逮捕が、企業人の倫理観の欠如を改めて国民に印象づけた。規制あってなお、その遵守がなされていない。
(2018年12月1日)

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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!

12月3日(月)18時~20時(開場17時30分)

衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」

最寄り駅は、丸ノ内線・「国会議事堂前」、または有楽町線・「永田町駅」です。
(集会にはどなたでもご参加いただけます。議員会館ロビーで、担当の者が入館証を配布していますので、お受け取りのうえ入館下さい。)

麻生に歳費はアホラシイ! 下村歳費もムダヅカイ!

あの下村博文が、自民党の憲法改正推進本部長となっている。思想におけるアベの友達。右の友、ミギトモという。そして、アベの友達加計孝太郎とも金と利権で繋がる古いタイプ。文科大臣の時代に、加計学園から政治資金パーティ券代金として200万円を受領していながら、なぜか政治資金収支報告書には不記載で告発されている、あの下村である。どこに行っても、まともに相手にしてもらえる人物ではない。ましてや憲法改正を論じる資格などあろうはずがない。

そのことについては、10月31日の当ブログ「被疑者下村博文に対する検察審査申立記者会見にて」をご一読いただきたい。
http://article9.jp/wordpress/?p=11362

自民党内で改憲問題の先頭に立っていた船田元や中谷元、少し前には舛添要一などは、保守なりの論客として粘り強く手強い相手という印象がある。しかし、あの下村である。この難題をこなせるわけはない。本気でことをなそうという人事ではない。とはいえ、ウソとごまかしのアベ政権である。油断はならない。

その下村が、11月9日のテレビ番組(TBSのCS)収録でおかしなことを言って物議を醸している。片山さつき同様、期待にたがわぬ「お働きぶり」。

下村の発言は、「憲法審査会で憲法改正について率直な議論をすることさえしないのは、国会議員の職場放棄ではないか」と述べて、憲法審開催に応じようとしない立憲民主党などに苦言を呈した、というのだ。

もう少し詳細には、「(憲法審査会の)自由討議で自民党は(改憲4項目を)出したいと思っているが、野党は野党で考え方を発表してもらってもいい。」「憲法改正について、どう思っているのかについて議論しましょう、ということさえ議論をしなかったとしたら、(野党は)国会議員として職場放棄じゃないですか。高い歳費をもらっているにもかかわらず、国会議員として職場放棄してもいいのか、ということを国民にぜひわかってほしい」「我々は別に強要しているわけじゃない。自民党案を議論しないのだったらダメだ、と言っているのではない。ぜひ国会(の憲法審査会)を開いていただきたい」というものだったという。

言っている内容の非論理はともかく、これは泣き言である。改憲論議が進展しないことについて、相当の焦慮が見て取れる。櫻井よしこのホームページを眺めると、同じ趣旨が読み取れる。11月10日の記事に、こうある。

改憲案の提示が国民主権の一丁目一番地 国会は国民に投票の機会を与えるべきだ」という。改憲手続に執心しているのは安倍一人で孤立している、という焦慮が語られている。この点、アベ取り巻きに共通の思いなのだろう。

「臨時国会は10月24日に始まったばかりだが、その様子を見ていて、政党も国会議員も現実を見ていない、余りに無責任だと、腹立たしい思いになる。とりわけ焦眉の急である憲法改正について、なぜ、こうも無責任でいられるのか。

国際情勢の厳しさは、日本よ、急ぎ自力をつけよと警告している。国民、国家、国土は自国が守るという原点を思い出せと告げている。国民の命や安全に責任をもつべきは政府であるにも拘わらず、日本国政府には国民、国家を守る有効な手段を取ることができにくい。国の交戦権さえ認めない恐らく世界でたったひとつの、変な憲法ゆえである。

憲法改正を急ぐべしと問題提起を続けているのは、安倍晋三首相ばかりのように見える。首相は、『自民党の憲法改正案をこの臨時国会に提出できるように取りまとめを加速すべきだ』と幾度となく旗を振ってきたが、周りの動きはなぜかにぶい。」

「改憲案の提示が国民主権の一丁目一番地」で、「憲法改正が焦眉の急」といっているのは、「安倍晋三首相ばかり」。そりゃそのとおりだろう。自民党内もまとまっていない。公明党はそっぽを向いている。野党は絶対反対だ。国民は憲法改正など、これっぱかしも必要とは思っていない。

さて、昨日(11月11日)の午後、「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」財務省前で「アソウ・ヤメロ」のコールを繰り返し、銀座通りをアソウ辞任要求のデモをした。人数は多くなかったが、参加者は意気軒昂。

市民運動のコールやプラカードのキャッチコピーはいずれも秀逸。
メインは、「麻生財務大臣は即刻辞任せよ。」「国民をナメ切った麻生を追放しよう」「無恥・無知・無能の麻生はいらない」「アベとァソーのとんでもナイ閣 すぐ辞めろ」「国民なめんな」「麻生君 いつまで醜態晒す気だ」

麻生の「不摂生で病気になった人の医療費を負担するのはアホラシイ」発言への反発が強い。社会保険のなんたるかを理解していない。所得格差がもたらす健康格差に理解がない。これが、財務大臣か。「麻生の増税アホラシイ」「麻生に歳費はアホラシイ」のコールが、集会参加者の共感を呼んだ。銀座通りの買い物客も興味は津々。

この秀逸コールをアソウだけに献呈するのはもったいない。まずは下村である。「なににつけても優先順位というものがある」「切実な国民的課題をそっちのけで、不要不急の憲法『改正』問題にこだわり続けているのは、国民の負託に応えるべき国会議員の職場放棄ではないか」「高い歳費をもらっているにもかかわらず、国民の望まぬ改憲にこだわり続けて国会議員として職場放棄してもいいのか、ということをアベ取り巻き連中にはぜひわかってほしい」

端的に申しあげよう。こんな輩に、歳費なんぞやりたくはない。
 麻生に歳費はアホラシイ
 下村歳費も無駄遣い
 片山・甘利もアホラシイ
 アベに歳費もアンマリダ
(2018年11月12日)

片山さん、ずさんで、でたらめ。めちゃくちゃじゃないですか。

稲田朋美に代わっての片山さつき地方創生相。期待にたがわぬ、目立ちぶり、おさわがせぶりである。
最初に、週刊文春が「口利き疑惑」を報じた。この人の古巣である財務省・国税局への口利きを依頼され、100万円で引き受けたという「疑惑」。口利きの依頼者である会社経営者は、自社が青色申告の承認を取消されそうになって、財務省出身の片山に泣き付いたのだ。それにしても、ずいぶんと古典的な手口の事件。

口利き依頼者は、片山事務所から言われるとおりに「口利きの着手金」100万円を支払ったものの、結局青色申告承認は取消された。腹を立てるのは当たり前、片山に直接クレームを申し出て、トラブルになった。トラブルになった時点で、片山は100万円(あるいは+α)をそっくり返金してことを収めるやり方もあったろう。が、そうはしななかった。おそらくは、この依頼者を舐めてかかっていたからだ。

週刊文春が報じた疑惑が事実だとすると、片山の行為は、あっせん利得罪の構成要件に該当する公算が高い。起訴にまで至るかはともかく、表沙汰になれば捜査対象となる可能性はきわめて高い。だが、この口利き依頼者の行為も褒められたものではない。片山にあっせん利得罪が成立するなら、口利きを依頼した会社経営者側にも、対向犯として、あっせん利得処罰法上の利益供与罪(4条)が成立することになる。その法定刑は、「1年以下の懲役又は250万円以下の罰金」。片山は、「これは飽くまでも裏の話。犯罪者となるリスクを覚悟でこの依頼者が、表の話にするはずはない」と高をくくっていたのだろう。

事実、この口利き依頼者は、週刊文春の取材に、最初から積極的に応じたという風ではない。ところが、腹に据えかねて、おそらくはリスクを自覚しつつ片山との対決を決意したのだ。このような口利き依頼者は多くなかろう。暗数を推認することは困難だが、少なからぬ類似の件があるだろうと思わせる。

片山はこの口利き疑惑が話題になると、週刊文春を被告として民事訴訟を提訴した。これが小狡い。積極的に国民に丁寧な説明をしようというのではない。メディアからの問合せに誠実に答えようというのでもない。自らの提訴で疑惑を「訴訟案件」とすることによって、「訴訟」を盾に追求をそらすことかできると考えたのだ。この小細工が、却って疑惑を決定的なものとした。愚策というほかはない。蛇の道は蛇、類は友を呼ぶ。こんな愚策に加担しようという理念に欠けた弁護士もいる。

口利き疑惑のあとは、自らが認めた限りで2件の政治資金規正法違反である。政治資金収支報告書の不記載。これは、「疑惑」ではない。歴とした犯罪の成立。あとで訂正しようと、報告書提出の時点で、犯罪は既遂となっているのだから。

実は、政治資金規正法違反はこれだけではないのだという。そして、公職選挙法違反の看板設置疑惑も。カレンダー配布疑惑も。

一昨日(11月7日)の参院予算委員会。共産党の小池晃が、片山さつきを問い詰めた。

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。片山大臣にお聞きします。自身が代表を務める政治団体の資金収支報告書、先月31日、今月2日と2回にわたって訂正しました。このように記載漏れが続くのはあってはならないことだと思いますが、御自身の責任をどう考えていますか。
○国務大臣(片山さつき君) お答えいたします。まず、収支報告を訂正したことについては大変申し訳なく思っておりますが、現在、事務所においてまだ精査中でございまして、近いうちには全体の結果がお示しできると思います。こうした事態が生じた理由としては、平成28年の参議院選挙の際に選挙収支の事務を担当していた方がその年秋に退任してしまい、28年の収支報告を担当し、その年の秋に着任した秘書が誤認したことによるものによるものでございます。以上でございます。

○小池晃君 訂正はこれで終わりでないということですね。しんぶん赤旗日曜版の調査では、まだ未記載あります。全国宅建政治連盟、全日本トラック事業政治連盟、日本専門新聞政治連盟など5団体、7件。2009年から2016年分、合計145万円分、未記載ですね。
○国務大臣(片山さつき君) いずれにいたしましても……(発言する者あり)はい。お答えをさせていただきますが、要するに、領収書を出して、その保存が不十分であったことが理由になっておりますので、それを今1件1件確認しているところでございますので、近いうちにお示しできると考えております。以上でございます。

○小池晃君 自分の責任全く語っていないですよ。全部秘書のせいだという態度でしょう、これ。こんなに記載漏れ続いていれば、毎年の収支だって、これ、つじつまが合わなくなるんじゃないですか。結局、めちゃくちゃじゃないですか、これ。余りにずさんじゃないですか。
○国務大臣(片山さつき君) お答えいたします。法にのっとって適正な監査も受けた上に、毎年の収支報告は提出させていただいております。以上でございます。

○小池晃君 それがもう長年にわたってずさん、でたらめだったということでしょう、これ。大臣、大臣の資金管理団体、山桜会、間違いないですか。
○国務大臣(片山さつき君) 2013年の6月以降は山桜会でございます。

○小池晃君 山桜会の会計責任者とされる税理士さんに問い合わせました。「私が会計責任者ではない、勝手に名前を使われた。収支報告を見たこともないし、報告書の訂正についても知らない」と答えました。ところが、その数時間後に文書が送られてまいりまして、自分が会計責任者だと回答しています。どうなっているんですか。
○国務大臣(片山さつき君) お答えいたします。昨日、西村税理士、この会計責任者に、6月7日の山桜会発足につきまして、承諾の上で会計責任者を引き受けていただいた方ですが、御連絡がございまして、今おっしゃったメディアから御連絡があったので、何か非常にびっくりして、一切自分は知らない、存ぜぬのようなことを言ってしまったんだけれども、後から、誤解をされているようだから、以下のようにお答えしたという紙をいただきました。《2013年6月7日、山桜会発足に伴い会計責任者を引き受けました。その際、私の代行、括弧、片山事務所秘書に印鑑を預けました。会計責任者としての任務は適正に遂行しておりました。》御署 名入りです。以上でございます。

○小池晃君 びっくりして、何か動転して言ったと言うけど、向こうから電話掛けてきたんですよ、留守電に入れたらば。きちんと丁寧に説明したそうですよ、最初は。私は全然知りませんということをるる説明されたんですよ、その、今名前言われたから私も言うけど、西村さんは。ところが、その後で文書で送ってくる。何なんですか、これは。
○国務大臣(片山さつき君) いずれにいたしましても、2013年6月7日の山桜会の発足時に会計責任者を引き受けておりますし、その記録もきちっと残っておりますので、その事実はしっかりしておって、そのことを今このように文書でお答えになっているんだと思います。その御指摘の記者さんと税理士さんの会話につきましては、私どもは伺っておりませんので、ちょっとお答えできません。

○小池晃君 全く説明できないんですね、これね。名古屋にあるグローリア21 という介護の株式会社を御存じですか。
○国務大臣(片山さつき君) お答えをいたします。ヘルスケアの関係をやっていらっしゃって、私どもも、講演会に来ていただいている方だと思います。会社さんというか、団体さんだと思います。

○小池晃君 この会社と全く同じ住所、名古屋市中川区打中2の105に一般社団法人日本シニア検定協会がありますが、御存じですか。
○国務大臣(片山さつき君) お答えをいたします。そのシニア検定の協会につきましては、私は会長をしていたことがありますから当然存じておりますし、このグローリアさんもその有力なメンバーだったと承知しております。

○小池晃君 このグローリア21 は、経済産業省の新連携計画に認定をされて補助金を受けていますか、御存じですか。
○国務大臣(片山さつき君) お答えいたします。それは今お伺いしたんで、それが事実ならばそうなんだろうなと思います。

○小池晃君 関連する企業が補助金を受け取ってはいけないことは御存じないんですか。
○国務大臣(片山さつき君) お答えをいたします。その21さんは、済みません、社団法人だったか会社だったかちょっと失念しておりますが、いずれにしても、私はそこの役員でもなく株主でもなく、シニア検定というのは全く別の一般社団法人でございますので、そういったことには当たらないかと考えております。

小池晃君 グローリア21、株式会社です。じゃ、片山大臣は政治資金の提供を受けたことはないんですね、グローリア21 から。
○国務大臣(片山さつき君) いわゆる寄附というのを受けたことはないと思います。

○小池晃君 これはきちんと調べて報告をしていただきたいと思います。思いますじゃなくて。
 総理、口利き疑惑が指摘されたり、政治資金収支報告を何度も訂正しなければいけない、更にまだ訂正事項はあるとおっしゃっているわけですね。こういう人に大臣をやらせていいんですか。私は、これは総理の任命責任問われていると思いますよ。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 個別の事案については具体の事実関係に即して判断されるべきものであり、お答えは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、内閣、与党、野党を問わず、一人一人の政治家は、その言動について国民から不信を持たれることのないよう、説明責任を果たしながら、常に襟を正していかなければならないと考えております。その上で、片山大臣には、党の政調会長代理など様々な政策立案に携わってきた経験の上に、与えられた職責をしっかりと全うしてほしいと考えております。

○小池晃君 全然答えていないんですね。不信持たれているじゃないですか。山のように不信持た れているじゃないですか、ね。それが許されるのかと聞いているんですよ。大臣として適格だと思いますか。これだけ不信を次々突き付けられている人が大臣であり続けることが適切だと総理はお考えですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 御指摘の点等については、説明責任を果たしながら、常に襟を正していかなければならないと考えておりますが、その上で、党の政調会長代理などの経験を生かして、しっかりと職責を果たしてもらいたいと考えております。

小池晃君 何度も何度も収支資金報告を書き換えなければいけない、まだ書き換えなきゃいけないことが残っていると、そういう人を大臣にしておいていいんですか、そのことを聞いているんですよ。襟正すといったって、ずっと正しっ放しじゃないですか。まだ全然正されていないじゃないですか、どうなんですか

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政治資金収支報告書の件については、ただいま片山大臣の方から当時の状況等も含めて説明があったと承知をしておりますが、しっかりと調べ直して対応していくものと考えております。

○小池晃君 大臣失格だということを申し上げたいと思います。

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 「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」からの訴えです。
「会」は、麻生財務大臣の辞任を求める<署名運動>と<財務省前アピール行動+デモ>を呼びかけています。

財務省前アピール行動+デモ
11月11日(日)
13時~ 財務省前アピール行動
14時  デモ出発

■<署名>と<財務省前アピール行動+デモ>の資料一式をまとめたサイト■
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/1111-5336-1.html
ぜひ、これをメールやツイッタ-で拡散してください。

■できるだけメッセージを添えてネット署名を■
上記の「まとめサイト」の右サイド・バーの最上段に、
1.署名用紙のダウンロード http://bit.ly/2ygbmHe
2.ネット署名の入力フォーム http://bit.ly/2IFNx0A
3.ネット署名のメッセージ公開 http://bit.ly/2Rpf6Pm
が貼り付けられています。

ぜひとも、ご協力をよろしくお願いします。もちろん、メッセージを割愛して、ネット署名だけでも結構です。
なお、署名の文面は以下のとおりです。
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財務大臣 麻生太郎 様

無責任きわまりない麻生太郎氏の財務大臣留任に抗議し、即刻辞任を求めます

森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会

10月2日に発足した第4次安倍改造内閣で麻生太郎氏が財務大臣に留任しました。しかし、第3次安倍内閣当時、財務省では、佐川宣寿氏が理財局当時の国会での数々の虚偽答弁、公文書改ざんへの関与の責任をとって国税庁長官の辞任に追い込まれました。また、福田淳一氏は女性記者への破廉恥なセクハラ発言を告発され、事務次官の辞職に追い込まれました。いずれも麻生氏が任命権者の人事でした。
しかし、麻生氏は厳しい世論の批判にも居直りを続け、事態を放置しました。それどころか、森友学園への国有地の破格の安値売却について、録音データなど動かぬ証拠を突きつけられても、なお、「処分は適正になされた」「私は報道より部下を信じる」と強弁し続けました。
福田次官のセクハラ行為については、辞任が認められた後も「はめられたという意見もある」などと暴言を吐きました。
なによりも、第3次安倍内閣当時、財務省では公文書の隠蔽、決裁文書の改ざんという前代未聞の悪質きわまりない国民への背信行為が発覚しましたが、それでも麻生氏は、会見の場で記者を見下す不真面目で下品下劣としか言いようがない答弁を繰り返しました。
こうした経歴の麻生氏が私たちの税金を預かり、税金の使い道を采配する財務省のトップに居座ることに、私たちと大多数の国民は、もはや我慢の限界を超えています。
麻生氏を留任させた安倍首相の任命責任が問われるのはきわめて当然のことですが、任命権者の意向以前に私たちは、麻生氏自身が自らの意思で進退を判断されるべきだと考え、次のことを申し入れます。

申し入れ

麻生太郎氏は財務省をめぐる数々の背任、国.に対する背信の責任をとって直ちに財務大臣を辞任すること

私は上記の申し入れに賛同し、以下のとおり、署名します。

(2018年11月9日)

「華氏119」が語りかける重い課題 ― 「民主主義は再生できるか」

話題の一作、マイケル・ムーアの『華氏119』を観てきた。日本での公開が今月(11月)2日だから、比較的早い時期の観客となったわけだ。旧作『華氏911』は、「9・11後」のアメリカを描いて話題になっが、今回の題名の「119」は、トランプ当選の2016年11月9日後の、分断され荒廃したアメリカを描いたもの。事態はさらに深刻になっている。

中間選挙を目前の封切りは、一見「トランプ弾劾・民主党支持」キャンペーンの意図を感じさせるが、その程度の軽い内容ではない。これは、一面本質的に資本主義の本質を抉る過激な主張がなされていると同時に、民主主義に未来はあるのか、という深刻な問いかけがなされている。いや、既にトランプとその支持者は民主主義を破壊した。正確には、「民主主義は再生できるか」と言うべきだろう。絶望が主調で気が滅入るが、希望の芽を若い世代と女性の行動に見出そうとしている。

最後に印象的なナレーションがある。「ここまで事態を悪化させたのは『希望』だ。憲法があるのだから『希望』はある。選挙に事態を改善する『希望』がある。民主党に、オバマに、司法に、民意に、理性に、文明に、まだ事態を改善する『希望』が残されている。人々が、こう考えている内に、事態は後戻りできない寸前まで悪化してしまっている。今求められているのは、『希望』を語ることではない。『行動』を起こすことだ」という。正確な言葉の再現はできないが、趣旨はそういうことだ。

この映画は訴える力を持っている。このように編集されて事実を突きつけられれば、トランプという存在が、邪悪そのものであることが深い確信にまで至ることになる。しかし、その邪悪は、「11・9」に突然躍り出たものではない。それが、マイケル・ムーアの主張となっている。

トランプ前のミニ・トランプとして、オバマ政権時代のスナイダー・ミシガン州知事の邪悪ぶりが取りあげられている。その典型が、GEの城下街フリントでの水道管鉛中毒事件。(フリントはマイケル・ムーアの出身地でもある)。そのウソとごまかし・隠蔽体質は、アベ政権もかくやと思わせる悪辣さ。住民の抗議が高まるなか、大統領オバマが現地に入る。住民は、ヒーローが住民を助けに駆けつけにきたと涙の大歓迎をするが、…彼は窮地の知事の側に立って住民を宥めるだけ。鉛入りの水道水をほんの少し舐めるだけの演技をしてみせだけで、結局何もしない。オバマが、住民に与えたものは、無力感と政治への絶望とだった。

邪悪なトランプの登場を準備したのが、ビル・クリントンであり、オバマであり、ヒラリーであった。これがこの映画の筋立てである。言わば、トランプこそが邪悪のスーパースター、大悪魔。それと対立するように見えながらも、同じ魔界に、民主党も、ビル・クリントンも、オバマも、ヒラリーもいる。これまでは、小悪魔どもが跳梁していたが、いよいよ邪悪の権化である大悪魔が登場してきたのだ。

邪悪の本質は、飽くなき利潤追求を是認し、巨大企業や大富豪がさらに肥え太る基盤整備を最優先して、圧倒的多数者の貧困も環境破壊も人権も意に介さないということにある。この点において、民主党もトランプと変わりがないではないかという、厳しい批判がなされている。

もう一つの邪悪は、多数派の人々の中にある差別や偏見に自制を求めるのではなく、これを煽り、自らもその先頭に立つことによって支持と票を獲得し、政治的基盤を築こうという手法。トランプは、徹頭徹尾この手口で今のところ成功してきた。民主主義の負の側面を見せつけられる思いである。

マイケル・ムーアの観る社会と政治の構造はこうなっているに違いない。
一方の極に、一握りの大企業・大富豪がいる。他極に圧倒的多数の民衆がいる。そして、その間に今は少数となった中間層がある。格差は無限に広がりつつあり、大企業・大富豪の富の蓄積は経済的・社会的・政治的支配力となっている。中間層は、富豪層に取り入った下僕として民衆支配の道具になり下がり、圧倒的多数の民衆の生活状況は極端に追い詰められている。

この三極の構造を頭に置いて、民主党の立場とは、誰の利益の代弁者であるか。明らかに大富豪層の利益を代弁してきたではないか。クリントンも、オバマも、ヒラリーも、ウォール街から巨額の献金をえて、その見返りの政策を実行してきたではないか。これがこの映画の最も言いたいこと。だからヒラリーは選挙に負けた、だけでなくトランプ登場の舞台を掃き清めたのだ。トランプは、ヒラリーを「ウォール街の代弁者」と攻撃して、票を積み上げたのだから。

ナレーションに幾度となく、「リベラル」が出て来る。あるいは、「既成のリベラル派」。否定的な存在として語られている。ニューヨークタイムズもCBSも、である。所詮、民主党を支持しトランプの野蛮を批判していた彼らも、富豪層に取り入った民衆支配の道具ではないか。

共和党も民主党もトランプも、大多数の民衆の代弁者となっていない。マイケル・ムーアの希望は、予備選でヒラリーに勝っていたはずの、サンダース支持層に向けられる。これまで無名の市井の人が、中間選挙に立候補を表明して素人っぽく、政治活動を始めた姿が映し出される。彼ら彼女ら(多くは女性)が、「民主党を乗っ取る」という姿勢が好もしい。

マイケル・ムーアは、「この国(アメリカ)は本来左派の国」だという。一般の民衆の意見は、すべてのテーマについて、圧倒的に「民主社会主義」的だとも。ところが、議会がそうなっていないのは、選挙制度の問題と、人々のあきらめが問題だという。「『希望』を語るのではなく、行動を」。財界からカネをもらわない、民主党内の新興勢力に温かい目が注がれている。

もう一つの希望は、若者たちである。銃規制に立ち上がった高校生の運動は、本来政治的なものではなく、政治思想とも無縁だ。しかし、彼らは同級生が銃で殺されたことから、行動に立ち上がり多くのことを学んだ。「デモを止めて学校に戻りなさい」という校長の言い分に何の根拠もないこと。「校則違反というけど、全員退学なんてできっこないでしょう」という勇気を。そして、この銃規制が実は政治問題であることも。

彼らはよく分かっているのだ。政治が、多額の献金をしている全米ライフル協会の意向で動いていることを。共和党の議員が、その手先となっていることも。その行動力が、明日への希望である。

マイケル・ムーアは、最後に過去のナチスの画像を映し出して、ヒトラーとトランプとを重ねている。何とまあ、よく似た主張、よく似た政治手法。「最も先進的なドイツ。最も民主的で文化的で科学的なその国で、ファシズムが成立した」「誰もが、その直前まで、そんなことは予想もしなかった」という警告が耳に残る。

若者よ。学生よ。高校生よ。ぜひとも、あなた方にこの映画を観ていただきたい。強くお薦めする。この映画を観て、思うところを語り合ってもいただきたい。この映画に、民主主義先進国アメリカの実態が映し出されている。なぜこうなっているのか。日本とは、どこが同じでどこが違うのか。ナチスドイツが、国会議事堂放火の謀略で緊急事態を自ら作り出し、共産党を弾圧して独裁を達成したことが語られている。米・日とも、そのような事態への警戒は不要だろうか。なによりも、民主主義は正常に機能しているだろうか。漫然と投票しているだけで、よりよい社会が作られていくだろうか。民主主義を健全に機能させる条件とはなんだろうか。いま、トランプのアメリカにも、アベ政治の日本にも、その条件が欠けてはいないだろうか。

トランプの差別容認に苦しめられている人々は、「憲法があるのに負けた」と語っている。憲法はあるだけでは紙に書いた文字に過ぎない。この理念を活かす行動が必要ではないか。この映画に出て来る、「行動に立ち上がった」人々のなんと生き生きとした表情。マイケル・ムーアは、素晴らしい映画を作った。もちろん、「民主主義を再生する」ために、である。
(2018年11月4日)

被疑者下村博文に対する検察審査申立記者会見にて

昨年(2017年)7月31日、阪口徳雄君、児玉勇二君ら同期の弁護士とともに東京地検特捜部に赴き、下村博文らに対する政治資金規正法違反の告発状を提出した。

その告発の内容については、同日の下記当ブログにおいて報告済みである。

安倍政権と加計学園の癒着に切り込むー下村博文政治資金規正法違反告発

http://article9.jp/wordpress/?m=201707

被告発人は、政治団体「博友会」の主宰者下村博文と、同会の代表者として政治資金収支報告の届出名義人となっている井上智治、そして同会の会計責任者兼事務担当者兼松正紀の3名。被告発事実は、下村が文科大臣だった当時における、政治資金パーティのパーティ券購入代金の収支報告書への「不記載」と「虚偽記入」。パーティ券購入先つまりは金主は、話題の加計学園である。加計から、下村に金が渡っていたことが隠蔽されたのだ。

よく知られているとおり、安倍晋三と加計孝太郎は腹心の友という間柄。これもよく知られているとおり、安倍晋三と下村博文も右翼と右翼、思想相似たる緊密な間柄。それに加えて、実は加計孝太郎と下村博文も心許す緊密な間柄と明らかになったのがこの事件の本質。仲良し「悪だくみ・3人組み」である。

下村が文科大臣だった2013年10月と14年10月、いずれも東京のプリンスホテルで行われた下村の各政治資金パーティに、加計学園の担当者がわざわざ出向いて、パー券購入名目で100万円を渡している。合計200万円。原帳簿には記載のあったこの金が、政治資金報告書の記載からは省かれていることが発覚した。おかしいじゃないか。徹底して捜査をしてくれ。強制捜査をかければ、モヤモヤしているところがすべて白日の下に曝されるはず、という告発だった。

告発時の記者会見で、私は 、「この告発は、政権中枢の腐敗を撃つものだ」「本件告発は捜査の端緒に過ぎず、政治資金規正法違反はその入り口である。出口は実質犯、贈収賄成立の可能性となりうる。そこまでを見据えた厳格な捜査を期待したい」と発言している。

しかし、東京地検特捜部はこれを不起訴にした。本年8月15日のこと。なんと形容することが適切なのか、言葉を探しあぐねている。政権に対する忖度・おもねり・遠慮・へつらい・腰砕け・媚び・ゴマすり…。

本日、これを東京検察審査会に審査申立をし、記者会見を行った。阪口徳雄、上脇博之、私、梓澤和幸の4人。

被疑者の犯罪事実が明らかでも、起訴を猶予する処分が妥当なことはもちろんあり得る。被疑者が真摯に反省して改悛の情を示し、しかも、しかるべき社会的制裁を受けている場合。下村は、どうだ。「丁寧に説明する」と言っておいて何の説明もしない。到底、反省している態度とはいえない。今次の内閣改造に伴う自民党人事では、安倍改憲シフトの最高責任者として、憲法改正推進本部長の要職に就いている。社会的制裁も、政治家としての制裁も受けたとは言えない。刑罰が科されてしかるべきではないか。

本日の記者会見で強調されたことは、検察審査員への要望。普通の市民の感覚(常識)での判断をお願いしたいということ。審査員には、有罪の判断が求められているのでない。国民の普通の感覚(常識)で、何の制裁もなく見逃してはおかしいと思えば、「起訴相当」として公開の法廷に結論を任せればよいと言うこと、なのだ。

政治が金で動かされてはならない。これが国民の常識。政治の世界で動くカネの流れは、徹底して透明性が保証されなければならない。これも、国民の常識。加計学園からの金の流れであればさらに下村の政治資金の流れは徹底して洗わなければならない。

この審査申立を担当する検察審査員の一人ひとりにおおきな期待を寄せて、結果を待ちたい。

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審 査 申 立 書

2018年10月31日

東京検察審査会 御 中

審査申立人  上脇博之 (別紙目録記載審査申立人代表)           
代理人弁護士 阪口徳雄(別紙目録記載弁護士20名代表)

政治資金規正法違反審査申立事件
 1 被申立人 下村 博文
 2 被申立人 兼松 正紀

申 立 の 趣 旨

 被申立人下村博文および同兼松正紀の下記「被疑事実の要旨」記載の各行為についての政治資金規正法違反告発事件について「起訴相当」の議決を求める。(なお嫌疑なしの被告発人井上智冶については審査を求めない)

申 立 の 理 由

第1 審査申立人及び申立代理人
 審査申立人及び申立代理人:別紙記載のとおり

第2 罪名
 政治資金規正法違反

第3 被申立人
 下村博文および兼松正紀

第4 処分年月日
 2018(平成30)8月15日(平成29年検第28494~28496号)

第5 不起訴処分をした検察官
 東京地方検察庁 梅田 健史 検事 

第6 被疑事実の要旨
 別紙告発状記載の通り

第7 検察官の処分(告発事実と検察官の処分の整理)
1 加計学園からの収入についての不記載
(1)2013年10月3日東京プリンスホテルにおける博友会主催の「セミナー」に学校法人加計学園から100万円のパーテイ券の対価を受けながら収支報告書に不記載の罪(被告発人は下村博文、井上智冶、兼松正紀)
(2)2014年10月14日東京プリンスホテルにおける博友会主催の「セミナー」に学校法人加計学園から100万円のパーテイ券の対価を受けながら収支報告書に不記載の罪(被告発人は下村博文、井上智冶、兼松正紀)
(3) 以上(1)(2)の罪を次の予備的告発事件で検察官は審査したので全員「罪とならず」と判断した。

2 上記1(1)(2)のあっせんの事実の不記載罪予備的告発事実
 2013年分および2014年分の「政治資金パーティーの対価の支払のあっせん」の各政治資金収支報告書の不記載罪について、下村博文、井上智治は嫌疑なし。兼松正紀は嫌疑不十分。
3  2019万円の収入を980万2円との虚偽記載罪
 (1)2013年10月3日東京プリンスホテルにおける博友会主催の「セミナー」に合計額がありながらわずか金980万2円と虚偽記載し、その差額を金1039万円分を「裏金」として支出したのに、それを記載しない政治資金収支報告書不記載罪について、下村博文は嫌疑不十分、兼松正紀は起訴猶予、井上智冶は罪とならず。
 (2)2014年10月14日東京プリンスホテルにおける博友会主催の「セミナー」に「株式会社東京インターナショナル」から40万円、日本医師連盟から50万円合計90万円の政治資金収支報告不記載について、下村博文、井上智冶は罪とならず、兼松正紀は嫌疑不十分。

第8 不起訴処分の不当性
1 今回、検察官は、第7、3(1)の「博友会」のパーティー収入合計額2019万円を980万2円とうその報告をしてその差額金1039万円分を「裏金」に支出している事実について秘書の兼松正紀は起訴猶予にしていることが不当であり、起訴すべき事案です。
(1) 東京特捜部には政治家のカネの問題は1億円(最近では5000万円とか言われていますが)を超えないと起訴しないという「内部ルール」があると元特捜部の検事達から聞いています。どちらにしても2000万円程度ではこの特捜の内部の基準(ルール)を超えていないことになるから、適当に秘書に「反省」した供述調書を取り起訴猶予にしている可能性があります。しかし収入が2019万円ありながらわずか980万2円とうその報告をし、その差額の1039万円を裏カネとして支出しながら「反省」を理由に不起訴にしていることは極めて不当です。もし国民が2000万円の収入を980万円とごまかすことは許されません。本件はたまたま週刊誌に内部情報が提供された結果発覚した事案を検察が罪に問わず、うやむやにすることは許されません。何故このようなうその報告がなされたのか、公開の法廷で真相解明されるべき事案です。起訴猶予にするとうやむやで終わります。国会議員や秘書だけがこのように特別配慮することは政治不信をより一層招くことになります。
(2)秘書(兼松正紀)が有罪になる証拠があると問えるのに博友会のオーナーである下村博文を嫌疑不十分の処分にしていることも実態を判断していない点が極めて不当です。「博友会」の代表は、井上智治であると届け出されているものの、この者は罪とならずになっていて、関与していないことを示しています。『週刊文春』の報道によると、下村事務所で秘書やアルバイトが作成している「日報」は、毎日夜に、メールで下村博文に送ることになっており、もし送信を怠ったら下村博文が「届いていない、すぐにくれ」と怒り、下村博文が気になった点は電話や対面で「もう少し詳しく教えて」と聞きただし、新たな指示をするという。さらに、当該『週刊文春』の報道によると、「博友会パーティー入金状況」を記録している一覧表である「リスト」は、「博友会の専用の銀行口座に入金された金額を確認して記載されるものであり、下村博文は、それに基づき、パーティー券の売れ行きを細かくチェックしており、前年より購入枚数が減っている支援者がいれば、秘書に厳しく指摘することもあるという。以上の事実から見ると、下村博文は「博友会」の実質的なオーナーですから10万円や20万円の収入漏れや支出漏れがある場合は秘書が単独で行うことはあり得ますが、2000万の収入をわずか980万円余にごまかすことは秘書の単独行為であることはあり得ません。オーナーの下村博文の承認がない以上、普通はあり得ない話しです。下村博文は大物政治家と言われ、文部大臣までなった政治家です。このような大物の政治家に限って前記のような大甘の処分(嫌疑不十分)は普通の感覚ではあり得ないことです。
(3) 両名の不起訴処分について起訴議決されたく特に要請します

2 第7・1及び2記載の、2013年分および2014年分の「加計学園からの政治資金パーティーの対価の受領」の罪についての検察官の処分の不当性
 (1)この事件は週刊文春が入手した「博友会パーテイ入金状況」の内部文書によると2013年は「学校 加計学園 100万円」2014年は「学校 山中一郎 加計学園 100万円」とパーテイ券を買って貰ったことを記載した文書です。検察官は加計学園の秘書室長の山中氏が関係者から集めたパーテイ券の代金をまとめて博友会に持参したものと認定して、斡旋事案として処理し、加計学園の代金ではなく、関係者の購入代金を山中一郎がまとめて斡旋したと認定した事案です。その結果、各政治資金収支報告書不記載罪については下村博文は嫌疑なし、兼松正紀は嫌疑不十分という処分をした。、
(2)この事件は斡旋事案ではなく、加計学園がまとめて各100万円でパーテイ券を購入したのではないかと疑います。しかし博友会のパーテイ券の収入を1000万円もごまかすほどですから、真実加計学園の購入代金であっても下村は文部大臣の時代で加計学園の特区関係で職務権限があるときに100万円の大きな金額で購入することがばれると贈収賄問題になる可能性があるので、これを隠蔽する為に「斡旋」と関係者が口裏を合わせた可能性があります。当時、新学部設置を目指していた学校法人「加計学園」が下村博文の「博友会」にパーティー券のあっせん収入による資金提供をしたことは、文科大臣就任前の2012年は20万円だった金額が文科大臣就任後の2013年9月27日、2014年10月10日は、それぞれ5倍の100万円へと増額していることに鑑みると、贈収賄罪(刑法第197条)の可能性があります。というのは、加計学園が経営する岡山理科大学は、今国会で話題に上っている獣医学部の新設だけではなく、教育学部の新設(2015年4月開学)も目指しており、2014年5月末の教育学部設置を申請する1か月余り前の同年3月頃、下村博文の元公設第一秘書の証言を紹介している『文藝春秋』の記事によると、加計孝太郎理事長と下村博文は、赤坂の料亭で直接会って密談しており、また、下村事務所の「日報」を紹介した前記『週刊文春』の報道によると、その約1か月後の4月21日、加計学園の山中一郎秘書室長は、下村事務所に対し「岡山理科大学の設置申請の件で、文科省に何度も連絡をしたのですが込み合っているとの理由で取り合って頂けません。5月末が申請でそれまでに2,3回は質問し書類を整えたいと思っていますので、大変身勝手なお願いですが、何卒面会させていただけないでしょうか」と文科省への口利きを陳情し、下村事務所の大臣秘書官は、「事務方を通して、お願いをいたしました」と下村文科大臣に口利きしたことを報告しており、2015年4月の新設はかなわなかったものの同年8月末に文科省の認可を得て2016年4月の開設にこぎつけ、その認可時の文科大臣は下村博文だったからです。
政治資金規正法違反事件がこのように贈収賄罪にまで発展することを回避するためにも、東京地検特捜部は、あえて不起訴にしたとのではないかという疑惑が生じます。

3 審査に当たってのお願い

(1)検察審査会の役割は、検察官の不起訴処分の評価について、「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」のどれかを決めることです。
 その際に大切なのは、市民の代表であるみなさんの”普通の感覚”です。
 素朴に考えて「なぜ犯罪にならないのだろう?」と思う場合、「起訴相当」か「不起訴不当」のどちらかを議決できます。
 「起訴相当」の議決となった場合には、公正で中立な裁判官によって、これまで検察が捜査したさまざまな証拠を公開の法廷で明らかされ、それらが本当に犯罪行為にあたるかどうか、慎重に判断されます。
 「不起訴不当」という議決の場合、検察が再捜査することになりますが、それによって導き出される結論は、再び「不起訴」となることが確実で、これまで同様、捜査でどのような証拠が得られたのか、明らかにされることはありません。
「不起訴相当」という議決の場合、検察の捜査でどのような証拠が得られたのか明らかにされないままの状態で、検察審査会として “検察の判断が正しい”と認めることになります。
 真相解明のため、みなさんには「起訴相当」の議決が求められています。
(2)求められているのは法律判断ではなく、普通の皆さんの感覚です
ア 検察審査会を設置する目的について、検察審査会法第1条では「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図る」と定めています。
 検察官の不起訴判断は、専門家の判断です。しかし、検察審査会法の委員の資格に、弁護士、検察官、裁判官などの専門家が除外されているのは、普通の市民の感覚(常識)での判断が求められているからです。
 検察官はともすれば、”官”の立場に立って、民意=国民の普通の感覚(常識)に反する処分を行います。こうしたものを、皆さんの感覚(常識)で「適正を図る」ことが必要なのです。
 皆さんの役割は、検察官の不起訴処分の当否を審査し、民意を反映する議決を行うことです。判断の基準はあくまでも皆さんの感覚(常識)です。
有罪・無罪を決めるのは、裁判官の役割ですから、有罪だから「起訴相当」、無罪だから「不起訴相当」と考えるものではありません。
イ 検察官は”不起訴”という結論を出した以上,自分たちがした”不起訴”を補強するための都合の良い証拠を並べた説明しかしません。もし事件を疑わせるような不利な「証拠」があったとしても、皆さんに明らかにする義務はないのです。
ウ 求められているのは、普通の市民の感覚(常識)で判断することです。
法律は難しいという理由で、検察官の判断を鵜呑みにすれば、検察審査会のみなさんが議論する意味がありません。思い切り、皆さんの感覚で考え、判断して下さい。

添  付  書  類

 処分通知書                  1通
 不起訴処分理由通知書             1通
 委任状                    4通

(2018年10月31日)

トランプもNRA(全米ライフル協会)も「恥を知れ」。「ふざけるな」。

昨年(2017年)10月1日のラスベガス銃乱射事件での驚愕の思い冷めやらぬうちに、2月14日またまたフロリダ州の高校での大量殺人事件が起こった。ラスベガスでの犠牲者は58人、政府も政治もこの大事件に何らの対応策を打てないうちに、また17人の若い命が犠牲になった。明らかに、アメリカは病んでいる。

この事態に、現地から声が上がっている。2月17日の抗議集会でのことだ。伝えられているところでは、追悼集会ではなく、銃を規制しない政治家たちへの抗議集会の模様なのだ。鋭い発言をした高校生のエマ・ゴンザレの名が、話題となっている。

AFPは、こう伝えている。
「米南部フロリダ州で行われた反銃集会で、同州パークランド(Parkland)のマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校(Marjory Stoneman Douglas High School)で14日発生した銃乱射事件の生存者である女子生徒が熱弁を振るい、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と全米ライフル協会(NRA)の関係に辛辣な言葉を投げ掛けた。
 同校生徒のエマ・ゴンザレス(Emma Gonzalez)さんは、米大統領選でトランプ陣営がヒラリー・クリントン(Hilary Clinton)元国務長官に勝つためにNRAから数千万ドル(数十億円)の支援を受けた事実を攻撃し、『NRAから寄付金を受け取る全政治家、恥を知れ!』と発言し、集まった人々も『恥を知れ!』と繰り返した。

 同校の生徒や保護者、地元当局者が参加した集会で演説したゴンザレスさんは、『もし(トランプ)大統領が私に向かって、(今回の銃乱射事件は)恐ろしい悲劇だったけれど何の対策も行われないと言うならば、私は喜んで彼(トランプ大統領)にNRAからいくら献金を受け取ったのかと尋ねます」と述べ、次のように続けた。「でもそれはどうでもいいことです。私はもう知っていますから。3000万ドル(約32億円)です」
 そしてその金額を米国で今年これまでに起きた銃乱射事件の犠牲者の人数で割れば『1人の命の値段は幾らになるのでしょうか、トランプさん?』と問いかけた。
 このパワフルな演説はインターネット上ですぐに拡散し、ゴンザレスさんの名前はツイッター(Twitter)でトレンド入りした。」

CNN(ネット日本語版)の伝えるところは、もっと辛辣だ。
「事件現場に居合わせた同校3年生のエマ・ゴンザレスさんは演説で、連邦議会に銃乱射事件の発生を防ぐための法改正を強く求めた。
『大人たちは「これが現実」と言うのが習慣になっているかもしれない』『でも皆さんが行動を起こさなければ、人々は死に続けます』と訴え、銃規制に反対する全米ライフル協会(NRA)から献金を受け取っている政治家に『恥を知れ』と抗議した。また、銃規制を強化しても銃暴力は減らないと主張する政治家らを『ふざけるな』と非難した。

ゴンザレスさんに続いて、数百人の聴衆も『恥を知れ』『ふざけるな』と声を上げた。

集会の冒頭では、州上院議員のゲイリー・ファーマー氏が殺傷能力の高い銃や部品を禁止し、登録制度を強化する法改正を要求。学校の警備強化で対応しようとの案は「的外れ」だと批判し、警備が強化されれば銃を持った者が公園や教会で乱射するだけだと指摘した。

集会の参加者は『銃ではなく子どもたちを守れ』などと書いたプラカードを掲げ、銃規制に反対する議員を追放しようと気勢を上げた。」

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『恥を知れ』『ふざけるな』と言われたトランプは、今回もだんまりのままだ。しかし、ラスベガス事件の前には、彼がなんと言っていたか。これも、AFPが明確に伝えている。

【2017年4月29日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は28日、ジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)で開かれた同国最大の銃ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」の年次総会で演説し、自身は同団体の「真の友人で擁護者」だと表明した。
NRAは米国の選挙に大きな影響力を持っており、共和党の候補者がその支持を得ようと競い合うことはよくあるが、現職大統領がNRAのメンバーに向け演説するのは異例。昨年の大統領選でNRAは早期からトランプ氏を支持していた。
大統領就任100日目の節目を翌日に控え、NRAの第146回年次総会に出席したトランプ氏は、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領以来、ほぼ35年ぶりに同総会で演説した現職大統領となったことを「誇りに思う」と表明した。
また、「米国民の大統領として、人々が銃を所持する権利は絶対に侵害しない」と宣言。銃乱射事件の頻発を受け銃規制強化を目指したバラク・オバマ(Barack Obama)前政権を念頭に、「過去8年間におよぶ修正憲法第二条(銃所持の権利保護を定めた合衆国憲法の条項)への攻撃は終わりを迎えた」と語った。

これが、トランプだ。銃の販売で儲けようというものの「真の友人で擁護者」なのだ。だから、高校生たちから、『恥を知れ』『ふざけるな』と言われるにふさわしいのだ。

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「ビジネスインサイダー」というサイトの日本語版の転載だが、2018年に入ってから起きた、銃に関係する事件は以下のとおりだという。日付はいずれも、現地時間。
https://www.businessinsider.jp/post-162201
1月3日:ミシガン州で31歳の男が以前通っていた元小学校の駐車場で銃を使って自殺。
1月4日:シアトル郊外にあるニュー・スタート高校で銃撃。被弾したり、負傷した人はいなかった。
1月5日:アイオワ州フォレスト・シティで、ペレット・ガン(空気銃)の弾がスクールバスの窓を粉々に。通学のため多くの生徒が乗っていたが、負傷者はいなかった。
1月9日:アリゾナ州の小学校のトイレで、14歳の男子生徒が自殺。
1月10日:カリフォルニア州立大学の建物が被弾。負傷者なし。
1月10日:テキサス州にあるグレーソン大学の学生が、インストラクターの下で銃の訓練中に誤まって銃を発射。負傷者なし。
1月15日:テキサス州マーシャルの警察に深夜、ウィレイ大学で銃声が聞こえたとの通報が入った。学生寮の1つに流れ弾が当たったが、負傷者はいなかった。
1月20日:ノースカロライナ州で、ウィンストン・セーラム州立大学のフットボール選手がウェイクフォレスト大学で開かれたイベント中に撃たれて死亡。
1月22日:テキサス州にあるイタリー高校で、16歳の男子生徒が銃を撃ち、女子生徒が負傷。
1月22日:ルイジアナ州ニューオーリンズで、ネット・チャーター高校の前に集まった生徒の集団に向かって、何者かがピックアップトラックから銃撃。男子生徒が1人、負傷した。
1月23日:ケンタッキー州の15歳の高校生が銃を撃ち、2人が死亡し、17人が負傷した。
1月25日:アラバマ州にあるマーフィー高校の外で、16歳の少年が銃を乱射。負傷者はいなかった。
1月26日:ミネソタ州にあるディアボーン高校の駐車場で、バスケットボールの試合中、言い争う2人の人間に何者かが銃を発射。負傷者はいなかった。
1月31日:ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるリンカーン高校の外で、バスケットボールの試合後、乱闘騒ぎの結果、銃が使用された。この騒ぎに関与した生徒はいない。1人が死亡。
2月1日:カリフォルニア州ロサンゼルスにあるサルヴァドール B. カストロ中学校で12歳の女子生徒が銃を発射。1人が重傷、他にも4人が負傷した。事件はアクシデントだったと報じられている。
2月5日:メリーランド州にあるオクソン・ヒル高校の駐車場で1人の生徒が撃たれる。
2月5日:ミネソタ州にあるハーモニー・ラーニング・センターで、3年生が職員の銃の引き金を引く。
2月8日:ニューヨーク州ニューヨークのブロンクスにあるメトロポリタン高校で、17歳の少年が銃を撃つ。負傷者はいない。
2月14日:フロリダ州パークランドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で、元生徒が銃を乱射、複数の死亡者と負傷者を出した。
[原文:There have already been 18 gun-related incidents at American schools in 2018]

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NRAは、米国最大のロビイスト団体として知られる。銃規制を緩和せぬよう、莫大な献金を多数の議員に浴びせている。その最大のターゲットがトランプなのだ。

NRAの言い分は、「市民がより多くの銃を持てば持つほど、国は安全になる」というものだ。エマ・ゴンザレスは怒りに震えて、この論法を『恥を知れ』『ふざけるな』と罵ったのだ。惨劇を間近に見た人、あるいは犠牲者の家族も、これに同意して唱和した。

『恥を知れ』『ふざけるな』の言葉は、NRAもトランプも、銃規制の世論を封じることで莫大な利益を得ているからだ。人の命を危険に曝すことを儲けのタネにしていることの倫理的な批判であり、憤りなのだ。

スケールは劣るが、DHC・吉田嘉明と渡辺喜美との関係とよく似ている。厳しい厚労省の規制を嫌って、規制緩和派の政治家にカネをつかませるDHC・吉田嘉明のこのやり口は、徹底して批判されなければならない。NRAがトランプに、吉田嘉明が渡辺喜美に、それぞれつかませるカネは「規制をなくして、スポンサーの眼鏡にかなった立派な政治」を期待してのものだ。刑事上の構成要件該当性はともかく、政治や政治家の廉潔性に対する社会の信用を毀損する点において、実質的に賄賂の収受と変わらない可非難性がある。

また、銃を放任する社会の問題は、国際間の軍事抑止力論争とよく似ている。核拡散の危険を示唆してもいる。大量の銃の拡散は、相互威圧による安全をもたらしはしない。社会的な管理の限界を越えることが、大量殺人や偶発事故に繋がるのだ。既に、事実がそのように物語っているではないか。

私も、エマ・ゴンザレスに唱和しよう。「トランプもNRAも恥を知れ」。「ふざけるな」。

(2018年2月19日)

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