澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

今日はデモ、明日は学習会。

本日(11月21日)夕刻は、特定秘密保護法の廃案を求める日比谷野音の集会とデモ。私も万余の群衆のひとりとして、シュプレヒコールを叫んだ。
  秘密法ハンターイ
  国民の知る権利を守れ
  報道の自由を侵害するな
  戦争準備の秘密法ハンターイ
この声よ、国会に届け。
安倍晋三の耳に突き刺され。

国会までのデモ行進は、解散地点で10時を過ぎていた。
各院の議員面会所に、共産・社民の議員が勢揃いしていた。「負けずに頑張る」と意気軒昂だった。国会の議席数では少数でも、世論の支持は廃案を求める側にある。

本日のデモでは少々疲れたが、明日は文京革新懇の「特定秘密保護法案・緊急学習会」。実は私が講師を務める。幸い、会場のキャパには十分な余裕があるようだ。もし、時間がゆるせば、是非とも話を聞いていただきたい。そして、ご意見も聞かせて欲しい。時間と場所は以下のとおり。
  11月22日(金)午後6時半?
  文京区民センター3A

なお、その報告のレジメの冒頭部分を紹介しておきたい。
第1 特定秘密保護法案を見る基本視点(政治的背景と憲法的視点)
☆ この法案は、安倍政権下での改憲諸策動のセットのひとつであること。
  明文改憲(「自民党改憲草案」)・96条先行改憲・集団的自衛権行使容認・国家安全保障基本法・国家安全保障会議(NSC)設置法・防衛大綱見直し・日米ガイドライン見直し…。
☆ 米国の要請に基づく、日米共同軍事行動に必要なものとされていること。
  ⇒「専守防衛のタテマエ」を取り払って、「国外で、米国とともに、戦争のできる体制」をつくるためのもの。
☆ この法案には法律事実(刑罰の制裁をもって、国民の行動を制約しなければならない根拠としての事実)が欠けていること。
☆ この法案が日本国憲法の基本理念に真っ向から反するものであること。
  「稀代の悪法」として、歴史を変えかねないものですらあること。
☆ 憲法改悪阻止国民運動のシミュレーションの側面を持つもの。
第2 キーワードは「知る権利の侵害」である。
☆ 民主々義とは、主権者である国民が討議によって政策を形成する過程である。
☆ その討議が成立するためには主権者の一人ひとりが自分の意見を持たねばならないが、その意見は「情報」によって形成され、左右される。
☆ だから、民主々義政治過程の出発点において、主権者である国民が正確な情報に接しこれを把握する権利(「知る権利」)が不可欠であり、保障されなければならない。(憲法21条「表現の自由」は、国民の「知る権利」に奉仕するもの)
☆ 国(政府)は国民の「知る権利」を妨害してはならない(表現の自由・検閲の禁止)。むしろ、国は行政に関する情報を国民に積極的に開示しなければならない(「行政の透明性の確保」「情報公開の促進」「行政の説明責任」)。
  国民のプライバシーは守られねばならず、国家の秘密は暴かれねばならない
☆ 国がもつ国政に関する情報は国民のものであって、主権者である国民に秘匿することは、行政の背信行為であり、民主々義の政治過程そのものを侵害する行為として、原理的に許されない。これでは議会制民主々義が危うくなる。
  裁判所への秘匿は、刑事事件における弁護権を侵害する。人権が危うくなる。
☆ 「何が秘密かはヒミツ」では、時の政府に不都合な情報はすべて特定秘密として、隠蔽できる。国民はこれを検証する手段をもたない。
☆ 法案の基本思想は「国民はひたすら政府を信頼しておけばよい」というもの。これは民主々義・立憲主義ではない。いかなる政府も、猜疑の目で監視しなければならない。とりわけ、危険な安倍政権を信頼してはならない。
☆ 限られた例外として、秘匿が許される情報とは何か。
 ・その秘匿が違憲違法にならないことが確認できること。
 ・その秘匿が国民の権利・利益を侵害することがないと確認できるもの。
 ・その秘匿が政策形成に影響を及ぼすことがないと確認できるもの。
第3 国家によって国民の「知る権利」が侵害されたら、憲法理念は危うくなる。
☆ 情報操作(恣意的な情報秘匿と開示)は、民意の操作として、時の権力の「魔法の杖」である。
  満州事変・大本営発表・松川事件「諏訪メモ」・トンキン湾事件・沖縄密約…
☆ 秘密法制自身が、原理的に国民主権原理と相容れず、民主々義を侵害するものである。しかも、この形で傷つけられた民主々義は恢復の力を失いかねない。
☆ 人権の侵害をもたらす。
 直接には「表現の自由=憲法21条」の侵害(表現の自由は、広く「情報流通における情報受領を妨害されない自由」を含む)だが、秘密保護の縛りは国民生活の隅々まで圧迫する。
☆ 平和主義を損なうことになる。
  この法案は軍事立法である。戦前の軍機保護法、国防保安法の一部復活。やがては治安維持法も…。
  (「戦争は秘密から始まる」「戦争は軍機の保護とともにやって来る」)

以上の一節に、「特定秘密保護法反対運動は、憲法改悪阻止国民運動のシミュレーション(予行演習)の側面を持つ」とした。はからずも、「改憲勢力」(自公・維新・みんな)対「護憲勢力」(共・社そして市民運動)の対決の構図ができあがった。まともなジャーナリストや日弁連は、明確に護憲の側に立っている。

この壮大な国民運動の貴重な経験を是非とも成功させたい。次のさらなる大きな運動につなげていきたいものと思う。
(2013年11月21日)

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Published in 木曜日, 11月 21st, 2013, at 23:59, and filed under 未分類.

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