澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

これが安倍自民の本性ー自民党「防衛大綱」見直し提言案

自民党のホームページにはまったく掲載されていないが、各紙の報道を総合すると、自民党は5月17日、党本部で国防部会・安全保障調査会の合同会議を開き、「防衛計画の大綱」に対する提言の骨子案を提示した。政府が新たに策定する長期的な防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」に対する提言の案という性格のもので、党内の反応を確認して月内にも正式決定として、6月の防衛省の「見直し・中間報告」に間に合わせるという。

「防衛計画の大綱」は最も重要な軍事政策の基本指針である。安全保障会議を経て閣議で決定される。最初の大綱は1976年に決定され、95年、04年、10年と改定されたが、安倍内閣発足直後の13年1月25日、2010年大綱を凍結して新大綱の策定を目指すこととし現在5回目の見直し作業中。

産経が次のように絶賛していることからも、危険極まりないことが理解できよう。

「防衛計画の大綱」改定に向けた自民党の提言案は戦後、過度に抑制してきた防衛政策を根本的に見直す内容が網羅されているといって過言ではない。集団的自衛権行使や憲法改正に踏み込み、安倍カラーを前面に掲げることで今夏の参院選の「旗印」と位置づける。

産経が紹介する内容を項目として挙げると、
・自主憲法制定(集団的自衛権、国防軍の設置)
・国家安全保障基本法の制定(集団的自衛権の確認、防衛産業の育成、武器輸出を規定)
・日本版NSC(官邸機能強化、軍事専門家の配置)
・国防の基本方針の見直し
・防衛省改革
【大綱の基本的考え方】
・新たな防衛力の構築として「動的機動防衛力」
・「強靱(きょうじん)な防衛力」なども検討
【国民の生命、財産、領土、領海、領空を断固として守り抜く態勢の強化】
・隙間のない事態対応(警察や海上保安庁など関係省庁との連携強化、領域警備などの法的枠組みの検討、「マイナー自衛権」の検討、自衛隊の権限行使に関するポジリスト的な考え方からの脱却)
・統合運用態勢の強化
・警戒監視、情報収集機能の強化
・島嶼(とうしょ)防衛態勢の強化(海兵隊的機能の整備)
・輸送能力の強化
・核、弾道ミサイル攻撃への対応能力の強化(効果的で効率的なミサイル防衛の運用態勢の構築、早期警戒情報を含む情報共有体制の強化、核抑止戦略の調査研究)
・テロ、ゲリラへの実効的な対処(原子力発電所の警備・防護)
・邦人保護、在外邦人輸送能力の強化(陸上輸送と武器使用権限)
・災害対処能力の強化(南海トラフ巨大地震や首都直下型地震などの対応検討)
・情報機能の強化
・サイバー攻撃に関する国際協力の推進、対処能力の強化、法的基盤の整備
・安全保障分野での宇宙開発利用の推進
・無人機、ロボットの研究開発の推進
【日米安保体制】
・日米安保体制の深化
・集団的自衛権の行使に関する検討の加速化
・日米防衛協力強化のためのガイドライン見直し
・日米の適切な役割分担下での敵基地攻撃能力の保有
・平素から緊急事態に至るまで隙間のない協力強化(共同警戒監視、共同訓練、共同使用、指揮統制機能の連携強化)
・在沖縄米軍基地の整理、統合、縮小の推進
【国際および日本周辺の環境安定化活動の強化】
・豪、韓、印、ASEAN諸国などとの戦略的安保協力、国際協力活動の推進
・大局的観点からの中国との安保関係の推進、海上連絡メカニズムの構築
・国際平和協力のための一般法の制定
・国際平和協力活動の取り組み強化(武器使用権限)
・能力構築支援の強化
・ジブチ基地の機能拡充
【大幅な防衛力の拡充】
・自衛隊の人員、装備、予算の大幅拡充
・中長期的な財源確保
・統合運用ニーズを踏まえた中長期的視点に立った防衛力整備
【防衛力の能力発揮のための基盤の強化】
・防衛生産、技術基盤の維持、強化
・安全保障の強化に資する輸出管理政策の構築
・効率的、効果的、厳正な調達制度の確立
・中長期的な最先端の防衛装備品の研究開発の推進

なるほど、確かに網羅的ではある。
各紙が特に懸念しているのは、自衛隊に「海兵隊的機能」を付与するということ。水陸両用車や垂直離着陸機オスプレイを配備した「水陸両用部隊」の創設が提案されている。赤旗の表現を引用すれば、「他国への侵略=“殴りこみ”を主任務とする米海兵隊をモデルにした「海兵隊的機能」は自衛隊の侵略的変質をもたらす」。

提言案は、「具体的な提言」の冒頭に「自主憲法制定と『国防軍』の設置」を明記。集団的自衛権の行使などを盛り込んだ「国家安全保障基本法の制定」を示し、憲法9条改悪と一体の内容になっています。その上で、巡航ミサイルなどを念頭に、“敵基地攻撃能力”の保持について「検討を開始し、速やかに結論を得る」と明記しました。また、▽陸上自衛隊「陸上総隊」の創設▽自衛隊の定員拡充▽軍事費増額▽海外派兵恒久法▽武器輸出の促進▽普天間基地の辺野古「移設」▽国家安全保障会議(NSC)創設と併せた「秘密保護法」制定―なども示しています(以上赤旗)。

これが安倍カラーだ。これが安倍自民の本性なのだ。アベノミクスで浮かれている場合じゃない。長嶋・松井の国民栄誉賞で欺されてはならない。96条での譲歩の姿勢を柔軟と見誤ってはならない。飽くまで改憲と国防軍創設、そして集団的自衛権容認が、その狙いなのだ。油断をしてはならない。

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 『国際子ども図書館』
上野の山の国立博物館と東京芸術大学の間の道路に面した、少々わかりづらい、静かな、人通りのない場所に「子ども図書館」はある。3階建ての四角い堂々とした外観で、クリーム色と白を基調にした、装飾的で美しいレンガ造りの建物だ。縦長の窓は飾りのついた破風で囲まれ、壁面も彫刻が施されている。直線的なガラスに囲まれて屹立する現代のビルディングを見なれた目には、贅沢と余裕に映る。
 もとはこの建物は、1906年に、明治政府が威信をかけて、東洋一、いな、世界一をめざして建設に着手した「帝国図書館」だ。はじめ計画は「ロの字型」の設計だったけれど、お定まりのとおり「文は武より弱く」、日清・日露戦争などの軍費に圧迫されて、建物の4分の一の南面だけの建設で終わってしまった「未完の図書館」なのだ。今は改装されて、そんな不完全さを感じさせない、なかなか魅力的なルネサンス様式の西洋建築だ。
 戦後、永田町に国立国会図書館が設置されると、国立図書館としての機能はそちらに移り、その支部の上野図書館となった。現在の瀟洒な姿は、2000年に児童専門の国立国会図書館「国際子ども図書館」としてリニューアルされた結果である。
 「子ども」の名にふさわしく、明るく清潔で、広々として、おとぎの国の子ども部屋はこんなだろうかと思わせる。1階の「子どものへや」は円形で、丸くカーブした本棚にたくさんの絵本や読み物が並べてある。大人だって退屈しない。3階は天井高10メートルもあり、白の漆喰の壁には彫刻がほどこされ、シャンデリアが下がっている。「子ども宮殿」だ。ベランダに出れば、樹齢50年は下らないうっそうたる樹海が目に入る。すばらしい。
 けれどもなんだか静かで寂しい。広さの割に子どもがいないからだ。町の図書館と違って、なんだかよそ行きで、澄ました感じがするからか。場所を考えると、大人の付き添いがなくては子どもは来ることが出来ないからだろうか。文化的を絵に描くとこんなになるのかなと思う。「国際」というからには、外国からの見学もあるのだろう。日本の子どもはみんなこんな図書館で本を読んでいるのだと、大間違いして帰るのかしら。
 こんな図書館が身近な町のあちこちにあって、保育園や児童館が併設されていたらどんなにいいだろうか。戦闘機も軍艦もみんなやめて、こんな図書館や保育園をポストの数ほど作ればいい。
 休館日は月曜日と国民の祝日・休日。今度、暇な日があったら、一人でも、友人とでも、家族連れでも、行ってみてください。大人も子どもも入場無料。飽きたら、動物園でパンダとゴリラの赤ちゃんが待ってます。こちらは有料。
 ただし残念なことが一つ。この図書館には「図書館の自由宣言」の掲示がない。事務員さん(ここは司書さんを採用するのではないそうだ)に話すと、「採用されてから司書の勉強はするので知っています」とのこと。「外に掲示してなくとも、胸にしっかり納めておいてください」とお願いすると、笑って了解してくれました。

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Published in 日曜日, 5月 19th, 2013, at 23:08, and filed under 未分類.

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