澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

都教委の諸君、潔く敗訴確定の責任をとりたまえ

行政機関・教育機関が、最高裁から自らの行為を違法と指摘を受けたら、潔く自らの非を認めなければならない。自らの非を認めたうえは、衷心から謝罪し、責任を取らねばならない。それが、「間違ったことをした行政機関・教育官署」の当然の対応。都教委の謝罪と反省と、そして責任のとりかたを見守りたい。

昨日まで、最高裁に10・23通達関連事件が6件係属していた。
第1小法廷 東京小中君が代裁判(一審原告10人)
        Kさん処分取消事件(1人)
第2小法廷 東京「君が代裁判」2次訴訟(62人)
        河原井純子さん国家賠償差し戻し訴訟(1人)
        Yさん非常勤職員合格取消訴訟
第3小法廷 都障労組・処分取消訴訟(3人)

昨日(7月12日)、このうちの4件について最高裁が上告受理申立の不受理決定をし、その結果として都教委の敗訴が確定した。
まず、大型集団訴訟である東京「君が代裁判」2次訴訟(一審原告62人)については、教員側・都教委側の双方から上告受理申立がなされていたが、第2小法廷は、その両申立を不受理とした。そして、教員側の上告に対する判決の言い渡し日が9月6日に指定となった。
都教委側の上告受理申立が不受理となったことによって、減給以上の処分を受けた21人(処分件数としては22件)の処分取消が確定した。この意義は大きい。

同時に第2小法廷は、河原井さんの国家賠償差し戻し訴訟において、東京都の上告受理申立を不受理と決定した。このことによって、30万円の慰謝料支払いを命じた東京高裁(差戻審)の判決が確定した。この意義もきわめて大きい。

同じ日に、第1小法廷も、東京・小中「君が代」裁判において双方の上告受理申立に不受理決定をし、教員側からの上告申立事件について判決言い渡し期日を9月5日と指定した。同事件では、教員2人についての3件の処分取り消しが確定した。
また、Kさん(八王子市立中学校)処分取消事件においても同様に、教員側・都教委側の双方からなされていた上告受理申立をいずれも不受理とした上、近藤さんからの上告に対する判決の言い渡しを9月5日に指定した。
Kさんは、07年3月戒告、08年3月減給10分の1・1月、09年3月減給10分の1・6月、2010年3月停職1月(定年退職)、の処分を受けている。このうち、戒告を除く3件の処分について、取り消しが確定した。

昨日の最高裁決定によって25人(30件)の処分取消し・慰謝料支払いが確定した。これに関して、敗訴確定した都教委に一言せざるを得ない。教育委員諸君よ、自らの非を認め、衷心から謝罪せよ。

都教委よ。委員長よ、教育長よ、そして教育委員の諸君よ。あなた方の権力行為が司法によって違法と断定され取り消されたことを、どれほど深刻に受けとめているか。あなた方は、裁判所から、あるまじき違法な行為をしたと明確に指弾されたのだ。立場を変えて違法の指摘を受けたのが教職員であれば、正真正銘の懲戒事由にあたるところではないか。ほかならぬ教育委員が、教職員の思想・良心を侵害し、過酷な処分をしたとして過ちを指摘されたのだ。子どもたちの面前で、教育に取り返しのつかない違法な混乱を引きおこしたことでもある。いったいどのように責任をとろうというのか、聞かせていただきたい。

まさか、確定判決にしたがって経済的な不利益を補填するだけで済まそうということではあるまい。それは、教育に携わるものとしてあるまじき姿勢ではないか。あなた方には、ほんの少しも反省の気持ちがないのか。恥ずかしくはないのか。廉恥の心を持ち合わせてはいないのか。どうしてこのような不祥事を起こしてしまったのか、その原因を究明しようという気持はないのか。かような不祥事の再発を防止する手立てを講じようとは思わないのか。渦中の人々や家族が、どれほどの辛い思いをしたか考えたことがあるのか。教育への混乱と悪影響への責任に思いをいたしているのか。

勝訴確定者に、礼を尽くしての謝罪を要求する。とりわけ、河原井純子さんには、マスコミの面前で全員で頭を下げたまえ。国家賠償責任が認められるには、違法だけでなく公務員の過失も要求される。あなた方には、やってはならないことをした過失が認められたのだ。そしてなによりも、「停職中、教壇に立てないことによる精神的苦痛は、支給されなかった給与の支払いでは回復できない」というのが、東京高裁の判決であった。河原井さんだけにではない、深く傷ついた教え子にも謝罪が必要だ。それにとどまらない。あなた方がゆがめ、傷つけてしまった、教育そのものにも深い陳謝が必要なのだ。

いやしくも「他には厳しく、自らには甘い」などと言われることのないよう、教育に携わる機関にふさわしく、社会的常識と良識とに基づいた礼を尽くした対応を期待したい。

論語・学而編からの一節を、教訓として教育委員の諸君に贈りたい。
子曰。君子不重則不威。學則不固。主忠信。無友不如己者。過則勿憚改。
わからなければ、誰かによく聞いて教訓にしたまえ。とりわけ、「過則勿憚改」に先行する「學則不固」の一句を噛みしめていただきたい。
(2013年7月13日)

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