澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

トランプもNRA(全米ライフル協会)も「恥を知れ」。「ふざけるな」。

昨年(2017年)10月1日のラスベガス銃乱射事件での驚愕の思い冷めやらぬうちに、2月14日またまたフロリダ州の高校での大量殺人事件が起こった。ラスベガスでの犠牲者は58人、政府も政治もこの大事件に何らの対応策を打てないうちに、また17人の若い命が犠牲になった。明らかに、アメリカは病んでいる。

この事態に、現地から声が上がっている。2月17日の抗議集会でのことだ。伝えられているところでは、追悼集会ではなく、銃を規制しない政治家たちへの抗議集会の模様なのだ。鋭い発言をした高校生のエマ・ゴンザレの名が、話題となっている。

AFPは、こう伝えている。
「米南部フロリダ州で行われた反銃集会で、同州パークランド(Parkland)のマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校(Marjory Stoneman Douglas High School)で14日発生した銃乱射事件の生存者である女子生徒が熱弁を振るい、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と全米ライフル協会(NRA)の関係に辛辣な言葉を投げ掛けた。
 同校生徒のエマ・ゴンザレス(Emma Gonzalez)さんは、米大統領選でトランプ陣営がヒラリー・クリントン(Hilary Clinton)元国務長官に勝つためにNRAから数千万ドル(数十億円)の支援を受けた事実を攻撃し、『NRAから寄付金を受け取る全政治家、恥を知れ!』と発言し、集まった人々も『恥を知れ!』と繰り返した。

 同校の生徒や保護者、地元当局者が参加した集会で演説したゴンザレスさんは、『もし(トランプ)大統領が私に向かって、(今回の銃乱射事件は)恐ろしい悲劇だったけれど何の対策も行われないと言うならば、私は喜んで彼(トランプ大統領)にNRAからいくら献金を受け取ったのかと尋ねます」と述べ、次のように続けた。「でもそれはどうでもいいことです。私はもう知っていますから。3000万ドル(約32億円)です」
 そしてその金額を米国で今年これまでに起きた銃乱射事件の犠牲者の人数で割れば『1人の命の値段は幾らになるのでしょうか、トランプさん?』と問いかけた。
 このパワフルな演説はインターネット上ですぐに拡散し、ゴンザレスさんの名前はツイッター(Twitter)でトレンド入りした。」

CNN(ネット日本語版)の伝えるところは、もっと辛辣だ。
「事件現場に居合わせた同校3年生のエマ・ゴンザレスさんは演説で、連邦議会に銃乱射事件の発生を防ぐための法改正を強く求めた。
『大人たちは「これが現実」と言うのが習慣になっているかもしれない』『でも皆さんが行動を起こさなければ、人々は死に続けます』と訴え、銃規制に反対する全米ライフル協会(NRA)から献金を受け取っている政治家に『恥を知れ』と抗議した。また、銃規制を強化しても銃暴力は減らないと主張する政治家らを『ふざけるな』と非難した。

ゴンザレスさんに続いて、数百人の聴衆も『恥を知れ』『ふざけるな』と声を上げた。

集会の冒頭では、州上院議員のゲイリー・ファーマー氏が殺傷能力の高い銃や部品を禁止し、登録制度を強化する法改正を要求。学校の警備強化で対応しようとの案は「的外れ」だと批判し、警備が強化されれば銃を持った者が公園や教会で乱射するだけだと指摘した。

集会の参加者は『銃ではなく子どもたちを守れ』などと書いたプラカードを掲げ、銃規制に反対する議員を追放しようと気勢を上げた。」

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『恥を知れ』『ふざけるな』と言われたトランプは、今回もだんまりのままだ。しかし、ラスベガス事件の前には、彼がなんと言っていたか。これも、AFPが明確に伝えている。

【2017年4月29日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は28日、ジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)で開かれた同国最大の銃ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」の年次総会で演説し、自身は同団体の「真の友人で擁護者」だと表明した。
NRAは米国の選挙に大きな影響力を持っており、共和党の候補者がその支持を得ようと競い合うことはよくあるが、現職大統領がNRAのメンバーに向け演説するのは異例。昨年の大統領選でNRAは早期からトランプ氏を支持していた。
大統領就任100日目の節目を翌日に控え、NRAの第146回年次総会に出席したトランプ氏は、ロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領以来、ほぼ35年ぶりに同総会で演説した現職大統領となったことを「誇りに思う」と表明した。
また、「米国民の大統領として、人々が銃を所持する権利は絶対に侵害しない」と宣言。銃乱射事件の頻発を受け銃規制強化を目指したバラク・オバマ(Barack Obama)前政権を念頭に、「過去8年間におよぶ修正憲法第二条(銃所持の権利保護を定めた合衆国憲法の条項)への攻撃は終わりを迎えた」と語った。

これが、トランプだ。銃の販売で儲けようというものの「真の友人で擁護者」なのだ。だから、高校生たちから、『恥を知れ』『ふざけるな』と言われるにふさわしいのだ。

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「ビジネスインサイダー」というサイトの日本語版の転載だが、2018年に入ってから起きた、銃に関係する事件は以下のとおりだという。日付はいずれも、現地時間。
https://www.businessinsider.jp/post-162201
1月3日:ミシガン州で31歳の男が以前通っていた元小学校の駐車場で銃を使って自殺。
1月4日:シアトル郊外にあるニュー・スタート高校で銃撃。被弾したり、負傷した人はいなかった。
1月5日:アイオワ州フォレスト・シティで、ペレット・ガン(空気銃)の弾がスクールバスの窓を粉々に。通学のため多くの生徒が乗っていたが、負傷者はいなかった。
1月9日:アリゾナ州の小学校のトイレで、14歳の男子生徒が自殺。
1月10日:カリフォルニア州立大学の建物が被弾。負傷者なし。
1月10日:テキサス州にあるグレーソン大学の学生が、インストラクターの下で銃の訓練中に誤まって銃を発射。負傷者なし。
1月15日:テキサス州マーシャルの警察に深夜、ウィレイ大学で銃声が聞こえたとの通報が入った。学生寮の1つに流れ弾が当たったが、負傷者はいなかった。
1月20日:ノースカロライナ州で、ウィンストン・セーラム州立大学のフットボール選手がウェイクフォレスト大学で開かれたイベント中に撃たれて死亡。
1月22日:テキサス州にあるイタリー高校で、16歳の男子生徒が銃を撃ち、女子生徒が負傷。
1月22日:ルイジアナ州ニューオーリンズで、ネット・チャーター高校の前に集まった生徒の集団に向かって、何者かがピックアップトラックから銃撃。男子生徒が1人、負傷した。
1月23日:ケンタッキー州の15歳の高校生が銃を撃ち、2人が死亡し、17人が負傷した。
1月25日:アラバマ州にあるマーフィー高校の外で、16歳の少年が銃を乱射。負傷者はいなかった。
1月26日:ミネソタ州にあるディアボーン高校の駐車場で、バスケットボールの試合中、言い争う2人の人間に何者かが銃を発射。負傷者はいなかった。
1月31日:ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるリンカーン高校の外で、バスケットボールの試合後、乱闘騒ぎの結果、銃が使用された。この騒ぎに関与した生徒はいない。1人が死亡。
2月1日:カリフォルニア州ロサンゼルスにあるサルヴァドール B. カストロ中学校で12歳の女子生徒が銃を発射。1人が重傷、他にも4人が負傷した。事件はアクシデントだったと報じられている。
2月5日:メリーランド州にあるオクソン・ヒル高校の駐車場で1人の生徒が撃たれる。
2月5日:ミネソタ州にあるハーモニー・ラーニング・センターで、3年生が職員の銃の引き金を引く。
2月8日:ニューヨーク州ニューヨークのブロンクスにあるメトロポリタン高校で、17歳の少年が銃を撃つ。負傷者はいない。
2月14日:フロリダ州パークランドにあるマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で、元生徒が銃を乱射、複数の死亡者と負傷者を出した。
[原文:There have already been 18 gun-related incidents at American schools in 2018]

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NRAは、米国最大のロビイスト団体として知られる。銃規制を緩和せぬよう、莫大な献金を多数の議員に浴びせている。その最大のターゲットがトランプなのだ。

NRAの言い分は、「市民がより多くの銃を持てば持つほど、国は安全になる」というものだ。エマ・ゴンザレスは怒りに震えて、この論法を『恥を知れ』『ふざけるな』と罵ったのだ。惨劇を間近に見た人、あるいは犠牲者の家族も、これに同意して唱和した。

『恥を知れ』『ふざけるな』の言葉は、NRAもトランプも、銃規制の世論を封じることで莫大な利益を得ているからだ。人の命を危険に曝すことを儲けのタネにしていることの倫理的な批判であり、憤りなのだ。

スケールは劣るが、DHC・吉田嘉明と渡辺喜美との関係とよく似ている。厳しい厚労省の規制を嫌って、規制緩和派の政治家にカネをつかませるDHC・吉田嘉明のこのやり口は、徹底して批判されなければならない。NRAがトランプに、吉田嘉明が渡辺喜美に、それぞれつかませるカネは「規制をなくして、スポンサーの眼鏡にかなった立派な政治」を期待してのものだ。刑事上の構成要件該当性はともかく、政治や政治家の廉潔性に対する社会の信用を毀損する点において、実質的に賄賂の収受と変わらない可非難性がある。

また、銃を放任する社会の問題は、国際間の軍事抑止力論争とよく似ている。核拡散の危険を示唆してもいる。大量の銃の拡散は、相互威圧による安全をもたらしはしない。社会的な管理の限界を越えることが、大量殺人や偶発事故に繋がるのだ。既に、事実がそのように物語っているではないか。

私も、エマ・ゴンザレスに唱和しよう。「トランプもNRAも恥を知れ」。「ふざけるな」。

(2018年2月19日)

2月16日 納税者一揆の爆発だ!! ― 「モリ・カケ追及! 緊急デモ」のお知らせ

国民は、モリ・カケ問題に怒っているぞ。
安倍晋三の政治と行政の私物化に怒り心頭だ。
その解明と追及の不徹底にイライラしているぞ。
安倍やその手下は、国民の共有財産をいったい誰のものと思っているんだ。
こんな政府に税金なんか納めたくないぞ。
だから、確定申告の初日に、納税者一揆だ。

一揆の揆は難しい字だ。手許の漢和辞典(大漢和語林)では、漢音でキ、呉音でギと読み、「はかる」と訓じている。意味に「はかり考えること」「はかりごと」とある。一揆は、多数人がひとつになって「はかり考える」「はかりごと」を企て実行することなのであろう。我が国で古くから、一致協力する意味の言葉として定着し、権力者に対抗しての連帯や団結、そしてその行動として使われた。同じ辞書に、「農民や信徒などが団結して権力者に立ち向かうこと」とある。民衆の権力者の横暴への怒りの発露が一揆なのだ。

私は一揆が大好きだ。民衆の団結と知恵の力が権力者の心胆を震えあがらせる。こんな痛快なことはない。

しかし、今や農民一揆だの打ち壊しの実力行使の世ではない。一揆の精神でデモをかけよう。安倍や麻生、佐川らに。森友・加計問題対する国民の怒りを行動で表わそう。

詳細は、「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」のホームページで。
http://sinkan.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/216-c9bf.html
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今国会でのモリ・カケ問題に対する政府答弁は国民を愚弄する、うそとごまかし満載の極めて異常なものです。
(参考 モラルも血も涙もない異様な国 納税者はどう見たか 麻生ニタニタ答弁(日刊ゲンダイ) http://www.asyura2.com/18/senkyo239/msg/270.html)
私たちの会は今年度の確定申告が始まる2月16日(金)午後、次のような「モリ・カケ追及! 緊急デモ」を行うことになりました。

モリ・カケ追及! 緊急デモ
悪代官 安倍・麻生・佐川を追放しよう!
 検察は財務省を強制捜査せよ!
安倍昭恵さんは証人喚問に応じなさい
 納税者一揆の爆発だ!

主催 森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会
<行動スケジュール  2月16日(金)
13時30分 日比谷公園 西幸門 集合
13時40分 ~財務省・国税庁 包囲行動
宣伝カーを使ったアピール行動
14時15分 デモ出発(西幸門)
→ 銀座・有楽町の繁華街を行進
15時(予定) 鍛治橋(丸の内)で解散

背任、証拠隠滅の悪行を犯しながら、責任逃れの答弁で逃げ切りを図ろうとする悪代官たちを許さない主権者の怒りを総結集して、納税者一揆を爆発させましょう!
皆さまのご参加、お知り合いへの呼びかけをぜひともお願いします。

PDFダウンロード
https://app.box.com/s/ktgpzbj9uw92kh9hx5ye7ui1h46b57jn
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当日のコール(案):みんなで提案しようではありませんか
・今日から確定申告だ
・税金いったい誰のもの
・全国民の財産だ
・財産管理がおかしいぞ
・ただ同然で売り払い
・記録も記憶もないという
・そいつは誰の責任だ
・アイアムソーリー 安倍ソーリー
・安倍の取り巻き怪しいぞ
・検察は財務省を強制捜査せよ!
・森友疑惑に 加計疑惑
・森友・加計は火を噴いた
・龍池留置に出世の佐川
・加計孝太郎氏は逃亡中
・孝太郎さん どこにいる
・「モリ・カケ」食い逃げ 許さんぞ
・音声・録音 嘘はない
・佐川は辞めろ
・任命責任 麻生だろ
・嘘つき大将 安倍晋三
・昭恵夫人は 喚問だ
・加計の孝太郎氏も喚問だ
・おれたち国民怒ってる
・納税者一揆の爆発だ!

(2018年2月3日)

2月1日(木)10時30分「DHCスラップ2次訴訟」第2回法廷 ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第118弾

私(澤藤)自身が被告とされた「DHCスラップ訴訟」。今、「DHCスラップ第2次訴訟」となり、これに反訴(リベンジ訴訟)で反撃している。

その第2回口頭弁論期日(形式的には3回目)の法廷が近づいている。
 2018年2月1日(木)午前10時30分
 東京地裁415号法廷・東京地裁4階(民事第1部)

今回の法廷では、反撃訴訟訴状(反訴状)に対する反訴被告(DHC・吉田)側の答弁書の陳述が行われる。

どなたでも、なんの手続も必要なく傍聴できます。ぜひ、多数の方の傍聴をお願いいたします。なお、現在東京地裁庁舎では一部のエレベータが稼働していません。エレベータに行列ができています。少し早めに、お越しください。

なお、いつものとおり、傍聴された方には、これまでの進行の解説文と今回口頭弁論期日に陳述となるDHC・吉田側の答弁書のコピーを配布いたします。

また、閉廷後の報告集会は今回に限って行いません。閉廷後に控え室で多少の時間をとってご挨拶と、意見交換をいたしたいと思います。実は、2月1日は東京弁護士会役員選挙の真っ最中。東京弁護士会の会議室はすべて選挙事務所に割り当てられて借りることができません。しかも、アスベスト問題で裁判所のエレベータが満足には動かない事態。加えて、法廷でなすべきことは反訴被告側の陳述のみ。そんなわけで、これまでは毎回行ってきた報告集会を今回は行わず、法廷終了後に裁判所控え室で小さな報告会を行うことにします。
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この反撃訴訟において、何が問題とされているのか。是非とも、ご理解をいただきたい。ご理解だけではなく、ご支援もお願いしたい。言論の自由の保障のために、ひいては民主主義のために。

DHCと吉田嘉明は、私を被告としてスラップ訴訟を提起した。実は私だけでなく、同じ時期に少なくとも10件の同種の提訴をしている。提訴はせずに同種の言論妨害も行っているが、その件数は分からない。

吉田嘉明の私への提訴は、侵害された権利の回復を求めてのものではない。自分(DHCと吉田嘉明)への批判の言論を封じるための提訴だから違法なのだ。言論の自由をこよなく大切なものとするこの民主主義社会において、訴訟を言論封殺の手段としてはならない。これが、「スラップ訴訟を許さない」という意味である。

私は、当時吉田嘉明という人物については何も知らなかった。興味もなかった。だから、格別に先入意識はなく、吉田嘉明に対する侮蔑感も反感も持ってはいなかった。吉田の思想や差別的言動について知ることになったのは、スラップ訴訟の応訴の過程においてのことである。

私は、純粋に、彼が書いた週刊新潮手記を論評する限度で3本のブログ記事を書いた。典型的な政治的言論と言ってよい。中心は政治とカネの問題である。そして、カネの力での規制緩和に警鐘を鳴らし、消費者問題にも言及した。それが、経営者として規制緩和を目指す吉田嘉明にとっては不愉快な内容となった。しかし、だからといって私を訴えるのは筋違いも甚だしい。

当然のことながら、彼にも言論の自由はある。私の批判に異論や反論があれば、堂々と反批判の言論を行えばよい。富豪の彼には、私のブログとは較べものにならない、強力な反批判の言論のツールを持ち合わせている。

ところが、言論に対して批判の言論のツールを駆使することなく、いきなりの提訴。しかも6000万円という明らかに過大な請求。言論をもっての反論ではないこの提訴は、自分を批判するとこのような面倒なことになるぞ、という恫喝以外のなにものでもない。これがスラップというものだ。批判の言論の萎縮を狙っての提訴というところに、その本質がある。

私が事実無根の記事を書いたか。私が彼の人格を攻撃したか。いささかもそのようなことはない。だから、DHC・吉田の私に対するスラップ訴訟は請求棄却となった。一審も控訴審もそして最高裁もだ。しかし、吉田嘉明は負けることが明らかな提訴を敢えてして負けた、それだけのこと。なんの制裁も受けていない。むしろ、「私(吉田嘉明)を批判してみろ。高額損害賠償請求の提訴をするぞ」という威嚇の実績をつくったのだ。提訴した得は確保している。一方、私は故ない提訴を受けてこれを斥けて勝訴はしたが、私に生じた金銭的、時間的、精神的な損失は回復されていない。

だから、DHCと吉田嘉明にはしかるべき制裁措置が必要だし、私の損害は回復されなければならない。こうしてこそ、世にスラップが横行することを防止できる。典型としてのDHCスラップ訴訟にはきちんとしたケジメが必要だ。DHCスラップ2次訴訟(反撃訴訟)とは、そのような意味を持つ訴訟なのだ。

次回法廷で陳述予定の反訴答弁書の中に、いくつかDHC・吉田嘉明側の興味深い言い分が記載されている。以下は、その一節。
「反訴被告吉田は,日本国をより良くしようと脱官僚を掲げる政治家(註-渡辺喜美)を応援するために,大金(註-8億円)を貸し付けたのであって,政治を金で買うなどという気持ちなど微塵もなかった。当該貸付について,いろいろな意見を言うのはよいとしても,このような反訴被告吉田の純粋な思いを踏みにじるような事実無根の過激な罵倒に対して,名誉毀損だと主張して損賠賠償請求訴訟を提起することが違法になる余地など全くない。」

吉田嘉明には、「純粋な思い」があったのに、これを澤藤のブログの記載によって「踏みにじられた」という。澤藤は、「事実無根の過激な罵倒」をしたのだという。まるで私(澤藤)が、年端の行かぬ子どもをいじめているかのごとき言い分。これを、針小棒大とは言わない。誇大妄想と言うほかはない。

「反訴被告ら(註-DHC・吉田嘉明)は,8億円という貸付動機について事実と異なる言動をした者のうち,反訴原告(註-澤藤)のようにあまりにも酷い表現をした者に限定して訴訟提起しているのである。」

吉田嘉明が最も力んで主張しているのは、8億円の「貸付」動機である。吉田嘉明によれば、「日本国をより良くしようと脱官僚を掲げる政治家(註-渡辺喜美)を応援するために,大金(註-8億円)を貸し付けた」というのである。

今さら言うまでもないが、吉田嘉明は化粧品とサプリメントを製造販売する会社の経営者として厚労省の規制に服する。ところが、新潮手記の冒頭には、「厚労省の規制チェックは他の省庁と比べても特別煩わしく、何やかやと縛りをかけてきます」「霞ヶ関、官僚機構の打破こそが今の日本に求められる改革」「それを託せる人こそが、私の求める政治家」と無邪気に書き連ねているのだ。

並みの文章読解能力を持つ人がこの手記の記載を読めば、吉田嘉明が「国をより良くする」とは「脱官僚」と同義であり、「日本をダメにしている監督官庁の規制をなくすることを意味している」と理解することになる。彼が「国をより良くしようと脱官僚を掲げる政治家を応援するために、8億円もの大金を政治家に渡した」のは、「他の省庁と比べても特別煩わしい厚労省の規制チェックを緩和する」期待を込めてのことと考えざるをえない。彼の手記は、そのように理解を誘導する文章の筋立てとなっているのだ。

「政治家を金で買う」は、もちろん比喩である。8億という政治資金規正法上の手続に隠れた巨額の金を「脱官僚を掲げる政治家」に渡して、官僚による規制の緩和を期待することを、「政治家を金で買う」と比喩したのだ。この比喩を捉えて「事実無根」などということは意味をなさず、およそ反論になっていない。こんなことでの提訴は言いがかりも甚だしく、違法と認定してもらわねばならない。
(2018年1月29日)

官房機密費訴訟上告審ー最高裁はブラックボックスに光を当てうるか。

国の財政は国民が納めた税金によって成り立っている。国の機関が国民に税金の使途について報告の義務があり、納税者たる国民はすべての税金の使途について知る権利がある。国民が主権者である以上、あまりに当然のことだ。

ところが、これに例外がある。正確に言えば、例外としてまかり通っている「穴」がある。官房機密費(「内閣官房報償費」とも)がその典型。例年14億6000万円が予算計上され、内閣情報調査室の活動に充てる2億円ほど(これも具体的な使途は明らかにされない)を差し引いた残りの12億円余りが、官房長官の一存で使えるカネとされる。

「使途は自由、領収書は不要、会計検査院もノーチェック」だと言われている。国民への報告義務のないカネ。私的な着服があっても、流用があっても、国民の目からは覆い隠されて窺い知ることができない。検証のしようがない、まさしくブラックボックスの世界。

そんなカネだから、昔から疑心暗鬼の対象となってきた。悪いうわさが絶えない。野党工作費として使われた、首相経験者に中元・歳暮として現ナマが渡されている、世論操作のため御用評論家にばらまかれている、外遊する議員への餞別、飲み食いに使われている…。

ときに、官房長官経験者から、「これでよいのか」と問題提起がなされる。小渕恵三内閣の野中広務、民主党野田佳彦政権の藤村修など。

野中広務がメディアに漏らしたところでは、「官邸の金庫から毎月、首相に1000万円、衆院国対委員長と参院幹事長にそれぞれ500万円、首相経験者には盆暮れに100万円ずつ渡していた」という。「前の官房長官から引き継いだノートに、政治評論家も含め、ここにはこれだけ持って行けと書いてあった。持って行って断られたのは、1人だけ」「国民の税金だから、官房機密費を無くしてもらいたい」などとも。

2009年総選挙で自民党が大敗し、政権交代が決まった直後に、麻生内閣の河村建夫官房長官が2億5000万円の官房機密費を引き出したことが話題となり、告発までされた。もう政権がなくなる時点で、いったい何に使おうと言うことだったのだろうか。謎のままである。

このブラックボックスに光を当てようという試みが、市民団体「政治資金オンブズマン」のメンバーによる大阪地裁への情報公開請求訴訟。10年がかりの、1次~3次までの3件の訴訟で、官房機密費支出に関連する各文書の開示を求めて、いま最後の最高裁判決を迎えようとしている。

問題になっているのは、官房長官を安倍晋三が務めた2005~06年の約11億円と、河村建夫の09年の約2億5千万円、そして菅義偉による13年の約13億6000万円の、各官房機密費支出に関連する3種類の文書開示の是非。

開示請求は、5種類の文書に対して行われたが、「支払決定書」「領収書」の2種類については、3件の大阪高裁判決のすべてで原告側の敗訴となり、これは既に最高裁でも確定している。残る「政策推進費受払簿」「出納管理簿」「報償費支払明細書」の3種類の文書では、高裁の判断が割れた。

1次・2次各訴訟での大阪高裁判決は原告側勝訴となって、その開示が命じられた。一部にせよ、官房機密費の使途を明かすよう求めた訴訟での高裁認容判断は初めてだという。しかし、3次訴訟では原告側敗訴となって、原告側と被告・国側の双方が上告した。

昨年暮れの12月22日に、最高裁で弁論が行われ、上告審判決が1月19日第2小法廷(山本庸幸裁判長)で言い渡される。さて、「ブラックボックス」に一筋の光が差し込むことになるだろうか。

政権を信頼する立場からは、行政を円滑に進めるための「ブラックボックス」は必要だから情報開示の必要はない、となろう。しかし、健全な民主主義とは政権に対する国民の猜疑によって支えられるとする立場からは、財政使途のブラックボックスなどあってはならない、ということになる。

果たして、最高裁は、健全な民主主義擁護の立場に立つことができるだろうか。
(2018年1月11日)

旧岩崎邸の贅の限りを目の当たりにして

定番のコースとして上野の杜を散策したあと、久しぶりに湯島の旧岩崎邸に足を運んでみた。ちょうど、ボランティアのガイドさんが1時間の予定で説明してくれるという。熱心なガイドさんから4人のグループで懇切な説明を受けた。多くの知らないことを教えてもらった。

ここは、敷地の一角に司法修習の場である司法研修所があったところ。
「司法修習は1947年にはじまる。同年採用者が修習1期になる。それ以前の敗戦後2年間は新旧制度の端境期にあたり、それぞれ、高輪1期、高輪2期とよぶ。これは当時の司法研修所の仮庁舎が高輪にあったことによる。1948年6月に紀尾井町の新庁舎に移転した。現在は埼玉県和光市にある。」(西川伸一)

司法研修所は、1948年6月から71年4月まで千代田区紀尾井町3番地にあった。私は23期で71年4月修習を終了しており、紀尾井町庁舎最後の修習生だったことになる。湯島の旧岩崎久弥邸内に研修所があったのは、71年4月から94年4月まで。その後は、埼玉県和光市の現庁舎に移転して20年余になる。今の修習生は70期。新憲法制定以来の年数とちょうど重なることになる。

だから、私にとって紀尾井町のオンボロ木造研修所の修習時代が懐かしいが、湯島の庁舎に足を踏み入れた経験はない。2~3度門前でビラを撒いたことがある程度。もっぱら、旧岩崎邸はキャノン機関のアジトとしての印象。作家、鹿地亘(かじ・わたる)拉致監禁事件の舞台としてのみ、なじみが深い。

今日、知ったこと。
旧岩崎邸のこの敷地は、元は越後高田藩榊原家の中屋敷であった。1878年に、当時の所有者牧野弼成(旧舞鶴藩主)から、三菱財閥初代の岩崎弥太郎が買い受けたもの。当時の敷地は約1万5000坪と、現在の3倍あったそうだ。岩崎は、戦後の財閥解体と高率の相続税で手放したという。

中心に位置する洋館は、ジョサイア・コンドルの設計で建てられたもの。コンドルは、お雇い教授としての任期が終わると、三菱の専属同様に稼ぎまくったようだ。金に糸目をつけない注文は、建築家にとってこの上なくおもしろかっただろう。

その岩崎邸の贅を尽くした数々である。120年前に、自家発電から上下水道まで、自前でインフラ整備をしていたという。各部屋の凝ったマントルピースは皆デザインがちがう。床のタイルも、壁紙(金唐革紙)も、ステンドグラスも、電球や水洗トイレに至るまで、これ以上はない贅沢品なのだそうだ。パーティーのたびに、食器はフランスからオールドバカラのワイングラスを客の数だけ取り寄せて揃えたという。

各部屋に大きな鏡があった。これも、フランスから取り寄せた高級品で、この鏡一枚の値段で家が1軒建ったとか。きっと当主の岩崎は、毎日この鏡に向かってこう呟いていたのだろう。
「鏡よ鏡、世界で1番の金持ちは誰だ?」
鏡は利口だからこう答える。
「もちろん、ご主人様でございます」
岩崎は上機嫌で鏡を大事にしたから、今日まで残ったのだ。

もし、正直なAIが組み込まれた鏡であったらこうはいかない。
「鏡よ鏡、世界で1番の金持ちは誰だ?」
愚かな鏡は真実を答える。
「世界で1番の金持ちとは、世界で1番の搾取と収奪を極めた人のことですが、それでも知りたいでしょうか」
「世界で1番搾取と収奪を極めた人でどうして悪いのだ?」
「そりゃあ、世界で1番人に憎まれている悪い奴ということですよ」
岩崎は躊躇なく鏡を割ったであろうから、今日まで残ったはずがない。

ガイドさんは、終始楽しそうに、やや自慢げに岩崎邸の「贅沢の限り」を説明した。特に、和館の方の作りは「すべての板材が、無節・長尺・柾目」、今はもはや再現不可能という。

王侯貴族の贅沢とは、民からの収奪によるものなのだから腹が立つ。王侯貴族ならざる成り上がりの政治家と政商の富の集積には、なおさら不愉快である。無隣庵や椿山荘・古希庵などの贅沢で知られる山県有朋や、「三井の番頭」と揶揄された井上馨が蓄財の藩閥政治家として名高いが、これだけではあるまい。いい加減な政治と結託して成り上がった、岩崎や古河、安田など政商たちの醜悪なあり方は、今日の加計と安倍との関係の比ではない。だから岩崎の贅沢ぶりは不愉快極まりない。

ガイドの説明が終わってお礼を言って、鹿地亘監禁やこの岩崎邸の地下にあったという水牢などについて聞いたが、まったくご存じないという。キャノン機関は知っていたが、鹿地亘の名前も知らない様子だった。ことあるごとに、話題とすることが必要だと思い、昔、ブログ(事務局長日記)に書いたことを再掲しておきたい。
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2003年06月07日(土)
鹿地事件の思い出
午後2時集合で、池之端の岩崎邸見学。
文化財への興味ではない。この建物は、反戦作家・鹿地亘さんの監禁場所だった。国民救援会の企画で、山田善二郎さんの案内による謀略の爪痕の現地学習会である。
実は、私は学生時代に鹿地亘さんの電波法違反被告事件支援の会の事務局長役を務めたことがある。これが、私が作った最初の名刺の肩書きだった。

鹿地さんは、1951年11月にキャノン機関によって、療養中の鵠沼海岸で拉致される。キャノン中佐率いるこの機関は、米占領軍の軍令部・G2直轄の諜報機関であるらしい。そのキャノンが住んでいたのが、三菱財閥の総帥岩崎家のこの豪壮な邸宅だった。鹿地さんも、不忍の池が見えるこの屋敷の2階の部屋に一時期監禁されていた。
ここの地下室には水牢もあり、当時多くの中国人、日本人がここに連れ込まれて、スパイになることを強要されていた。秘密裏に殺された人も多かったという。
自殺を図った鹿地さんを救出したのが、当時ハウスボーイ兼コックであった山田善二郎さん。現・国民救援会長である。
山田さんの命がけの通報と、猪俣浩三社会党議員の世論への訴えで、52年12月鹿地さんは闇に葬られる寸前で監禁を解かれる。拉致から1年余、日本が独立して半年余のことである。
問題はここで終わらない。横暴極まる米に対して沸騰した世論を沈静化するために、謀略が仕組まれる。「鹿地はソ連のスパイだった」とでっち上げられたのだ。手の込んだことに、「自分は鹿地の指示によってソ連のスパイとして働いていた」と「自白」する人物までが現れた。帝国電波(現クラリオン、保安隊・自衛隊との関係が深かった)の社員だったこの三橋という男は、さっさと有罪となり服役をすませた。その後は、社内で出世したというから妙な話。
三橋有罪を受けて、被害者だった鹿地さんが電波法違反で起訴されたというわけだ。鹿地さんは一審有罪判決を受け、私が関与したのはその後の高裁段階だった。その後東京高裁は明快な無罪判決を言い渡し確定する。しかし、遅れた無罪判決は謀略の効果を消すことはできない。

今はなき鹿地さんを思い出す。この事件を通じて、権力というものの酷薄さ醜悪さを知った。そして、権力に屈せずにたたかう人々の誇りも教えられた。
私が弁護士になったきっかけのひとつである。
(2017年8月12日・連続第1595回)

風の神の心変わりー神風変じて逆風の冷たさ

おや、ご存じなかったのですか。この秋津島瑞穂の國は、八百万の神々がしろしめす神域なのですよ。山川草木のすべてに神々が宿りたまい、天が下の森羅万象はことごとく神様の思し召し。ほら、思い出してください。何代か前の首相が、ついつい秘密を漏らしたでしょう。「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知していただく」とね。あれが、真実なのですよ。

もちろんこの国では、政治のすべてが神々の御手で動いています。民が国の主で、民の意思がこの国を動かしているなど思い上がってはいけません。ましてや、アベ一強がこの国を動かしているなんて傲慢この上ないことなのです。すべては、人の祈りと、その祈りを聞き届けた神の力によって、政治も行政も動いているのです。だから、「祈ります」という、あの首相夫人のメールの文章は意味のないことではなく、とても大切なことなのです。

人々の利害が複雑に絡みあっているように、何しろ神様の数も多い。神々の力関係も複雑で、難しい談合や駆け引きを経て神意が表れることになりますが、この過程は、一切人の目には見えません。だから、一見すると、神は気まぐれとも無責任とも見えるのですが、実は神々も苦労しているのです。その辺のことは「国民の皆さんにしっかりと承知して」いただかねばなりません。

神風を吹かせるのは、ご存じ風の神です。この神様、怠け者で普段は寝ているばかり。だから、滅多に神風が吹くことはありません。風の神を揺り動かし、目を覚まさせて、その気になって神風を吹かせるには他の神々の苦労が必要なのです。つまりは、風の神への積極的な働きかけがなければ無理なことなのです。

どうやって、風の神をその気にさせるかですって? それは、「ひ・み・つ」なのですが、人間の世界とそうは違いがありません。人も神も、何らかの利益なくして動くことはありません。どの神様も、その点はしっかりしていますから、その神様のほしいものを用意して提供しなければなりません。一般論として、神様の大好物はお賽銭です。「御神酒あがらぬ神はなし」というとおりでもあります。神様を脅かしたり強請ったりという手もありますし、揉み手や泣き落としの戦術も結構利きますよ。それから、なんと言っても有力な神様の口利きと、忖度です。今回森友に吹いた神風の原因には、口利きと忖度の両方があったと聞いていますね。どこからの情報かって? 実はよく分かりません。そりゃ神のみぞ知るってことですよね。

大事なことは、すべてが生身の人間の目には見えないことなのです。人知を超越した見えないところで風が吹き、見えない風が見えない力となって、その見えない力がものごとを成就させるのです。見えないことが、神風の神風たる所以。口利きがあったとか、忖度があったのでは、と見破られるようでは神風ではありません。見えないからこそ、風の神の仕業なのですが、実は風の神をその気にさせた原因は確かにあるのです。

それを、「口利きも、忖度もないことが明らかになった」などと言うのは笑止千万。愚かしいにもほどがある。身の程を知らない人間の分際での独断。

このたび、風の神になにがしかの働きかけをして、風の神に神風を吹かせたのは、よくは分からないのですが、神々の口に戸は立てられないということで、我々の世界でもうわさは飛びかっています。一番有力なのは、アマテラス以来の皇祖皇宗の神霊ではないかということ。もちろん確証はないのですが、なにしろ、教育勅語復活の小学校教育設立ですから、朕の皇祖皇宗が喜んで一肌脱いだのだろうという憶測。それに出世の神、保身の神、処世の神、へつらいの神なんぞが力を貸して、風の神に働きかけたのだろうと言うのが、もっぱらの風評。

では、なぜ急に風向きが変わって、神風が逆風となったか。こんなことが言われていますね。今や、八百万の神々の勢力関係に変化が生じているというのです。天つ神と国つ神との争いの骨格が古事記以来の伝統でしたが、今やこの構図が壊れそうになっている。アマテラスを筆頭とする天つ神の勢力はこのところ、衰退の一途なのです。ですから、一度は皇祖皇宗の霊の口車に乗せられた風の神は、途中で気が変わったのです。明らかに別の神の働きかけ。

どうも、「民の声は神の声」というのが今高天原のはやり言葉のようなのです。ですから、風の神も考えた。「アベの手下みたいなことをやっていて、私の将来は大丈夫なのか」と。こんな時代錯誤の教育のための右翼学校経営者と右翼政権のために、一肌脱いだことで後世批判の矢面に立つのはイヤだ。となったらしいのです。

で、捨てる神と拾う神がバトンタッチ。その結果風向きが真逆に変化したというのです。アベ政権への追い風が、完全にアゲンストの向かい風になった。森友で着いた火は、逆風に煽られて「加計学園問題」にも飛び火するでしょうし、さらには「順正学園問題」にも類焼しそうではありませんか。その同じ風が、稲田防衛大臣のボロを暴き出しつつあります。これこそが人知を越えた風向きの変化です。これを神のミワザと言わなくて、なんというべきでしょうか。
(2017年3月26日)

軍需産業とアベ政権、持ちつ持たれつの緊密な関係

民主主義とは、理性にもとづく熟議によって、最大多数の幸福の実現を目指す政治過程である。これをカネの力で撹乱してはならない。少数の持てる者が、カネの力で世論を誘導し、自分に有利な有権者の投票行動に影響を与えるという現実がある。政治はカネで動くのだ。

企業や企業人は、このカネの力で政治を動かそうする衝動をもつ。企業が政治に注ぎこむカネのうち、目に見えるものを政治献金といい、裏で動く隠れたカネをワイロという。

企業の「政治献金」と「ワイロ」と、この二者は本質的には違わない。政治献金とは、実は、日常用語における賄賂だ。私はそう考えている。

ちなみに、ワイロ(賄賂)とは何か。刑法における定義ではなく、日常用語として。

広辞苑の語釈はこうだ。「不正な意図で他人に金品を贈与すること。また、その金品」。新明解は、「公務員などが職権を利用して業者に便宜をはからうことに対して受けとる、不正な金や物」。
そのほか、「職権を利用して特別の便宜を計ってもらうための、不正な贈物」「自分に有利なようにはからってもらうために贈る金品」「 自分の利益になるようとりはからってもらうなど、不正な目的で贈る金品」など。

語感は、これでつかむことができよう。要するに、「不正な見返りを求めての金品の提供」がワイロの本質と言ってよい。ならば、政権政党への企業献金は、ズバリ賄賂にほかならない。

そのような視点で、本日の毎日のトップ記事をお読みいただきたい。

「防衛献金 自民60%増」「安倍政権下 15年3.9億円 工業会31社」「予算は増加続く」という見出し。これを繋げて補うと、「安倍政権下で、防衛関連企業31社の自民党への政治献金年間額が60%増となっている」「その額2015年で3.9億円となり、防衛関連予算の増加が続いている」というもの。

安倍自民党への防衛産業からの政治献金が顕著に増加し、そのカネは防衛予算というかたちで、十分な効果を生んでいるというのだ。政治献金という名の賄賂は、政治を歪める。民主主義政治過程を撹乱すると言うだけではない。平和をも蝕むのだ。

毎日トップ記事の本文はこうだ。
「防衛装備品メーカーなどが加盟する『日本防衛装備工業会』(JADI)の会員31社が2015年、自民党の政治資金団体『国民政治協会』に計3億9000万円余を献金したことが分かった。安倍晋三内閣が15年9月に安全保障関連法を成立させたこともあり、防衛予算は増加が続く。これに歩調を合わせるように、会員による企業献金は旧民主党政権時代から60%増加しており、以前の自民党政権下の水準にまで回復した。」

「JADIは国内の防衛装備品の製造や修理などを手がける136社(正会員)が加盟し、三菱重工業会長の大宮英明氏が会長、旧防衛庁元装備本部長の野津研二氏が専務理事を務めている。15年の政治資金収支報告書によると、会員のうち31社が、自民党の企業献金の受け皿である同協会に献金していた。」

献金会社は、トヨタ自動車・キヤノン・新日鉄住金・三菱重工・日立など。いずれも「防衛装備品」の大手納入業者である。

「09年の3億8000万円余がピークだったJADI会員による同協会への献金は、民主党への政権交代によって減少。12年は約2億4000万円だったが、自民党の政権復帰後の13年に上昇に転じた。一方で会員の大半は、政権担当時を含めて民主党の政治資金団体には献金していない。国の防衛関係予算は12年度の約4兆7000億円から16年度は5兆円超まで増えており、防衛産業界の意向と政策が重なる傾向もある。JADI会員が委員に名を連ねる経団連防衛生産委員会(現防衛産業委員会)は14年2月、国の武器輸出を原則禁じた「武器輸出三原則」の見直しを自民党に提言。約2カ月後に「防衛装備移転三原則」が閣議決定され輸出が拡大した。」

以上が毎日の報道の要点。貴重な記事ではないか。主権者として、次のことを心得ておきたい。

軍需で潤っている企業がアベ自民党に献金し、アベ政権は軍事予算を増額して防衛産業を潤わせている。こうしてこそ、さらなる献金を期待できることになる。軍需産業とアベ政権、持ちつ持たれつの腐臭漂う関係なのだ。さらに、類は友を呼ぶ。軍需産業とアベ政権の腐臭に引き寄せられる者も現れる。

昨年(2016年)9月18日の当ブログが、「『弁護士バカ』事件で勇名を馳せたイナダ防衛大臣の夫は防衛産業株を保有」という記事。一部を転載しておきたい。

http://article9.jp/wordpress/?p=7458

防衛大臣が「夫名義で防衛産業株」をもっているのだ。近隣諸国との軍事的緊張が高まれば防衛予算が増額となる。そうすれば、三菱重工業・川崎重工業・IHIなどの持ち株の株価が上がる。イナダ夫妻は儲かることになる。これは、「風が吹けば桶屋が儲かる」の類の迂遠な話ではない。「雨が降れば傘屋が儲かる」ほどに必然性のある分かり易い話。防衛大臣イナダは、軍事緊張をつくり出すことで儲けることができる立場にある。反対に、近隣諸国との緊張が解けて平和な環境構築が進めば、防衛予算は削られ、防衛関連株の株価下落は避けられない。防衛大臣夫妻は、軍事緊張なくなれば損をすることになるのだ。到底「国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する」ことはできようもない。

軍需産業の献金増ではこうなる。

軍需産業献金増⇒軍需予算増⇒軍需産業好決算⇒株価騰・配当増⇒イナダ夫妻の笑み…

何度でも言わねばならない。イナダさん、防衛大臣おやめなさい。あなたにはふさわしくないのだから。
(2017年1月8日)

維新の、おまえも相当のワルよのう。いや、自民の親分ほどではおまへん。

自民の親分。目出度いことでおますな。いよいよ、ワイら極道の時代の幕開けやおまへんか。

おう。維新の代貸しか。まだ、はしゃぐのは早い。世間の目は冷たいぞ。もう少し、目立たぬようにしておかんと、世論という化け物に足をすくわれかねん。用心に越したことはない。

せやけど、嬉しゅうてなりませんのや。このところ、やることなすことうまく行かんで、頭を抱えていたとこでんねん。そこに久々の朗報や。賭場開帳のお墨付きに、地元の極道や博徒の連中は大喜びでっせ。

そんなにはやまってはいかん。はやまってはいかんが、ここまで来たからにはもう一押しで大丈夫だろう。あんたのところには、ずいぶん貸しを作ったことを憶えておいてもらおう。

そら、よう分かっていまんがな。せやけど、貸し借りはお互いさまでっせ。ウチの組の力あっての法案通過やおまへんか。親分のところも、これで大儲け間違いなしや。

こんな修羅場には、公明の組がどうもたよりにならん。法案賛成なのか反対なのかふらふらしおって、最後は自主投票だと。結局は敵前逃亡じゃないか。

そやさかい、これからは、ウチの組ともっと仲ようしてもらいまひょ。選挙のときには、持ちつ持たれつということであんじょうたんまっせ。

とはいうものの、あっちの組を袖にするのも痛し痒しだ。仁義と任侠のこの業界、世話になった分だけ、きっちりと仮は返すということは心がけんとな。

親分、意外にソロバンお上手やな。今回はウチと組んだが、明日以後は公明の組との天秤というわけやな。そない、ホンネを言うてもろうた方が話が早い。

腹を割って話せば、そのとおり天秤さ。政権与党の旨味を分けてやれるのがウチの組の強みだ。すり寄って尻尾を振ってくれる方が可愛いのは当たり前だろう。

親分とこの悲願は憲法改正や。公明は、支持者との関係で、なかなか改憲には踏んぎれへん。そこいくと、ウチの組は憲法改正にたいしたアレルギーはおまへん。儲かりさえすれば取引可能や。防衛予算拡大も、教育基本法再改正も、TPPも、福祉の削減も取引材料や。沖縄基地建設強行も結構でっせ。一緒になって、「土人」の反対を潰しまひょ。

そいつぁ心強い。その言葉は、公明の組で番を張っている幹部連中によく聞かせてやろう。そうすりゃあ、あっちも背に腹は代えられないところだろう。

せやけど、今回は親分よう決断しやはりましたなぁ。アッという間の、委員会採決。腹をくくらにゃ、なかなかできることではおまへんで。

そうよ。反対運動が盛りあがらないうちの手際のよい採決。もうすぐ12月8日だが、あの奇襲作戦を真似たのさ。卑怯と言われようとも勝てば官軍。法案通しての政権与党だ。

審議たったの6時間での委員会採決やから、ホンマにあっという間でんな。見事なもんや。たいした強行採決や。

おや、口は謹んでもらいたい。うちの組は、これまで強行採決など一度もしたことはなく、考えたこともない。

よう言わはるね。その辺のシンゾウがたいしたもんや。

世の中、甘くはない。刑法は賭博を禁じているし、最高裁判例も賭博がなぜ犯罪かの理由を詳しく述べている。そんな時代を終わらせて、俺たち極道が堂々と賭場を開帳できる時代がようやく来ようとしている。

ありがたいのは、マスコミの反対理由や。「景気や雇用回復に役立つのか」「反社会的勢力に利用されないか」「治安が悪化しないか」というレベルの疑問の提示で、賭博そのもの絶対悪だと切り込んでいないことや。

そうよ。そんな程度の懸念ならいくらでもごまかしが可能だ。世間の関心は何よりも景気回復だ。儲かりさえすればなんだってよいというのが、資本主義じゃないか。どうしてこんな当たり前のことが、頭の固い連中には分からないのかね。

アメリカでも、ヨーロッパでも、きれいごとを言ってる連中は、このごろ顔色おまへんな。橋下徹の登場にしても、アベ政権にしても、日本はドゥテルテやトランプの先を行っていたわけや。

「賭博は何も生まない。お互いが、他人の損を自分の利得にしようと争うだけのもの」というのは、見方が浅いな。何よりも、莫大がカネが動くという経済効果が大きい。賭場は儲かる。利権のあるところ、政治家のフトコロにも大金がはいる。結構なことではないか。

賭博は人の本能に根ざしているんや。これを封じ込めてはあかん。無理はアカンのや。

「日本のギャンブル依存症患者は海外と比べても多い」とか、「厚生労働省研究班の調査では、依存症が疑われる成人は全体の5%弱の536万人と推計される」とか言われているが、これは自己責任。どうな政策にも、光だけでなく影もあるさ。

せやせや、そのとおり。うちの組は、何が何でも25年大阪万博誘致で大儲けをしたいんや。万博候補地の人工島にカジノは不可欠や。そのための、親分への貸しや。この思惑で、政治資金もたんまり期待できるし。なんたって、ウチの組と親分のとこが組めば、なんでもできる。数は力や。力はカネや。

維新の、おまえも相当のワルよのう。

いやいや、とうてい自民の親分ほどではおまへんで。
(2016年12月3日)

「鶴も鳴かずば撃たれまいに」ー鶴保庸介「政治とカネ」疑惑を撃つ

毎日新聞の社会面トップが、11月20日、21日、そして本日(22日)と3日連続で、鶴保庸介の「政治とカネ」疑惑を報道している。「土人発言擁護」のあの鶴保、スピード違反検挙歴2回のあの鶴保、そして女性スキャンダルで信じがたい背信的行為で話題となったあの鶴保、そしてアベ政権が必死に擁護をはかっているあの沖縄担当大臣である。

11月20日と21日の記事は必見。いずれもネットで読める(見出しなどは、多少新聞記事と異なるが)。是非、目をお通し願いたい。
http://mainichi.jp/articles/20161120/k00/00m/040/094000c
http://mainichi.jp/articles/20161121/k00/00m/040/116000c

そして、いつもながらリテラの解説記事が遠慮なく切れ味がよい。毎日の書かない鶴保のスキャンダルなどは、こちらに詳しい。こちらも是非。
http://lite-ra.com/2016/11/post-2716.html

報じられている疑惑の内容は、表面上パー券購入に関しての「政治資金規正法違反」疑惑だが、毎日の記事がターゲットにしているのは、明らかに「収賄」ないしは、「あっせん利得処罰法違反」容疑である。あの甘利明とおなじ容疑なのた。これは看過できない。

毎日がスクープした疑惑は2件ある。両件を通じて鶴保が受けとったカネの合計額は450万円(20日報道のA事件350万円、21日報道のB事件100万円)。行政の担当者を呼び出して、自分の執務室(当時国交副大臣)で献金者に会わせているところまで、甘利疑惑とそっくりである。そこまでしていれば、鶴保の行政への口利きがあったと考えるべきが常識というもの。鶴保への献金者二人は、二人とも行政から利益を得ている。甘利に続いて、これを立件できないとなれば、いったい何のための法、なんのための検察なのか。

それにしても鶴保の手口は汚い。献金(パー券購入)は、他人名義とされていた。毎日のA事件のサワリはこうだ。
「鶴保氏は12年12月、第2次安倍内閣発足時に副国交相(観光庁などを担当)に就任。男性の(二人の他人名義での)パーティー券購入はその翌月で、男性らによると購入から5日後の13年1月16日午後、男性は山梨のNPO代表らと国交省の副大臣室で鶴保氏と面会した。観光庁観光産業課出身の秘書官も同席。男性らは補助事業制度全般について意見を述べ、河口湖での駐車場やトイレの増設を要望したという。
NPOは翌2月、観光庁の補助事業「官民協働した魅力ある観光地の再建・強化事業」(補助金上限1500万円)に応募。3月に倍率8倍を突破し対象事業に選ばれた。14年2月には追加補助の「観光地ビジネス創出の総合支援」(同700万円)にも選ばれた。」

これを政治家利用ビジネスとしてみれば、このA事件疑惑は、鶴保への献金合計350万円のコストで補助金2200万円を獲得したことになる。8倍の倍率を突破しての補助金受領は、ビジネスに金銭以上のメリットを付与するものとなる。献金(パー券購入)は他人名義でさせておいて、鶴保はこの真の献金者を行政の担当者に紹介して、メリットを付与したとの濃厚な疑惑。

そのコストパフォーマンスをもたらした「名義擬装」については、献金授受の両者の共謀あったことが明らかと言うべきである。その隠蔽工作がバレたから「カネは返した」という、いつものパターン。カネを返さねばならないということは、違法を認めたということ。これを放置しておいては、同種犯罪をはびこらせることに手を貸すものとして、司法の権威を失墜せしめると指摘せざるを得ない。

私の印象では、毎日の記者が鶴保の土人発言擁護をはじめとする一連の行動に、義憤を燃やしたのだ。徹底して調査してやろうと考えたに違いない。こうして叩いてみたら、案の定ホコリが出てきた。到底看過できない「立派なホコリ」。鶴は、言わずもがなの土人発言擁護の一声を発して、撃たれたのだ。

さすが毎日、よく調べている。毎日が報道する鶴保政治資金規正法違反疑惑は、報告書を眺めているだけでは把握できない。執念で歩き回ってはじめて書ける記事だ。立派な新聞の立派な記者が、薄汚い議員の隠蔽された疑惑をよくぞ見つけてきた。

甘利の場合は「献金」という形で現金の授受があった。鶴保疑惑は、パーテイ券購入という形での金銭授受。しかも、悪質なのは甘利陣営が、これを隠そうと工作していることだ。当然にやましいところがあるからである。そして、隠蔽工作は、金銭授受の両当事者が、相互に協力して美しくも心を合わせた共同作業によるものと考えざるをえない。

理由はあるのだろう。献金(パー券購入)側の名前は伏せられている。「山梨県のNPO法人副代表」とか、「前年に法人税法違反容疑で逮捕された会社の社長」などという特定のしかた。汚い政治家にカネをやることを通じて、行政を動かそうとしたこちらも汚い輩だ。少なくとも、政治や行政の廉潔性に対する信頼を傷つけた人物。ちょうど、渡辺喜美にカネを提供したDHC・吉田嘉明と同じ立場。政治家にたかって、利益に与ろうという世にはびこっている不正には、強い警告を発しなければならない。

甘利の場合は、献金者とURとの間の損害賠償交渉への口利きだった。鶴保は、国交省の副大臣として、業者への補助金取得口利きがメインの疑惑である。これを隠蔽するための工作が政治資金規正法違反疑惑となって表面化している。政治資金規正法が政治資金の流れの透明性を確保して、職務の廉潔性に対する国民の信頼を確保しようという法律なのだから、政治資金規正法違反の裏には、カネで政治を動かそうという献金者側の思惑と、これにたかろうという薄汚い政治家の、相寄る魂の抱擁があるわけだ。

カネを持っている連中は、政治家にカネをやりたくてならないのだ。もちろん、見返り期待のない献金などはありえない。そのことを常識として、カネの授受や利益供与が、政治や行政の廉潔性に対する国民の信頼を損なうものとして規制されているのだ。DHCの吉田嘉明の如く、「他は知らず、自分の献金だけは別」などが通じるはずもないことを弁えねばならない。

惜しむらくは、この疑惑の発覚が、7月参院選のあとになったことだ。もし、参院選の前だったら…。もしかしたら、和歌山選挙区では、市民と野党の共同候補が、当選していたかも知れない。

鶴保は、鳴いて撃たれた。鳴かずに、ひっそりと同様の疑惑を抱えたままの議員も多いに違いない。これを暴く旺盛なメディアにも期待したいし、新たな政治資金監視の市民運動の出現が望まれる。
(2016年11月22日)

極右排外主義者同士の「ドン」「シン」会談

よう。オレのファストネームはドナルドだ。ドンと呼んでくれ。
では、ワタクシはシンゾーですから、シンとでも。

オレがドンで、あんたがシン。意味深でいいじゃないか。今後はずっとこれでいこう。
ドンとシンの友情。結構でございます。

あんたとは、ウマが合いそうだ。ドイツやフランスの首脳は、結構うるさいことを言って面白くない。礼儀に欠けるんだな。あんただけが、私に批判めいたことを一切言わないのが、気に入った。
それはもう、ワタクシは身の程をよくわきまえていますから。

メルケルも、オランドも、メイも、みんなヒラリーとおんなじ気取り屋だ。オバマも、オレをバカにしている。あんただけだよ、オレと同類という雰囲気をもっているのは。
そりゃそのとおりです。ワタクシもオバマとは肌が合わない。オバマはワタクシのことは「右翼の軍国主義者」という目で見ていますから。

オレは、「偉大なアメリカを取り戻す」というのがスローガン。
ワタクシは、「戦後民主々義を脱却して日本を取り戻す」。よく似ているのは偶然でしょうか。

お互い、支持勢力が極右の排外主義者。差別のホンネもそっくりだ。民主主義とか人権が大嫌いなところも、よく似ている。
それだけじゃありません。反知性のレッテルがよく似ているし、選挙の前とあとでは、正反対のことを言って平気なことも一緒。お友だちや身内を平気で登用することまで似た者同士。こういうのを、価値観を同じくするって言うんでしょうね。

オレが、次期大統領に決まって以来、全米が湧いているぜ。これまでしおたれていた白人が、ようやく男らしさを取り戻して、ヒスパニックや黒人に威勢を張り始めた。クー・クラックス・クランも眠りから覚めたようだし、ヨーロッパのネオ・ナチ連中も、勢いづいている。
さすがに大きなドンの影響力。でも、ワタクシだって負けてはいませんよ。ワタクシが総理になって以来、日本の差別主義者は勇気百倍、在日に対するヘイトスピーチ・ヘイトデモでの弱い者イジメに懸命です。やっぱり、彼ら右翼は分かるんですね。右翼を支持し差別を推進している、ワタクシの心の内が。

そうだよ、トップの心もちひとつで、国中が変わる。なんてったってアメリカ・ファーストだ。アメリカっていうのは、白人ってことだ。ヒスパニックもムスリムも黒人も「アメリカ」じゃなくて、よそ者だ。民主党の連中は、こんな簡単なことをはっきり言えないから、選挙に勝てない。
日本でもがんばって、在日だけでなく沖縄を差別しています。先日は、内地の機動隊が現地のデモ隊に、「土人」と差別語を浴びせて侮辱しています。鶴保庸介という沖縄・北方担当大臣が、現地の沖縄県民の側に立たずに、土人発言をした内地の機動隊員の擁護に回っています。大臣も、機動隊も、右翼も、ワタクシの気持を忖度してくれています。

ところで聞きたかったのは、あんたの「積極的平和主義」ってやつ。平和主義なんて、あんた嫌いだろう。一人前の男が口にすることじゃない。でも、国民の多くは平和主義が好きだ。そこで「積極的」を付けると、言葉は平和主義だけど、内容は武力行使容認なんだ。このからくりでどこまで国民をだませる?
国民騙しのテクニックは、ワタクシが先輩ですからお教えします。問題は、TPPですよ。以前はTPP反対で、「ぶれない自民党」と言ってました。「反対だけど、アメリカや近隣諸国が望む以上は、聖域を護りつつの交渉参加はやむを得ない」と言って舵を切りました。今では自民党は強行採決までしてTPPを通そうとしています。もちろん、すべてはアメリカへの義理立てでのことです。そんなことをお考えいただき、もう選挙は済んだことですから、TPPについては、候補者としての発言と、行政の責任者としての発言は分けていただきたいところ。

あんた、そりゃ駄目だ。TPP離脱は、オレの公約の目玉だ。他のことはとかく、この公約はアメリカ・ファーストと結びついているんだ。どうしても骨抜きにはできない。
とは言ってもですね。そもそも、自由貿易の伸展は歴史の流れでございまして、貴国の利益にもなることですから、ここは相互主義の立場から譲歩をお願いしたのです。

なんだと。あんたはオレに説教しようというのか。
いいえ、とんでもない。お願いしているだけで。

なら、お断り。こちらは、アメリカ・ファーストの旗は降ろせない。アメリカ・ファーストとは、日本も敵ということだ。
それは上等でございます。こちらも、ジャパン・ファーストの旗は降ろせない。ジャパン・ファーストとは、アメリカが敵ということでございます。

そういえば、お互いが排外主義のナショナリストだ。そもそも利害が一致するはずはないんだ。我が合衆国には、「黄禍」という言葉が伝統としてある。
こちらも一緒でございます。表面は取り繕っても、排外主義者同士が親密になれるはずはございません。我が日本には、「鬼畜米英」という言葉が伝統としてあります。

「リメンバー・パールハーバー」だ。
東京を焼き、広島・長崎に原爆を落としたのはアメリカじゃないか。

今日のところは、決裂はまずい。表面だけは取り繕っておこう。「両者は、日米関係の緊密化こそが、両国の利益のみならず、世界の平和や経済発展にとって、死活的な重要事であることを相互に確認した」くらいの発表で、お茶を濁しておこう。それでいいな。しんきくさいシンよ。

「親密に、将来の夢と希望を語り合った」とか。今日のところだけはね。どんくさいドンよ。
(2016年11月17日)

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