澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「維新よ。議員が決めたのだから住民の意見を封殺してもよい、とお考えか」 ー 大阪府議会カジノ住民投票条例案否決

(2022年7月30日)
 大阪は私が少年時代の8年間を過ごした懐かしい土地。その大阪が壊れそうだ。大阪はどうなってしまうのだろう。心配でならない。大阪を壊そうとしている張本人は維新。公明がその尻馬に乗っている。

 「都構想」の実現はようやく避け得たが、今度はカジノだ。大阪にカジノ誘致とは、賭博場をつくって人を呼び込むことで、大阪の経済を立て直そうというアホな試み。バクチに負けた人の不幸の積み重ねで、胴元の自治体は潤うという算段だ。

 「コロナにはイソジンがよく効く」と大真面目に記者会見したあの知事が、おなじノリで「地域経済活性化にはカジノが特効薬」と言って反対論に耳を貸さない。大真面目に「カジノには非常に大きな経済波及効果が見込まれる」として大規模カジノ誘致を強行し、賭博場の運営で大阪の経済再生をはかろうというのだ。

 これに反対する大阪府民が、カジノ誘致の可否を問う住民投票実施のための条例を制定すべく運動を展開した。住民運動体「カジノの是非は住民が決める 住民投票をもとめる会」は、7月21日法定数(14万6千)を超える署名を府に提出して条例制定を請求し、これを受けて昨日(29日)に臨時府議会が開かれた。知事は、露骨に住民投票の実施に敵意を見せ、「計画案が府・大阪市の両議会で議決・同意され、国に認定申請している」「したがって、住民投票には意義がない」とする意見を付して条例案を提出した。

 昨日の大阪府議会は、署名に表れた20万府民の民意を文字どおり「封殺」して、カジノ住民投票条例案を否決した。委員会審議への付託もなく、即日の否決。民主主義というものがうまく機能していないのだ。維新や公明に、民主主義の理解はない。維新と公明の罪は重い。

 同日の本会議では、条例制定請求代表者6氏が意見を陳述。「21万人を超える署名(有効数19万2773人)の重み」「ギャンブル依存症の恐ろしさ」などを語り、熟議と条例制定への賛同を訴えた。山川義保事務局長は住民投票実施に否定的な維新などに対し「『選挙で選ばれた議員が決めた、それだからいいんだ』と、私たち住民の意見を封殺している」と批判した。これは、民主主義の根幹に関わる批判である。それたけに、カジノ実施に凝り固まった維新議員の耳には入らなかった。

 維新や知事は、なぜかくも頑なに、住民投票の実施を拒否するのか。これだけ叩かれ、評判の悪い「夢洲カジノ」である。住民投票で過半の賛成を得られる自信があれば、住民投票でのお墨付きで批判を封じることが可能ではないか。しかし、投票すれば必ず負けるから住民投票はしない、住民投票条例は作らない。仮に負けた場合には、知事の座も市長の座も吹き飛ぶ。維新勢力の消滅ともなりかねないのだから。

 トップはともかく、大阪府・市の官僚組織はアホではなかろう。府民・市民の賛否の分布を調査して、把握しているに違いない。おそらくは、知事も市長も、住民の過半数がカジノ誘致に反対という調査結果を耳打ちされている。だから、カジノ誘致の賛否を問う住民投票など絶対にやらせるわけにはいかないのだ。
 
 2020年10月16~18日、日本経済新聞社とテレビ大阪が、大阪市内の有権者を対象に実施した電話世論調査がある。大阪府・市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)について「賛成」が37%で「反対」が52%だった。これは信頼できる数値である。しかも、同年6月下旬の前回調査と比べて反対が3ポイント増え、賛成が3ポイント減っている。おそらくは、今はもっと反対派のリードが大きいと思われる。

 同年1月25・26日の朝日新聞社による全国世論調査(電話)もある。カジノを含む統合型リゾート(IR)について、政府が整備の手続きを「凍結する方がよい」は64%に上り、「このまま進める方がよい」は20%だった。もっとも、この調査でも大阪府内では「このまま進める」が3割と、全国平均(20%)より高めだった。とは言っても、3割に過ぎない。

 「求める会」は府議会の直接請求否決を受けて抗議声明を発表した。

 「民意を問うことさえ否定し、みずから固執する政策を押し通そうとする府知事とカジノIR推進派議員の態度は、さらに厳しい府民の批判を招くことは必至だ」

 まことにそのとおりであると私も思う。今は、維新を支持している大阪府民だが、けっしていつまでもではない。大阪府民を舐めてはならない。

気をつけよう「身を切る改革」あなたの身 ― 維新の正体を見つめよう

(2022年4月5日)
 「法と民主主義」4月号(567号・3月末発刊)の特集タイトルは、「『維新』とは何か」というもの。下記の目次のとおり、維新を多面的によく語っている。維新という事象を考えるについて必読と言ってよい。

 『維新』とは何か? その性格を表すのに、次の3ワードが必要にして十分ではないだろうか。
 新自由主義・ポピュリズム、そして改憲策動。

 このほかに、この特集を通読すると「成長至上主義」「幻想ふりまき」「管理・統制」「略奪型経済政策」「メディア露出」「新たな利権」「自助努力・自己責任」「反科学主義」「批判拒絶体質」「政権擦り寄り」等々の評価も述べられているが、概ね前記の3点で包括できるだろう。

 維新と言えば、何よりも極端な新自由主義政党である。資本の利益のために、府民・国民の利益を切り捨てようという政党。それでいて、府民・国民の利益を擁護するごときポーズで幻想を振りまき、選挙民の欺瞞に一定の成功を収めてきたポピュリスト集団である。

 だから、この特集の中の教育面解説「維新政治による教育破壊の“ほんの一部”」の記事の中にあるように、《気をつけよう「身を切る改革」 あなたの身》なのだ。維新は、容赦なく大阪府民・市民の身を切ってきた。そして、府外からの収奪も狙う。それでいて、「開発幻想」を振りまいているのだ。

 そしていま維新は、現政権の言いにくいことを代弁して改憲策動の尖兵となり、「非核三原則の見直し」「核共有」の声を上げている。野党ではなく、与党の政策をさらに保守の立場から引っ張る存在である。

 維新を語る際の最大の関心事は、いったい誰が維新支持の担い手なのかということ。近畿圏以外の人には、まったく分からない。この点について、特集リードの中に、次の一節がある。

 「関西学院大学の冨田宏治教授が三年前に分析した論文(「維新政治の本質ーその支持層についての一考察」)は次のとおり、維新支持層のイメージを描いている。
 そこに浮かび上がってくるのは「格差に喘ぐ若年貧困層」などでは決してなく、税や社会保険などの公的負担への負担感を重く感じつつ、それに見合う公的サービスの恩恵を受けられない不満と、自分たちとは逆に公的負担を負うことなくもっぱら福祉医療などの公的サービスの恩恵を受けている「貧乏人」や「年寄り」や「病人」への激しい怨嗟や憎悪に身を焦がす「勝ち組」・中堅サラリーマン層の姿にほかなりません」

 本号の巻頭論文に当たる「日本維新の会の『支持基盤』を探る」(岡田知弘・京大名誉教授)は、この見解をベースにしつつも、維新は「さらなる成長を」というスローガンによる「開発幻想」を振りまくことによって、「勝ち組」以外からも集票したとみる。強固な支持層としての、新自由主義の利益に均霑する「勝ち組」 中堅サラリーマン層 と、「開発幻想」にすがるしかない立場の「非勝ち組」層

 しかし、現実の地域経済の衰退は覆うべくもないことを指摘し、在阪マスコミの維新擁護の報道を乗り越えて、「維新が振りまく幻想の危険性」と「真実にもとづく維新批判」の言論高揚の必要を説いている。

目次は、下記のURLをご覧いただきたい。
https://www.jdla.jp/houmin/index.html

そして、お申し込みは下記URLから。
https://www.jdla.jp/houmin/form.html

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特集●「維新」とは何か

◆特集にあたって … 岩田研二郎
◆日本維新の会の「支持基盤」を探る … 岡田知弘
◆在阪マスコミと中央政権が育てた新たな利権政党 … 幸田 泉
◆大阪IRカジノの問題点 … 桜田照雄
◆大阪都構想の問題点とその後の動き … 森 裕之
◆地域経済を疲弊させる維新の略奪型経済対策 … 中山 徹
◆維新府政のもとでのコロナ禍の保健所の現状 … 小松康則
◆維新政治による教育破壊の“ほんの一部”
 ~大阪は 維新政治で 滅茶苦茶に~ … 今井政廣
◆維新政治による人権侵害と闘う弁護団活動 … 岩田研二郎
◆維新による公務員の団結権への侵害と反撃 … 豊川義明
◆改憲勢力としての日本維新の会 ── 憲法審査会での策動を中心に … 田中 隆
◆維新は政党政治の一翼を担えるか … 栗原 猛

特集外記事
◆連続企画・学術会議問題を考える〈5〉
 「日本学術会議の在り方に関する政策討議取りまとめ(令和4年1月21日)/ CSTI有識者議員懇談会」をどう読むか … 広渡清吾
◆司法をめぐる動き〈72〉
 ・「日の君」再任用訴訟で逆転勝訴判決
  ── 再任用拒否の違法性を正面から認定 … 谷 次郎
 ・2月の動き … 司法制度委員会
◆メディアウオッチ2022●《「核時代の戦争」と世論・情報・メディア》
 どんな理由でも戦争は認めない 不戦、非核、非武装の外交の確立を
 ── ウクライナ戦争を機に … 丸山重威
◆とっておきの一枚 ─シリーズⅡ─〈№11〉
 「戦争の不条理」を胸に … 鶴見祐策先生×佐藤むつみ
◆改憲動向レポート〈№39〉
 憲法改正を「今こそ成し遂げなければならない」と主張する岸田首相 … 飯島滋明
◆書籍紹介
◆インフォメーション
 ロシアによるウクライナ侵攻に対し強く抗議するとともに直ちに戦闘行動を停止し撤退することを求める声明/ロシアのウクライナへの軍事侵攻に強く抗議し、ロシア軍の即時撤収を訴える声明/自民党改憲案(4項目改憲案)に反対し、改憲ありきの憲法審査会の始動には反対する法律家団体の声明
◆時評●地位協定と新型コロナ対策 ── 日伊の比較 … 高橋利安
◆ひろば●和歌山での憲法を守る取り組み ── 93回目のランチタイムデモ … 阪本康文

石原慎太郎の生前の言動には、死後もこだわり続けねばならない。

(2022年3月15日)
 「死屍に鞭打った」のは、春秋時代の伍子胥である。父と兄の仇である楚の平王の墓を暴き、掘り起こした死体を鞭打って父と兄との恨みを晴らしたという。あまりに殺伐とした野蛮な行為だが、実は、その昔から死者は鞭打たぬものという常識あればこそ語り継がれた故事なのであろう。

 石原慎太郎という、民主主義と人権の仇が亡くなったのが今年の2月1日。生前の石原の言動に対する批判の不徹底が歯がゆい。死者に対する肯定的な評価の傾向を「デス・ポジティビティ・バイアス(死による肯定バイアス、DPB)」と呼ぶのだそうだ(3月14日・毎日「過去の言動は死後に美化されるのか 石原慎太郎氏の死去から考える」)。そのような社会的現象が、石原の死にも生じているごとくだが、これは危険なことだ。徹底して、「デス・ネガティブ・バイアス(死による否定バイアス、DNB)」でなければならない。そうでなくては民主主義と人権の恨みは晴らせない。

 石原慎太郎が亡くなったその日、法政大法学部の山口二郎が「石原慎太郎の訃報を聞いて、改めて、彼が女性や外国人など多くの人々を侮辱し、傷つけたことを腹立たしく思う。日本で公然とヘイトスピーチをまき散らしてよいと差別主義者たちを安心させたところに、彼の大罪がある」とツイートした。言わば、「死屍に鞭打った」のだ。これに批判的なリプライ(返信)が殺到したという。「自分も(石原の)遺族のこと傷つけてるのに」などというもの。

 一方、同じ1日に共産党委員長の志位和夫は、国会内で記者団に「心からのお悔やみを申し上げたい」と述べた。さらに、「私たちと立場の違いはもちろんあったわけだが、今日言うのは控えたい」と語ったと報道されている。これに対して、SNS上では「礼節を重んじる常識人」「大人の対応」などと称賛の声が目立ったという。SNSとはそういうものなのだ。

 私は、石原の訃報に機敏に反応した山口ツィートに共感する。石原とは弱い者イジメを気取って追随者を集めてきた人物である。実は世の中には、弱い者イジメ大好き人間がウヨウヨしている。石原慎太郎とは、彼らのアイドルだった。世に有害この上ない。

 志位和夫の本心は知らず、そのわざとらしい振る舞いに辟易する。もっと率直にものを語ってもらいたい。弱者の側の味方に徹してもらいたい。

 石原慎太郎は、ヘイトスピーチを振りまく差別主義者であるだけでなく、都政を私物化した、実質的意味での犯罪者でもある。

 毎日新聞デジタル(最終更新 2/17 10:47)が、「石原慎太郎氏 都知事としての仕事ぶりはどうだったか」と題して、下記の検証記事を掲載しているのが興味深い。要点をご紹介させていただく。

 「1999年に初当選して以来、圧倒的な得票で2回の都知事選を制してきた石原氏が初めて逆風にさらされたのが07年知事選だった。「都政私物化」が争点になったからだ。その源流は「サンデー毎日」が04年1月18日号から6回連載した調査報道「石原慎太郎研究」にある。取材・執筆の大半を私(日下部聡記者)が担当した。

交際費で飲食 登庁は週3日
 都知事になった石原氏をそれまで、多くのメディアは国政を巡るキーマンか「ご意見番」的な位置づけで取り上げることが多かった。…むしろ、他の都道府県知事と同じように、自治体の長としての働きぶりを事実に基づいて検証する必要があるのでは――という問題意識が出発点だった。

 都の情報公開制度を活用した取材の結果、飲食への交際費支出が異常に多く、米国出張時のリムジン借り上げやガラパゴス諸島でのクルーズ乗船など、海外視察の豪華さが浮かび上がった。一方で都庁に来るのは平均して週3日ほど。日程表には「庁外」とだけ記されて、秘書課ですら動静を把握していない日が多数あった。

 サンデー毎日の記事を読んだ都民が石原氏に公金の返還を求めて起こした住民訴訟を契機に、都議会で「都政私物化」が問題化。記事掲載の3年後に知事選の争点となったのだった。

「ちまちました質問するな」
 連載をしていた時、私は記者会見に出席して石原知事に見解をただした。

 「キミか。あのくだらん記事を書いているのは」

 石原氏は開口一番、そう言った。

 「知事の親しい人に高額の接待が繰り返されていますが」

 「親しい人間で知恵のある人間を借りてるわけですから、それをもって公私混同とするのはちょっとおかしいんじゃないの」

 (石原慎太郎・東京都知事が新銀行東京の幹部らを知事交際費で接待した際の料亭の請求書がある。都への情報公開請求で開示されたこの請求書では、石原氏を含む計9人で総額37万2330円の飲食をした。1人あたり4万円あまりの計算となる。)

 「知事は就任直前『交際費は全面公開する』『公開したくないなら、私費で出すべきだ』と言っています。他の道府県のようにホームページで全面公開するようなことは考えていませんか」

 「いや、公示の方法はいくらでもありますから。原則的に公示してんだからですね、それを関心のある人がご覧になったらいいじゃないですか」

 「本誌は海外出張が必要以上に豪華だと指摘しました」

 「必要以上に豪華か豪華じゃないか知らないけど、乗った船のイクスペンス(費用)は払わざるを得ないでしょう。(中略)何か文句あんのかね、そういうことで。ちまちました質問せずに大きな質問しろよ。ほんとにもう」

 約20分間続いた記者会見の最後に、私は再度質問の手を挙げたが、石原氏は「もういいよ」と遮り、会見場の出口へ歩きながら「事務所に聞け、事務所に」と言って姿を消した。

公人としての意識がどれだけあったか
 石原氏は税金が都民のものであることを、どのくらい認識していたのだろうか。

 石原都政最大の失策ともいうべき「新銀行東京」の設立から撤退への過程では、最初の出資金1000億円に加え、破綻回避のための400億円の追加出資にも税金がつぎ込まれた。しかし、経営が好転することはなく、少なくとも850億円の都民の税金が失われた。

 振り返ってみれば、非常識な知事交際費や海外出張費の使い方は、新銀行の行方を暗示していたように思える。

 若い時から作家として、「裕次郎の兄」として「注目を集め」続けてきた石原氏に、都の予算は公金であり、自身は有権者の負託を受けた公人であるという意識は薄かったのではないかと私は考えている。

 高まる「都政私物化」批判の中、石原氏は都知事選2カ月前の07年2月2日の定例記者会見で一転、「反省してます」と述べ、以降は知事交際費の使用状況や海外視察の内容を都のウェブサイトで公表するようになった。選挙戦でも「反省」を前面に押し出した結果、「情報公開」を掲げた浅野史郎・元宮城県知事に大勝したのだった。」

 都民は、こんな人物を長年知事にしていたわけだ。都民の民主主義成熟度や人権意識の低レベルを反映したものと嘆かざるを得ない。

岸田政権は卑劣で汚い。- 沖縄を愚弄するな。「米軍再編交付金」を使っての名護市長選挙介入をやめよ。

(2021年12月26日)
 街中に参院選予定候補のポスターが目につくようになった。我が家にも、山添拓のポスターが2枚。今年10月の総選挙の結果が革新の側に厳しかっただけに、来夏の参院選の重みが一入である。
 
 とりわけ来年復帰50周年を迎える沖縄である。いくつもの課題を抱えた沖縄の選挙には全国の関心が集まる。2022年は沖縄にとっての「選挙イヤー」であるが、注目度の高いのは、県知事選をハイライトに下記の各選挙。

名護市長選挙      1月23日
南城市長選挙      1月23日
沖縄県議会議員選挙   6月24日
参議院議員通常選挙   7月25日
沖縄県知事選挙     9月29日
那覇市長選挙      11月15日

 緒戦となる、名護・南城両市長選は来月16日が告示。その後を占う選挙として、注目せざるを得ない。とりわけ、辺野古新基地を抱えている名護市長選に大きな関心が集まっている。

 前回2018年名護市長選挙では、オール沖縄が擁立した現職の稲嶺進候補が、渡久地候補にまさかの敗北を喫した。政党勢力としては、《立民・民進・共産・自由・社民・社大》対《自民・公明・維新》の対立構造であった。

 今回選挙も保革の一騎打ちとなる。オール沖縄陣営からは、新基地建設阻止を掲げて岸本ようへい市議(49)《立民・共産・社民・沖縄社大・「新しい風・にぬふぁぶし」》と、渡具知武豊現市長(60)《自公政権丸抱え》が立候補する。前回も同様だが、渡具知陣営は「辺野古新基地建設」に賛否を明らかにしない。「見守る」というだけ。

 政権に擁立されている立場だから、口が裂けても「反対」とは言えない。しかし、「賛成」「基地容認」と明言すれば、市民感情を刺激する。ダンマリを決めこむしかないのだ。

 辺野古新基地建設反対の立場を明言する岸本ようへい(予定候補)のホームページが下記のとおりである。明快で、とてもよくできている。好感がもてる。説得力がある。応援したくなる。ぜひ、拡散をお願いしたい。

https://www.yoheikishimoto.com/

 「オール沖縄」が闘っている相手は、実は渡具知候補ではない。中央政府であり、自公政権とその補完勢力なのだ。「オール沖縄派」対「非オール沖縄派」とは、《沖縄県民》と《沖縄を支配している内地権力への服従者》との対抗関係なのだ。渡久地派とは懐柔された政権派にほかならない。

 だから、中央政府(自公政権)は露骨に、「非オール沖縄派」に利益を供与し、そのことで投票を誘導する。その最も分かり易い利益供与が、「米軍再編交付金」というつかみガネである。

 「渡具知氏は初当選した18年の前回市長選で辺野古移設の是非に言及しない戦略を徹底。その後も「国と県の裁判の推移を見守る」と繰り返してきた。一方、自公政権は市長選で支援した渡具知氏が就任すると、移設に反対した稲嶺進市長時代(10~18年)に凍結していた米軍再編交付金の交付を再開。渡具知氏は再編交付金を財源に学校給食費や保育料の無償化を進めた。」(2021年毎日新聞)

 「再編交付金は、米軍再編で負担が増える自治体に交付される。(名護市は)09年度には約3億8千万円を受け取り、道路整備などに充ててきた。だが10年の市長選で移設反対の稲嶺氏が当選すると、交付は止まった。市の13事業が宙に浮き、2事業は中止や保留となった」「前市議の新顔渡具知武豊氏はこの点を突く。借金増加は稲嶺市政が移設反対に固執しすぎているためだとし、再編交付金を含め『国から受け取れる財源は受け取る』と主張する。集会では『政府としっかり協議し、ありとあらゆる予算を獲得するために汗をかく』と声を張った。ただ、普天間移設については、ほとんど触れない」(2018年朝日)

 私が入手した「岸本ようへい・後援会ニュース」(内部資料)の表紙には、大きな字で「必ず守る! 保育料・給食費・子ども医療費は これからも無料」とあった。前市政を批判するのではなく、前市政を踏襲して「これからも無料」と訴える選挙公約の押し出し方に違和感があった。このことについて、次のように報道されている。

 「渡具知氏が子育て支援策の財源としてきた国の米軍再編交付金は、移設に反対する岸本氏が当選した場合に凍結される可能性が高く、岸本陣営は『交付金がなくなれば、無償化も打ち切られるのでは……』という市民の不安を打ち消すことに躍起だ」(毎日新聞)

 なるほど、名護市のホームページを閲覧すると、米軍再編交付金による事業を次のように報告している。政府はこの財源を、基地建設反対の「オール沖縄」派が勝てば止める、基地建設反対とは言わない「非オール沖縄」の市長には給付を継続する、というのだ。

幼保助成事業 (6か年)           2,613,835,000円 

学校給食事業 (4か年)         1,021,989,000円

こども医療費助成事業 (4か年)    394,659,000円

 

これっておかしくないか。卑劣ではないか。汚くないか。地方自治を尊重し、地元の民意に耳を傾けようというのではなく、中央政府のつかみ金で市長選を左右しているのだ。カネで言うことを聞かせようという姿勢。同じことは、県知事選についても行われている。「岸田政権、沖縄振興予算で揺さぶり」と報道されているとおりである。

 「来年度当初予算案について、玉城知事は3000億円台の維持を求めていたが、政府は前年度比で約300億円減の2680億円程度とする。3000億円を下回るのは12年度以来、10年ぶり。振興予算は安倍晋三元首相が13年に3000億円台を確保する意向を表明し、18~21年度はいずれも3010億円だった。」

 「防衛省が申請した辺野古移設の設計変更を不承認処分とした玉城知事に対し、官邸関係者は「移設は反対だが、振興予算は確保したいというのは虫がよすぎるのではないか」と指摘。基地問題と沖縄振興を絡める「リンク論」を安倍・菅両政権以上に前面に押し出し、沖縄の切り崩しを図る構えだ」(毎日新聞)

 余りに露骨ではないか。こういうやり口を「札束で頬を叩く」というのだ。沖縄県民を見くびっているのではないか。根本のところから、民主主義に反しているのではないか。

ホンマ、身を切る覚悟が必要や。市長の覚悟やのうて、市民一人ひとりの身を切る覚悟や。ついでに、市民の身銭を切る覚悟もな。

(2021年12月23日)
 大阪市長でっせ。府知事とコンビで、大阪・夢洲へのカジノ誘致に血まなこや。横浜は、カジノ誘致を断念しはった。こんだけ儲かるもんに背を向けて、横浜市民はアホちゃうか。マ、おかげでウチは順風満帆や。

 なんちゅうても、夢洲にカジノを作ればやな、経済効果は1兆1400億や。目も眩むような大した金額やおまへんか。このカネに文句をつけるアホがおるのが信じられん。ちまちまと、数字の根拠を説明せいやら、説明資料が黒塗りで怪しからんとか、なにを言うてんねん。こんな難癖つけるのにろくなヤツはおらん。話半分にしても、立派なもんやと思うてもらわなならん。

 そもそも賭博は人倫に反する、ギャンブル依存症を蔓延させる、マネーロンダリングの温床になるだの、こういう頭の固い絶対反対派いう連中はどこにもおるもんや。もちろん、大阪にもおるんやが、こんな連中をまともに相手にしていたら、せっかくの儲けのチャンスを逃がすことになるんや。早うにことを進めんと、アリのように甘い汁に群がってきた業者が、嫌気をさして「カジノ離れ」を起こすことになる。せっかくの経済効果がしぼんでくるやないか。こんな簡単なことが、どないしてわからんのやろ。

 問題は、夢洲のカジノ場建設予定地「適性確保」のための790億円の支出や。内訳は、液状化防止の地盤改良に410億、土壌汚染対策に360億、地中障害物撤去に20億。この出費はしゃあない。1兆1400億の経済効果のためのコストとしての790億。安いもんや。こんな支出に騒ぐのがおかしい。

 しかもやな、この790億、大阪市の一般会計から支出しよういうんやない。市には、「港営事業会計」いう特別会計がある。その財源は、大阪港にある倉庫の使用料や埋め立て事業の収益や。ここから支出するんや。ナンヤテ? どちらにしても大阪市民の財産やて? ナニ?「大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)」破綻時も同じ手口やったろうて? マ、そりゃそうやけどな。

 それに、ホンマに790億円だけで済むのかちゅうんか? オリンピックやら辺野古や、森友学園を連想させるてか? そらまあ、多少は増えるやろな。

 それにしても、なんでみんなこんなに騒ぐんや。きっと裏に何かあるんやろ。そりゃあ、確かに2016年の説明会では、当時知事だったワイはこう言うた。
 「特定の政党が間違った情報を流布してますけど、これだけははっきり言っときます。IR、カジノに税金は一切使いません。民間事業者が大阪に投資してくれるんです」とね。

 けど今回、民間業者の誰も土壌改良の費用を出しはせん。ほたら、市が出すのはしゃあないがな。「カジノ建設に公費は一銭も使わん」と以前に言うたあのときはあのとき、今は今や。ワイも政治家や、それくらいのことは言わいでか。

 最終的には、十分採算ベースにのるんや。決して市民に負担をかけっぱなしにはせえへん。そやさかい、なんの問題もあらへんのや。えっ? そやかて、当初は見込んでいた大阪・関西万博との相乗効果はもう無理やろうて? そりゃコロナのセイや、イソジンが効かへんかったからや。市や府のせいやない。それに、ホンマに観光需要が回復するかって…? きっと回復する…はずや…多分…と思う。格別の根拠はないけれど、そないに思うんや。ここは、賭けなあかんとこや。

 仮に、観光需要が回復せんとしてもやな、この790億円はリスクテイクや。みんなが「身を切る改革」をせなアカンのや。身を切るのは、市長でも知事でもない。市民・府民一人ひとりに決まっている。甘えたらアカンのや。市のカネは市民のカネやから、結局大阪市民は身を切るだけやなく、身銭も切る覚悟も必要や。

 もちろん大阪に博打の空気が蔓延はするやろ。賭博依存症の流行も、風紀の乱れも、暴力団の跋扈も、マネロンも、みんな選挙で維新を選んだときに覚悟したはずやんか。今ごろ、イヤ言うてみたかて、そりゃ時既におそしや。カジノの経営が失敗したときは、市民も府民も一蓮托生や。人間、潔く身を捨てる覚悟が大切。そやないか?

 しかも、こんなことになるのは最初からわかっていた話や。夢洲は市が建設残土や浚渫土砂を埋め立てて廃棄物で造成した人工島や。液状化も土壌汚染も以前から指摘されていたんや。大量の産業廃棄物を夢洲に不法投棄していたこともみんな知っていたやろ。

 それだけやない。カジノを運営するのは、外資とオリックスの共同グループや。竹中平蔵はんが社外取締役を務めていやはるんや。竹中はんのパソナと大阪の行政とは、切っても切れん仲や。そんなことよく分かって、維新は大阪での選挙に勝ったきたんや。今さら、オリックスに冷たくもできんのや。790億円くらいは身銭を切らなきゃならんのよ。

 そんでもな、心配のタネがないわけやない。一番が住民訴訟や。一部の偏った新聞が暴露しおったけど、「これまで大阪湾の埋め立て用地の販売でその対策費を市が負担したことはなく、大阪港湾局は『民間業者の建設費の一部を負担するとみなされ、地盤改良をせずに売却してきた土地との公平性を保てず、住民訴訟で敗訴する可能性がある』とする弁護士の意見を紹介した」んや。

 万が一にも、住民監査かそれに続く住民訴訟でこの790億円が違法支出とされるとやな、最終的には責任者である市長個人にその負担を命じられることにもなりかねん。そうなると、身を切っても、身銭を切っても、責任を背負いきれない。これはえらいこっちゃ。そんな覚悟はできっこない。

「愛知県知事リコール・署名偽造事件」捜査の進展に注目。

(2021年2月24日)
「愛知県知事リコール・署名偽造事件」で、本日県警が初めて動きを見せた。各地の選管に保管されていた署名簿を押収したのだ。大きく動き出した事態を、朝日はこう伝えている。

 《美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らによる愛知県の大村秀章知事へのリコール署名問題で、愛知県警は24日、地方自治法違反(署名偽造)の疑いで、署名簿が提出された県内の複数の自治体の選挙管理委員会に容疑者不詳で強制捜査に入った。署名簿を押収したとみられる。

 署名活動を担ったボランティアからは憤りの声があがる。「筆跡が似ているのがいっぱいあった。おかしいと感じた」という。「僕らは真面目にやった。民主主義を守るために行動したのに、これ(不正)はない」》

 この「署名偽造事件」は、決してローカルな話題にとどめ置くべき些細なものではない。ようやくにして、この国の民主主義のレベルを映し出す深刻な問題として、全国紙報道テーマとなりつつある。軽忽な人物群のドタバタ劇と看過せずに注目しなければならない。こんな輩に、日本の民主主義が掻き回されているのだ。

一昨日(2月22日)、大村知事が記者会見で、この事件を「組織的で隠蔽の意思があり極めて悪質。誰が指示し、誰のお金でやったのか追及されなければならない」と述べたとおり、この「署名偽造」は極めて悪質である。大村知事のコメントを補えば、真意はこんなところであろうか。

「愛知県知事リコールに関わる大量の署名偽造は、多数の人と資金と資料がなければできないことだ。これが明らかにスケジュールされた期間に計画的に実行されていることから、組織的な犯罪行為であることに疑問の余地はない。」「しかも、この組織的な犯行に及んだ複数の犯罪者には、犯行隠蔽の強い意図が窺える。」「民主主義に対する挑戦ともいうべきこの犯罪行為は、その態様、その組織性、その計画性、そして隠蔽を決めこむ諸点において、極めて悪質である。」「捜査機関は、この組織的・計画的犯罪の首謀者、共犯者、実行者、支持者、そして金銭提供者と汚いカネの流れを徹底して捜査して明るみに出し、刑事訴追しなければならない。」

まずは事実の追及、これが第一歩である。その上で、捜査によって明らかになった諸事実をもとに、この犯罪の動機や背景や影響、そして教訓を考えなければならない。なにゆえに、かくまでして、犯罪者グループは、愛知県知事の追い落としにこだわったのか。

極めて大がかりな組織的で計画的な犯罪、しかも民主主義を冒涜する悪質な犯罪が行われたことに疑問の余地がない。この犯罪者グループが、大村知事リコール運動の主導者たちだったことについての確たる証拠は今のところない。従って、疑惑は疑惑でしかないが、リコール運動の主導者たちは、疑惑の対象とされる資格を十分に備えている。だから、自ら疑惑を晴らす努力をつくすべきことが求められている。彼らには、そのことの自覚に乏しいことを率直に指摘しなければならない。

「彼ら」とは、醜悪なトライアングルを指している。署名活動団体「愛知100万人リコールの会」の代表を務めたのが高須克弥というネトウヨ、事務局長を引き受けたのが田中孝博という維新の地方政治家。そしてこの両者をつないだのが、河村たかし名古屋市長である。

高須には、お馴染みの極右の面々が応援団として取り巻いていた。が、この事態にほとんどが逸早く身を引いた。さすがに変わり身が早く、状況をよく見て賢い選択をしている。田中には、吉村洋文という大阪府知事が付いている。あの、イソジンが新型コロナによく利くという、「ホントみたいにイイカゲンな」記者会見で話題をさらった人物。が、吉村も最近はこの件に発言をしていない。そして、歴史修正主義者同士として高須と意気投合した河村である。彼は、高須や田中と違って、この件で失うべきものがあまりに大きい。政治生命の危機を多少は認識しているようだ。

さて、人は、その支配が及ぶ範囲で生じた不祥事には責任を持たなければならない。少なくも説明責任は免れない。誠実に説明責任を果たそうとしない者には、疑惑の目が向けられる。これは当然のことなのだ。

事態を確認しておこう。メディアが次のように整理している。「リコール運動では、県選挙管理委員会が、提出された約43万人の署名のうち83%にあたる約36万人分を無効と判断。同じ人が書いたと疑われる署名が90%、選挙人名簿に登録のない署名が48%などとされ、県選管や名古屋市は地方自治法違反容疑で刑事告発し、県警が捜査を進めている。」(毎日)、「県選管の調査によると、有効でないと判断された約36万2千人分の約24%は、選挙人名簿に登録されていない受任者が集めた署名だった。」(共同)

人を手配し配置してリコール署名を集め、整理し、点検して、県内各選管に提出した責任者は高須である。その事務作業は田中が担当した。こうして、堂々と高須・田中が選管に有効なものとして提出した署名の大部分が、一見して明らかな偽造だったというのだ。署名集め・整理・点検・提出の全過程に関わった高須、田中の両名が「知らなかった」はまことに不自然で信じられず、常識的に通じるものではない。

「私が不正するわけがない、陰謀だと感じる」などという児戯にも等しい強弁は片腹痛い。

一昨日(2月22日)、高須・田中・河村が記者会見をして、それぞれに発言をしている。これが興味深い。

まず高須
「リコール署名は河村たかし市長から成功させたいので手伝ってほしいと頼まれた。田中事務局長は河村市長が紹介してくれた人材。事務局長を信じます」。〈この運動の首謀者は河村で自分ではない。自分は頼まれて手伝っただけ〉〈事務局長も河村の手配によるもので自分はこれを信じるしかない〉と明らかに腰が引けてきた。

それだけではない。「(自分は)なんの関係もありません。佐賀県は一度ヘリコプターで行ったことがあるだけで、それ以来一度も行ったことはありません」という高須の力んでの発言には驚いた。

この人、医師としての判断能力に心配はないのだろうか。患者の症状を正確に把握して疾患を特定し適応のある治療を的確に実施するという、医師に要求される高度な論理判断の能力を持っているのだろうか。「佐賀に行ったことがない」ことが、高須の偽造関与の否定の根拠になりようもないことは分かりそうなものなのだが。

次いで田中
16日の記者会見で署名簿の一部が「佐賀で作成されたのは間違いない」と話したが、22日は「佐賀県で作成されたものかはわからない」とした。

高須、田中とも、佐賀が遠方であることなどから「調査はほとんど何も進んでいない」とも話した。

事務局長として具体的な偽造関与否定の根拠を挙げることができないのは、致命的である。手掛かりはいくつもある。潔白を主張するなら、メディアの前に、全てのカネの流れを明らかにすることだ。そして、署名の獲得に携わった関係者全員の名簿を明確にして、メディアの徹底取材に応じることだ。この事態での無為無策は、疑惑を晴らそうという意欲の欠如にほかならない。

そして河村

「署名活動団体の会議に自身がほとんど入っていなかったなど複数の理由を挙げ、署名が偽造された疑いに関与していないことを強調した」という。これも逃げ腰。高須への責任転嫁。

ただ、注目すべきは、「何者かによって全く分からないようにやられていた、それでも『気づいていない河村はたわけ』と言われれば、もう少し真実を明らかにしてから評価は自分でする」という言葉。「何者か」とは、高須・田中を念頭においてのことなのだろうか。

われわれも、愛知県警の捜査の進展を見守りたい。その上で、『気づいていない高須・田中・河村はたわけ』のレベルで済むのか、実はそれ以上であるのかを見極めねばならない。そして、相応の責任の取り方を要求しよう。大切な民主主義を擁護するために。

聖火リレーは「五輪ファシズム」の象徴。

(2021年2月17日)
聖火リレーという奇妙な国民精神動員行事がある。参加者の擬似的一体感を醸成するのみならず、その一体感を国家や権威・権力に動員する効果を持つ。東京オリンピックの直前に、この奇妙な行事が行われる予定だが、これに異を唱える自治体が現れた。注目に値する。

本日の毎日新聞夕刊社会面のトップが、「島根、聖火リレー中止検討 知事『五輪開催許容し難い』 コロナ対策、政府に不満」という見出し。他紙も報じているが、『五輪開催許容し難い』とはまことに手厳しい表現。これが、現職知事の言なのだ。積極的に評価したい。

「島根県の丸山達也知事は17日午前、県内で5月に行われる予定だった東京オリンピックの聖火リレーの中止を検討していることを明らかにした。報道陣の取材に『オリンピック開催は現状では許容し難い。聖火リレーにも県としては協力できない』と答えた。」

正午から開かれた臨時の県聖火リレー実行委員会で、知事の「中止検討」が正式に表明された。これは、国に対する不服従宣言にほかならない。もっとも、島根県の「聖火リレー中止」方針が確定したわけではない。毎日新聞も、「新型コロナウイルス感染拡大に対する政府や東京都の対応を改善させる狙いがあり、実施や中止の決定については『(東京都が感染を抑え込んでいるかについて)確認をした上で判断する』とした。」と報じている。

聖火リレーは中止検討の理由は、「東京都などで保健所の業務がひっ迫し、濃厚接触者などの調査が十分行われていない」「そのことが全国的な感染拡大の要因となっていて、島根県とも無縁ではない」「政府や東京都が新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込めていない中、東京オリンピックと聖火リレーを開催すべきではない」「政府や東京都のリスクの高い対応が影響し、感染者が少ない島根の飲食や宿泊業界も大打撃を受けているにもかかわらず、緊急事態宣言地域よりも政府の支援が手薄なことも不公平」などとというもの。端的に言えば、「コロナ対応に専念すべき今、オリンピックどころではあるまい」というアピール。自治体の長として当然の姿勢ではないか。

聖火リレーは、47都道府県全部で行われる。「東京2020オリンピック聖火リレーのルートは、日本全国多くの人が沿道に応援に行けるように考慮して設定された。世界遺産や名所、旧跡など各地域の魅力あふれる場所で聖火リレーが行われる。121日間にわたる聖火リレーのルートと日程を確認しよう」と主催者は呼びかけている。

島根県の聖火リレーは、5月15日・16日の両日、170人が下記の経路を走る予定という。
(萩市)→津和野町→知夫村→益田市→浜田市→江津市→川本町→邑南町→大田市→出雲市→雲南市→奥出雲町→隠岐の島町→安来市→松江市→(三次市)
これがなくなれば、山口県・萩から広島県・三次にショートカットすることになる。

島根の中止は英断である。東北各県はどこもオリンピックどころではなく、次に続く自治体のあることを期待したい。がしかし、それだけに、島根に対する官邸や財界からの風圧には大きいものがあるだろう。

やや驚いたのは、中止になれば浮く予算の額である。「島根県の聖火リレーはことし5月15日(土)と16日(日)の2日間、合わせて14の自治体をめぐる予定」だという。それだけのことに、9000万円の予算が計上されているという。

自治体負担分とは別に、「組織委は2018年、電通と聖火リレーに関する業務委託契約を締結し、約50億円の委託費を計上したが、20年スタート直前での延期となり、業務委託費の多くは支払い済みで戻ってこなかった」という報道を思い出す。聖火リレーの全予算は、少なくとも100億円にはなるのだろう。あらためて、学術会議予算10億円の僅少さを思う。

周知のとおり、オリンピックの聖火リレーは1936年ナチス政権下のベルリン大会から始まった。ヒトラーのほしいままの政治利用を許した、あの「民族の祭典」である。発案者は、ベルリン大会組織委員会事務総長でスポーツ学者のカール・ディームだという。聖火リレーとは、ナチスドイツのプロパガンダの一端として始まった。「五輪ファシズム」の象徴とも称すべきイベントなのだ。

河村・高須の両名は、愛知県知事リコールの署名偽造の責任をとれ。

(2021年2月3日)
あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」攻撃に端を発した、河村・高須ら右翼グループの大村知事リコール運動は、いよいよその醜態が露わになってきた。

一昨日(2月1日)、愛知県選挙管理委員会がそのホームページに下記の資料を公表している。これは異例のことというべきだろうが、選管は公表の必要ありと考えたのだ。これまでも、河村・高須グループの違法行為は報道されてきたが、県の選管がこれを確認し、公表したことの意味は大きい。選管の決意が伝わってくる。

「愛知県知事解職請求に係る署名簿の調査の取りまとめ状況について」
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/senkyo/00000030201.html

 愛知県知事解職請求に係る署名簿の調査の取りまとめ状況について愛知県選挙管理委員会では、2020年12月21日(月)から、愛知県知事解職請求に係る署名簿の調査を実施してきたところですが、調査を実施した全64団体の状況について、裏面のとおり取りまとめましたのでお知らせします。

 調査を行った全 435,334 筆のうち、有効と認められない署名は362,187筆で、その割合は、83.20%となっております。

 また、有効と認められない署名362,187筆について、
① 同一人により書かれたと疑われる署名が、約 90%
② 選挙人名簿に登録されていない者の署名が、約 48%
③ 選挙人名簿に登録されていない受任者により収集された署名が、約24%となっております。これらの内容に重複して該当している署名もあります。

 ただし、今回の調査は、直接請求制度に基づかない任意の調査であり、署名簿に書かれた本人など、第三者への聞き取り調査等を実施しておらず、個々の署名について有効又は無効を決定しているものではありません。

 現在、直接請求制度が適切に運用されるために、今後の対応を検討している最中でありますので、各市町村ごとの詳細な内訳は、現時点ではお答えすることはできません。

 引き続き検討を進め、現行制度の問題点・課題等を整理していきます

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文中の「調査を実施した全64団体」とは、県内の各市町村と名古屋市内の各区を指している。それぞれに選管があり、大村知事リコールの署名を受け付け、集計している。その64区市町村選管調査の一覧表が公表されている。まとめが、以下のとおり。
 県全体の非有効署名割合  83.20%
 名古屋市の非有効署名割合 83.10%
 その他市の非有効署名割合 83.21%
 町村計の非有効署名割合  83.85%

この数値の揃い方が偶然とはとうてい思えない。組織的なノルマにもとづく行動であったことが推察される。河村・高須からの直接指示があったか否かは定かではないが、組織的に大規模な署名偽造が行われたことには疑いの余地はない。また、注意しなければならないことは、「(選管は)署名簿に書かれた本人など、第三者への聞き取り調査等を実施していない」というのだ。つまり、一応は「有効と認められるもの」とされる署名73,147筆が、「有効と確認された署名」ではないことだ。単に、「形式上、一見明らかに無効とは認められない」というに過ぎない。

「同一人により書かれたと疑われる署名が約90%」とは、誰かが何らかの名簿の住所・氏名を書き写している以外には考えがたい。そして、「選挙人名簿に登録されていない者の署名が約48%」とは、その使用した名簿が古くて現在は当該住所地に居住していなかったと考えざるを得ない。

県内各区市町村で同じように行われたのだから、統一した指導部あってのことで、直接間接に関わった、河村や高須の責任が免れようはずがない。

河村は「私も被害者だ」と言ってみたり、高須は「私が不正するわけがない、陰謀だと感じる」と非常識なことを口にしている。大村知事リコール運動を主宰した者として、無責任も甚だしい。右翼の唯一の美点は、潔癖さではないか。責任を他に転嫁し、言い訳に終始する両名の姿は見苦しいかぎりというほかはない。

河村よ、高須よ。その指示で踊らされた者たちの行動を自ら調査せよ。みっともなく愚痴を言いたてる前に、まずはその配下で受任者として登録した者の全員に、何があったのか報告させよ。その報告を公開せよ。

この常識的な問いかけは、メディアからも発せられている。

 Q 「同一人物による複数署名」が大量にあったのであれば、受任者本人に確かめては?
 高須「本当に30万もの不正があるのなら確かめたいとは思います。でも現実には不可能です。不正な署名を書いた人が何千人いるのかはわかりませんが、中に私の熱烈な支持者もいるし、私を陥れようとした人もいるかもしれない。いい人・悪い人を選別することは現実的には不可能です。

「いい人・悪い人を選別することは現実的には不可能」だから、「受任者本人に確かめることはできない」という「論理」は、本人以外には理解不能である。この「医師」は、「発熱の原因の特定は現実的に不可能だから、診察も治療もできません」「細菌性の症状か・ウイルス性の疾患か特定することは現実的には不可能だから、この患者には対症療法もできません」などと言い出しかねない。

ことは、いやしくも県民から選任された県知事に対するリコール運動である。いいかげんなやりかたが許されようはずはない。署名の偽造は地方自治法が定める犯罪になるのだ。

地方自治法第74条の4第2項は、【違法署名運動の罰則】を次のように定めており、同法81条によって「知事のリコール署名」に準用されている。

「条例の制定若しくは改廃の請求者の署名を偽造し若しくはその数を増減した者又は署名簿その他の条例の制定若しくは改廃の請求に必要な関係書類を抑留、毀壊若しくは奪取した者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。」

つまり、「自治体首長らの解職請求者の署名を偽造し若しくはその数を増減した者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処せられることになる。

また、刑事訴訟法第239条(告発)は、こう定める。
1項 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
2項 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

選挙管理委員会の委員も職員も「公吏(地方公務員)」に当たる。調査を遂げたら、告発せざるを得ない。また、このリコール署名活動に関わって具体的な「署名の偽造や水増し」を見聞された方には、地元の警察に告発していただきたい。是非とも、徹底した究明と刑事事件としての捜査を期待したい。民主主義のために。

大村知事リコール運動での署名偽造疑惑を徹底追及せよ

(2020年12月7日)
大村秀章愛知県知事に対する大義のないリコール運動。その署名の偽造・水増し疑惑がいよいよ本格的にメディアに報じられるところとなってきた。この動き、河村たかしと高須克弥とが前面に出てはしゃいでいた印象だが、実務を支えた事務局長は田中孝博という人物。元は減税日本に所属し、現在は維新の愛知5区支部長で同選挙区からの公認立候補予定者である。なるほど、類は友を呼ぶというわけだ。醜悪なトライアングル。

この問題、ネットで疑惑として話題となり、当ブログでも何度か取りあげた。最近のものでは、以下を参照されたい。
リコール署名の偽造・水増しは、犯罪である。その隠蔽は許されない。
http://article9.jp/wordpress/?p=15962 (2020年11月23日)

その偽造署名疑惑、明らかに局面は変わった。これまで、この運動を支えていた複数の人々が、告発者として名乗りを上げ、12月4日記者会見を開いたのだ。各紙、各テレビ局が、この告発内容を報じ、自らも取材し始めている。どうせ、成立見込みのないリコール運動に大したニュースバリューはないが、名古屋市長が関わった運動に大量の偽造署名疑惑があるとなれば、報道の価値は十分である。

まずは、読売新聞記事を紹介しよう。河村や高須のイデオロギーに遠慮するところなく、事実を伝えている。

高須克弥院長らの知事リコール運動「署名7~8割が偽造だろう」…請求代表者ら

 美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らによる愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動で、署名集めの請求代表者となっている男性らが4日、県庁で記者会見し、「署名簿に偽造が疑われる不審点が多数見つかった」と主張した。
 記者会見したのは複数の請求代表者、街頭活動で署名を集めたり、署名簿に番号を割り振る作業に参加したりしたボランティアら。
 会見で請求代表者らは「提出前の署名簿には、明らかに同一の筆跡とみられるものが多数あった。指印も同一とみられる」などと説明。選挙管理委員会に提出した名簿の真偽を各選管を訪ねて確認中という請求代表者の1人は「7~8割が偽造だろう」と述べた。
 リコール活動を担っていた田中孝博事務局長は取材に対し、「不正を行う時間はなかった」などと語り、事務局の偽造署名への関与を否定した。

また、共同は、「愛知県知事リコール運動で『不正署名多数』と参加者」として、下記の記事を配信した。

美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが展開した愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)運動を巡り、署名活動を担った男性らが4日、名古屋市内で記者会見し「不正な署名が多数あった」と主張した。リコール運動の事務局は不正を否定した。

大村知事は4日の会見で「署名の不正が行われていたら日本の民主主義を揺るがすことになる。関係者が明らかにしてほしい」と指摘した。

男性らは運動発起人の「請求代表者」や署名集めの委任を受けた「受任者」として活動した。会見で「明らかに同一筆跡の署名が多数あった」と証言。瀬戸市で活動した水野昇さん(68)は「一生懸命署名を集めた人は怒っている。真実を解明したい」と語った。

リコール運動事務局の担当者は取材に「不正行為をやる理由がない」と否定した上で「一部受任者が不正の証拠と称し署名簿を盗んだ疑いがある」と訴えた

高須氏らは11月、43万5231人分の署名を各選挙管理委員会に提出。解職の賛否を問う住民投票実施に必要な法定数約86万6000人の半分ほどにとどまった。県選管によると、提出署名が法定数を満たさない限り、署名が有効かの審査は行わない。(共同)

さらに、地元「東海テレビ」の報道が素晴らしい。誰にも忖度するところのない報道。ぜひ、これを視聴いただきたい。
https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20201204_150292

愛知県の大村知事に対するリコール署名活動を巡り、ある疑惑が浮上しました。署名集めをしたグループなどが4日に会見し、「同じ人物が複数の署名を偽造した疑いがある」と訴えました。

 不正に署名された疑いのある住所へ実際に向かってみると、驚きの事実が明らかになりました。

 4日午後、愛知県庁で会見を開いたのは、大村知事に対するリコール署名で実際に署名を集めた「受任者」らのグループや、その責任者にあたる「請求代表者」。会見の場で訴えたのは『署名集め”不正”疑惑』です。

請求代表者:
「筆跡が全部同じである。誰かが住民データを側に置いて、それをずっと丸写ししていったんだろうな」

 なんと「同じ人が複数の署名を書き、偽造した疑いがある」と訴えたのです。

 去年開かれた『あいちトリエンナーレ』を巡り、高須クリニックの高須克弥院長と名古屋市の河村たかし市長が進めた、大村知事のリコール運動。

 11月、高須院長の体調不良が理由で、署名集めは途中で終了しましたが、2か月で必要な署名の半数にあたる43万余りの署名が集まりました。その署名に浮上した今回の疑惑。一体どういうことなのか…。

 実際に、署名簿のコピーを見せてもらうと…。

リコール署名元受任者の水野さん:
「日にちが違うし、名前がほとんど同筆跡なんですよ」

 別々の人の名前が書かれた文字を抜き出してみると、「子」や「増」などよく似た筆跡がいくつもあり、書かれた署名の住所を並べてみても、確かに似ているように見えます。

 不審な点に気付いたという水野昇さんは、受任者として集まった署名を提出する作業を手伝っていた11月4日、同一人物とみられる筆跡があることに気付いたといいます。

水野さん:
「誰が見たって筆跡一緒ですよ。量から見て計画的です。驚きました」

 水野さんによると、なんと300余りの署名が、たった2人の手によって書かれた可能性があるといいます。

 不正は実際に行われていたのでしょうか。名簿に書かれた尾張旭市内の住所に向かってみると、衝撃の事実が明らかになりました。

Q.こちらの住所・お名前は、ご自身で間違いないですか?

署名簿に記載されていた人:
「間違いありません、生年月日もあってるし。ただこの筆跡には全然覚えがないんです。(Q.リコール署名された?)書いたことはありません。書いてません」

 住所と名前が一致する人物はいましたが、「署名を書いていない」ことが明らかになりました。さらに別の住所でも…。

Q.こちらご自身ですか?

署名簿に記載されていた別の人:
「えぇ、私ですけど字が違うな…。(書いた覚えは)ないです」

Q.この(署名の)お名前は娘さんですか?

また別の人:
「はい、娘です。今いないです、嫁いで。もう20年くらい前」

 取材した5人のうち、2人が「署名を書いていない」と証言。さらに残りの3人は、記載された住所に住んでいませんでした。

請求代表者:
「各選管を回っています。それで不正とみられる署名簿が8割」

 不正とみられる署名は蟹江町などでも確認されていて、署名集めの責任者にあたる請求代表者らは、地方自治法違反の疑いで刑事告発を検討。警察と相談を進めています。

 今回浮上した不正疑惑について、リコール活動を全面的に支援していた河村市長は…。

Q.不正疑惑についてどのように受け止めている?

河村名古屋市長:
「まず不正不正言っとるけど、無効ですわね、それ。考えられんですよ、審査ですぐ分かるんだから、無効って」

 一方、大村知事は…。

大村愛知県知事:
「いろんな情報が私の耳にも入ってきますけれども、投票の偽装と署名の偽造はですね、全く同じ量刑・同じ罰則・罪でありますから、軽くない。事実関係は明らかにされなければならない。関係者は事実関係を明らかにする義務がある

 現在、各地の選管で保管されている署名は、1月にもリコール活動をしていた団体に返却されますが、団体の事務局は「プライバシー保護のため、署名簿は溶かして処分する」としています。

醜悪なトライアングル、やることがいかにも汚い。潔さがない。高須が「リコールの会が仮提出した署名簿は、封印したまま僕の目の前で溶解液に入れて破棄する方針だ。万が一、リコールの会が集めた署名簿の情報が漏洩した場合、すべて責任は取ります」と発言している。

なんという姑息な発言。組織的な大量の署名偽造疑惑が問題とされている。もちろん、高須自身も、その疑惑の首謀者として被疑者の一人とならざるを得ない。にもかかわらず、自ら疑惑を晴らす努力をしょうというのではなく、疑惑の証拠となるべき署名簿を溶解してしまおうというのだ。サクラ疑惑を追及されるや、直ちに名簿を廃棄した、かの前政権並みの汚い手口。「関係者は事実関係を明らかにする義務がある」という、大村知事の提言が虚しい。しかも、「リコールの会が集めた署名簿の情報が漏洩した場合、すべて責任は取ります」と上辺を飾っての取り繕いがみっともない。

関係者の内、高須には最初から特に失うものの持ち合わせはない。維新の傷も大したことはなかろう。しかし、河村の政治生命には致命的な傷が付くのではないか。署名の偽造に少しでも関わっていればアウトだし、直接には不正署名に関わりなくとも、軽挙妄動のみっともなさが際立つことになる。犯罪との指摘を含む不正行為が、自分が肩入れした運動で生じたのだ。事務を担当した田中は、元は減税日本に所属していた知己でもある。監督不行き届きの政治責任は免れない。

記者会見に臨んだ者たちは刑事告発を検討中だという。ぜひとも厳正な捜査の結果を待ちたい。健全な民主主義のために。

「大阪市廃止」の住民投票、最新世論調査で賛否逆転。

(2020年10月25日)
11月1日、来週の日曜日に、いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う大阪市の住民投票が行われる。もっとも、この投票で「大阪都」が生まれるわけではなく、府民の意見が聞かれているわけでもない。大阪市選挙管理委員会による正式な名称は、「大阪市廃止・特別区設置住民投票」である。もちろん、ここには「大阪都構想」の文字はない。問われているのは「大阪市を廃止し、4つの特別区に再編する」ことの是非である。

この住民投票が注目されているのは、もっぱら維新の政治的影響力のバロメータとしてである。2015年の前回投票では、維新が「自・公・共」を相手にたたかって敗れた。最近の地元での維新の勢いを背景にした、再度の住民投票だが、今回は公明が鞍替えし、「維・公」対「自・共」の争いとなっている。

これまで、賛成派が断然優勢とされていたが、反対派との差は縮小しつつあると報じられてきた。そして、本日(10月25日)の世論調査結果の速報で、僅差ながらも賛否が逆転したという。これは、大きなニュースだ。

毎日新聞(デジタル)の本日16時09分(最終更新18時52分)の記事は、次のとおり報じている。

大阪都構想 反対が賛成上回る 9月上旬の前回調査から賛否逆転 世論調査

 大阪市を廃止し、四つの特別区に再編する「大阪都構想」について、毎日新聞は23~25日、大阪市内の有権者を対象に電話による2回目の世論調査を実施した。都構想への賛否は反対が43・6%で、賛成の43・3%を上回った。賛成49・2%、反対39・6%だった9月上旬の前回調査から賛否が逆転した。11月1日に投開票される住民投票に向け、賛否は拮抗している。

 調査は大阪市の有権者を対象に共同通信社、産経新聞社、毎日放送、関西テレビと共に実施。データは共有し、分析・記事化は各社で行った。コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法を用い、実際に有権者がいる世帯にかかったのは1446件、うち1043人から回答を得た。

毎日だけでなく産経も共同して行った世論調査。これを産経がどう報道しているか。ちょっと面白い。

産経(デジタル)は、本日16:40に第一報を配信した。その見出しが以下のとおり。毎日と共通する内容である。

大阪都構想の世論調査、約1カ月半前と賛否逆転

ところが、18:23の配信記事では見出しがまったく変わっている。

大阪都構想、有権者は高い関心 8割超が「投票に行く」

 ほとんど同じ内容の報道で、見出しを変えたのが興味深い。「賛否逆転」が、大きなインパクトを持つ人目を惹く見出しであることに疑問の余地はない。記者としては、こう見出しを付けたいところ。しかし、この見出しは反対派を勢いづけることになりはしまいか。あるいは、賛成派からのクレームを招く恐れはないか。忖度の結果の見出し変更ではないかと想像させる。その産経記事の抜粋を引用する。

(産経新聞)16:40
 産経新聞社は23〜25日、大阪市内の有権者を対象に電話による世論調査を実施した。大阪市を廃止し、特別区に再編する大阪都構想については反対43・6%、賛成43・3%と拮抗した。9月4〜6日の前回調査では賛成(49・2%)が反対(39・6%)を9・6ポイント上回っていたが、反対が巻き返した。吉村洋文大阪府知事を「支持する」とした人は65・5%で、前回より10・0ポイント減少した。

 今回、都構想に賛成する理由のトップは「二重行政が解消されるから」の35・8%で、前回比8・8ポイント減。次いで「思い切った改革が必要だから」の23・8%(同4・8ポイント増)だった。

 反対理由で最も多かったのは「メリットが分からないから」の30・8%。「大阪市がなくなるから」(21・3%)、「住民サービスが良くならないから」(15・3%)が続き、それぞれ前回比5・3ポイント増、3・5ポイント増だった。反対派が、大阪市が廃止されると住民サービスが低下するなどと訴えていることが影響しているとみられる。

 この世論調査結果は、反対派の宣伝活動が、大きな成果を上げていることを物語っている。バラ色の「大阪都構想」のメッキが剥げかかっているのだ。

ポピュリズム政党・維新は、今やアベスガ政権の走狗となって、改憲勢力の一翼を担おうとしている。11月1日の大阪市住民投票の結果は、憲法の命運にも関わる。反対派の奮闘を期待して已まない。

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