澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

沖縄知事選の結果は安倍政権「終わりの始まり」となる予想

来週の日曜日(16日)が沖縄県知事選・那覇市長選の投票日。安倍政権の「終わりの始まり」を象徴する結果となる様相だ。闘いは勢いのある陣営が味方の数を増やしていく。今回の知事選は、勢いの差が歴然としつつある。

知事も市長も、一地方の権力である。住民の一部に、「勝ち馬に乗り遅れてはならなない」との思惑が働かないはずはない。安倍政権が推す仲井真陣営にくっついていたのでは、実利実益は期待し得ないのだ。公明党の知事選自主投票は、事態をよく物語っている。

共同通信社が7・8両日の知事選世論調査を行い、その結果による情勢が報道されている。「翁長雄志がリードし、仲井真弘多が追う展開」「2割が投票先を決めておらず、情勢が変化する可能性もある」という結論だが、仔細に読めば両候補の勢いに大差あることが示唆されている。

「翁長は共産、社民両党と、沖縄社会大衆党の支持層の9割超を固めた」「無党派層の5割超に浸透。自主投票の公明党支持層からも4割弱の支持を得た」という。これに対して、「仲井真は自民党支持層の5割超を固めたが、公明党支持層は3割、無党派層でも2割弱と浸透し切れていない」「また、自民党支持層の3割弱が翁長氏に流れている」という。

しかも、「最大の争点として、6割超が米軍普天間飛行場の辺野古移設問題と回答。賛否では6割超が『反対』『どちらかといえば反対』と答え、『賛成』『どちらかといえば賛成」は3割だった」との県民意識である。これからの一週間に何が起こるかは分からないが、今のままなら勝負あったというところ。

また、沖縄タイムスが、同日、朝日、琉球朝日放送と合同で情勢調査を実施し、「中盤情勢」を報告している。共同の調査と同様に、「翁長が優位に立ち、仲井真が追っている」という報道。
「翁長は幅広い年代から支持されており、全体の7割を占める無党派層にも浸透している。支援を受けている社民、社大、共産支持者を固め、自主投票の民主も大半が支持している」「仲井真氏は推薦を受けた自民の支持者の約8割を固めた。年代別では20?40代で一定の支持を集めている。無党派層で引き離されている」「 自主投票の公明支持層は、翁長氏と仲井真氏に割れている」

琉球新報社の11月1・2日調査では、宮古だけは、「仲井真、下地が競り合い、翁長が後を追う展開」とされていたが、今回調査ではこのような報道はない。

なお、新報調査の注目すべきは、争点についてのもの。
「知事選で最大の争点となる米軍普天間飛行場の移設問題では、現行計画通り『名護市辺野古へ移設すべきだ』と答えた人の割合が15・1%にとどまった。『国外移設』は28・7%、『沖縄県以外の国内移設』(県外移設)は22・8%、『無条件の閉鎖・撤去』は22・3%で、県内移設反対は73・8%に上る」という報道。これが沖縄の世論なのだ。

もっとも、現地からの発信では、次のような厳しい見方もある。楽観論は禁物のようだ。
「県民との約束を破って辺野古の埋め立てを承認してしまった現知事と、辺野古の基地建設を認めない県民の悲願を達成するために生まれた、初のオール沖縄の候補。当初、この勝負は闘うまでもないと思えた。ところが、先週の地元紙の調査ではその差は10ポイント程度という予想外の結果が出た。翁長候補ならダブルスコアで勝てるはずだという初期の強気な読みは、どうやら楽観論に過ぎたようだ。」(映像作家・三上智恵)
 
安倍政権の危機感も相当なもの。8日にはテコ入れのために、菅義偉官房長官が沖縄入りしている。9日は小泉進次郎が沖縄入りの予定。菅は、仲井真陣営が開催した経済界の集会で、「安倍政権は基地負担軽減を一つ一つ必ず実現する」と表明。「官房長官が地方選挙の応援に入るのは異例で、仲井真氏にてこ入れする政権の姿勢を鮮明にした」(時事)と報じられている。なお、赤旗によると、菅は8日の仲井真陣営の集会で、翁長候補に触れて、「『オール沖縄』というが、ふたを開けてみると共産党中心の革新候補じゃないか」と発言したという。さすが安倍政権の番頭。今の時代に、反共攻撃はまだ有効とのアタマなのだ。

さて、小泉進次郎は沖縄で何を語るのだろうか。先の見えた安倍一族との心中を望むはずもない、若い世代の保守が沖縄で語る内容に注目したい。
(2014年11月9日)

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