澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「本郷・湯島九条の会」からの街頭での訴え

本郷三丁目交差点をご通行中の皆さま、ご近所の皆さま。こちらは地元「本郷・湯島九条の会」の定例の訴えです。しばらくお耳を貸してください。

私たちは、憲法を守ろう、憲法を大切しよう、とりわけ平和を守ろう。絶対に戦争を繰り返してはならない。安倍政権の危険な暴走を食い止めなければならない。そういう思いから、訴えを続けています。

一昨年(2014年)の7月に、安倍内閣はそれまで、集団的自衛権行使は違憲としていた憲法解釈を大きく変えて、一定の制約は設けながらも、集団的自衛権行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定をしました。戦後保守政治が自制してきた一線を越える歴史的暴挙と言わなければなりません。内閣法制局長官の首をすげ替えることまでしての荒療治でした。

そして、多くの国民の反対の声を押し切って、昨年(2015年)9月19日、集団的自衛権行使容認を内容とする戦争法を成立させました。これで、自衛隊は、自衛のための実力という域を超えて、他国の要請によって海外で戦争のできる戦力に変質を遂げています。

「安倍内閣は憲法に縛られない」「不都合な憲法条文は、内閣の方で解釈を変えてしまえ」という傲慢な安倍内閣の姿勢が、大きな批判の的になりました。立憲主義を理解せず、憲法をないがしろにする非立憲内閣、ビリケン内閣ではないか、という批判です。

「憲法9条は非軍事の平和主義を定めている」というオーソドックスな憲法理解をする革新勢力だけでなく、「自衛の場合には軍事的な手段も容認される」という専守防衛論の保守派も一緒になって、安倍内閣の危険な暴走に歯止めをかけようとしたのです。

そのため、安倍政権は戦争法を成立させはしましたが、大きな抵抗に遭って、必ずしも思うがままの立法や運用ができる状況ではありません。政権も、あらためて憲法9条の歯止めの効果を認識せざるを得なくなったのです。安倍内閣は、今や解釈改憲の限界を認識して、明文改憲を実行しなければならない。そのように考えています。

安倍内閣の目指すところは、9条改憲です。2012年の自民党改憲草案のとおりに、9条を改正して堂々の国防軍をもちたいのです。しかし、国民世論が憲法の改正を望んでいないことは明らかです。とりわけ、国民の中には、平和を大切にし憲法9条を変えてはならないという強い願いがあります。だから、安倍内閣も容易に改憲には踏み切れません。

そこで安倍内閣は何をたくらんでいるか。改憲策動を隠しながら、国会内で圧倒的な改憲派の議席を掠めとること、これが安倍政権の基本方針です。

選挙の度に、「改憲は争点ではない」、「今回選挙はアベノミクス選挙だ」などといいながら、選挙が終われば「改憲派が各院の3分の2を占めるに至った」「これが主権者国民の意思だ」と言っているのです。これを繰り返せば、圧倒的多数の改憲派議席を獲得することができる。そうすれば、強引にでも憲法改正の発議ができる。あたかも、改憲が民意だと強弁することさえ不可能ではない。

ですから、今、憲法の命運にとって死活的に大切なのは、3分の1の改憲反対派の議席を確保し守り抜くことです。その貴重な議席を積み上げる国政選挙での勝利が日本の明日の平和を守り抜くことになります。

選挙に勝つには、改憲反対勢力の共闘しかありません。とりわけ、衆議院議員総選挙で295の議席を占める小選挙区選挙での野党共闘の成否が重要です。憲法を守ろう、立憲主義を守ろう、戦争法を廃止しよう、という野党勢力と市民の連携で、改憲・壊憲・非立憲の安倍政権を支える与党に勝たなければなりません。各野党個別の闘いでは個別撃破されてしまうことは灯を見るより明らかです。

本日、その大切な選挙が始まりました。お隣豊島区と練馬区からなる衆院東京10区の補選が告示され、鈴木庸介候補が立候補の届け出をしました。この人、「期待の大型新人」と言われています。何しろ身長190cmの大型。民進党の公認ではありますが、共産・生活・社民の3党が推す、野党共同候補でもあります。10月23日の投開票の結果が注目されます。同時に行われる、福岡6区も同様。改憲派陣営は割れ、改憲阻止派が統一候補を擁立している図式です。

鈴木候補は、こう言っています。
「政治の道を志したきっかけは、内戦が終わった直後に訪れたルワンダ国内で見た無数の頭がい骨。私のこぶしぐらいの子どもの頭を見た時、『この子はどんな恐しい思いを、悲しい思いをしたんだろう』と思うと慟哭を抑えることができなかった」「本当に戦争の恐ろしさ知る人間になりたいとの思いから、アフガニスタン、ボスニア、パレスチナを回った」「今、日本の立憲主義は脅かされている。憲法を軽んじる政治家によって、われわれ日本が積み重ねてきた政治・平和が危機に陥っている」「決してこの国を戦争の惨禍に巻き込んではいけない。私たちのちょっとした選択が、一歩間違えれば戦争になってしまう」
この志を貫いてほしいものと思います。

今や、基本的な政治状況は改憲の是非をめぐる対立構造となっています。安倍政治が投げ捨てた立憲主義の政治を取り戻すことができるか否か。憲法を大切にし、政治も行政も憲法に従って行うという当たり前の大原則を、きちんと政権に守らせる勢力の議席を増やすことができるか。それとも、憲法をないがしろにして、あわよくば明文改憲を実現したいという勢力の議席を増やしてしまうか。

一方に憲法を護ろうという野党4党と市民運動のグループがあり、もう一方に改憲を掲げるアベ自民党とこれに擦り寄る公明・維新のグループがあります。この「立憲4党+市民」と「壊憲派」の憲法をめぐる争い。おそらくは、この構図がこれからしばらく続くものと思います。

今、このように憲法がないがしろにされているこのときにこそ、全力を上げて憲法を守れ、立憲主義を守れ、憲法の内実である、平和と人権と民主主義を守れ、と一層大きく声を上げなければならない事態ではないでしょうか。

本当に、今、声を上げなければ大変なことになりかねません。でも、声を上げれば、もう少しで国会の議席配分を逆転することも可能なのです。このことを訴えて、宣伝活動を終わります。ご静聴ありがとうございました。
(2016年10月11日)

子も親も妻も、自衛隊員が災害救助に専念することを望みます。

ボクのお父さんは、じえいたいのたいいんです。
いま、熊本で大じしんのひがいでこまっている人たちを助けるために、いっしょうけんめいはたらいています。いぜんには、大つなみの岩手にはけんされました。

お父さんは、ゆくえふめいの人をさがしたり、こわれた道をなおしたり、食べ物をくばったり、お風呂をわかしてはいってもらったり、みんなにとってもよろこんでもらえるおしごとをしています。

ボクはそんなお父さんが、とてもりっぱだと思います。

でも、友だちからきかれました。つなみもじしんもないときには、なにをしているのって。ボクにはよく分かりません。お父さんにきくと、くんれんをしているんだよ、といっていました。くんれんって、どんなことをするんだろう。

お父さんが、いつもいつも日本じゅうのこまっているひとを助けるおしごとをしていると、ボクもうれしいし友だちにもじまんできます。お父さん、いつも、こまっている人をさがして助けてあげてください。

 ************************************************************************
私の子供は、陸上自衛隊の隊員です。
今は、熊本に派遣されて、現地で被災者の救援活動に携わっています。東日本大震災の際には、岩手県の三陸に派遣されて、死者の捜索や瓦礫の撤去、道路の修復などの作業を担当しました。

子供は、津波や地震の救援活動をとてもやりがいのあることと考えて、生き生きと任務に当たっています。「被害者や地域の住民と直接に接して、自分が役に立っていることを実感できる」と言っています。

被災地への救援の任務については生きがいを感じる、という子供の言を裏返せば、それ以外の自衛隊員としての通常任務では、生きがいを感じてはいないのかも知れません。少なくとも、「自分が役に立っていることを実感できる」状態ではないようです。

私は、自分の父から先の戦争での辛い体験を聞かされて育った世代です。自衛隊の存在や活動にいろいろな意見があることも知っています。でも、子供が自衛隊員として被災地の救援活動をしているときには、自衛隊にも子供にも誇りを感じます。

できれば、自衛隊の中に、災害救助の専門部隊ができればよいと考えています。そうすれば、子供はきっと真っ先に配属を希望するでしょう。射撃や格技の訓練ではなく、災害救助の専門部隊としての訓練を重ね、国内だけでなく海外にも、人命救助や被災地の復興のための活躍の場を与えられたら、子供はどんなにか張り切ってはたらくことでしょう。

私の子供だけでなく、多くの自衛隊員がそう思っているのかも知れません。それならば、災害救助の専門チームをどんどん大きく増やしていって、自衛隊の名前も災害救助隊と変えてはどうでしょうか。被災地では、迷彩服ではなく、被害者からもっとよく目立つ服装に変えた方がよいと思います。そして、予算もオスプレイやヘリ空母や爆弾に使うのではなく、人命救助やインフラ復旧のための機材や資材の購入に切り替えてはどうでしょうか。

そうすればきっと、私の子供も生きがいを獲得できますし、多くの国民が自衛隊(名前を変えた災害救助隊)を大切に思うようになることでしょう。

 ************************************************************************
私の夫は、自衛隊員です。今は、熊本で災害援助に当たっています。東日本大震災の際には、三陸の大槌町に派遣されていました。普段は、肩身が狭いような気持になることもすくなくないのですが、テレビで、被災地の自衛隊の活躍を見ると、とても誇らしい気持になります。

夫も、派遣された被災地での災害救助活動には、身が入っている様子です。夫の本来の任務が救援の活動であればよいと思い続けています。

私には、自衛隊という存在が平和のための抑止力になっているのか、それとも近隣の国々への脅威となっているのか、判断はいたしかねます。ただ、一ついえることは、夫の自衛隊員としての奉職は専守防衛のためと信じてのことです。防衛の任務が、国内だけでなく、海外であり得るとは長く考えたこともありませんでした。

ところが、最近急に風向きが変わってきて、心配でなりません。昨年9月には戦争法とも言われる安保関連法が、大きな反対運動を押し切る形で成立しました。難しくてよく理解できない「存立危機事態」には、海外にも防衛出動ができるようになって、夫にも派兵の出動命令が出されるかも知れません。それだけでなく、海外での後方支援活動でも戦闘行為があり得るというのです。

自衛隊は軍隊ではない、国防軍でもない。だから、けっして海外で戦争することはないと考えていたのですが、話しが大きく食い違ってきています。

夫は、人のために黙々とはたらくことが大好きな好人物です。被災地で、被災者のためにはたらくことを厭うはずはありません。そんな夫が、海外で戦闘に巻き込まれるような危険な任務を与えられぬよう、祈るばかりです。
(2016年4月21日)

太平洋戦争開戦の日から74年。再びの戦争を起こさない決意を込めて。

本郷三丁目交差点をご通行中の皆さま、こちらは「本郷・湯島9条の会」です。東京母親大会連絡会の方もご一緒に、昼休み時間に平和を守るための訴えをさせていただいています。少しの時間、耳をお貸しください。

今日は12月8日、私たちがけっして忘れてはならない日です。74年前の今日の午前7時、NHKは突然臨時ニュースを開始しました。このときが、NHKの代名詞ともなった初めての「大本営陸海軍部発表」。「帝国陸海軍が本8日未明西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」という、このニュースで国民は日本が米英と戦争に突入したことを知らされたのです。

日曜日の真珠湾に、日本は奇襲をかけました。向こうから見れば、宣戦布告のない卑怯千万なだまし討ち。その戦果は、戦艦2隻を轟沈、戦艦4隻・大型巡洋艦4隻大破、そして2600人の死者でした。この報に日本は沸き返りました。戦争は確実に国民の支持を得たのです。

戦後東大総長になった南原繁は、開戦の報を聞いたときに、こんな愚かな「和歌」を詠んでいます。
  人間の常識を超え学識を超えて おこれり日本世界と闘ふ
この人の学問とは、いったい何だったのでしょうか。政治学者である彼は、何を学んでいたのでしょうか。

1931年の「満州事変」から始まった日中戦争は当時膠着状態に陥っていました。中国を相手に勝てない戦争を続けていた日本は、新たな戦争を始めたのです。今でこそ、誰が考えても無謀な戦争。これを、南原だけでない多くの国民が熱狂的に支持しました。

戦争は、すべてに優先しすべてを犠牲にします。この日から灯火管制が始まりました。気象も災害も、軍機保護法によって秘密とされました。治安維持法が共産党の活動を非合法とし、平和を求める声や侵略戦争を批判する言論を徹底して弾圧しました。大本営発表だけに情報が統制され、スパイ摘発のためとして、国民の相互監視体制が徹底されていきます。

ご通行中の皆さまに、赤いチラシと白いチラシを撒いています。赤いチラシは「赤紙」といわれた召集令状の写です。本物を写し取ったもの。世が世であれば、これがあなたの家に配達されることになるのです。イヤも応もなく、これが来れば戦地に送られることを拒めません。それが徴兵制というもの。

赤いチラシが74年前の社会を思い出すためのもので、白いチラシは現在の問題についてのものです。安倍内閣が憲法を曲げて、無理矢理通した「戦争法」についての解説で、中身は以下のとおりです。

戦争法(安保法制)とは何か
戦争法とは何でしょうか。日本が海外で戦争する=武力行使をするための法律です。地球上のどこでも米軍の戦争に参戦し、自衛隊が武力行使する仕掛けが何重にも施されています。1945年以来世界の紛争犠牲者は数千万人に上り、第二次世界大戦の死者に匹敵します。そのなかで自衛隊は1954年の創設以来、敵との交戦で一発の弾丸を撃つこともなく、一人の戦死者も出さず、一人の外国人も殺してきませんでした。これこそ憲法9条があったおかげです。

来年の3月に戦争法(安保法制)が施行(実施)されます
 戦争法の実施で、真っ先に戦場に行くのは若い自衛隊員です。放置すれば、現在の子どもが大人になるころ、海外での戦闘態勢はすっかり整ってしまいます。ドイツは侵略戦争を禁じた憲法解釈を1990年に変え、2002年アフガニスタンに派兵して55人の戦死者を出し、多くの民間人を殺傷しました。そのドイツが今、対ISの後方支援という名で1,200人派兵することを決定しました。
 そして、憲法9条を無視して戦争法(安保法制)を成立させ実行に移そうとしているのが今のわたしたちの国、日本なのです。

戦争法でテロはなくせません
 ISは、2003年に始まったイラク侵略戦争と2011年からのシリア内戦で生まれ、勢力を拡大してきました。イラク戦争の当事者であるブレア元英国首相は「イラク戦争がISの台頭につながった」と認めています。このことを認めながら英国は、パリ同時多発テロを契機に今シリアの空爆を始めました。わが国においても、戦争法によってISに空爆をおこなう米軍などへの兵站支援が可能になりました。

日本が米国から空爆支援を要請されたら、「法律がない」と言って拒否することはもうできません。今こそわたしたちが戦争法(安保法制)に反対し平和な日本、そしてアジア・世界に 向かって日本国憲法第9条を旗印に平和な日本・世界を実現しようではありませんか

今日12月8日は、なぜ日本は戦争を始めたのか、なぜあの無謀な戦争を止められなかったのか。そのことを真剣に考え、語り合うべき日だと思います。日本人の戦没者数は310万人。そして、日本は2000万人を超える近隣諸国の人々を殺害したのです。戦争が終わって、国民はあまりに大きな惨禍をもたらしたこの戦争を深く反省し、再び戦争をするまいと決意しました。まさしく、今日はそのことを再確認すべき日ではありませんか。

戦争は教育から始まる、とはよく言われます。戦争は秘密から始まる。戦争は言論の弾圧から始まる。戦争は排外主義から始まる。新しい戦争は、過去の戦争の教訓を忘れたところから始まる。「日の丸・君が代」を強制する教育、特定秘密保護法による外交・防衛の秘密保護法制、そしてヘイトスピーチの横行、歴史修正者の跋扈は、新たな戦争への準備と重なります。さらに戦争法による集団的自衛権行使容認は、平和憲法に風穴を開ける蛮行なのです。再びの戦争が起こりかねない時代の空気ではありませんか。

これ、すべてアベ政権のやって来たこと、やっていることです。先ほど、本郷・湯島九条の会の会長が初めて、ここでの演説をおこない、憲法と平和を守るために、アベ政治を許してはならないという訴えをされ、大きな拍手が起こりました。

地元9条の会は、今年一年間、毎月第2火曜日のこの場での宣伝活動を続けてきました。今年は今回で終了です。しかし、年が明けたらまた続けます。「戦争法廃止、立憲主義・民主主義を取り戻す」たたかいは、安倍政権を退陣させ、わが国が9条を復権させるまで、続けざるを得ません。そして来年こそは、しっかりと平和な日本を確立する大きな一歩を踏み出す年にしようではありませんか。ご静聴ありがとうございました。
(2014年12月8日・連続第982回) 

敢えて「皇室タブー」に切り込む心意気ー「靖国・天皇制問題 情報センター通信」

月刊「靖国・天皇制問題 情報センター通信」の通算507号が届いた。
文字どおり、「靖国・天皇制問題」についてのミニコミ誌。得てしてタブー視されるこの種情報の発信源として貴重な存在である。しかも、内容なかなかに充実して、読ませる。

[巻頭言]は、毎号「偏見録」と題したシリーズの横田耕一(憲法学者)論稿。回を重ねて第52回目である。長い論文ではないが、いつもピリッと辛口。今回は「なんか変だよ『安保法制』反対運動」というタイトルで、特別に辛い。

論稿の趣旨は、「本来自衛隊の存在自体が違憲のはず。武力を行使しての個別的自衛権も解釈改憲ではないか。」「にもかかわらず、集団的自衛権行使容認だけを解釈改憲というのが、『なんだか変だよ』」というわけだ。表だってはリベラル派が言わないことをズバリという。天皇・靖國問題ではないが、タブーを作らない、という点ではこの通信の巻頭言にふさわしい。

要約抜粋すれば以下のとおり。
「かつての憲法学者の圧倒的多数の9条解釈は、一切の戦力を持たないが故に自衛隊は違憲であり、したがって個別的自衛権の行使も違憲とするものであった。この立場からすれば、『72年見解』などは政府による典型的な『解釈改憲』であり、『立憲主義の否定』であった。
 ところが、いまや、現在の反対運動のなかでは、共産党や各地の9条の会などに典型的に示されているように反対論の依拠する出発点は『72年内閣法制局見解』にあるようで、それからの逸脱が『立憲主義に反する』として問題視されている。したがって、そこでは自衛隊や日米安保条約は合憲であることが前提とされている。過去の『解釈改憲』は『立憲主義に反しない』ようである。
 自衛隊・安保条約反対が影を潜める一方、国際協力のために自衛隊が出動することまで認める改憲構想がリべラルの側からも提起され、各地の反対運動で小林節教授が『護憲派』であるかのごとく重用されている現在の状態は、果たして私たちが積極的に評価し賛同・容認すべきものだろうか。私の最大の違和感の存するところである。」

このミニコミ誌ならではの情報を二つご紹介しておきたい。
まずは、「新編『平成』右派事情」(佐藤恵実)の「OH! 天皇陛下尊崇医師の会会長」の記事。

東京・六本木の形成外科・皮膚科の開業医が、向精神薬を不正に販売したとして,麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕された。厚生労働省の麻薬取締部は、この医師は中国の富裕層向けに違法販売を繰り返したと考えている模様、というそれだけのニュース。その医師は、「天皇陛下尊崇医師の会」会長なのだそうだ。

そんな団体があることも驚きだが、この医師と医院の〈関連団体一覧〉が掲載されている。「とくとご覧あれ」とされている。。

靖國神社を参拝する医師の会会長・社団法人神社本庁協賛医療機関・日本会議協賛医療機関・宮内庁病院連携医療機関・東京都医師政治連盟会員・自由民主党協賛医療機関・大日本愛国医師連合会長・日本国の領土「竹島」「北方領土」を奪還する愛国医師の会会長・一般財団法人日本遺族会協賛医療機関・毎上自衛隊協賛医療機関・天皇陛下尊崇医師の会会長・アジア太平洋地区米国海軍病院所属米国海兵隊軍医トレイニーOB・麻布警友会協賛医療機関・全日本同和会東京都連合会協賛医療機関・創価学会協賛医療機関・同和問題企業連絡会(同企連)協賛医療機関・警察友の会協賛医療機関・公益財団法人警察協会協賛クリニック・日米安会保障条約賛同医療機関・米国海軍病院連携クリニック・註日アメリカ合衆国大使館連携医療機関・日本の領土を守るため行動する議員連盟協賛クリニック・公益財団法人日本国防協会協賛医療機関・六本木愛国医師関東連合会長・六本木愛国医師ネットワーク事務局日本国体学会。

もう一つは、「今月の天皇報道」(中嶋啓明)。「Xデーも近いのに、何ゆえ天皇夫妻はフィリピンまで行くのか」という内容。
「明仁は、8月15日の全国戦没者追悼式で段取りを間違えた。参加者の『黙祷』を待たずに『お言葉』を読み上げたとされている。富山で行われた『全国豊かな海づくり大会』では、式典の舞台上で列席者を手招きしてスケジュールを確認し、式の進行が一時、ストップする場面があったという。いずれも高齢化が引き起こす一時的な軽度の認知障害なのだろうが、『デリケートな問題』だとして、在京の報道機関は報道を見送ったという。確かに東京でその記事を見ることはなく、地元地方紙の『北日本新聞』と『富山新聞』でほんわずか報じられただけだった。
 Xデーも間近と思わせる中、それでもまだ、支配層にとっての明仁の利用価値は高い。明仁は美智子と共に来年早々、高齢で体調不安を抱えながらフィリピンを訪問することが発表された。最高のパフォーマンスの裏に秘められた『真の狙い』とは。
元朝日新聞記者で軍事ジャーナリストの田岡俊次が月刊誌『マスコミ市民』の15年10月号に『国会審議もなく進むフィリピンとの「同盟関係」の危険性』と題して書いている。ここで田岡は『政府が国会にもかけずにフィリピンとの同盟関係に入りつつあるという重大な異変がほとんど報じられない』と嘆くのだ。田岡の論考などによると、日比間の防衛協力は民主党の野田政権下で始まった。2011年9月、当時の首相野田佳彦がフィリピンのアキノ大統領との会談で『両国の海上保安機関、防衛当局の協力強化』を約束。それを引き継いだ現首相安倍音三は13年7月、マニラでのアキノ大統領との会談で小型航洋巡視船10隻をODAにより無償供与することを表明した。そして今年6月には東京での会談後、中国が南シナ海で進める人工島建設に『深刻な懸念を共有する』共同宣言を発表した。日本が供与する巡視船は、政府自身も『武器に当たる』ことを認めており、共同宣言には『安全保障に開する政策の調整』や『共同演習・訓練の拡充を通じ相互運用能力の向上』を図ることが表明されている。災害時の救援を口実に派遣される自衛隊の法的地位についての検討を開始することも盛り込まれ、田岡は、日比関係が限りなく同盟関係に近づきつつあると指摘する。
日本は、中国包囲網を築く上での重要なパートナーの一国として、フィリピンとの軍事的な関係の強化に勤しんでいるのだ。明仁、美智子の訪問計画の裏には、日比間のこうした関係を権威付けたいとの安倍政権の狙いがあることは明らかだ。」

最後に、もう一つ。「歌に刻まれた歴史の痕跡」(菅孝行)が、毎回面白い。
今回は、「ラマルセイエーズ」について、歌詞の殺伐と、集団を団結させる魔力に溢れた名曲とのアンバランスを論じたあと、こう言っている。

「君が代と違っていい曲に聴こえるのは、他所の国の国歌であるために気楽に歌えるからともいえるが、やはり音楽性の質の高さによるものだろう。革命が生んだ国歌は、革命がその質を失い堕落した後でも、困ったことに歌だけは美しい。アメリカ国歌もその例に洩れない。ラフマニノフがピアノ曲にしたという。ダミー・ヘンドリクスがウッドストックで演奏して評判になった。名曲といえば、旧ソ連の国歌も心に染みる名曲である。ただ、こうした曲の〈美しさ〉は、保守的な感性に受け入れやすいということと結びついていることを忘れてはならない。」
「ダサイ国歌『君が代』は大いに問題だが、同時に美しい国歌が『国民』を動員する『高級な』装置であることに警戒を怠るべきでない。『ラ・マルセイエーズ』はナショナリズムだけでなく、『高級で文明的な』有志連合国家の団結も組織した。高級で文明的なものほど野蛮だというのは、軍事力だけの話ではない。動員力のある音楽もまた同じである。そういえば『世界に冠たるドイツ』なんていう歌もあった。」

なるほど、君が代は、ダサイ国歌であるがゆえに、集団を鼓舞し団結させる魔力に乏しいという美点を持っているというわけだ。このような指摘も含めて、「靖国・天皇制問題 情報センター通信」の記事はまことに有益である。
(2015年12月7日・連続第980回)

さあ出かけようー明日・8月30日全国100万人総行動

さあ出かけよう みんなして
家族トモダチ連れだって
ツレがなければ一人でも

日ざしが強けりゃ帽子をかぶり
雨が降ったら傘さして
風が吹いてもへこたれず

目指すは官邸 安倍屋敷

普段は無口な私だが
これまで黙っていたけれど
堪忍袋の緒が切れた

平和を守れと声を上げよう
安倍はやめろと声上げよう

私は平和を望むから
誰をも敵にしたくない

乱暴者のアメリカの
手先になって威を借りて
武力で脅して黙らせて
それで平和が築かれる?
そんな法律マッピラだ

アメリカの威を借りるとてただじゃない
思いやり予算は2000億
押しつけられた17機オスプレイは3600億
こんな大金 ドブに捨てるな福祉にまわせ

戦争法案廃案に
安倍内閣は退陣を
みんなで大きく声上げよう

国の主人は私たち
一人二人じゃ力はないが
津々浦々の人々が
100万人で声あわせ
山も動けとどよもせば
この国中にはびこった
魑魅魍魎を吹き飛ばす

地鳴りのような大声で
安倍も自民も吹き飛ばせ
政府も与党も吹き飛ばせ
違憲法案吹き飛ばせ
戦争勢力吹き飛ばせ

さあ出かけよう みんなして
100万人で輪を作ろう
目指すは国会・参議院

*************************************************************************
8月30日(日)の「戦争法案廃案! 安倍政権退陣! 8・30国会10万人・全国100万人大行動」『全国を戦争法反対の声で埋め尽くそう!』に総結集しよう。

東京で10万人、全国で100万人の総行動をぜひとも成功させよう。この集会が、その後の情勢を決める。メディアを覚醒させ、国会に活を入れることにもなる。そして、国民の手で憲法を守ることにつながる。

大行動の案内は実行委員会の下記URLをご覧いただきたい。
  http://sogakari.com/
  http://sogakari.com/?p=633
  http://sogakari.com/?p=732
8月30日(日)14:00~ 場所:国会議事堂周辺
戦争法案廃案!安倍政権退陣!8・30国会10万人・全国100万人大行動
(2015年8月29日)

「戦争法案」も白紙に戻せ-国立競技場建築見直しだけでなく

臨時ニュースを申し上げます。
安倍総理大臣は、本日午後総理大臣官邸で記者団に対し、安全保障関連二法案について、「本日臨時閣議を開催して法案を撤回することを決め、議院に所定の手続をとりました。また、これに伴い日本の安全保障についての計画を見直すことを決断しました」と述べるとともに、既にアメリカ政府には了承の内意を得ていること、連立与党である公明党も了解済みであることを明らかにしました。

また首相は、本年4月27日の日米ガイドライン見直しに関して、防衛・外務両大臣が急遽渡米の予定であること、日米首脳会談の日程も調整中であると述べました。

安全保障に関連する10本の法律を一括して改正する「平和安全法制整備法案」及び「国際平和支援法案」の二法案は、これに反対する野党や市民団体からは「戦争法案」と呼ばれていたものです。

自衛隊を設置した1954年以来、政府は「我が国は専守防衛に徹し、集団的自衛権行使は容認しない。だからけっして戦争をすることのない自衛のための実力組織である自衛隊の存在は憲法に違反するものではない」と説明してきました。しかし、今回の二法案は、従前の憲法解釈を大きく転換して、我が国が他国から攻撃された場合に限らず戦争をすることを可能とするものであり、また、外国で外国軍隊の軍事行動の兵站を担う活動も可能とするものです。したがって、圧倒的多数の憲法学者や法律家によって、一内閣が事実上の改憲を行うという立憲主義に反するものであり、憲法九条にも違反すると厳しい指摘を受けてきたものです。

同法案は去る7月16日に与党のほぼ単独採決によって衆議院は通過しましたが、このときの審議打ち切り採決強行が、民主主義の危機という国民世論が沸騰し、安倍政権の土台を揺るがす事態となって、法案撤回に至ったものと思われます。

安倍総理大臣は次のようにも述べました。
「平和は国民の皆さまの大切なもの。その平和をどう守るべきかという政策を決するには、国民一人一人の皆さまが主役となって論議に参加していただく民主主義的手続を経なければなりません。もちろん、自衛隊員の皆さまのご意見もよく聞かなければなりません。法案審議から衆院通過直後に寄せられた各界各分野の国民の皆さまの声に真摯に耳を傾けた結果、法案を白紙に戻し、ゼロベースから見直さざるを得ないと判断しその環境整備を進めてまいったところです」

「法案に反対の声は、実は野党の皆さまだけではなく、公明党からも、そして我が党の内部にもくすぶっていました。これまではけっして大きな声としては聞こえてきませんでしたが、法案が衆院を通過した以後の世論の沸騰の中で、『このままでは、到底次の選挙の大敗北を避けることができない』『政権の維持は困難だ』との悲鳴が上がるようになりました。検討の結果、もともと法案の成立に喫緊の要請があるということではなく、アメリカ政府の了解も得られる見通しであると確信したので、私の責任においてこのような決断をした次第です」

なお、この政府の措置に、もっとも難色を示した一人とされる高村正彦副総裁は、総理大臣官邸で安倍総理大臣と会談したあと、記者団に対し、「政府がやることだ。こういうこともある」と憮然たる面持ちで言葉少なに語りました。

今回、安倍政権が突然に安保関連法案を撤回した背景には、この法案が国民世論にきわめて評判が悪く、「違憲の法案だ」「近隣諸国を刺激する愚策だ」「立憲主義に反する」という従前の批判に加えて、衆議院の強行採決では「民主主義の危機だ」「自民党感じ悪いよね」という圧倒的な国民の声を浴びて、このままでは政権自体が持ちこたえられない「存立危機事態」になっていたことが基本にあります。

安倍政権は強行採決の翌日に、同じく反対世論の盛りあがっていた新国立競技場問題について計画の白紙撤回を発表しました。こうした安倍内閣の方針転換を目のあたりにした国民世論が、批判の世論は確実に政権を追い詰め政策を変えることができると自信を強めて抗議運動の規模を拡大させた成果が、本日の安保関連法案の白紙撤回の成果と考えられています。

なお、本日、安保関連法案の白紙撤回の報を受けた直後に、NHKの籾井勝人会長が突然の辞意を表明しました。その理由はまだ公表されていませんが、「政府が右と言えば、左というわけにはいかない」と公言して、陰に陽に安保法案成立のために政権に協力していた立ち場から、自分への国民の大きな批判に耐え得ないと考えたのであろうと推察されています。

また、街の声を拾いますと歓迎一色で、「国立競技場の見直しについてもできないと言っていたけど、国民の声が高まれば簡単にできちゃった。戦争法案もおんなじなんだとよく分かった」「戦争法案撤回によって、平和と民主主義が擁護された」「主権者として民主主義を守ることができた」「何よりも、憲法と立憲主義とを守り抜いた」「国民の行動の力に自信をもった。次の選挙では、自民党と公明党を追い落とすことができるだろうと思う」などという意見を聞くことができました。
(2015年7月17日)

集会に行こう、デモに参加しようー主権者としての意思表示が必要なときだ

メディアが、一斉に「今週がヤマ場だ」と伝えている。本日(13日)中央公聴会が終了して採決強行の舞台が整ったということなのだそうだ。明日(14日)にも、衆院安保法制特別委員会の決議強行があり得ると言われ、あるいは明後日だとも伝えられ、ずれ込んでも今週中だろうなどとも囁かれている。自民党3役が「決めるべき時には決める」と口を揃えている。60日ルールを意識した採決のリミットが近づいているとのこと。

しかし、この法案の審議を打ち切っての採決強行などは狂気の沙汰ではないか。110時間審議したから議論が尽くされたなどとはとんでもない。そもそも、10本の法改正を一本にしてきたこの法案提出の乱暴さが問題なのだ。本来、10倍の時間を費やしても足りないほど。何よりも、この法案の審議を見守っている国民が、到底審議が尽くされたと認めていない。

民主主義とは熟議の政治である。徹底した議論を尽くすことによって、合意点あるいは妥協点を見出すべきことが想定されている。議論が出尽くして行き詰まり、どうしても結論を出さねばならないときに、はじめて多数決原理が働くことになる。議論を尽くさずしての採決強行を民主主義政治とは言わない。予定された審議時間を消化したからスケジュールに乗っ取って採決を、という手口は「多数派独裁」と言うほかない。

さらに、国会の論戦においては、議論の内容が国民の目によく見えて理解されることが重要である。主権者とは投票日一日だけのものではない。国会の論戦をよく見て理解した有権者は、そのことによって論戦に関わった政党やその政策の支持・批判の意見を形成することができる。何を議論しているのかわけが分からず、法案の中身も法案に賛否の根拠もよく分からぬままでの審議打ち切りは、主権者としての意思形成に支障が生じることになる。

首相は国民に「丁寧に説明する」と約束したではないか。あらゆる世論調査において、国民の圧倒的多数は、首相の説明は不十分としている。「丁寧な説明をする」という、国民への約束は果たされていないではないか。国民の大多数が「理解できていない」「首相の説明は足りない」と言っている。にもかかわらずの審議打ち切りは、国民を愚弄し民主主義を冒涜するものとして許されない。

「丁寧な説明」とは、国民に法案を十分に理解してもらい、十分な理解にもとづく国民の声にも耳を傾けるという約束でもあったはず。しかし、首相が説明すればするほど、国民の理解が進めば進むほど、この法案への反対意見が増えてくる。そもそも、主権者国民に支持をされないことが明確なこのような法案は、廃案が筋でこそあれ、採決強行などもってのほかだ。

何よりも、こんなに多くの人から、「立憲主義にもとる」「違憲法案だ」「憲法解釈の限界を超える」「これまでの政府解釈との整合性がとれない」「姑息・裏口入学的な汚い手口」と散々な酷評を得ている法案も珍しい。しかも、その実質は、国民投票なき改憲であり、壊憲なのだ。

この事態に黙ってはおられない。明らかに、民意と国会内の議席構成が大きくズレている。こんなときに、悠長に「次の選挙」を待ってはおられない。主権者としての声を上げよう。内閣と国会に、主権者として物申そう。集会に行こう、デモに参加しよう。街頭宣伝を繰り広げよう。あるいは、要請・抗議の葉書やファクスを集中しよう。主権者としての意思表示が必要なときが来たのだ。
**************************************************************************
この時期に符節を合わせたように、朝日とNHKの最新世論調査結果が発表となった。上述のとおり、世論は、集団的自衛権行使容認自体に反対、今国会での戦争法成立反対。首相の説明は不十分、としている。注目すべきは、両調査結果とも、内閣不支持率が支持率を上回って逆転した。ワニの口が閉じたのだ。毎日の調査に続いての慶事である。朝日はともかく、「アベ様のNHK」と揶揄されるNHKの調査結果の影響は大きい。整理して紹介すれば以下のとおりである。

    安倍内閣支持率   41%(前回48%)-7
    不支持率       43%(前回34%)+9
「山が動いた」はやや大げさかも知れないが、この1か月間で、森か林くらいは動いたのだ。有権者の700万人が、「内閣支持」から「不支持」へ鞍替えした勘定になる。この逆転は第2次安倍内閣の発足以降初めてのことだというのだから、これはニュースだ。

また、注目すべきは次の回答結果
    安倍内閣が安全保障法制の整備を進めていることを
    「大いに評価する」   8%
    「ある程度評価する」 24%
    「あまり評価しない」 31%
    「まったく評価しない」30%
プラス評価計は32%、マイナス評価計61%である。

安全保障関連法案を、いまの国会で成立させることに
    「賛成」        18%
    「反対」          44%
    「どちらともいえない」 32%

これまでの国会審議で議論は
    「尽くされたと思う」   8%
    「尽くされていない」  56%
    「どちらともいえない」 28%

「安全保障関連法案は憲法違反ではない」としている政府の説明に
    「大いに納得できる」   4%
    「ある程度納得できる」 20%
    「あまり納得できない」 37%
    「まったく納得できない」29%

安倍政権を支えていた世論は、確実にしぼみつつある。代わって多数派を形成しつつある反安倍勢力の国民世論を、目に見える形として表すべき時がきている。禍根を残さぬためにも、集会に出かけよう、デモに参加しよう。

東京近郊の人は、明日(7月14日)午後6時半日比谷野音に集合しよう。久々の大集会になりそうだ。そして、久々の大きな規模のデモにもなる。
(2015年7月13日)

維新の正体が見えたー戦争法成立に手を貸す維新に批判を

維新とはなんであろうか。
自民を見限って民主に期待し、民主にも裏切られた保守層の期待幻想が紡ぎ出した虚妄である。半自民、反民主ではあるが、自らの中にプリンシプルを持たない。だからまとまりはなく、一貫した政策もない。全員が一色ではなかろうが、全体としては、世の風向きを読むことに敏感で、自己保身の遊泳に精一杯なだけの、政治世界の盲腸のようなもの。

その盲腸、場合によっては虫垂炎を起こす危険な代物となる。虫垂内部で細菌が増殖すると、膿瘍を形成し穿孔し腹膜炎を起こして重症化する。対処を誤ると、局所症状に留まらず重篤な全身症状となって死に至ることさえもある。起因菌が増殖を始めた盲腸は早めに摘除しなければならない。

今まさしく、維新が危険な盲腸として炎症を起こしつつある。維新が、戦争法案の成立に手を貸そうとしているのだ。自・公とならんで、維新を世論の矢面に立たせなければならない。3本目の批判の矢が必要となっている。取り立ててなんの理念ももたない維新のことだ。世論の風向き次第で態度は変わる。摘出手術の荒療治まではせずとも、批判の注射だけで無害の盲腸に戻すことが可能となる公算もある。

昨日(7月7日)配信の時事通信記事は次のとおりである。
「民主党の枝野幸男、維新の党の柿沢未途両幹事長は7日、国会内で会談し、武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対処する『領域警備法案』について、共同提出を見送ることを確認した。…政府提出の安全保障関連法案の採決日程をめぐって対立し、共同提出に向けた協議が決裂。両党は8日にそれぞれ単独で国会提出する。
 会談では同席した維新の馬場伸幸国対委員長が、領域警備法案の審議時間を確保するため、同法案と政府案の採決日程をあらかじめ与党側と合意するよう提案。政府案の廃案を目指す民主党は『与党に手を貸すようなことには協力できない』として拒否した。」

読売がきわめて適切な見出しをつけている。「枝野氏『突然、非常識な提案』 維新との協議決裂」というもの。記事は、「維新の党側は、与党が求めている関連法案の採決について、7月下旬に応じることを民主党に持ちかけた。」となっている。

産経の報道は次のとおり。
「民主党の枝野幸男幹事長は不快感をあらわにした。維新から『与党に手を貸すような提案』があった」「『出口の話をするような無責任な野党としての対応はできない』として決裂した」

この報道には驚いた。そして、呆れた。これまでは、極右政党「次世代」を除いて、野党の足並みは政府提案の戦争法案反対で揃っていたはず。少なくも、徹底審議での共闘合意ができていたはず。ところが、維新は態度を豹変させて、「戦争法案採決について7月下旬に応じることを民主党に持ちかけた」というのだ。枝野幹事長が「突然、非常識な提案」と怒るのはもっともな話。民主党の感覚が、真っ当ではないか。

ああ、そうなのか。あらためて合点が行く。6月14日突然に設定された安倍・橋下密談がこんな筋書きを描いていたのか。あれ以来様相が変わってきたではないか。対案を出すだの、民主と共同提案だのと維新が言っていたことは、すべて野党分断、民主抱き込みの伏線だったのか。自民党へ恩を売るための下工作だったのか。与党と維新の間では密約が成立し、「7月下旬採決強行」のスケジュールが組まれていたのだ。自民が、「7月15日採決案」をリークする。維新が手柄顔に、「7月下旬まで先延ばし」して、与党強行のイメージを薄めた採決の舞台を整える。この筋書きに、うっかり欺されるところだった。

維新とは「これ(維)新たなり」の意味だが。昨日露わになった維新のやり口は、まったく清新なところがない。旧態依然の、裏工作、駆け引き、目眩まし。永田町流政治術は自民の専売ではないのだ。

しかし、盲腸の変身が戦争法案反対の運動に大きな影響を及ぼすはずもない。飽くまで、正攻法で、戦争法に反対しよう。違憲法案は廃案にさせるしかない。それが、平和を維持し、国民の安全を守ることなのだ。政権と与党と維新に、3本の矢を突きつけて、それぞれを正々堂々と批判しよう。
(2015年7月8日)
**************************************************************************
事態の変化は目まぐるしい。昨日(7日)民主と維新の幹事長会談では壊れた領域警備法案の共同提案が、本日(8日)の党首会談で元の鞘に収まったという。その上で、「党首会談では、与党に領域警備法案の十分な審議を求めることを確認し、法案が参院送付後60日経ても議決されない場合、衆院で再可決が可能となる「60日ルール」の適用を阻止することでも一致した。維新は7日の幹事長会談で、政府案と対案の採決日程を決めて与党と交渉する提案を行ったが、党首会談では取り上げなかった。」(産経)と報道されている。

それでも、「維新の正体」「維新への批判の必要」の私の見解は変わらない。本日のブログの原稿を訂正することなく、掲載する。

維新対案に異議あり。「諸事態乱立」の事態を憂うる。

政府与党の戦争法案には違憲の烙印が定着した。自民も公明も、違憲の世論に抗いがたいと覚悟せざるを得ない深刻事態。世論の攻撃事態に重要影響事態となって、今や法案の存立危機事態なのだ。

この政府案にとって替わろうと登場したのが維新の対案。明日(7月8日)に国会上程の予定と報道されている。どのような裏工作あっての維新案なのか、あるいはは全く裏の話しはないのか詳らかにしないが、これに振り回されてはならない。この法案の取扱が与党に採決強行の口実を与えることを警戒しなければならない。

維新対案提出の動きは今回が初めてではない。6月中旬にもメディアにその内容が公表され、6月17日の当ブログは、「朝日が報道する維新の『対案』は、政府提案の腐肉にほんのひとつまみの塩を振りかけた程度のもの。塩をかけても腐肉は腐肉。法案違憲の本質はまったく変わらない。維新案はその実質において、憲法の平和条項に対する死の宣告に手を貸すもの」と書いた。

今回の提案は、衆院法制局の官僚の手を煩わせたものだろうが、相当の分量で法案の形を整えている。目を通すだけでも一苦労の煩わしさ。分量は大部だが、合違憲を判断するには維新がホームページでまとめている2頁の要旨を読むだけで十分だろう。結論は以下のとおり。

「維新の対案は政府提案の腐肉に、こってりと胡椒を振りかけたもの。こってり胡椒を振りかけようとも、その下の腐肉は腐肉。法案違憲の本質は変わらない。維新案はその実質において、憲法の平和条項を破壊に導くものである」

議論を次のように整理すべきだろう。
1 「集団的自衛権行使違憲論」は、自衛隊発足以来今日まで長く政府のとってきた解釈であり、憲法学者を含む広範な国民の認識に定着してきた。
2 この「集団的自衛権行使違憲論」は、「武力による個別的自衛権行使合憲論」とセットをなす立論であって、許容限度ぎりぎりの憲法解釈論である。
3 ところが今、「最小限度の限定があれば、集団的自衛権行使を容認する余地がある」、「最小限度の歯止めが明確であれば集団的自衛権行使を可能とする立法が合憲であり得る」という立論が提案されている。
4 しかし、いささかなりとも集団的自衛権行使を容認する余地を認めることは、許容限度ぎりぎりの憲法解釈をはみ出すものであり、「最小限度の歯止めがあることを理由に集団的自衛権行使を可能とする立法案」はすべて違憲であることを明確にしなければならない。
5 また、個別自衛権の名を借りて、自国領域外の武力行使を容認する立論も、集団的自衛権行使違憲の脱法として許してはならない。
6 専守防衛の域を出ない個別的自衛権行使に関する立法について、今政府案の対案として提出する意味はない。基本は現行法で対応は十分であって、現行法を超えて個別的自衛権行使の行動範囲を拡大する立法には、十分立法事実は認めがたく、。

維新は、自らの対案について、「複数の法学者から合憲のお墨付きを得た」という。しかし、私にはこれが合憲とは到底考えられない。また、仮に厳密な意味で合憲の内容であれば、今、そのような法案を対案として国会に提出する意味はない。重要なことは、政府提案の危険な違憲法案を共同で潰すことであって、対案を提出することは敵に塩を送ることになるだろう。

維新の対案では、「存立危機事態」に替えて、「武力攻撃危機事態」(紛らわしいが現行法の「武力攻撃事態」ではない)という新奇のカテゴリーを設定する。この「事態」の定義は、「条約に基づきわが国周辺の地域においてわが国の防衛のために活動している外国の軍隊に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険があると認められるに至った事態(我が国に対する外部からの武力攻撃を除く。)」というものである。

その要点は、「第三国から日本に対する攻撃はないが、アメリカに対する攻撃があった場合」に、その攻撃が「わが国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険」と認められれば、自衛隊による武力反撃を可能とするというもの。「我が国に対する急迫不正の侵害が現在する」という国家の正当防衛権行使の要件を具備する必要はないとしているところにある。

「武力攻撃危機事態」が発生すれば、自衛隊の防衛出動が可能となる。「わが国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険」の部分に着目すれば個別的自衛権のふくらましのようでもあるが、いまだ「外国の軍隊に対する武力攻撃が発生し」ているのみで我が国への攻撃はないのだから集団的自衛権の行使と捉えるよりほかはない。

定義の文言からも、個別的自衛権を意識した「我が国に対する外部からの武力攻撃があった場合」はわざわざ明示的に除かれているのだから、個別的自衛権行使としての武力行使とは別のカテゴリーと理解すべきであろう。維新は、「専守防衛を徹底」と言い、個別的自衛権行使要件の緩和と主張する如くであるが、「集団的自衛権の行使は認めない」との明言には接していない。ホームページの解説を見る限りでは、「存立危機事態にもとづく集団的自衛権の行使は認めない」というのみである。専守防衛(個別的自衛権の行使)からはみ出した「武力攻撃危機事態」において武力を行使する、と言っているとしか理解できない。

要するに、「安保条約(国連決議ではない)に基づく活動に対する攻撃を要件とする歯止め」「我が国周辺という地域限定の歯止め」「わが国に対する外部からの武力攻撃が発生する『明白な危険』を要件とする歯止め」が、最小限度性を担保しているというのだ。政府案よりは限定的であることを売りにした、やはり集団的自衛権容認論にほかならない。

問題は最小限度性の確保にあるのではない。集団的自衛権行使容認に踏み込むことが問題なのだ。憲法原則は、頑固に墨守しなければならない。その立場からは、解釈の許容限度ぎりぎりの専守防衛論を、これ以上緩める余地のないことを確認しなければならない。こってり胡椒をかけても、所詮腐肉は腐肉。やはり、国民に危険な腐肉を提供してはならない。
(2015年7月7日)

戦争法反対運動の中での「日本民主法律家協会第54回定時総会」

日本民主法律家協会(日民協)は60年安保改定に反対する大国民運動から生まれた。幅広い多くの法律家が、自らの職能の持つ使命感から安保反対の国民運動に参加した。その法律家集団が、「安保条約改定阻止法律家会議」を経て、1961年10月に日民協の設立に至った。協会は、安保闘争の申し子である。

安保闘争が、主権と平和と民主主義の擁護を願う国民的な拡がりを持つものであったことから、日民協は自ずと法律家団体の統一戦線的組織となった。思想的な幅の広さだけでなく、「法律家諸団体の連合組織として、また学者・弁護士・税理士・司法書士・裁判所職員・法務省職員・法律事務所職員など多職能の法律分野で働く人々が参加しているという、他に例のない特色」(「協会案内」から)をもっている。

その「安保闘争の申し子」が、新安保闘争というべき戦争法案反対の国民運動燃えさかる中で、本日第54回定時総会を迎えた。アメリカと日本との関係、支配層の憲法嫌悪、世論と議席数の乖離、民主主義の脆弱さ…、基本的なことがらが60年安保の当時と少しも変わっていないことに驚かざるを得ない。なんと、当時の首相の孫が、現首相という因縁さえもある。悪夢のデジャヴュではないか。

日民協が自らに課してきた主たる課題は、一つが「憲法の擁護」であり、もう一つが「司法の独立」である。その取り組みが憲法分野重視のこともあり、もっぱら司法問題を重視したこともあった。今は、まぎれもなく熱い憲法の季節。

以下が、総会で採択された「壊憲と戦争への道を許さず、国民の力で憲法を守り抜こう」と題する、「戦後70年にあたってー日本民主法律家協会第54回定時総会アピール」である。同アピールは下記の3パラグラフから成っている。
 第1パラグラフで、日本国憲法に内実化されている平和を説いて、戦争法案が違憲であって、それ故に国民の平和への願いを踏みにじるものとして指摘し、
 第2パラグラフで、今や憲法9条だけでなく、あらゆる憲法理念が、安倍政権によって全面的に攻撃されていることを、「壊憲」として指摘し、
第3パラグラフにおいて、戦争法案審議の強行と壊憲の動きに反対する歴史的な国民運動を巻き起こそうと呼びかけている。
 ぜひ、ご一読いただきたい。

**************************************************************************
    壊憲と戦争への道を許さず、国民の力で憲法を守り抜こう
1 戦後70年。この節目の年に、この国は再び戦争への道に足を踏み出そうとしています。
 日本は、アジア諸国民2000万人以上、日本人約310万人の尊い命を奪った侵略戦争の悲惨な経験から、再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、不戦の誓いを持って戦後の国際社会に復帰し、戦争放棄と戦力不保持を規定した憲法9条の下、戦後70年にわたり、海外での武力行使を許さない立場を堅持してきました。
しかし、今国会に提出された安保関連法案(戦争法案)は、戦闘地域を含め世界中どこでも、いつでも、アメリカをはじめとした他国の軍事行動に対し、弾薬や武器の提供などの兵站活動、武器の使用、さらには参戦も、切れ目なくできるようにしたもので、平和国家としての日本の国のあり方を根本から変える戦争法案です。
 憲法9条は、戦争を永久に放棄し、戦力の不保持,交戦権の否認を謳っており、本来、自衛隊の存在を認めることさえ困難です。戦争法案は、憲法9条によって守り抜かれてきた「戦わない」という一線を踏み越えるもので、明らかに憲法違反であり、解釈で憲法9条を壊すことは立憲主義の見地から許されないことはもちろん,70年間戦争を拒否してきた日本国民の平和への意思を踏みにじるものです。

2 安倍政権の政策は、憲法9条の破壊にとどまりません。日本の戦後の制度の根幹を揺るがす重大な政策転換を全面にわたって行おうとしています。
 労働者の権利を壊す残業代ゼロ法案、命と環境を壊す原発推進、暮らしを壊す社会保障大幅縮減、農業破壊のTPP、軍事国家化のみならず国民の知る権利・批判の自由を壊す秘密保護法、国民のための教育権を壊す教育の国家統制、学問の自由・大学の自治を壊す大学管理強化・文系学部圧殺、司法の独立を壊す司法「改革」、法科大学院制度導入に伴う法学研究の破壊、刑事被告人・被疑者の権利を壊し監視社会を作る刑事司法制度の大改悪(盗聴拡大・司法取引導入など)等々の、個別問題としても大きな憲法破壊の動きが同時進行で襲いかかってきています。
 安倍政権は、憲法を頂点とする戦後の制度を「戦後レジーム」と罵倒し、ここから「脱却」することを目標として暴走しています。これらはいずれも憲法壊し、つまり「壊憲」です。

3 安倍政権は、戦争法案の危険性を隠したまま、また、壊憲政策と言うべき幾つもの法案を数に任せて成立を強行しようとしています。
 しかし、国民や国会を無視した安倍政権の反民主主義的態度が国民に大きな不安を抱かせ、国会を大きく揺るがせています。与党の推薦者をはじめ参考人全員が戦争法案を違憲と断じ、憲法研究者や学者が今までにない広がりで廃案を求め、国民運動の共同の輪が広がり、運動に関わったことのない人々も声をあげ始め、多くの地方議会でも反対意見書が採択され、世論調査でも、国民の大多数が反対し、さらに広がりをみせています。また、壊憲政策というべき幾つもの法案に対する反対の声も強まっています。
 延長国会となったこの夏、国民の共同を、より多様に、より広く、より地域に根ざして、大きく発展させ、政権と国会を包囲し、戦争法案を必ず廃案にし、また壊憲政策を頓挫させなければなりません。
 この国が歴史的岐路に立つ今、私たちは、本協会設立の原点である、法律家を結集する結節点としての役割、また、国民各層と共同する役割を深く自覚し、壊憲と戦争への道を許さず、主権者である国民の力を結集して憲法を守り抜くことを決意します。
(2015年7月4日)

澤藤統一郎の憲法日記 © 2015. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.