澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

自民党と日本会議の地方議会改憲決議運動に警戒を

一昨日、ある会合で「教科書ネット21」の俵義文さんと同席の機会を得た。教育問題を最重要課題のひとつと位置づけた安倍政権の「教育再生」政策は、地教行法、教科書無償化措置法、学校教育法の改正、教科書採択基準の変更、道徳の教科化等々、目まぐるしい。俵さんは、その対応に忙殺されているが、さすがに豊富な資料で、的確に要点を指摘している。

「下村博文文科相や義家弘介氏(自民党教育再生実行本部)らによる地教行法の改正も教科書無償化措置法の改正も、つくる会系(育鵬社)教科書採択を最大化をはかる内容となっている」「つくる会系勢力は、前回の採択時に総力をあげて運動したが、失敗したという総括をしている。自分たちの教科書の採択が伸びない原因を、『教育委員会の抵抗』と位置づけ、政治の言うことを聞く教委に変えてしまおうというのが、今回改案の主たる動機だ」「教科書無償化措置法改正による採択地区細分化も同様の思惑。われわれは、『教科書採択は本来教員の意見が十分に反映される制度でなければならない。だから広域採択には反対』と言ってきた。今、彼らは『市郡単位から、市町村単位に採択地区を変更すれば、つくる会系教科書の採択が増える』と見込んでいる。そのため、その政策に関する限りわれわれと奇妙な一致を見ている」ということが大要。そう整理されると、なるほどよく分かる。

ところで、俵さんの話が教科書・教育から離れて、改憲問題に及んだ。
「安倍政権やこれに連なる保守勢力は、明文改憲に失敗して解釈改憲路線を走っているとされているが、決して明文改憲をあきらめたわけではない。地道に草の根の改憲運動が続けられている。その中で、最も警戒すべきが日本会議の地方議連による地方議会決議運動だ。既に、8県議会が3月議会で『憲法改正の早期実現を求める意見書』を採択している。今後警戒して、この動きを封じる工夫をしなければならない」

8県議会とは、石川、千葉、富山、兵庫、愛媛、香川、熊本、鹿児島。
採択されたのは、典型的には次のような内容。

      *************************************************
       国会に憲法改正の早期実現を求める意見書
現憲法が昭和22年5月3日に施行されて以来、今日に至るまでの約70年間に我が国をめぐる内外の諸情勢は劇的に変化を遂げている。すなわち、我が国を取り巻く東アジア情勢は、一刻の猶予も許されない事態に直面しており、さらには、家庭、教育、環境などの諸問題や大規模災害等への対応が求められている。
国民が現憲法と現実との乖離の解消を望んでいることは、各種世論調査において、憲法改正の支持が常に過半数に達していることにより明らかであり、各政党、各報道機関、民間団体からも具体的な改憲案が提唱されている。
しかし、平成19年に日本国憲法の改正手続に関する法律が制定されたことに伴い、両院に設置された憲法審査会の活動開始が平成23年にずれ込むなど、憲法改正発議に向けた審議は進展していない。成文憲法を持っている世界各国では現実に合わせるための憲法改正を行っており、日本国民が憲法規定の是非をみずからが判断する国民投票を一度も体験しないままの現状を解消することは、国権の最高機関として国民から国政を負託されている国会の責務である。
よって、国会におかれては、下記の項目を実行されるよう強く要望する。
                  記
  憲法改正案に対して国民が判断できる機会を早急に設けるため、両院の憲法審査会において憲法改正案を早期に作成し、次期国政選挙までに国民投票を実現すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
        平成26年3月17日
                熊 本 県 議 会 議 長 藤 川 隆 夫
衆議院議長 伊 吹 文 明 様
参議院議長 山 崎 正 昭 様
       *************************************************

日本会議とは右翼勢力の元締めとなる組織、その会長は三好達・元最高裁長官。自由民主党を中心に280名の日本会議国会議員懇談会を擁しているだけでなく、日本会議地方議員連盟を抱えている。その数1700人と豪語している。
その地方議員連盟の〈基本方針〉は以下のとおり。
1、皇室を尊び、伝統文化を尊重し「誇りある日本」の国づくりをめざす。
2、わが国の国柄に基づいた「新憲法」「新教育基本法」を提唱し、この制定をめざす。
3、独立国家の主権と名誉を守る外交と安全保障を実現する。
4、祖国への誇りと愛情をもった青少年の健全育成へ向け、教育改革に取り組む。

〈運動方針〉は以下のとおり。
「誇りある国づくり」を掲げ、皇室・憲法・防衛・教育等の課題に取り組む日本会議と連携し、地方議会を拠点に、次のような運動を推進します。
①改正された教育基本法に基づき、国旗国歌、日教組、偏向教科書問題など、教育改革に取り組みます。
②青少年の健全育成や、ジェンダーフリー思想から家族の絆を守る運動を推進します。
③議会制度を破壊しかねない自治基本条例への反対など保守の良識を地方行政に働きかけます。

キーワードは、皇室、憲法、教育、防衛、そして家族である。いま、その地方議員連盟が課題としているのが、地方議会における「憲法改正の早期実現を求める意見書」の採択なのだ。自民党が県連に指示し、自民と日本会議とが一体となって運動を推進している。維新も賛成にまわっている。

日本会議はもともとが元号法制化促進運動の中から立ち上がっている。元号法制定促進決議や、靖国神社公式参拝要請決議の運動をやってきた。公式参拝要請決議は37の県議会、1548の市長村議会で成立している。そして今、憲法改正促進決議への取り組みである。

なお、今年も日本会議を中心とする右派勢力は5月3日に公開憲法フォーラムを開催の予定。テーマは、「国家のあり方を問う―憲法改正の早期実現をー」。中央の集会では、櫻井よしこ、船田元、西修、百田尚樹が発言するという。各地方での集会では、長谷川三千子の名も見える。

改憲問題も教育問題も、そしてNHK問題も元号法も靖国も、根は一つの問題なのだ。小選挙区制のマジックで底上げされた安倍極右政権が、今がチャンスと跳梁している。一つ一つの課題において、抵抗し続けていかねばならないと思う。
(2014年4月27日)

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Published in 日曜日, 4月 27th, 2014, at 19:22, and filed under 未分類.

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