澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

次回法廷は明後日(11月12日・水曜日)午前10時?「DHCスラップ訴訟」を許さない・第28弾

私が被告となっているDHCスラップ訴訟次回口頭弁論期日の日程が明後日になりました。念のため、確認のご連絡です。
  11月12日(水)午前10時?   口頭弁論
  法廷は東京地裁631号(霞ヶ関の裁判所庁舎6階南側)。

  同日10時30分?   報告集会
  場所は第一東京弁護士会講堂(弁護士会館12階)
  (法廷も集会も、いつもと違いますので、お間違えなく)

今回の法廷では、今後の審理の方向が決まると思われます。方向というのは、証拠調べ手続きに期日の回数を重ねなければならない訴訟になるか。証拠調べは比較的簡単に済ませるものになるか、です。その意味では、重大な期日になるかも知れません。

報告集会では、口頭弁論期日での裁判所の姿勢を踏まえて、今後の進行についての意見交換をしたいと思います。

そして、今回の報告集会では、スラップ訴訟の苦い被害経験と貴重な完全勝利の経験の両者をお持ちのフリージャーナリスト三宅勝久さんに貴重なお話しを伺うことにいたします。

三宅さんは、「週刊金曜日」に書いた記事によって、あの武富士から5500万円のスラップ訴訟を提起されました。しかもその請求金額は、審理の途中から倍の1億1000万円に増額されたのです。この裁判の苦労たるやたいへんなもの。貴重な時間と労力と、そして訴訟にかかる費用の凄まじさ。三宅さんは、財力ある者が金に飽かせて不当訴訟を浴びせることで生じる苦痛の生き証人というべきでしよう。

しかし、幸いにして三宅さんは完全勝訴をします。被告とされた事件の勝訴だけでなく、武富士の提訴を不法行為とする攻守ところを変えた訴訟でも勝訴します。その経過を通じての苦労だけでなく、スラップ訴訟対応のノウハウも、スラップ防止の制度をどう作るべきかご意見も伺いたいところです。期待いたしましょう。

なお、別件のご報告です。
私と同じ弁護士ブロガーで、私と同様にDHC・吉田への8億円拠出をブログで批判して、私と同じ日(本年4月16日)にDHCと吉田から名誉毀損損害賠償請求の提訴を受けた人がいます。提訴の請求金額は2000万円。当初の私に対する請求金額と同額です。その方の係属部は東京地裁民事第30部。そして、その人の場合は、「サクサクと審理を進め、早期に勝訴判決を獲得」という方針で、10月16日に早くも結審しました。結審3か月後の15年1月15日に判決言い渡しが予定となっています。

本件のごときスラップ訴訟で原告の請求が認容されることは、万に一つもあり得ないところですが、問題は勝ち方。ここはきっちりと勝たねばなりません。こだわる勝ち方というのは、名誉毀損のパターンには「事実摘示型」と「論評型」との2類型ががありますが、その「論評型」の典型として勝ちたいのです。

名誉毀損訴訟は、原告の「人格権(名誉権)」と被告の「言論の自由」という、それぞれが有する憲法価値が角逐します。裁判所はどちらかに軍配を上げなければなりません。当然のことながら、名誉権にも言論の内容にも軽重があり、局面ごとにこの両者を調整する視点も変わってきます。「事実摘示型」では、主として原告が「社会に知られたくない事実」を曝露する言論についての裁判所の判断枠組みです。その場合は、原則違法で、(1)当該の言論が公共に係るもので、(2)もっぱら公益をはかる目的でなされ、(3)かつその内容が真実、あるいは表現者が真実であると信じるについて相当の理由がある場合には、違法性が阻却されて、言論の自由が勝つという構造になります。真実性や真実相当性の立証に、被告は汗をかかなければなりません。

これに対して、「論評型」では、言論の自由の側からものを見て、真実性や真実相当性が問題となる余地はなく、「人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱」していない限りは違法性がないことになります。政治的言論、しかも「政治とカネ」のテーマについて、縦横に批判の自由が認められないはずがありません。

前回以後の書面の交換は、このような意見の応酬となっています。本件を「公正な論評」の典型事例として、最大限に政治的言論の自由を認める、きっちりした勝訴判決を得たいと思います。是非とも、法廷傍聴と報告集会にお越しください。
(2014年11月10日)

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