(2022年10月5日)
「法と民主主義」10月号【572号】が、9月30日に発刊になった。特集は2本。特集?が「2022年参院選と改憲発議阻止の展望」、そして特集?「緊急特集・国葬と統一教会問題」である。両特集とも、読み応えは十分である。とりわけ、特集2が、時宜に適したもの。石村修(憲法学)・宮間純一(政治学)・郷路征記(弁護団)・有田芳生(ジャーナリスト)とならんだ執筆陣は圧巻。なお、この特集は来月号も続くことになる。
特集?●2022年参院選と改憲発議阻止の展望
◆特集にあたって … 編集委員会・南 典男
◆参院選後の改憲をめぐる状況と市民と野党の共同の展望 … 中野晃一
◆参院選結果が投げかけるもの … 田中 隆
◆実質改憲としての安保3文書改訂 … 永山茂樹
◆核戦争の危険性と私たちの任務 ── 核兵器廃絶と9条の世界化を … 大久保賢一
◆安全保障の名のもとに監視と治安強化がすすむ
戦争のできる国づくりの最終段階を画す土地規制法と経済安保法 … 海渡雄一
◆市民運動・野党共闘と法律家の役割について … 平井哲史
◆改憲問題対策法律家6団体連絡会の活動総括と今後の方針 … 大江京子
特集?●緊急特集・「国葬」と「統一教会問題」
◆特集にあたって … 編集委員会・南 典男
◆「安倍国葬」は日本国憲法上で許されない … 石村 修
◆日本史のなかの「国葬」問題 … 宮間純一
◆統一協会の伝道手法とその破壊力 … 郷路征記
◆インタビュー●統一教会とは何か ─ 自民党との極まった癒着を問う … 有田芳生
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なお、「法と民主主義」(略称「法民」)は、日民協の活動の基幹となる月刊の法律雑誌です(2/3月号と8/9月号は合併号なので発行は年10回)。毎月、編集委員会を開き、全て会員の手で作っています。憲法、司法、教育、原発、国際情勢、天皇制、地方自治、沖縄問題、ジャーナリズムなど、情勢に即応したテーマで、法理論と法律家運動の実践を結合した内容を発信し、法律家だけでなく、広くジャーナリストや市民の方々からもご好評をいただいています。定期購読も、1冊からのご購入も可能です(1冊1000円)。よろしくお願いします。
(2022年9月17日)
本日の赤旗、トップ記事の見出しが「法に基づく解散命令を」「統一協会 霊感商法対策弁連が声明」となっている。要旨次のとおり。
「統一協会(赤旗はこう表記する)による被害救済に取り組んできた全国霊感商法対策弁護士連絡会が(9月)16日全国集会を開き、オンラインと合わせて約200人が参加した。被害の実態や協会と政治との関係、被害撲滅に向けた規制の在り方などについて意見を交わし、教団に被害信者への謝罪と損害賠償を求めた上で、宗教法人法に基づく解散命令の請求を行政に求める声明を採択した。」
「冒頭で代表世話人の山口広弁護士は『統一協会は単なる宗教団体ではない。資金づくりを担う事業部門や、各国の政権に何が何でも食い込もうとアプローチする政治部門、新聞などで主張を発信する部門などを添えた複合体だ』と指摘。」
「同じく代表世話人の郷路征記弁護士がオンラインで、協会が続けてきた伝道・勧誘の問題点を解説。『宗教団体の伝道であることを隠したまま「先祖の因縁」などで恐怖感・不安感をあおる。身近な人に相談もさせず、「やめる自由」を事実上なくして信仰させてしまう。信仰の自由を侵害している』と指摘した。」
この弁連の活動には、深い敬意を表したい。
同じ赤旗1面に、「『安倍元首相忘れない』 韓国の統一協会が声明」という記事がある。韓国の統一協会が、安倍晋三の死去に関し、「平和運動を推進しながら、不意の死をとげた安倍晋三元首相に対して深い哀悼の意を表します。朝鮮半島の統一と世界平和のビジョンを提示し、前・現職首脳と共にその意志を表明した安倍元首相の崇高なる犠牲を家庭連合は絶対に忘れません」と、韓国の主要日刊紙に全面広告したのだという。
その統一教会の声明のなかで、「全国霊感商法対策弁護士連絡会を特定の政治的意図をもった団体だと事実無根の攻撃をしました」と赤旗が紹介している。統一教会、大いに弁連憎しなのだ。それにしても、「特定の政治的意図」とはいったい何のことだろうか。自民党に不利になる活動を、すべからく「特定の政治的意図」によるものと攻撃したいのであろう。
弁連には、最大限に司法を活用して被害を救済し、さらに被害の根絶に向けた活動を期待したい。
統一教会による被害を根絶するための最大の手段が、宗教法人法81条の「解散命令」である。これが本日の赤旗記事の見出しになっている。「解散命令」とは宗教法人法上の法人格を剥奪すること。そのことによって宗教団体としての統一教会が消滅するわけでも宗教活動ができなくなるわけでもない。しかし、統一教会は所有権主体とも取引主体ともなれなくなる。「解散命令」には、財産関係の清算手続が続くことになる。そして、宗教法人に与えられている税法上の優遇措置を失うことにもなる。影響は死活的に大きい。
宗教法人法81条1項(解散命令)を確認しておこう。
「裁判所は、宗教法人について左の各号の一(ひとつ、の意味)に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
二 第二条に規定する宗教団体の目的(注・宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成すること)を著しく逸脱した行為をしたこと(以下略)
条文に明らかなとおり、解散命令は裁判所が出す。行政機関は出せない。裁判所が自ら職権でも出せるが現実には考え難い。常識的には、所轄庁の請求があって裁判所が動くことになる。所轄庁は、都道府県知事あるいは文科大臣である。利害関係人(たとえば、債権者)も請求の資格をもっているが、証拠を揃えるのは容易ではない。
解散命令のハードルは高い。同条1項1号は、単なる法令違反では足りず、「著しく」公共の福祉を害すると「明らかに」認められる行為あることを要件としている。法令違反は必ずしも刑事罰を意味しないが、明らかにその主体は宗教法人でなければならない。
これまで、解散命令が発せられたのは2件とされている。宗教法人オウム真理教に対するものと、霊視商法で詐欺被害輩出を重ねた宗教法人明覚寺に対するもの。いずれも、最高裁まで争われて、解散命令が確定している。オウムの最高裁決定が1996年、明覚寺は2002年である。以下に、両事件を概観して、統一教会への適用を考えて見たい。
問題は大きく2点ある。第1点は法81条1項(解散命令)の要件であり、第2点が、この条文あるいは解散命令の憲法20条適合性の有無である。
この第2点は、日本国憲法の柱の一つともいうべき信教の自由という重要理念の理解に関わる。その基準の定立如何は、国民の信教の自由保障と、既成宗教のあり方に大きな影響を与える。慎重の上にも慎重な判断が求められて当然である。
その重要な問いに対する最高裁の結論は、今のところは以下のとおりである。
「大量殺人を目的として計画的、組織的にサリンを生成した宗教法人について、宗教法人法81条1項1号及び2号前段に規定する事由があるとしてされた解散命令は、専ら宗教法人の世俗的側面を対象とし、宗教団体や信者の精神的・宗教的側面に容喙する意図によるものではない。右宗教法人の行為に対処するには、その法人格を失わせることが必要かつ適切であり、他方、解散命令によって宗教団体やその信者らが行う宗教上の行為に何らかの支障を生ずることが避けられないとしても、その支障は解散命令に伴う間接的で事実上のものにとどまるなど判示の事情の下においては、必要でやむを得ない法的規制であり、日本国憲法第20条1項に違反しない。」(宗教法人オウム真理教解散命令事件)
第1点(法81条1項(解散命令)の要件)については、まずオウム事件ではこう判断されている。
「宗教法人の代表役員及びその指示を受けた多数の幹部が、大量殺人を目的として、多数の信徒を動員し、宗教法人所有の土地建物等の物的施設と多額の資金を使い、大規模な化学プラントを建設して、サリンを計画的・組織的に生成したことは、当該宗教法人の行為として、宗教法人法81条1項1号及び2号前段所定の解散事由に該当する。」(第1審・東京地裁決定、第2審東京高裁も、最高裁も是認)
なお、オウムの解散請求は、検察官及びオウム真理教の所轄官庁たる東京都知事鈴木俊一両名からのものである。
一方、宗教法人明覚寺の解散命令事件は、1999年12月所轄官庁(文化庁)が、詐欺刑事事件判決を根拠に「組織ぐるみの違法性が認められる」として和歌山地裁に解散命令を請求したもの。和歌山地裁は解散命令を発し、明覚寺はこれを不服として最高裁まで争ったが棄却されて確定している。
解散命令の要件具備判断の要点を抜き書きしてみる。
「前記認定の各詐欺はいずれも相手方(宗教法人明覚寺)に属する満願寺もしくは龍智院という末寺を舞台として行われたものであるところ、その実行行為者及び件数が多数に及んでいることだけからみても、上記各詐欺が組織的に行われていたことが強く窺える」「さらに、前記各詐欺行為は、被害者が満願寺のチラシを見るなどして相談に訪れたことがその端緒になっているところ、そのチラシは、満願寺が独自に作成したものではなく、相手方代表者たる西川義俊の指示ないし決裁を経て、相手方の本部において関連会社に発注して作成したものである」「相手方では、教師特別錬成命令書が作成され、教師の目標数値が(騙取)金額をもって設定されていた」「相手方代表者西川義俊が自ら、金員騙取に向けた欺罔文言を羅列したトーク集なるものを作成した上、これを全体会議に集まった教師や住職らに配付していた」「騙取にかかる金員の振込送金を受ける場合には、相手方が管理する口座宛とされ、予定されていた金員の送金がない場合には、担当僧侶らに問い合わせるなどしていた」「各詐欺の実行行為者は、いずれも明覚寺の系列寺院において話術訓練等を受けていること」が認められる。
「これらの事実を総合すれば、各詐欺行為は、もはや相手方に属する僧侶等による個人的犯罪ということは到底できず、宗教法人たる相手方が主体となって行ったものというべきである。
そして、その被害件数及び被害額が極めて多数・多額に及んでいることからして、著しく公共の福祉を害するものであることは明らかであるし、組織的に詐欺行為を行うことが宗教団体の目的を著しく逸脱したと認められる行為であることは多言を要しない。」
以上の判断が判例の水準である。統一教会に解散命令を請求するに関しても類似の事実を積み重ねが必要であろう。是非とも、組織的な違法を炙り出す努力を期待したい。
(2022年8月25日)
日弁連は、「消費者法講義」(日本評論社刊)を発刊している。2004年10月に第1版を出し、現在は第5版(2018年10月)となっている。消費者委員会の然るべき執筆者が担当するもので、ロースクールの教科書にもなっていると聞く。
その第4版までには「宗教トラブルと消費者問題」の章が設けられていた。山口広弁護士が執筆し、これに私のコラムが付けられていた。コラムのタイトルは、「消費者事件の間口と奥行き」というもの。霊視商法弁護団を代表しての執筆であるが、今、あらためて統一教会の霊感商法に世の注目が集まっている。引用して紹介させていただく。
1989年10月31日、オウム真理教の幹部が横浜法律事務所を訪れた。「われわれには信教の自由がある」との言に対して、坂本堤弁護士は「人を不幸にする自由はあり得ない」と切り返している。その3日後、坂本弁護士は家族とともに非業の最期を遂げ、この言葉が彼の遺言となった。人を不幸にする「宗教」はオウムだけではない。「宗教」を金儲けの手段として、善男善女から金品を巻き上げ利をむさぼる輩はあとを絶たない。犯罪性を指摘されると、彼らが呪文のごとく唱えるのが「信教の自由」である。
その典型が霊視商法。真言宗の一派を名乗る宗教法人が大量にチラシを撒き、「3000円で特別の能力を持った霊能師が霊視鑑定をする」と集客する。霊視鑑定の結果、例外なく「水子の霊が憑いている」「種々の霊の崇りがある」ことになり、「この霊を供養しない限り不幸は去らない。さらに大きな不幸が来る」と除霊供養料250万円からの被害が始まる。東京都の消費生活センターが調査に乗り出したが、「信教の自由」の壁に阻まれた。「行政が宗教に介入するのか」「宗教弾圧だ」とまで言われたという。
「信仰の自由」「宗教活動の自由」は憲法上の崇高な理念である。しかし、宗教団体が国家権力と対峙する局面と、宗教団体が私人(消費者)と向かい合う局面とを明確に区別して論じないと、同種悪徳商法を野放しにすることとなる。
信教の自由はいささかも悪徳商法を許容するものではない。宗教の名による悪徳商法を糾弾し、消費者被害を救済するに際していささかの妥協も怯みもあってはならない。「人を不幸にする自由はない」は、信教の自由の限界を端的に表現した名言として記憶されねばならない。
組織的な加害に対しては、個別的な被害救済だけではとうてい対応し得ない。とりわけ、この種の大規模事件においては、被害の拡大阻止ないし根絶も受任弁護士の責務となる。弁護団を結成し、集団で多面的な対応が必要である。世論へのアピールも欠かせない。1992年に結成された霊視商法対策弁護団は、憲法問題にも踏み込みつつ、刑事告訴、損害賠償訴訟、破産申立て、宗教法人法上の解散命令申立てなど考えられる限りの法的手続きを行い、被害救済と被害拡大阻止の両面で成功を収めた。「消費者事件」の間口の広さと奥行きの深さを象徴する事件であった。
[澤藤統一郎(弁護士)]
(2022年8月5日)
突然に、沖縄タイムスからのメールが入ってきた。「安倍元首相の国葬に関するアンケ―ト」への協力依頼だという。下記の説明文が付されている。
政府は、街頭演説中に銃撃され死去した安倍晋三元首相の国葬を9月に実施すると閣議決定しました。国葬に関する賛否と今回の銃撃事件について、みなさまのご意見をお聞かせください。締め切りは8月7日(日)とさせていただきます。なお、寄せられたご意見は、沖縄タイムスの紙面とウェブで掲載いたします。ご協力よろしくお願いいたします。
慎重にバイアスを避けた文章である。そして、設問は下記のとおり。
? 安倍元首相の国葬を実施することについて、賛否をお聞かせください。
□賛成
□どちらかと言えば賛成
□反対
□どちらかと言えば反対
□どちらとも言えない
? ?の理由を教えてください。
? 今回の銃撃事件について、あなたの率直な意見をお聞かせください。
? 安倍元首相の評価について、お聞かせください。
□評価する
□どちらかと言えば評価する
□評価しない
□どちらかと言えば評価しない
□どちらとも言えない
? ?の理由を教えてください。
?以下の設問は、回答者の属性を問うもので省略する。回答者の個人名も職業も聞いていない。個人の特定につながるような設問は一切ない。
ものを考えさせてくれるせっかくの機会。しかも産経からではなく沖縄タイムスからの「協力依頼」。私は、真面目に回答した。そのうちの記述部分についての回答を再現してみたい。送信したものより、少しふくらましたところもあるかも知れないが。
《問? あなたが国葬に反対する理由を教えてください》
国葬とは、国家が特定の死者への弔意を表明する儀式です。もとより、国家が弔意をもつはずはありませんから、国家は国民の総意に基づくとして弔意を表明することになります。しかし、この国民の総意はフィクションです。端的に言えば、ウソなのです。本来、葬儀は死者の近親者や知人が敬虔な弔意を献じる儀式ですが、それを超えて、一人の国民の死を国民全体が悼むなどということはあり得ません。
それを承知で、国葬とは国民の総意を騙ることといわざるを得ません。必ず国民の総意の僭称を不本意とする国民に対しては、弔意の強制を伴います。これは国民一人ひとりの精神の自由を保障した日本国憲法に違反するものと考えざるを得ません。ましてや、毀誉褒貶激しい安倍晋三元首相の国葬ではありませんか。過半の国民の思想・良心を踏みにじるもの。
また、安倍晋三元首相は、極端な右翼的政治思想の持ち主で、性急に改憲を事としてきた人物。政治を私物化してきた人物でもあります。言わば、最も国葬にふさわしからぬ人。そんな人の国葬は、安倍晋三の政治路線や姿勢を美化しようという思惑での、あからさまな政治家の死の政治利用というべきで、岸田首相の罪は重く、こんな前例をつくってはならないと考えます。
《問? 今回の銃撃事件について、あなたの率直な意見をお聞かせください》
いま巷には、「安倍晋三の死は自業自得」「岸信介以来安倍家三代にわたる統一教会との癒着・腐れ縁こそが、安倍を死に追いやった主原因」「銃撃犯は格差貧困の自己責任社会に反撃した。安倍晋三こそ、そのような社会を作った象徴的人物ではないか」という危うい言論が溢れています。ややもすると、安倍晋三がつくった矛盾に満ちた社会を変革するのに、面倒な民主主義的手続の尊重よりは、直接行動が効果的と言わんばかり。安倍晋三に対する否定的評価は当然としても、その銃撃を許容する社会の雰囲気を危険で警戒しなければならないと思います。
《問? あなたが安倍元首相を評価しない理由を教えてください》
安倍晋三こそは、無為無策無能の政治家。内政外交、政治姿勢において評価できるものは皆無。遺したものは、醜悪な忖度の政治文化と未解決不祥事オンパレードの負のレガシーのみ。
(2022年7月8日)
安倍晋三に対する銃撃と死亡の報に、この上ない衝撃を禁じえない。
暴力とはかくも易々と言論を蹂躙してしまう。民主主義とは、暴力の前にかくも脆弱な存在であるという現実を見せつけられての戦慄である。
何よりも警戒すべきは、模倣犯の出現であり、その連鎖である。
民主主義の基本は、言論対言論の対抗ルールである。これを生ぬるく面倒なものとして、短絡的に暴力に訴える風潮を許してはならない。政治信条の如何にかかわらず、言論に対する暴力の行使を厳しく排斥する大原則の重要性を再確認しなければならない。
私は、安倍晋三を唾棄すべき人物であり危険な存在として論難を続けてきた。当然のことながら、その姿勢を変えようとは思わない。しかし、私が非難の対象としたのは実は安倍晋三個人ではなく、安倍を中心とする反動的政治信条や、安倍を支持する政治勢力である。つきつめれば、国家主義や歴史修正主義や復古思想や、新自由主義や、著しく廉潔性を欠いた政治手法などとの論争であった。その論争は安倍晋三への暴力や死によって決着するものではない。
だから、安倍晋三個人に対する暴力は無意味なものであり、演説中の安倍晋三を銃撃するという野蛮をけっして許してはならない。同時に、安倍晋三の死をもって安倍の生前の所業を美化したり、安倍の負の遺産追求に手心があってもならない。日本中に轟いた「モリ・カケ・サクラ・クロ・カワイ」の悪名を忘れてはならない。
また、さらに警戒すべきは、参院選投票を直前にしてのこの事件の衝撃が、選挙結果に及ぼす影響である。本日の日本民主法律家協会の緊急声明のなかに、次の一節がある。
「本件の襲撃が、参議院選挙を間近に控えた中で現職の国会議員による街頭演説中になされたことは極めて問題であって、これは民主主義に対する重大な挑戦である。このような暴挙が市民や市民が選ぶ公職選挙候補者の言論活動を委縮させることがないように、私たちは最大の関心をもって注視し続けなければならない。」
関心は、「 このような暴挙が市民や市民が選ぶ公職選挙候補者の言論活動を委縮させてはならない」ということにある。本日の銃撃によって遮られたのは、直接には安倍晋三の演説であり、安倍晋三が応援していた自民党候補者の選挙活動である。これに萎縮や支障があってはならない。と同時に、その反対の野党陣営にも、この事件のもたらす衝撃や、死者に対する弔意の強制にもとづく選挙活動の萎縮があってはならない。
もとより、安倍晋三の死によって、安倍晋三や自民党が推進してきた数々の悪政や失政を清算させるようなことがあってはならない。安倍晋三に対する儀礼上の弔辞のノリで、あたかも彼が優れた業績を残した清廉で偉大な政治家であったなどという虚像を作りあげてはならない。これまで彼の悪行を追求してきた野党勢力の政治活動にも選挙活動にも、いささかの怯みも緩みもあってはならない。暴力から民主主義を擁護することの最大の意味はこの点にあることを特に強調しておきたい。
(2022年6月29日)
この人には人徳というものが備わっている。政敵との激論にあっても、ユーモアが漂っており、言うことに嫌みがない。他の人が言えばキツい表現や、高慢と思われかねない言葉も、この人が口にすれば、「フーン、そうなんだ」と思わせる。
日本共産党の比例代表・大門みきし候補は、街頭演説でこう言っているという。
「私は国会では経済論戦の第一人者と呼ばれています。国会に押し上げていただき22年、あの竹中平蔵さん(当時、経済財政担当相など歴任)を含めて、経済論戦では一度も負けたことがございません。再び国会に戻り、新自由主義の息の根を止めたい」
今はやりのファクトチェックをしておきたい。2020年10月23日毎日新聞記事「経済記者・一線リポート」がこう報道している。「竹中平蔵氏と分かり合った? 共産・大門実紀史氏とは」という見出し。「竹中平蔵とわたり合った」ではなく、「竹中平蔵氏と分かり合った?」というのがミソ。この議員ならではの「わかり合い」。
「国会きっての経済通として、霞が関や経済界に党派を超え、多くのファンを持つ国会議員がいる。共産党の大門実紀史(みきし)参院議員(64)だ。政府・日銀に鋭く切り込む質疑はSNSなどでもたびたび話題になっている。
2001年に繰り上げで初当選して以来、森喜朗政権から菅義偉政権まで九つの政権に論争を挑んできた。」
「《竹中平蔵氏と論争》 大門氏を一躍、有名にしたやり取りがある。
2001年11月、参院予算委員会。小泉純一郎首相(当時)の要請で民間から入閣し「構造改革」路線を推し進めていた竹中平蔵・経済財政担当相との質疑だ。
『あなたは経済学者ですよね。理論的に説明してください』
『先生は国会議員ですよね。国全体の経済がどうなるかトータルで示す必要があるでしょう』
構造改革に伴う雇用の不安定化などを追求する大門氏と、それに反論する竹中氏の論争は次第にヒートアップし、売り言葉に買い言葉のような答弁まで飛び出した。
『竹中さんと予算委員会で対面したのはこの日が初めて。新人議員がよくもこんなことを言ったなと思います』と、大門氏は当時を振り返る。
以来、竹中氏との国会質疑は50回を超えた。今でも小泉氏と竹中氏が主導した構造改革は『失敗だった』と評価は厳しいが、『竹中さんと巡り会わなければ、経済をこんなに勉強をすることもなかった』という。」
また、大門候補は麻生太郎をして、こう言わしめている。これも、この人ならではの「わかり合い」。
「簡単な話を難しくしゃべるなら上手な人が多いが、難しい話を簡単にしゃべるというのはなかなか頭がいる。改めて大門先生って頭がいい人なんだなと感心しながら聞いていました」(毎日)
その大門みきし候補の経済解説街頭演説である。耳をお貸しいただきたい。
「今の物価高の背景には、岸田政権が進める円安政策があります。始まりは安倍政権でした。日本銀行に世の中にある国の借金=国債を買わせ、かわりにお札を印刷させ、世にばらまく。そのお金が株式市場につぎ込まれ株価を引き上げました。大企業が持つ内部留保の多くが自分の会社や関連会社の株券。つまり、このアベノミクスの「異次元の金融緩和」は、大企業と株をたくさん持つ大金持ちをもうけさせる政策でした。
お金をいっぱい印刷し、世の中のドルに対して円の量が増え、1ドル=110円から今130円台と、円の価値がいま一気に下がっています。それが円安です。アメリカに1個1ドル=110円で物を売っていた輸出大企業は、何もせず差額の20円を手にし、空前の利益をあげています。
輸入物価は逆に20円を余分に払います。エネルギーや原油や小麦、食料が値上がり。輸入物価が上がれば世の中全体の物価が上がってしまいます。それが今私たちの暮らしを直撃しています。
そもそも日本銀行が国債をどんどん買い、国がどんどん借金できるようにする。タコが自分の足を食べているのと同じです。いずれ破綻が訪れます。自分の足を食うようなことを、安倍政権からずっとやっているわけです。ひと言、タコの名誉のために言っておきますが、タコが自分の足を食べるのは、網に引っかかってパニックになった時です。自公政権はわかって食べているからタチが悪い。
物価引き下げに一番有効なのは消費税の減税です。今、世界では90を超える国と地域で、国民の暮らしを守るために消費税の減税に踏み出しています。最低賃金の引き上げも重要です。新自由主義から『やさしく強い経済』へ、ご一緒に。」
(2022年6月8日)
来週の水曜日、6月15日に通常国会が閉幕する。そして、参院選公示となり、7月10日投開票となる。
有権者の関心事は、けっして憲法改正にはない。そしてコロナでもなくなった。主要な論争点の一つは、日本と世界の平和の構築をどうするかであり、もう一つは今急激に国民生活を襲いつつある物価高である。
再選の投開票まであと1か月、この間に高物価は全ての国民に厳しい生活苦を強いることになる。とりわけ、非正規労働者、フリーランス、年金生活者には深刻である。言うまでもなく、これは天変地異ではない。国民はあらためて、この10年におけるアベノミクスと名付けられた自公政権による経済政策の失敗を学ばざるを得ない。賃金は上がらず、家計は冷え込み、生産も分配も滞って、ひたすらに大企業と金持ちを優遇した減税に励み、その減税を原資とした庶民増税に邁進してきた今日の脆弱な日本経済ではないか。今日の格差と貧困の実態ではないか。
アベ政権も、その後継スガ政権も、アベノミクスの失敗を国民に批判され、目先を変えて岸田現政権となった。「分配重視」「金融所得課税」への言及はそれゆえである。ところが、今岸田は、完全に岸田色を失った。失敗したアベノミクス路線を何の成算も希望もなく、走り続けざるを得ない立場に追い込まれている。このアベ・スガ・キシダ、3代の経済政策の失敗故の生活苦が選挙の争点とならざるを得ない。
本日夕刻、立憲民主党が衆議院に内閣不信任案を提出した。「一貫して無為無策」な政府を追及するものだという。多くの国民の気持ちを代弁するものではないか。もとより、「ゆ党」や「悪党」といわれる連中の賛同は難しいと報道されており、「同調の動きは限定的で、否決される見通し」とされているが、この不信任案は、有権者の支持を得ることができると考えてよい。
毎日新聞によれば、同不信任案の理由は以下のとおりである。
「岸田内閣の『何もしない』ことを安全運転と呼んではばからない厚顔無恥な政権がこれ以上続くのは、日本のためにならない」「『岸田インフレ』は亡国の道である。首相が『令和版所得倍増』の代わりに『資産所得倍増プラン』を掲げたことを『投資信託のコマーシャル』のようで、今この日本で、どれだけの人が乏しい生活費の中から投資にまわす余力があるだろうか」
なお同時に、立憲は細田博之衆院議長に対する不信任決議案も衆院に提出した。
細田氏の不信任理由は、細田氏が衆院議長として「最も不適切な人物」であり、衆院小選挙区定数の「10増10減」に否定的な見解を繰り返し示したことなどを問題視。さらに週刊文春が5月19日発売号以降、女性記者らにセクハラ行為を繰り返していると報じたことについて「あってはならない疑惑」だとし、細田氏が報道を「事実無根」だと全面的に否定していることに関し、「説明責任を果たさない」と問題視したもの。
衆院は明日9日の本会議で不信任2案を審議・採決するが、有権者は各議院の賛否をよく見極めよう。
提出後、立憲の西村智奈美幹事長は記者団に「政治は国民の命と暮らしを守るためにある。岸田内閣はその責任を全く果たしていない」と語ったという。「平和」と「暮らし」、その両者が目前の参院選の争点となってきた。俄然、政権には大きな逆風である。
(2022年6月7日)
ロシアのウクライナ侵攻が始まったのが、2月24日。早くも3月上旬には各地の地方議会でロシア批判の決議が採択されている。多くは全会一致である。3月7日、神奈川県議会には「ロシアによるウクライナへの侵略に断固抗議する決議(案)」が自民党議員から上程され、同日全会一致で成立している。
3月24日には、横浜市議会が、これも自民党提案で「ロシアによるウクライナへの侵略を非難するとともに、国際紛争における武力行使の根絶を求める決議」が成立している。全会一致である。
そして同じ3月24日、横須賀市議会も、自民党提案による「ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議」を賛成多数で採択した。但し、全会一致ではない。
採択された同決議の全文が以下の通りである。
ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議
国際社会の懸命の努力にもかかわらず、2 月2 4 日にロシア軍はウクライナへの軍事侵攻を開始した。
これらは、ウクライナの主権及び領土の一体性を侵害するとともに国際法に違反する行為であり、断じて容認できるものではない。また、その影響はヨーロッパにとどまるものではなく、アジアを含む国際秩序を揺るがす重大な事態であり、横須賀市議会としても看過できるものではない。
政府においては、在留邦人の安全確保と避難民への支援に努めるとともに、国際社会と連携し、あらゆる外交手段を駆使して、ロシア軍の即時撤退と速やかな平和の実現に全力を尽くすことが求められる。
よって、横須賀市議会は、ロシアによるウクライナ侵攻に対し厳重に抗議し強く非難するとともに、ロシア軍が即時に完全かつ無条件で撤退するよう強く求める。
以上、決議する。
この決議に二人の議員が反対にまわった。二人とも右翼でも右派でもない。無所属の市民運動派である。平和運動へのこだわり故の反対ということのようだ。この間の事情が、先頃届いた《非核市民宣言運動・ヨコスカ/ヨコスカ平和船団》からの「たより 330」(発行5月13日)に窺える。
3月・月例デモ出発前集会
ロシアのウクライナ軍事侵攻抗議
私たちの反戦も問われている
という見出し。「ロシアのウクライナ軍事侵攻抗議」は分かり易いが、「私たちの反戦も問われている」は、「何がどう問われている」というのか、けっして分かり易いものではない。それでも、みんな真剣に考えている大きな問題点なのだ。
新倉裕史(月例デモ・リーダー) コロナ感染対策で、1月、2月、月例デモを休みました。口シアによるウクライナヘの軍事侵攻は今も続いていて、反戦の声を上げようと、今月は月例デモの実施に踏み切りました。感染は収まっていないので、総監部前とゲート前での兵士への放送はありますが、商店街はサイレントです。
ロシアの軍事侵攻には抗議の声を上げますが、ウクライナ頑張れが、自分の国は自分で守る、そのためには軍事力も必要だという声も生まれています。私たちの反戦が問われています。ぜひご意見を。
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市川平(平和船団) ロシアは、ウクライナヘの軍事侵攻以前にも、1990年から 2000年にかけては、チェチェンの独立を弾圧しています。2008年にグルジア、今はジョージアと呼ばれていますが、ここに軍事侵攻し、2014年にはケリミア地域への攻撃とロシアヘの編入。その後も、2015年にはシリアヘの軍事介入と、アメリカと同様に、周辺の国々への軍事侵攻をしてきました。
今、バイデン大統領はプーチン大統領を戦争犯罪人と言いますが、アメリカも同じようなことを繰り返してきている。だから、そんなふうに言う資格はありません。
私たちはこうした大国による軍事侵攻を、どう食い止め ることができるのか。昔、ペンは武器より強し、といいましたが、今はSSNの活用で、個人が世界に向けて情報を発信できる時代です。この「ペン」を大いにに活用して、反戦の発信をしていきましょう。
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新倉 ロシアの武力による現状変更は、今に始まったことではないという指摘ですが、そのことはしっかりと認識したいと思います。その上で「ロシア許すな!」がナショナリズムを刺激し、反戦が翼賛化したり、軍事化したりする傾向も無視できません。
横須賀市議会で、ロシア抗議の意見書が賛成多数で採決されました。本会議で二人の議員が、この意見書に反対しました。そのお一人、小室たかえ市議がいらしていますので、経過の報告をお願いします。
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小室たかえ(市議会議員) 先日木曜日が、横須賀市議 会定例会の最終日でした。《口シアによるウクライナ侵攻に抗議する》という決議案が、当日の午前中の議運に自民党から提出されました。私は会派に入っておりませんので議運に席がありません。オンラインで傍聴していましたが、そのときには内容までは確認できませんでした。
ロシアがウクライナに軍事侵攻したこと自体は、本当に許されないことだと思いますが、今朝提出された決議文を、その日の午後に、賛成か反対かというのは、内容が内容だけに、とまどいました。
決議文のなかに、あらゆる外交手段をという文言がありました。あらゆるのなかに武力が含まれるのか、含まれないのか。武力も外交手段という言い方もありますし、そんなことを考えると、私はこれにはそう簡単には賛成できないなと、迷いました。
多くの人が、抗議決議当然でしょという中にあって、賛成できないというのは、正直怖いなという思いもありました。
そんなふうに思っていたところ、小林(伸行)議員が反対討論をしました。その内容は、私が悶々としていた内容といっしょでしたので、小林議員が反対討論を終えて議席に戻ってきたところで、わたしも同感ですと伝え、採決のときには40人中38名が起立をして賛成。私たち二人だけが着席したまま、反対の意思を表明した、ということです。
私の今日の話はつたないものですが、近くホームページに自分の考えをちゃんと載せるつもりです。ありがとうございます。
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新倉 小林議員の反対討論をネットの中継録画で聞きました。小林さんも、ロシアがしているとはとんでもなくひどいことで、一刻も早い停戦を求めるのは当然のごととしたうえで、問答無用の「正義」が振りかざされていることへの、抵抗としての反対討論だったと思います。お二人の反対票は、重要な視点を私たちに与えてくれていると思います。
市民派議員二人から投じられた《ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議》への反対票は、もちろんロシアによるウクライナ侵攻を免罪しようというものではない。反対票を投じた議員の1人は、「決議文のなかの《あらゆる外交手段を》という文言が武力を含のか含まれないのか。この点が曖昧では簡単には賛成できない」という。
そして、運動体の側は、この反対票を《問答無用の「正義」が振りかざされていることへの抵抗》であり、《「ロシア許すな!」がナショナリズムを刺激し、反戦が翼賛化したり、軍事化したりする傾向への警戒》と評価する。
まだ十分に咀嚼されていないが、重要な問題提起をしているように思う。
(2022年6月3日)
昨日、日本維新の会が夏の参院選に向けたポスターを発表した。「改革。そして成長」をスローガンに掲げ、松井一郎と吉村洋文の写真を並べた。
維新の関係者によると、スローガンには当初「決断そして実行」を掲げる予定で調整していた。ところが自民党が1日、岸田文雄首相の写真に「決断と実行」と大書した参院選ポスターを発表。かぶりを避けるために、急遽変更したという。いったい、この事態をどう理解すればよいのだろうか。
維新の所業についての情報は宮武嶺の下記ブログが最も詳細で信頼できる。そして、宮武の歯に衣きせぬ対維新評価は常に私の感覚に近い。「維新の悪党ぶりは宮武嶺に聞け」というのが私の確信である。
https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/9a183ef7ac9955068fd87659e7285bf2
本日の宮武嶺ブログが、案の定立派なものだ。その一部を引用させていただく。
「自民党とそっくりの選挙ポスターを作ったマヌケな維新の会の松井一郎代表(笑)。ろくに決断も実行もしない岸ダメ政権と、ろくな決断と実行をしない日本イソジンの会だと、丙丁つけがたい(笑笑)
冒頭の画像は、参院選に向けて日本維新の会が用意していたポスターと自民党のポスター。自民党が先に発表したのを見たら、自分たちのとクリソツ(「決断と実行」と「決断そして実行」)なので維新はびっくり!(笑)
そりゃ、「野党でもユ党でもなく悪党」の維新の会は、特に安倍・菅政権のころは自民党と一心同体でしたから、こういうことも起こります(笑)。
そしてあわてて、作り直したというのですが、2文字のそれらしい熟語ならもうなんでもいいというwww
新自由主義政党なので、「分配」だけは絶対入れないwww
それにしても、日本維新の会の参院選向け公約の右傾化ぶりは自民党を超えていまして、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえると称して、自民党の「反撃能力」そっくりの、国民を守れる「積極防衛能力」を整備すると言い出し、「中距離ミサイルや軍事用ドローンをはじめとする新たな装備を拡充する」というんですよ。
【#維新は日本一の悪党】日本維新の会が岸田政権に「核共有」の議論を求める提言。防衛費をGDP2%に倍増することも要求。無能な維新は余計な事は考えずコロナ死者最多の大阪の問題に取り組め。
しかも、国民の人権を制限する緊急事態条項は憲法に創設、防衛費は国内総生産(GDP)比2%への倍増、憲法9条に自衛隊を明記。そのうえ、米国の核兵器を日本に配備し運用する「核共有」政策を含めた拡大抑止の議論を日米間で開始するとしていて、自民党さえためらった核共有検討を堂々と入れています。
まさに、日本に必要ない有害政党、それが日本維新の会と言えるでしょう。
安倍元首相と橋下徹氏の「核共有」構想は非核三原則違反であるばかりか、憲法にもNPT条約にも原子力基本法にも反する違法行為。ところが松井一郎代表が「非核三原則は昭和の価値観」と言い出した(笑)。
それにしても、日本維新の会って毎回公約が行き当たりばったりの思い付きですし、だいたいが自民党のパクリですよね。
そして、常に自民党よりちょっと言い過ぎてみるという、ほんとに政界の害虫みたいな存在です。」
維新を「野党」でも「ゆ党」でもない、その反憲法的な姿勢は「悪党」であるというのは、言い得て妙である。維新を自民の補完勢力と位置づけるのは、今や正しくない。その独自の「反憲法的」「反人権的」「反民主的」姿勢は、「政界の害虫みたいな存在」というべきであろう。
宮武嶺のますますの健筆を期待したい。
(2022年6月2日)
日本民主法律家協会の機関誌『法と民主主義』(略称「法民」)か好調である。
「法民」は、日民協の活動の基幹となる月刊の法律雑誌。(2/3月号と8/9月号は合併号なので発行は年10回)。
毎月、編集委員会を開き、全て会員の手で作っている。憲法、司法、原発、天皇制など、情勢に即応したテーマで、法理論と法律家運動の実践を結合した内容を発信し、法律家だけでなく、広くジャーナリストや市民の方々からもご好評をいただいている。
定期購読も、1冊からのご購入も可能である。お申し込みは、下記からお願いしたい。(1冊1000円)。
お申し込みは、下記URLから。
https://www.jdla.jp/houmin/form.html
とりわけ、本年2月ロシアのウライ侵攻以来の改憲世論に抗しての護憲の論調の堅持は、貴重な役割を担うものとなっている。最近の特集記事は、以下のとおり。
「法と民主主義2022年2・3月号」【566号】
●特集『最高裁裁判官国民審査』
「法と民主主義2022年4月号」【567号】
●特集『公害弁連発足50周年記念集会 「被害者とともに50年」』
― 公害弁連の闘いの継承と未来への展望 ―
法と民主主義2022年5月号【568号】
特集●ロシアのウクライナ侵略に抗議する ― 9条徹底の立場から
そして、このほど発売の「法と民主主義2022年6月号【569号】の特集記事が、特集●「全国で広がる憲法運動」である。目次は以下のとおり。
◆特集にあたって … 編集委員会・飯島滋明
◆5月3日にみんなで日本国憲法を読む会/
十勝平和市民の会
◆医療9条の会・北海道
◆道南地域平和運動フォーラム
◆宮古・下閉伊地域の戦争を記録する会
◆マスコミ・文化 九条の会 所沢
◆安保法制に反対するママの会@ちば
◆さつきが丘9条の会
◆調布九条の会「憲法ひろば」
◆市民連合 めぐろ・せたがや
◆新宿平和のための戦争展実行委員会
◆本郷湯島九条の会
◆宗教者九条の和/
平和をつくり出す宗教者ネット
◆明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)
◆戦争させない・9条壊すな!
総がかり行動実行委員会 青年PT
◆本牧・山手九条の会
◆おだわら・九条の会
◆戦争しない・させない・
平和がいい市民の会(ピースアクションうえだ)
◆不戦へのネットワーク
◆西農憲法集会/9条の会・おおがき
◆みえ市民連合連絡会
◆岡山での憲法運動
◆ピースリンク広島・呉・岩国
◆山口での憲法運動
◆平和といのちをみつめる会
◆長崎県平和運動センター
◆平和憲法を守る会・大分
◆佐賀県平和運動センター
◆鹿児島県護憲平和フォーラム
◆宮古島での憲法運動
◆石垣島での憲法運動
◆特別掲載
インタビュー・参院選で平和を守る勢力の前進を 困難乗り越え「統一」を … 中野晃一
◆連続企画・学術会議問題を考える〈6〉
書評『学問と政治 ── 学術会議任命拒否問題とは何か』 … 藤谷道夫
◆連続企画・憲法9条実現のために(38)
「9条改憲の流れを絶て! 自民党改憲を許さないキックオフ院内集会」より
講演・改憲論議の作法と9条擁護の理由 … 愛敬浩二
◆司法をめぐる動き〈74〉
・「女たちの安保法制違憲訴訟」 ── 東京地裁が見せた異常な訴訟指揮と判決 … 中野麻美
・4月の動き … 司法制度委員会
◆判決ホットレポート
表現の自由をまもる歴史的な札幌地裁判決 ── 道警ヤジ排除訴訟 … 神保大地
◆メディアウオッチ2022●《「憲法」をどうするのか》
ここで世論を作り直そう メディアは「第三者」ではない … 丸山重威
◆改憲動向レポート〈№41〉
5月3日憲法記念日にむけての各党の談話・アピール等を中心に … 飯島滋明
◆インフォメーション
『日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案』(公選法並び3項目改正案)の
拙速な審議採決に反対する法律家団体の声明
◆時評●平和的生存権と予防外交 … 大脇雅子
◆ひろば●改憲問題対策法律家6団体連絡会の近時の活動 … 辻田 航
今だからこその特集であ。ぜひ、ご購読をお願いしたい。