澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

有権者は、もったいないがだましよいー「都民ファーストの会」の場合

古川柳は、どら息子の心境をこう喝破する。
母親はもつたいないがだましよい(誹風柳多留)
この前句は、「気をつけにけり気をつけにけり」である。

「前句を息子に用心している母親として、その母をまんまと欺して、勿体ないという体をつける」(宮田正信)と解説される。

どら晋三も、こう思っている。
 国民はもったいないがだましよい
政治家に用心している国民をまんまと欺して、勿体ないというふりをするのだ。
普段は頭の高い俺が、神妙な態で8秒も頭を下げれば、国民なんて甘いものさ。支持率低下は下げ止まったじゃないか。調査によっては、少々だがアップしさえしている。

本当は、核廃絶には反対なんだ。平和は核の抑止力によって保たれている現実をみなきゃならない。でも、そんな本音を口にしたら、またまた支持率ダウンだ。憲法改正もできなくなる。だから、「核保有国と非核国の橋渡しの努力」などと言って国民を欺す以外にない。ましてやここは広島だ。さすがに被爆者までは欺せなかったが、国民は欺せたように思うよ。

どら百合子も、こう思っている。
 都民とはもったいないがだましよい
これまで石原慎太郎以来の都知事と自民党議会に用心している都民をまんまと欺して、勿体ないというふりをするのだ。
「セーフシティ」「スマートシティ」「ダイバーシティ」「東京大改革」「忖度だらけの古い都議会を新しく」などという、わけの分からぬ呪文で甘い都民をたぶらかした。どうです、見事なものでしょう。

いったい、都民ファーストの会とは何なのだろう。小池百合子とは何者だろうか。その代表の野田数とは? そして、55人の大勢力となってひしめく都民ファーストの会所属都議とは、いかなる志と政策を持っているのだろうか。それが、さっぱり分からないのだ。

毎日新聞が、7月の東京都議選で当選した127人の都議全員に、安倍政権の評価や憲法改正の賛否について尋ねた。その回答は、自民・公明・共産・民進の議員については、さもありなんというもの。

ところが、小池百合子知事率いる第1会派「都民ファーストの会」の議員らの回答は驚くべきものだった。というか、あきれかえったものと評すべきだろう。

「『都民ファーストの会』の議員のほとんどが無回答とし、その理由について記した議員の大部分が『都政に専念するため』と説明した。都民ファースト本部から示された模範回答を、そのまま書き込んだといい、所属議員からも『自由な発言が許されない雰囲気がある』との声が上がっている。」というのだ。

以下、毎日の報道の紹介である。
アンケートでは(8月)8日に予定されている都議会臨時会を前に、都議の政治的スタンスを確認するため「安倍政権を評価するか」「憲法改正に賛成か」を尋ね、都民ファースト所属の2人を除く125人から回答を得た。

都民ファーストの議員は、民進党出身の石川良一都議が安倍政権を「評価しない」、民進党出身の中山寛進都議と自民党出身の山内晃都議が「わからない」としたが、他の50人は無回答だった。無回答の理由は、ほとんどが都民ファースト本部が示したという模範回答の「都議として都政に専念する立場であり、国政についてのコメントは控える」と書いた。憲法改正についても石川、中山、山内の3都議が「わからない」とした以外は無回答だった。

都民ファーストは新人が39人を占める。今回のアンケートに限らず会派の締め付けは厳しく、都議が報道機関の取材に応じる場合も原則、本部の許可を得る必要がある。また報道機関も、本部に都議への質問内容を事前に提出することを求められている。

こうした状況について、都民ファースト関係者は「自由な発言が許されない雰囲気がある。都議が話したことを悪く報道されるのを恐れて守りに入っている」と説明。ある都議も「今のメディア対応のやり方が正しいとは思わない」と漏らす。

これに対し、野田数(かずさ)代表は「どんな取材を受けるのか本部が把握することは、民間企業なら当然の対応。うちは既存政党よりも確実に情報公開が進んでいる」と強調した。

毎日のアンケートは、「安倍政権への評価」と「憲法改正の賛否」の2点である。都議たるものが、この2点について、意見をもたないということは考えられない。その意見の表明に躊躇があってはならない。都議が、自分が何者であるかを明確にすることは都民に対する責任ではないか。

しかも、野田数は、都民から信任を得た都議を民間企業の社員と同等に考えている様子なのだ。「都民ファーストの会」は業務命令で、都議にいかようにも指示ができる。口封じも当然、と言っているわけだ。これは、重大事である。

毎日のアンケートは、思いがけなくも、都議会の中の巨大なブラックボックスの存在を炙り出した。結局、小池知事党の都議は、都民への責務をラストとし、所属政党への忠誠をファーストとしたわけだ。「都民ファーストの会」は、実態に合わせて名称を変更した方がよい。「我が党ファーストの会」あるいは、「小池知事ファーストの会」と。

「だましよい」と甘く見られた都民諸君。わけても小池知事党に貴重な一票を投じた諸君。どうやら、親心に付け込んで母親をだますオレオレ詐欺の被害に遭った模様ですぞ。
(2017年8月7日)

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Published in 月曜日, 8月 7th, 2017, at 09:38, and filed under 安倍政権, 選挙, 都政.

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